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JP4226471B2 - 結合組織増殖因子の分析方法 - Google Patents

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Description

本出願は、2001年9月18日に出願された、米国仮特許出願第60/323,305号の利益を主張する。なお、前記出願は、その全体を引用によって本明細書に援用する。
本発明は、結合組織増殖因子(CTGF)の検出および定量、並びに種々のCTGF関連疾患および障害の診断および検出に関する。
結合組織増殖因子(CTGF)は、繊維芽細胞および他の結合組織細胞または細胞間マトリックスを産生し得る他の細胞における分裂促進因子、走化性因子および細胞間マトリックス誘導因子である。CTGFポリペプチドおよび遺伝子配列は、ヒトを含む多数の種で同定されている(例えば、Ryseckら、(1991) Cell Growth Differ 2: 225-233;2000年5月18日に公開された、国際公開番号WO 00/27868号、およびBradhamら、(1991) J Cell Biol 114: 1285-1294を参照されたい)。ヒトCTGFは、完全長のcDNAに関し、ほぼ130位のヌクレオチドに開始部位を、ほぼ1177位のヌクレオチドにTGA終止部位を持ち、ヌクレオチド1047個のオープンリーディングフレームによってコードされている、349残基からなるポリペプチドである(例えば、米国特許第5,408,040号、およびGenBank受託番号NP001892を参照されたい。)
CTGFは、病理学的に、皮膚および主な器官の繊維症および過剰瘢痕化、癌、全身性硬化症、血管形成、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化、糖尿病腎症および腎性高血圧症などの疾病をはじめとする、結合組織細胞の異常増殖および細胞間マトリックスの過剰沈着がある疾患に関与している(例えば、米国特許第5,408,040号、2001年3月8日に公開された、国際公開番号WO 01/15729号を参照されたい)。さらに、CTGF断片は、ある種の生物活性に関与している(例えば、2000年10月12日に公開された、国際公報第WO 00/35939号;2000年6月22日に公開された、国際公報第WO 00/35936号;米国特許第730 5,876号;Brigstockら、(1997) J Biol Chem 272: 20275-20282;およびBallら、(1998) Biol Reprod 59: 828-835を参照されたい)。
CTGFおよびその様々な生物活性と疾患群に関する情報があるにもかかわらず、CTGF断片を区別・識別してCTGFを確実に検出する方法、定量的にCTGF濃度を検出する方法、および生体サンプル中のCTGF断片を検出する方法は得られていなかった。CTGFを検出する現行法は、例えば、ヘパリンを利用してCTGFポリペプチドを分離、濃縮するか、あるいは、CTGFの種々の断片が区別されないELISAアッセイが含まれている(例えば、Satoら、(2000) J Rheumatology 27: 149-153;Tamantiら、(1998) Biochem Biophys Res Commun 251: 748-752;およびRiserら、(2000) J Am Soc Nephrol 11: 25-38を参照されたい)。
したがって、生体サンプル中のCTGFおよびCTGFの種々の形態(例えば、CTGF断片)の濃度を検出、測定、定量するのに有用なアッセイ系が求められている。特に、CTGFと区別してCTGFの特定断片を選択的に同定する方法、および種々の疾患状態に関与している特定のCTGF断片を同定および定量し得る方法が求められている。
本明細書は、CTGFおよびCTGF断片の検出方法、CTGFおよびCTGF断片の濃度の定量方法、ならびに、CTGFが関連する種々の症状、疾患または障害の予後の診断、検出方法、およびCTGFが関連する種々の症状、疾患または障害の治療効果をモニターする方法を記載する。
一態様では、本発明は、CTGFを検出する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、サンプル中のCTGF N末端断片の存在を検出することを含み、CTGF N末端断片がCTGF C末端断片およびCTGFと区別される。別の実施形態では、本方法は、サンプル中のCTGF C末端断片の存在を検出することを含み、CTGF C末端断片がCTGF N末端断片およびCTGFと区別される。さらなる実施形態では、本方法はサンプル中のCTGFの存在を検出することを含み、CTGFがCTGF N末端およびC末端断片と区別される。
さらに、本発明は、CTGF濃度の定量方法を提供する。一態様では、本方法は、サンプル中のCTGF N末端断片の濃度を定量することを含み、CTGF N末端断片がCTGF C末端断片およびCTGFと区別される。別の態様では、本方法は、サンプル中のCTGF C末端断片の濃度を定量することを含み、CTGF C末端断片がCTGF N末端断片およびCTGFと区別される。さらなる態様では、本方法はサンプル中のCTGF濃度を定量することを含み、CTGFの濃度がCTGF N末端およびC末端断片の濃度と区別される。
ある実施形態では、本方法は、サンプルをCTGF上の領域に特異的に結合する第1試薬と接触させることと、試薬を分離することと、結合しているCTGF濃度を定量することを含む。さらに、本方法は、第1試薬と特異的に結合する第2試薬または第1試薬により結合されている領域とは異なるCTGFの領域に特異的に結合する第2試薬から選択される第2試薬を添加することと、未結合の第2試薬を除去することと、結合している第2試薬の量を定量することをさらに含んでいてもよい。特定の実施形態では、第1試薬および第2試薬は、CTGF、CTGF N末端断片またはCTGF C末端断片の異なる領域に結合する抗CTGF抗体である。他の特定の実施形態では、第1試薬または第2試薬は、場合によっては担体に結合しているヘパリンである。
さらに、本発明は、CTGF関連障害の診断方法を意図する。一実施形態では、本方法は、サンプルを取得することと、サンプル中のCTGF N末端断片の濃度を定量することと、その濃度をCTGF N末端断片の基準濃度と比較することを含み、ここで、サンプル中のCTGF N末端断片の増加量または減少量がCTGF関連障害の存在を示す。さらなる実施形態では、本方法は、サンプルを取得することと、サンプル中のCTGF C末端断片の濃度を定量することと、その濃度をCTGF C末端断片の基準濃度と比較することを含み、ここで、サンプル中のCTGF C末端断片の増加量または減少量がCTGF関連障害の存在を示す。別の実施形態では、本方法は、サンプルを取得することと、サンプル中のCTGF濃度を定量することと、その濃度をCTGFの基準濃度と比較することを含み、ここで、サンプル中のCTGFの増加量または減少量がCTGF関連障害の存在を示す。例えば、サンプル中のCTGF N末端断片の増加は、腎繊維症、肝臓繊維症、心臓繊維症、強皮症および炎症性関節疾患などの繊維症障害を示し得る。
また、CTGF関連障害の予測方法を提供する。一態様では、本方法は、サンプルを取得することと、サンプル中のCTGF N末端断片、CTGF C末端断片またはCTGFの濃度を検出することと、その濃度を基準濃度と比較することを含み、ここで、検出された濃度と基準濃度の差がCTGF関連障害の予測を示す。例えば、基準と比較してサンプル中のCTGF N末端断片濃度の増加により、癌、糖尿病、臓器移植、腹膜透析または心筋梗塞などの疾患の予後不良が示され得る。
また、CTGF関連障害の進行をモニターする方法を提供する。一実施形態では、本方法は、第1の時点で被験体から第1サンプルを取得することと、第2の時点で被験体から第2サンプルを取得することと、第1サンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチドの濃度を第2サンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチドの濃度と比較することを含み、第1サンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチドの濃度と第2サンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチドの濃度の差がCTGF関連障害の進行を示す。また、第1サンプルおよび第2サンプル中のCTGF C末端断片の濃度またはCTGFの濃度を比較する類似の方法を検討する。
さらに、本発明は、CTGF関連障害の治療効果をモニターする方法に関する。種々の実施形態において、本方法は、CTGF関連障害があり、かつその障害の治療を受けている被験体からサンプルを取得することと、サンプル中のCTGF、CTGF N末端断片、またはCTGF C末端断片の濃度を定量することと、CTGF、CTGF N末端断片、またはCTGF C末端断片の濃度を基準濃度と比較することを含み、サンプル中で検出された濃度と基準濃度の差がCTGF関連障害の治療の治療効果を示す。さらなる態様では、基準濃度は、治療の開始の早期時点で、あるいは治療開始前に、同一被験体から得られたサンプル中のCTGF、CTGFのN末端断片、またはCTGFのC末端断片の定量によって得られる。
上述の方法のいずれにおいても、サンプルは任意の供給源から取得することができる。一態様では、サンプルは哺乳動物から得られ、特定の一実施形態では、哺乳動物はヒトである。一実施形態では、サンプルは、尿または血漿などの体液であり得る。さらに、CTGFの検出または定量方法は、添加マーカーの検出および定量と組み合わせて、被験体の疾患の診断、予測などをさらに確認することができる。例えば、CTGF N末端断片の定量と組み合わせて尿中のアルブミン排出率を測定することにより、腎臓病をさらに確認することができる。
さらに、本発明は、CTGFの濃度の存在を検出または定量する際に使用するキットを供給する。例えば、キットを用いて、CTGF関連障害を診断することができる。ある実施形態では、キットは、CTGF、CTGF N末端断片またはCTGF C末端断片と特異的に反応する少なくとも1種の第1試薬と、CTGF、CTGF N末端断片、CTGF C末端断片、または第1試薬と複合体を形成し得る、標識化された少なくとも1種の第2試薬を含む。ある特定の実施形態では、第1試薬および第2試薬は、CTGF、CTGFのN末端断片またはCTGFのC末端断片の異なる領域へ結合する抗CTGF抗体である。他の特定の実施形態では、第1試薬または第2試薬は、場合によっては担体に結合しているヘパリンである。特定の実施形態では、第2試薬は、第1試薬に結合するCTGF、CTGF N末端断片またはCTGF C末端断片と競合する。
さらに、本発明は、CTGF、CTGF N末端断片、またはCTGF C末端断片の濃度に変化をもたらす化合物のスクリーニング方法を検討する。ある態様では、本方法は、サンプルを取得することと、サンプル中のCTGF、CTGF N末端断片またはCTGF C末端断片の第1の濃度を定量することと、サンプルを化合物と接触させることと、CTGF、CTGF N末端断片またはCTGF C末端断片の第2の濃度を測定することと、第1の濃度と第2の濃度とを比較することを含み、第1の濃度と第2の濃度の差がCTGF、CTGF N末端断片またはCTGF C末端断片の濃度に変化をもたらす化合物を示す。
さらに、本発明は、CTGF関連障害の傾向を確認する方法に関する。ある態様では、本方法は、サンプルを取得することと、サンプル中のCTGF N末端断片、CTGF C末端断片またはCTGFの濃度を定量することと、サンプル中のN末端断片、C末端断片、またはCTGFの濃度を基準濃度と比較することとを含み、サンプル中のCTGFのN末端断片、CTGFのC末端断片、またはCTGFの増加量または減少量がCTGF関連障害の傾向を示す。
さらに、本発明は、特定の障害がCTGFと関係しているかどうかを検出する方法、すなわち、CTGF関連障害を確認する方法に関する。ある実施形態では、本発明は、特定の障害がある被験体から第1サンプルを取得すること、サンプル中のCTGF N末端断片、CTGF C末端断片またはCTGFの濃度を定量することと、その濃度を非疾患の基準濃度と比較することを含み、第1サンプル中の濃度と非疾患の基準濃度の差がCTGF関連障害の存在を示す。障害は、CTGF N末端断片、CTGF C末端断片またはCTGFの濃度の増加と関連しているものがあり、あるいは、CTGF N末端断片、CTGF C末端断片またはCTGFの濃度の低下と関連しているものもあり得る。
本発明の構成要素および本方法について記載する前に、本発明は、記載されている特定の方法、プロトコル、細胞系、アッセイ、および試薬に限定されるものではなく、これらは変更が可能であることを理解されたい。また、本明細書で用いられている用語は、本発明の特定の実施形態を記載するものとし、添付の特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定するものでは全くないことも理解されたい。
本明細書および特許請求の範囲で用いられている、単数形(a、anおよびthe)には、特に明記しない限り、複数の言及が含まれることに注意されたい。したがって、例えば、「断片」という用語には複数のかかる断片が含まれ、「抗体」という用語には1種または複数の抗体、および当業者に周知の同等物等の用語が含まれる。
特に断りのない限り、本明細書に用いられる技術的・科学的用語はすべて、本発明が属する当該技術分野の当業者によって理解されるのと同一の意味を有する。本明細書に記載されているものに類似する、または等しいすべての方法および物質は、本発明の実施または試験に用いることができるが、好ましい方法、装置および物質についてここに記載する。本明細書に引用されているすべての刊行物は、本発明と関連して用いられ得る刊行物中に報告されている方法、試薬およびツールを記載および明示する目的で、それら全体を引用により本明細書に援用する。しかし、本発明が先発明によるかかる開示に先行する資格がないということを認めていると解釈されるべきではない。
本発明の実施は、特段の記載のない限り、当該技術分野内の化学、生化学、分子生物学、細胞生物学、遺伝学、免疫学および薬学の従来法を用いる。かかる技術は文献中で完全に説明されている。例えば、Gennaro (1990) Remington's Pharmaceutical Sciences,18th ed. , Mack Publishing Co.;Colowickら、Methods In Enzymology, Academic Press, Inc.;WeirおよびBlackwell (1986) Handbook of Experimental Immunology, Vols. I-IV, Blackwell Scientific Publications;Maniatisら、(1989) Molecular Cloning : A Laboratory Manual, 第2版, Vols. I-III, Cold Spring Harbor Laboratory Press;Ausubelら、(1999) Short Protocols in Molecular Biology, 第4版, John Wiley & Sons;Reamら、(1998) Molecular Biology Techniques: An Intensive Laboratory Course, Academic Press);NewtonおよびGraham (1997) PCR (Introduction to Biotechniques Series), 第2版, Springer Verlag)を参照されたい。
定義
「結合組織増殖因子」または「CTGF」は、天然物、合成物、半合成物、または組換え体は問わず、任意の種(特に哺乳類の種、例えば、ラット、ウサギ、ウシ、羊、ブタ、マウス、ウマ、および特にヒトの種)、ならびに任意の供給源由来の実質的に精製されたCTGFのアミノ酸配列を意味する。
一態様において、「結合組織増殖因子」または「CTGF」は、CTGFのN末端断片の少なくとも一部分、およびCTGFのC末端断片の少なくとも一部分を含むポリペプチド配列を意味する。
CTGFに関して用いられる「N末端断片」および「N断片」という用語は、CTGFポリペプチドまたは任意の変異体のアミノ末端部分、またはその断片に由来する配列を含むすべてのポリペプチドを意味する。CTGF N末端断片は、最初のメチオニン残基からシステイン非含有「ヒンジ」領域までのCTGFの全部または一部を含み得るか、あるいは含まない。さらに、CTGF N末端断片は、インシュリン増殖因子結合タンパク質モチーフおよび/またはvon Willebrand C型ドメインの全部または一部を含み得るか、あるいは含まない。さらに、CTGFのN末端断片は、システイン非含有領域の全部または一部を含み得るか、あるいは含まない。さらに、CTGFのN末端断片は、上に定義した任意の先のCTGF N末端断片内に含有されている任意の15個以上の隣接するアミノ酸であり得る。
一態様では、CTGFの「N末端断片」または「N断片」は、ヒトCTGFのアミノ末端部分由来のポリペプチド配列を意味する。かかる断片は、配列番号2のアミノ酸残基1〜アミノ酸残基約198の全領域、配列番号2のアミノ酸約23〜アミノ酸約198の全領域を含み得る。ヒンジ領域内のN末端断片の境界は、配列番号2に定められた幾つかのプロテアーゼ切断部位のうちの一部位(例えば、配列番号2の残基179と180の間、残基182と183の間、および残基188と189の間のキモトリプシン切断部位;配列番号2の残基183と184の間、および残基196と197の間のプラスミン切断部位;および配列番号2の残基169と170の間の骨形態形成タンパク質-1切断部位)によって、場合によっては定められ得る。さらに、ヒトCTGFのN末端断片は、配列番号2のアミノ酸27からアミノ酸97の領域、配列番号2のアミノ酸103からアミノ酸166の領域、または配列番号2のアミノ酸167からアミノ酸198の領域の全部または一部を含み得るか、あるいは含まない。さらに、ヒトCTGFのN末端断片は、上に定義した任意の前述のCTGF N末端断片内に含有されている任意の15個以上の隣接するアミノ酸であり得る。
特定の実施形態では、本発明のCTGF N末端断片には、ヒトCTGF(配列番号2)の以下の領域、すなわち、アミノ酸残基23〜アミノ酸残基96(エクソン2によってコードされている);アミノ酸残基27〜アミノ酸残基97(IGF-BPモチーフ);アミノ酸残基97〜アミノ酸残基180(エクソン3によってコードされている);アミノ酸残基103〜アミノ酸残基166(VWCドメイン);対応するCTGFのC末端断片に含まれていないアミノ酸残基167〜アミノ酸残基198(システイン非含有のヒンジ);アミノ酸残基23〜アミノ酸残基180(エクソン2および3によってコードされている);アミノ酸残基27〜アミノ酸残基166(IGF-BPドメインおよびVWCドメイン);およびアミノ酸残基23〜アミノ酸残基198から選択される配列と、異なる種、特に、ラット、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ブタ、マウス、ウマをはじめとする哺乳動物種由来のそのオーソロガス断片が含まれる。
CTGFに関して用いられている「C末端断片」および「C断片」という用語は、CTGFポリペプチド、または任意の変異体、またはその断片のカルボキシ終末部由来の配列を含むすべてのポリペプチドを意味する。C末端断片は、このタンパク質のシステイン非含有のヒンジ領域から末端までのCTGFのすべてまたは一部を含み得るか、あるいは含まない。さらに、CTGF C末端断片は、トロンボスポンジン1型ドメインおよび/またはシステインノートモチーフの全部または一部を含み得るか、あるいは含まない。さらに、CTGFのC末端断片は、上に定義した任意の前述のCTGF C末端断片内に含有されている任意の15個以上の隣接アミノ酸であり得る。
一態様では、「C末端断片」または「C断片」は、ヒトCTGFのカルボキシ末端部由来のポリペプチド配列を意味する。かかる断片は、配列番号2のアミノ酸残基181〜アミノ酸残基349の全領域を含み得る。ヒンジ領域内のC末端断片の境界は、配列番号2に定められた幾つかのプロテアーゼ切断部位(例えば、上に定義されているキモトリプシン、プラスミンおよび骨形成タンパク質-1切断部位)のうちの一部位によって場合によっては定められ得る。さらに、ヒトCTGFのC末端断片は、配列番号2のアミノ酸201〜ミノ酸242、配列番号2のアミノ酸247〜アミノ酸349、配列番号2のアミノ酸248〜アミノ酸349、または配列番号2のアミノ酸249〜アミノ酸346の領域の全部または一部を含み得るか、あるいは含まない。さらに、ヒトCTGFのC末端断片は、上に定義した任意の前述のCTGF C末端断片内に含有された任意の15個以上の隣接アミノ酸であり得る。
特定の実施形態では、本発明のCTGF C末端断片には、ヒトCTGF(配列番号2)の以下の領域、すなわち、アミノ酸残基181〜アミノ酸残基251(エクソン4によってコードされている);アミノ酸残基201〜アミノ酸残基242(トロンボスポンジン1型モチーフ);アミノ酸残基252〜アミノ酸残基349(エクソン5によってコードされている);アミノ酸残基249〜アミノ酸残基346(システインノットドメイン);対応するCTGFのN末端断片に含まれていないアミノ酸残基167〜アミノ酸残基198(システイン非含有のヒンジ)の一部;アミノ酸残基181〜アミノ酸残基348(エクソン2および3にコードされている);アミノ酸残基201〜アミノ酸残基346(TP1ドメインおよびCKドメイン);アミノ酸残基247〜アミノ酸残基348;ならびにアミノ酸残基248〜アミノ酸残基348と、異なる種、特に、ラット、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ブタ、マウス、ウマをはじめとする哺乳動物種由来のそのオーソロガス断片が含まれる。
CTGFの「システイン非含有領域」または「ヒンジ領域」という用語は、ヒトCTGF(配列番号2)のアミノ酸残基約167〜アミノ酸残基約198由来の任意のポリペプチドと、異なる種、特に、ラット、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ブタ、マウス、ウマをはじめとする哺乳動物種由来のそのオーソロガス断片を意味する。
本明細書で用いられている「アミノ酸配列」または「ポリペプチド」または「ポリペプチド類」という3種類の用語は、天然分子または合成分子の、オリゴペプチド、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列、およびその断片を意味する。ポリペプチドまたはアミノ酸断片は、ポリペプチドの少なくとも1つの構造的および/または機能的特性を保持するポリペプチドのすべての部分である。CTGF断片には、CTGFの少なくとも1つの構造的または機能的特性を保持するCTGFポリペプチド配列のすべての部分が含まれる。「アミノ酸配列」が天然のタンパク質分子のポリペプチド配列を意味する場合、「アミノ酸配列」および同等の用語は、アミノ酸配列を当該タンパク質分子に関連している完全な元来の配列に限定することを意図するものではない。
「核酸」または「ポリヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」という用語は、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド配列、またはポリヌクレオチド、あるいはそれらの任意の断片であり、かつ、天然起源または合成起源のDNAまたはRNAを意味する。前記DNAまたはRNAは、一本鎖または二本鎖であってよく、起源が天然または合成であるペプチド核酸(PNA)、または任意のDNA様物質もしくはRNA様物質に対するセンス鎖または非アンチセンス鎖を意味し得る。ポリヌクレオチド断片は、ポリヌクレオチドの少なくとも1種の構造的または機能的特性を保持するポリヌクレオチド配列のすべての部分である。ポリヌクレオチド断片は、可変長であり得る。例えば、60ヌクレオチド長より長いか、少なくとも100ヌクレオチド長、少なくとも1000ヌクレオチド長、または少なくとも10,000ヌクレオチド長である。
「改変」ポリヌクレオチドには、同一コードのポリヌクレオチドまたは機能的に同等のポリペプチドが得られる、欠失、挿入または異なるヌクレオチドの置換が生じているものが含まれる。この定義には、被験体ポリヌクレオチド配列の正常な染色体座以外の座を有する特定のオリゴヌクレオチドプローブにより、あるいは対立遺伝子に対する不適当または予期されないハイブリダイゼーションの欠失を介して、容易に検出可能または不可能な多型性を示す配列が含まれる。
「改変」ポリペプチドは、サイレント変化を生じ、機能的に同等のポリペプチドが得られるアミノ酸残基の欠失、挿入または置換を含有し得る。アミノ酸置換は、コードされたポリペプチドの生物学的活性または免疫学的活性が維持される限り、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性および/または両親媒性における類似性に基づいて慎重に調製することができる。例えば、負荷電アミノ酸にはアスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれ、正荷電アミノ酸にはリジンおよびアルギニンが含まれ、類似の親水性値を有する非荷電の極性の頭基部(head group)をもつアミノ酸には、ロイシン、イソロイシン;バリン;グリシンおよびアラニン;アスパラギンおよびグルタミン、セリンおよびスレオニン;フェニルアラニンおよびチロシンが含まれ得る。
ポリペプチドまたはアミノ酸「変異体」とは、特定のアミノ酸配列の1種または複数のアミノ酸によって改変されているアミノ酸配列である。ポリペプチド変異体は、保存的変化を有し得る。この場合、置換アミノ酸は、置き換えられたアミノ酸に類似した構造的または化学的特性を有している(例えば、ロイシンのイソロイシンによる置換)。また、変異体は非保存的変化を有していてもよい。この場合、置換アミノ酸は、置き換えられたアミノ酸の物性と異なる物性を有している(例えば、グリシンのトリプトファンによる置換)。また、類似のマイナーな変異体には、アミノ酸欠失または挿入、またはその両方が含まれていてもよい。好ましくは、アミノ酸変異体は、特定のポリペプチドのある種の構造的または機能的特性を保持する。アミノ酸残基が置換、挿入または欠失され得ることを判断するガイダンスは、例えば、当技術分野で周知のコンピュータプログラム(例えば、LASERGENEソフトウェア(DNASTAR Inc. , Madison, WI)を用いて確認することができる。
ポリヌクレオチド変異体は、特定のポリヌクレオチド配列に対して好ましくは少なくとも約80%、さらに好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%のポリヌクレオチド配列同一性を有する、特定のポリヌクレオチド配列の変異体である。遺伝コードの縮重により、任意の既知である天然遺伝子のポリヌクレオチド配列に対して最低限の相同性が多少ある、特定のタンパク質をコードする多数の変異体ポリヌクレオチド配列が得られることは当業者に理解されよう。したがって、本発明は、可能な限りのコドン選択に基づいた組み合わせを選択することによって作製され得るポリヌクレオチド配列の各変異体およびあらゆる変異体について検討する。これらの組み合わせは標準のコドントリプレット遺伝コードに従って作製されるが、かかるすべての変異体は具体的に記載されたものとして考慮されたい。
「欠失」は、1種または複数のアミノ酸残基またはヌクレオチドが存在しなくなる、アミノ酸またはヌクレオチド配列の変化である。
「挿入」または「添加」という用語は、天然の分子と比較して、1種または複数のアミノ酸残基またはヌクレオチドが添加された、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの配列の変化をそれぞれ意味する。
本明細書で用いられている「機能的に同等な」という用語は、特定のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの少なくとも1種の機能的かつ/または構造的特性を保持するポリペプチドまたはポリヌクレオチドを意味する。「機能的に同等な」には、特定の機能の実行を作動させる改変を含み得る。「機能的に同等な」という用語は、分子の断片、突然変異体、ハイブリッド、変異体、類似体または化学的誘導体を含むものとする。
「マイクロアレイ」という用語は、基板上に分子(例えば核酸、アミノ酸、抗体など)が任意に配列されたものを意味する。基板は、任意の好適な支持体(例えば、ビーズ、ガラス、紙、ニトロセルロース、ナイロン、または任意の適当な膜等)であり得る。基板には、任意の固定支持体または半固定支持体が含まれ、これに限定されるものではないが、膜、フィルタ、ウエハー、チップ、スライド、ファイバー、ビーズ(磁気ビーズまたは非磁気ビーズを含む)、ゲル、管材料、プレート、ポリマー、微粒子、毛細管などが挙げられる。基板は、コーティング用の表面を提供し、かつ/または核酸、アミノ酸等が結合可能な種々の表面形態(ウェル、ピン、溝、チャンネル、および孔など)を有し得る。
「抗原性」とは、身体へ導入された場合に、物質が免疫反応と抗体産生を刺激する能力を意味する。抗原性の特性を示す作用物質を抗原と称する。抗原作用物質は、これに限定されるものではないが、例えば、タンパク質、リポタンパク質、多糖、核酸、細菌および細菌性成分、ならびにウイルスおよびウイルス性成分などの種々の高分子を含み得る。抗原性断片は、CTGFポリペプチド活性の少なくとも1種の生物学上または免疫学上の態様を保持するCTGFポリペプチドの断片、好ましくは、約5〜15個のアミノ酸長の断片を意味する。
「免疫原性」は、有機体内の免疫反応を誘導する能力に関する。免疫原性の特性を示す作用物質は、免疫原性を示すことを意味する。作用物質は、これに限定されるものではないが、例えば、タンパク質、リポタンパク質、多糖、核酸、細菌および細菌性成分、ならびにウイルスおよびウイルス性成分などの種々の高分子を含み得る。免疫原性作用物質は、かなりの高分子量(通常10kDaよりも大きい)であることが多い。免疫原性断片は、CTGFポリペプチド活性の少なくとも1種の生物学上または免疫学上の態様を保持するCTGFポリペプチドの断片、好ましくは、約5〜15個のアミノ酸長の断片を意味する。
「抗体」という用語は、細胞系または動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ニワトリ、シチメンチョウ、ヤギ、ウマ、ヒト)をはじめとする任意の供給源から得られた免疫グロブリンまたは抗体を意味する。また、抗体は、改変された細胞、またはトランスジェニック植物あるいは、宿主に非内因性の抗体を作らせるように操作させた動物から遺伝学的に得ることができる。抗体は任意のアイソタイプであってよく、IgA、IgD、IgE、IgG-1、IgG-2、IgG-3、IgG-4、またはIgMが挙げられる。さらに、「抗体」という用語には、エピトープの決定基と結合可能な、完全な分子およびその断片(Fab、F(ab')2など)ならびにFv断片が含まれ、また、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体が含まれる。また、抗体は、1種または複数の特有の抗原に結合するキメラ抗体(例えば、二価抗体および三価抗体)を意味する。
CTGFまたはCTGF断片と結合する抗体は、完全なポリペプチドを用いて、または免疫化抗原としての目的の小型ペプチドを含有する断片を用いて調製することができる。動物を免疫化するのに用いられるポリペプチドまたはオリゴペプチドは、RNAの翻訳によって得るか、あるいは化学的合成によって得ることができ、さらに所望ならば、担体タンパク質に結合させることができる。一般に用いられている、ペプチドに化学的に結合された担体には、例えば、ウシ血清アルブミン、チログロブリンおよびキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)が挙げられる。
「障害」および「疾患」という用語は、包括的に用いられ、正常から逸脱した任意の疾患を意味する。
本明細書に用いられる「CTGF関連障害」という語は、異常または不適当なCTGFの発現または活性に関連している症状および疾患を意味する。CTGFの異常発現は、細胞増殖性障害(例えば、内皮細胞増殖または遊走、腫瘍様増殖、一般的な組織瘢痕化、および細胞間マトリックスの不適当な沈着を特徴とする種々の疾患によって生じるようなもの)に関連している。
CTGF関連障害には、これに限定されるものではないが、アテローム性動脈硬化、緑内障など;ならびに、急性リンパ芽球性白血病、皮膚線維腫、乳癌、乳癌線異形成、血管脂肪腫、血管平滑筋腫、癒着性癌、前立腺癌、卵巣癌、結腸直腸癌、膵癌、胃腸系癌、および肝臓癌、ならびに他の腫瘍増殖および転移をはじめとする癌などの疾患において中心的役割を果たす血管形成および他の増殖性プロセスに関する障害が含まれる。
さらに、CTGF関連障害には、これに限定されるものではないが、器官(腎臓、肺、肝臓、眼、心臓、皮膚など)の慢性または急性繊維症をはじめとする、局所性または全身性の繊維症による過度の瘢痕化が含まれる。かかるCTGF障害は、例えば、心筋反応性繊維症または心筋梗塞またはうっ血性心不全の後の心臓再構築をはじめとする心臓繊維症;間質性肺線維症などをはじめとする肺障害;腹膜透析(例えば、連続的携行式腹膜潅流(CAPD))を含む透析に関連している繊維症;硬膜外繊維症;腎線維症;肺線維症;間質性線維症;皮膚線維症;および外科手術、化学療法、放射線処理、同種異系移植片拒絶反応、慢性および急性移植拒絶反応(例えば、腎臓、肝臓または他の器官)を含む急性または反復性外傷による繊維症などの種々の繊維症;閉塞性細気管支炎(例えば、肺移植後の閉塞性細気管支炎);ならびに、例えば、疾患または傷が原因の炎症および感染などの障害が含まれる。
さらに、CTGF関連障害には、これに限定されるものではないが、全身性硬化症、硬皮症、ケロイド、肥大化瘢痕、および他の皮膚疾患および皮膚症状をはじめとする、硬化症状;腹膜透析に随伴するアテローム性動脈硬化を含む、糖尿病に随伴するアテローム斑およびアテローム性動脈硬化に関する疾患などのアテローム性動脈硬化;動脈硬化症;慢性関節リウマチ、骨関節炎および他の関節炎症性疾患等をはじめとする関節炎;間質性線維症をはじめとする間質性疾患;クローン病;炎症性腸疾患;例えば、増殖性硝子体網膜症、糖尿病性非増殖性網膜症、増殖性糖尿病性網膜症をはじめとする網膜症、および黄斑変性(年齢に関係する疾患および若年性(スタガルト)疾患、および色素上皮剥離;糖尿病腎症、IgAが関連している腎症、毒性による腎症等をはじめとする腎症;ならびに、化学的毒性細管破壊と関連している疾患が含まれる。
本明細書に記載されている「増殖性」プロセスおよび障害には、組織内細胞群の異常増殖が原因である細胞の連続的増殖によって特徴づけられる病理学的状態が含まれる。細胞群は必ずしも形質転換された細胞、腫瘍形成細胞、または悪性細胞でないが、同様に正常細胞が含まれ得る。例えば、CTGFは、動脈壁の内膜層中の増殖性病変を誘発することにより病理学的に影響を及ぼし、アテローム性動脈硬化が生じるか、あるいは新血管新生を刺激し得る。
「癌」は、無制御の異常な細胞増殖を含む、組織のすべての自律的増殖を意味し、または、浸潤によって局所的に、かつ転移によって全身的に拡大する潜在的に無制限に増殖するすべての悪性腫瘍を意味する。また、癌は、癌によって特徴付けられるすべての異常状態を意味する。
「線維症」という用語は、線維組織の異常プロセッシング、または類線維腫もしくは線維性変性を意味する。線維症は種々の損傷または疾患によって生じ得る。また、種々の器官の移植に関係する慢性移植拒絶反応により生じ得ることが多い。線維症は、一般には、細胞間マトリックス成分の異常な産生、集積または沈着が含まれ、例えば、コラーゲンとフィブロネクチンの過剰産生および沈着増加が挙げられる。その最も広い意味で本明細書に用いられている「線維症」は、細胞間マトリックスタンパク質のすべての過剰産生または沈着を意味する。線維症には多数の例があり、心臓のポンプ能力を損なう、心臓発作後の瘢痕組織の形成が挙げられる。糖尿病は、腎臓機能の進行性障害に至る、腎臓中の損傷/瘢痕を引き起こす場合が多い。さらに外科手術の後では、瘢痕組織が内臓間に生じ、拘縮、疼痛、場合によっては、不妊を引き起こし得る。心臓、腎臓、肝臓、眼および皮膚などの主な器官は、他の疾患に一般に関連している慢性瘢痕になりやすい。過形成性瘢痕(悪性でない組織塊状)は、やけどおよび他の外傷によって生じた線維症の共通形状である。さらに、多数の他の線維増殖性障害があり、硬皮症、ケロイドおよびアテローム性動脈硬化(前記疾患は一般的な組織瘢痕にそれぞれ関係している)、皮膚の腫瘍様増殖、あるいは血液輸送能力が損なわれる血管の持続性瘢痕が挙げられる。
「サンプル」という用語は、その最も広い意味において本明細書で用いる。サンプルは任意の供給源、例えば、これに限定されるものではないが、唾液、血液、尿、血清、血漿、硝子体液、関節液、脳脊髄液、羊水および器官組織(例えば、バイオプシーを実施した組織)をはじめとする体液、分泌物、組織、細胞、または培養物中の細胞;染色体、細胞器官または細胞から単離された他の膜;ゲノムDNA、cDNA、RNA、mRNA等;ならびに、除去された細胞または組織、あるいはかかる細胞または組織のブロット(blot)またはインプリントに由来し得る。サンプルは、例えば、ヒト被験体、非ヒト哺乳類被験体等の任意の供給源に由来し得る。さらに、疾患の任意の動物モデルに由来したサンプルを検討する。サンプルは溶液形態であってもよく、あるいは、例えば、基板に固定または結合させることができる。サンプルは、CTGFまたはCTGF断片の存在について試験するのに好適である任意の物質、あるいはCTGFまたはその断片に結合する分子をスクリーニングするのに好適である任意の物質を意味し得る。かかるサンプルを取得方法は、当業者の技術レベルの範囲内である。
「ハイブリダイゼーション」という用語は、核酸配列が塩基対によって相補的配列に結合する方法を意味する。ハイブリダイゼーション条件は、例えば、プレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーション溶液中の塩またはホルムアミドの濃度によって、あるいはハイブリダイゼーション温度によって定めることができるが、それは当技術分野では周知である。ハイブリダイゼーションは、種々のストリンジェンシーな条件下で生じ得る。
特に、塩濃度を低下させること、ホルムアミド濃度を高めること、あるいはハイブリダイゼーション温度を上昇させることにより、高ストリンジェンシーとすることができる。例えば、本発明の目的において、高ストリンジェンシーな条件下のハイブリダイゼーションは、約37℃〜42℃の約50%のホルムアミドにおいて、低ストリンジェンシーな条件下のハイブリダイゼーションは、約30℃〜約35℃の約35%〜25%のホルムアミドにおいて生じ得る。特に、一般に、ハイブリダイゼーションは、42℃、50%ホルムアミド、5×SSPE、0.3%SDS、および切断、変性させたサケ精子DNA 200/μg/mlの高ストリンジェンシー条件において生じる。
特定のレベルのストリンジェンシーに対応する温度範囲は、当技術分野で知られている方法によって、例えば、対象の核酸のプリン対ピリミジンの比を算出し、それに応じて温度を調節することによりさらに狭めることができる。非特異的シグナルを除くには、例えば、室温または室温より高い温度(60℃を含む)において、最高0.1×SSCおよび0.5%SDSのストリンジェントを高めた条件下でブロットを連続して洗浄することができる。上記範囲および条件の変更は当技術分野で周知である。
本発明の説明
本明細書では、CTGFの特定断片を検出することができ、さらには、CTGFまたは他のCTGF断片を独立して定量することができる知見について述べる。本発明は、生体サンプル中のCTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片の濃度を確実に検出、定量する方法を提供する。さらに、種々の疾患および症状、例えば、糖尿病;肝臓線維症、腎線維症および肺線維症をはじめとする線維症;心筋梗塞;炎症性関節疾患;癌;全身性硬化症;血管形成;動脈硬化症、アテローム性動脈硬化;移植拒絶反応;糖尿病性網膜症をはじめとする種々の眼疾患;局所性および全身性強皮症;腎性高血圧症;ならびに腹膜透析などに関連している疾患等の進行の診断、予測および確定を本明細書に記載されている組成物と方法を用いて達成することもできる。
結合組織増殖因子
結合組織増殖因子(CTGF)は、これまでに報告、開示されている(例えば、米国特許第5,408,040号;Bradhamら、(1991) J Cell Biology 114: 1285-1294を参照されたい)。)CTGFは、分子量が約36〜38kDaのモノマーのポリペプチドである。CTGFは、増殖因子(CTGF Cyr-61、nov)のCCNファミリーと呼ばれる、近年報告されたシステインに富む分泌タンパク質のファミリーの1種であり、異なるモジュールドメイン内に高度に保存されたシステイン残基の存在を特徴とする。これらのドメイン(各ドメインは離れたエクソンによってコードされている)は、種々の細胞間マトリックスタンパク質で確認される保存領域への相同性を示す。特に、CTGF内では、これらのモジュールは、インシュリン様増殖因子結合タンパク質のN末端のシステインに富んだ領域(エクソン2によってコードされている、CTGFのドメイン1);オリゴマー化に関与している、フォンビルブラント因子C型ドメイン(エクソン3によってコードされている、CTGFのドメイン2);細胞付着領域を含有し得、細胞間マトリックスおよび硫酸化複合糖質に結合することに関与していると考えられる、トロンボスポンジンI型モチーフ、(エクソン4によってコードされている、CTGFのドメイン3);ならびに、受容体結合に関与し得る、神経成長因子、トランスフォーミング成長因子β(TGF-β)および血小板誘導増殖因子(PDGF)で確認されたものに類似しているC末端システインノットモチーフ(エクソン5によってコードされている、CTGFのドメイン4)との構造的類似点を有している(Bork (1993) FEBS Lett 327: 125-130)。
CTGFの種々の断片は生物活性を示すことが明らかになっている(例えば、米国特許第5,876,730号;Brigstockら、(1997) J Biol Chem 272: 20275-20282;Ballら、(1998) Biol Reprod 59: 828-835;Steffenら、(1998) Growth Factors 15: 199-213;国際出願第WO 00/35939号;および国際出願第WO 00/35936を参照されたい)。また、妊娠血清、羊水および腹水由来などのヒト体液、ならびに、培養したウシ内皮細胞の馴化培地中のCTGF断片が検出されている(Yangら、(1998) J Clin Endocrinol Metab 83: 2593-2596;Boes ら、(1999) Endocrinology 140: 1575-1580)。
CTGFは、繊維芽細胞、他の結合組織細胞の増殖、走化性、遊走、付着および細胞間マトリックス形成を促進するように作用する。CTGFの異常発現または過剰産生が、主な器官の線維症、線維増殖性疾患および瘢痕をはじめとする繊維症障害を引き起こす経路において主要な機能を果たしていることが根拠として提示されている。CTGFは、例えば、結合組織細胞(例えば、繊維芽細胞、筋繊維芽細胞など)、血管内皮細胞、上皮細胞、ニューロン細胞、血管平滑筋細胞、およびさらに特定化された結合組織細胞(骨細胞、軟骨および他の支持骨格組織など)をはじめとする、種々の細胞タイプに影響を与える(例えば、MoussadおよびBrigstock (2000) Mol Genet Metab 71: 276-292を参照されたい)。
本明細書は、ある状態において、CTGFのある種の断片の濃度が上昇するという知見に関する。特定の態様では、本発明は、ある状態において、CTGFのN末端断片がCTGFまたはCTGFのC末端断片に比べて容易に(例えば体液中などで)検出されることを示す。本発明は、CTGF断片が蓄積するいかなる特定の機序にも限定されるものではないが、N末端断片はタンパク分解を受けにくく、排除または除去されにくく、非特異的結合または吸着されにくいことから、安定性が高い可能性がある。従って、CTGFのN末端断片を検出することにより、このポリペプチドの機序および作用部位を解明するより細かい特異性と再現性が得られる。さらに、本明細書は、異常の濃度のCTGF(特にCTGFのN末端断片)が疾患の存在と疾患の程度の双方に関係し得ることを明らかにするものである。したがって、本発明は、新規で優れた、CTGFおよびCTGF断片発現に関連するある種の疾患の診断、予測および治療モニタリング方法を提供する。
従って、一態様において、本発明は、CTGFの検出(定性的または定量的)に、およびCTGF関連障害の予測、診断および治療のモニタリングにCTGFポリペプチドのN末端断片を使用することに関する。別の態様では、本発明は、CTGFの検出(定性的または定量的)に、およびCTGF関連障害の予測、診断および治療のモニタリングにCTGFポリペプチドのC末端断片を使用することに関する。CTGF、CTGFのN末端断片またはCTGFのC末端断片は、本発明によって提供される多数の方法で検出、確認、定量することができる。
本発明は、ある実施形態において、CTGFのC末端とN末端断片は、目的の断片をコードするポリヌクレオチド配列を突然変異させ、天然では生じないアミノ酸配列を得ることにより構築することができる、CTGFの特定のC末端とN末端断片の変異体であることを検討する。アミノ酸改変は、異なる種のサブユニット(可変位置)において、または高度に保存された領域(定常領域)において異なる部位で作製することができる。かかる位置の部位は、一般に、最初に、保存的選択により(例えば、疎水性アミノ酸を異なる疎水性アミノ酸へ)置換し、次いで、遠位の選択により(例えば、疎水性アミノ酸を荷電アミノ酸へ)置換することによる系で改変することができる。さらには、標的部位に欠失または挿入を行うことができる。
本明細書に記載されているポリペプチド、例えば、CTGFのN末端特異抗体またはCTGFのC末端特異抗体を産生するのに有用なポリペプチドは、当技術分野で知られている多数の方法のいずれかを用いて単離または生成し、CTGFアミノ酸配列の少なくとも一部の所望のN末端またはC末端断片を合成することができる。例えば、ペプチドは、固相法により合成し、樹脂から切り離し、分取高速液体クロマトグラフィーによって精製することができる。合成ペプチドの組成物は、例えば、アミノ酸分析、質量分析またはシーケンシングによって確認することができる。
また、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、CTGFおよびその断片のアミノ酸配列変異体を作製することができる。出発原料として少量の鋳型DNAを用いる場合、鋳型DNA中の対応する領域と配列中わずかに異なる1種または複数のプライマーによって所望のアミノ酸変異体を得ることができる。PCR増幅を行うと、プライマーによって特定化された位置がCTGFまたはその断片をコードするポリヌクレオチド鋳型とは異なるDNA断片産物が多数得られる。このDNA断片産物をプラスミド中の対応する領域に置換して、これにより所望のアミノ酸変異体を得ることができる。アミノ酸変異体を作製するさらなる技術としては、Wellsら(1985, Gene 34: 315)に記載されているカセット突然変異生成技術、および当技術分野で周知の他の突然変異生成技術(例えば、Maniatis, T. ら、(前掲);Ausubel, F. M.ら、(前掲)に一般に記載されている技術)が挙げられる。
本発明の代替実施形態では、当技術分野で周知の化学的方法を用いて、本発明のCTGFポリペプチドのコード配列を全体として、または一部として合成することができる(Caruthersら、(1980) Nucleic Acids Symp Ser 7: 215-233;CreaおよびHorn (1980) Nucleic Acids Res 9: 2331;MatteucciおよびCaruthers (1980) Tetrahedron Letters 21: 719;ならびに、ChowおよびKempe (1981) Nucleic Acids Res 9: 2807-2817を参照されたい)。
CTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片の検出
本発明は、サンプル中のCTGFポリペプチド(例えば、CTGF、CTGFのN末端断片、CTGFのC末端断片)の濃度を検出または定量する方法を提供する。提供する本方法は、ヒトのCTGFポリペプチドの検出および定量に限定されるものではないが、例えば、非ヒト哺乳動物CTGFを検出または定量するなど、他の種由来のCTGFの検出に用いることができる(図16を参照されたい)。例えば、同一種または異種由来の内因性CTGFおよび外因性CTGFをはじめとするCTGFの検出および定量は、CTGF関連障害および他の種々の疾患の動物モデルにおいて有用であり得る。一態様においては、生体サンプル中のCTGFを検出する方法であって、サンプルを取得することと、サンプル中のCTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片に検出すること、を含む方法を提供する。別の態様においては、生体サンプル中のCTGFの濃度を定量する方法であって、サンプルを取得することと、サンプル中のCTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片の濃度を定量すること、を含む方法を提供する(例えば、図1Cを参照されたい)。
一態様においては、本アッセイは、これらのポリペプチドに対して産生される抗体を用いて、CTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片を検出することに基づいている(例えば、図1Aを参照されたい)。また、本アッセイには、核酸ベースのアッセイ(一般には、ハイブリダイゼーションに基づいたアッセイ)、または当技術分野で既知の種々の他のすべてのアッセイも含まれ得る。好ましい実施形態では、本方法は、ポリペプチドに特異的な抗体によって結合される本発明のポリペプチド(例えば、CTGF、CTGFのN末端断片、CTGFのC末端断片)の能力、およびCTGFポリペプチドに結合する本発明のタンパク質に対して産生される抗体の能力によって特徴づけられる。また、本明細書では、当技術分野で標準的なCTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片を検出する別法を検討する。例えば、CTGFまたはCTGF断片と結合する、あるいは相互に作用する任意の作用物質、例えば、ヘパリン、CTGFまたはCTGF断片の受容体、または任意の他のCTGF結着剤を用いることができる。
本発明によれば、種々の免疫測定技術を用いて、サンプル中のCTGFおよびCTGF断片の濃度を検出および定量することができる。一実施形態では、ELISAアッセイを用い、CTGFと異なるCTGF断片の濃度を確認および区別し、特定サンプル中のCTGFの量を異なるCTGF断片の量と比較することができる。ある種の実施形態においては、ELISAを用いて、培養細胞の馴化培地中、ならびに、血液、血清、血漿、腹膜流出液、尿、硝子体液、関節液、脳脊髄液、唾液、CTGFおよびCTGF断片の検出および定量が所望される他の生体サンプル中で確認されたCTGFおよびCTGF断片の濃度を検出、定量、比較することができる。
ある種の態様では、CTGFまたはCTGF C末端断片の検出に比べると、CTGFのN末端断片を検出することにより、改善され感度が高まったCTGFの検出および定量を達成することができる。CTGFのN末端断片を使用すると疾患の程度が検出可能となり、CTGF関連障害の診断、予測および治療効果のモニタリングをより正確に行うことができる。
さらに、本発明により提供される方法は、ポリペプチドのCCNファミリーの任意のメンバー(例えば、CTGF CYR61、Nov、Elm1/WISP-1、HICP/rCOP-1、CTGF-3/WISP-2、およびWISP-3)およびその断片を検出および定量するのに有用であり、かつ、CCNファミリーメンバーに関連している種々の疾患および障害の検出、診断、予測、および治療効果のモニタリングに有用である(例えば、Brigstock (1999) Endocrine Reviews 20: 189-206;およびPerbal (2001) Mol. Pathol. 54:57-79を参照されたい)。
抗体
本発明の好ましい実施形態において、CTGFまたはその断片の発現増加または減少あるいは活性増加または低下に関係している疾患および障害の検出、測定、診断、予測、モニタリング、および評価方法、ならびにその治療方法には、1種または複数のCTGFエピトープと特異的に反応する抗体を使用することが含まれる。
好適な抗体を産生するのに用いられるポリペプチドは、種々の方法、例えば、合成ペプチドの作製、CTGFの酵素による切断(例えば、キモトリプシン処理)、CTGFの化学的切断、CTGFまたはその断片の組換え発現、あるいはヒトまたは他の哺乳動物源からの単離によって作製することができる。したがって、CTGFを発現する細胞(例えば、MG-63細胞)、CTGFコード配列でトランスフェクトされた宿主細胞、精製されたCTGF、CTGFのC末端断片、CTGFのN末端断片、あるいはそのエピトープは、CTGFの所望の領域に特異的な抗体を産生するよう動物宿主中の免疫反応を誘導するための免疫原として用いることができる。組換え的に作製されるポリペプチドについては、好適な発現ベクターおよび系は、当業者に既知であり、例えば、Maniatisら、(前掲)およびAusubelら、(前掲)に記載されているように、真核生物および原核生物の発現系が含まれる。
標的ポリペプチド(例えば、CTGFのN末端断片またはCTGFのC末端断片)を評価し、高免疫原性領域を決定することができる。分析法およびエピトープ選択は当技術分野で周知である(例えば、Ausubelら、(前掲)を参照されたい)。また、分析と選択は、例えば、LASERGENE NAVIGATORソフトウェア(DNASTAR; Madison, WI)などの種々のソフトウェア・パッケージによって行うことができる。抗体産生を誘導するのに用いられるペプチドまたは断片は抗原に違いないが、必ずしも、生物学的活性である必要はない。好ましくは、抗原断片またはペプチドは少なくとも5個のアミノ酸長、少なくとも10個のアミノ酸長、最も好ましくは、少なくとも15個のアミノ酸長である。抗体を誘起する断片またはペプチドは、標的ポリペプチド(例えば、CTGFのN末端領域またはドメイン、CTGFのC末端領域またはドメイン)のアミノ酸配列の少なくとも一部と同一であることが望ましい。また、天然の標的ポリペプチドの配列の少なくとも一部を模倣するペプチドまたは断片は、他のタンパク質(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH))と融合していてもよく、抗体はこのキメラ分子に対して産生され得る。
抗体の産生方法は当技術分野で既知である。例えば、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス、ニワトリ、シチメンチョウ、ヒト等をはじめとする種々の宿主は、標的ポリペプチドまたは任意の免疫原性断片またはそれらのペプチドの注射によって免疫化することができる。宿主の種に応じて、種々のアジュバントを用い、免疫応答を高めることができる。かかるアジュバントとしては、これに限定されるものではないが、フロイントアジュバント、水酸化アルミニウムなどの無機質ゲル、およびリゾレシチンなどの界面活性剤、プルロニックポリオール(pluronic polyol)、ポリアニオン(polyanions)、ペプチド、油性乳剤、ならびにKLHなどが挙げられる。ヒトに用いられるアジュバントには、アルミニウムヒドロゲル、BCG(カルメット・ゲラン桿菌(Bacilli Calmette-Guerin))およびコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)が特に好ましい。
モノクローナル抗体は、培養の連続継代細胞系によって抗体分子が産生される任意の技術を用いて調製することができる。モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のいずれかの抗体をin vivoおよびin vitroで産生する技術は、当技術分野で周知である(例えば、Pound (1998) Immunochemical Protocols, Humana Press, Totowa NJ;HarlowおよびLane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York;Goding (1986) Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 第2版, Academic Press;Schook (1987) Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc.を参照されたい)。さらに、単鎖抗体の産生と同様に、キメラ抗体の産生も当技術分野で周知である(例えば、Morrisonら、(1984) Proc Natl Acad Sci 81: 6851-6855;Neubergerら、(1984) Nature 312: 604-608;Takedaら、(1985) Nature 314:452-454を参照されたい)。関連の特異性を有する抗体(しかし、明らかなイディオタイプ組成物の抗体)は、例えば、ランダムな組み合わせのイムノグロビンライブラリーからシャッフルされた鎖によって生成することができる(例えば、Burton (1991) Proc Natl Acad Sci 88: 11120-11123を参照されたい)。
また、抗体は、リンパ球群においてin vivoでその産生を誘導することにより、あるいは高特異的結合試薬の免疫グロブリンライブラリーまたはパネルのスクリーニングにより得ることができる(例えば、Orlandiら、(1989) Proc Natl Acad Sci 86: 3833-3837;WinterおよびMilstein (1991) Nature 349: 293-299を参照されたい)。また、標的ポリペプチドに対する特異的結合部位を含有する抗体断片を作製することもできる。かかる抗体断片としては、これに限定されるものではないが、F(ab')2断片(抗体分子をペプシンで消化することによって得ることができる)、およびFab断片(F(ab')2断片のジスルフィド架橋を還元することにより得ることができる)が挙げられる。あるいは、Fab発現ライブラリーを構築して、所望の特異性を有するモノクローナルFab断片の同定を迅速かつ容易に行うことができる(例えば、Huseら、(1989) Science 254: 1275-1281を参照されたい)。
あるいは、抗体を産生可能なヒト体細胞(特にBリンパ球)は、ミエローマ細胞系との融合に好適である。Bリンパ球は、個体の末梢血、または生検を行った脾臓、扁桃腺、またはリンパ節由来のものを用いることができる。さらに、エプスタインバーウイルスによってヒトB細胞を直接不死化することができる(Coleら、(1995) Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc. , pp. 7796)。
ハイブリドーマを産生する融合法における使用に好適なミエローマ細胞系は好ましくは非抗体産生であり、高融合能力を持ち、所望のハイブリドーマの増殖をサポートするある種の選択培地でのミエローマ細胞系の増殖を不可とする酵素欠損を有する。本発明で可能性のある融合細胞系の産生に使用可能なミエローマ細胞系の例としては、P3X63Ag8、P3X63Ag8-653、NS1/1.Ag 4.1、Sp210-Ag14、FO、NSO/U、MPC-11、MPC11-X45-GTG 1.7、S194/5XX0 Bul(すべてマウス由来);R210.RCY3、Y3-Ag 1.2.3、IR983Fおよび4B210(すべてラット由来);U-266、GM1500-GRG2、LICR-LON-HMy2、UC729-6(すべてヒト由来)が挙げられる(例えば、Goding(上掲), pp. 65-66;Campbell (1984) Monoclonal Antibody Technology: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Vol. 13 (BurdenおよびVon Knippenberg編集), Elsevier, Amsterdam, pp. 75-83を参照されたい)。
また、本発明では、CTGFまたはその断片に対する「ヒト」または「ヒト化」抗体を用いることができる。ヒト化抗体は、親抗体(例えばマウス起源抗体)と同一または類似の結合特異性を有し、かつヒト特性が高められた抗体または抗体フラグメントである。ヒト化抗体は、例えば、鎖シャッフリングによって、またはファージディスプレイ技術を用いることによって取得することができる。例えば、CTGFまたはその断片に特異的な非ヒト抗体の重鎖または軽鎖の可変ドメインを含むポリペプチドを相補的なヒト(軽または重)鎖可変ドメインのレパートリーと組み合わせる。目的の抗原に特異的なハイブリッド対を選択する。次いで、選択した対のヒト鎖は、相補的なヒト可変ドメイン(重鎖または軽鎖)のレパートリーと組み合わせでもよく、ヒト化抗体ポリペプチド二量体を抗原への結合特異性について選択することができる。本発明の方法に使用可能なヒト化抗体の産生が説明されている技術は、例えば、米国特許第5,565,332号;第5,585,089号;第5,694,761号;および第5,693,762号に記載されている。さらに、トランスジェニックマウスでヒト抗体を産生することについて説明されている技術は、例えば米国特許第5,545,806号および第5,569,825号に記載されている。
本明細書に記載されているようにして産生される抗体は、例えば、血液、血清、血漿、尿、硝子体液、関節液、脳脊髄液、唾液、特定組織のバイオプシー等、または他の生体サンプル、細胞培養サンプル、またはアッセイサンプル中のCTGFまたはその断片の同定に用いることができる。特定のポリペプチドの存在量は、例えば定量的画像分析によって検出することができる。あるいは、生体サンプルを用いて、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などによって、標的ポリペプチドのmRNAを検出することができる。特に、この方法では、例えば組織サンプル由来の全mRNA、あるいは標的ポリペプチドまたはその断片をコードするmRNAをDNAに逆転写し、次いで、特定のプライマー配列を用いたPCRによって増幅することができる。mRNAの定量は、例えば、一連の低い既知の濃度の模倣または突然変異体cDNA断片に対抗する、等量の患者サンプルを用いた競合反応によって検出することができる。
CTGFアッセイ
CTGFポリペプチド、特にCTGF、CTGFポリペプチドのN末端断片、またはCTGFポリペプチドのC末端断片を検出する好ましいアッセイは、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を用いて行う。サンプルから所望のタンパク質に特異的に結合する抗体を検出するには、あるいはサンプルから1種または複数の抗体に結合する所望のタンパク質を検出するには、種々のアッセイを利用することができる。具体的なアッセイは、HarlowおよびLane(上掲);BurtisおよびAshwood (1999) Tietz Textbook of Clinical Chemistry, 第3版, W. B. Saunders, Philadelphia;ならびに、Kaplan, PesceおよびKazmierczak (1996) Clinical Chemistry: Theory, Analysis, Correlation, 第3版, Mosby, St. Louisに詳細に記載されている。かかるアッセイの代表的な例としては、向流免疫電気泳動(CIEP)アッセイ、ラジオイムノアッセイ、放射性免疫沈降法、酵素結合抗体免疫吸着アッセイ(ELISA)、ドットブロットアッセイ、阻害アッセイまたは競合アッセイ、サンドイッチアッセイ、イムノスティック(ディップスティック)アッセイ、同時アッセイ、免疫クロマトグラフアッセイ、免疫濾過アッセイ、ラテックスビーズ凝集アッセイ、免疫蛍光アッセイ、バイオセンサーアッセイ、および、微弱光検出アッセイが挙げられる(例えば、米国特許第4,376,110号および第4,486,530号;ならびにGoding(上掲)を参照されたい)。
蛍光抗体法(FA試験)は、タンパク質のうちの1タンパク質に結合可能な蛍光標識抗体(例えば、CTGFのN末端領域に対する抗体)を用いる。検出は、蛍光顕微鏡法および目視による検出によって実施され、定性結果を得ることができる。一実施形態では、本アッセイは組織サンプルまたは組織学的分野の診断に用いられる。
ラテックスビーズ凝集アッセイでは、抗体はラテックスビーズに結合する。次いで、ラテックスビーズに結合している抗体を抗体がサンプル中の所望のタンパク質に結合することができる条件下でサンプルと接触させる。定性的結果または定量的結果を検出することができる。
酵素免疫定量法(EIA)としては、抗体を利用し、かつCTGFを検出することが可能な多数の異なるアッセイが挙げられる。例えば、EIA異種間接法は、CTGFに対する抗体を結合している固相と精製した親和性抗IgG免疫グロブリン製剤を用いる。次いで、抗体および免疫グロブリン製剤を抗体が結合可能な条件下(条件は当技術分野で周知である)でサンプルと接触させる。かかるアッセイの結果は目視によって評価可能であるが、ELISAプレートリーダーなどの分光光度計を用いて検出し、定量的結果を得るのが好ましい。代替の固相EIAフォーマットには、磁石によるアッセイ手順の間に移動可能なプラスチック被覆鉄金属ビーズが含まれている。さらに、別の代替法は微弱光検出免疫測定フォーマットである。この高感度フォーマットでは、適当に標識化された結合抗体によって生じる光放射を自動的に定量する。この反応は、微量定量プレートを用いて行なうのが好ましい。
代替の実施形態においては、EIAの酵素を介した検出を放射性トレーサーに替えて、当業者に周知の方法を用いて、ラジオイムノアッセイ(RIA)を行う。
また、酵素結合抗体免疫吸着アッセイ(ELISA)を行なうこともできる。一実施形態では、ELISAは、(1)固相上に本発明のCTGFポリペプチド(例えば、CTGFのN末端断片、CTGFのC末端断片)を被覆するステップと;(2) 抗原抗体複合体の形成可能な条件下で、CTGF抗体が含まれている可能性のあるサンプルを固相上に被覆された前記ポリペプチドとインキュベートするステップと;(3)得られた固相へ結合している抗原抗体複合体によって捕捉される標識と結合している抗抗体(抗IgGなど)を添加するステップと;(4)捕捉された標識を測定し、サンプルがCTGF抗体を含んでいるか否かをそれから決定するステップを含む。
捕捉抗体サンドイッチ酵素アッセイでは、所望のタンパク質は、固相(好ましくはポリスチレン微量定量プレート)に結合している抗体と標識抗体の間に結合させる。結果は、ELISAプレートリーダーなどの分光光度計を用いて測定するのが好ましい。系列アッセイフォーマットでは、試薬を段階的方法において捕捉抗体とインキュベートさせる。最初に、試験サンプルを捕捉抗体とインキュベートする。洗浄工程に続いて、標識抗体とのインキュベーションを行う。同時アッセイでは、系列アッセイで記載されている2回のインキュベーション期間を組み合わせる。この場合、1つのインキュベーション期間と洗浄工程が省かれる。
固相が(ポリスチレン微量定量プレートである代わりに)ポリスチレン製へらまたはディップスティックであるという点を除けば、ディップスティック/イムノスティックフォーマットは本質的にはイムノアッセイである。試薬は同じであり、フォーマットは同時であっても系列であってもよい。
クロマトグラフィーストリップテストフォーマットでは、クロマトグラフィーストリップ上で捕捉抗体および標識抗体を乾燥させる。前記ストリップは、一般には酢酸セルロースに結合されている高孔隙率のニトロセルロースまたはナイロンである。捕捉抗体は、通常、ストリップの一端にラインとしてスプレードライする。この末端には、ストリップと接している吸収材料がある。ストリップの他端には、膜へ吸収されないようにして標識抗体が置かれている。通常、抗体に結合している標識は、ラテックスビーズまたはコロイド金である。アッセイは、標識抗体の直前にサンプルをアプライすることにより開始することができる。
免疫濾過/免疫濃度フォーマットは、抗原の抗体への結合を集中させかつ促進させるサンプル/試薬の方向性流動と大型の固相表面とを組み合わせる。好ましいフォーマットでは、試験サンプルを標識抗体と事前インキュベートし、次いで、ファイバーフィルタまたはニトロセルロース膜等の固相にアプライする。また、捕捉抗体で被覆したラテックスまたはガラスビーズで固相を事前に被覆しておくことができる。分析物の検出は、標準のイムノアッセイと同じである。サンプル/試薬の流動は、真空器または下層の吸収材料の吸上作用によって調節することができる。
閾値バイオセンサーアッセイは、多数のサンプルのスクリーニングを実施することができる高感度の機器を低価格で装備したアッセイである。一実施形態では、かかるアッセイは、信号による位置付け可能な電位差センサーの使用が含まれ、この場合、反応には、捕捉抗体による所望のタンパク質の結合と、抗体とウレアーゼ結合抗体との架橋によるpH変化の検出が含まれる。結合に際、pH変化は、電位へ変換することによって測定可能となる。このアッセイは、一般に、非常に少量の反応容量で生じ、かつ非常に高感度である。さらに、このアッセイの報告されている検出限界は、毎分1,000分子のウレアーゼであり得る。
診断、予測、予防および治療の方法
本発明は、CTGF、CTGF N末端断片およびCTGF C末端断片の濃度の検出または測定に基づいた診断、予測、ならびに治療および効果のモニタリング方法を提供する。ある種の疾患では、CTGFのN末端断片は、CTGFまたはCTGFのC末端断片より安定しており、かかる状況において、サンプル中のCTGFおよびCTGF断片の濃度をより高感度にかつ正確に検出および定量するために用いることができる。
一態様では、本発明は、CTGF関連障害の診断方法を提供する。一実施形態では、CTGF関連障害の診断方法は、サンプルを取得し、CTGF、CTGFのN末端断片またはCTGFのC末端断片のサンプル中の濃度を検出、定量することと;サンプル中のCTGFまたはCTGF断片の濃度を、CTGFまたはCTGF断片の基準量の濃度と比較することを含み、サンプル中のCTGFまたはCTGF断片の増加量または減少量がCTGF関連障害の存在を示す。CTGFまたはCTGF断片の異常(例えば、増加または減少)濃度に関連している障害は、これに限定されるものではないが、増殖性障害ならびに細胞間マトリックス関連タンパク質の異常な発現および沈着に関連している障害が含まれる。かかる障害には、例えば、癌(乳癌、前立腺癌、卵巣癌、結腸直腸癌、膵臓癌および胃腸系癌など);およびアテローム性動脈硬化、関節炎、糖尿病性網膜症などのような網膜症;糖尿病性腎症などの腎症;心臓線維症、肺線維症、肝臓線維症および腎線維症、ならびに慢性炎症および/または感染に関連している疾患が挙げられる。また、CTGF関連障害は、心筋梗塞、糖尿病、腹膜透析、慢性および急性移植拒絶反応、化学療法、放射線治療、ならびに外科手術などの疾患に関係している。さらなるCTGF関連障害については、前に記載されている。
また、個体がCTGF関連障害になる傾向があるか否かについて確認する方法を提供する。一実施形態では、CTGF関連障害の傾向を確認する方法は、サンプルを取得し、CTGF、CTGFのN末端断片またはCTGFのC末端断片のサンプル中濃度を検出、定量することと;サンプル中のCTGFまたはCTGFの任意の断片の濃度を、CTGFまたはCTGF断片の基準量の濃度と比較することを含み、サンプル中のCTGFまたはCTGF断片の増加量または減少量が、CTGF関連障害の存在を示す。
別の態様では、本発明は、CTGF関連障害の進行をモニターする方法であって、サンプルを取得することと;サンプル中のCTGF、CTGFのN末端断片またはCTGFのC末端断片の濃度を検出および定量することと;サンプル中のCTGFまたはCTGF断片の濃度を、CTGFまたはCTGF断片の既知の基準量と、あるいは初期の時期もしくは以前の時期に、または疾患の進行中の初期段階に、同一個体または同一源から取得したサンプル中のCTGFまたはCTGF断片の第1の濃度と比較することを含み、サンプル中のCTGFまたはCTGF断片の濃度と基準濃度または第1の濃度との差がCTGFに関連している障害の進行を示す、前記方法を提供する。
別の態様では、本発明は、CTGF関連障害の経過の予測を検出する方法であって、サンプルを取得することと;サンプル中のCTGF、CTGFのN末端断片またはCTGFのC末端断片の濃度を検出および定量することと;サンプル中のCTGF、またはCTGF断片の濃度を、以前の時期に、または疾患の進行中の初期段階に得られた個体のサンプル中で測定された濃度と比較することを含み、一時期に得られたサンプル中のCTGFまたはCTGF断片の濃度と、別の時期に得られたサンプル中のCTGFまたはCTGF断片の濃度の差がCTGF関連障害の経過の予測の決定要因である、前記方法を提供する。
別の態様では、本発明は、CTGF関連障害の治療効果をモニターする方法であって、CTGF関連障害があり、その障害について治療を受けている被験体からサンプルを取得することと;サンプル中のCTGF、CTGFのN末端断片またはCTGFのC末端断片の濃度を検出および定量することと;サンプル中のCTGFまたはCTGF断片の濃度をCTGFまたはCTGF断片の基準濃度と比較することを含み、サンプル中のCTGFまたはCTGF断片の濃度と基準濃度の差がCTGF関連障害の治療効果を示す、前記方法を提供する。
別の態様では、本発明は、CTGFに関連している障害の治療効果をモニターする方法であって、サンプルを取得することと;サンプル中のCTGF、CTGFのN末端断片またはCTGFのC末端断片の濃度を検出および定量することと;サンプル中のCTGFまたはCTGF断片の濃度を、以前に個体から得られたサンプル中の濃度、あるいは経時的に、または疾患の進行中の初期段階で取得した1種または複数のサンプル中の濃度と比較することを含み、一時期に得られたサンプル中のCTGFまたはCTGF断片の濃度と別の時期に得られたサンプル中のCTGFまたはCTGF断片の濃度の差がCTGF関連障害の治療効果を示す、前記方法を提供する。
さらに別の態様では、CTGFまたはCTGF断片の濃度増加に関連している障害を確認する方法であって、特定の障害がある被験体から第1サンプルを取得することと;特定の障害のない被験体から第2サンプルを取得することと;第1サンプル中のCTGFまたはCTGF断片の濃度を検出および定量することと;第2サンプル中のCTGFまたはCTGF断片の濃度を検出および定量することと;第1サンプル中のCTGFまたはCTGF断片の濃度を、第2サンプル中のCTGFまたはCTGF断片の濃度と比較することを含み、第1サンプル中のCTGFまたはCTGF断片の濃度増加が、CTGFの濃度および活性の上昇に関連している障害を示す、前記方法を提供する。
さらに別の態様では、CTGFまたはCTGF断片の濃度低下に関連している障害を確認する方法であって、特定の障害がある被験体から第1サンプルを取得することと;特定の障害のない被験体から第2サンプルを取得することと;第1サンプル中のCTGFまたはCTGF断片の濃度を検出および定量することと;第2サンプル中のCTGFまたはCTGF断片の濃度を検出および定量することと;第1サンプル中のCTGFまたはCTGF断片の濃度を第2サンプル中のCTGFまたはCTGF断片の濃度と比較することを含み、第1サンプル中のCTGFまたはCTGF断片の濃度低下がCTGFの濃度および活性の低下に関連している障害を示す、前記方法を提供する。
化合物のスクリーニングと同定
さらに、本発明は、CTGFまたはCTGF断片の発現、濃度または活性を低下または上昇させる化合物(例えば、CTGFのN末端断片、CTGFのC末端断片など)をスクリーニングおよび同定する方法を提供する。
一態様では、CTGF断片の発現、濃度または活性を上昇させる化合物(例えば、CTGFのN末端断片、CTGFのC末端断片など)をスクリーニングする方法であって、サンプルを取得することと;サンプルを化合物と接触させることと;サンプル中のCTGFおよびCTGF断片の発現、濃度または活性を検出および測定することとを含み、上昇したCTGF断片の発現、濃度または活性が、CTGF断片の発現、濃度または活性を上昇させる活性を有する化合物を示す、前記方法を提供する。
別の態様では、CTGF断片の発現、濃度または活性を低下させる化合物(例えば、CTGFのN末端断片、CTGFのC末端断片など)をスクリーニングする方法であって、サンプルを取得することと;サンプルを化合物と接触させることと;サンプル中のCTGFおよびCTGF断片の発現、濃度または活性を検出および測定することとを含み、低下したCTGF断片の発現、濃度または活性が、CTGF断片の発現、濃度または活性を低下させる活性を有する化合物を示す、前記方法を提供する。
化合物は、当技術分野で周知の種々のスクリーニング法の任意の方法によって確認することができる。かかるスクリーニング法では、CTGFポリペプチドまたは化合物を溶液中に遊離させるか、固相担体に付着させるか、細胞表面上に載せるか、細胞間マトリックスに結合させるか、細胞内に位置させることができる。例えば、マイクロアレイに担持されている試験化合物は、当技術分野で利用可能な方法によって、調製、利用および分析することができる(例えば、Shalonら、(1995), PCT出願第WO95/35505号;Baldeschweilerら、(1995)、PCT出願第WO 95/251116号;Brennanら、(1995), 米国特許第5,474,796号;Hellerら、(1997), 米国特許第5,605,662号を参照されたい)。
種々のアッセイおよびスクリーニング法を用いて、CTGFまたはCTGF断片(例えば、CTGFのN末端断片、CTGFのC末端断片)の発現、濃度または活性を調節する(例えば、上昇または低減させる)小分子を同定することができる。また、これらの方法を提供することによりCTGFまたはCTGF断片の発現、濃度または活性と相互に作用する、あるいは影響を及ぼす抗体および他の化合物を同定することができ、従って、本方法において医薬品および治療法として用いることができる(例えば、Ennaら、(1998) Current Protocols in Pharmacology, John Wiley and Sonsを参照されたい)。アッセイにより、一般に、化合物のタンパク質または細胞標的への結合に関連する検出可能なシグナルが得られる。結合は、例えば、蛍光標識試薬、酵素複合体、および当技術分野で周知の他の検出可能な標識によって検出することができる。結果は、定性的または定量的であり得る。
本明細書に記載されている任意の方法において、サンプルは、培養物中の細胞、または哺乳動物から、好ましくはヒト被験体から取得することができる。サンプルは、例えば、培養細胞の馴化培地から、または血液、尿、血清、血漿、硝子体液、関節液、脳脊髄液、唾液、羊水から取得することができ、あるいは、組織のバイオプシーから取得することができる。当技術分野で周知の種々の方法のうちのいずれかの方法を用いて、CTGFまたはその断片の濃度を検出および定量することができる。かかる方法には、これに限定されるものではないが、CTGFのN末端断片またはC末端断片に対する抗体の使用;CTGFのN末端断片またはC末端断片の単離(例えば、質量分析、液体クロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法、ウェスタンブロット解析、他の従来の化学分析などの使用による);あるいは当業者に周知の任意の他の方法および手順が含まれる。ある態様においては、本方法は、CTGF内にあるCTGFのN末端領域/ドメインまたはCTGFのC末端領域/ドメインを検出することが含まれる。別の態様においては、本方法は、単離されており(例えば、切断されており)、かつCTGFのC末端領域またはCTGFとは区別可能なCTGFのN末端断片の濃度の測定すること、あるいは、単離されており(例えば、切断されており)、かつCTGFのN末端領域またはCTGFとは区別可能なCTGFのC末端断片の濃度の測定することを含む。
当業者は、本明細書を参考に、本発明のこれら実施形態および他の実施形態を容易に理解するであろう。
実施例
本発明は、さらに以下の実施例(本発明を単に例示するものである)を参照することによって理解されるであろう。これらの実施例は、特許請求の範囲に記載されている発明を説明するために単に提供されるものである。本発明は例示された実施形態によって範囲を限定されるものではなく、その実施形態は、単に、本発明の一態様を示すものである。機能的に同等なすべての方法は本発明の範囲内である。本明細書に記載されているものに加えて、本発明の種々の変更は、先の記載と添付の図面から当業者に明らかであろう。かかる変更は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるものである。
組換えヒトCTGFの産生
組換えヒトCTGF(rhCTGF)を以下のようにして調製した。完全長のヒトCTGF CDNA(DB60R32)をGary Grotendorst博士(マイアミ医科大学)から入手した(Bradhamら、(1991) J Cell Biol 114:1285-1294)。オープンリーディングフレームのみを含むCTGF cDNAは、鋳型のDB60R32 DNAと、増幅産物のいずれか一端にBamHI制限酵素部位(下線部)が挿入される以下のプライマー(5'-gctccgcccgcagtgggatccatgaccgccgcc-3'(配列番号3)および5'-ggatccggatcctcatgccatgtctccgta-3')(配列番号4))を用いたポリメラーゼ連鎖反応によって得られた。得られた増幅DNA断片をBamHIで消化し、アガロースゲル上で精製し、バキュロウイルス(ドナー)発現プラスミドpFastBac1(Invitrogen, Carlsbad Calif.)のBamHI部位へ直接サブクローン化した。pFastBac1/CTGF CDNAベクター構築物をバクミドDNAへ転換し、BAC-TO-BACバキュロウイルス発現系マニュアル(Invitrogen)の中で説明されているメーカーのプロトコルに従って、組換えバキュロウイルスを作製した。Sf9昆虫細胞中の組換えバキュロウイルス増幅のタイターは、当技術分野で周知の標準法を用いて行った(MurphyおよびPiwnica-Worms, (1984) Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 2 (Ausubelら、編集) John Wiley & Sons, Inc.)。
rhCTGFの発現および産生は以下のようにして行った。懸濁液増殖に適したHIGH FIVE昆虫細胞は、1.0×106個/mlの細胞密度までSF900II培地(Invitrogen)にて増殖させた。次いで、10:1の感染多重度にてCTGFを含有するバキュロウイルスで細胞を感染させた。感染後、細胞を40時間、27℃にてインキュベートした。次いで、細胞を遠心分離によって沈澱させ、CTGFを含有する調整培地を回収し、0.22μmフィルタにより濾過した。次いで、50mMトリス(pH7.2)で予め平衡化しておいた5mlのHi-Trapヘパリンカラム(Amersham Biosciences Corp., Piscataway N.J.)に調整培地を直接アプライした。次いで、350mM NaCl/50mMトリス(pH7.2)100mlでヘパリンカラムを洗浄し、結合されたCTGFを15カラム容量以上の350mM NaClから1200mM NaClの直線濃度勾配で溶出した。画分をCTGFの存在について、SDS-PAGEを用いて分析した。
CTGFを含有する画分をプールし、50mMトリス(pH7.5)で1:4に希釈した。10カラム体積の50mMトリス(pH7.5)で予め平衡化しておいたカルボキシメチル(CM)イオン交換カラム(POROS CM column, PerSeptive Biosystems, Framingham, Mass.)にCTGFプールを充填した。次いで、350mM NaCl/50mMトリス(pH7.5)でCMカラムを洗浄し、結合されたCTGFを15カラム容量以上の350mM NaClから1200mM NaClの直線濃度勾配で溶出した。画分をCTGFの存在についてSDS-PAGEを用いて分析した。CTGFを含有する画分をプールし、CTGF原料として用いた。
CTGF N末端およびC末端断片の産生
CTGFのN末端断片およびC末端断片は以下のようにして調製した。上述のようにして調製および精製された組換えヒトCTGFは、キモトリプシン1単位当たりCTGF1.5mgを用いて、キモトリプシンビーズ(Sigma Chemical Co., St. Louis Mo.)による処理によって消化した。rhCTGFのキモトリプシン処理は、室温にて6時間進行させた。消化産物およびキモトリプシンビーズを遠心分離にかけ、キモトリプシンビーズを除去し、酵素によって切断されたrhCTGFを含有する上清を50mMトリス(pH7.5)で1:5に希釈した。希釈した上清をHi-Trapヘパリンカラムにかけた。CTGFのN末端断片が含まれているその流出液を回収した。350mM NaClでヘパリンカラムを洗浄し、結合されたCTGFのC末端断片と未消化のCTGFを上述のようにして350mMからから1200mMのNaClの直線濃度勾配で溶出した。画分をCTGFのC末端断片の存在について、SDS-PAGEによって分析した。CTGFのC末端の確認された純度に従って、CTGFのC末端断片を含有する画分をプールした。
ヘパリンカラム流出液(CTGFのN末端断片を含有)は、0.5M硫酸アンモニウム/50mMトリス(pH7.5)を含有するように調製した。次いで、0.5M硫酸アンモニウム/50mMトリス(pH7.5)で予め平衡化しておいた15mlフェニルセファロースHPカラム(Amersham Pharmacia Biotech)にこのCTGFのN末端断片を含有するサンプルを充填した。次いで、このフェニルセファロースHPカラムを15カラム体積の0.5M硫酸アンモニウム/50mMトリス(pH7.5)で洗浄した。結合されたCTGFのN末端断片を約15カラム体積以上の0.5M〜0M硫酸アンモニウム/50mMトリス(pH7.5)の直線濃度勾配で溶出した。画分をCTGFのN末端断片の存在についてSDS-PAGEによって分析した。CTGFのN末端断片を含有する画分をプールした。CTGFのN末端断片を含有しているこのプールを濃縮し、バッファーをAmicon限外ろ過膜(YM10)を用いて50mMトリス、400mM NaCl(pH7.2)と交換した。
CTGFおよびCTGF断片に対する抗体の産生
モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体は、精製rhCTGFに対して調製された。組換えヒトCTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片は、上述のようにして作製し精製した。ヒトCTGFまたはCTGF断片に特異的なモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体は、標準法によって調製した。(例えば、Goding(上掲);およびSchook(上掲)を参照されたい。)
ヒトCTGFのモノクローナル抗体は、一般に以下のように調製されている。健康な成体マウスに50〜100μgのCTGF、CTGFのN末端断片またはCTGFのC末端断片を皮下注射し、免疫化する。6〜10週後、不完全フロイントアジュバントで処方された追加の抗原をマウスに追加免疫する。各追加抗原注射の約1週間後、ELISA分析により検出して、免疫化したマウス血清をCTGFの抗体の存在について評価する。CTGFまたはその断片に対して最も大きな抗体反応(すなわち、最高タイター)を起こしているマウスをハイブリドーマ産生用に選択する。ポリエチレングリコールを用い、当技術分野で周知の手順に従って、これらのマウスからの単離した脾臓細胞をマウス骨髄腫パートナー(例えば、P3X63Ag8-653)に融合させる。CTGFに対する反応性抗体を産生しているハイブリドーマをELISAによって確認し、続いて、少なくとも2回限界希釈法を実施してクローン化した。
あるいは、ヒトCTGFに対するヒトモノクローナル抗体を下記の方法により調製した。a)バキュロウイルスで産生された精製rhCTGF、b) 全rhCTGFのキモトリプシン切断によって得られたCTGFのN末端断片およびC末端断片の半分、c)種々の合成CTGFペプチドを含む、異なるCTGF免疫原でHUMABマウス(Medarex, Inc., Princeton N.J.)の複数の群を免疫化した。HUMABマウス(Medarex)は、完全ヒト抗体の作製による、免疫原に応答する遺伝子組換えトランスジェニックマウスである。25個の脾臓融合物から得られたハイブリドーマがスクリーニングされ、約140個のクローンとして選択されたモノクローナル抗体を産生する細胞系を特徴とする。各抗体群の親和性はRIAを用いて測定した。RIAでは、全rhCTGFを放射性ヨウ素化し、ウェル(固定化モノクローナル抗体を含み、未標識CTGFの量を変えている)に加えた。
抗体の特性
ヒトCTGFに対する抗体を産生するハイブリドーマは実施例3に記載されているようにして調製した。クローン化ハイブリドーマ細胞は、8mM L-グルタミン、1/2×非必須アミノ酸、および10%ウシ胎児血清を補充した、ダルベッコ改変イーグル培地−高グルコース/RPMI 1640(50:50)中で増殖させた。抗体調製のために増やした細胞を37℃、6%CO2にて4〜9日間、1.5%低IgGウシ胎児血清を補充した同一培地で増殖させた。得られた馴化培地から細胞を取り除き、接線流濾過/濃縮系を用いて濃縮した。プロテインAカラムに濃縮物を流し、結合モノクローナル抗体を100mMのグリシン(pH3)で溶出させた。1Mトリス(pH8.0)で溶離液を中和し、PBSに透析した。
得られた各モノクローナル抗体は、標準の結合および阻害実験(HarlowおよびLane(上掲);BurtisおよびAshwood(上掲);ならびに、Kaplan, PesceおよびKazmierczak(上掲), 第10章(Immunochemical Techniques)および第11章 (Competitive Binding Assays))によりマッピングし、抗体が結合しているCTGFの特定領域を割り当てた。例えば、特に系列法で添加された場合、同一ドメインまたはエピトープ特異性の抗体は、同一ドメインまたはエピトープ特異性と異なるすべての抗体の結合をブロックする。モノクローナル抗体が結合しているCTGFのエピトープのより正確なマッピングは、組換えによって発現されたCTGFの特定断片を用いてELISA分析により行った。例えば、固定化したCTGFの組換えにより発現されたエクソン2に対してELISA分析を行い、CTGFのN末端ドメインまたは領域を認識したモノクローナル抗体が同定された。CTGFの組換えにより発現されたドメイン(例えば、CTGFポリヌクレオチド配列のエクソン2、エクソン3、エクソン4またはエクソン5によってコードされているもの)にモノクローナル抗体をマッピングした。
この方法によって、CTGFのN末端ドメインまたはN末端断片(例えば、N1、第1のN末端断片エピトープに特異性を有する抗体;およびN2、第2のN末端断片エピトープに特異性を有する抗体)を特異的に認識する抗体、CTGFのC末端ドメインまたはC末端断片(例えば、C末端断片エピトープC1、C2、C4、C5またはCK)が選択され、特徴づけられた(例えば、図1Aおよび図1Bを参照されたい)。
CTGFおよびCTGF断片のアッセイ
CTGFポリペプチドを検出し、かつ正確に定量化するためのイムノアッセイを開発した。特に、CTGF検出、定量するための方法(N-Cアッセイと称する)、CTGFのN末端断片検出、定量するための方法(N-Nアッセイと称する)、およびCTGFのC末端断片検出、定量するための方法(C-Cアッセイと称する)を開発した。図1Cに、異なるサンドイッチアッセイフォーマットを示す。
CTGF
CTGFのN末端ドメイン(例えば、上述し、図1A中に示すN1およびN2)を認識した1種の抗体と、CTGFのC末端ドメイン(例えば、上述し、図1A中に示したC1〜C5)を認識した第2抗体を用いて全CTGFを検出および定量した。このアッセイは、N-Cサンドイッチアッセイ(図1C)と称する。N末端ドメイン特異抗体(例えば、モノクローナル抗体(mAb)19、N2に結合する)はCTGFを捕捉するために用いられ、一方、C末端ドメイン特異抗体(例えば、mAb25、C4に結合する)は捕捉されたCTGFポリペプチドを検出するために用いられる。あるいは、CTGFの捕捉には、CTGFのC末端ドメインまたは場合によっては担体(例えばBSA)に結合しているヘパリンを認識する抗体を用いることができ、捕捉されたCTGFポリペプチドを検出するには、CTGFのN末端ドメインを認識する抗体を用いることができる。いずれの方法においても、2種類の試薬(1種はCTGFのN末端ドメインを認識するもの、他の1種はCTGFのC末端ドメインを認識するもの)を使用することにより、CTGFのN末端断片またはCTGFのC末端断片ではなく、CTGFを検出することができる(図2)。
CTGFのN末端断片
CTGFのN末端ドメインを認識する2種類の抗体(例えば、上述および図1Aに示したN1およびN2)を用いてCTGFのN末端断片を検出および定量した。このアッセイはN-Nアッセイと称する(図1C)。N末端ドメイン特異抗体のうちの1種を捕捉抗体(例えばmAb19、N2に結合する)として用い、もう1種を検出抗体(例えばmAb 6、N1に結合する)として用いた。CTGFがCTGFのN末端ドメイン(用いる抗体によって認識される)を含有しているので、N-NアッセイによりCTGFも検出された。
サンプル中のCTGFのN末端断片の量を検出するのに、サンプル中のCTGFの濃度を検出し(N-Cアッセイを使用、上掲)、かつサンプル中のCTGFのN末端断片の濃度を検出した(N-Nアッセイを使用)。次いで、検出されたCTGFの量を検出されたN末端断片の量から差し引き、サンプル中に存在するCTGFのN末端の濃度を得た。特に明記しない限り、CTGFおよびCTGFのN末端断片の濃度を検出および定量する(図3)N-Nアッセイを用いて取得されたデータは、各サンプル中のCTGF N末端断片の濃度を示すように調整した(すなわち、N-Nアッセイを用いてサンプルにおいて得られた値からそのサンプル中のCTGF濃度を差し引いた)。あるいは、N-Nアッセイを実施する前に、ヘパリンアフィニティカムを用いて、サンプルからCTGFを取り除くことができる。
CTGFのC末端断片
CTGFのC末端断片は、CTGFのC末端ドメインを認識する2種類の抗体(例えば、上述の図1Aに示したC1およびC4)を用いて、検出および定量した。このアッセイはC-Cアッセイと称する(図1C)。C末端ドメイン特異抗体のうち、1種は捕捉抗体(例えばmAb 25、C4に結合する)として用い、他の1種は検出抗体(例えばmAb51、C1に結合する)として用いた。あるいは、CTGFのC末端ドメインを捕捉するのに、担体(例えばBSA)に結合されているヘパリンを用いることができる。CTGFがCTGFのC末端ドメインを含有しているので、このアッセイはCTGFも検出した。
従って、サンプル中のCTGFのC末端断片の量を検出するのに、サンプル中のCTGFの濃度を検出し(N-Cアッセイを使用)、サンプル中のCTGFのC末端断片の濃度を検出した(C-Cアッセイを使用)。次いで、検出されたC末端断片の量から検出されたCTGFの量を差し引き、サンプル中に存在するC末端断片の濃度を得た。特に明記しない限り、CTGFおよびCTGFのN末端断片の濃度を検出および定量する(図4)C-Cアッセイを用いて取得されたデータは、各サンプル中のCTGF C末端断片の濃度を示すように調整した(すなわち、C-Cアッセイを用いてサンプルにおいて得られた値からそのサンプル中のCTGF濃度を差し引いた)。あるいは、C-Cアッセイを行う前に、N末端断片特異試薬(例えば抗体)を用いて、サンプルからCTGFを取り除くことができる。
サンプル中のCTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片の濃度の定量は、記載した各ELISAアッセイ(すなわち、CTGFを検出するN-Cアッセイ;CTGFのN末端断片とCTGFを検出するN-Nアッセイ;およびCTGFのC末端断片とCTGFを検出するC-Cアッセイ)によって得られた吸光度値を既知濃度の基準CTGFを用いて得た値をもとに推定して決定した。データは二次非線形回帰(SOFTMAX PRO software, Molecular Devices, Sunnyvale, Calif.)により分析し、標準曲線を作成し、吸光度がモルのベースのCTGF濃度に相関している最良数式を得た。
CTGFおよびCTGF断片の検出および定量
低タンパク質のサンプル
CTGFアッセイの実施方法は上の実施例5に記載している。種々のサンプルまたはサンプルタイプ中のCTGFおよびCTGF断片を検出および定量するため、これらの方法を改変することができる。例えば、低タンパク質のサンプル(例えば、尿、関節液、腹膜透析液、CSF液体、唾液、細胞培養培地)中のヒトCTGFおよびCTGF断片を検出および定量するのに、抗ヒトCTGFモノクローナル抗体使用のサンドイッチELISAを開発した。ELISAアッセイは以下のようにセットアップした。最初に、CTGFの領域またはドメインを認識する捕捉抗体でマイクロタイタープレートのウェルを被覆した。ELISAでの使用にあたり、捕捉抗体を50mM重炭酸ナトリウム(pH8.5)中10μg/mlの最終濃度まで希釈し、希釈した捕捉抗体溶液50マイクロリットルを96ウェルMAXISORBマイクロタイタープレート(Nalge Nunc International, Rochester N.Y.)の各ウェルに添加した。次いで、そのプレートをカバーし、2〜8℃で一晩保存し、抗体をプレートに結合させた。プレートから捕捉抗体溶液を除去し、次いで、各ウェル中の未結合部位を、0.05%アジ化ナトリウムを加えたカルシウムおよびマグネシウム非含有PBS中に1%BSAを含有するブロッキングバッファー150μlでブロックした。次いで、プレートをカバーし、1〜14日間2〜8℃で保存した。CTGF検出・定量アッセイに使用する直前に、ウェルからブロッキングバッファーを除去し、洗浄バッファー(0.1%トゥイーン20を含有するカルシウムおよびマグネシウム非含有PBS)で各プレートのウェルを一回洗浄した。
ELISAアッセイで使用するCTGF標準溶液は以下のようにして調製した。上述のように調製したrhCTGFの凍結アリコートを溶解させ、カルシウムおよびマグネシウム非含有PBS、50mMトリス(pH7.8)、1mg/ml BSA、4mM MgCl2、0.2mM ZnCl2、0.05%アジ化ナトリウム、50μg/mlヘパリンナトリウム、および0.1%TRITON X-100界面活性剤を含むヘパリンアッセイバッファー(0.45μm、濾過済)で最終濃度1.1μg/mlまで希釈した。rhCTGF標準保存液は、-70℃でアリコートを保存した。次いで、rhCTGF保存液を稀釈調整して、ヘパリンアッセイバッファーに希釈されている0ng/ml〜15ng/mlの一連のrhCTGF基準濃度を得た。記載されているすべてのELISAアッセイにおいて、CTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片の濃度は、基準CTGFに対する比較に基づいて決定した。
生体サンプルは、ヘパリンアッセイバッファー(一般には、希釈は特定のサンプルタイプに基づき、1:2〜1:20の間である)で希釈し、希釈したサンプル50μlを被覆しブロックしたマイクロタイタウェルに、2組または3組にてアプライした。
捕捉されたCTGFまたはCTGF断片の検出には、CTGFに対するコーティング抗体または捕捉抗体とは異なるCTGFエピトープ特異性のビオチン化モノクローナル抗体を用いた。CTGF含有サンプルおよび基準CTGF、ならびにビオチン化抗CTGF抗体が、捕捉抗体を被覆したマイクロタイタープレート内で同時にインキュベートされるように、ビオチン化抗体をマイクロタイタープレートウェル内の上記サンプルおよび基準CTGFに添加した。検出に用いるモノクローナル抗体は、ビオチン:DNP試薬を用い、メーカー(Molecular Probes, Eugene, Oreg.)によって記載されているプロトコルに従ってビオチン化した。ビオチン:mAbの比は、一般に5:1〜12:1が許容可能であった。ビオチン化モノクローナル抗体(1000ng/ml)50マイクロリットルを上述のサンプルがすでに含まれている各ウェルに添加した。次いで、プレートをカバーし、100〜130rpmで90分間、プレートローテーター上で2〜8℃にてインキュベートした。
その後、洗浄バッファーでプレートを3回洗浄した。次いで、CTGF標準曲線に対する所望のシグナル濃度の展開に基づき、各複合体ロットについて経験的に決定された濃度までアッセイバッファーで希釈(一般には1:10,000)されたストレプトアビジンアルカリフォスファターゼ複合体(Jackson ImmunoResearch Labs, West Grove Pa.)50μlでこのウェルをインキュベートした。プレートをカバーし、100〜130rpmで90分間、プレートローテーター上で2〜8℃にてインキュベートした。その後、上述のようにプレートを3回洗浄し、各ウェルにアルカリフォスファターゼ基質(Sigma Chemical Co.)の100μlを添加した。発色させて、視覚的にモニターし、かつマイクロタイタープレートリーダーを用いてモニターした。基準およびサンプルの発色は最適シグナルレベルに達すると、各ウェルに4N水酸化ナトリウム50μlを添加することによって、それ以上の発色を止めた。次いで、マイクロタイタープレートをマイクロプレートリーダーに置き、発色を波長405nmにおける吸光度ユニットの測定によって検出した。
高タンパク質サンプル
高タンパク質を含有するサンプル(例えば、血液、血清、血漿等)中のCTGF濃度を測定する場合、上述および実施例5に記載しているCTGFアッセイに以下の変更を行なった。高タンパク質サンプル中のCTGFおよびCTGF断片を検出するこのアッセイで用いられる基準とサンプル内のタンパク質の濃度またはレベルの一貫性を得るため、CTGFを除去した10%ラット血清をヘパリンアッセイバッファーに補充した。
以下のようにして、このアッセイで使用されるラット血清からCTGFを除去した。ラット血清を2%(v/v)ヘパリンアガロースビーズと一晩インキュベートし、ラット血清由来のCTGFおよびCTGFのC末端断片を除去した。CTGFのN末端断片がヘパリンに結合しないことから、CTGFのN末端断片はこの方法ではラット血清から除去されなかった。ヒトCTGFの検出に用いられるアッセイでラットCTGFのN末端断片が検出されないので、N末端断片(ヘパリンアガロース処理ラット血清中に存在したままである)は、後のCTGFアッセイの妨げにはならなかった。あるいは、CTGFおよびCTGF断片が除去された血清を調製するため、抗体アフィニティカムを用いて哺乳動物血清のCTGFおよびCTGF断片を除去してもよい。
上述のようにして調製されたCTGF基準溶液に、上に記載した、ヘパリンアガロースビーズで処理した10%(v/v)ラット血清を添加した。また、ヘパリンアッセイバッファーで希釈されたビオチン化抗CTGF抗体(検出に使用する)にヘパリンアガロースビーズで処理した10%ラット血清を添加した。高タンパク質含有サンプルをヘパリンアッセイバッファーで1:10に希釈し;従って、このアッセイで用いられるすべての溶液(すなわち、基準CTGF、生体サンプル等)は、10%(v/v)の最終濃度で血清を含有していた。次いで、上述のサンドイッチELISAアッセイを用いて、希釈した高タンパク質含有サンプル中のCTGFおよびCTGF断片の濃度を検出および定量した。
CTGFアッセイの特異性
実施例5よび実施例6において上述したCTGF ELISAアッセイの特異性と信頼度を試験した。表1は、CTGF(N-Cアッセイ)、CTGFのN末端断片(N-Nアッセイ)およびCTGFのC末端断片(C-Cアッセイ)を検出および定量するために、上述のアッセイを用いて基準rhCTGFを用いて実施したELISAアッセイの結果を示す。
表1に示したアッセイの結果は、ELISAプレートリーダーによって測定した405nmの吸光度である。種々の濃度のrhCTGF(0〜11ng/ml)を用いて、各CTGF ELISAアッセイの標準曲線を設定した。アッセイは各濃度のCTGFについて3組で実施し、ELISAアッセイにおける吸光度の統計学的平均値と変動係数(%CV)を表1に示した。
Figure 0004226471
アッセイは実施例5および実施例6の上述のプロトコルに従って行った。アッセイの特異性は、各アッセイで用いられる捕捉および標識(検出)抗体の選択によって調節した。結果から、この実施例で実施された、CTGF、CTGF N末端断片およびCTGF C末端断片に対するCTGF ELISAアッセイは、1ng/ml未満の濃度でCTGFポリペプチドを検出する感度を有していることが明らかになった。さらに、一定量のCTGFのアッセイにおける変動係数(CV)は、通常、約0〜6%の範囲にあることがわかった。
各CTGF ELISAアッセイの特異性をさらに試験した。バキュロウイルス由来rhCTGFを上述のようにして産生および精製した。CTGFのN末端断片およびC末端断片は、実施例2で上述しているようにrhCTGFのキモトリプシン切断によって作製し、精製した。CTGF ELISAアッセイ(CTGF(N-Cアッセイ)、CTGFのN末端断片(N-Nアッセイ)およびCTGFのC末端断片(C-Cアッセイ)の検出および定量)は、これらのCTGFポリペプチドを用いて実施した。結果は、図2(N-Cアッセイ)、図3(N-Nアッセイ)、および図4(C-Cアッセイ)に示す。
上述および図2、図3および図4に示したように、記載した3種類のすべてのCTGFアッセイによりCTGF(図2、図3および図4中、黒塗り正方形)が検出された。CTGFアッセイは、CTGF(すなわち、CTGFのN末端ドメインおよびC末端ドメインの両方を含むCTGF)のみを検出する。CTGFアッセイは、CTGFのN末端断片(図2、図3および図4中の黒塗り三角形)、またはCTGFのC末端断片(図2、図3および図4中の黒塗り円)は検出しない。N末端ドメインアッセイは、CTGF(図3中、黒塗りの正方形)およびCTGFのN末端断片(図3中、黒塗りの三角形)の両方を検出するが、CTGFのC末端断片(図3中、黒塗りの円)は検出しない。C末端ドメインアッセイは、CTGF(図4中、黒塗りの正方形)およびCTGFのC末端断片(図4中、黒塗りの円)の両方を検出するが、CTGFのN末端断片(図4中、黒塗りの三角形)は検出しない。
本発明のCTGFおよびCTGF断片アッセイは、CTGFポリペプチドに特異的であった。構造上関連のあるCCNファミリーメンバーNOVおよびCYR61(0.5mg/mlの高濃度を使用)は、記載したCTGFアッセイにより検出されなかった(データは示さず)。
ヘパリンの非存在または存在下におけるCTGF検出
CTGFは、CTGFのC末端領域に位置しているヘパリン結合ドメインによる、ヘパリン結合増殖因子である。種々の保存温度において、CTGFの安定性、検出および回収率をヘパリンの存在または非存在下で測定、評価した。ヘパリン(Porcine, Sigma Chemical Co.から入手;最終濃度10pg/mlまで添加)の存在または非存在下のいずれかにおいて、アッセイバッファーに組換えヒトCTGF(10ng/ml)を添加した。次いで、CTGF含有サンプルを-80℃、-20℃、4℃または25℃の温度で10日間インキュベートした。
次いで、サンプル中に残存するCTGFの量を実施例5で上述したELISAアッセイによって検出した。ヘパリンの非存在または存在下におけるCTGF検出の結果を以下の表2に示す。
Figure 0004226471
表2に示すとおり、ヘパリンの非存在下では、-80℃でサンプルを保存した場合であっても、CTGFはほとんど検出されなかった。10日後、ヘパリンの非存在下における4℃または25℃のいずれかでは、サンプルに添加された約1ng/ml〜10ng/mlのCTGFが検出された。このことは、特に、CTGFポリペプチドを氷点より高い温度でインキュベートした場合、CTGFポリペプチドは不安定であるか、あるいは恐らくは粘性であったことを示している。ヘパリンの存在下でCTGFをインキュベートした場合は、10日後、4℃または25℃のいずれかで検出可能なCTGF濃度は約5ng/mlであった。これは、アッセイバッファーに添加されたCTGFの最初の量の約半分に相当し、ヘパリンの非存在下で得られた濃度の約5倍であった。ヘパリンを添加すると、試験したすべての温度においてCTGFの回収率が改善された。このことから、ヘパリンがCTGFに安定効果を示し、水溶液中のCTGF溶解度を維持し、あるいは、タンパク質分解、プラスチックへの吸着、または溶液中の他の高分子への結合からCTGFを保護することが明らかである。
細胞培養馴化培地中のCTGFおよびCTGF断片の検出と安定性
MG-63細胞(ヒト骨肉腫細胞系)は、CTGFを産生、分泌することが知られている。さらに、TGFは、これらの細胞のCTGF発現を刺激する。MG-63 細胞は、ATCC(CRL-1427)から取得した。10%ウシ胎児血清、グルタミン、ペニシリン、ストレプトマイシンおよび非必須アミノ酸を含有する最小必須培地(MEM)を入れた12ウェル組織培養プレート(1ウェル当たり27,000個)にこの細胞を接種した。48時間後、培地を除去し、ウシ胎児血清非含有の新しい培地とアスコルビン酸リン酸(30pg/ml)およびウシ血清アルブミン(1mg/ml)を含有する新しい培地に取り替えた。さらに24時間後、培地を、ヘパリン(10μg/ml)を含有し、TGFβ(5ng/ml)が添加または無添加である、新鮮な培地(ウシ胎児血清を含まず、アスコルビン酸リン酸(30pg/ml)およびウシ血清アルブミン(1mg/ml)を含有するMEM)と取り替えた。次いで、0、24、92および120時間後に馴化培地から細胞を収集し、CTGFおよびCTGF断片の濃度を分析した。MG-63細胞馴化培地中のCTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片の濃度の結果を下の表3に示す。
Figure 0004226471
表3から明らかなように、24時間TGFβで処理すると、MG-63細胞の馴化培地中で検出されるCTGFの濃度は40ng/mlから150ng/mlに増加していた。しかし、TGFβで92時間または120時間処理すると、この細胞の馴化培地で検出されるCTGFの濃度は、24時間処理後に確認された濃度から著しく低下した。
CTGFのC末端断片の濃度で同様の結果が確認された。TGFβの存在下では、24時間後、この細胞の馴化培地中のCTGFのC末端断片濃度は、7ng/mlから検出不可能な濃度まで低下した。92時間または120時間、TGFβ処理した後では、馴化培地中のCTGFのC末端断片濃度は低いままであるか、あるいは検出不可能であった。従って、MG-63細胞の馴化培地中に存在するCTGFおよびCTGFのC末端断片の検出可能な濃度は、TGFβによるCTGF発現の刺激にかかわらず、経時的に低下し、または検出不可能になった。
一方、CTGFのN末端断片の検出および定量により、MG-63細胞の馴化培地中にCTGFのN末端断片が経時的に蓄積されたことが明らかになった。馴化培地中のN末端断片の蓄積は、CTGF発現のTGFβ刺激の有無にかかわらず確認された。TGFβによる24時間の処理後に、CTGFの濃度が約4倍(未処理の細胞と比較して)に増加したという所見にもかかわらず、TGFβで処理した細胞において、未刺激細胞と比較して、CTGFのN末端断片の濃度は、わずかな増加しか観察されなかった(TGFβ未処理の場合157ng/mlであるのに対し、TGFβ処理の場合181ng/ml)。この特定の状態において、CTGFのN末端断片濃度のみの測定では、TGFβでの24時間処理後のCTGF濃度の増加は全く示さなかった。従って、このような、CTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片の濃度を検出し区別し得ることによって、CTGFおよびその断片の存在と濃度、ならびに、異なる条件下におけるCTGFおよびCTGF断片の発現のすべての変化を検出する高感度で信頼性のある手段が得られる。
これらの結果から、ある条件において、CTGFのN末端断片が経時的に蓄積され得ることが明らかである。N末端断片の蓄積(検出可能なCTGFの濃度の減少と一致している)は、CTGFのN末端断片が体液(例えば、細胞馴化培地、血液および尿)中で安定している(すなわち、タンパク質分解、クリアランス、除去、または吸着を受けにくいか、あるいは耐性がある)ことを示している。従って、N末端断片をCTGF発現の検出可能で安定性のある指標として提供することができる。
さらに、このデータは、ある条件において、CTGFおよびCTGFのC末端断片が分解、排出または組織除去によって喪失され得ることを示唆している。また、このデータは、CTGF発現の濃度およびCTGF切断、プロセッシング、除去、クリアランス等の程度または範囲の決定にあたって、細胞培養培地(ならびに他の生体液)中のCTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片を検出および区別することの価値と利点についても示唆している。
CTGFおよびCTGF断片のウェスタンブロット解析
MG-63細胞は、50g/mlのヘパリンナトリウム(Sigma Chemical Co.)を含有し、50pg/mlのウシ血清アルブミン(Sigma Chemical Co.)を含有および非含有するダルベッコ改変イーグル培地(CELLGRO培地; Mediatech, Hemdon VA)中で培養した。1、2、3および6日に、細胞から馴化培地を回収し、5分間1,200rpmで遠心分離にかけて細胞片を沈澱させ、上清を凍結保存した。
CTGF濃度の分析は以下のようにして実施した。CTGFのN末端ドメインに対するモノクローナル抗体を用いた免疫沈降によってCTGFのN末端断片を馴化培地から単離した。免疫沈降は、1時間、10μg/mlの濃度のCTGFのN末端領域に特異的なモノクローナル抗体とMG-63細胞馴化培地をインキュベートすることによって行った。プロテインA(Sigma Chemical Co. )の2%(w/w)懸濁液を添加し、さらに1時間、このサンプルをインキュベートした。プロテインAのみ(いかなるCTGF特異抗体も含まれない)による沈降は、非特異的結合のコントロールとして用いた。免疫沈降物/プロテインA複合体は、150mM NaCl、1%TRITON X-100界面活性剤、1%デオキシコール酸ナトリウム塩、0.1%SDS、50mMトリス(pH7.5)、および2mM EDTAを含有するバッファーで2回洗浄した。次いで、沈澱したタンパク質の電気泳動による分離に備えて、このサンプルをトリスグリシンSDSサンプルバッファー(2×)(Invitrogen)で可溶化した。CTGFおよびCTGFのC末端断片は、ヘパリンセファロース沈澱によって馴化培地から単離した。ヘパリンセファロース(Amersham Pharmacia Biotech)による沈澱は、4℃にて2時間、細胞培養馴化培地を2%ヘパリンセファロース懸濁液(PBSで1:1(w/w))と混合することにより実施した。沈澱複合体をPBSで2回洗浄し、続いて、上述のようにして可溶化した。
電気泳動(4〜20%トリスグリシンSDS-PAGEゲル(Invitrogen))後、サンプルをウェスタンブロット解析のためにニトロセルロース膜(Invitrogen)上に移した。次いで、この膜を24.8mM TRISベース、2.7mM 塩化カリウム、137mM 塩化ナトリウム、0.05%トゥイーン20(pH7.4)を含有する5%スキムミルクのバッファーでブロックした。
MG-63細胞の馴化培地中のCTGFおよびCTGF断片をウェスタン解析によって検出し、その結果を図5A、図5Bおよび図5Cに示した。CTGF(図5A)およびCTGFのC末端断片(図5C)を含有する膜(ヘパリンセファロースビーズにて沈殿させたもの)をCTGFのC末端ドメインを認識するモノクローナル抗体で探索し、続いて、西洋ワサビペルオキシダーゼ(Jackson Immuno Reasearch)結合抗ヒトIgGにより検出した。CTGFのN末端断片(図5B)を含有する膜(抗CTGF抗体で免疫沈殿させたもの)を抗CTGFニワトリポリクローナル抗体で探索し、西洋わさびペルオキシダーゼ(Zymed, South San Francisco CA)を結合させた抗ニワトリIgYウサギ抗体により検出した。ウェスタンブロット発色は、SUPERSIGNAL化学発光試薬(Pierce Chemical Co. , Rockford IL)を用いて視覚化した。
MG-63細胞の馴化培地中で確認されたCTGFおよびCTGF断片の濃度における相対的変化の定量は、上述したウェスタンブロットの濃度計測によって行った。CTGFおよびCTGF断片を示すウェスタンブロットの濃度計測の結果を下の表4に示す。
Figure 0004226471
CTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片の検出および定量は、ウェスタンブロット解析によって示した。図5Aで明らかなように、CTGFはMG-63細胞の馴化培地中で蓄積されており、約3日で最大の濃度に達した。培養6日で、MG-63細胞の馴化培地中のCTGF濃度は培養第1日後に検出された濃度の半分以下であり、3日に検出された濃度(測定されたCTGFの最高濃度であった)のわずか約20%であった。これは、CTGFがMG-63細胞馴化培地において不安定であることを示唆している。CTGFのN末端断片の濃度によって、時間とともにMG-63細胞の馴化培地中に蓄積することが確認された(図5B)。CTGFのC末端断片の濃度は、MG-63細胞の馴化培地中に蓄積せず、むしろ、6日目の馴化培地では、CTGFのC末端断片をウェスタンブロット解析によって検出することができなかった(図5C)。
これらの所見は、上の実施例9で示した、ELISAアッセイによって得られた結果と一致していた。CTGFおよびCTGFのC末端断片の検出可能な濃度におけるこの低下は、CTGFおよびCTGFのC末端断片がCTGFのN末端断片ほど安定しておらず、従って、特定の時刻に、サンプル中のCTGFの発現または濃度の信頼性ある指標を提供することができないことを示唆している。CTGFのN末端断片の蓄積は、CTGFのN末端断片が、生体液中(例えば、細胞培養馴化培地)のCTGFまたはCTGFのC末端断片よりも安定性がある(すなわち、タンパク質分解、クリアランス、除去、または吸着を受けにくいか、耐性がある)ことを示唆している。従って、CTGFのN末端断片によって、ウェスタンブロット解析によって測定されるCTGF発現の検出可能で安定性のある指標が得られる。またこのデータは、CTGF発現の濃度およびCTGF切断、プロセッシング、除去、クリアランス等の程度または範囲を決定するにあたって、細胞培養培地(ならびに他の体液)中のCTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片を検出および区別することの価値と利点を明らかにしている。
尿に添加されたCTGFとCTGF断片の安定性
上の実施例8に記載した方法と類似の方法を用いて、10ng/mlのrhCTGFを添加した、健康な個体からのヒト尿サンプルについて、CTGFおよびCTGF断片の濃度の検出および定量することによって分析した。これらの実験では、CTGF検出および定量は、上の実施例5および実施例6に記載したCTGFのELISAアッセイを用いて行った。ヒト尿中のCTGF N末端断片の規定濃度は、これまでに約1〜2ng/mlであることが決定されている。
図6は、尿サンプルへCTGFを添加した後、4℃にて0、1、2、3、4および5日間保存された尿中のCTGFおよびCTGFのN末端断片の濃度を示す。図6から明らかなように、CTGFのN末端断片のみ、4℃で3日間保存した後にCTGFを追加した尿中で検出された。3日後、これらの保存条件下の尿中でCTGFを実質的に検出することはできなかった。従って、CTGFのN末端断片を検出および定量することにより、尿に添加されたCTGFの元の量の検出および定量が改善され、より信頼性が高くなった。これらの結果は、尿中ではCTGFがN末端断片ほど安定していないことを示唆している。
尿中でのCTGFのタンパク質分解
尿においてCTGFの安定性が低く(CTGFのN末端断片と比較した場合)、または尿でCTGFを検出および定量することができないのは、ヒト尿においてCTGFが不安定であり、またタンパク質分解による可能性がある。このことを試験するため、上の実施例11に記載した実験と類似の実験をrhCTGFおよび種々のプロテアーゼ阻害剤を添加したヒト尿サンプルにおいて行った。この試験では、10ng/mlのrhCTGFを標準のヒト尿に添加し、次いで、これをプロテアーゼ阻害剤の存在または非存在下で1〜7日間4℃にて保存した。これらの実験では、CTGFの検出および定量は、上述のCTGF ELISAアッセイを用いて行った。使用したプロテアーゼ阻害剤は、混合プロテアーゼ阻害剤(Sigma Chemical Co.、カタログ番号P-8340)、N-ヒドロキシ-2[[N'-(4-メトキシ-ベンゼンスルホニル)-N'(4-クロロベンジル)]アミノ]-アセトアミド (メタロプロテアーゼ阻害剤)、またはエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)であった。尿におけるCTGFのタンパク質分解の結果を下の表5に示す。
Figure 0004226471
上の表5は、1日または7日間の保存後、尿に添加されたCTGFの大部分が、添加したいずれのプロテアーゼ阻害剤の非存在下においても検出できなかったことを示す。プロテアーゼ阻害剤を含む場合、保存1日後に、プロテアーゼ阻害剤の非存在下での濃度に比べて、尿中のCTGFが高濃度で検出された。混合プロテアーゼ阻害剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤、および金属イオンキレート化剤のEDTAの存在下では、検出可能なCTGFの同程度の低下が認められた。これらのデータは、プロテアーゼが、4℃の保存中における標準のヒト尿中の検出可能なCTGFの分解、除去または消失に、少なくともある程度係わっていることを示唆している。また、これらの結果は、検出可能な濃度のCTGFは、プロテアーゼ阻害剤の添加によってサンプル中で維持されることを示唆している。
一方、CTGFのN末端断片は、添加したプロテアーゼ阻害剤の存在または非存在下を問わず、これらのサンプル中で容易に検出、定量された。さらに、CTGFのN末端断片の濃度は、尿に外因的に添加されたrhCTGFの量(10ng/ml)と一致していた。表5は、CTGFおよびCTGFのN末端断片の両方を検出するN-Nアッセイを用いて検出されたデータを示す。CTGFのN末端断片濃度は、標準の尿中の内因性CTGF(すなわち、CTGFのN末端断片)濃度(約1〜2ng/ml)に基づいて外因的に追加した10ng/mlのrhCTGFより高かった。標準の尿では、CTGFおよびCTGFのC末端断片は検出不可能であったが、1〜2ng/mlのCTGFのN末端断片は検出可能であった(データは示さず)。これらの結果は、CTGFがプロテアーゼ活性に高感度であり、また、尿中のCTGFを検出、定量する能力が少なくとも一部喪失していたのに対し、CTGFのN末端断片は、尿中のCTGFのN末端断片を検出、定量する能力によって測定されるので、プロテアーゼ分解に対して耐性があるように考えられることを示すものである。
腹膜透析患者のCTGF
腹膜透析患者のCTGFおよびCTGF断片の濃度について、不完全腎臓機能に対して腹膜透析を受けている患者の腹膜腔から回収された透析液体で測定した。透析液は、2ヶ月間またはそれより短い間腹膜透析を受けている患者の腹膜から(図7Aのサンプル番号1、2、3、6および7)、または50〜100ヶ月間腹膜透析を受けている患者から(図7Aのサンプル番号4、5、8、9および10)採取した。5名の患者は1型糖尿病と診断されており、4名の患者は糸球体腎炎であり、1名の患者は腎多嚢胞病の結果透析していた。場合によっては、腹膜透析を受けている間に一時的な腹膜炎を起こした患者から腹膜透析液を取得した。サンプル番号4、8および10は、細菌性腹膜炎を以前に一度経験した患者由来のものであり、サンプル番号9は細菌性腹膜炎を以前に4回経験している患者由来のものであった。
検出可能な濃度のCTGFのN末端断片が、試験したすべての透析液中で確認された(図7Aおよび図7B)。腹膜透析患者の透析液中に存在するCTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片の検出、定量および比較により、CTGFのN末端断片の最高濃度が明らかになった(CTGFおよびCTGFのC末端断片については、データは示さず)。
腎線維症被験体の血清中のCTGF
腎臓透析患者の尿中のCTGFの存在については、以前に試験されている(Riserら、(2000) J Am Soc Nephrol 11: 25-38;国際特許出願WO 00/13706号)。CTGFを検出するため、これらの従来の研究では、いずれかのヘパリンセファロースを用いてCTGFを吸着し(したがって、その結果、CTGFのN末端断片がヘパリンセファロースビーズに吸着しないためN末端断片は検出されない)、また、CTGFの全体、N末端断片またはC末端断片が区別されないELISAがCTGFに用いられており、さらに、各種のCTGF(すなわち、CTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片)の検出に同等の感度は有してはいない。
本研究では、腎線維症患者の血清中のCTGFおよびCTGF断片の濃度が検出された。正常なドナー患者からの血清と腎線維症患者からの血清をIntergen Company (Purchase, NY)から入手した。患者は、腎移植、化学的毒性またはIgAに関連している腎症の臨床症状に起因する異常腎臓機能と腎線維症を患っていた。
図8から明らかなように、腎線維症患者の血清中のCTGFの濃度およびCTGFのC末端断片の濃度は、正常個体の血清で確認された濃度と本質的に同じであるか、あるいはわずかに下回っていた。正常個体の血清、または腎線維症患者の血清中のCTGFの濃度またはCTGFのC末端断片の濃度に対応するこれらの値は、約0〜20ng/mlであった。しかし、腎線維症患者の血清からCTGFのN末端断片が容易に検出された。さらに、CTGFのN末端断片の濃度は、これら患者の血清中のCTGFの濃度およびCTGFのC末端断片の濃度よりも高かった。従って、これら患者の血清中にあるCTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片の検出、定量および比較により、腎線維症と診断されている患者のCTGFのN末端断片に有意な上昇があることがあることが明らかになった。
臓器移植被験体の血清中のCTGF
臓器移植患者の血清中のCTGFおよびCTGF断片の濃度を試験した。機能器官移植(肝臓または腎臓)患者由来の血清、ならびに慢性の移植臓器拒絶がある患者由来の血清をIntergen Companyから入手した。機能器官移植患者は、患者の臨床検査とクレアチニンクリアランスの測定とに基づいて慢性拒否反応がある患者と区別されていた。慢性移植臓器拒絶は、移植後1年以上と判断された。
図9から明らかなように、正常な臓器移植患者または臓器移植後の慢性拒否反応がある患者の血清中に存在するCTGFおよびCTGFのC末端断片の濃度は、正常個体(すなわち、臓器移植を受けていない個体)の血清で確認された濃度と本質的に同じであった。正常個体の血清、または臓器移植患者の血清中のCTGFおよびCTGFのC末端断片の濃度に対応する検出値は、CTGFおよびCTGFのC末端断片ともに約0〜20ng/mlであった。
一方、図9から明らかなように、臓器移植患者の血清中のCTGFのN末端断片が容易に検出された。さらに、正常な臓器移植患者および慢性の移植拒絶反応のある患者の血清中のCTGFのN末端断片濃度は、健康な非移植個体の血清で検出された濃度と比べて非常に高かった。肝移植個体または腎移植個体の血清中に高濃度のCTGFのN末端断片が検出された。これらの結果は、臓器移植患者の血清中のCTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片の濃度を検出、定量および比較した場合、臓器移植を受けた患者のCTGFのN末端断片は非移植個体よりも高濃度で存在することを明らかにしている。また、これらの結果から、さらに、CTGFのN末端断片の濃度は、正常な臓器移植において確認された濃度と比較した場合、臓器移植の慢性拒否反応と関連して上昇することが明らかになった。
心筋梗塞被験体の血清中のCTGF
心筋梗塞患者の血清中のCTGFおよびCTGF断片の濃度を試験した。正常なドナー個体由来の血清と心筋梗塞患者由来の血清はIntergen Companyから入手した。患者の心筋梗塞は、徴候的に診断されており、さらに、患者血清中のトロポニンI濃度の評価によって確認されていた。検査した10人の患者において、トロポニンI濃度の範囲は14.1〜103ng/mlであった。使用したトロポニンI検査法は、対応する基準範囲が0.0〜0.5ng/mlである、AXSYMイムノアッセイ系(Abbott Laboratories, Abbott Park IL)であった。
図10から明らかなように、心筋梗塞患者の血清中のCTGF濃度は、正常個体の血清中で検出された濃度よりもわずかに高かった。心筋梗塞被験体の血清中のCTGFのC末端断片濃度は、正常個体の血清で確認された濃度と本質的に同じであるか、わずかに低かった。しかし、CTGFのN末端断片は、心筋梗塞患者の血清中に容易に検出された。さらに、このCTGFのN末端断片濃度は、これら患者の血清中のCTGFおよびCTGFのC末端断片の濃度よりも上昇していた。従って、これら患者の血清中にあるCTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片の検出、定量および比較により、先の心筋梗塞の証拠がある患者のCTGFのN末端断片に有意な上昇があることがあることが明らかになった。
肝臓線維症被験体の血清中のCTGF
進行性肝臓線維症と診断された患者の血清中のCTGFおよびCTGF断片の濃度を試験した。正常なドナー患者由来の血清と肝臓線維症患者由来の血清は、Intergen Companyから入手した。図10から明らかなように、正常個体由来の血清に低濃度のCTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片が検出された。これらの結果から、正常血清では、CTGF、CTGF N末端断片およびCTGF C末端断片の濃度は、約0〜20ng/mlの範囲にあることが明らかである。肝臓線維症患者の血清中のCTGFのC末端断片濃度は、正常個体の血清で確認された濃度と本質的に同じであった。
しかし、進行性肝臓線維症患者の血清では、正常個体由来の血清中の濃度と比較すると、CTGFの濃度およびCTGFのN末端断片は上昇していた。これら患者の血清中のCTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片の濃度を検出、定量および比較することにより、肝臓線維症患者のCTGFのN末端断片が高濃度で存在することが明らかになった。
関節炎の関節液中のCTGF
関節炎の関節液中のCTGFおよびCTGF断片の濃度を検出した。正常ドナー個体由来の血清はIntergen Companyから入手した。炎症性関節疾患患者由来の関節液のサンプル(患者の膝から採取されたもの)は、Vital Products(Delray Beach FL)から入手した。図11から明らかなように、関節炎の関節液中のCTGFおよびCTGFのC末端断片の濃度は検出不可能であった。一方、CTGFのN末端断片を検出したところ、関節炎の関節液中のN末端断片濃度は、CTGFおよびCTGFのC末端断片よりも上昇していた。これら患者の関節液中のCTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片の濃度を検出、定量および比較することにより、炎症性関節疾患と診断された患者のCTGFのN末端断片が高濃度で存在することが明らかになった。
硝子体液中のCTGF
眼疾患と診断された患者の死体由来の硝子体液中のCTGFおよびCTGF断片の濃度を試験した。硝子体液はLions Eye Bank of Oregon(Portland OR)から購入した。臨床的に眼疾患であると診断された被験体および眼疾患ではない被験体から採取された硝子体液について実施されたCTGFアッセイの結果を図12Aに示す。眼疾患には、失明が誘発される1型糖尿病性網膜症、2型糖尿病の白内障および軽度の黄斑変性、および非糖尿病性両側白内障が含まれる。図12Aに示すように、臨床的に診断された眼疾患患者の硝子体液中のCTGF N末端断片濃度は、臨床的に眼疾患ではないと診断された患者の硝子体液中の濃度よりも上昇していた。
CTGF断片発現の濃度について得られたデータは、サンプル中のCTGFの濃度に対する同一サンプル中のCTGFのN末端断片の濃度の比として、あるいはサンプル中のCTGFのC末端断片濃度に対する同一のサンプル中のCTGF濃度の比として表すことができる。硝子体液中のCTGFの濃度およびCTGFのN末端断片の濃度について得られたデータ(図12A)を用いて、数学的変換を行なった。上述のデータ(硝子体液由来のサンプル)を用いてCTGFに対するCTGFのN末端断片濃度の比を検出し、その結果を図12Bに示す(N末端断片/CTGF)。また、そのCTGFの濃度に対するCTGFのN末端断片の濃度の比から、CTGFのN末端断片の濃度を検出することにより、生体サンプル中のCTGF発現のより高感度で信頼性高い評価が得られるという証拠が示された。
このデータをさらに分析して、正常被験体由来のサンプルと疾患被験体由来のサンプル間のCTGFおよびその断片の濃度について得られた値の統計学的有意差を決定した。T検定分析を図12に示したデータについて実施した。CTGFアッセイ(N-Cアッセイ)を用いた場合、正常硝子体液由来のサンプルから得られたCTGFの濃度と疾患硝子体液との差は、T検定(P=0.150)によって検出したところ統計学的に有意ではなかった。
さらに、CTGFに対するウサギポリクローナル抗体を用いてCTGFのELISAアッセイを行なった。この抗体製剤は、CTGFで免疫化した(当技術分野で周知の標準法による)ウサギで産生した。従って、この抗体製剤は、CTGFポリペプチド内の複数のエピトープを認識する複数の抗体を含有している。このウサギポリクローナル抗体を利用したCTGFを検出および定量するELISAアッセイは、当技術分野で周知の方法を用いて実施した。CTGFに対するウサギポリクローナル抗体アッセイは、CTGF、CTGFのN末端断片またはCTGFのC末端断片を区別することができない。ウサギポリクローナル抗体を用いたELISAアッセイの結果を図12A(ウサギポリクローナル)に示す。CTGFに対するウサギポリクローナル抗体を利用してCTGF濃度について得られたデータの分析によれば、正常硝子体液由来のサンプル中の疾患硝子体液に対するCTGF濃度は、T検定(P=0.317)によって検出した場合、統計学的に有意ではなかったことが明らかであった。これは、CTGF、CTGFのN末端断片またはCTGFのC末端断片を区別する本方法が、正常状態と疾患状態におけるCTGF濃度を確実に比較したことを示すものである。
一方、CTGF N末端断片濃度を測定するアッセイで得られた値をT検定分析したところ、疾患個体に対し、正常個体由来のサンプル中の硝子体液に存在するCTGFのN末端断片の量に統計学的有意差があった(P=0.007)。また、CTGFのN末端断片濃度のCTGF濃度に対するについて実施したT検定では、疾患個体に対して正常個体由来のサンプル中の硝子体液に存在するCTGFのN末端断片量に有意差があった(P 0.003)。従って、CTGF濃度のみを検出および測定しても、正常状態と疾患状態におけるCTGF濃度を区別する統計学的に有意なデータは得られなかった。しかし、本発明に記載されているCTGFのN末端断片濃度の検出および測定では、正常状態と疾患状態におけるCTGFのN末端断片濃度を区別する統計学的に有意なデータが得られる。
癌患者の血清中のCTGF
癌患者血清中のCTGFおよびCTGF断片の濃度を検出した。正常ドナー患者由来の血清および癌患者由来の血清は、Intergen Companyから入手した。以下の癌マーカーの検出および定量はIntergen Companyによって実施された。
CA 15-3は、腫瘍細胞から血流へ流れるムチン様細胞膜糖タンパク質である。CA 15-3は、乳癌患者の処置で用いられている血清癌抗原である。CA 15-3濃度は、ヘテロサンドイッチ磁気分離キットおよびBayer Diagnostics (Tarrytown NY)の試薬を用いて検出した。患者血清中で30U/ml以上の値が得られた場合、患者はCA 15-3陽性と考えられた。アッセイ標準基準範囲は0〜30U/mlであった。CA 15-3患者はすべて女性であった。年齢範囲は45〜88歳であり、CA 15-3濃度の範囲は32〜1,292U/mlであった。これらのサンプルを「乳癌および卵巣癌」の癌サンプルと定めた(図13中のサンプル群CA15-3)。試験した全CA15-3陽性患者の3分の1は、CA15-3濃度が標準の臨床基準濃度30U/mlよりも10倍以上上昇していた。
癌胚抗原(CEA)は、種々の悪性腫瘍で発見された、発現が高まっている細胞表面糖タンパク質のファミリーに属するものである。CEAは、胃腸管と乳癌をモニターするのに用いられる癌抗原である。CEA濃度をヘテロサンドイッチ磁気分離キットとBayer Diagnosticsの試薬を用いて検出した。患者血清中で5ng/mlを越える値が得られた場合、患者はCEA陽性であると考えられた。アッセイ標準基準範囲は0.1〜4.9ng/mlであった。CEA陽性患者には、CEA濃度が5.5〜2,950ng/mlであり、30〜79歳の男性および女性が含まれていた。これらの患者サンプルは、「結腸直腸癌、GIおよび乳癌」の癌サンプルと定めた(図13中のサンプル群CEA)。試験した全CEA陽性患者の3分の1は、CEA濃度が標準の臨床基準範囲よりも10倍以上上昇していた。
前立腺特異抗原(PSA)は、主として前立腺の腺房および腺管に並ぶ上皮細胞によって産生される糖タンパク質である。高濃度の血清PSAは前立腺病理学の重要なマーカーになっており、腫瘍マーカーとして前立腺癌の早期発見に用いられている。PSA濃度をヘテロサンドイッチ磁気分離キットとBayer Diagnosticsの試薬を用いて検出した。患者血清中で8.0ng/mlを越える値が得られた場合、患者はPSA陽性であると考えられた。アッセイ標準基準範囲は0〜4ng/mlであった。PSA陽性患者は全員男性だった。年齢範囲は55〜96歳であり、PSA濃度の範囲は8.3〜1,919.0ng/mlであった。これらのサンプルを「前立腺」癌サンプルとして定めた(図13中のサンプル群PSA)。試験した全PSA陽性患者の3分の1は、PSA濃度が標準の臨床基準範囲よりも10倍以上上昇していた。
CA 19-9は、シアリル化Lewis-A五炭糖エピトープ(ラクト-N-フコペンタオースII)を含む、腫瘍に関連するムチンである。CA19-9は膵臓、胃、胆嚢、結腸、卵巣および肺の腺癌によって産生され、循環流動に入る。CA 19-9濃度はBayer Diagnosticsによって検出した。これらのサンプルを「膵臓、GIおよび肝臓」癌サンプルと定めた (図13中のサンプル群CA19-9)。
図13に示すように、ある種の癌マーカー濃度の高値により検出されるように(上述および図13で明らかなように)、CTGF N末端断片濃度は正常個体の血清中のCTGF N末端断片濃度と比較した場合、種々のタイプの癌の患者血清中で上昇していた。これら患者の血清中のCTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片の濃度を検出、定量および比較することにより、種々の形態の癌と診断された患者のCTGFのN末端断片が高濃度で存在することが明らかになった(CTGFおよびCTGFのC末端断片の濃度についてのデータは示さず)。
I型糖尿病被験体の尿中のCTGFのN末端断片
I型糖尿病と診断された被験体の尿中のCTGF N末端断片の濃度を上述のCTGF ELISAアッセイを用いて検出および定量した。I型糖尿病患者における腎臓細管の損傷程度を糖尿病腎症などの重度の腎臓病でよく用いられている指標である、患者の尿中のアルブミン(アルブミン尿)量を測定することにより判断した。患者は、20〜200pg/分の尿タンパク(アルブミン)排出濃度の場合に陽性微量アルブミン尿試験結果を有すると判断された。マクロアルブミン尿は、尿タンパク(アルブミン)排出濃度が200μg/分を超えるものとして定義した。患者は、20μg/分より低い尿タンパク(アルブミン)排出濃度の場合にアルブミン尿については正常であると判断された。従って、I型糖尿病患者は、実施したアルブミン尿試験の結果に基づいて、正常、微量アルブミン尿または大量アルブミン尿として分類した。
CTGFのN末端断片の濃度をI型糖尿病患者の尿中で測定し、尿クレアチニンの測定濃度と比較した。これらの個体のCTGFのN末端断片濃度について得られたデータは、図14Aに示すように、対数目盛に変換(数学的変換)した。結果は、クレアチニン1ミリグラム当たりのCTGFのN末端断片(ナノグラム)として示す。図14Aから明らかなように、アルブミン尿のないI型糖尿病患者の濃度と比較した場合、CTGFのN末端断片の濃度が上昇していることが微量アルブミン尿および大量アルブミン尿のあるI型糖尿病被験体由来の尿で検出された。CTGFまたはCTGFのC末端断片は、これらのサンプルでは検出されなかった(データは示さず)。クレアチニン(ミリグラム)当たりのCTGFのN末端断片の濃度(ナノグラム)は、大量アルブミン尿があると見なされた患者の尿で最も高かった。
データを数学的変換した後に対数目盛にその結果を図示すると、尿中で測定されたN末端CTGF断片の濃度は、測定された群(すなわち、正常アルブミン尿、微量アルブミン尿または大量アルブミン尿のある患者)において、腎臓細管損傷(アルブミン尿濃度/クレアチニン濃度によって測定されたもの)と関連があったことが明らかであった (図14Aを参照されたい)。
また、I型糖尿病患者の尿中で測定されたCTGFのN末端断片濃度をこれら個体の尿へのアルブミン排出速度と比較した。尿中へのアルブミン排出速度(1分当たりのアルブミン(マイクログラム)として表される)の測定は、腎臓障害の程度または腎臓病の重篤度を示すため用いられることが多い。腎臓の障害が大きくなり、さらに腎臓の適切または正常な機能が損なわれた場合、アルブミンの尿中への排出速度は、正常な腎臓において確認された速度よりも速いことが確認されている。図14Bに示すように、上昇したCTGFのN末端断片濃度(クレアチニン(ミリグラム)当たりのCTGFのN末端断片(ナノグラム)として示す)は、I型糖尿病患者由来の尿において上昇したアルブミン排出速度と深く関係していた。図14B中の矢印は、正常個体のアルブミン排出率の最大限界を示す。
硬皮症患者の血漿中のCTGF
硬皮症は、皮膚、血管、骨格筋および内臓の繊維症変化、退行性変化および炎症性変化を特徴とする結合組織疾患である。小動脈壁を覆っている細胞の損傷と皮膚の硬質瘢痕様線維組織の異常沈着はこの疾患の特徴である。硬皮症患者は、この疾患の局所性病状または全身性病状を発症する可能性がある。局所的硬皮症では、手と顔の皮膚の領域が冒されることが多い。全身性硬皮症には、身体の器官、皮膚の広範な領域、またはその両方が含まれ得る。全身性硬皮症(全身性硬化症としても知られている)には2種類の主要な変種があり、局限性硬皮症および全身性硬皮症と呼ばれ、その両病状は進行性である。局限性硬皮症の影響は広範囲にわたる可能性があるが、内臓に影響を及ぼすことはほとんどない。全身性硬皮症は、皮膚、結合組織および他の器官に広範囲にわたって影響を及ぼし得る。罹患者は、胃腸、心臓、腎臓、または肺性の病変から死に至る可能性がある。
全身性硬皮症個体または局限性硬皮症個体の血漿中のCTGFおよびCTGF断片の濃度を上述の方法を用いて測定し、正常個体の血漿で確認された濃度と比較した。正常個体と、全身性硬皮症個体または局限性硬皮症個体の間にCTGFのCTGFまたはC末端断片の濃度の有意差は確認されなかった。しかし、正常個体で確認された濃度と比較した場合、CTGFのN末端断片濃度における差が全身性硬皮症個体または局限性硬皮症個体の血漿において確認された。従って、これら個体の血漿中のCTGF、CTGFのN末端断片およびCTGFのC末端断片を検出、定量および比較することにより、全身性硬皮症個体または局限性硬皮症個体のCTGFのN末端断片の濃度が上昇していることが明らかになったが、全身性硬皮症または局限性硬皮症は、CTGFまたはCTGFのC末端断片の濃度を検出することによっては確認されなかった。
肺線維症中のCTGF
肺損傷は抗癌療法で認められる高頻度副作用である。高用量の電離放射線の適用によって、有害な肺炎および肺線維症が生じていると考えられる。放射線肺炎(最終的に肺線維症が起こる)は、照射の分野に限定されている、放射線による局所的サイトカイン産生により発症すると考えられる。放射線が放射線感受性細胞毒と組み合わさった場合、結果として生じる線維症は、放射線処理単独で認められる症状よりも発症がより顕著であり、速いように思われる。肺炎から線維症への進行に随伴する特定の病態生理的変化は、完全には明らかにされていない。ここでは、これらの患者の肺機能の障害を測定し検出を行い、線維症の程度および進行を検出する。
実験的証拠によると、CTGF発現は肺損傷後に上昇することが明らかである。例えば、CTGF濃度は、マウスにおいてブレオマイシン誘発肺線維症で上昇することが示された(Laskyら、(1998) Am J Physiol 275:L365-L371)。さらに、CTGF mRNA濃度は、肺線維症でなく、健康で禁煙コントロール中の患者由来のBAL液体中に存在するその濃度と比較した場合、間質性肺線維症(IPF)患者由来の気管支肺胞洗浄(BAL)液体ではその10倍以上に増加し、ステージI/IIのサルコイドーシス患者では40倍以上に増加し、ステージIII/IVのサルコイドーシス患者では90倍以上に増加していた(Allenら、(1999) Am J Respir Cell Mol Biol 21: 693-700)。このため、血漿、唾液または肺洗浄液中のCTGFまたはCTGF断片の濃度の変化は、したがって、放射線治療を受けている患者に発症する肺病理学上の変化を診断する手段として有用である。従って、本発明の方法を用いて、かかる治療後にCTGFおよびCTGF断片の濃度をモニターすることにより、特定の治療後に発症し得る繊維症反応の診断における判断材料が得られる。
住血吸虫症中のCTGF
住血吸虫症の進行例は、肝臓に住血吸虫卵が存在することを特徴とする。未治療の患者では、住血吸虫卵に対する肉芽腫性の反応が生じた後、広汎性肝線維症および肝腫が進行する。門脈周囲の線維症では、脾腫、門脈拡張および門脈体静脈側枝の発達が伴う(Kardorffら、(1999) Acta Tropica 73: 153-164)。これらの変化は、線維症マーカー(例えば、カルボキシル末端プロコラーゲンIVペプチド(NC1)およびヒアルロン酸)の血中濃度の上昇と確実に関連している(Kardorffら、(1999) (上掲)、およびRicard-Blumら、(1999) Am J Trop Med Hyg 60:658-663)。
血漿、尿または組織バイオプシー中のCTGFまたはCTGF断片の濃度の変化は、住血吸虫症に罹患している個体で発症する肝臓病理学的変化の診断の手段として有用である。従って、本発明の方法を用いて、かかる個体のCTGFおよびCTGF断片の濃度をモニターすることにより、住血吸虫症の感染および進行後の肝臓における線維症反応を診断する判断材料が得られる。
炎症性障害および伝染性障害におけるCTGF
狭窄性細気管支炎(肺移植患者では閉塞性細気管支炎とも称する)には、膜様細気管支および呼吸気管支の壁および隣接組織で主に発症し、生じた内腔狭窄を伴った炎症と線維症が含まれる。狭窄性細気管支炎は、肺および心肺移植の併発症であることが多いが、骨髄移植にも関係している。また、狭窄性細気管支炎は、毒物の吸入後、ある種の医薬品の摂取後の慢性関節リウマチと、まれな併発症として、アデノウイルス、インフルエンザA型、麻疹および小児肺炎マイコプラズマ感染にも関係している。現在、肺移植患者および他の患者における狭窄性細気管支炎の病理組織学的診断は、病変が斑状に分布しているので、広汎性線維症のある遅発性病変中の組織を採取する際に技術的困難が伴い、病変を確認しにくいという困難な問題がある。疾患の初期段階では、狭窄性細気管支炎はルーチンヘマトキシリンエオシン染色標本ではとらえ難く、かつ見逃しやすく、一方、進行段階では、肺の中の斑状の瘢痕を非特異的なものとして判断する場合、疾患を診断するのが同様に困難である。
繊維症反応に関連している炎症性疾患および感染症の他の例(CTGFおよびCTGF断片の濃度の検出および定量がかかる疾患の診断および予測に有用である)には、以下のもの、すなわち、原発性胆汁性肝硬変症、主に女性が罹患し、門脈炎症線維症および終末線維症(ultimately fibrosis)を伴う小型肝内胆管の慢性的進行性破壊を特徴とする自己免疫性疾患;特発性肺線維症、特発性肺線維症または膠原血管病に関連している間質性肺炎の発病にアデノウイルスが関与していることが最近特徴づけられている;および腎盂腎炎などの腎実質性感染、(すなわち、腎臓実質組織、および腎臓腎盂内層の炎症細菌感染によることが多い)後天性(出生後の)腎瘢痕の先行条件であると考えられる;が含まれる。
血漿、尿または組織バイオプシー中のCTGFまたはCTGF断片の濃度の変化は、感染および炎症の後で生じる組織中の繊維症反応の開始と進行を診断する手段として有用である。従って、本発明の方法を用いて、かかる個体中のCTGFおよびCTGF断片の濃度をモニターすることにより、種々の障害に関連している感染炎症後の繊維症反応の進行の診断材料とモニター方法が得られる。
本明細書に示され、記載されたもの以外に、本発明の種々の変更は、先の記載からの当業者に明らかであろう。かかる変更は、添付の特許請求の範囲内にあるものとする。
本明細書に引用された文献はすべて、それら全体を引用により本明細書に援用する。
図1A〜Cは、本発明におけるCTGFのモジュール構造、特定のアッセイの説明、および本発明の典型的な試薬を示す図である。図1Aは、CTGFをコードするポリヌクレオチド転写物のエクソン構造、CTGFタンパク質のドメイン構造、およびCTGFのN末端またはC末端断片上のエピトープに特異的に結合する典型的な抗体試薬を示す図である。 図1Bは、CTGFのN末端断片またはCTGFのC末端断片に特異的に結合する試薬の特異性を説明するウェスタンブロットを示す図である。 図1Cは、本発明によって検討された種々の2重試薬「サンドイッチ」アッセイフォーマットと、各アッセイ中で使用可能な典型的な試薬を示す図である。 図2は、CTGFのN末端断片およびC末端断片と区別して、CTGFの濃度を検出するELISAアッセイ(N-Cサンドイッチアッセイ)の特異性を示すグラフである。 図3は、CTGFのC末端断片と区別して、CTGFとCTGFのN末端断片の濃度を検出するELISAアッセイ(N-Nサンドイッチアッセイ)の特異性を示すグラフである。 図4は、CTGFのN末端断片と区別して、CTGFおよびCTGFのC末端断片を検出するELISAアッセイ(C-Cサンドイッチアッセイ)の特異性を示すグラフである。 図5A、5Bおよび5Cは、ウェスタンブロット分析による細胞培養液上清中のCTGFおよびCTGF断片の濃度を示す図である。 図6は、正常なヒトの尿中で、CTGFのN末端断片がCTGFよりも安定性が高いことを示すグラフである。 図7Aは、腹膜透析を受けている被験体から得た透析物中のCTGFのN末端断片の濃度を示すグラフである。患者は、1型糖尿病、糸球体腎炎または多嚢胞性繊維症と診断されていた。 図7Bは、腹膜透析を受けている被験体から得た透析物中のCTGFのN末端断片の濃度を示すグラフである。患者は、1型糖尿病、糸球体腎炎または多嚢胞性繊維症と診断されていた。 図8は、正常な健康な個体のCTGFおよびCTGF断片の濃度と比較した、腎繊維症患者から得られた血清サンプル中のCTGFおよびCTGF断片の濃度を示すグラフである。繊維症の根本的原因は、移植拒絶反応、化学的毒性または自己免疫性繊維症と診断されていた。 図9は、臓器移植患者および慢性的移植臓器拒絶のある患者から得られた血清サンプル中のCTGFおよびCTGF断片の濃度を示すグラフである。 図10は、正常な健康な個体の血清中のCTGFおよびCTGF断片の濃度と比較した、心筋梗塞または進行性肝臓繊維症患者から得た血清中のCTGFおよびCTGF断片の濃度を示すグラフである。 図11は、正常血清中のCTGFおよびCTGF断片の濃度と比較した、炎症性関節疾患の個体から得られた関節液中のCTGFおよびCTGF断片の濃度を示すグラフである。 図12Aは、種々の眼疾患被験体から得られた硝子体液中のCTGFおよびCTGF断片の濃度を示すグラフである。図12Bは、種々の眼疾患被験体から得られた硝子体液中のCTGFおよびCTGF断片の濃度を示すグラフである。 図13は、種々の癌を患っている複数の個体から得られた血清サンプル中のCTGFのN末端断片の濃度を示すグラフである。 図14Aおよび14Bは1型糖尿病を患っている個体から得られた尿中のCTGFのN末端断片の濃度を示すグラフである。図14Aは、アルブミン尿症、ミクロアルブミン尿症またはマクロアルブミン尿症は伴わない1型糖尿病患者のCTGFのN末端断片の濃度を示す。図14Bは、1型糖尿病患者の尿中のCTGFのN末端断片の濃度と、尿中へのアルブミン排出速度の相関を示す。 図15は、ヒトCTGFの核酸系列(配列番号1)およびアミノ酸配列(配列番号2)を示す。ドメインは枠で囲み、影をつけた。また、ドメインはIGF-BP(インシュリン様増殖因子結合タンパク質モチーフ)、VWC(von Willebrand C型ドメイン)、およびTSP1(トロンボスポンジン1型ドメイン)と同定された。さらに、隣接するエクソンに対して境界を示す。 図15Bは、図15Aの続きである。 図16は、ヒトCTGF(hCTGF;配列番号2)およびオーソロガスの雌牛(bCTGF)、ブタ(pCTGF)、ラット(rCTGF)およびマウス(FISP12)のCTGF配列のアミノ酸配列間の配列比較を示す。配列比較は、CLUSTALW多重配列整列プログラムを用いて作成した(v.1. 74; Thompsonら、(1994) Nucleic Acids Res 22: 4673-4680)。
配列表
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Claims (21)

  1. CTGF 関連障害の存在を決定する方法であって、サンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチド濃度を定量することを含み、該定量ステップが、
    (a)結合に好適な条件下において、被験体由来のサンプルを、CTGF N末端断片領域に特異的に結合する第1試薬と接触させること、
    (b)第1試薬を分離すること、および
    (c)第1試薬に結合しているポリペプチドの濃度を定量すること、
    を含む、上記方法。
  2. 第1試薬が基板に結合されている、請求項1に記載の方法。
  3. 第1試薬が抗体またはその機能的フラグメントである、請求項1に記載の方法。
  4. さらに、
    (a)結合に好適な条件下において、第1試薬に特異的に結合する試薬と、第1試薬によって結合される領域とは異なるCTGFの領域に特異的に結合する試薬とからなる群から選択される第2試薬を添加すること、
    (b)未結合の第2試薬を除去すること、および
    (c)結合している第2試薬の量を定量すること、ここで、結合している第2試薬の量が、サンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチド濃度に相当する、
    を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 第2試薬が検出可能な標識に結合されている、請求項4に記載の方法。
  6. 検出可能な標識が、蛍光剤、放射性同位体、金属、および酵素複合体からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 第2試薬が、第1試薬によって結合される領域とは異なるCTGF領域に特異的に結合し、さらに、第2試薬がCTGF N末端断片領域に特異的に結合する、請求項4に記載の方法。
  8. 第2試薬が第1試薬に特異的に結合し、さらに、第2試薬が、第1試薬への結合に関して、CTGF N末端断片を含むポリペプチドと特異的に競合する、請求項4に記載の方法。
  9. 第2試薬が、第1試薬によって結合される領域とは異なるCTGFの領域に特異的に結合するものであり、さらに、該第2試薬がCTGF C末端断片領域に特異的に結合する、請求項4に記載の方法。
  10. 第2試薬が抗体またはその機能的フラグメントである、請求項4に記載の方法。
  11. 第2試薬が、担体に結合しているかまたは結合していないヘパリンである、請求項9に記載の方法。
  12. サンプルが哺乳動物から取得されたものである、請求項1に記載の方法。
  13. 哺乳動物がヒトである、請求項12に記載の方法。
  14. サンプルが尿または血漿から選択されるものである、請求項1に記載の方法。
  15. さらに、サンプル中にCTGF N末端断片を含むポリペプチド濃度をCTGF N末端断片の基準濃度と比較することを含み、
    サンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチド濃度と基準のCTGF N末端断片の濃度の差がCTGF関連障害の存在を示すものである、請求項1に記載の方法。
  16. CTGF関連障害が、腎線維症、肝臓線維症、心臓線維症、炎症性関節病、癌、糖尿病、硬皮症、臓器移植、腹膜透析または心筋梗塞からなる群から選択されるものである、請求項15に記載の方法。
  17. さらに、第2サンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチド濃度を第1サンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチド濃度と比較することを含み、
    第1サンプルおよび第2サンプルが異なる時期に同一の供給源から取得されたものであり、かつ、第2サンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチド濃度と第1サンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチド濃度の差が、CTGF N末端断片を含むポリペプチド濃度の経時的変化を示すものである、請求項1に記載の方法。
  18. CTGF関連障害の存在を検出する方法であって、
    (a)被験体由来のサンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチド濃度を定量すること、および
    (b)サンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチド濃度を基準濃度と比較すること、ここで、サンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチドの増加量または減少量がCTGF関連障害の存在を示すのである、
    を含む、上記方法。
  19. CTGF関連障害の経過予測方法であって、
    (a)被験体由来のサンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチド濃度を定量すること、および
    (b)サンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチド濃度を基準濃度と比較すること、ここで、サンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチドの増加量または減少量がCTGF関連障害の存在を示すものである、
    を含む、上記方法。
  20. 被験体のCTGF関連障害の進行をモニターする方法であって、
    (a) 被験体由来の第1サンプルおよび第2サンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチド濃度を定量すること、ここで、第1サンプルおよび第2サンプルは異なる時期に取得されたものである、および
    (b)第1サンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチド濃度を、第2サンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチドの濃度と比較すること、ここで、第1サンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチド濃度と第2サンプル中のCTGF N末端断片を含むポリペプチド濃度の差がCTGF関連障害の進行を示すものである、
    を含む、上記方法。
  21. CTGF 関連障害の存在を決定するためのキットであって、
    (a)CTGF N末端上のある領域に特異的に結合する第1試薬、および
    (b)第1試薬によって結合される領域とは異なるCTGF N末端上の領域に特異的に結合する第2試薬、
    を含む、上記キット。
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