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JP4230805B2 - クイックシフト圧延機 - Google Patents

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Nippon Steel Corp
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、型鋼の圧延時において、複数の孔型を有する圧延用ロールを備えた圧延機を、圧延ラインに直交する方向へ移動可能にしてなるクイックシフト式圧延機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、型鋼の圧延時おいて、1台の圧延機に組み込まれる圧延用ロールに複数の孔型を備え、圧延の進行に伴い被圧延材の圧延形状に適した孔型の位置にくるように、圧延機を各パス毎に圧延ラインと直角方向に横行移動させて圧延を実施している。この圧延機はクイックシフト圧延機と呼ばれており、該圧延機として例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
図7にその概要を示す。即ち、同図は従来のクイックシフト式圧延機におけるスタンド脚部7の立面図を示すものである。同図を用いその構成について以下に簡単に説明する。
圧延機のスタンド1の脚部7には各々偏心軸3が配設されている。該偏心軸3には、図示していない軸受を介して横行車輪4が各々設けられ、該偏心軸3の回転により該横行車輪4によって、圧延機を浮上・支承させ、圧延機の横行が可能となる。この状態で、圧延機に配設されている図示していない圧延機用の水平移動装置によって圧延機を圧延ラインと直角方向に移動自在にするものである。図中2はスタンドリフトシリンダー、5はロッド、6はアームを示す。
前記の圧延機を使用することにより、圧延機の浮上・支承がコンパクトになり、その分設備費が低減されると共に、メンテナンスが容易になる等、大きな効果を有している。
【0004】
【特許文献1】
特開昭55−147405号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、型鋼の圧延機はその重量が大きく、また圧延時の反力も莫大なものである。従って、圧延スタンド脚部に設けられている横行車輪4の数は、一般に一つのスタンドにおける1脚で、図7に示す如く各々2個ある。従って、1式の圧延スタンドにおいて合計8個の横行車輪4が設けられている。しかしながら、前記特許文献1に開示されている技術内容のものでは下記の課題を有しており、実用的な技術ではない。
【0006】
即ち、前記特許文献1に開示されている横行車輪4は、各々圧延機のスタンド1に偏心軸3を介して直接取り付けられている。ここで、各々の偏心軸3、横行車輪4、軸受け等には、その製作による誤差、また各々の組み立て及び据付には、それに伴う誤差が発生する。従って、それらの誤差を各々の横行車輪4部で同じにすることは不可能に近く、自ずと限界がある。
これにより、前記8個の横行車輪4には、圧延機の移動時、即ち横行車輪4による圧延機のスタンドの浮上・支承において、基礎架台上にあるシフト用のレールとの間において8個分が均等に接触せず、以下の問題が発生する。
【0007】
1)現実的には、8個の横行車輪4のうち3〜4個が前記シフト用のレールに接触することになり、車輪8個で設定していた横行車輪4及びシフト用レールの面圧が倍増する。その結果、前記横行車輪4及びレールには局部的な接触による過大なる荷重による変形が生じ、摩耗も早く寿命が短くなる。
2)スタンドリフトシリンダー2は一対の圧延機に4本設けられており、該シリンダー2の同調動作が油圧フロコンのみで制御しており、瞬間的には4本のシリンダーは個別にスタンドリフトしてしまい、各横行車輪4には設定以上の高い荷重が作用し、シフトレールの異常摩耗・破損を引き起こす。
【0008】
本発明は、かかる前記従来技術の課題に鑑み、圧延機の移動時における圧延機スタンドの浮上・支承を全ての横行車輪4による極力均等な接触状態で行うことができ、横行車輪・シフト用のレールの異常摩耗、破損を皆無とし、その分メンテナンスを大幅に減少させるシフト圧延機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は以下の構成を要旨とする。即ち、
複数の孔型を有する圧延用ロールを備えた圧延機を、圧延ラインに直交する方向へ横行移動可能にしてなるクイックシフト式圧延機において、前記圧延機の各々のスタンド脚部に偏心軸を配設し、該偏心軸に、2つの横行車輪を有するボギー台車を揺動自在に設け、前記ボギー台車の下部位置にあるスタンドにスタンド支持ブロックを設け、前記偏心軸の回転により前記ボギー台車を昇降し、該ボギー台車の下降時に、該ボギー台車の揺動により該ボギー台車が備える2つの横行車輪を同時にシフトレールに接地させ当該接地させた横行車輪で前記圧延機のスタンドを浮上させ圧延機を横行可能にしてなることを特徴とするクイックシフト式圧延機である。
上記クイックシフト式圧延機は、圧延ラインを挟んで対向する前記圧延機の各スタンド脚部に設けてなる偏心軸駆動用のスタンドリフトシリンダーを連結軸で連結することが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を、図に示す実施例に基づいて詳細に説明する。
図6は本発明のクイックシフト圧延機における全体組立・模式図を示す。圧延機のスタンド1の形状は、図6に示す如く、例えばロの字形のフレームで構成されており、該スタンド1の各々7で示す脚部4箇所には、図1に示すようにスタンド1のリフト手段が配置されている。以下にその構成について説明する。
【0011】
図1は、本発明のクイックシフト式圧延機におけるスタンド脚部の立面図を示し、前記図6における圧延方向から見た図である。同様に図4は図1のA−A矢視・立面図を示し、前記図6におけるスタンドシフト方向から見た図である。図2は前記図1のB−B矢視・立面図を、また図3は本発明における偏心軸の回転に伴う作用図を各々示す。
【0012】
図示していない複数の孔型を有している圧延ロールが設けられている圧延機の各々のスタンド1の脚部7には、図2にその詳細を示す軸受12を介して偏心軸3が各々設けられている。該偏心軸3には、図4にその側面形状が示されているボギー台車9が設けられている。前記各々のボギー台車9には、図4にその側面形状が示されている横行車輪4が、ボギー台車に設けられている図示していない軸受を介して各々2個設けられている。
【0013】
前記偏心軸3の軸端には、13の偏心軸駆動用アームが取り付けられており、偏心軸駆動用アーム13は、2のスタンドリフトシリンダーの進退により回転することが可能である。図1に示すように、8は圧延ラインを挟んで、対向して配置されているスタンドリフトシリンダー2を連結している連結軸であり、この連結軸8により、対向するスタンドリフトシリンダー2の進退動作を同一ならしめることができ、その結果、図1に示す左右の偏心軸3の回転を同一にすることができる。
【0014】
前記ボギー台車9の下部位置にあるスタンド1部分には、スタンド支持ブロック11が設けられており、該支持ブロック11の下面にはライナー14が取り付けられている。図1において、10は前記偏心軸駆動用アーム13の回転時のストッパーであり、これにより、前記スタンドリフトシリンダー2の進退により回転する偏心軸駆動用アーム13の回転範囲が規制されている。15は、圧延機のスタンド1が横行移動する場合の横行車輪4用のシフトレールを示す。
以上が本発明のクイックシフト圧延機の主要部構成である。
【0015】
続いて図3を用い、本発明のクイックシフト圧延機の一連の動きについて説明する。同図において、偏心軸3は、図示していない前記偏心軸駆動用アーム13の回転及びストッパー10により、図中の矢印の範囲である60°の範囲を回転する。この回転範囲60°の範囲を偏心軸3が回転することによって、該偏心軸3に設けられ、2個の横行車輪4を有しているボギー台車は、上下に10mmの範囲を昇降する。
【0016】
即ち、偏心軸3が図中の水平線位置である回転角の場合、前記ボギー台車9の下部に配設されているライナー14が、シフトレール15と接地している状況である。
偏心軸3がこの状態から図中上方へ回転を始めると、前記偏心軸3に取り付けられているボギー台車9は、揺動自在の状態を維持しつつ上昇を初め、図中の上30°の位置で回転を終了する。この状態は、圧延機のスタンド1の自重が、ボギー台車9→スタンド支持ブロック11→ライナー14を経て、シフトレール15にて支持されており、型鋼の圧延状態を示しているものであり、横行車輪4は、シフトレール15からは上部に空間を有して退避している。
【0017】
他方、図3において、偏心軸3が前記水平状態から図中下方へ回転を始めると、前記偏心軸3に取り付けられているボギー台車9は、揺動自在の状態を維持しつつ下降を初め、図中下30°の位置で回転を終了する。この工程の間、前記横行車輪4は前記揺動・下降するボギー台車9に設けられている。従って、各々のスタンド脚部に設けられている偏心軸3、横行車輪4、軸受での製作誤差、また組み立て及び据付誤差が生じていても、前記ボギー台車9の揺動により、2つの横行車輪4は同時にシフトレール15に接地し、片当たりすることがない。従って、前記横行車輪4による圧延スタンドの浮上時には、シフト用レールと該横行車輪4とは部分的に接触することがなく、それに伴い両者の局部摩耗、破損などの発生を防止することができる。
【0018】
さらに前記の如く、圧延ラインを挟んで対向して配置されているスタンドリフトシリンダー2を連結している連結軸8の作用により、対向するスタンドリフトシリンダー2の進退動作を同一ならしめることができ、その結果、図1に示す左右の偏心軸3の回転を同一にすることができ、これにより、対向するスタンドの脚部に設けられているシフト手段に、製作誤差、組み立て及び据付誤差等が生じても、前記横行車輪4による圧延スタンドの浮上時には、シフト用レールと該横行車輪4とは部分的に接触することがなく、それに伴い両者の局部摩耗、破損などの発生を防止することができる。
【0019】
続いて図5及び図6を用い、本発明のクイックシフト圧延機における他の実施例について説明する。図5は前記図1のA−A矢視・立面図を示し、図6は、本発明のクイックシフト圧延機における全体組立て・模式図を示す。
前記したロ字型形状を有するスタンド1の脚部7の2箇所に設けられる偏心軸を、偏心軸連結部材17で連結する構造を示す。
このような構成にすることにより、各々の偏心軸駆動用アーム13を回転駆動する4個のスタンドリフトシリンダー2は、圧延方向には前記偏心軸連結部材で、圧延ラインと直角方向には連結軸8にて、各々機械的に連結される。従って、4個のスタンドシフトシリンダーの同調が確実に可能となり、これにより、更に横行車輪4とシフト用レールとの片当たりが無くなり、両部材の摩耗・破損が低減される。
【0020】
【発明の効果】
クイックシフト式圧延機のシフト時、圧延スタンドの浮上・支承を全ての横行車輪での均等な接触状態で行うことができ、横行車輪・シフト用レールの摩耗・破損が減少し、メンテナンス費用を大幅に削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクイックシフト式圧延機におけるスタンド脚部の立面図を示す。
【図2】図1のB−B矢視・立面図を示す。
【図3】本発明における偏心軸の回転に伴う作用図を示す。
【図4】図1のA−A矢視・立面図を示す。
【図5】図1のA−A矢視・立面図を示す。
【図6】本発明のクイックシフト圧延機における全体組立・模式図を示す。
【図7】従来のクイックシフト式圧延機における脚足部分の立面図を示す。
【符号の説明】
1:スタンド
2:スタンドリフトシリンダー
3:偏心軸
4:横行車輪
5:ロッド
6:アーム
7:脚部
8:連結軸
9:ボギー台車
10:ストッパー
11:スタンド支持ブロック
12:軸受
13:偏心軸駆動用アーム
14:ライナー
15:シフトレール
16:圧延用ロール
17:偏心軸連結部材

Claims (2)

  1. 複数の孔型を有する圧延用ロールを備えた圧延機を、圧延ラインに直交する方向へ横行移動可能にしてなるクイックシフト式圧延機において、前記圧延機の各々のスタンド脚部に偏心軸を配設し、該偏心軸に、2つの横行車輪を有するボギー台車を揺動自在に設け、前記ボギー台車の下部位置にあるスタンドにスタンド支持ブロックを設け、前記偏心軸の回転により前記ボギー台車を昇降し、該ボギー台車の下降時に、該ボギー台車の揺動により該ボギー台車が備える2つの横行車輪を同時にシフトレールに接地させ当該接地させた横行車輪で前記圧延機のスタンドを浮上させ圧延機を横行可能にしてなることを特徴とするクイックシフト式圧延機。
  2. 圧延ラインを挟んで対向する前記圧延機の各スタンド脚部に設けてなる偏心軸駆動用のスタンドリフトシリンダーを連結軸で連結してなることを特徴とする請求項1記載のクイックシフト式圧延機。
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