JP4226317B2 - 小型車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体が、車体フレームと、その車体フレームを覆う車体カバーとを備えると共に、その車体フレームが、前輪を軸支するフロントフォークを操向可能に支承するヘッドパイプと、そのヘッドパイプから後方に延びるメインフレームとを有しており、車体カバーの後部上にシートが配設されると共に、そのシートの下方で車体カバー内に荷室が形成され、後輪を後端部で軸支するスイングアームが、荷室の下方に配置されて、車体に対し上下揺動可能に支承される小型車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
シートの下方で、車体カバー内に荷室が形成される自動二輪車が、たとえば下記特許文献1等で既に知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−213380号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の自動二輪車では、荷室が、リヤシートの後端下方からメインシートの前端下方までの間で前後に延びるようにして車体カバー内に形成されている。しかるに、最近のレジャーの多様化に伴って、ゴルフバッグや釣り竿等の長尺物を機動性に優れた自動二輪車等の小型車両に積載可能としたいと言う要望があるが、そのような小型車両の開発にあたっては、車両の重心位置が高くなることは避けたい。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、車両の重心位置が高くなることを回避可能とした小型車両を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、車体が、車体フレームと、その車体フレームを覆う車体カバーとを備えると共に、その車体フレームが、前輪を軸支するフロントフォークを操向可能に支承するヘッドパイプと、そのヘッドパイプから後方に延び るメインフレームとを有しており、車体カバーの後部上にシートが配設されると共に、そのシートの下方で車体カバー内に荷室が形成され、後輪を後端部で軸支するスイングアームが、荷室の下方に配置されて、車体に対し上下揺動可能に支承される小型車両において、前記荷室にはバッテリ収納部が、車両側面視で前記スイングアームと重なるように設けられることを特徴とする。
【0007】
このような請求項1記載の発明の構成によれば、機動性に優れた小型車両に、その重心位置が高くなることを回避して良好な操縦性を維持することが可能となる。
【0008】
また請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、前記スイングアームが、後輪を間に挟むように後輪の左右に一対設けられ、その後輪よりも前側で左右のスイングアーム間に前記バッテリ収納部が配置されることを特徴とし、また請求項3記載の発明は、上記請求項1又は2記載の発明の構成に加えて、前記バッテリ収納部が前記荷室の底部に、該荷室よりも下方に突出して形成されることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に示す本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1〜図3は本発明の一実施例を示すものであり、図1は自動二輪車の側面図、図2は図1の2−2線断面図、図3は図1の3−3線断面図である。
【0011】
先ず図1において、小型車両である自動二輪車の車体は、車体フレーム11と、その車体フレーム11を覆う車体カバー14とから構成されるものであり、車体フレーム11は、前輪WFを下端で軸支するフロントフォーク15を操向可能に支承するヘッドパイプ12と、該ヘッドパイプ12から後ろ下がりに延びるメインフレーム13とを備え、前記フロントフォーク15の上部にはバー状の操向ハンドル16が連結される。
【0012】
前記メインフレーム13には、シリンダ軸線Cをほぼ水平としたたとえば2気筒水冷式のエンジンEと、ベルト式の無段変速機Mとから成るパワーユニットPが結合される。
【0013】
図2において、前記パワーユニットPの後部すなわち無段変速機Mの後部には、後輪WRの左右に配置される一対のスイングアーム17,18の前端部が上下揺動可能に支承されており、それらのスイングアーム17,18の後端部間で後輪WRが軸支される。
【0014】
前記パワーユニットPの後部である無段変速機Mは、後ろ上がりに傾斜して配置されるものであり、後ろ上がりに傾斜した前記両スイングアーム17,18の前端部が、前記無段変速機Mの後端部に上下揺動可能に支承される。しかも両スイングアーム17,18の下方に配置される機能部品としてのリヤクッション19が、パワーユニットPの無段変速機Mと、両スイングアーム17,18の連結部との間にわたって設けられる。
【0015】
ところで、前記両スイングアーム17,18のうち後輪WRの左側に配置されるスイングアーム17は中空の筒状に形成されており、このスイングアーム17にはドライブシャフト20が収納される。而してドライブシャフト20の前端には、無段変速機Mにおける出力軸21がベベルギヤ22,23を介して連結されており、ドライブシャフト20の後端は、後輪WRの車軸24にベベルギヤ25,26を介して連結される。
【0016】
図3を併せて参照して、メインフレーム13は、たとえばアルミニウム合金の鋳造によってヘッドパイプ12と一体に形成されるものであり、該メインフレーム13の前部を機能部品である燃料タンク27として用いるべくメインフレーム13内の前部には燃料貯留室27aが形成される。またメインフレーム13の後部は下方を開放した略U字状に形成されており、エンジンEにおけるシリンダヘッド28の上方に配置される機能部品としてのエアクリーナ29の大部分がメインフレーム13の後部内に収納される。さらにエンジンEの前方斜め上に配置される他の機能部品であるラジエータ30がメインフレーム13に支持される。
【0017】
前記エンジンEにおけるシリンダヘッド28の下部側壁に接続される排気管31は後方に延出され、後輪WRの右側に配置される排気マフラー32に接続される。
【0018】
車体カバー14は、前輪WFの上方から後輪WRの上方までの間にわたって、車体フレーム11、パワーユニットP、スイングアーム17,18および排気マフラー30等を覆うように形成されるものであり、この車体カバー14の後部上に、ライダー用のメインシート33と、同乗者を乗せるようにしてメインシート33の後方に配置されるリヤシート34とが配設される。
【0019】
ところで、メインシート33およびリヤシート34の下方で前記車体カバー14内には荷室35が形成されるのであるが、本発明に従えば、ゴルフバッグや釣り竿等の長尺物40やヘルメット41等を荷室35に収納するために、後輪WRの上方を後端位置とした荷室35が、ヘッドパイプ12の直後までメインシート33よりも前方に延びるようにして前後に連続して車体カバー14内に形成される。
【0020】
この荷室35を形成するための収納箱36が車体カバー14内に収納、固定されており、前記両スイングアーム17,18の中間部に対応する位置で前記収納箱36の底部には、前記両スイングアーム17,18間に配置されるバッテリ収納部36aが下方に突出するようにして一体に形成され、バッテリ収納部36aにバッテリ37が収納され、バッテリ収納部36aの上端開口部を閉じる蓋部材38が着脱可能として収納箱36の底部に取付けられる。
【0021】
前記荷室35を形成する収納箱36は、メインフレーム13の上方から両スイングアーム17,18の上方を経て後輪WRの上方まで前後に延びるようにして車体カバー14内に収納固定されており、パワーユニットPや、他の機能部品であるリヤクッション19、燃料タンク27、エアクリーナ29およびラジエータ30が、荷室35の下方に集約して配置されることになる。
【0022】
またメインシート33の前方で収納箱36の上部には、荷室35の上部を閉じるカバー39が開閉可能に取付けられており、このカバー39は、荷室35の容積を極力大きくするためにメインシート33よりも上方に大きく彎曲した形状に形成される。
【0023】
次にこの実施例の作用について説明すると、後輪WRの上方を後端位置とした荷室35が、ヘッドパイプ12の直後までメインシート33よりも前方に延びるようにして前後に連続して車体カバー14内に形成されるので、ゴルフバッグや釣り竿等の長尺物40を荷室35に収納することができる。
【0024】
また後輪WRを駆動するパワーユニットPおよび複数の機能部品すなわちリヤクッション19、燃料タンク27、エアクリーナ29およびラジエータ30が、荷室35の下方に集約して配置されているので、その重心位置が高くなることを回避することができる。
【0025】
したがって機動性に優れた自動二輪車に、その重心位置を低くすることで良好な操縦性を維持しつつ、長尺物40を積載することが可能となる。
【0026】
またパワーユニットPが、ヘッドパイプ12から後方に延びるメインフレーム13に結合され、該パワーユニットPの後部に、後輪WRを後端部で軸支するスイングアーム17,18の前端部が上下揺動可能に支承されているので、パワーユニットPを車体フレーム11の構成部材として用いることで車体フレーム11を構成する部品点数を少なくし、車体の軽量化および低重心化に寄与することができる。
【0027】
またメインフレーム13が、その前部を燃料タンク27として用いるべく内部に燃料貯留室27aを形成してヘッドパイプ12と一体成形されるので、部品点数をより少なくすることができるとともに、車体フレーム上に燃料タンクを搭載するものに比べて自動二輪車の重心位置をより低くすることができる。
【0028】
さらにパワーユニットPの後部である無段変速機Mが後ろ上がりに傾斜して配置され、後ろ下がりに延びるスイングアーム17,18の前端部が無段変速機Mの後端部に上下揺動可能に支承され、スイングアーム17,18の下方に配置されるリヤクッション19が、パワーユニットPおよびスイングアーム17,18間に設けられるので、パワーユニットPおよびスイングアーム17,18間の下方スペースにリヤクッション19を有効に配置することができ、リヤクッション19が低い位置にあることで、重心位置をより低くすることができる。
【0029】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0030】
たとえば上記実施例では、自動二輪車について説明したが、自動三輪車にも適用可能である。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、機動性に優れた小型車両に、その重心位置が高くなることを回避して良好な操縦性を維持可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動二輪車の側面図である。
【図2】 図1の2−2線断面図である。
【図3】 図1の3−3線断面図である。
【符号の説明】
12・・・ヘッドパイプ
13・・・メインフレーム
14・・・車体カバー
15・・・フロントフォーク
17,18・・スイングアーム
33・・・メインシート
34・・・リヤシート
35・・・荷室
36a・・バッテリ収納部
P・・・・パワーユニット
WF・・・前輪
WR・・・後輪
Claims (3)
- 車体が、車体フレーム(11)と、その車体フレーム(11)を覆う車体カバー(14)とを備えると共に、その車体フレーム(11)が、前輪(WF)を軸支するフロントフォーク(15)を操向可能に支承するヘッドパイプ(12)と、そのヘッドパイプ(12)から後方に延びるメインフレーム(13)とを有しており、
車体カバー(14)の後部上にシート(33,34)が配設されると共に、そのシート(33,34)の下方で車体カバー(14)内に荷室(35)が形成され、
後輪(WR)を後端部で軸支するスイングアーム(17,18)が、荷室(35)の下方に配置されて、車体に対し上下揺動可能に支承される小型車両において、
前記荷室(35)にはバッテリ収納部(36a)が、車両側面視で前記スイングアーム(17,18)と重なるように設けられることを特徴とする小型車両。 - 前記スイングアーム(17,18)が、後輪(WR)を間に挟むように後輪(WR)の左右に一対設けられ、その後輪(WR)よりも前側で左右のスイングアーム(17,18)間に前記バッテリ収納部(36a)が配置されることを特徴とする、請求項1記載の小型車両。
- 前記バッテリ収納部(36a)が前記荷室(35)の底部に、該荷室(35)よりも下方に突出して形成されることを特徴とする、請求項1又は2記載の小型車両。
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