JP4227786B2 - 導電性ローラおよび該導電性ローラの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性ローラ及び導電性ローラの製造方法に関し、詳しくは、少量の導電性充填剤の配合により、電気抵抗を低減すると共に、適度な柔軟性を実現し、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置あるいは静電記録装置に用いられる導電性ローラとして好適に用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真複写機や電子写真印刷機等の電子写真装あるいは置静電記録装置は、感光ドラム表面を一様に帯電させ、次に感光ドラムの表面に印刷・複写パターンを露光し静電潜像を形成し、この潜像にトナーを付着させてトナー像を形成して、このトナー像を複写用紙または印刷用紙に転写することにより印刷または複写する機構を有するものである。
【0003】
このような複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置あるいは静電記録装置に用いられる導電性部材としては、感光ドラムの表面を一様に帯電させるための帯電ローラ、トナー像を形成(現像)するための現像ローラ、トナーを供給するための供給ローラ、トナー像を感光体から用紙に転写するための転写ローラ、電子写真装置の画像形成機構の転写ベルトを内側から駆動するための駆動ローラ等の導電性ローラ等が挙げられ、適度の安定した電気抵抗値を有する必要がある。また、適度な柔軟性が要求される場合には、ウレタンフォーム等の発泡ゴムを用いた発泡ローラが用いられている。
【0004】
従来、この種の導電性部材に導電性を付与する方法として、ポリマー中に、金属酸化物の粉末やカーボンブラック等の導電性充填剤を配合した電子導電性ポリマー組成物を用いる方法が挙げられ、種々の提案がなされている。
【0005】
例えば、特開平9−226036号では、発泡体の硬度を下げ、また電気抵抗のコントロールを容易にする目的で、カーボンブラック等の導電性付与剤が配合され、ラテックスを用いて形成された発泡体層を有する半導電性発泡ロールが提案されている。
【0006】
また、特開平9−281758号では、カーボンブラック等の導電性材料を含有したラテックスタイプのゴム発泡体からなる弾性層を有する導電性部材及び電子写真装置が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平9−226036号、特開平9−281758号は、カーボンブラックを配合することで、所望の体積固有抵抗値に調整しているが、ローラの電気抵抗を低減しようとすると、カーボンブラックの配合量を多くする必要が生じ、このカーボンブラックの増量に伴い、硬度が大きくなり十分な柔軟性が得られず、低電気抵抗と柔軟性との両立が図れないという問題がある。
【0008】
このように、カーボンブラック等の導電性充填剤を多量に配合すると電気抵抗を低減できるものの、配合材料自体が硬くなるという問題がある。ゴム材料にもよるが、特に、カーボンブラックを15phr以上配合すると、その傾向が顕著に表れてくる。しかし、カーボンブラックの配合により、電子写真装置の画像形成機構等に用いられる導電性ローラとして必要な導電性を得ようとすると、カーボンブラックを15phr以上配合せざるを得ず、低電気抵抗と適度な柔軟性を実現するのは困難である。
【0009】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、導電性充填剤の配合量を極力抑制しながら、低電気抵抗を実現すると共に、硬度も低く十分な柔軟性を有する導電性ローラを提供することを課題とし、このような導電性ローラを容易に製造可能な導電性ローラの製造方法を提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、電子写真装置あるいは静電記録装置に用いられ、導電性を有する円柱状の芯金と芯金の外周面上に円筒状の導電性を有する弾性層を備えている導電性ローラであって、
前記弾性層が導電性充填剤としてカーボンナノチューブのみを配合したゴムラテックスを用いて形成されたフォームラバーからなり、
上記フォームラバーは、カーボンナノチューブの配合量が1phr〜12phrであることを特徴とする導電性ローラを提供している。
【0011】
本発明者は、鋭意研究の結果、導電性充填剤としてカーボンナノチューブを配合することにより、ごく少量の配合量で、電気抵抗を低減できると共に、硬度も低く十分な柔軟性を有する導電性部材を得られることを見出した。特に、カーボンブラックに比べて、非常に少量で低電気抵抗を実現できるため、硬度の上昇も、より抑制することができることを見出した。
【0012】
カーボンナノチューブとしては、1層構造のシングルウォールナノチューブでも良いし、多層構造のマルチウォールナノチューブでも良く、通常、一般に使用されるカーボンナノチューブを用いることができる。カーボンナノチューブは、フォームラバー中に均一に分散されていることが好ましく、これにより、導電性のばらつきを抑制し、安定した電気性能を得ることができる。なお、柔軟性を損なわない範囲で、その他の導電性充填剤を配合しても良い。
【0013】
上記フォームラバーは、カーボンナノチューブの配合量が1phr〜12phrである。これにより、導電性ローラ等に好適な電気抵抗と硬度を効率良く実現することができる。
上記範囲としているのは、1phrより少ないと電気抵抗の低減効果を得にくくなるためである。一方、12phrより多く配合しても、それ以上電気抵抗を下げるのが難しくなり、電気抵抗低減効果をさらに発揮させにくいためである。
さらに好ましくは2phr〜10phr、より好ましくは4phr〜10phrが良い。なお、ゴムラテックスを用いた場合には、ゴムの重量は、各ラテックスの固形分の重量を指す。
【0014】
上記フォームラバーはゴムラテックスを用いて形成されている。ゴムラテックスを用いると、固形ゴムから得られる発泡体に比べて導電性充填剤の配合量を、より低減することができ、電気抵抗のばらつきを低減することができる。
【0015】
上記フォームラバーは、機械的攪拌により発泡されていることが好ましい。これにより、通常の発泡ゴム体と比較して寸法安定性を向上することができ、発泡セル径の大きさも安定させることができる。具体的には、乾燥空気、窒素等の不活性ガスと、フォームラバーを構成する材料とを機械的に攪拌することで、不活性ガスを材料中に均一に分散させて、発泡体を形成するものである。なお、導電性部材として良好な柔軟性を得るには、発泡倍率は5倍〜20倍が好ましく、発泡セル径(平均径)は10μm〜500μmが好ましく、発泡セルは発泡ゴム体中に均一に存在していることが好ましい。なお、発泡剤や起泡剤等を添加する化学的手段により発泡させても良い。
【0016】
上記フォームラバーの体積固有抵抗値が5.0×102[Ω・cm]〜1.0×1011[Ω・cm]であることが好ましい。これにより、導電性ローラ等として適度な電気性能を得ることができる。
さらには、1.0×103[Ω・cm]〜1.0×109[Ω・cm]が好ましい。
【0017】
アスカー硬度Fが30以下、さらには28以下であることが好ましい。これは、アスカー硬度Fが30より大きいと柔軟性に乏しく、感光体が均一に帯電されず画像ムラを発生しやすいためである。
なお、下限値としては、15以上が好ましく、これより小さいとフォームラバー作製時に不良が発生しやすくなる。
【0018】
上記フォームラバーは、固形分率が60%以上であるラテックスを一般的に得ることができ、柔軟性と強度のバランスがとれるという理由により、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)から選択される1種以上のゴムを主成分としていることが好ましく、これらのゴムは、全ゴム中80重量%以上であるのが良い。
【0019】
その他、上記ゴム以外にも、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム等のゴムを用いることができる。
【0020】
発泡ゴム体は、加硫の安定性という理由により、硫黄加硫により形成されるのが好ましい。硫黄の配合量は0.5phr〜4.0phrであることが好ましい。また、加硫促進剤を配合しても良く、加硫促進剤の配合量は0.5phr〜3.0phrであることが好ましい。
【0021】
本発明の導電性ローラとしては、具体的には、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、駆動ローラ、トナー供給ローラ等の導電性ローラ、給紙ローラ等が挙げられる。特に、芯金と、芯金の外周面上に配置される筒状の弾性層とを備え、弾性層の中空部に芯金が挿入されてなる導電性ローラである。
【0022】
導電性ローラとした場合、弾性層の外周面側に、さらにローラの抵抗調整や、表面保護等のための層を設けて、2層、3層等の複層構造としても良く、要求性能に応じて各層の配合、積層順序、積層厚み等を適宜設定することができる。
【0023】
また、本発明は、上記導電性ローラの製造方法であって、
ゴムラテックスを含有する組成物にカーボンナノチューブが分散した水溶液を混合した後、気体を混入して機械的に発泡させてフォームラバーを得る工程と、
上記フォームラバーを真空引きし、発泡倍率を上げる工程と、
上記発泡倍率が上げられたフォームラバーを冷却する工程と、
上記冷却されたフォームラバーを凝固する工程と、
上記凝固したフォームラバーを加硫する工程とを有することを特徴とする導電性ローラの製造方法を提供している。
【0024】
本発明の製造方法において、上記ゴムラテックスを含有する組成物に、カーボンナノチューブが分散した水溶液を混合することにより、容易に、カーボンナノチューブをフォームラバー中に均一に分散させることができる。
【0025】
上記水溶液の全重量に対して、カーボンナノチューブは20重量部〜50重量部含有させると共に、界面活性剤を0.1重量部〜5.0重量部含有させるのが好ましい。カーボンナノチューブの分散液に含有させる界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等が挙げられ、1種または複数種を用いることができる。これにより、非常にカーボンナノチューブの分散状態が良い水分散体を得ることができ、フォームラバー中に、より均一にカーボンナノチューブを分散させることができる。
【0026】
このように、機械的攪拌による発泡と、真空引きによる2回の発泡を行うことにより、高発泡で柔軟なフォームラバーを作製することができる。また、フォームラバーの真空引きは、作製する導電性部材の形状に応じた種々の形状の容器内で行えば良い。なお、芯金を有する導電性ローラを作製する場合には、芯金が配置される状態で弾性層と芯金とを一体的に作製しても良いし、筒状の弾性層に芯金を挿入して作製しても良い。
【0027】
また、真空度を保った状態で、発泡倍率が上げられたフォームラバーを冷却し、ラテックス中の水分を凍結させて形を固定した後に、炭酸ガスでゴムラテックスを凝固し、加硫成形しているため、非常に寸法精度が良く、非常に柔軟である導電性部材を得ることができる。
【0028】
ゴムラテックスのゴム固形分濃度は、40重量%〜75重量%、さらには45重量%〜70重量%が好ましい。
上記範囲としているのは、40重量%より小さいとラテックス発泡されたラテックス中で、発泡セル(気泡)が十分に安定して存在しにくくなったり、フォームラバーの加工性が低下したりするためである。一方、75重量%より大きいと発泡前にラテックスが凝固し、十分に発泡させにくいためである。なお、ゴムラテックスのゴム固形分の粒径は0.1μm〜5.0μmが好ましい。また、ゴムラテックスには、起泡させるという理由により、オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム等の1種または複数種の界面活性剤を0.1phr〜20phr、さらには0.1phr〜10phr配合するのが好ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施形態の導電性ローラであり、電子写真装置に用いられる導電性ローラ10を示す。導電性ローラ10は、導電性を有する円柱状のステンレス製の芯金2と、芯金2の外周面上に円筒状の導電性を有する弾性層1を備えている。弾性層1の中空部に芯金2が圧入して取り付けられている。
【0030】
弾性層1は、カーボンナノチューブを配合したフォームラバーからなる。具体的には、フォームラバーは、ゴムラテックスを用いて形成されており、SBRラテックス70重量部、NRラテックス30重量部、カーボンナノチューブ3.0重量部、オレイン酸カリウム6.0重量部、非イオン性界面活性剤0.1重量部、コロイダル硫黄2.0重量部、加硫促進剤MZ1.0重量部、加硫促進剤EZ1.0重量部、亜鉛華2.5重量部が配合されている。
【0031】
また、フォームラバーは機械的攪拌により発泡されており、発泡倍率は10.5倍、発泡セルの平均径は180μmである。また、フォームラバーの体積固有抵抗値が1.0×106[Ω・cm]であり、アスカー硬度Fが23である。
【0032】
このように、電子写真装置あるいは静電記録装置に用いられる導電性部材である導電性ローラ10は、導電性充填剤としてカーボンナノチューブを配合したフォームラバーからなる弾性層1を有しており、少量のカーボンナノチューブの配合で低電気抵抗を実現すると共に、低硬度も実現している。よって、現像ローラ、帯電ローラ、カラー複写機あるいはカラープリンタ用の転写ローラ、供給ローラ、駆動ローラ等に好適である。
【0033】
以下、図2を用いて本発明の導電性ローラの製造方法について詳述する。
まず、ゴムラテックスを含有する組成物にカーボンナノチューブが分散した水溶液を混合した後、気体を混入して機械的に発泡させてフォームラバー21を得る。このときの発泡倍率は5倍〜10倍が好ましく、混入ガスとしては、乾燥空気、窒素等の不活性ガスを用いることができる。
【0034】
次に、アルミニウム、アルミニウム合金、SUS、鉄等の金属製あるいはセラミック製の芯金22を断面が円形状のガラス管23に入れると共に、上記のように発泡させたフォームラバー21もガラス管23に入れる。ガラス管23の内径は、表面研摩処理等を考慮して目的とする導電性ローラの弾性層の外径に対応して設定している。芯金22はガラス管23の断面の中心位置で、その内周面23aと垂直に配置し、フォームラバー21は2回目の発泡倍率に応じた高さまでガラス管23内に注入する。この状態で、真空引きして、フォームラバー21を7倍〜20倍に引き伸ばし、発泡倍率を、さらに上げる。
【0035】
ガラス管23の上部のコック24を閉め真空度を保った状態で、上記のように発泡倍率が上げられたフォームラバー21をガラス管23ごと−20℃程度のメタノール等の冷媒25中に浸漬し、フォームラバー21全体を均一に冷却し、ラテックス中の水分を凍結させてフォームラバー21の形を固定する。冷却温度は−10℃〜−40℃が良い。
【0036】
上記のように冷却されたフォームラバー21をさらに真空引きした後、ガラス管23内に炭酸ガスを導入する。その後、炭酸ガスが導入されたガラス管23を室温又は温浴中で10℃〜40℃の条件で放置し、炭酸ガスでゴムラテックス全体を凝固する。
【0037】
上記のように凝固したフォームラバー21を100℃〜130℃、20分〜60分の条件で加硫する。加硫の条件は、ゴム成分、加硫剤等の配合剤の種類や配合比によって異なり、適宜調整される。
【0038】
このように中心に芯金22が配置された状態で、フォームラバー21を加硫成形して得られた円筒形状の弾性層をガラス管23から取り出し、弾性層の長さ方向両端部をカットして導電性ローラ20を得ることができる。なお、必要に応じて、表面を研磨しても良い。
【0039】
これにより、フォームラバーからなる弾性層を有し、電子写真装置あるいは静電記録装置に用いられる導電性ローラを容易かつ高精度で製造することができる。
【0040】
また、カーボンナノチューブが配合されたフォームラバーを得るには、上記ゴムラテックスを含有する組成物に、カーボンナノチューブが分散した水溶液を混合する。カーボンナノチューブと界面活性剤とを含有する水溶液とし予め分散状態の良いカーボンナノチューブの分散溶液を作製しておき、この分散溶液と、ゴムラテックスを含有する組成物を混合すると、ゴム固形分とカーボンナノチューブとが均一に存在する懸濁液を得ることができ、フォームラバー中にカーボンナノチューブを均等に存在させることができる。カーボンナノチューブは従来公知のものを使用することができ、直径や長さは適宜設定することができる。また、上記実施形態以外にも、各種ゴムラテックスを用いることができる。
【0041】
上記製造方法以外にも、従来公知の方法によりカーボンナノチューブが配合された弾性層を有する導電性ローラ等の導電性部材を製造することができる。
【0042】
以下、本発明の導電性ローラの実施例、比較例について詳述する。下記の材料を各配合量にて用い、ゴムラテックスを用いたフォームラバーの基本配合とした。
【0043】
SBRラテックス(SBラテックス0561:JSR製) 70phr
NRラテックス(ハイアンモニア・ラテックス) 30phr
オレイン酸カリウム 6.0phr
非イオン性界面活性剤 0.1phr
コロイダル硫黄(鶴見化学製) 2.0phr
加硫促進剤MZ(大内新興化学製) 1.0phr
加硫促進剤EZ(大内新興化学製) 1.0phr
亜鉛華 2.5phr
アセチレンブラック 変量
カーボンナノチューブ 変量
なお、SBRラテックス、NRラテックスの重量は、各ラテックスの固形分の重量を指す。
【0044】
ラテックス以外は水溶液及び分散液を作り、上記配合の固形分が45重量%の組成物を作成し、ラテックスを安定させるために少量のアンモニア水を加えて配合物を調整した。
【0045】
また、カーボンナノチューブはアーク放電法、レーザーアブレージョン法、触媒CVD法を用いて作成出来るが、本実験では触媒CVD法を用いて作成したMWNT(マルチウォールナノチューブ)を使用した。なお、カーボンナノチューブとはグラフェンシートを筒状にした構造を持ち、それが多層構造になったものがMWNTである。直径10nm〜20nmで、長さ数十μmのものを用いた。
【0046】
また、下記の配合を、ボールミルを用いて8時間回転を5回行って、カーボンナノチューブを均一に分散させた良好な分散状態の分散液を得た。
ノニオン性界面活性剤 1.5重量部
KOH 0.4重量部
水 58.1重量部
MWNT(カーボンナノチューブ) 40.0重量部
【0047】
(実施例1〜実施例5)
上述した基本配合において、導電性炭素源としてカーボンナノチューブを下記の表1に示す各配合量で用いた。
【0048】
(比較例1、2)
上述した基本配合において、導電性炭素源としてカーボンブラックを下記の表1に示す各配合量で用いた。
【0049】
【表1】
【0050】
上記実施例及び比較例の各配合をミキサーで機械的に攪拌し約7倍に発泡させた。その後、内径11mm、長さ400mmのガラス管に泡以外の空気が入らない様に入れ(芯の長さの2/3まで)、外径7mmの芯金を挿入してガラス管の上下を密閉し、上側より真空引きして約1.5倍に引き延ばした。即ち、7×1.5=10.5倍に発泡させた。上部のコックを締め、真空度を一定に保ったまま、このガラス管を−20℃のメタノール中に浸漬しラテックス中の水分を凍結させて形を固定した。その後、再度系内を真空引きした後、系内に炭酸ガスを導入した。その後、ガラス管を室温に放置し、炭酸ガスでラテックスを凝固させた。そして、この後120℃で30分加硫して導電性ローラを得た。
【0051】
上記実施例及び比較例の導電性ローラについて、後述する方法により、アスカー硬度F、体積固有抵抗値、電気抵抗の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0052】
(アスカー硬度F)
アスカーF硬度計を用いて測定した。
【0053】
(体積固有抵抗値の測定)
上記各配合の試験片(130mm×130mm×2mm)を作製し、アドバンテストコーポレーション社製のデジタル超高抵抗微小電流計R-8340Aを用いて、23℃相対湿度55%の恒温恒湿条件下、印加電圧500Vとして、JIS K6911に記載の体積抵抗率(体積固有抵抗値)ρV(Ωcm)を測定した。
【0054】
(電気抵抗値の測定)
温度23℃、相対湿度55%雰囲気下で、図3に示すように、芯金32を通した弾性層31をアルミドラム33上に当接搭載し、電源34の+側に接続した内部抵抗r(10kΩ)の導線の先端をアルミドラム33の一端面に接続すると共に電源34の−側に接続した導線の先端を弾性層31の他端面に接続して通電を行った。
上記電線の内部抵抗rにかかる電圧を検出し、検出電圧Vとした。
この装置において、印加電圧をEとすると、ローラ抵抗RはR=r×E/(V−r)となるが、今回−rの項は微少とみなし、R=r×E/Vとした。
印加電圧を100Vかけたときの導電性ローラの電気抵抗を測定した。
【0055】
表1に示すように、カーボンナノチューブを配合したものはアセチレンブラックを配合したものに比べ少量で電気抵抗を大きく低減できることが確認できた。即ち、電気抵抗を十分に下げても導電性炭素源の配合量が少なくて済み、そのため硬度も低く軟らかくできることが確認できた。
【0056】
具体的には、実施例5と比較例1とを対比すると、導電性炭素源の配合量は共に12phrで同一あるが、電気抵抗は、実施例5がlogΩで4.0と非常に低いのに対して、比較例1はlogΩで9.0と大きくなり、カーボンナノチューブの電気抵抗の低減効果が非常に優れていることが確認できた。また、同一の配合量で比較しても、カーボンナノチューブを用いた実施例5の方が硬度が低かった。
【0057】
また、実施例1と比較例1とを対比すると、電気抵抗は共にlogΩで9.0で同一であるが、この電気抵抗値を実現するのに必要なカーボンナノチューブは実施例1の1.0phrであるのに対し、カーボンブラックは比較例1の12phrである。また、同じ電気抵抗とした時のアスカー硬度Fは、実施例1は21であるのに対し、比較例1は32であり、実施例1の方が軟らくなった。
【0058】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、導電性充填剤としてカーボンナノチューブを配合することにより、ごく少量の配合量で、電気抵抗を低減できると共に、硬度も低く十分な柔軟性を有する弾性層を備えた導電性ローラを得ることができる。特に、カーボンブラックに比べて、非常に少量で低電気抵抗を実現できるため、硬度の上昇も、より抑制することができる。また、導電性充填剤の配合量も減らすことができるので、コスト的にも有利である。
【0059】
また、本発明の製造方法によれば、均一な発泡状態であり、寸法安定性に優れた導電性部材を容易に得ることができる。
【0060】
よって、本発明の導電性ローラは、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置あるいは静電記録装置に用いられる帯電ローラ、現像ローラ、供給ローラ、転写ローラ、駆動ローラ等として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性ローラの概略図である。
【図2】本発明の導電性ローラの製造方法の説明図である。
【図3】導電性ローラの電気抵抗の測定方法の説明図である。
【符号の説明】
1 弾性層
2 芯金
10 導電性ローラ
Claims (6)
- 電子写真装置あるいは静電記録装置に用いられ、導電性を有する円柱状の芯金と芯金の外周面上に円筒状の導電性を有する弾性層を備えている導電性ローラであって、
前記弾性層が導電性充填剤としてカーボンナノチューブのみを配合したゴムラテックスを用いて形成されたフォームラバーからなり、
上記フォームラバーは、カーボンナノチューブの配合量が1phr〜12phrであることを特徴とする導電性ローラ。 - 上記フォームラバーは、機械的攪拌により発泡されている請求項1に記載の導電性ローラ。
- 上記フォームラバーの体積固有抵抗値が5.0×10 2 [Ω・cm]〜1.0×10 11 [Ω・cm]であり、アスカー硬度Fが30以下である請求項1または請求項2に記載の導電性ローラ。
- 上記フォームラバーは、スチレンブタジエンゴム(SBR)および天然ゴム(NR)を全ゴム中80重量%以上の割合で含む請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の導電性ローラ。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の導電性ローラの製造方法であって、
ゴムラテックスを含有する組成物にカーボンナノチューブが分散した水溶液を混合した後、気体を混入して機械的に発泡させてフォームラバーを得る工程と、
上記フォームラバーを真空引きし、発泡倍率を上げる工程と、
上記発泡倍率が上げられたフォームラバーを冷却する工程と、
上記冷却されたフォームラバーを凝固する工程と、
上記凝固したフォームラバーを加硫する工程とを有することを特徴とする導電性ローラの製造方法。 - 上記ゴムラテックスを含有する組成物にカーボンナノチューブが分散した水溶液を混合した後、不活性ガスを混入して機械的に5倍〜10倍に発泡させてフォームラバーを得る工程と、
上記フォームラバーを真空引きし、最終発泡倍率が7倍〜20倍となるように発泡倍率を上げる工程と、
上記発泡倍率が上げられたフォームラバーを−10℃〜−40℃で冷却する工程と、
炭酸ガスを導入することにより上記冷却されたフォームラバーを凝固する工程と、
上記凝固したフォームラバーを加硫する工程とを有する請求項5に記載の導電性ローラの製造方法。
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