JP4239860B2 - 擦弦楽器用駒および擦弦楽器 - Google Patents
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また、楽器自体から殆ど演奏音が放音しないように共鳴しない胴(楽器本体)を用いて、専ら前者のように弦振動の検出信号を増幅して楽音信号を生成する消音(サイレント)型の電気擦弦楽器や、弦振動の検出信号に基づいて電子音源によって電子的に楽音信号を生成する消音(サイレント)型の電子擦弦楽器も用いられている。両者を総称して「電気・電子擦弦楽器」と称す。
いずれの場合にも、擦弦楽器の弦振動を検出する技術としては、弦を支持する駒と共鳴胴(楽器本体)の表板との間に圧力を検出するセンサを配置し、そのセンサによって駒の底面の振動を検出するようにしたものが、例えば特許文献1に開示されている。
このような技術を用いれば、擦弦楽器の演奏時にセンサから出力される電気信号を増幅して、その楽音の音量を演奏環境に合わせて任意に調整することが可能になる。
上記第1の切欠部と切抜部との間の弦振動伝播経路となる部位に沿って形成された溝内と、上記第2の切欠部と切抜部との間の弦振動伝播経路となる部位沿って形成された溝内に、それぞれ振動を検出するセンサを埋設し、
上記第1、第2の切欠部および上記切抜部からそれぞれ上記各弦振動伝播経路となる部位の幅を狭める方向に切込溝を設けたことを特徴とする。
上記第1の切欠部と切抜部との間の弦振動伝播経路となる部位に沿って形成された溝内と、上記第2の切欠部と切抜部との間の弦振動伝播経路となる部位沿って形成された溝内に、それぞれ振動を検出するセンサを埋設し、
前記第1から第6の切欠部からそれぞれ前記各脚部を経る弦振動伝播経路となる部位の幅を狭める方向に切込溝を設けた構成にしてもよい。
上記切抜部と第1および第2の切欠部は、通常の擦弦楽器用駒と同様に、それぞれ切抜部はハート形に、切欠部はレバー形に形成したものでよい。
この発明による擦弦楽器は、上述した擦弦楽器用駒のいずれかを備えたものである。
図5は、この発明による擦弦楽器用駒を備えた擦弦楽器の一実施例であるバイオリンを含む演奏システムを示す図である。
バイオリン1は駒以外は従来のアコースティックバイオリンと同じ構造であり、従来のものをそのまま使用することができる。すなわち、本体となる共鳴胴10は木製であり、表板10aと図示されていない裏板および周縁に沿って設けられた側板とによって中空筐体状に作られている。
また、共鳴胴10の表板10aとネック11上のペグボックス11aの手前までに亘って指板14が設けられている。この指板14は、演奏者が指で弦13を押し付けて弦13の自由振動できる長さを変化させ、擦弦時に発生する音高を変えるためのものである。
共鳴胴10の表板10a上の指板14と反対側に、各弦13の他端部を係止するためのテールピース15が設けられている。
この駒20は楓材などで作られており、弦13の振動を共鳴胴10に伝達する板状の部材であると共に、その振動を検出するセンサを埋設しているが、その詳細は後述する。
この実施例では、サウンドユニット6をバイオリン1とは別の装置として設けているが、小型のものであればバイオリン1に搭載することも可能である。
演奏者がこの弓3をボーイング操作して、その弓毛34によってバイオリン1の弦13の駒20と指板14の手前側端との中間部を擦ることによって弦13が振動し、その振動が駒20によって共鳴胴10に伝達され、共鳴胴10が共鳴して演奏音が放音される。これと同時に駒20内のセンサが弦振動を検出し、その検出信号がサウンドユニット6に送られて増幅および調整され、あるいは電子的に楽音信号が生成され、スピーカ7から任意の音量で放音される。
図1乃至図3はその駒の第1実施例を示す図であり、図1は駒20の図5におけるネック11側から見た正面図、図2はその右側面図、図3は図1におけるX−X線に沿うセンサ埋設部の断面図である。
この実施例の駒20は、一般のバイオリンに搭載される駒と同様に、楓材が加工された板状の本体部21及び前述した共鳴胴の表板10aの上面に当接する一対の脚部22とを備えている。
本体部21の上縁21Uは円弧状に形成され、そこに4本の弦13を一定の間隔を置いて係止する。この弦13は図1において右側からG線,D線,A線,E線であり、G線が一番太く、E線が一番細い。
この駒20が図5に示したバイオリン1に取り付けられると、図2に示すように、本体部21は、その板面21Sが共鳴胴10の表板10aの表面に略垂直をなし、各弦13の張設方向と略直交する状態で、その駒20が弦13と表板10aとによって挟持される。
その際、互いに隣接する空間である第1の切欠部220aと切抜部220cとの間の部位a、第1の切欠部220aと第4の220eの間の部位c、および第3の切欠部220dと第4の220eとの間の部位dによって形成される経路、並びに第2の切欠部220bと切抜部220cとの間の部位b、第2の切欠部220bと第6の切欠部220gとの間の部位e、および第5の切欠部220fと第6の切欠部220gとの間の部位fによって形成される経路とが、それぞれ各弦13から共鳴胴10への弦振動伝播経路(破線矢印で示す)を形成している。
この駒20の本体部21には、その板面21Sに図1に明示するように中心線O−O′に対して対称な三叉状の溝230が形成されている。この溝230は、本体部21の下縁21Dから中心線O−O′に沿って上方に延びる主溝230aとその上端部から分岐して互いに離間するように斜め上方に延びる2本の枝溝230b,230cとからなる。
その枝溝230bは、第1の切欠部220aと切抜部220cとの間の部位aの中央部の弦振動伝播経路に沿って延び、枝溝230cは、第2の切欠部220bと切抜部220cとの間の部位bの中央部の弦振動伝播経路に沿って延びている。
一対の曲げセンサ25は、互いに同極性の面同士を並列接続するか、あるいは直列に接続して、擦弦時に本体部21が図1の矢示A,B方向に回動変位したときに、枝溝230b,230cの内壁面が矢示P方向に変位することによってその圧電素子に発生する起電力が、互いに重畳してリード線16に出力されるようにする。
図4はその駒の図1と同様な正面図である。この第2実施例の駒20Mも前述した第1実施例の駒20と同様なバイオリン用駒であり、その切込溝を設ける位置が異なるだけであるので、図4において図1乃至図3と対応する部分には同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
その代りに、一対の脚部22を経る弦振動伝播経路を形成する互いに隣接する空間である第1の切欠部220aと第4の切欠部220eの間の部位c、第3の切欠部220dと第4の切欠部220eとの間の部位d、第2の切欠部220bと第6の切欠部220gとの間の部位e、および第5の切欠部切欠部220fと第6の切欠部220gとの間の部位fにおいて、それぞれ各部位の両側の切欠部からそれらの各部位c〜fの幅をそれぞれ狭める方向に切込溝29を設けている。
なお、この実施例の場合も弦振動伝播経路を形成する部位c〜fの全てに対して切込溝29を設けなくてもよく、部位cとeあるいは部位dとfに対してのみ切込溝29を設けてもよい。また、それらの部位の両側の切欠部から切込溝29を設けずに、いずれか一方の側の切欠部からだけ、弦振動伝播経路を形成する部位の幅を狭める方向に切込溝29を形成するようにしてもよい。
駒に埋設して弦の振動を検出するセンサは、バイモルフ型圧電素子による曲げセンサに限らず、モノモルフ型圧電素子による曲げセンサや、歪に応じて抵抗値が変化する歪ゲージなど、弦振動による本体部の変形を検出することが可能なセンサであればよい。
Claims (5)
- 擦弦楽器の弦と胴との間に挟持され、前記弦の振動を前記胴に伝達する板状の部材であり、その板面の前記弦の配列方向の両側から中心方向に切り欠いて形成された第1および第2の切欠部と、該板面の中央部に形成された切抜部とを有する駒であって、
前記第1の切欠部と前記切抜部との間の弦振動伝播経路となる部位に沿って形成された溝内と、前記第2の切欠部と前記切抜部との間の弦振動伝播経路となる部位沿って形成された溝内に、それぞれ振動を検出するセンサを埋設し、
前記第1、第2の切欠部および前記切抜部からそれぞれ前記各弦振動伝播経路となる部位の幅を狭める方向に切込溝を設けたことを特徴とする擦弦楽器用駒。 - 擦弦楽器の弦と胴との間に挟持され、前記弦の振動を前記胴に伝達する板状の本体部と前記胴の表板の上面に当接する一対の脚部とを有する駒であって、
前記本体部の板面の前記弦の配列方向の両側から中心方向に切り欠いて形成された第1および第2の切欠部と、該板面の中央部に形成された切抜部と、前記一対の脚部のそれぞれ左右両側からU字状に切り欠いて形成された第3、第4および第5、第6の切欠部とを有し、
前記第1の切欠部と前記切抜部との間の弦振動伝播経路となる部位に沿って形成された溝内と、前記第2の切欠部と前記切抜部との間の弦振動伝播経路となる部位に沿って形成された溝内に、それぞれ振動を検出するセンサを埋設し、
前記第1から第6の切欠部からそれぞれ前記各脚部を経る弦振動伝播経路となる部位の幅を狭める方向に切込溝を設けたことを特徴とする擦弦楽器用駒。 - 前記センサが曲げセンサである請求項1又は2記載の擦弦楽器用駒。
- 前記切抜部がハート形であり、前記第1、第2の切欠部がレバー形である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の擦弦楽器用駒。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の擦弦楽器用駒を備えた擦弦楽器。
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