JP4233353B2 - 医薬組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は喘息、糖尿病、リウマチ関節炎、炎症性腸疾患、および組織(例えば皮膚、尿道、気管、関節滑膜、肺、血管、心臓、神経系など)への白血球浸潤が関与する疾患などの治療に有効な、α4介在接着の阻害剤である、新規なフェニルアラニン誘導体を有効成分とする医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
白血球の内皮細胞または細胞外マトリックスプロティンへの接着は、免疫および炎症の基礎的なプロセスであり、多数の接着相互反応が関与している。このプロセスの最初の事象は、白血球のローリングであり、ついでインテグリンアビジチー(親和性)の変化が起こり、堅固な接着となる(例えば、非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;および非特許文献7参照)。化学走化性因子(chemotactic factor)に呼応して、白血球は2つの隣接した内皮細胞を介して、細胞外マトリックスプロティンのフィブロネクチン(FN)(例えば、非特許文献8参照)およびコラーゲン(例えば、非特許文献9;および非特許文献10参照)から成る組織に移行する。これらの反応に関与する重要な認識分子はインテグリン遺伝子スーパーファミリーに属する(例えば、非特許文献3;非特許文献11;非特許文献5;および非特許文献6参照)。
【0003】
インテグリンは、アルファ(α)およびベータ(β)サブユニットと称される非共有結合で集合したサブユニットから構成されるヘテロダイマーである(例えば、非特許文献3;非特許文献11;非特許文献5;および非特許文献6参照)。現在のところ、8個のインテグリンβサブユニットが同定され、16個の異なるαサブユニットと結合して23個の異なるインテグリンを形成することが知られている。
VLA−4(最遅延抗原−4;Very Late Antigen-4)としても知られているα4β1インテグリンはリンパ球、単球、および好酸球などの白血球上に発現し(例えば、非特許文献12;および非特許文献13参照)、炎症の間これらの細胞のリクルートメントにおいて重要な役割を果たす。VLA−4は血管細胞接着分子−1(VCAM−1)(例えば、非特許文献14参照)およびFN A鎖の結合セグメント1(CS−1)(例えば、非特許文献15参照)の受容体である。さらに、α4β1インテグリンは、動脈硬化性プラークにアップレギュレートされるオステオポンチン(osteopontin)と結合することが知られている(例えば、非特許文献16参照)。
【0004】
α4β7インテグリンは3個の既知のリガンド(VCAM−1、CS−1、MAdCAM−1)と結合する。ひとつは粘膜アドレシン細胞接着分子−1(Mucosal Addressin Cell Adhesion Molecule-1 (MAdCAM−1))であり、α4β7に対し特異性を示す(例えば、非特許文献17;非特許文献18;および非特許文献19参照)。MAdCAM−1は腸間膜リンパ節内の集合リンパ小節高内皮小静脈(Peyer's patch high endothelial venules)、および消化管基底膜および乳腺小静脈に多く発現される(例えば、非特許文献20参照)。インテグリンα4β7およびMAdCAM−1は正常な腸への白血球移動の制御に重要であることが証明されている(例えば、非特許文献21参照)。
【0005】
残り2つのリガンドVCAM−1およびCS−1(例えば、非特許文献14参照)はα4β7及びα4β1インテグリンによって共有されている。
【0006】
インビボでの多くの研究により、α4β1インテグリン及びα4β7インテグリン(以下、両者を総称してα4インテグリンまたはα4と称する)が多くの疾病の病因に重大な役割を担っていることが示されており、α4に対するモノクロナル抗体が様々な疾病モデルで試験されている。例えば、抗α4抗体の有効性は実験的自己免疫型脳脊髄炎のラットおよびマウスモデルで示されている(例えば、非特許文献22;および非特許文献23参照)。また、α4のモノクロナル抗体はいくつかの肺抗原攻撃モデルにおいて有効であった(例えば、非特許文献24;および非特許文献25参照)。さらに、自然発生慢性大腸炎を発症するワタボウシタマリン(Cotton-top tamarin)は抗α4抗体あるいは抗α4β7抗体の投与により、大腸炎の有意な軽減を示した(例えば、非特許文献26;非特許文献27;および非特許文献28参照)。CD45RBhigh CD4+ T細胞で再構成された重症複合型免疫不全マウスにおいて、β7またはMAdCAM−1のモノクロナル抗体は大腸への白血球リクルートメントを遮断し、大腸の炎症の重篤度を軽減した(例えば、非特許文献29参照)。α4に対するモノクロナル抗体は膵島炎を阻害し、非肥満糖尿病(NOD)マウスの糖尿病の発病を遅らせる(例えば、非特許文献30;非特許文献31;および非特許文献32参照)。
【0007】
また、NODマウスにおいて、MAdCAM−1は膵臓内の炎症した膵島の高内皮性小静脈上に発現し、これはα4β7インテグリンの糖尿病における役割を示唆している(例えば、非特許文献33参照)。炎症滑膜への白血球の接着はα4β1インテグリン/VCAM−1相互反応に支配されていると言われていたが、しかしながら、α4β7ポジティブT細胞の増加がリウマチ関節炎患者の滑膜にも発見されており(例えば、非特許文献34参照)、α4β7インテグリンの発現はこの疾病の増悪および恒久化に関与していると示唆されている(例えば、非特許文献35参照)。さらにまた、α4β7およびα4β1インテグリンのリンパ球および好酸球上の発現、およびα4β7/α4β1インテグリンがVCAM−1、CS−1およびMAdCAM−1へのヒト好酸球接着を介在することを示すインビトロでの研究(例えば、非特許文献36参照)により、α4インテグリンが喘息治療の適した治療標的であることが示されている。α4インテグリンが関与する他の疾病として、リウマチ関節炎(例えば、非特許文献37参照;および非特許文献38参照)、動脈硬化症(例えば、非特許文献39参照)、同種移植拒絶反応(例えば、非特許文献40参照)、および腎炎(例えば、非特許文献41参照)が挙げられる。遅延型過敏反応(例えば、非特許文献42参照)、接触過敏反応(例えば、非特許文献43参照、および非特許文献44参照)および脈管内膜過形成(例えば、非特許文献45参照)もまた抗α4抗体により妨害される。これらのデータはα4β7およびα4β1インテグリンが多様な炎症性疾患において重要な役割を有していることを示している。
【0008】
また、経口投与できる、生体内利用可能な非ペプチド性小分子α4アンタゴニストは、喘息、炎症性腸疾患、リウマチ関節炎、多発性硬化症および他の疾病の治療および予防に有効であることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
国際公開第99/36393号パンフレット
【非特許文献1】
バッチャー(Butcher), Cell, (1991), 67巻, p. 1033-1036
【非特許文献2】
ハーラン(Harlan), Blood, (1985), 3巻, p. 513-525
【非特許文献3】
ヘムラー(Hemler), Annu. Rev. Immunol., (1990), 8巻, p. 365-400
【非特許文献4】
オズボーン(Osborn), Cell, (1990), 62巻, p. 3-6
【非特許文献5】
シミズ(Shimizu)ら, Immunol. Rev., (1990), 114巻, p. 109-143
【非特許文献6】
スプリンガー(Springer), Nature, (1990), 346巻, p. 425-434
【非特許文献7】
スプリンガー(Springer), Cell, (1994), 76巻, p. 301-314
【非特許文献8】
ワイナー(Wayner), J. Cell Biol., (1987), 105巻, p. 1873-1884
【非特許文献9】
ボーンステイン(Bornstein)ら, Ann. Rev. Biochem., (1980), 49巻, p. 957-1003
【非特許文献10】
ミラー(Miller), K. A. ピエズ(K.A. Piez)およびA. H. レジ(A.H. Reddi)編集、「細胞外マトリックス生化学(Extracellular Matrix Biochemistry)、“コラーゲンおよびその分布の化学”, エウセヴィエル出版、アムステルダム, (1983), p. 41-78
【非特許文献11】
ハイネス(Hynes), Cell, (1987), 48巻, p. 549-554
【非特許文献12】
ヘムラー(Hemler)ら, J. Bio. Chem. (1987), 262巻, p. 11478-11485
【非特許文献13】
ボッチャー(Bochner)ら, J. Exp. Med. (1991), 173巻, p. 1553-1556
【非特許文献14】
エリセス(Elices)ら, Cell, (1990), 60巻, p. 577-584
【非特許文献15】
ウェイ(Wayne)ら, J. Cell Biol., (1989), 109巻, p. 1321-1330
【非特許文献16】
バイレス(Bayless)ら, J. Cell Science, (1998), 111巻, p. 1165-1174
【非特許文献17】
アンドリュー(Andrew)ら, J. Immunol., (1994), 153巻, p. 3847-3861
【非特許文献18】
ブリスキン(Briskin)ら, Nature, (1993), 363巻, p. 461-464
【非特許文献19】
シャジャン(Shyjan)ら, J. Immunol., (1996), 156巻, p. 2851-2857
【非特許文献20】
ベルグ(Berg)ら, Immunol. Rev., (1989), 105巻, p. 5
【非特許文献21】
ホルツマン(Holzmann)ら, Cell, (1989), 56巻, p. 37-46
【非特許文献22】
バロン(Baron)ら, J. Exp. Med., (1993), 177巻, 57-68
【非特許文献23】
エドノック(Yednock)ら, Nature, (1992), 356巻, p. 63-66
【非特許文献24】
アブラハム(Abraham)ら, J. Clin. Invest., (1994), 93巻, p. 776-787
【非特許文献25】
ウェグ(Weg)ら, J. Exp. Med., (1993), 177巻, p. 561-566
【非特許文献26】
ベル(Bell)ら, J. Immunol., (1993), 151巻, p. 4790-4802
【非特許文献27】
ポドルスキー(Podolsky)ら, J. Clin. Invest., (1993), 92巻, p. 372-380
【非特許文献28】
ヘステルベルグ(Hesterberg)ら, Gastroenterology, (1996), 111巻, p. 1373-1380
【非特許文献29】
ピカレラ(Picarella)ら, J. Immunol., (1997), 158巻, p. 2099-2106
【非特許文献30】
バロン(Baron)ら, J. Clin. Invest., (1994), 93巻, p. 1700-1708
【非特許文献31】
バークリー(Burkly)ら, Diabetes, (1994), 43巻, p. 529-534
【非特許文献32】
ヤング(Yang)ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (1993), 90巻, p. 10494-10498
【非特許文献33】
ヤング(Yang)ら, Diabetes, (1997), 46巻, p. 1542-1547
【非特許文献34】
マックマリー(McMurray), Semin. Arthritis Rheum., (1996), 25巻, p. 215-233
【非特許文献35】
ラザロビッツ(Lazarovits)ら, J. Immunol., (1993), 151巻, p. 6482-6489
【非特許文献36】
ウォルシュ(Walsh)ら, Immunology, (1996), 9巻, p. 112-119
【非特許文献37】
ラホン(Laffon)ら, J. Clin. Invest., (1991), 88巻, p. 546-552
【非特許文献38】
モラレス−デュクレ(Morales-Ducret)ら, J. Immunol., (1992), 149巻, p. 1424-1431
【非特許文献39】
チブルスキーら、Science, 251:788-791 (1991)
【非特許文献40】
イソベ(Isobe)ら, J. Immunol. (1994), 153巻, p. 5810-5818
【非特許文献41】
アレン(Allen)ら, J. Immunol. (1999), 162巻, p. 5519-5527
【非特許文献42】
イセクズ(Issekutz), (1991), J. Immunol., 147巻, p. 4178-4184
【非特許文献43】
キショルム(Chisholm)ら, Eur. J. Immunol., (1993), 23巻,p. 682-688
【非特許文献44】
ファーグソン(Ferguson)ら, J. Immunol., (1993), 150巻, p. 1172-1182
【非特許文献45】
ラムスデン(Lumsden)ら, J. Vasc. Surg., (1997), 26巻, p. 87-93
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的はα4介在細胞接着による炎症性疾患および/またはアレルギー性疾患の治療または予防に有用な医薬組成物を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は式[I]:
【化3】
(式中、X1はハロゲン原子;
X2はハロゲン原子;
Qは−CH2−基または−(CH2)2−基;
YはC1-6アルキル基;および
CO2Rはエステル化されていてもよいカルボキシル基)
で示される新規なフェニルアラニン誘導体、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする医薬組成物に関する。
【0012】
さらに、本発明は、式[I]の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とすることを特徴とする、α4インテグリン介在細胞接着による病態の治療または予防用医薬組成物に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の医薬組成物における有効成分である式[I]の化合物はその不斉炭素に基づいて光学活性異性体が存在するが、本発明はこれらの異性体およびその混合物も包含する。
【0014】
本発明の一態様において、化合物[I]におけるエステル化されていてもよいカルボキシル基とは、カルボキシル基および体内で加水分解されてカルボキシル基になるエステル化カルボキシル基を意味する。そのようなエステル化カルボキシル基の例としては、メトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、p−アミノベンジルオキシカルボニル基等の置換または非置換C2-7アルコキシカルボニル基が挙げられる。特にC2-7アルコキシカルボニル基が好ましい。
【0015】
本発明の一態様において、不斉中心におけるR/S立体配位は確定する必要はない。本発明における活性化合物は単一の配位の化合物でもよく、または異なる配位が混合した化合物でもよい。
【0016】
本発明の活性化合物中、好ましい化合物は式[I−1]の化合物である。
【化4】
(式中、記号は前記と同じ)
【0017】
さらに好ましい態様において、X1は塩素原子またはフッ素原子、X2は塩素原子またはフッ素原子、YはC1-4アルキル基、およびCO2Rはカルボキシル基またはC2-7アルコキシカルボニル基である。
【0018】
さらに好ましい別の態様においては、X1は塩素原子またはフッ素原子、X2は塩素原子またはフッ素原子、Qは−CH2−基、Yはメチル基、エチル基、またはn−プロピル基、およびCO2Rはカルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、またはtert−ブトキシカルボニル基である。
【0019】
特に好ましい活性化合物は、X1がフッ素原子、X2が塩素原子またはフッ素原子、Qが−CH2−基、Yがメチル基またはエチル基、およびCO2Rがカルボキシル基またはメトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基等のC2-7アルコキシカルボニル基である化合物である。
【0020】
本発明の最も好ましい活性化合物は以下の化合物から選ばれる。
N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−エトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン[つまり、(2S)−2−[(2,6−ジフルオロベンゾイル)アミノ]−3−[4−(2,6−ジメトキシ−4−エトキシメチルフェニル)フェニル]プロピオン酸];
N−(2−クロロ−6−フルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−エトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン[つまり、(2S)−2−[(2−クロロ−6−フルオロベンゾイル)アミノ]−3−[4−(2,6−ジメトキシ−4−エトキシメチルフェニル)フェニル]プロピオン酸];
N−(2−クロロ−6−フルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−メトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン[つまり、(2S)−2−[(2−クロロ−6−フルオロベンゾイル)アミノ]−3−[4−(2,6−ジメトキシ−4−メトキシメチルフェニル)フェニル]プロピオン酸];
N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−メトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン[つまり、(2S)−2−[(2,6−ジフルオロベンゾイル)アミノ]−3−[4−(2,6−ジメトキシ−4−メトキシメチルフェニル)フェニル]プロピオン酸];
またはそのC1-6アルキルエステル、
またはその薬理学的に許容される塩。
【0021】
本発明の活性化合物は遊離の形または製薬学的に許容される塩のいずれの形でもよい。製薬学的に許容される塩とは、無機塩基との塩、有機塩基との塩、または塩基性アミノ酸との塩(ナトリウム塩およびカリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩およびカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;またはアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩等のアミンとの塩;リジンとの塩等)、および無機酸または有機酸との塩(塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩等)が挙げられる。また、製薬学的に許容される塩には、分子内塩、または溶媒和物または水和物も含まれる。
【0022】
本発明の活性化合物の特徴は、(1)ビフェニル環の4'位へのC1-6アルコキシ置換C1-2アルキル基の導入と、(2)ジハロ置換ベンゾイル基および2',6'−ジメトキシ−4'−(C1-6アルコキシ置換C1-2アルキル)ビフェニル環との組み合わせにあり、そのような特徴は先行文献では特に開示されていない。
【0023】
本発明の活性化合物はα4介在細胞接着に対する強力な阻害活性を保持し、また、a)代謝安定性、b)血漿蛋白質結合およびc)水溶性が総体的に改善されており、このため経口投与時に優れた生体内利用性を示す。特に、ビフェニル環の4'位へのC1-6アルコキシ置換C1-2アルキル基の導入により、先行文献に開示されているいくつかの化合物に見られるような速い代謝を減速する。本発明の活性化合物は肝クリアランスの減少等により生体内利用性を改善している。
【0024】
よって、本発明の医薬組成物はα4介在細胞接着による病態に対して優れた改善作用を示し、本発明の医薬組成物はヒトなどの哺乳動物におけるα4接着介在病態の治療または予防に用いることができる。
【0025】
さらに、本発明の医薬組成物は分子MAdCAM−1および/またはVCAM−1を発現する組織への白血球(たとえば、リンパ球、単球)の浸潤(リクルートメント、および/または組織中の白血球の蓄積を含む)が関与する疾病に罹患した個体の治療に用いることができる。たとえば、胃集合内皮細胞を含む胃腸管、他の粘膜組織、あるいはMAdCAM−1分子を発現する組織(小腸大腸の固有層の細静脈などの胃集合組織、乳腺(泌乳乳腺)等)への白血球浸潤が関与する疾病を含む、炎症性疾病が本組成物により治療できる。同様に、本発明組成物はVCAM−1分子を発現する組織への白血球浸潤が関与する疾病に罹患した個体の治療に用いることができる。
【0026】
よって、本発明の医薬組成物は、リウマチ関節炎等の炎症性疾患;喘息;鼻炎などのアレルギー性疾患;成人呼吸窮迫症候群;AIDS痴呆;アルツハイマー病;心・血管疾患;血栓症または有害な血小板凝集;血栓溶解後の再閉塞;再潅流障害;乾癬、湿疹、接触性皮膚炎およびアトピー性皮膚炎などの皮膚炎症性疾患;糖尿病(たとえば、インスリン依存性糖尿病、自己免疫性糖尿病);多発性硬化症;全身性エリテマトーデス;潰瘍性大腸炎、クローン病(限局性腸炎)および嚢炎(pouchitis)(たとえば、直腸結腸切除後および回腸肛門吻合後に発症)などの炎症性腸疾患;他の胃腸管への白血球浸潤が関与する疾患、例えば、セリアック病、非熱帯スプルー、血清反応陰性関節症が関与する腸疾患、リンパ球性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、および好酸球性胃腸炎;他の上皮組織(例えば皮膚、尿道、気管支、関節滑膜)への白血球浸潤が関与する疾患;膵炎;乳腺炎;肝炎;胆嚢炎;胆管炎または胆管周囲炎(胆管および肝臓の周囲組織);気管支炎;副鼻腔炎;間質性線維症を引き起こす肺の炎症性疾患(たとえば、過敏性肺炎);サルコイドーシス;骨粗鬆症;変形性関節症;腫瘍脈管形成、悪性腫瘍、多発性骨髄腫、および腫瘍性または癌性増殖転移を含む腫瘍性疾患;外傷(外傷治癒促進);網膜剥離、アレルギー性結膜炎および自己免疫ブドウ膜炎などのある種の眼病;シェーグレン症候群;宿主対移植片疾患、移植片対宿主疾患などの臓器移植後の拒絶反応(慢性および急性);脈管内膜過形成;動脈硬化症(アテローム性動脈硬化症や移植後の移植片動脈硬化症を含む);経皮経管冠動脈形成術(PTCA)および経皮経管動脈再疎通術などの外科手術後の再梗塞または再狭窄;腎炎;骨髄腫誘発性骨吸収;および脳卒中、外傷性脳損傷および脊椎損傷などの中枢神経障害などの治療または予防に用いることができる。
【0027】
本発明の医薬組成物は好ましくは、喘息、鼻炎などのアレルギー性疾患、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患、リウマチ関節炎、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症および臓器移植後の拒絶反応の治療または予防に用いることができる。
【0028】
治療に適切な化合物は、適切な動物モデルを用いてインビボで評価できる。炎症の適切な動物モデルは文献に開示されている。たとえば、NODマウスはインスリン依存性糖尿病の動物モデルである。CD45RBHi SCIDマウスモデルは、クローン病および潰瘍性大腸炎両者と類似性のあるモデルである(ポウリーら、Immunity, 1:553-562 (1994))。ワタボウシタマリンは自然発生的に、しばしば慢性的に大腸炎を起こし、それは臨床的にまた組織学的にヒトにおける潰瘍性大腸炎に相似している(マダラら、Gastroenterology, 88:13-19 (1985))。ネズミ大腸炎のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)モデルは飲料水にDSSを加えて導入される。DSS大腸の生理的および組織学的変化は文献に十分に開示されており、ヒト潰瘍性大腸炎によく似ている(クーパーら、Laboratory Investig., 69:238-249 (1993))。ヒト炎症性腸疾患の病変と相似の胃腸病変を起こすIL−10ノックアウトマウスも開示されている(ストローバーら、Cell, 75:203-205 (1993))。
【0029】
本発明の医薬組成物は、通常、有効成分の式[I]の化合物および薬理学的に許容される担体または希釈剤を含有する。
【0030】
製薬学的に許容される担体または希釈剤は、たとえば、結合剤(シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガント、ポリビニルピロリドン等)、賦形剤(乳糖、砂糖、コーンスターチ、リン酸カリウム、ソルビトール、グリシン等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ等)、崩壊剤(馬鈴薯デンプン等)および湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウム等)等を挙げることができる。
【0031】
医薬組成物は口、肺、眼、直腸、非経口(皮下、筋肉内および静脈内を含む)、動脈内、局所、経鼻吸入(たとえばエアゾールと)またはバッカル投与に適した製剤形が挙げられる。これらの製剤は製薬分野で公知の持続型製剤も含むものと理解される。経口および非経口投与が好ましい投与方法である。
【0032】
医薬組成物は単位投与形が適当であり、製薬分野でよく知られたいずれの方法によっても調製できる。一般的に、製剤は有効成分を液体担体または細密に粉砕された固体担体、または両者と均一かつ完全に混合し、ついで、要すれば、生成物を所望の形に成形することにより調製される。
【0033】
経口投与に適した本発明の製剤は、カプセル剤、カシェ剤、錠剤、ロゼンジ剤等のそれぞれ分離した単位形で、各単位形は予め決定された量の有効成分を粉末、顆粒、または水性液体溶液または懸濁液の形で含有する。他の投与方法の製剤としては非水性液体を含み得、水中油乳剤や、油中水乳剤、エアゾール剤、クリーム剤または軟膏、または経皮的に有効成分を投与するための経皮パッチ剤への含浸剤の形で、必要な患者に投与される。本発明の活性化合物はそれを必要とする患者にボーラス剤、舐剤、またはペースト剤の形でも投与できる。
【0034】
本発明の活性化合物はα4介在細胞接着を減少または予防するために十分な量で、それを必要とする患者に投与することができる。他の態様では、本発明の活性化合物は所望の治療効果および/または予防効果を得るために十分な量で、またはMAdCAM−1/VCAM−1介在結合を減少あるいは予防し、よって白血球接着および浸潤を阻害しそれに伴う細胞応答を阻止するために十分な量で、患者に投与できる。
【0035】
治療効果を得るために必要な化合物[I]の用量は、投与方法、治療対象の年齢、性別、体重および症状、および治療する疾患や病気により変化するが、化合物[I]またはその製薬学的に許容される塩の1日あたりの投与量は、哺乳動物の体重1kg当たり0.1〜100mg、好ましくは0.3〜30mg/kgである。非経口投与の場合、投与量は体重1kg当たり化合物の0.1〜10mg、好ましくは0.3〜3mg/kgの範囲である。経口投与の場合、適切な1日量は体重1kgあたり化合物1〜100mg、好ましくは2〜30mg、最も好ましい投与量は1〜10mg/kgの範囲で、1日あたり2〜3回に分けて投与される。局所投与の場合、例えば皮膚や眼に投与する場合は、式[I]の化合物、または製薬学的に許容される塩の適切な投与量は体重1kg当たり化合物0.1〜100μgの範囲である。
【0036】
式[I]の化合物、またはその製薬学的に許容される塩は以下の工程で合成できる。
(1)式[II]:
【化5】
(式中、CO2R1はエステル化されたカルボキシル基、および他の記号は前記と同じ)
で示される化合物を式[Ia]:
【化6】
(式中、記号は前記と同じ)
で示される化合物に変換し;
(2)要すれば、化合物[Ia]のエステル化されたカルボキシル基をカルボキシル基に変換し;
(3)さらに要すれば、得られた化合物をその製薬学的に許容される塩に変換する。
【0037】
工程1:
化合物[II]の化合物[Ia]への変換は後記の方法AからCのいずれか1法により行うことができる。
【0038】
工程2:
エステル化されたカルボキシル基CO2R1のカルボキシル基への変換は、通常の方法により、例えば、塩基(水酸化リチウムや水酸化ナトリウムなどの水酸化アルカリ金属など)や酸(塩酸など)を用いた加水分解や、酸(TFAなど)処理等により行うことができる。
【0039】
工程3:
得られた化合物[I]のその製薬学的に許容される塩への変換は、塩基(水酸化ナトリウムなどの無機塩基、エチルアミンなどの有機塩基、リジンなどの塩基性アミノ酸など)や酸(塩酸、硝酸および硫酸などの無機酸、酢酸やマレイン酸などの有機酸、またはアスパラギン酸やグルタミン酸などの酸性アミノ酸)を用いる通常の方法により行うことができる。
【0040】
化合物[II]の化合物[Ia]への変換は以下の方法(方法A〜C)のいずれか1法により行うことができる。
【0041】
方法A:
Qが−CH2−基である化合物[Ia]は以下の方法で合成できる:
(1)化合物[II]を酸化して式[III]:
【化7】
(式中、記号は前記と同じ)
で示される化合物とし、ついで
(2)化合物[III]を式[IV]:
Y−OH [IV]
(式中、記号は前記と同じ)
で示される化合物と還元的に縮合する。
【0042】
工程1:
酸化反応は適当な溶媒中(例えば、CH2Cl2、ベンゼン、トルエン、DMSO、あるいはこれらの混合物)、塩基(例えば、Et3N、DIEA)の存在下あるいは非存在下、慣用の酸化剤(例えば、MnO2、SO3・ピリジンなど)を用いて行うことができる。
反応は−50℃〜50℃の間、好ましくは室温下で行うことができる。
【0043】
工程2:
化合物[III]と化合物[IV]の縮合反応は還元剤(例えば、トリエチルシラン等)および脱水剤(例えば、硫酸、トリフルオロ酢酸等)の存在下、溶媒中(例えば、THF、CH2Cl2など)または無溶媒で行うことができる。
反応は−50℃〜50℃に間、好ましくは0℃〜室温下で行うことができる。
【0044】
方法B:
化合物[Ia]は以下の方法で合成できる:
(1)化合物[II]を式[V]:
【化8】
(式中、Zは脱離基、および他の記号は前記と同じ)
で示される化合物に変換し、ついで
(2)化合物[V]を化合物[IV]と反応させる。
【0045】
脱離基Zとしては、例えば、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)が使用できる。
【0046】
工程1:
化合物[II]の化合物[V]への変換は、適当な溶媒中(例えば、CH2Cl2、ジオキサン、THF、DMF、DMSOなど)、塩基の存在下(例えば、Na2CO3、NaHCO3など)または非存在下でハロゲン化剤(例えば、三臭化リン、三塩化リン、およびCBr4とトリフェニルホスフィンとの組み合わせなど)で化合物[II]をハロゲン化することにより行うことができる。
反応は−50℃〜50℃の間、好ましくは0℃〜室温下で行うことができる。
【0047】
工程2:
化合物[V]と化合物[IV]の反応は銀化合物(酸化第1銀(Ag2O)、酸化銀(AgO)等の存在下で、適当な溶媒中(例えば、トルエン、CH2Cl2、ジオキサン、MeCNなど)または無溶媒で行うことができる。
反応は室温下から100℃の範囲の温度下で行うことができる。
【0048】
方法C:
化合物[Ia]は化合物[II]を式[VI]:
Y−Z [VI]
(式中、記号は前記と同じ)
で示される化合物でアルキル化することにより合成できる。
【0049】
アルキル化反応は銀化合物(酸化第1銀(Ag2O)および酸化銀(AgO)の存在下、適当な溶媒中または無溶媒で行うことができる。反応は方法Bの工程2と同様の方法で行うことができる。
【0050】
出発化合物[II]は以下の方法(方法DまたはE)により合成できる。
方法D:
【化9】
(上記反応工程式中、記号は前記と同じである)
【0051】
化合物[II]は式[VII]の化合物またはその反応性誘導体を、式[VIII]の化合物またはその塩と縮合させることにより合成できる。
【0052】
化合物[VIII]の塩としては、例えば無機酸または有機酸との塩(トリフルオロ酢酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、塩酸塩、硫酸塩など)が挙げられる。化合物[VII]と化合物[VIII]またはその塩との縮合反応は適当な溶媒中(例えば、CH2Cl2、THF、DMF)、縮合剤(例えば、BOP−Cl、BOP試薬、EDCなど)および塩基(例えば、DIEA、Et3N、4−メチルモルホリン)の存在下で行うことができる。
【0053】
縮合剤は活性化剤(例えば、HOBt)と共に用いることが好ましい。
【0054】
反応は−50℃から50℃の間で、好ましくは0℃から室温下で行うことが出来る。
【0055】
化合物[VIII]またはその塩と化合物[VII]の反応性誘導体との縮合反応は適当な溶媒中(例えば、AcOEt、水、CH2Cl2、THF、DMF、トルエンあるいはそれらの混合物)、塩基(例えば、DIEA、Et3N、Na2CO3、K2CO3、NaHCO3など)の存在下で行うことが出来る。
【0056】
化合物[VII]の反応性誘導体の例としては、例えば酸ハライド(酸クロリドなど)が挙げられる。反応は−30℃から室温下で行うことが出来る。
【0057】
方法E:
【化10】
(上記反応工程式中、Lは脱離基、および他の記号は前記と同じである)
【0058】
化合物[II]は式[IX]の化合物を式[X]の化合物とカップリングさせて合成できる。
脱離基Lの例としては、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基が挙げられる。
【0059】
カップリング反応は、例えば室温から150℃(好ましくは、80℃から150℃)の間で、パラジウム触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウム(II)アセテート、パラジウム(II) クロリド)および塩基(例えばK2CO3、Et3N、DIEA、ジイソプロピルアミン、モルホリン)の存在下、ホスフィンリガンド(例えば、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリメチルホスフィン)の存在または非存在下に、適当な溶媒中(例えば、トルエン、THF、DMF、NMP、水またはこれらの混合溶媒)で行われる。
【0060】
化合物[IX]は、
(1)式[XI]:
【化11】
(式中、Z1はハロゲン原子であり、他の記号は前記と同じ)
で示される化合物と式[XII]:
【化12】
(式中、CO2R1は上記と同じ)
で示される化合物またはその塩と、方法Dと同様の方法で縮合し;ついで
(2)得られた化合物の水酸基を脱離基に変換することにより合成できる。例えば、水酸基のトリフルオロメタンスルホニルオキシ基への変換は、無水トリフルオロメタンスルホン酸を用い、−30℃から0℃の間で、塩基(例えば、ピリジン、NEt3、DIEA)の存在下、適当な溶媒(例えば、CH2Cl2、THFあるいはこれらの混合溶媒)中で行うことができる。
【0061】
化合物[VIII]は、
(1)式[XIII]:
【化13】
(式中、Pはアミノ基の保護基、および他の記号は前記と同じ)
で示される化合物を、化合物[X]とカップリング反応により縮合し;
(2)得られた化合物のアミノ基の保護基を除くことにより合成できる。
【0062】
アミノ基の保護基は通常のアミノ基の保護基から選択でき、例えば、アリール−C2-7アルコキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基)、C2-7アルコキシカルボニル基(例えば、tert-ブトキシカルボニル基)等を用いることができる。
【0063】
カップリング反応は、方法Eにおける化合物[IX]と化合物[X]の反応と同様の方法で行うことが出来る。
アミノ基の保護基の除去は常法により行われ、例えば、触媒(例えば、パラジウム−活性炭素)を用いた接触還元、酸(例えばTFA、HCl)処理等により実施できる。
【0064】
Lがトリフルオロメタンスルホニルオキシ基である化合物[XIII]は、式[XIV]:
【化14】
(式中、記号は前記と同じである)
で示される化合物と無水トリフルオロメタンスルホン酸を、化合物[IX]の合成の工程2と同様の方法で反応させることにより合成することができる。
【0065】
化合物[X]は、
(1)式[XV]:
【化15】
(式中、Qは前記と同じ)
で示される化合物を、アルキルリチウム(例えば、n−BuLi)と、−100℃から室温の間、適当な有機溶媒(例えば、ジエチルエーテル、THFまたはこれらの混合溶媒)中で反応させ、
(2)得られた化合物をホウ酸トリメチルと−100℃から室温の間で、適当な有機溶媒(例えば、ジエチルエーテル、THFまたはこれらの混合溶媒)中で反応させ、ついで
(3)得られた化合物を0℃から室温の間、適当な溶媒(例えば、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン、水、またはそれらの混合溶媒)中で、酸(例えば、酢酸、クエン酸)の存在下で加水分解して合成できる。
【0066】
本明細書および請求の範囲を通じて、ハロゲン原子は、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、またはヨウ素原子である。C1-6アルキル基は、炭素数1〜6個の、好ましくは炭素数1〜4個の、直鎖、分岐鎖あるいは環状アルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソプロピル、シクロプロピル、tert−ブチル等が挙げられる。C2-7アルコキシカルボニル基は、炭素数2〜7の、好ましくは炭素数2〜5の、直鎖、分岐鎖または環状アルコキシカルボニル基を意味し、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、シクロプロポキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル等が挙げられる。
【0067】
略語:
BOP−Cl:ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリドBOP試薬:ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
EDC:1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
THF:テトラヒドロフラン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
NMP:1−メチル−2−ピロリドン
DIEA:ジイソプロピルエチルアミン
HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
TFA:トリフルオロ酢酸
Ac:アセチル
Me:メチル
Et:エチル
Pr:プロピル
Bu:ブチル
Ph:フェニル
EtOAc:酢酸エチル(=AcOEt)
【0068】
実験例
RPMI8866/CS−1細胞接着阻害試験:
本試験は、α4β7インテグリンを発現するRPMI8866細胞(以下、PRMI細胞)とフィブロネクチンCS−1の部分配列ペプチドを用いて、本発明有効成分のα4β7インテグリン介在細胞接着阻害作用を測定したものである。
(1)検体溶液の調製
後記製造例記載化合物をジメチルスルホキシドに溶解した後、0.25%トリ卵白アルブミン添加ダルベッコ変法イーグル培地溶液で希釈し、所望の濃度の検体溶液を調製した。
(2)ペプチド被膜プレートの調製
CS−1部分配列ペプチド(配列:CLHGPEILDVPST)と組換ペプチド(配列:CLHPGIELVSDPT)をベックマン990シンセサイザーで合成した。マイクロプレートの各ウェルをヒト血清アルブミンリン酸緩衝生理食塩水溶液(20μg/mL、100μl)を用いて室温で2時間被膜した後、リン酸緩衝生理食塩水で一回洗浄し、3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸 N−ヒドロキシスクシンイミドエステルリン酸緩衝生理食塩水溶液(10μg/mL、100μl)で1時間誘導体化した。洗浄後、前記ペプチドのジメチルスルホキシド溶液(100μg/mL、100μl)を各ウェルに加え、4℃で一晩プレートに架橋させた。プレートをリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、次いで、プレートをウシ血清アルブミンのリン酸緩衝生理食塩水溶液(2.5mg/mL、100μl)で被膜させ(37℃、1時間)、未反応サイトをブロックした。
(3)細胞接着
検体溶液100μlをプレートに加えた後、RPMI細胞の0.25%トリ卵白アルブミン含有ダルベッコ変法イーグル培地溶液(2.5×106細胞/mL、100μl)をプレートに加え、37℃で1時間インキュベートした。インキュベート後、プレートをリン酸緩衝生理食塩水で洗浄した。
p−ニトロフェニル−N−アセチル−β−D−グルコースアミニドを0.1Mクエン酸緩衝液(pH5)に7.5mMの濃度で溶解し、等量の0.5%のトリトンX−100(t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)と混合した。この溶液50μlをプレートに加え、プレートを37℃で60分間インキュベートした。グリシン/エデト酸(エチレンジアミン四酢酸)溶液(50mMグリシン、5mMエデト酸緩衝液、pH10.4)100μlを添加して反応を止めた。分光光度計で405nmの吸光度を測定し、遊離したp−ニトロフェノールを定量した。
組換ペプチドを用いて得られた非特異的結合を差し引いた後、濃度阻害曲線から50%阻害濃度(IC50)を計算した。結果は下記第1表のとおりである。
なお、比較対照化合物として、WO99/36393パンフレットに記載のN−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシフェニル)−L−フェニルアラニンを用いた。
【表1】
第1表から明らかな通り、本発明の活性化合物は優れたα4β7インテグリン介在細胞接着阻害作用を示す。
【0069】
製造例1:N−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−エトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル
(1)L−チロシン エチルエステル塩酸塩(55.08g)と炭酸水素ナトリウム(22.52g)のCH2Cl2/水(280ml/280ml)混合物に二炭酸ジtert−ブチル(56.82g)を少量ずつ加えた。混合物を室温で2時間攪拌し、酢酸エチルで希釈した。有機層を水洗し、Na2SO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をジエチルエーテルとヘキサンの混合溶媒で再結晶してN−(tert−ブトキシカルボニル)−L−チロシン エチルエステル(62.71g)を得た。融点:87−88℃;MS(APCI) m/z 327 (M+NH4)、310(M+H)。
【0070】
(2)ピリジン(48ml)を上記で得た生成物(61.63g)のCH2Cl2(1800ml)溶液にアルゴン下加えた。溶液を−35℃から−30℃に冷却し、無水トリフルオロメタンスルホン酸(35ml)を攪拌下少量ずつ加えた。添加後、混合物を−30℃から−20℃で2時間攪拌した。氷水を混合物に加え、有機層を集め、5%クエン酸水溶液、水、および食塩水で洗浄した。得られたCH2Cl2溶液をNa2SO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶出液:n−ヘキサン/EtOAc=4:1)で精製してN−(tert−ブトキシカルボニル)−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−L−チロシン エチルエステル(87.94g)を得た。融点:47−49℃;IR(Nujol)3390,1737,1691cm-1;MS(APCI) m/z (M+NH4)。
【0071】
(3)上記で得た生成物(76.51g)と2,6−ジメトキシ−4−ヒドロキシメチルベンゼンボロン酸(62.27g)のDMF(350ml)混合物にEt3N(41g)を加え、アルゴンで脱気した。Pd(PPh3)4(19.5g)を混合物に加え、80〜90℃でアルゴン下1時間攪拌した。混合物を冷却し、AcOEtと水で希釈し、セライト濾過し、AcOEtで洗浄した。濾液を水で希釈し、分取した。有機層を水と食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥、活性炭処理して減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶出液:n−ヘキサン/EtOAc=3:2〜2:3)で精製し、イソプロピルアルコールで再結晶して、N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル(69.4g)を得た。融点:142−143℃;IR(Nujol)3507,3323,1731,1689,1606cm-1;MS(APCI) m/z 477(M+NH4)。
【0072】
(4)上記で得た生成物(10.0g)のジオキサン(50ml)溶液に4N HCl−ジオキサン(50ml)を0℃で加え、混合物を室温下2時間攪拌した。混合物をジエチルエーテルで希釈した。得られた沈殿物を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄して、4−(2,6−ジメトキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル塩酸塩(8.26g)を得た。IR(Nujol)3321,1735cm-1;MS(APCI+Q1MS) m/z 360(M+H)。
【0073】
(5)上記で得た生成物(1.5g)のNaHCO3(955mg)含有AcOEt/水(60ml/60ml)混合物に、2,6−ジクロロベンゾイルクロリド(0.6ml)を0℃で加え、混合物を0℃で0.5時間攪拌した。混合物をAcOEt、水、および少量のCH2Cl2で希釈した。有機層を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣を結晶化してN−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル(1.93g)を得た。融点:121℃;IR(Nujol)3249,1725,1641cm-1;MS(APCI+Q1MS) m/z 532(M+H)。
【0074】
(6)上記で得た生成物(508mg)のCH2Cl2(10ml)溶液にMnO2(976mg)を加えた。混合物を室温下2.5時間攪拌し、14時間還流した。混合物を冷却し、セライト濾過し、CH2Cl2で洗浄した。濾液を減圧濃縮してN−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−ホルミルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル(352mg)を得た。IR(Nujol)1734,1691,1655cm-1;MS(APCI) m/z 530(M+H).
【0075】
(7)上記で得た生成物(345mg)のEt3SiH(226mg)含有EtOH(4ml)混合物に濃硫酸(0.5ml)を加えた。室温で18時間攪拌後、混合物をAcOEtと水の混合物で処理した。有機層を水と食塩水で順次洗浄し、MgSO4で乾燥、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶出液:n−ヘキサン/AcOEt=2:1)で精製し、ジイソプロピルエーテルとイソプロパノールの混合溶媒で結晶化して標記化合物(254mg)を得た。融点:91〜94℃;IR(Nujol)3290,1729,1652,1463,1123cm-1;MS(APCI+Q1MS) m/z 560(M+H)。
【0076】
製造例2:N−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−エトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン メチルエステル
(1)N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−チロシン メチルエステル(3.34g)を製造例1−(1)と同様にして、L−チロシン メチルエステル塩酸塩(2.69g)から得た。融点:105〜106℃;IR(Nujol)3415,3321,1761,1691cm-1;MS(APCI+Q1MS) m/z 313(M+NH4),296(M+H)。
【0077】
(2)上記で得た生成物(3.3g)をN−(tert−ブトキシカルボニル)−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−L−チロシン メチルエステル(4.62g)に、製造例1−(2)と同様にして変換した。IR(Neat)3366,1747,1715cm-1;MS(APCI+Q1MS) m/z 445(M+NH4)。
【0078】
(3)上記で得た生成物(4.56g)をN−(tert−ブトキシカルボニル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン メチルエステル(3.21g)に、製造例1−(3)と同様にして変換した。融点:100℃;IR(Nujol)3360,1739,1683,1661cm-1;MS(APCI) m/z 463(M+NH4)。
【0079】
(4)上記で得た生成物(3.19g)を4−(2,6−ジメトキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン メチルエステル塩酸塩(2.45g)に、製造例1−(4)と同様にして変換した。融点:211−213℃(分解);IR(Nujol)3301,1739cm-1;MS(APCI+Q1MS) m/z 346(M+H)。
【0080】
(5)上記で得た生成物(1.08g)をN−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン メチルエステル(874mg)に、製造例1−(5)と同様にして変換した。融点:116〜120℃;IR(Nujol)3230,3069,1749,1732,1641cm-1;MS(APCI+Q1MS) m/z 518(M+H)。
【0081】
(6)上記で得た生成物(937mg)のNaHCO3(304mg)含有ジオキサン(10ml)混合物にPBr3(680mg)のジオキサン(2ml)溶液を室温下少量ずつ加えた。20分間攪拌後、混合物に氷を入れて反応を止め、AcOEtで抽出した。有機層を水と食塩水で順次洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶出液:AcOEt/CHCl3=1:10)で精製してN−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−(4−ブロモメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−L−フェニルアラニン メチルエステル(598mg)を得た。MS(APCI+Q1MS) m/z 584,582,580(M+H)。
【0082】
(7)上記で得た生成物(571mg)のAgO(659mg)含有EtOH(20ml)混合物を室温下7時間超音波で処理した。混合物をセライト濾過し、EtOHで洗浄した。濾液を減圧濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶出液:AcOEt/CHCl3=1:20)で精製して標記化合物(318mg)を得た。MS(APCI+Q1MS) m/z 546(M+H)。
【0083】
製造例3:N−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−エトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン
製造例1の化合物(207mg)のTHF/水(8ml/2ml)溶液にLiOH(30mg)を5℃で加えた。混合物を5℃で20時間攪拌し、6N塩酸(1ml)で反応を止め、AcOEtで抽出した。有機層を水と食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をMeOH、ジエチルエーテルおよびヘキサンの混合溶媒で再結晶して標記化合物(147mg)を得た。融点:196〜198℃;IR(Nujol)3300,3270,1705,1651,1462,1126cm-1;MS(ESI−Q1MS) m/z 530(M−H)。
【0084】
製造例4:N−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−メトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル
製造例1−(5)の生成物(304mg)のAg2O(868mg)含有CH3CN(30ml)混合物にMeI(871mg)を加えた。混合物を室温下18.5時間攪拌し、ついで50℃で5時間超音波で処理した。混合物をセライト濾過し、濾液を減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶出液:AcOEt/n−ヘキサン=1:2)で精製して標記化合物(222mg)を得た。IR(Neat+CHCl3)3285,1736,1663cm-1;MS(APCI+Q1MS) m/z 546(M+H)。
【0085】
製造例5:N−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−メトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン
製造例4で得た生成物(210mg)を製造例3と同様にして標記化合物(139mg)に変換した。融点:232〜235℃;IR(Nujol)3336,1717,1685cm-1;MS(ESI−Q1MS) m/z 516(M−H)。
【0086】
製造例6:N−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−n−プロポキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル
(1)製造例1−(5)で得た生成物(3.0g)のPPh3(1.77g)含有CH2Cl2(80ml)溶液にCBr4(2.8g)を0℃で加えた。混合物を室温下3時間攪拌し、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶出液:AcOEt/n−ヘキサン=1:1)で精製してN−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−ブロモメチルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル(3.15g)を得た。IR(Nujol)1731,1654cm-1;MS(APCI) m/z 596(M+H)。
【0087】
(2)上記で得た生成物(304mg)のAgO(515mg)含有n−PrOH(12ml)混合物をアルゴン下45℃で28時間超音波で処理した。混合物をセライト濾過し、濾液を減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶出液:n−ヘキサン/AcOEt=3:1)で精製して標記化合物(258mg)を得た。IR(Nujol)1733,1655cm-1;MS(APCI) m/z 574 (M+H)。
【0088】
製造例7:N−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−n−プロピルオキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン
製造例6で得た生成物(150mg)を製造例3と同様にして標記化合物(142mg)に変換した。融点:183〜186℃;IR(Nujol)1719,1684cm-1;MS(APCI) m/z 544(M−H)。
【0089】
製造例8:N−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−イソプロポキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル
製造例6−(1)で得た生成物(231mg)をn−プロパノールの代わりにイソプロパノールを用いる以外は、製造例6−(2)と同様にして標記化合物(179mg)に変換した。IR(Nujol)3270,1731,1658cm-1;MS(APCI) m/z 574(M+H)。
【0090】
製造例9:N−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−イソプロポキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン
製造例8で得た生成物(122mg)を製造例3と同様にして加水分解して標記化合物(117mg)を得た。IR(Nujol)3341,3070,1718,1681cm-1;MS(ESI) m/z 544(M−H)。
【0091】
製造例10:N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−エトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル
(1)製造例1−(4)で得た生成物(2.1g)を製造例1−(5)と同様にして2,6−ジフルオロベンゾイルクロリドでアシル化し、N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル(2.75g)を得た。融点:70〜72℃;IR(Nujol)3400,3263,1735,1654,1624cm-1;MS(APCI) m/z 500(M+H)。
【0092】
(2)上記で得た生成物(1.72g)のDMSO(20ml)溶液にEt3N(4.8ml)とSO3・ピリジン(5.6g)を室温下順次加えた。混合物全体を室温で25分間攪拌した。反応混合物を氷水に注ぎ、ついで混合物をEtOAcで抽出した。有機層を5%HCl水溶液、水および食塩水で順次洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶出液:n−ヘキサン/EtOAc=5:1〜1:1)で精製してN−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−ホルミルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル(1.54g)を得た。融点:114〜116℃;IR(Nujol)3332,1735,1695,1657,1644,1623cm-1;MS(APCI) m/z 498(M+H)。
【0093】
(3)上記で得た生成物(716mg)を製造例1−(7)と同様にして標記化合物(428mg)に変換した。融点:87〜89℃;IR(Neat+CHCl3)3300,1739,1668cm-1;MS(APCI) m/z 528(M+H)。
【0094】
製造例11:N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−エトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン メチルエステル
(1)製造例2−(4)で得た生成物(1.00g)を製造例1−(5)と同様にして2,6−ジフルオロベンゾイルクロリドでアシル化し、N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン メチルエステル(873mg)を得た。IR(Nujol)3257,1743,1655,1624cm-1;MS(APCI+Q1MS) m/z 503(M+NH4),486(M+H)。
【0095】
(2)上記で得た生成物(860mg)を製造例2−(6)と(7)と同様にして標記化合物(220mg)に変換した。
【0096】
製造例12:N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−エトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン
製造例10で得た生成物(200mg)を製造例3と同様に加水分解して標記化合物(160mg)を得た。融点:156−158℃;IR(Nujol)1735,1655cm-1;MS(ESI) m/z 498(M−H)。
【0097】
製造例13:N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−メトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル
(1)製造例10−(1)で得た生成物(1.41g)を製造例6−(1)と同様にしてN−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−ブロモメチルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル(1.22g)に変換した。IR(Nujol)3317,1740,1653,1623cm-1;MS(APCI) m/z 564(M+H)。
【0098】
(2)上記で得た生成物(231mg)を、n−プロパノールの代わりにメタノールを用いる以外は製造例6−(2)と同様にして、標記化合物(96mg)に変換した。IR(Nujol)3347,1754,1655,1626cm-1;MS(APCI+Q1MS) m/z 514(M+H)。
【0099】
製造例14:N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−メトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン
製造例13で得た生成物(96mg)を製造例3と同様にして加水分解し、標記化合物(62mg)を得た。IR(Nujol)3303,3275,1724,1709,1655,1626cm-1;MS(ESI−Q1MS) m/z 484(M−H)。
【0100】
製造例15:N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−n−プロポキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル
製造例13−(1)で得た生成物を製造例6−(2)と同様にして標記化合物に変換した。IR(Neat)3302,1739,1674,1624cm-1;MS(APCI) m/z 542(M+H)。
【0101】
製造例16:N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−イソプロポキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル
製造例13−(1)で得た生成物を、n−プロパノールの代わりにイソプロパノールを用いる以外は製造例6−(2)と同様にして標記化合物に変換した。IR(Nujol)3332,1756,1653,1625cm-1;MS(APCI+Q1MS) m/z 542(M+H)。
【0102】
製造例17:N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−n−プロポキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン
製造例15で得た生成物を製造例3と同様にして加水分解して標記化合物を得た。IR(Nujol)1735,1660,1624cm-1;MS(ESI) m/z 512(M−H)。
【0103】
製造例18:N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−イソプロポキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン
製造例16で得た生成物を製造例3と同様にして加水分解して標記化合物を得た。IR(Nujol)1735,1655,1624cm-1;MS(ESI−Q1MS) m/z 512(M−H)。
【0104】
製造例19:N−(2−クロロ−6−フルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−エトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル
(1)製造例1−(4)で得た生成物(863mg)と2−クロロ−6−フルオロ安息香酸(456mg)のDMF(15ml)溶液にEDC・HCl(549mg)、HOBt(383mg)および4−メチルモルホリン(0.48ml)を室温下で順次加えた。混合物を室温で14時間攪拌し、水で希釈した。混合物をAcOEtで抽出し、有機層を飽和NaHCO3水溶液、水および食塩水で順次洗浄した。得られた有機層をNa2SO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶出液:n−ヘキサン/AcOEt=1:1)で精製してN−(2−クロロ−6−フルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル(950mg)を得た。融点:101〜104℃;IR(Nujol)2921,2853,1733,1652,1605cm-1;MS(APCI) m/z 516(M+H)。
【0105】
(2)上記で得た生成物(630mg)を製造例1−(6)と同様にして酸化してN−(2−クロロ−6−フルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−ホルミルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル(466mg)を得た。IR(Nujol)3279,1735,1691,1657cm-1;MS(APCI+Q1MS) m/z 514(M+H)。
【0106】
(3)上記で得た生成物(466mg)を製造例1−(7)と同様にして標記化合物(454mg)に変換した。IR(Neat+CHCl3)3289,1737,1663,1605cm-1;MS(APCI) m/z 544(M+H)。
【0107】
製造例20:N−(2−クロロ−6−フルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−エトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン
製造例19で得た生成物(210mg)のTHF(5ml)溶液に0.5N LiOH(1.54ml)と3% H2O2(65μl)を5℃で加えた。混合物を5℃で14時間攪拌し、1N塩酸で酸性とした。混合物を濃縮し、水で希釈し、得られた沈殿物を濾過して集め、水洗して標記化合物(171mg)を得た。融点:182〜184℃;IR(Nujol)3295,1729,1711,1653cm-1;MS(ESI) m/z 514(M−H)。
【0108】
製造例21:N−(2−クロロ−6−フルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−メトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン メチルエステル
(1)製造例2−(4)で得た生成物(49g)を製造例19−(1)と同様にして2−クロロ−6−フルオロ安息香酸でアシル化して、N−(2−クロロ−6−フルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン メチルエステル(58g)を得た。IR(Nujol)1735,1651cm-1;MS(APCI) m/z 519(M+NH4)。
【0109】
(2)上記で得た化合物(58g)を製造例1−(6)と同様にして酸化してN−(2−クロロ−6−フルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−ホルミルフェニル)−L−フェニルアラニン メチルエステル(45.8g)を得た。IR(Nujol)3275,1743,1691cm-1;MS(APCI+Q1MS) m/z 500(M+H)。
【0110】
(3)上記で得た生成物(2.0g)を、エタノールの代わりにメタノールを用いる以外は製造例1−(7)と同様にして標記化合物(1.4g)に変換した。IR(Neat+CHCl3)3285,1745,1665,1605cm-1;MS(APCI+Q1MS) m/z 533(M+NH4),516(M+H)。
【0111】
製造例22:N−(2−クロロ−6−フルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−メトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル
(1)製造例19−(1)で得た生成物(3.29g)をN−(2−クロロ−6−フルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−ブロモメチルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル(2.91g)に、製造例6−(1)と同様にして変換した。IR(Neat+CHCl3)3315,1735,1662,1603cm-1;MS(APCI) m/z 582,580,578(M+H)。
【0112】
(2)上記で得た生成物(250mg)を、エタノールの代わりにメタノールを用いる以外は製造例2−(7)と同様にして標記化合物(190mg)に変換した。IR(Nujol)1736,1659cm-1;MS(APCI) m/z 530(M+H)。
【0113】
製造例23:N−(2−クロロ−6−フルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−メトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン
製造例22で得た生成物(130mg)を製造例3と同様に加水分解して標記化合物(100g)を得た。融点:170〜175℃;IR(Nujol)1720,1680cm-1;MS(ESI) m/z 500(M−H)。
【0114】
製造例24:N−(2−クロロ−6−フルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−n−プロポキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル
製造例22−(1)で得た生成物を、エタノールの代わりにn−プロパノールを用いる以外は、製造例2−(7)と同様にして標記化合物に変換した。IR(Neat+CHCl3)1737,1667cm-1;MS(APCI) m/z 558(M+H)。
【0115】
製造例25:N−(2−クロロ−6−フルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−イソプロポキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン エチルエステル
製造例22−(1)で得た生成物を、エタノールの代わりにイソプロパノールを用いる以外は、製造例2−(7)と同様にして標記化合物に変換した。IR(Neat+CHCl3)3305,1737,1665,1605cm-1;MS(APCI) m/z 558(M+H)。
【0116】
製造例26:N−(2−クロロ−6−フルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−n−プロポキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン
製造例24で得た生成物を、製造例3と同様にして加水分解し標記化合物を得た。IR(Nujol)1713,1654cm-1;MS(APCI) m/z 528(M−H)。
【0117】
製造例27:N−(2−クロロ−6−フルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−イソプロポキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン
製造例25で得た生成物を製造例3と同様に加水分解して標記化合物を得た。IR(Neat+CHCl3)3400,3280,1737,1660,1605cm-1;MS(ESI) m/z 528(M−H)。
【0118】
製造例28:N−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−[2,6−ジメトキシ−4−(2−エトキシエチル)フェニル]−L−フェニルアラニン tert−ブチルエステル
(1)L−チロシン tert−ブチルエステル(2.5g)を製造例1−(5)と同様にアシル化して、N−(2,6−ジクロロベンゾイル)−L−チロシン tert−ブチルエステル(4.3g)を得た。融点:177〜178℃;IR(Nujol)1721,1652cm-1;MS(APCI) m/z 427(M+NH4),410(M+H)。
【0119】
(2)上記で得た生成物(4.3g)を製造例1−(2)と同様にして、N−(2,6−ジクロロベンゾイル)−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−L−チロシン tert−ブチルエステル(5.6g)に変換した。融点:92〜93℃;IR(Nujol)1716,1643cm-1;MS(APCI) m/z 559(M+NH4)。
【0120】
(3)上記で得た生成物(4.07g)、2,6−ジメトキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)ベンゼンボロン酸(2.71g)およびEt3N(2.27g)のDMF(100ml)脱気懸濁液にPd(PPh3)4(866mg)を加えた。混合物を80〜90℃で2時間アルゴン下加熱した。得られた混合物をAcOEtで希釈し、水洗し、セライト濾過した。有機層を分離し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(塩基性シリカゲル(Chromatorex−NH、富士シリシア化学株式会社);溶出液:酢酸エチル;ついでシリカゲル;溶出液:酢酸エチル/n−ヘキサン=3:2〜2:1)で精製し、ジエチルエーテルで再結晶してN−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−[2,6−ジメトキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−L−フェニルアラニン tert−ブチルエステル(2.5g)を得た。融点:96〜98℃;IR(Nujol)1727,1645cm-1;MS(APCI) m/z 591(M+NH4)。
【0121】
(4)上記で得た生成物(254mg)を製造例4と同様にしてEtIでアルキル化し、標記化合物(116mg)を得た。IR(Neat+CHCl3)3301,1730,1669cm-1;MS(APCI) m/z 619(M+NH4)。
【0122】
製造例29:N−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−[2,6−ジメトキシ−4−(2−エトキシエチル)フェニル]−L−フェニルアラニン
製造例28で得た生成物(109mg)のCH2Cl2(2ml)溶液に4N HCl−ジオキサン(3ml)を室温下で加えた。混合物を室温で3日間攪拌し、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶出液:n−ヘキサン/AcOEt=1:1)で精製して標記化合物(88mg)を得た。IR(Nujol)3320,3067,1736,1715,1683cm-1;MS(ESI) m/z 544(M−H)。
【0123】
製造例30:N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−[2,6−ジメトキシ−4−(2−エトキシエチル)フェニル]−L−フェニルアラニン tert−ブチルエステル
(1)L−チロシン tert−ブチルエステル(10.0g)を製造例1−(5)と同様にして2,6−ジフルオロベンゾイルクロリドでアシル化して、N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−L−チロシン tert−ブチルエステル(15.9g)を得た。融点:145〜148℃;IR(Nujol)1728,1638cm-1;MS(APCI) m/z 395(M+NH4),378(M+H)。
【0124】
(2)上記で得た生成物(15.9g)を製造例1−(2)と同様にしてN−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−L−チロシン tert−ブチルエステル(21.04g)に変換した。IR(Neat+CHCl3)1732,1658cm-1;MS(APCI) m/z 527(M+NH4)。
【0125】
(3)上記で得た生成物(5.61g)を製造例28−(3)と同様にして、N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−[2,6−ジメトキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−L−フェニルアラニン tert−ブチルエステル(3.54g)に変換した。IR(Neat+CHCl3)3307,1731,1660cm-1;MS(APCI) m/z 559(M+NH4),542(M+H)。
【0126】
(4)上記で得た生成物(250mg)を製造例4と同様にしてEtIでアルキル化し、標記化合物(230mg)を得た。IR(Neat+CHCl3)1731,1675cm-1;MS(APCI) m/z 588(M+NH4),570(M+H)。
【0127】
製造例31:N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−[2,6−ジメトキシ−4−(2−エトキシエチル)フェニル]−L−フェニルアラニン
製造例30で得た生成物(200mg)を製造例29と同様にして加水分解し、標記化合物(161mg)を得た。融点:63〜70℃;IR(Nujol)1737,1660,1624cm-1;MS(APCI) m/z 512(M−H)。
【0128】
製造例32:N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−[2,6−ジメトキシ−4−(2−メトキシエチル)フェニル]−L−フェニルアラニン エチルエステル
(1)製造例1−(2)で得た生成物(43.83g)を製造例28−(3)と同様にしてN−(tert−ブトキシカルボニル)−4−[2,6−ジメトキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−L−フェニルアラニン エチルエステル(38.03g)に変換した。融点:112−114℃。IR(Nujol)3487,3327,1729,1688,1607cm-1;MS(APCI) m/z 491(M+NH4)。
【0129】
(2)上記で得た生成物(3.04g)を製造例1−(4)と同様にして4−[2,6−ジメトキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−L−フェニルアラニン エチルエステル塩酸塩(2.57g)に変換した。IR(Nujol)3400,1730cm-1;MS(APCI) m/z 374(M+H)。
【0130】
(3)上記で得た生成物(2.57g)を製造例1−(5)と同様にして2,6−ジフルオロベンゾイルクロリドでアシル化して、N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−[2,6−ジメトキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−L−フェニルアラニン エチルエステル(2.35g)を得た。融点:115〜117℃;IR(Nujol)3568,3355,1753,1655,1627cm-1;MS(APCI) m/z 514(M+H)。
【0131】
(4)上記で得た生成物(329mg)を製造例4と同様にしてアルキル化し、標記化合物(294mg)を得た。IR(Nujol)3341,1755,1655,1625cm-1;MS(APCI) m/z 528(M+H)。
【0132】
製造例33:N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−[2,6−ジメトキシ−4−(2−メトキシエチル)フェニル]−L−フェニルアラニン
製造例32で得た生成物(187mg)を製造例3と同様にして加水分解し、標記化合物(143mg)を得た。IR(Neat+CHCl3)1739,1667cm-1;MS(APCI) m/z 498(M−H)。
【0133】
参考例1:2,6−ジメトキシ−4−ヒドロキシメチルベンゼンボロン酸
3,5−ジメトキシベンジルアルコール(80g)のTHF(1900ml)溶液にn−BuLi(1.6M ヘキサン溶液、750ml)を−50℃でアルゴン下0.5時間かけて少量ずつ加えた。混合物を室温まで2時間加温し、再度−60℃まで冷却した。混合物に(MeO)3B(200ml)を加え、得られた混合物を室温で加温し、一晩攪拌した。反応混合物にクエン酸(300g)の水(1200ml)溶液を0℃で少量ずつ加えた。水層を分離し、NaClの飽和とし、AcOEtで抽出した。集めたAcOEt抽出液をNa2SO4で乾燥し、減圧濃縮した。結晶性残渣をAcOEtでトリチュレーションし、濾取して標記化合物(75.1g)を得た。融点:92〜98℃;IR(Nujol)3460,3408,3218,1613,1578,1288,1231,1123,1055,960,779cm-1;MS(APCI) m/z 230(M+NH4)。
【0134】
参考例2:2,6−ジメトキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)ベンゼンボロン酸(1)LiAlH4(1.05g)のジオキサン(100ml)溶液に3,5−ジメトキシフェニル酢酸(5.32g)のジオキサン(20ml)溶液を少量ずつ0℃で加えた。混合物を室温下0.5時間攪拌し、50℃で2時間攪拌した。混合物に濃NH4OHを加えて反応を止め、セライト濾過した。濾液を減圧濃縮して粗体の3,5−ジメトキシフェネチルアルコール(5.1g)を得た。IR(Neat)3400,1600cm-1;MS(GC−EI)182(M+),151(M−MeO)。
(2)上記で得た生成物(27.16g)を参考例1と同様にして標記化合物(39.1g)に変換した。
【発明の効果】
本発明の有効成分である化合物[I]は、優れたα4介在細胞接着阻害作用を有する。また、本発明の活性化合物は、ビフェニル環の4'位へのC1-6アルコキシ置換C1-2アルキル基の導入という構造的特徴により、a)代謝安定性、b)血漿蛋白質結合、c)水溶性等が改善され、優れた生体内利用性を示す。さらに、本発明の活性化合物は毒性が低く、医薬として安全性が高い。このため、本発明の医薬組成物は、α4介在細胞接着が関与する疾病の治療に有用である。
Claims (9)
- X1が塩素原子またはフッ素原子;X2が塩素原子またはフッ素原子;およびYがC1-4アルキル基である、請求項2記載の医薬組成物。
- X1が塩素原子またはフッ素原子;X2が塩素原子またはフッ素原子;Qが−CH2−基;Yがメチル基、エチル基またはn−プロピル基;およびCO2Rがカルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、またはtert−ブトキシカルボニル基である、請求項3記載の医薬組成物。
- X1がフッ素原子;X2が塩素原子またはフッ素原子;Qが−CH2−基;およびYがメチル基またはエチル基である、請求項3記載の医薬組成物。
- 有効成分がN−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−エトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン;
N−(2−クロロ−6−フルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−エトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン;
N−(2−クロロ−6−フルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−メトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン;
N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−4−(2,6−ジメトキシ−4−メトキシメチルフェニル)−L−フェニルアラニン;
またはそれらのC1-6アルキルエステル、またはその薬理学的に許容される塩である、請求項1記載の医薬組成物。 - α4介在細胞接着による病態の治療または予防用の、請求項1〜6のいずれかに記載の医薬組成物。
- 該病態がリウマチ関節炎、喘息、アレルギー性疾患、成人呼吸窮迫症候群、AIDS痴呆、アルツハイマー病、心・血管疾患、血栓症または有害な血小板凝集、血栓溶解後の再閉塞、再潅流障害、皮膚炎症性疾患、糖尿病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、胃腸管への白血球浸潤が関与する疾病、上皮組織への白血球浸潤が関与する疾病、膵炎、乳腺炎、肝炎、胆嚢炎、胆管炎、胆管周囲炎、気管支炎、副鼻腔炎、肺の炎症性疾患、サルコイドーシス、骨粗鬆症、変形性関節症、動脈硬化症、腫瘍性疾患、外傷、眼病、シェーグレン症候群、臓器移植後の拒絶反応、脈管内膜過形成、手術後の再梗塞または再狭窄、腎炎、骨髄腫誘発骨吸収、および中枢神経障害から選択される、請求項7記載の医薬組成物。
- 該病態が喘息、アレルギー性疾患、炎症性腸疾患、リウマチ関節炎、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症または臓器移植後の拒絶反応である、請求項7記載の医薬組成物。
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