JP4219709B2 - Method for producing depsipeptide - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オキシ酸のヒドロキシ基と、アミノ酸のカルボキシル基との反応を容易にし、ポリデプシペプチドの製造を容易にできるデプシペプチドの製造方法や、生体内や、環境中で任意の期間で分解・消滅させることができるデプシペプチドに関する。
【0002】
【従来の技術】
生体内にある疾病器官の近傍に埋め込んで、その疾病の治療に有効な薬物を有効濃度で疾病の完治までの期間、徐々に放出する徐放性薬物送達系(DDS)は、薬物が疾病患部に到達するまでに分解されることを考慮して有効濃度を遥かに超えた濃度の薬物を投与する経口又は注射による投与と比較して、副作用を抑制することができるため、現在の医療研究の重要なテーマである。DDSの一つとして、生体内で分解、消化されながら内部に包み込まれた薬物を放出し、薬物放出後には完全に生体内から消失する系が理想的である。DDSに使用可能な薬物を保持する生分解性高分子材料においては、▲1▼容易に生分解を受ける、▲2▼薬物を変成させることなく容易に混合でき、且つ成型することができる、▲3▼薬物の放出が均一で制御が可能である等の性質を備えていることが要請される。かかる生分解性高分子材料として、主鎖がアミド結合で連結したポリアミノ酸が挙げられるが、アミド結合は分子間あるいは分子内で強固な水素結合を形成して安定な高次構造を有するため、ポリアミドを生分解によって分解するためには、この強固な水素結合で支持された高次構造を切断する必要があり、不安定構造を有するラセミ体や、イオン化する極性側鎖を有する特殊なポリアミノ酸を除き、完全には生分解されないことが明らかにされている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
生分解が可能なDDS用の高分子として、水酸基とカルボキシル基を分子内に有するオキシ酸がエステル縮合したポリオキシ酸がその対象とされ、ポリオキシ酸について、エステル結合が水素原子を有しないことから、エステル結合においては水素結合が生じることがなく、ポリアミノ酸より容易に生分解されることが明らかにされている。更に、オキシ酸と水から無触媒でオキシ酸を重合する方法が開発され、触媒の残渣の混入がないオリゴマーを重縮合したポリマーは、DDSに使用した場合、金属触媒を使用して生成したものと比較して異物反応を誘発するおそれがなく、また、分子間相互作用が弱いため溶融成型も容易に行なえることから、DDSの好ましい材料とされている。ポリオキシ酸は低分子量の試料ほど生分解速度が速く、特に、低分子量ポリ−DL−乳酸が好ましいDDSとして採用されている(例えば、非特許文献2〜4参照。)。
【0004】
更に、ポリオキシ酸のオリゴマーの生分解機構が明らかになれば、所望の生分解性を有する材料が得られることが予測される。配列順序(シークエンス)が明らかなオキシ酸を用い、どの部位から生分解が開始されるかの知見が得られれば、更なる機能を備えたDDS材料を得ることも可能であり、このようなシーケンスが決められた系として、オキシ酸とアミノ酸とが結合したポリデプシペプチドを選択することができる。
【0005】
一方、生分解物質として、触媒存在下、光学活性3−置換−2,5−モルホリンジオン1.0モルと、環状ラクトン約0.02モルから1.0モルを重合せしめることからなるデプシペプチド共重合体や、ポリデプシペプチドから製造される生物吸収外科用装置等(例えば、特許文献1参照。)や、特定のポリアミドユニットと、特定のポリエステルユニットと、特定のポリラクトンユニットとを有し、ポリアミドユニットのモル数Ma、ポリエステルユニットのモル数Mb、ポリラクトニュニットのモル数Mcが30/70≦(Ma+Mb)/Mc≦99/1である生分解性ポリラクトンエステルアミド(例えば、特許文献2参照。)等が知られている。また、特定のデプシペプチド1〜50重量部%と、乳酸99〜50重量%とからなり、その数平均分子量が5000〜200000である乳酸系生分解性重合体が、良好な生分解性を有し、強度を保持したまま、柔軟性を向上させること(例えば、特許文献3参照。)等や、ラクチドと水酸基、アミノ基及びカルボキシル基からなる群から選択される少なくとも1種の反応性置換基を有するε−カプロラクトンとを開環重合して得られる生分解性共重合体が、成形性が良好で各種の利用形態に応じた機能性を有し、生分解性に優れていること(例えば、特許文献4参照。)等が知られている。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−188411号公報
【特許文献2】
特開平11−35679号公報
【特許文献3】
特開2001−31762号公報
【特許文献4】
特開2002−234934
【非特許文献1】
M.Asano,M.Yoshida,I.Kaetsu,K.Nakai,H.Yamanaka,H.Yuasa,K.Shida,K.Suzuki,M.Oya著「 Makromol.Chem.,184」1983年p.1761
【非特許文献2】
M.Asano,H.Fukuzaki,M.Yoshida,M.Kumakura,T.Mashimo,H.Yuasa,K.Imai,H.Yamanaka,K.Suzuki著「J.Controlled Rlease,9」1989年p.111
【非特許文献3】
M.Asano,H.Fukuzaki,M.Yoshida,M.Kumakura,T.Mashimo,H.Yuasa,K.Imai,H.Yamanaka著「Biomaterials,10」1989年p.569
【非特許文献4】
真下透、湯浅久子、今井強一、山中英寿、浅野雅春、吉田勝、熊倉稔著「北関東医学41」1991年p.311
【非特許文献6】
著「Synlett」2001年p.1245
【0007】
しかしながら、これらの文献に記載される生分解物質の生成においては、オキシ酸とアミノ酸が一定の配列となった定序配列ポリデプシペプチドを得るため、式(IV−1)に示すように、オキシ酸(a)のヒドロキシ基とアミノ酸のカルボキシル基とのエステル化反応にあたり、オキシ酸においてヒドロキシ基はカルボキシル基より反応性が低いため、カルボキシル基をベンジルエステルとして保護したオキシ酸ベンジルエステル(b)に誘導した後、保護基によりアミノ基が保護されたアミノ酸(c)と縮合させてN−保護ジデプシペプチドベンジルエステル(d)を得る。N−保護ジデプシペプチドベンジルエステルのN−保護基を塩酸で除去し、ジデプシペプチドベンジルエステル(e)とする。そして、再びN−保護アミノ酸(c)を反応させてN−保護トリデプシペプチドベンジルエステル(f)を得る。このようにして様々な一定のアミノ酸とオキシ酸の配列をもつN−保護オリゴデプシペプチドベンジルエステルを得る。更に、式(IV−2)に示すように、このN−保護オリゴデプシペプチドベンジルエステルのベンジル保護基を除去して、N−保護オリゴデプシペプチド(g)に誘導し、そのカルボキシル基を活性エステル(h)とする。N−保護基を外し、遊離アミノ基をもつオリゴデプシペプチド活性エステル(i)の重縮合を行って目的とするポリマー(j)を得る。
【0008】
【化4】
【0009】
【化5】
【0010】
かかる従来の方法においては、まずオキシ酸をベンジルエステル誘導体に導きペプチド合成法に従ってアミノ酸を伸張させ、その後ベンジルエステルを除去して活性エステルに取り替える工程が必須である。この工程、即ちベンジルエステルの導入は反応収率が低く、工程全体の収率の低下を招くという問題点を有する。また、ベンジルエステル除去の工程は一般のエステルと異なり、デプシペプチド中にもエステル結合が含まれているために、このエステル結合を壊さない状態でベンジルエステル除去する必要がある。通常は、パラジウム触媒を用いた接触水素化により除去されるが、活性の高いパラジウム触媒による水素化は危険を伴う等の難点を持っており、また、生成物が生体内に埋め込まれたとき、生体内で材料に残留する触媒金属の異物反応が生じるおそれもある。
【0011】
また、ポリデプシペプチドの合成法として、遊離オキシ酸を用いるヒドロキシ合成法もある。この方法は遊離オキシ酸をピリジン存在下、N−Nps−アミノ酸N−カルボン酸無水物(NCA)と反応させてN−Nps−ジデプシペプチドを合成する方法である。この方法は高活性のNps−NCAを用いた高収率合成法であるが、NCAの合成には猛毒なフォスゲンを使わなければならず、Nps−NCAの合成にも極めて高度な合成手法を必要とするので、一般的な製造方法にはなり得ないという難点がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、オキシ酸のカルボキシル基の保護基を導入する工程、即ち、ベンジルアルコールと反応させてエステルを形成する収率の低い反応の工程を経ることなく、ベンジルエステルの導入と除去を含まずに、単純な工程で、高収率でアミノ基を保護したN−保護アミノ酸とオキシ酸とを縮合させてN−保護ジデプシペプチドを直接製造することができるデプシペプチドの製造方法や、得られたジデプシペプチドからアミノ酸とオキシ酸が所望の配列に連結した基本単位のオリゴデプシペプチドを作成し、次いでオリゴデプシペプチドを重縮合させることにより、高収率で定序配列のポリデプシペプチドを製造することができるポリデプシペプチドの製造方法や、製造が容易なポリデプシペプチドを含有するDDSの薬物徐放性材料、薬物結合ターゲティング材料、人工軟骨等の再生医療用機能材料、機能性薬物等の生体内で分解される材料や、生分解性プラスチック等の生分解性環境保全材料、更に、これらオリゴデプシペプチド又はポリデプシペプチドの生体内や環境中での分解消・滅期間を調整する方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、アミド結合とエステル結合から構成され、ポリアミノ酸とポリオキシ酸との中間の構造を有するポリデプシペプチドについて研究を行い、アミド結合部分では水素結合により安定性が高いが、エステル結合部分では安定性が低く、分子間凝集力が弱められるため、生分解性の速度はポリアミノ酸より速く、しかも、完全に分解することを既に明らかにしている。また、分子間凝集力が弱められる結果、側鎖が疎水性のアルキル基からなるものでも溶融成型が可能であり、また、この側鎖の疎水性は側鎖が小さい程弱く、側鎖が大きい、即ち、疎水性の強い側鎖を持つポリデプシペプチド程生分解速度が遅くなることを報告している(「表面」Vol.31No.1、1993)。このようなポリデプシペプチドはDDSの薬物徐放性材料、薬物結合ターゲティング材料、人工軟骨等の再生医療用機能材料、機能性薬物等の生体内で分解される材料や、生分解性プラスチック等の生分解性環境保全材料に好適であることの確信を得て、かかる特性を有するポリデプシペプチドを効率よく生成する方法として、オキシ酸をベンジルエステルとする工程を省略して、オキシ酸をそのまま用いる合成方法においては、ヒドロキシ基とカルボキシル基が存在するオキシ酸のヒドロキシ基にN−保護アミノ酸のカルボキシル基をどのようにして選択的に反応させるかが成否を決定することに着目した。特に、ヒドロキシ基は反応性がカルボキシル基に比べて非常に低いので、どのようにして遊離オキシ酸のヒドロキシ基とN−保護アミノ酸のカルボキシル基とを反応させるかが問題となる。そして、鋭意研究の結果、N−保護アミノ酸をN−オキシコハク酸イミド誘導体とし、これを4−N,N−ジメチルアミノピリジンを触媒として遊離オキシ酸と反応させると、遊離オキシ酸のヒドロキシ基が選択的に反応することを見い出した。更に、得られたN−保護ジデプシペプチドの遊離カルボキシル基をN−オキシコハク酸イミド誘導体とし、これからN−保護基を除去し、生じた遊離アミノ基をN−保護アミノ酸とを酸無水物を縮合剤として反応させ、N−保護トリデプシペプチド−N−オキシコハク酸イミドエステルを得る。その後のペプチド鎖の伸長はすべて同様な方法で行い、一定の配列で連なったアミノ酸のカルボキシル末端が、オキシ酸N−オキシコハク酸イミドエステルからなるN−保護オリゴデプシペプチドN−オキシコハク酸イミドエステルを得て、N−保護基を無水塩酸/有機溶媒で除去しオリゴデプシペプチドN−オキシコハク酸イミドエステル塩酸塩とし、この塩酸塩を高濃度でN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシドのような有機溶媒に融解し、トリエチルアミンのような塩基を加えて重縮合させることにより目的とするポリデプシペプチドが得られるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち本発明は、保護されたアミノ基を有するアミノ酸のカルボキシル基と、無保護のカルボキシル基を有するオキシ酸のヒドロキシ基とを、アミノピリジン化合物を触媒として反応させ、ジデプシペプチドを合成することを特徴とするデプシペプチドの製造方法に関し、好ましくは、オキシ酸が、一般式(I)
【0015】
【化6】
【0016】
(式中、R1、R2は、独立して水素原子、未置換若しくは置換基を有するアルキル基、未置換若しくは置換基を有するアルケニル基、未置換若しくは置換基を有するアルコキシ基、未置換若しくは置換基を有するアルコキシカルボニル基、又は、未置換若しくは置換基を有するアリール基を表し、相互に結合して環を形成していてもよい。)で示される化合物であることを特徴とする請求項1記載のデプシペプチドの製造方法(請求項2)や、アミノ酸が、一般式(II)
【0017】
【化7】
【0018】
(式中、R3、R4は、独立して水素原子、未置換若しくは置換基を有するアルキル基、未置換若しくは置換基を有するアルケニル基、未置換若しくは置換基を有するアルコキシ基、未置換若しくは置換基を有するアルコキシカルボニル基、又は、未置換若しくは置換基を有するアリール基を表し、相互に結合して環を形成していてもよい。)で表されるαアミノ酸であることを特徴とする請求項1又は2記載のデプシペプチドの製造方法(請求項3)や、保護されたアミノ基を有するアミノ酸が、アルコキシカルボニル基で保護されたアミノ基を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のデプシペプチドの製造方法(請求項4)や、 保護されたアミノ基を有するアミノ酸が、活性化されたカルボキシル基を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のデプシペプチドの製造方法(請求項5)や、アミノ酸のカルボキシル基が、N−ヒドロオキシコハク酸イミドと結合したイミド誘導体となっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のデプシペプチドの製造方法(請求項6)や、アミノピリジン化合物が、一般式(III)
【0019】
【化8】
【0020】
(式中、R5、R 6 は、独立して水素原子、又は、未置換若しくは置換基を有するアルキル基を表す。)で示される化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載のデプシペプチドの製造方法(請求項7)や、アミノピリジン化合物が、N,N−ジメチルアミノピリジンであることを特徴とする請求項7記載のデプシペプチド重合体の製造方法(請求項8)や、テトラヒドロフランを溶媒として反応を行なうことを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載のデプシペプチドの製造方法(請求項9)や、保護されたアミノ基を有するジデプシペプチドのアミノ基の脱保護を行なうことを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載のデプシペプチドの製造方法(請求項10)や、アミノ基の脱保護が、酸溶液に接触させて行なうことを特徴とする請求項10記載のデプシペプチドの製造方法(請求項11)に関する。
【0021】
また、本発明は、請求項1〜9のいずれか記載のデプシペプチドの製造方法によってジデプシペプチドを得た後に、当該ジデプシペプチドのカルボキシル基をイミド誘導体とする工程と、ジデプシペプチドの保護されたアミノ基の脱保護を行なう工程と、これら工程で得られたジデプシペプチドの脱保護されたアミノ基と、保護されたアミノ基を有するアミノ酸のカルボキシル基とを反応させる工程とを有し、オリゴデプシペプチドを合成することを特徴とするデプシペプチドの製造方法(請求項12)に関し、好ましくは、ジデプシペプチドのカルボキシル基のイミド誘導体が、N−ヒドロオキシコハク酸イミドであることを特徴とする請求項12記載のデプシペプチドの製造方法(請求項13)に関する。
【0022】
また、本発明は、請求項12又は13記載のジデプシペプチドの保護されたアミノ基の脱保護を行なう工程と、ジデプシペプチドの脱保護されたアミノ基と保護されたアミノ基を有するアミノ酸のカルボキシル基とを反応させる工程とを反復してオリゴデプシペプチドを合成することを特徴とするデプシペプチドの製造方法(請求項14)に関する。
【0023】
また、本発明は、請求項10又は11記載のデプシペプチドの製造方法によって脱保護されたアミノ基を有するジデプシペプチドを得た後、当該ジデプシペプチドのアミノ基と、保護されたヒドロキシ基を有するオキシ酸のカルボキシル基又は保護されたアミノ基を有するアミノ酸のカルボキシル基とを反応させ、オリゴデプシペプチドを合成することを特徴とするデプシペプチドの製造方法(請求項15)や、請求項15記載のデプシペプチドの製造方法によって得られたオリゴデプシペプチドの保護されたヒドロキシ基又はアミノ基の脱保護を行ない、オキシ酸のカルボキシル基又は保護されたアミノ基を有するアミノ酸のカルボキシル基とを反応させ、オリゴデプシペプチドを合成することを特徴とするデプシペプチドの製造方法(請求項16)に関し、好ましくは、保護されたヒドロキシ基を有するオキシ酸が、ヒドロキシ基をジクロロアセチル基で保護されていることを特徴とする請求項15又は16記載のデプシペプチドの製造方法(請求項17)や、保護されたヒドロキシ基を有するオキシ酸のカルボキシル基及び/又は保護されたアミノ基を有するアミノ酸のカルボキシル基が、イミド誘導体であることを特徴とする請求項15〜17のいずれか記載のデプシペプチドの製造方法(請求項18)や、保護されたヒドロキシ基を有するオキシ酸のカルボキシル基及び/又は保護されたアミノ基を有するアミノ酸のカルボキシル基のイミド誘導体が、N−オキシコハク酸イミドエステルであることを特徴とする請求項18記載のデプシペプチドの製造方法(請求項19)に関する。
【0024】
また、本発明は、請求項12〜19のいずれか記載のデプシペプチドの製造方法によって得られるオリゴデプシペプチドのアミノ基の脱保護をした後、重合してポリデプシペプチドを合成することを特徴とするデプシペプチドの製造方法(請求項20)に関する。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明のデプシペプチドの製造方法としては、保護されたアミノ基を有するアミノ酸のカルボキシル基と、無保護のカルボキシル基を有するオキシ酸のヒドロキシ基とを、アミノピリジン化合物を触媒として反応させ、ジデプシペプチドを生成する方法であれば、特に制限されるものではない。
【0027】
本発明のデプシペプチドの製造方法において用いられるオキシ酸は、1分子中にカルボキシル基とアルコール性ヒドロキシ基を有するものであれば、β−オキシ酸や、γ−オキシ酸でもあってもよいが、一般式(I)で示されるα−オキシ酸が好ましい。式中、R1、R2は独立して水素原子、未置換若しくは置換基を有するアルキル基、未置換若しくは置換基を有するアルケニル基、未置換若しくは置換基を有するアルコキシ基、未置換若しくは置換基を有するアルコキシカルボニル基、又は、未置換若しくは置換基を有するアリール基を表し、相互に結合して環を形成していてもよい。かかるR1、R2が表すアルキル基としては、直鎖状、環状いずれでもよく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−アダマンチル基等を挙げることができ、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基等を挙げることができる。また、R1、R2が表すアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等を挙げることができ、アリール基としては、フェニル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基等を挙げることができ、R1、R2が相互に結合して形成する環としては、上記に例示した環状アルキル基や、アリール基等を挙げることができる。かかるR1、R2が表すアルキル基等の置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェニル基等のアリール基等を挙げることができるが、置換基を含めたオキシ酸が嵩高いものは、生分解性を低下させるため、置換基として嵩高くないものが好ましい。
【0028】
かかるオキシ酸としては、基具体的に、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、α−オキシ酪酸、ヒドロアクリル酸、マンデル酸等を例示することができる。
【0029】
本発明のデプシペプチドの製造方法において用いられるアミノ酸は、1分子中にカルボキシル基とアミノ基を有するものであれば、β−アミノ酸や、γ−アミノ酸でもあってもよいが、一般式(II)で示されるα−アミノ酸が好ましい。式中、R3、R4は独立して水素原子、未置換若しくは置換基を有するアルキル基、未置換若しくは置換基を有するアルケニル基、未置換若しくは置換基を有するアルコキシ基、未置換若しくは置換基を有するアルコキシカルボニル基、又は、未置換若しくは置換基を有するアリール基を表し、相互に結合して環を形成していてもよい。かかるR3、R4が表すアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、相互に結合して形成する環としては、上記一般式(I)で示されるオキシ酸における置換基R1、R2と同様のものを挙げることができる。
【0030】
かかるアミノ酸としては、具体的に、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン等を挙げることができる。
【0031】
本発明に用いられるアミノ酸は、アミノ基が保護されて用いられる。かかるアミノ酸のアミノ基の保護基は、特に限定されず、アミノ酸のカルボキシル基の反応性より低い反応性を有するものであれば、いずれのものであってもよい。かかるアミノ基の保護基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基や、トリクロロエチルオキシカルボニル基、tert−アミルオキシカルボニル基、メチルスルホニルエトキシカルボニル基、トリクロロエトキシカルボニル基、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基や、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等のシクロアルキルオキシカルボニル基や、p−クロロベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基、p−ブロモベンジルオキシカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基、アダマンチルオキシカルボニル基、2−フェニルイソプロピルオキシカルボニル基、p−メチルフェニルイソプロピルオキシカルボニル基、p−ビフェニルイソプロピルオキシカルボニル基、3,5−ジメトキシ−α,α−ジメチルベンジルオキシカルボニル基等のar−アルコオキシカルボニル基や、ベンズヒドリル基、トリチル基等のアリール基や、トリフルオロアセチル基、フタロイル基、ホルミル基、ジチアスクシノイル基、ベンゼンスルホニル基、o−ニトロフェニルスルフェニル基、2,4−ジニトロフェニルスルフェニル基、ジフェニルフォスフィノチオイル基等を挙げることができる。このうち、特にアルコキシ基を好ましい保護基として挙げることができる。
【0032】
本発明のデプシペプチドの製造方法において用いられるアミノ酸は、保護されたアミノ基を有すると共に、そのカルボキシル基が活性化されていることが好ましい。かかる活性化されたカルボキシル基として、イミド誘導体となっていることが好ましい。かかるイミド誘導体としては、N−ヒドロオキシコハク酸イミド、N−ヒドロオキシグルタル酸イミド、N−ヒドロオキシアジピン酸イミド、N−ヒドロオキシピメリン酸イミド、N−ヒドロオキシスベリン酸イミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール等の誘導体を挙げることができ、このうち、特に、N−ヒドロオキシコハク酸イミドを好ましい具体例として例示することができる。
【0033】
かかる本発明に用いるアミノ酸を調製するには、式(V−1)に示すように、t−ブタノールとアミノ酸を反応させる等の公知の方法により、アミノ基にアルコキシ基等の保護基を導入したアミノ酸(A)のカルボキシル基に、N−ヒドロオキシコハク酸イミド等を結合させる方法、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、酢酸エチル等のエステル類、クロロホルム等の塩化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性溶媒類等の溶液中で、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下、N−t−ブチトキシアミノ酸とN−ヒドロオキシコハク酸イミド等を室温で撹拌し、N−t−ブチトキシ−N−オキシコハク酸イミドエステル(B)を得る方法等によることができる。
【0034】
【化9】
【0035】
本発明のデプシペプチドの製造方法において触媒として用いられるアミノピリジン化合物は、特に限定されるものではないが、一般式(III)で示される化合物であることが好ましく、式中、R5、R4は、独立して水素原子、又は、未置換若しくは置換基を有するアルキル基を表す。R5、R4が表すアルキル基としては、直鎖状に限定されるものではなく、環状、分枝状、置換基を有していてもよく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。かかるアミノピリシン化合物としては、ジメチルアミノピリジン、ジエチルアミノピリジン、ジプロピルアミノピリジン等を具体的に例示することができるが、ジメチルアミノピリジンを好ましい具体例として挙げることができる。
【0036】
本発明のデプシペプチドの製造方法において、上記保護されたアミノ基を有し、活性化されたカルボキシル基を有するアミノ酸(B)と、無保護のヒドロキシ基を有するオキシ酸とからジデプシペプチドを生成する反応としては、アミノピリジン化合物存在下、溶媒中、0〜60℃、好ましくは室温で、10〜100時間、好ましくは、20〜50時間等撹拌する方法を挙げることができる。使用する溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系、シクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、酢酸エチル等のエステル系、クロロホルム等の塩化炭化水素等を挙げることができる。アミノ酸とオキシ酸の使用量としては、アミノ酸に対して、オキシ酸を1〜3当量、好ましくは、1.5〜2.5当量とすることができ、触媒の使用量としては、アミノ酸に対して、5〜20モル%、好ましくは10モル%前後とすることができる。反応終了後は公知の方法により、分離、精製することができる。かかる本発明のデプシペプチドの製造方法により、遊離のオキシ酸のヒドロキシ基が、カルボキシル基がイミドエステルとされて活性化されたアミノ酸のアルコオキシカルボニル基と選択的に反応し、アミノ基に保護基を有するジデプシペプチド(C)が得られる。
【0037】
更に、本発明のデプシペプチドの製造方法において、上記の方法により得られたジデプシペプチドからポリデプシペプチドを製造するには、ジデプシペプチドを伸張させてオリゴデプシペプチドとし、オリゴデプシペプチドを重縮合する方法によることができる。ジデプシペプチドを伸張させてオリゴデプシペプチドを製造するには、得られたジデプシペプチドのカルボキシル基をイミド誘導体とする工程と、ジデプシペプチドの保護されたアミノ基の脱保護を行なう工程と、ジデプシペプチドの脱保護されたアミノ基と保護されたアミノ基を有するアミノ酸のカルボキシル基とを反応させる工程とを有する方法により、トリデプシペプチドを生成させ、更に、得られたトリデプシペプチドの保護されたアミノ基の脱保護を行なう工程と、この脱保護基されたトリデプシペプチドのアミノ基と保護されたアミノ基を有するアミノ酸のカルボキシル基とを反応させる工程とを反復する方法によることができる。
【0038】
具体的には、上記方法によって得られたジデプシペプチドは、アミノ基の保護基を有するジデプシペプチド(C)であり、このジデプシペプチド(C)をテトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、酢酸エチル等のエステル類、クロロホルム等の塩化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性溶媒類の溶媒中で、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下、最初は0℃前後、その後室温等の条件下で撹拌し、ジデプシペプチド(C)のカルボキシル基をN−オキシコハク酸イミドと反応させ、ジデプシペプチドのイミドエステル(D)とする。ジデプシペプチドのイミドエステル(D)を、例えば無水塩酸/ジオキサン溶液等の酸性溶液中に放置することにより、ジデプシペプチドのイミドエステル(D)のアミノ基の保護基を外し、遊離アミノ基を有するジデプシペプチドのイミドエステル(E)を得る。その後、式(V−2)に示すように、上記と同様のアミノ基に保護基を有するアミノ酸をトリエチルアミン等の存在下、テトラヒドロフラン等に溶解し、メチルモルフォリン存在下、塩化イソブチロキシカルボニル等の酸無水物を縮合剤として遊離アミノ基を有するジデプシペプチドのイミドエステル(E)にアミノ基に保護基を有するアミノ酸を縮合させ、アミノ基に保護基を有するトリデプシペプチド−N−オキシコハク酸イミドエステル(F)を得る。その後、ペプチド鎖の伸長はすべて同様な方法で行い、アミノ基を保護したアミノ酸を順次、デプシペプチドに結合させ、デプシペプチドのカルボキシル末端が、オキシ酸−N−オキシコハク酸イミドエステルからなるアミノ基に保護基を有するオリゴデプシペプチドのイミドエステルを得る。
【0039】
【化10】
【0040】
また、本発明のデプシペプチドの製造方法におけるジデプシペプチドを伸張してオリゴデプシペプチドを生成する方法として、ジデプシペプチドのオキシ酸側にアミノ酸やオキシ酸を結合させる方法や、ジデプシペプチドのアミノ酸側にオキシ酸を結合させる方法も挙げることができる。
具体的には、アミノ酸側のアミノ基にオキシ酸を結合させて、デプシペプチド鎖を延長させる方法としては、例えば、保護されたアミノ基を有するジデプシペプチドを塩酸/ジオキサンと反応させ、保護基を除去して得られるジデプシペプチド塩酸塩を、例えば、テトラヒドロフランや、クロロホルム等の有機溶媒に溶解し、N−メチルモルフォリンで塩酸塩の塩酸をトラップして、脱保護した遊離のジデプシペプチドとする。一方、オキシ酸のヒドロキシ基をジクロロアセチル基で保護し、カルボキシル基をイミド誘導体として活性化したジクロロアセチルオキシ酸N−オキシコハク酸イミドエステル等として、遊離のジデプシペプチドと反応させることにより、ジクロロアセチルオキシ酸がジデプシペプチドのアミノ酸に結合したトリデプシペプチドを得る方法等を挙げることができる。かかるオキシ酸のヒドロキシル基をジクロロアセチル基で保護し、このジクロロアセチルオキシ酸のカルボキシル基とアミノ基を結合させる方法は、本発明者による文献(J. Chem. Soc., Chem. Commun.,1229-1230 (1988))記載の方法等によることができる。
【0041】
また、デプシペプチドのアミノ酸側のアミノ基にアミノ酸を結合させて、ジデプシペプチド鎖を延長させる方法としては、例えば、脱保護された遊離のジデプシペプチドのアミノ基に、アミノ酸のアミノ基を保護し、カルボキシル基をイミド誘導体とした、アミノ基保護アミノ酸N−オキシコハク酸イミドエステル等として反応させることにより、アミノ基が保護されたアミノ酸がジデプシペプチドのアミノ酸に結合したトリデプシペプチドを得る方法等を挙げることができる。
【0042】
また、上記ジクロロアセチルオキシ酸がジデプシペプチドのアミノ酸側に結合したトリデプシペプチドを、薄い炭酸水素ナトリウム水溶液で処理してジクロロアセチル基を除去し、有機溶媒に易溶の遊離のトリデプシペプチドとし、これに保護基を有しない遊離のオキシ酸を結合させ、デプシペプチドの鎖を延長したオリゴデプシペプチドを合成することもできる。かかる方法により、保護されたアミノ基を有するジデプシペプチドのカルボキシル基の活性化を図らずに、必要なオリゴデプシペプチドを合成した後、オリゴデプシペプチドのカルボキシル基をN−オキシコハク酸イミドエステル等として活性エステルに導くこともできる。
【0043】
かかるオリゴデプシペプチドのイミドエステルは、アミノ酸が一定の配列で連結されており、又はアミノ酸とオキシ酸が一定の配列で連結されており、アミド結合と共にエステル結合を有するため、アミド結合のみからなるペプチドと比較して分子内の結合が弱められ、生分解を受けやすいものである。
【0044】
更に、本発明のデプシペプチドの製造方法において、上記の方法により得られたアミノ基に保護基を有するオリゴデプシペプチドからポリデプシペプチドを製造する方法としては、オリゴデプシペプチドアミノ基の保護基を無水塩酸/有機溶媒等に放置することにより除去し、オリゴデプシペプチドのイミドエステル塩酸塩(G)とし、この塩酸塩を高濃度でN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシドのような有機溶媒に溶解し、トリエチルアミンのような重合剤を加えて高速撹拌し、0〜60℃、好ましくは室温で重縮合させることにより目的とするポリデプシペプチド(H)を得ることができる。
【0045】
本発明のデプシペプチドの製造方法によって得られる本発明のポリデプシペプチドは、エステル結合の存在により、分子内の結合がアミノ結合のみを有するアミノ酸より弱く、このため生分解を受けやすい。また、アミノ酸や、オキシ酸の側鎖が小さいポリデプシペプチドは、生分解速度が速く、アミノ酸や、オキシ酸の側鎖を適宜選択し、即ち、連結するアミノ酸やオキシ酸を適宜選択し、分子内におけるエステル結合の割合を適宜選択することにより、デプシペプチドの生分解速度を調整することができ、デプシペプチドを用いた材料の生体内又は環境中における分解・消滅期間を容易に調整することができる。本発明のポリデプシペプチドを含有するDDSの薬物徐放性材料、薬物結合ターゲティング材料、人工軟骨等の再生医療用機能材料、機能性薬物等の生体内で分解される材料や、生分解性プラスチック等の生分解性環境保全材料は、生分解し、生体内や環境中で完全に消滅させることができ、更に、これらの材料の生体内又は環境中における分解・消滅期間を所望のものにすることができる。
【0046】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
実施例1:ジデプシペプチドの調製
オキシ酸0.2モルをテトラヒドロフラン200mLに融解し、ピリジン0.2モルを加えた。これにN−保護アミノ酸N−オキシコハク酸イミドエステル0.1モルを加え、更に4−N,N−ジメチルアミノピリジン0.01モルを加えて、室温で2日撹拌した。溶液を酢酸エチル200mLで希釈し、クエン酸水溶液で洗った。溶液を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で抽出し、得られた抽出水溶液を希塩酸でpH2まで酸性にした。酸性水溶液を酢酸エチル300mLで2回抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、濃縮し、N−保護ジデプシペプチドを得た。組成生物を再結晶、あるいはカラムクロマトグラフィーにより精製し、純粋な目的物が得られた。
【0047】
実施例2:ジデプシペプチドのカルボキシル基の活性化
得られたN−ジデプシペプチド0.1モルをテトラヒドロフラン200mLに溶解し、N−オキシコハク酸イミド0.12モルを加えた。溶液に0℃でN,N−ジシクロヘキシカルボジイミド0.105モルを加え、0℃で1時間、室温で一夜撹拌した。系を10℃で濃縮し、酢酸エチル300mLに溶解し、不溶物をろ過して除き、溶液を手早く希薄な炭酸水素ナトリウム水溶液、ついで飽和食塩水で洗い、乾燥した。溶液を濃縮し、ヘキサンを加えて結晶化し、更に、酢酸エチルから再結晶して、純粋なN−保護ジデプシペプチドN−オキシコハク酸イミドエステルを得た。
【0048】
実施例3:ジデプシペプチドのアミノ基の脱保護
N−保護ジデプシペプチドN−オキシコハク酸イミドエステル0.05モルを4M無水塩酸/ジオキシ酸溶液mLに溶解し、室温で1時間放置した。溶液を濃縮し、エーテルを加えるとジデプシペプチドN−オキシコハク酸イミドエステル塩酸塩が結晶化した。結晶をろ過して集め、エーテルで洗浄し、乾燥した。
【0049】
実施例4:トリデプジペプチドの調製
N−保護アミノ酸0.07モルをテトラヒドロフラン100mLに溶解し、トリエチルアミン9.8mLを加え、−5℃に冷却した。溶液を撹拌しながら塩化イソブチロキシカルボニル0.07モルを加え、−5℃で10分間撹拌した。この系に、ジデプシペプチドN−オキシコハク酸イミドエステル塩酸塩のテトラヒドロフラン溶液100mLとN−メチルモルフォリン7.7mLを徐々に滴下し、−5℃で1時間、室温で2時間撹拌した。系を濃縮し、酢酸エチル300mLに溶解し、溶液を水、10%クエン酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗い、乾燥した。溶液を濃縮し、ヘキサンを加えて生成物を結晶化した。テトラヒドルフランから再結晶すると、純粋なN−保護トリデプシペプチドN−オキシコハク酸イミドエステルが得られた。
【0050】
実施例5:トリデプシペプチドのアミノ基の脱保護
N−保護トリデプシペプチドN−オキシコハク酸イミドエステル0.04モルを4M乾燥塩酸/ヂオキサン溶液30mLに溶解し、室温で数時間放置した。溶液を濃縮し、エーテルを加えるとトリデプシペプチドN−オキシコハク酸イミドエステル塩酸塩が結晶化した。テトラヒドロフランから再結晶すると純粋なトリデプシペプチドN−オキシコハク酸イミドエステル塩酸塩が得られた。
【0051】
実施例6:ポリデプシペプチドの調製
トリデプシペプチドN−オキシコハク酸イミドエステル塩酸塩0.03モルをジメチルスルフォキシド10mLに溶解し、高速撹拌下トリエチルアミン4.2mLを加え、室温で撹拌を2日間継続した。系を100mLの水に注ぐと白色沈殿が析出した。沈殿をろ取し、水、エタノール、エーテルで洗浄し、乾燥した。沈殿をジクロロ酢酸からエーテルにより再沈殿した。
【0052】
参考例1:
上記方法により得られたポリ(Ala−Ala−Glu(OEt)−Lac)とLH−RHアゴニスト等の薬物を単純に混合した分散型DDSと薬物を高分子で包み込んだ包含型DDSを作成した。これらのDDSを雄ラットの体内に埋め込んだ。円柱状の高分子は均一に分解されていることがわかる。この系は24週後に完全に生分解され、ラット体内から消失した。埋め込み後3週間の試料の表面にクレーター状の穴が開いていることがわかった。一方、高分子を埋め込まれたラットの組織写真では生体組織が高分子表面のクレーター状に見える穴の部分に入り込んでいることがわかった。生体内に埋め込まれたDDSは生体組織からの分解酵素の働きによりその表面に小さな穴ができ、この穴に組織が入り込んで更に分解が進行していく機構が考えられる。分散型DDSからは埋め込み直後から薬物の急激な放出が見られ、6週以内で薬物はすべて系外に放出された。一方、包含型DDSからはほぼ一定濃度で16週まで薬物の放出が観察された。この薬物放出挙動とよく対応して、ラット内の三つの臓器VP,SVと前立腺側背葉(dorsolateral prostates, DPLs)の重量変化が観察された。分散型DDSを埋め込んだ場合には三つの臓器の著しい重量減がすぐに現れたが、8週以降は薬物の効果が消失した。一方包含型DDSでは、薬効が3週後から16週まで持続した。
【0053】
これら二つのタイプの薬物放出挙動と生分解挙動を比較すると、分散型DDSからの薬物の急激な初期放出はDDS表面に穴が開くと、内部に分散されている薬物がポリデプシペプチド層を浸透して容易に移動し、その穴から次々に外部に放出されると考えるのが妥当である。一方、包含型DDSでは、内部の薬物が表面の高分子層を通して徐々に放出され、生分解が進行しても急激な放出が起こらないことを示している。従ってこの系では、生体組織に接しているDDS表面の高分子層の厚さの設定が非常に重要であることが示された。更に、理想的な薬物放出挙動を示すDDSの構築のためには、異なる特性を持った二種類以上のポリデプシペプチドからなる多層構造を設計することも可能となることが分かった。
【0054】
【発明の効果】
本発明のデプシペプチドの製造方法によれば、オキシ酸のカルボキシル基の保護基を導入する工程、即ち、ベンジルアルコールと反応させてエステルを形成する収率の低い反応の工程を経ることなく、ベンジルエステルの導入と除去を含まずに、単純な工程で、高収率でアミノ基を保護したN−保護アミノ酸とオキシ酸とを縮合させてN−保護ジデプシペプチドを直接製造することができる。このため、ジデプシペプチドからアミノ酸とオキシ酸が所望の配列に連結した基本単位のオリゴデプシペプチドを作成し、次いでオリゴデプシペプチドを重縮合させることにより、高収率で定序配列のポリデプシペプチドを効率よく、容易に製造することができ、DDSの薬物徐放性材料、薬物結合ターゲティング材料、人工軟骨等の再生医療用機能材料、機能性薬物等の生体内で分解される材料や、生分解性プラスチック等の生分解性環境保全材料を提供し、更に、生体内や環境中での分解消・滅期間を調整できるデプシペプチドを提供することができる。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing a depsipeptide that facilitates the reaction between the hydroxy group of an oxyacid and the carboxyl group of an amino acid, thereby facilitating the production of a polydepsipeptide. It is related with the depsipeptide which can be made.
[0002]
[Prior art]
A sustained-release drug delivery system (DDS) that is implanted in the vicinity of a diseased organ in a living body and gradually releases a drug effective for the treatment of the disease at an effective concentration until the disease is completely cured. Side effects can be suppressed compared to oral or injection administration of drugs far exceeding the effective concentration in consideration of degradation by the time it reaches It is an important theme. As one of the DDSs, a system that releases a drug encapsulated inside while being decomposed and digested in a living body, and disappears completely from the living body after releasing the drug is ideal. Biodegradable polymer materials that hold drugs that can be used for DDS are: (1) easily biodegraded, (2) can be easily mixed and molded without modifying the drug, 3) It is required to have properties such as uniform and controllable drug release. Examples of such biodegradable polymer materials include polyamino acids in which the main chain is linked by an amide bond, but the amide bond has a stable higher-order structure by forming a strong hydrogen bond between molecules or within a molecule. In order to decompose polyamide by biodegradation, it is necessary to cleave higher-order structure supported by this strong hydrogen bond, and racemic body having unstable structure and special polyamino acid having ionizable polar side chain It is clarified that it is not completely biodegradable except for (see, for example, Non-Patent Document 1).
[0003]
As a polymer for DDS capable of biodegradation, a polyoxyacid obtained by ester condensation of an oxyacid having a hydroxyl group and a carboxyl group in the molecule is the target, and since the ester bond does not have a hydrogen atom for the polyoxyacid, It has been clarified that hydrogen bonds do not occur in ester bonds and that biodegradation is easier than polyamino acids. Furthermore, a non-catalytic polymerization method for oxyacids from oxyacids and water has been developed. Polymers obtained by polycondensation of oligomers free from catalyst residues are produced using metal catalysts when used in DDS. Compared to the above, there is no risk of inducing a foreign body reaction, and since the intermolecular interaction is weak, melt molding can be easily performed. The polyoxyacid has a faster biodegradation rate as the sample has a lower molecular weight, and in particular, a low molecular weight poly-DL-lactic acid is adopted as a preferred DDS (for example, see Non-Patent Documents 2 to 4).
[0004]
Furthermore, if the biodegradation mechanism of the polyoxyacid oligomer is clarified, it is expected that a material having a desired biodegradability can be obtained. If it is possible to obtain a DDS material having a further function by using an oxyacid having a clear sequence order (sequence) and knowing from which site biodegradation is started, such a sequence can be obtained. A polydepsipeptide in which an oxyacid and an amino acid are bonded can be selected as a system in which is determined.
[0005]
On the other hand, as a biodegradable substance, depsipeptide co-polymerization comprising polymerizing 1.0 mol of optically active 3-substituted-2,5-morpholinedione and about 0.02 mol to 1.0 mol of cyclic lactone in the presence of a catalyst. A unit comprising a combination, a bioabsorbable surgical device manufactured from a polydepsipeptide or the like (see, for example, Patent Document 1), a specific polyamide unit, a specific polyester unit, and a specific polylactone unit. Biodegradable polylactone ester amide in which the number of moles Ma of the polyester unit, the number of moles Mb of the polyester unit, and the number of moles Mc of the polylactonunit is 30/70 ≦ (Ma + Mb) / Mc ≦ 99/1 (for example, see Patent Document 2) .) Etc. are known. A lactic acid-based biodegradable polymer comprising 1 to 50 parts by weight of a specific depsipeptide and 99 to 50% by weight of lactic acid and having a number average molecular weight of 5,000 to 200,000 has good biodegradability. Improving at least one reactive substituent selected from the group consisting of lactide and a hydroxyl group, an amino group and a carboxyl group, while improving the flexibility while maintaining the strength (for example, see Patent Document 3). A biodegradable copolymer obtained by ring-opening polymerization of ε-caprolactone having a good moldability, functionality according to various usage forms, and excellent biodegradability (for example, (See Patent Document 4).
[0006]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 7-188411
[Patent Document 2]
Japanese Patent Laid-Open No. 11-35679
[Patent Document 3]
JP 2001-31762 A
[Patent Document 4]
JP 2002-234934 A
[Non-Patent Document 1]
M. Asano, M. Yoshida, I. Kaetsu, K. Nakai, H. Yamanaka, H. Yuasa, K. Shida, K. Suzuki, M. Oya, Makromol. Chem., 184, 1983, p.1761
[Non-Patent Document 2]
M. Asano, H. Fukuzaki, M. Yoshida, M. Kumakura, T. Mashimo, H. Yuasa, K. Imai, H. Yamanaka, K. Suzuki, "J. Controlled Rlease, 9", 1989, p.111
[Non-Patent Document 3]
`` Biomaterials, 10 '' by M. Asano, H. Fukuzaki, M. Yoshida, M. Kumakura, T. Mashimo, H. Yuasa, K. Imai, H. Yamanaka, 1989, p. 569
[Non-Patent Document 4]
Toru Mashita, Hisako Yuasa, Kouichi Imai, Hidetoshi Yamanaka, Masaharu Asano, Masaru Yoshida, Satoshi Kumakura "Kita Kanto Medical 41" 1991 p.311
[Non-Patent Document 6]
"Synlett" 2001 p. 1245
[0007]
However, in the production of biodegradable substances described in these documents, in order to obtain an ordered polydepsipeptide in which the oxyacid and amino acid have a constant sequence, as shown in the formula (IV-1), the oxyacid In the esterification reaction between the hydroxy group of (a) and the carboxyl group of the amino acid, since the hydroxy group is less reactive than the carboxyl group in the oxyacid, it is derived to the oxyacid benzyl ester (b) in which the carboxyl group is protected as a benzyl ester. Then, it is condensed with an amino acid (c) whose amino group is protected by a protecting group to obtain an N-protected didepsipeptide benzyl ester (d). The N-protecting group of the N-protected didepsipeptide benzyl ester is removed with hydrochloric acid to give didepsipeptide benzyl ester (e). Then, the N-protected amino acid (c) is reacted again to obtain the N-protected tridepsipeptide benzyl ester (f). In this way, N-protected oligodepsipeptide benzyl esters having various constant amino acid and oxyacid sequences are obtained. Further, as shown in Formula (IV-2), the benzyl protecting group of this N-protected oligodepsipeptide benzyl ester is removed to derive N-protected oligodepsipeptide (g), and the carboxyl group is converted to an active ester (h ). The N-protecting group is removed, and the oligodepsipeptide active ester (i) having a free amino group is subjected to polycondensation to obtain the desired polymer (j).
[0008]
[Formula 4]
[0009]
[Chemical formula 5]
[0010]
In such a conventional method, it is essential to first introduce an oxyacid into a benzyl ester derivative, extend an amino acid according to a peptide synthesis method, and then remove the benzyl ester and replace it with an active ester. This process, that is, introduction of benzyl ester has a problem that the reaction yield is low and the yield of the whole process is lowered. Further, the step of removing the benzyl ester is different from a general ester, and the depsipeptide also contains an ester bond. Therefore, it is necessary to remove the benzyl ester without breaking the ester bond. Usually, it is removed by catalytic hydrogenation using a palladium catalyst, but hydrogenation with a highly active palladium catalyst has a drawback such as being dangerous, and when the product is embedded in the living body, There is also a possibility that the foreign reaction of the catalytic metal remaining on the material in vivo occurs.
[0011]
In addition, as a method for synthesizing polydepsipeptides, there is a hydroxy synthesis method using a free oxyacid. In this method, a free oxyacid is reacted with N-Nps-amino acid N-carboxylic anhydride (NCA) in the presence of pyridine to synthesize N-Nps-didepsipeptide. This method is a high-yield synthesis method using highly active Nps-NCA. However, a highly toxic phosgene must be used for NCA synthesis, and a very advanced synthesis method is also required for Nps-NCA synthesis. Therefore, there is a difficulty that it cannot be a general manufacturing method.
[0012]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to introduce and remove a benzyl ester without going through a step of introducing a protective group for the carboxyl group of the oxyacid, that is, a reaction with a low yield of reacting with benzyl alcohol to form an ester. A method for producing a depsipeptide capable of directly producing an N-protected didepsipeptide by condensing an N-protected amino acid with an amino group protected and an oxyacid in a simple process without any inclusion. A polydepsipeptide with an ordered sequence can be produced in a high yield by preparing an oligodepsipeptide having a basic unit in which amino acids and oxyacids are linked to a desired sequence from polydepsipeptide and then polycondensing the oligodepsipeptide. A method for producing polydepsipeptide, a drug sustained-release material for DDS containing polydepsipeptide that is easy to produce, Material binding targeting materials, functional materials for regenerative medicine such as artificial cartilage, materials that are degraded in vivo such as functional drugs, biodegradable environmental conservation materials such as biodegradable plastics, and these oligodepsipeptides or polydepsipeptides The purpose is to provide a method of adjusting the elimination / destruction period of the body in the living body and in the environment.
[0013]
[Means for Solving the Problems]
The present inventor conducted research on polydepsipeptides composed of amide bonds and ester bonds and having an intermediate structure between polyamino acids and polyoxyacids. It has already been clarified that the biodegradability rate is faster than that of polyamino acids due to low stability and intermolecular cohesive strength is weakened, and it is completely degraded. Moreover, as a result of the weakening of intermolecular cohesion, melt molding is possible even if the side chain is composed of a hydrophobic alkyl group. The hydrophobicity of this side chain is weaker as the side chain is smaller, and the side chain is larger. That is, it has been reported that the biodegradation rate of the polydepsipeptide having a strongly hydrophobic side chain is slower ("Surface" Vol. 31 No. 1, 1993). Such polydepsipeptides are DDS drug sustained-release materials, drug-binding targeting materials, functional materials for regenerative medicine such as artificial cartilage, materials that are degraded in vivo such as functional drugs, and biodegradable plastics. As a method for efficiently producing a polydepsipeptide having such properties with the belief that it is suitable for degradable environmental conservation materials, a synthesis method using the oxyacid as it is without the step of converting the oxyacid to a benzyl ester In the study, attention was focused on how to selectively react the carboxyl group of the N-protected amino acid with the hydroxy group of the oxyacid having a hydroxy group and a carboxyl group. In particular, the reactivity of the hydroxy group is much lower than that of the carboxyl group, so the problem is how to react the hydroxy group of the free oxyacid with the carboxyl group of the N-protected amino acid. As a result of intensive studies, when the N-protected amino acid is converted to an N-oxysuccinimide derivative and reacted with free oxyacid using 4-N, N-dimethylaminopyridine as a catalyst, the hydroxy group of the free oxyacid is selected. I found out that it responds to the situation. Furthermore, the free carboxyl group of the obtained N-protected didepsipeptide was converted to an N-oxysuccinimide derivative, from which the N-protective group was removed, and the resulting free amino group was converted to an N-protected amino acid with an acid anhydride as a condensing agent. To give N-protected tridepsipeptide-N-oxysuccinimide ester. All subsequent elongations of the peptide chain were carried out in the same manner, and an N-protected oligodepsipeptide N-oxysuccinimide ester in which the carboxyl terminus of amino acids linked in a fixed sequence was composed of oxyacid N-oxysuccinimide ester was obtained. The N-protecting group is removed with anhydrous hydrochloric acid / organic solvent to form oligodepsipeptide N-oxysuccinimide ester hydrochloride, and this hydrochloride is concentrated in an organic solvent such as N, N-dimethylformamide and dimethyl sulfoxide. The inventors obtained the knowledge that the desired polydepsipeptide can be obtained by melting and polycondensing by adding a base such as triethylamine, and the present invention has been completed.
[0014]
That is, the present invention is characterized in that a dedepsipeptide is synthesized by reacting a carboxyl group of an amino acid having a protected amino group with a hydroxy group of an oxyacid having an unprotected carboxyl group using an aminopyridine compound as a catalyst. Preferably, the oxyacid is represented by the general formula (I)
[0015]
[Chemical 6]
[0016]
(Wherein R1, R2Is independently a hydrogen atom, an unsubstituted or substituted alkyl group, an unsubstituted or substituted alkenyl group, an unsubstituted or substituted alkoxy group, an unsubstituted or substituted alkoxycarbonyl group, or Represents an unsubstituted or substituted aryl group, which may be bonded to each other to form a ring. The method for producing a depsipeptide according to claim 1, wherein the amino acid is represented by the general formula (II):
[0017]
[Chemical 7]
[0018]
(Wherein RThree, RFourIs independently a hydrogen atom, an unsubstituted or substituted alkyl group, an unsubstituted or substituted alkenyl group, an unsubstituted or substituted alkoxy group, an unsubstituted or substituted alkoxycarbonyl group, or Represents an unsubstituted or substituted aryl group, which may be bonded to each other to form a ring. The method for producing a depsipeptide according to claim 1 or 2, wherein the amino acid having a protected amino group is an amino acid protected with an alkoxycarbonyl group. The method for producing a depsipeptide according to any one of claims 1 to 3, wherein the amino acid having a protected amino group has an activated carboxyl group, wherein the amino acid having a protected amino group has an activated carboxyl group. The method for producing a depsipeptide according to any one of claims 1 to 4 (claim 5) or a carboxyl group of an amino acid is an imide derivative bonded to N-hydroxysuccinimide. A method for producing a depsipeptide according to any one of claims 1 to 5 (claim 6) or an aminopyridine compound is represented by the general formula (III)
[0019]
[Chemical 8]
[0020]
(Wherein R5,R 6 Independently represents a hydrogen atom or an unsubstituted or substituted alkyl group. The method for producing a depsipeptide according to any one of claims 1 to 6, wherein the aminopyridine compound is N, N-dimethylaminopyridine. A method for producing a depsipeptide according to claim 7 (claim 8) or a method for producing a depsipeptide according to any one of claims 1 to 8, wherein the reaction is carried out using tetrahydrofuran as a solvent (claim 9). Or deprotection of the amino group of the dedepsipeptide having a protected amino group, or the method for producing a depsipeptide according to any one of claims 1 to 9 (claim 10), The method for producing a depsipeptide according to claim 10, wherein the protection is carried out by contact with an acid solution (claim 11).
[0021]
The present invention also provides a method for producing a depsipeptide according to any one of claims 1 to 9.After obtaining the didepsipeptide,The step of converting the carboxyl group of the dedepsipeptide into an imide derivative, the step of deprotecting the protected amino group of the didepsipeptide, the deprotected amino group of the didepsipeptide obtained in these steps, and the protected amino group A process for reacting with a carboxyl group of an amino acid having a group and synthesizing an oligodepsipeptide, wherein the imide derivative of the carboxyl group of the dedepsipeptide is preferably It is a N-hydroxy succinimide, It is related with the manufacturing method (Claim 13) of the depsipeptide of Claim 12.
[0022]
The present invention also includes a step of deprotecting the protected amino group of the didepsipeptide according to claim 12 or 13, and a deprotection amino group of the didepsipeptide and a carboxyl group of an amino acid having a protected amino group The method of producing a depsipeptide characterized by synthesizing an oligodepsipeptide by repeating the step of reacting with a depsipeptide (claim 14).
[0023]
The present invention also provides a method for producing a depsipeptide according to claim 10 or 11.Take offDidepsipeptide with protected amino groupAfter obtaining the said dydepsipeptideA method for producing a depsipeptide comprising reacting an amino group of the above with a carboxyl group of an oxyacid having a protected hydroxy group or a carboxyl group of an amino acid having a protected amino group to synthesize an oligodepsipeptide (claim) 15) or deprotection of the protected hydroxy group or amino group of the oligodepsipeptide obtained by the method for producing a depsipeptide according to claim 15, wherein the amino acid having a carboxyl group or a protected amino group of an oxyacid is obtained. A method for producing a depsipeptide characterized by reacting with a carboxyl group to synthesize an oligodepsipeptide (Claim 16). Preferably, the oxyacid having a protected hydroxy group protects the hydroxy group with a dichloroacetyl group. 16. The method of claim 15, wherein The method for producing a depsipeptide according to claim 16, wherein the carboxyl group of an oxyacid having a protected hydroxy group and / or the carboxyl group of an amino acid having a protected amino group is an imide derivative. A method for producing a depsipeptide according to any one of claims 15 to 17 (claim 18), a carboxyl group of an oxyacid having a protected hydroxy group and / or a carboxyl group of an amino acid having a protected amino group. The method according to claim 18, wherein the imide derivative is N-oxysuccinimide ester (claim 19).
[0024]
Further, the present invention provides a depsipeptide characterized by depolymerizing an amino group of an oligodepsipeptide obtained by the method for producing a depsipeptide according to any one of claims 12 to 19 and then polymerizing to synthesize a polydepsipeptide. The present invention relates to a manufacturing method (claim 20).
[0026]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
As a method for producing a depsipeptide of the present invention, a carboxyl group of an amino acid having a protected amino group and a hydroxy group of an oxyacid having an unprotected carboxyl group are reacted using an aminopyridine compound as a catalyst to produce a dedepsipeptide. There is no particular limitation as long as it is a generation method.
[0027]
The oxyacid used in the method for producing a depsipeptide of the present invention may be a β-oxyacid or a γ-oxyacid as long as it has a carboxyl group and an alcoholic hydroxy group in one molecule. An α-oxy acid represented by the formula (I) is preferred. Where R1, R2Is independently a hydrogen atom, an unsubstituted or substituted alkyl group, an unsubstituted or substituted alkenyl group, an unsubstituted or substituted alkoxy group, an unsubstituted or substituted alkoxycarbonyl group, or It represents an unsubstituted or substituted aryl group and may be bonded to each other to form a ring. R1, R2The alkyl group represented by may be linear or cyclic, and may be a methyl group, ethyl group, n-propyl group, n-butyl group, n-butyl group, n-pentyl group, n-hexyl group, cyclohexyl group, A cycloheptyl group, 2-adamantyl group, etc. can be mentioned, As an alkenyl group, a vinyl group, an allyl group, an isopropenyl group, 1-butenyl group, 2-butenyl group, 2-pentenyl group etc. can be mentioned. . R1, R2Examples of the alkoxy group represented by can include a methoxy group, an ethoxy group, a butoxy group, and the like, and examples of the aryl group include a phenyl group, a 1-anthryl group, a 2-anthryl group, a 9-anthryl group, a 1-phenanthryl group, 2-phenanthryl group and the like can be mentioned, and R1, R2Examples of the ring formed by bonding to each other include the cyclic alkyl groups exemplified above and aryl groups. R1, R2Examples of the substituent such as an alkyl group represented by include an alkyl group such as a methyl group and an ethyl group, an alkenyl group such as a vinyl group and an allyl group, an alkoxy group such as a methoxy group and an ethoxy group, and an aryl group such as a phenyl group. However, those having a bulky oxyacid including a substituent reduce the biodegradability, and therefore those having no bulk as the substituent are preferred.
[0028]
Specific examples of such oxyacids include glycolic acid, lactic acid, glyceric acid, α-oxybutyric acid, hydroacrylic acid, and mandelic acid.
[0029]
The amino acid used in the method for producing a depsipeptide of the present invention may be a β-amino acid or a γ-amino acid as long as it has a carboxyl group and an amino group in one molecule. The α-amino acids shown are preferred. Where RThree, RFourIs independently a hydrogen atom, an unsubstituted or substituted alkyl group, an unsubstituted or substituted alkenyl group, an unsubstituted or substituted alkoxy group, an unsubstituted or substituted alkoxycarbonyl group, or It represents an unsubstituted or substituted aryl group and may be bonded to each other to form a ring. RThree, RFourAs the alkyl group, alkenyl group, alkoxy group, alkoxycarbonyl group, aryl group, and the ring formed by bonding to each other, the substituent R in the oxyacid represented by the above general formula (I)1, R2The same thing can be mentioned.
[0030]
Specific examples of such amino acids include glycine, alanine, valine, and rosin.IExamples thereof include syn and phenylalanine.
[0031]
The amino group used in the present invention is used with the amino group protected. The amino-protecting group of the amino acid is not particularly limited and may be any as long as it has a lower reactivity than the reactivity of the carboxyl group of the amino acid. Examples of such amino protecting groups include alkoxy groups such as methoxy group, ethoxy group, n-propoxy group, isopropoxy group, n-butoxy group, sec-butoxy group, t-butoxy group, and trichloroethyloxycarbonyl. Groups, tert-amyloxycarbonyl groups, methylsulfonylethoxycarbonyl groups, trichloroethoxycarbonyl groups, 2- (trimethylsilyl) ethoxycarbonyl groups and other alkoxycarbonyl groups, cyclopentyloxycarbonyl groups, cyclohexyloxycarbonyl groups and other cycloalkyloxycarbonyl groups Group, p-chlorobenzyloxycarbonyl group, p-methoxybenzyloxycarbonyl group, p-bromobenzyloxycarbonyl group, p-nitrobenzyloxycarbonyl group, adamantyloxycarbonyl Ar-alkoxycarbonyl such as bonyl group, 2-phenylisopropyloxycarbonyl group, p-methylphenylisopropyloxycarbonyl group, p-biphenylisopropyloxycarbonyl group, 3,5-dimethoxy-α, α-dimethylbenzyloxycarbonyl group Group, aryl group such as benzhydryl group, trityl group, trifluoroacetyl group, phthaloyl group, formyl group, dithiasuccinoyl group, benzenesulfonyl group, o-nitrophenylsulfenyl group, 2,4-dinitrophenylsulfuric group A phenyl group, a diphenylphosphinothioyl group, etc. can be mentioned. Among these, an alkoxy group can be mentioned as a preferred protective group.
[0032]
The amino acid used in the method for producing a depsipeptide of the present invention preferably has a protected amino group and its carboxyl group is activated. The activated carboxyl group is preferably an imide derivative. Examples of such imide derivatives include N-hydroxysuccinimide, N-hydroxyglutaric imide, N-hydroxyadipic imide, N-hydroxypimelic imide, N-hydroxysuberic imide, N-hydroxy Derivatives such as benzotriazole can be mentioned, and among these, N-hydroxysuccinimide can be exemplified as a preferred specific example.
[0033]
In order to prepare the amino acid used in the present invention, as shown in the formula (V-1), a protective group such as an alkoxy group was introduced into the amino group by a known method such as reaction of t-butanol with an amino acid. A method of bonding N-hydroxysuccinimide and the like to the carboxyl group of amino acid (A), for example, cyclic ethers such as tetrahydrofuran and dioxane, esters such as ethyl acetate, chlorinated hydrocarbons such as chloroform, N, In a solution of aprotic solvents such as N-dimethylformamide, Nt-butoxyamino acid and N-hydroxysuccinimide are stirred at room temperature in the presence of N, N-dicyclohexylcarbodiimide, and N -T-Butoxy-N-oxysuccinimide ester (B) can be obtained.
[0034]
[Chemical 9]
[0035]
The aminopyridine compound used as a catalyst in the method for producing a depsipeptide of the present invention is not particularly limited, but is preferably a compound represented by the general formula (III), in which RFive, RFourIndependently represents a hydrogen atom or an unsubstituted or substituted alkyl group. RFive, RFourThe alkyl group represented by is not limited to a straight chain, and may be cyclic, branched or substituted, and may be a methyl group, an ethyl group, an n-propyl group, an isopropyl group, an n- A butyl group, a sec-butyl group, a t-butyl group, etc. can be mentioned. Specific examples of the aminopyricin compound include dimethylaminopyridine, diethylaminopyridine, dipropylaminopyridine and the like, and dimethylaminopyridine can be given as a preferred specific example.
[0036]
In the method for producing a depsipeptide of the present invention, a reaction for producing a dedepsipeptide from the amino acid (B) having a protected amino group and having an activated carboxyl group and an oxyacid having an unprotected hydroxy group Examples of the method include stirring in the presence of an aminopyridine compound in a solvent at 0 to 60 ° C., preferably at room temperature, for 10 to 100 hours, preferably 20 to 50 hours. Solvents used include aromatic hydrocarbons such as benzene, toluene and xylene, aliphatic hydrocarbons such as cyclohexane, n-hexane and n-heptane, cyclic ethers such as tetrahydrofuran and dioxane, and esters such as ethyl acetate. And chlorohydrocarbons such as chloroform and the like. As the usage-amount of an amino acid and an oxyacid, an oxyacid can be 1-3 equivalent with respect to an amino acid, Preferably, it can be 1.5-2.5 equivalent, As a usage-amount of a catalyst, it is with respect to an amino acid. And 5 to 20 mol%, preferably around 10 mol%. After completion of the reaction, it can be separated and purified by a known method. According to such a method for producing a depsipeptide of the present invention, a hydroxy group of a free oxyacid selectively reacts with an alkoxycarbonyl group of an amino acid activated by converting a carboxyl group into an imide ester, and a protective group is added to the amino group. The didepsipeptide (C) having is obtained.
[0037]
Furthermore, in the method for producing depsipeptides of the present invention, polydepsipeptides can be produced from the didepsipeptides obtained by the above method by extending the dedepsipeptides into oligodepsipeptides and polycondensing the oligodepsipeptides. . In order to produce an oligodepsipeptide by elongating the dipeptipeptide, a step of converting the carboxyl group of the obtained dipeptipeptide into an imide derivative, a step of deprotecting the protected amino group of the dipeptipeptide, A method comprising: reacting a protected amino group with a carboxyl group of an amino acid having a protected amino group to produce a tridepsipeptide, and further deprotecting the protected amino group of the obtained tridepsipeptide And the step of reacting the amino group of the deprotected tridepsipeptide with the carboxyl group of an amino acid having a protected amino group can be employed.
[0038]
Specifically, the didepsipeptide obtained by the above method is a didepsipeptide (C) having an amino-protecting group, and this didepsipeptide (C) is converted into cyclic ethers such as tetrahydrofuran and dioxane, ethyl acetate and the like. In the presence of N, N-dicyclohexylcarbodiimide in the presence of esters, chlorohydrocarbons such as chloroform, and aprotic solvents such as N, N-dimethylformamide; Under stirring, the carboxyl group of the didepsipeptide (C) is reacted with N-oxysuccinimide to give an imide ester (D) of the didepsipeptide. By leaving the imide ester (D) of the dedepsipeptide in an acidic solution such as anhydrous hydrochloric acid / dioxane solution, the amino group protecting group of the imide ester (D) of the dedepsipeptide is removed, and the didepsipeptide imide ester (D) has a free amino group. The imide ester (E) of the depsipeptide is obtained. Thereafter, as shown in Formula (V-2), an amino acid having a protecting group on the same amino group as above is dissolved in tetrahydrofuran or the like in the presence of triethylamine or the like, and isobutyroxycarbonyl chloride or the like in the presence of methylmorpholine. Tridepsipeptide-N-oxysuccinic acid imide ester having amino group having protecting group by condensing amino acid having protecting group to amino group with imide ester (E) of didepsipeptide having free amino group using acid anhydride of (F) is obtained. Thereafter, all the peptide chains were elongated in the same manner, and the amino group-protected amino acid was sequentially bonded to the depsipeptide, and the carboxyl end of the depsipeptide was bonded to the amino group consisting of oxyacid-N-oxysuccinimide ester. An imide ester of an oligodepsipeptide having
[0039]
[Chemical Formula 10]
[0040]
In addition, as a method of producing an oligodepsipeptide by extending the dipeptipeptide in the method for producing a depsipeptide of the present invention, a method of binding an amino acid or oxyacid to the oxyacid side of the dedepsipeptide, an oxyacid on the amino acid side of the dedepsipeptide, or A method of bonding can also be mentioned.
Specifically, as a method of extending the depsipeptide chain by attaching an oxyacid to the amino group on the amino acid side, for example, a dedepsipeptide having a protected amino group is reacted with hydrochloric acid / dioxane to remove the protecting group. The obtained dedepsipeptide hydrochloride is dissolved in, for example, an organic solvent such as tetrahydrofuran or chloroform, and hydrochloric acid of the hydrochloride is trapped with N-methylmorpholine to obtain a deprotected free didepsipeptide. On the other hand, by reacting with the free didepsipeptide, such as dichloroacetyloxy acid N-oxysuccinimide ester in which the hydroxy group of oxyacid is protected with a dichloroacetyl group and the carboxyl group is activated as an imide derivative, dichloroacetyloxy Examples thereof include a method for obtaining a tridepsipeptide in which an acid is bonded to an amino acid of a didepsipeptide. A method for protecting the hydroxyl group of such oxyacid with a dichloroacetyl group and bonding the carboxyl group and amino group of this dichloroacetyloxyacid is described in the literature by the present inventor (J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1229). -1230 (1988)).
[0041]
In addition, as a method for extending the dedepsipeptide chain by binding an amino acid to the amino group on the amino acid side of the depsipeptide, for example, the amino group of the amino acid of the deprotected free didepsipeptide is protected, and the carboxyl group is carboxylated. Examples include a method of obtaining a tridepsipeptide in which an amino group protected amino acid is bonded to an amino acid of a didepsipeptide by reacting the group as an imide derivative and reacting as an amino group protected amino acid N-oxysuccinimide ester or the like .
[0042]
In addition, the above-described tridepsipeptide in which the dichloroacetyloxy acid is bound to the amino acid side of the dedepsipeptide is treated with a thin aqueous sodium hydrogen carbonate solution to remove the dichloroacetyl group to form a free tridepsipeptide easily soluble in an organic solvent. It is also possible to synthesize an oligodepsipeptide in which a free oxyacid having no protecting group is bound to extend the chain of the depsipeptide. By such a method, the necessary oligodepsipeptide is synthesized without activating the carboxyl group of the dedepsipeptide having a protected amino group, and then the carboxyl group of the oligodepsipeptide is converted into an active ester as N-oxysuccinimide ester or the like. It can also be guided.
[0043]
Such an oligodepsipeptide imide ester has an amino acid linked in a fixed sequence, or an amino acid and an oxyacid linked in a fixed sequence, and has an ester bond together with an amide bond. In comparison, intramolecular bonds are weakened and are susceptible to biodegradation.
[0044]
Further, in the method for producing a depsipeptide of the present invention, as a method for producing a polydepsipeptide from an oligodepsipeptide having an amino group-protecting group obtained by the above method, the oligodepsipeptide amino group-protecting group can be converted into anhydrous hydrochloric acid / organic solvent. The imide ester hydrochloride (G) of oligodepsipeptide is dissolved in an organic solvent such as N, N-dimethylformamide and dimethyl sulfoxide at a high concentration, and triethylamine The desired polydepsipeptide (H) can be obtained by adding such a polymerizing agent and stirring at high speed, followed by polycondensation at 0 to 60 ° C., preferably at room temperature.
[0045]
The polydepsipeptide of the present invention obtained by the method for producing a depsipeptide of the present invention has a weaker intramolecular bond than an amino acid having only an amino bond due to the presence of an ester bond, and is thus susceptible to biodegradation. Polydepsipeptides with small side chains of amino acids and oxyacids have a high biodegradation rate, and appropriately select the side chains of amino acids and oxyacids, that is, select the amino acids and oxyacids to be linked appropriately. By appropriately selecting the ratio of the ester bond in, the biodegradation rate of the depsipeptide can be adjusted, and the degradation / extinction period of the material using the depsipeptide in vivo or in the environment can be easily adjusted. DDS drug sustained release materials, drug binding targeting materials, functional materials for regenerative medicine such as artificial cartilage, materials that are degraded in vivo such as functional drugs, biodegradable plastics, etc. containing the polydepsipeptide of the present invention The biodegradable environmental conservation materials can be biodegraded and completely extinguished in vivo and in the environment, and the degradation and extinction period of these materials in vivo and in the environment should be set as desired. Can do.
[0046]
【Example】
EXAMPLES Hereinafter, although an Example demonstrates this invention more concretely, the technical scope of this invention is not limited to these illustrations.
Example 1: Preparation of didepsipeptide
0.2 mol of oxyacid was dissolved in 200 mL of tetrahydrofuran, and 0.2 mol of pyridine was added. To this, 0.1 mol of N-protected amino acid N-oxysuccinimide ester was added, 0.01 mol of 4-N, N-dimethylaminopyridine was further added, and the mixture was stirred at room temperature for 2 days. The solution was diluted with 200 mL of ethyl acetate and washed with aqueous citric acid. The solution was extracted with saturated sodium bicarbonate solution, and the resulting aqueous extract was acidified to pH 2 with dilute hydrochloric acid. The acidic aqueous solution was extracted twice with 300 mL of ethyl acetate, and the extract was washed with saturated brine, dried and concentrated to obtain an N-protected didepsipeptide. The composition organism was purified by recrystallization or column chromatography to obtain a pure target product.
[0047]
Example 2: Activation of carboxyl group of didepsipeptide
0.1 mol of the obtained N-didepsipeptide was dissolved in 200 mL of tetrahydrofuran, and 0.12 mol of N-oxysuccinimide was added. To the solution, 0.105 mol of N, N-dicyclohexylcarbodiimide was added at 0 ° C., and the mixture was stirred at 0 ° C. for 1 hour and at room temperature overnight. The system was concentrated at 10 ° C., dissolved in 300 mL of ethyl acetate, insolubles were removed by filtration, and the solution was quickly washed with a dilute aqueous sodium bicarbonate solution and then with a saturated saline solution and dried. The solution was concentrated, crystallized by adding hexane, and recrystallized from ethyl acetate to give pure N-protected didepsipeptide N-oxysuccinimide ester.
[0048]
Example 3: Deprotection of amino group of didepsipeptide
0.05 mol of N-protected didepsipeptide N-oxysuccinimide ester was dissolved in mL of 4M anhydrous hydrochloric acid / dioxyacid solution and allowed to stand at room temperature for 1 hour. The solution was concentrated and ether was added to crystallize the didepsipeptide N-oxysuccinimide ester hydrochloride. The crystals were collected by filtration, washed with ether and dried.
[0049]
Example 4: Preparation of tridepdipeptide
0.07 mol of N-protected amino acid was dissolved in 100 mL of tetrahydrofuran, 9.8 mL of triethylamine was added, and the mixture was cooled to -5 ° C. While stirring the solution, 0.07 mol of isobutyroxycarbonyl chloride was added and stirred at -5 ° C for 10 minutes. To this system, 100 mL of a tetrahydrofuran solution of didepsipeptide N-oxysuccinimide ester hydrochloride and 7.7 mL of N-methylmorpholine were gradually added dropwise, followed by stirring at −5 ° C. for 1 hour and at room temperature for 2 hours. The system was concentrated and dissolved in 300 mL of ethyl acetate, and the solution was washed with water, 10% aqueous citric acid solution, saturated aqueous sodium hydrogen carbonate solution, water and dried. The solution was concentrated and hexane was added to crystallize the product. Recrystallization from tetrahydrofuran gave pure N-protected tridepsipeptide N-oxysuccinimide ester.
[0050]
Example 5: Deprotection of amino group of tridepsipeptide
0.04 mol of N-protected tridepsipeptide N-oxysuccinimide ester was dissolved in 30 mL of 4M dry hydrochloric acid / dioxane solution and allowed to stand at room temperature for several hours. The solution was concentrated and ether was added to crystallize the tridepsipeptide N-oxysuccinimide ester hydrochloride. Recrystallization from tetrahydrofuran gave pure tridepsipeptide N-oxysuccinimide ester hydrochloride.
[0051]
Example 6: Preparation of polydepsipeptide
0.03 mol of tridepsipeptide N-oxysuccinimide ester hydrochloride was dissolved in 10 mL of dimethyl sulfoxide, 4.2 mL of triethylamine was added with high-speed stirring, and stirring was continued at room temperature for 2 days. When the system was poured into 100 mL of water, a white precipitate was deposited. The precipitate was collected by filtration, washed with water, ethanol and ether and dried. The precipitate was reprecipitated from dichloroacetic acid with ether.
[0052]
Reference example 1:
A dispersion type DDS obtained by simply mixing a poly (Ala-Ala-Glu (OEt) -Lac) and a drug such as an LH-RH agonist obtained by the above method and an inclusion type DDS in which the drug is encapsulated with a polymer were prepared. These DDS were implanted in male rats. It can be seen that the columnar polymer is uniformly decomposed. This system was completely biodegraded after 24 weeks and disappeared from the rat body. It was found that a crater-like hole was opened on the surface of the sample for 3 weeks after implantation. On the other hand, a tissue photograph of a rat embedded with a polymer revealed that the living tissue had entered a hole portion that appeared like a crater on the polymer surface. A mechanism may be considered in which a DDS embedded in a living body has a small hole on its surface due to the action of a degrading enzyme from a living tissue, and the tissue enters the hole and further degradation proceeds. Dispersed DDS showed a rapid release of drug immediately after implantation, and all the drug was released out of the system within 6 weeks. On the other hand, release of the drug was observed from the inclusion type DDS up to 16 weeks at a substantially constant concentration. Corresponding well to this drug release behavior, changes in the weight of the three organs VP, SV and dorsal lateral prostates (DPLs) in the rat were observed. When dispersive DDS was implanted, a significant weight loss of the three organs appeared immediately, but the drug effect disappeared after 8 weeks. On the other hand, in the inclusion type DDS, the drug effect lasted from 3 weeks to 16 weeks.
[0053]
When these two types of drug release behavior and biodegradation behavior are compared, the rapid initial release of the drug from the dispersed DDS causes the drug dispersed inside to penetrate the polydepsipeptide layer when a hole is formed in the DDS surface. It is reasonable to think that it moves easily and is discharged from the hole one after another. On the other hand, in the inclusion type DDS, the internal drug is gradually released through the polymer layer on the surface, and no rapid release occurs even when biodegradation progresses. Therefore, in this system, it was shown that the setting of the thickness of the polymer layer on the surface of the DDS in contact with the living tissue is very important. Furthermore, it was found that it is possible to design a multilayer structure composed of two or more types of polydepsipeptides having different characteristics in order to construct a DDS exhibiting ideal drug release behavior.
[0054]
【The invention's effect】
According to the method for producing a depsipeptide of the present invention, the benzyl ester is not subjected to the step of introducing a protecting group for the carboxyl group of oxyacid, that is, the step of reacting with benzyl alcohol to form an ester with a low yield. The N-protected didepsipeptide can be directly produced by condensing an N-protected amino acid having a protected amino group and an oxyacid in a simple process without introducing and removing the above. For this reason, an oligodepsipeptide of a basic unit in which an amino acid and an oxyacid are linked to a desired sequence from a dedepsipeptide, and then polycondensation of the oligodepsipeptide efficiently converts a polydepsipeptide with an ordered sequence in high yield, DDS drug sustained release materials, drug binding targeting materials, functional materials for regenerative medicine such as artificial cartilage, materials that can be degraded in vivo such as functional drugs, biodegradable plastics, etc. In addition, a biodegradable environmental conservation material can be provided, and further, a depsipeptide capable of adjusting the elimination / destruction period in vivo or in the environment can be provided.
Claims (20)
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