JP4214849B2 - 露光方法及び露光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アライメントマークを使って基板をアライメントするアライメント方法及びアライメント装置、並びに露光方法及び露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示デバイスや半導体デバイスは、マスク上に形成されたパターンを感光基板上に転写する、いわゆるフォトリソグラフィの手法により製造される。このフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置は、マスクを支持するマスクステージと感光基板を支持する基板ステージとを有し、マスク上に形成されたパターンをマスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながら投影光学系を介して感光基板に転写するものである。露光装置としては、感光基板上にマスクのパターン全体を同時に転写する一括型露光装置と、マスクステージと基板ステージとを同期走査しつつマスクのパターンを連続的に感光基板上に転写する走査型露光装置との2種類が主に知られている。このうち、液晶表示デバイスを製造する際には、表示領域の大型化の要求から走査型露光装置が主に用いられている。走査型露光装置には、複数の投影光学系を、隣り合う投影領域が走査方向で所定量変位するように、且つ隣り合う投影領域の端部(継ぎ部)どうしが走査方向と直交する方向に重複するように配置した、いわゆるマルチレンズ方式の走査型露光装置(マルチレンズスキャン型露光装置)がある。マルチレンズ方式の走査型露光装置は、良好な結像特性を維持しつつ、装置を大型化せずに大きな露光領域(パターン形成領域)を得ることができる(特許文献1参照)。
【0003】
露光装置では、感光基板上に既に形成されているパターンに対して次のパターンを精度良く重ね合わせる必要があるため、感光基板を所定位置に対して高精度に位置合わせ(アライメント)してから露光処理が行われる。液晶表示デバイスを製造するためのガラス基板を基材とする感光基板に対するアライメント処理では、まず、基板ステージにロードされた感光基板の外形計測(ポテンショ計測)が行われる。具体的には、感光基板の端部にピン部材を当てることで基板ステージ座標系に対する感光基板の大まかな位置計測であるポテンショ計測が行われる。次いで、ポテンショ計測結果に基づいて、感光基板を支持している基板ステージを移動して、感光基板上に設けられているアライメントマークを特定のマーク検出系(アライメント顕微鏡)の計測領域内に配置するための大まかな位置合わせが行われる。そして、この計測領域内に配置されたアライメントマークを使ってラフアライメント処理が行われた後、更に高精度なファインアライメント処理が行われる。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−296667号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来技術には以下に述べる問題が存在する。
近年における感光基板の大型化に伴って、感光基板の変形やローテーション(基板ステージ座標系に対する回転方向の位置ずれ)による位置誤差が大きくなるため、上記ポテンショ計測を行っても、特定のマーク検出系の計測領域内にアライメントマークが配置されない可能性が生じるようになった。特定のマーク検出系の計測領域内にアライメントマークが配置されない場合、アライメント処理が困難になるばかりか、例えば作業者が介入してアシストする必要が生じ、処理効率が低下するという問題が生じる。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、感光基板が大型化してマーク検出系の計測領域内にアライメントマークを配置することが困難である場合でも、感光基板を円滑に効率良くアライメントでき、高精度で露光処理できる露光方法及び露光装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため本発明は、実施の形態に示す図1〜図19に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の露光方法は、マスク(M)と基板(P)とを第1方向(X軸方向)に同期移動しつつ、基板(P)に対してマスク(M)のパターンを露光する露光方法において、第1方向と直交する第2方向(Y軸方向)に計測領域(K1〜K6)が配置される複数のマーク検出系(AL1〜AL6)で基板の複数のアライメントマーク(m1〜m6)の検出を略同時に行い、複数のマーク検出系(AL1〜AL6)のうちアライメントマークが計測領域に配置される少なくとも2つのマーク検出系の検出結果に基づいて、複数のマーク検出系(AL1〜AL6)による基板上で異なる露光領域(PA1〜PA3)の複数のアライメントマーク(m1〜m6)の検出を、基板を第1方向に移動して複数回行うとともに、複数のマーク検出系と異なる検出系(60)による第1及び第2方向と直交するZ軸方向の基板の位置検出を、第1方向への基板の移動と並行して行い、基板上の露光領域毎に同期移動によりマスクのパターンを露光する露光方法である。また、本発明の露光装置(EX)は、マスク(M)と基板(P)とを第1方向(X軸方向)に同期移動しつつ、基板(P)に対してマスク(M)のパターンを露光する露光装置において、第1方向と直交する第2方向(Y軸方向)に計測領域(K1〜K6)が配置され、基板上のアライメントマークを検出する複数のマーク検出系(AL1〜AL6)と、第1及び第2方向と直交するZ軸方向の基板の位置を検出する検出系(60)と、複数のマーク検出系(AL1〜AL6)のうちアライメントマークが計測領域に配置される少なくとも2つのマーク検出系の検出結果に基づいて、複数のマーク検出系(AL1〜AL6)による基板上で異なる露光領域(PA1〜PA3)の複数のアライメントマーク(m1〜m6)の検出を、基板を第1方向に移動して複数回行うとともに、前記複数のマーク検出系(AL1〜AL6)と異なる検出系(60)によるZ軸方向の基板の位置検出を、第1方向への基板の移動と並行して行い、基板上の露光領域毎に同期移動によりマスクのパターンを露光する制御系(CONT)とを備える露光装置(EX)である。
【0008】
本発明によれば、複数のマーク検出系のいずれかでアライメントマークが検出できなくても、残りのマーク検出系でアライメントマークを検出可能である。また、アライメントマークを検出可能な少なくとも2つのマーク検出系の検出結果に基づいて、複数のマーク検出系による基板上で異なる露光領域の複数のアライメントマークの検出を、基板を第1方向に移動して複数回行うとともに、検出系による基板のZ軸方向の位置検出を、第1方向への基板の移動と並行して行う。このため、検出すべきアライメントマークの数を減らすことなく、従来に比べてアライメントマークの検出時間を短縮できるとともに、アライメントマークの検出動作と並行してZ軸方向の基板の位置を検出できる。従って、基板の露光前の準備動作に要する時間を短縮でき、露光処理のスループットを向上することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のアライメント装置及び露光装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明のアライメント装置を備えた露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図1において、露光装置EXは、パターンが形成されたマスクMを支持するマスクステージMSTと、感光基板(基板)Pを支持する基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに支持されている感光基板Pに投影露光する投影光学系PLと、感光基板Pに設けられているアライメントマークを検出するアライメント装置の一部を構成すマーク検出系AL(AL1〜AL6)と、露光装置EXの動作を統括制御する制御系の一部を構成する制御装置CONTとを備えている。感光基板Pはガラスプレート(ガラス基板)に感光剤(フォトレジスト)を塗布したものである。投影光学系PLは複数(7つ)の投影光学モジュールPLa〜PLgにより構成され、本実施形態における露光装置EXは、この投影光学系PL(PLa〜PLg)に対してマスクMと感光基板Pとを走査方向(第1の方向)に同期移動しつつマスクMを露光光ELで照明し、マスクMのパターン像を感光基板Pに露光する、所謂マルチレンズスキャン型露光装置である。
【0010】
ここで、以下の説明において、マスクMと感光基板Pとの同期移動方向(走査方向)をX軸方向(第1の方向)、水平面内において前記走査方向と直交する方向である非走査方向をY軸方向(第2の方向)、X軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸の軸線まわり方向を、それぞれθX、θY、及びθZ方向とする。
【0011】
照明光学系ILは、超高圧水銀ランプ等からなる光源、光源から射出された光束を集光する楕円鏡、楕円鏡によって集光された光束のうち露光に必要な波長の光束を反射し、その他の波長の光束を透過させるダイクロイックミラー、ダイクロイックミラーで反射した光束のうち更に露光に必要な波長(通常は、g、h、i線のうち少なくとも1つの帯域)のみを通過させる波長選択フィルタ、及び波長選択フィルタからの光束を複数本(本実施形態では7本)に分岐して各照明系モジュールに入射させるライトガイドなどを備えている。ここで、前記照明系モジュールは複数設けられており、本実施形態では投影光学モジュールPLa〜PLgに対応して7つ設けられている。これら複数の照明系モジュールのそれぞれから射出した露光光ELは、マスクM上の異なる小領域(照明光学系ILの照明領域)をそれぞれ照明する。また、照明系モジュールのそれぞれは、照明シャッタ、リレーレンズ、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズ、及びコンデンサレンズなどを備えている。照明シャッタは露光光ELの光路に対して進退自在に配置されており、光路に配置されたときに光束を遮光し、光路から退避したときに遮光を解除する。
【0012】
マスクMを支持するマスクステージMSTは、一次元の走査露光を行うべくX軸方向に長いストロークと、走査方向と直交するY軸方向に所定距離のストロークとを有している。また、マスクステージMSTはZ軸方向及びθZ方向にも微動可能である。マスクステージMSTは、このマスクステージMSTを移動するリニアモータ等により構成されるマスクステージ駆動部MSTDを備えている。マスクステージ駆動部MSTDは制御装置CONTにより制御される。マスクステージMST上のX軸及びY軸方向のそれぞれの端縁には、直交する方向に移動鏡32a、32bがそれぞれ設置されている。移動鏡32aにはレーザ干渉計Mx1、Mx2が対向して配置され、移動鏡32bにはレーザ干渉計My1が対向して配置されている。レーザ干渉計Mx1、Mx2は、移動鏡32aにレーザ光を照射し、移動鏡32aとの間の距離を検出する。レーザ干渉計Mx1、Mx2の検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTはレーザ干渉計Mx1、Mx2の検出結果に基づいて、マスクステージMSTのX軸方向の位置、及びθZ方向の回転量を求める。また、レーザ干渉計My1は、移動鏡32bにレーザ光を照射し、移動鏡32bとの間の距離を検出する。レーザ干渉計My1の検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTはレーザ干渉計My1の検出結果に基づいて、マスクステージMSTのY軸方向の位置を求める。そして、制御装置CONTは、レーザ干渉計Mx1、Mx2、My1の出力からマスクステージMSTの位置をモニタし、マスクステージ駆動部MSTDを制御することでマスクステージMSTを所望の位置へ移動する。
【0013】
マスクMを透過した露光光ELは、投影光学系PL(投影光学モジュールPLa〜PLg)にそれぞれ入射する。この投影光学モジュールPLa〜PLgは、マスクMの照射範囲に存在するパターン像を感光基板Pに結像させ、感光基板Pの特定領域にパターン像を投影露光するものであって、複数の光学素子により構成されており、投影領域50a〜50gを設定する視野絞り、及び結像特性調整装置などを備えている。結像特性調整装置は、複数の光学素子のうち特定の光学素子を駆動することでパターン像の結像特性を調整するものであって、像シフト、スケーリング、ローテーション、及び像面位置(像面傾斜)などを調整可能である。また、投影光学モジュールPLa〜PLgのそれぞれを構成する光学素子(レンズ)は鏡筒PKの内部に配置されている。なお、結像特性調整装置としては、一部の光学素子(レンズ)間を密封して内部圧力を調整する機構であってもよい。
【0014】
感光基板P上での投影光学系PLa〜PLgの投影領域50a〜50gのそれぞれは、所定形状、本実施形態では台形形状に設定され、図1に示すように、投影領域50a、50c、50e、50gと、投影領域50b、50d、50fとが、X軸方向に対向して配置されている。さらに、投影領域50a〜50gは、隣り合う投影領域の端部(境界部、継ぎ部)どうしがY軸方向に重なり合うように並列配置される。そして、投影領域50a〜50gの境界部どうしをY軸方向に重なり合うように並列配置することにより、X軸方向の投影領域の幅の総計がほぼ等しくなるように設定されている。こうすることにより、X軸方向に走査露光したときの露光量が等しくなるようになっている。このように、各投影光学系PLa〜PLgによる投影領域50a〜50gのそれぞれが重なり合う重複領域(継ぎ部)を設けることにより、継ぎ部における光学収差の変化や照度変化を滑らかにすることができる。
【0015】
投影光学モジュールPLa〜PLgのそれぞれは定盤150に支持されており、定盤150は不図示のコラム(支持構造体)にキネマティックに支持されている。複数の投影光学モジュールPLa〜PLgのうち投影光学モジュールPLa、PLc、PLe、PLgがY軸方向に並んで配置され、投影光学モジュールPLb、PLd、PLfがY軸方向に並んで配置されている。また、Y軸方向に並んだ投影光学モジュールPLa、PLc、PLe、PLgと、Y軸方向に並んだ投影光学モジュールPLb、PLd、PLfとはX軸方向において対向するように配置されており、全体で千鳥状に配置されている。千鳥状に配置されている投影光学モジュールPLa〜PLgのそれぞれは、隣合う投影光学モジュールどうし(例えば投影光学モジュールPLaとPLb、PLbとPLc)をY軸方向に所定量変位させて配置されている。各投影光学モジュールPLa〜PLgを透過した露光光ELは、感光基板P上の異なる投影領域50a〜50gにマスクMの照射領域に対応したパターン像を所定の結像特性で結像する。
【0016】
定盤150は、例えばメタルマトリクス複合材(MMC:Metal Matrix Composites)により形成されている。メタルマトリクス複合材は金属をマトリクス材としてその中にセラミックス強化材を複合した複合材であり、ここでは金属としてアルミニウムを含むものが用いられている。定盤150の中央部には開口部150Aが形成されており、この開口部150Aにより投影光学モジュールPLa〜PLgそれぞれの露光光ELの光路が確保されている。ここで、定盤150は平面視において左右対称な六角形状(ホームベース状)に形成されており、Y軸方向に4つ並んだ投影光学モジュールPLa、PLc、PLe、PLgは定盤150の幅の広い部分で支持され、Y軸方向に3つ並んだ投影光学モジュールPLb、PLd、PLfは定盤150の幅の狭い部分で支持されている。すなわち、複数並んだ投影光学モジュールの数に応じて定盤150の形状が設定されており、これにより、投影光学モジュールPLa〜PLgを支持するのに十分な強度を得られる範囲において、使用材料が最小限に抑えられている。
【0017】
投影光学モジュールPLa〜PLgのそれぞれは、定盤150に対して互いに独立して接続されており、又分離可能である。これにより、投影光学モジュールをモジュール単位で増減させることが可能となり、その場合において、投影光学モジュールの定盤150に対する取り付け・取り外し作業を容易に行うことができる。更に、投影光学モジュールPLa〜PLgのそれぞれを定盤150に対して互いに独立して接続及び分離可能としたことにより、定盤150の所定の基準位置(例えば開口部150Aの中心位置)に対してそれぞれ独立して位置決め可能であり、各投影光学モジュールPLa〜PLgの互いの相対位置を任意に設定することができる。
【0018】
感光基板Pを支持する基板ステージPSTは基板ホルダを介して感光基板Pを保持する。基板ステージPSTは、マスクステージMSTと同様に、一次元の走査露光を行うべくX軸方向に長いストロークと、走査方向と直交するY軸方向にステップ移動するための長いストロークとを有している。基板ステージPSTはZ軸方向にも移動可能であり、更に、θX、θY、及びθZ方向にも移動可能である。そして、基板ステージPSTは、この基板ステージPSTを移動するリニアモータ等により構成される基板ステージ駆動部PSTDを備えている。基板ステージ駆動部PSTDは制御装置CONTによって制御される。
【0019】
基板ステージPST上のX軸方向及びY軸方向のそれぞれの端縁には、直交する方向に移動鏡34a、34bがそれぞれ設置されている。Y軸方向に延在する移動鏡34aには、複数、本実施形態では2つのレーザ干渉計Px1、Px2が対向して配置されている。また、X軸方向に延在する移動鏡34bには、複数、本実施形態では3つのレーザ干渉計Py1、Py2、Py3が対向して配置されている。ここで、複数のレーザ干渉計Py1〜Py3のそれぞれは、X軸方向に沿って等間隔に並べで配置されている。レーザ干渉計Px1、Px2のそれぞれは移動鏡34aにレーザ光を照射し、移動鏡34aとの距離を検出する。レーザ干渉計Px1、Px2の検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTはレーザ干渉計Px1、Px2の検出結果に基づいて、基板ステージPSTのX軸方向の位置、及びθZ方向の回転量を求める。また、レーザ干渉計Py1〜Py3は移動鏡34bにレーザ光を照射し、移動鏡34bとの距離を検出する。レーザ干渉計Py1〜Py3の検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTはレーザ干渉計Py1〜Py3それぞれの検出結果に基づいて、基板ステージPSTのY軸方向における位置を求める。そして、制御装置CONTは、レーザ干渉計Px1、Px2、及びPy1〜Py3の出力から基板ステージPSTの位置をモニタし、基板ステージ駆動部PSTDを制御することで基板ステージPSTを所望の位置に移動する。
【0020】
ここで、制御装置CONTは、基板ステージPSTのY軸方向における位置を検出する際、基板ステージPSTの移動に応じて、すなわち、感光基板Pを支持する基板ステージPSTのX軸方向における位置に応じて、複数のレーザ干渉計Py1〜Py3のうち位置検出に用いるレーザ干渉計を切り替えるようになっている。
【0021】
マスクステージ駆動部MSTD及び基板ステージ駆動部PSTDは制御装置CONTによりそれぞれ独立して制御され、マスクステージMST及び基板ステージPSTは、マスクステージ駆動部MSTD及び基板ステージ駆動部PSTDのそれぞれの駆動のもとでそれぞれ独立して移動可能となっている。そして、制御装置CONTは、マスクステージMST及び基板ステージPSTの位置をモニタしながら、両駆動部PSTD、MSTDを制御することにより、マスクMと感光基板Pとを投影光学系PLに対して、任意の走査速度(同期移動速度)でX軸方向に同期移動するようになっている。ここで、マスクステージMSTに支持されているマスクMと、基板ステージPSTに支持されている感光基板Pとは、投影光学系PLを介して共役な位置関係に配置される。
【0022】
次に、アライメント装置を構成するマーク検出系ALについて説明する。
マーク検出系ALは、感光基板Pに設けられているアライメントマーク(基板アライメントマーク)を検出するものであって、図1に示すように、2列に配置されている投影光学モジュールPLa、PLc、PLe、PLgと、投影光学モジュールPLb、PLd、PLfとの間で感光基板Pに対向するように設けられている。マーク検出系AL(AL1〜AL6)は、感光基板P上に設けられた複数の基板アライメントマークに応じて設けられており、Y軸方向(第2の方向)に複数並んで配置されている。また、2列に配置されている投影光学系PLa、PLc、PLe、PLgと、投影光学系PLb、PLd、PLfとの間には、感光基板Pに対向し、この感光基板PのZ軸方向における位置を検出する基板側オートフォーカス検出系(AF検出系)60と、マスクMに対向し、このマスクMのZ軸方向における位置を検出するマスク側オートフォーカス検出系70とが設けられている。基板側AF検出系60及びマスク側AF検出系70のそれぞれも、Y軸方向に複数並んで配置されている。ここで、複数のマーク検出系AL、基板側AF検出系60、及びマスク側AF検出系70は、図1に示すようにハウジングHに支持されてユニット化されている。以下の説明において、ハウジングHに支持されたAF検出系60、70、及びマーク検出系ALを、適宜「アライメントユニットU」と称する。
【0023】
図2は、アライメントユニットUの斜視図である。また、図3は、アライメントユニットUのうちマーク検出系AL、基板側AF検出系60、及びマスク側AF検出系70と、マスクM及び感光基板Pとの位置関係を説明するための図である。ここで、図3(a)はマスクMとマスク側AF検出系70との位置関係を示す図であり、図3(b)は図2のアライメントユニットUのA−A矢視断面図であり、図3(c)は感光基板Pを支持する基板ステージPSTを上側(+Z側)から見た平面図である。そして、図3(a)に示すマスク側AF検出系70は、図2のB−B断面矢視図に相当する。
【0024】
図2及び図3(b)に示すように、マーク検出系AL(AL1〜AL6)は、非走査方向であるY軸方向に複数、本実施形態では6つ並んで配置されている。マーク検出系AL1〜AL6は、2列に配置されている投影光学系PLa、PLc、PLe、PLgと、投影光学系PLb、PLd、PLfとの間において、この投影光学系PLa〜PLgの投影領域50a〜50gの並び方向に沿うように配置されている。
【0025】
図3(b)に示すように、Y軸方向に複数並んだマーク検出系AL1〜AL6のうち、Y軸方向中央のマーク検出系AL2〜AL5は投影光学系PL(PLa〜PLg)の内側に設けられ、Y軸方向両側のマーク検出系AL1、AL6は投影光学系PLの外側に設けられている。ここで、図3(b)及び(c)に示すように、複数のマーク検出系AL1〜AL6のうち、外側2つのマーク検出系AL1とAL6との間隔は、感光基板PのY軸方向の長さとほぼ等しく設定されている。また、図3(a)及び(b)に示すように、外側2つのマーク検出系AL1とAL6との間隔は、マスクMのY軸方向の長さよりも長く(マスクMのY軸方向の長さ以上に)設定されている。
【0026】
一方、感光基板Pには、図3(c)に示すように、アライメント処理に用いられる複数のアライメントマーク(基板アライメントマーク)m1〜m6が設けられている。本実施形態において、感光基板P上にはY軸方向に6つ並んだアライメントマークm1〜m6がX軸方向の6箇所に間隔をおいて形成されており、全部で36個のアライメントマークが形成されている。そして、マーク検出系AL1〜AL6は、複数のアライメントマークm1〜m6に応じて設けられている。なお、アライメントマークの形状としては、図3に示されている「L」字を組み合わせたものに限定されず、例えば、円形状「●」、十字状「+」、あるいはボックスマーク「□」でもよい。
【0027】
本実施形態では、感光基板P上においてY軸方向に6つ並んだアライメントマークm1〜m6に対応してマーク検出系AL1〜AL6が設けられている。そして、これら6つのマーク検出系AL1〜AL6のそれぞれとアライメントマークm1〜m6のそれぞれとが対向するように設定され、マーク検出系AL1〜AL6はアライメントマークm1〜m6のそれぞれに対向した状態で、これらアライメントマークm1〜m6のそれぞれに対する計測動作を同時に行うことができるようになっている。すなわち、本実施形態では、感光基板Pに形成されているアライメントマークm1〜m6の配置(間隔)に基づいてマーク検出系AL1〜AL6の配置(間隔)が設定されている。
【0028】
図2及び図3(b)に示すように、マーク検出系AL1〜AL6のX軸方向両側には、複数の基板側AF検出系60(60a〜60g)が設けられている。本実施形態において、基板側AF検出系は60a〜60gの7つ設けられている。基板側AF検出系60a〜60gは、基板ステージPSTに支持された感光基板Pに対向する位置に設けられており、感光基板Pの露光面に直交する方向、すなわちZ軸方向における位置をそれぞれ検出する。複数の基板側AF検出系60a〜60gのうち、AF検出系60a、60b、60d、60f、60gがY軸方向に並んで配置されているとともに、AF検出系60c、60eがY軸方向に並んで配置されている。そして、これら2列のAF検出系60a、60b、60d、60f、60gとAF検出系60c、60eとがマーク検出系AL(AL1〜AL6)を挟むように配置されている。
【0029】
複数の基板側AF検出系60a〜60gのうち、Y軸方向中央の基板側AF検出系60b〜60fは投影光学系PL(PLa〜PLg)の内側に設けられ、Y軸方向両側の基板側AF検出系60a、60gは投影光学系PL(PLa〜PLg)の外側に設けられている。ここで、外側の基板側AF検出系60a、60gのそれぞれは、複数のマーク検出系AL1〜AL6のうち外側2つのマーク検出系AL1、AL6のそれぞれに隣接して設けられている。外側2つの基板側AF検出系60a、60gの間隔も、感光基板PのY軸方向の長さとほぼ等しく設定されている。また、投影光学系PLの内側に設けられている基板側AF検出系60b〜60fは2列に千鳥状に配列されており、Y軸方向においてほぼ等間隔に設けられている。
【0030】
基板側AF検出系60a〜60gのそれぞれの検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTは基板側AF検出系60a〜60gの検出結果に基づいて、感光基板PのZ軸方向における位置を求める。更に、基板側AF検出系60a〜60gはX軸方向及びY軸方向のそれぞれにおいて2次元的に配置されているので、制御装置CONTは複数の基板側AF検出系60a〜60gの検出結果に基づいて、感光基板PのθX方向及びθY方向における姿勢を求めることができる。制御装置CONTは、求めたZ軸方向における位置、及びθX、θY方向における姿勢に基づいて、基板ステージ駆動部PSTDを駆動し、感光基板PのZ軸方向における位置の調整、及びθX、θY方向における姿勢の調整、すなわちレベリング調整を行う。
【0031】
図2及び図3(a)に示すように、アライメントユニットUには、複数のマスク側AF検出系70(70a〜70d)が設けられている。本実施形態において、マスク側AF検出系は70a〜70dの4つ設けられている。マスク側AF検出系70a〜70dは、マスクステージMSTに支持されたマスクMに対向する位置に設けられており、マスクMのパターン形成面に直交する方向、すなわちZ軸方向における位置をそれぞれ検出する。複数のマスク側AF検出系70a〜70dのそれぞれはY軸方向に等間隔で並んで配置されている。ここで、図3(a)に示すように、マスク側AF検出系70a〜70dは投影光学系PL(PLa〜PLg)の内側に設けられ、外側2つのマスク側AF検出系70a、70dの間隔は、マスクMのY軸方向の長さとほぼ等しく設定されている。
【0032】
図4はマーク検出系AL1の概略構成図である。なお、他のマーク検出系AL2〜AL6も、マーク検出系AL1と同等の構成である。
図4に示すように、マーク検出系AL1は、アライメント用検出光を射出するハロゲンランプからなるアライメント用光源81と、光源81から射出した検出光をリレーレンズ83に導く光ファイバからなるライトガイド82と、リレーレンズ83の光路下流側に設けられたハーフミラー84と、ハーフミラー84と検出対象である感光基板P(アライメントマークm1〜m6)との間に設けられ、ハーフミラー84を通過した検出光を感光基板P上に照射する対物レンズ85と、検出光の照射により感光基板P(アライメントマーク)で発生した反射光がハーフミラー84を介して導かれる偏向ミラー86と、偏向ミラー86で偏向された光束が入射される高倍率アライメント受光系89とを備えている。高倍率アライメント受光系89は、高倍用レンズ系89Aと、高倍用撮像素子(CCD)89Bとを有しており、感光基板Pの狭い領域を高精度で計測可能である。そして、アライメント用検出光の感光基板P(基板アライメントマーク)に対する照射により発生した光(反射光)は、高倍率アライメント受光系89に受光される。高倍率アライメント受光系89は受光信号を制御装置CONTに出力し、制御装置CONTはアライメント受光系89の受光信号に基づいて画像処理を行い、マーク位置情報を求める。
【0033】
マーク検出系AL1(AL2〜AL6)によりマーク位置情報を求める際、画像処理によりマークのエッジ情報からマーク位置を求める。なお、マーク位置を求める方法としてパターンマッチング法を用いるようにしてもよい。すなわち、制御装置CONTは、テンプレート画像を記憶した記憶装置(不図示)を接続しており、パターンマッチングによってテンプレートに一致するパターンの座標(ステージの移動座標系での位置)を求める。制御装置CONTは、この座標値を用いて継ぎ露光時や重ね合わせ露光時に生じたずれ量を求め、次回以降の露光の際には基板ステージ駆動部PSTDに補正パラメータを与えることにより、位置合わせ精度を高める。
【0034】
上記マーク検出系AL1(AL2〜AL6)では、光源81、ライトガイド82、及びリレーレンズ系83がマーク検出系の送光系を構成しており、偏向ミラー86、及び高倍率アライメント受光系89がマーク検出系の受光系を構成している。なお、光源81は複数のマーク検出系AL1〜AL6のそれぞれに設ける構成でもよいし、1つの光源81から射出された光を複数のライドガイド(光ファイバ)82で分岐し、この分岐した複数の光をマーク検出系AL1〜AL6のそれぞれに供給する構成としてもよい。また、アライメント用検出光は感光基板Pのレジストに対して非感光性であることが望ましく、ハロゲンランプからなる光源81より射出された光(白色光)のうち、特定の波長の光をカットするフィルタを、光源81と感光基板Pとの間の光路上に設ける構成としてもよい。
【0035】
図5は基板側AF検出系60aを示す概略構成図である。なお、他の基板側AF検出系60b〜60g、及びマスク側AF検出系70a〜70dも、AF検出系60aと同等の構成である。
図5に示すように、AF検出系60aは、AF用検出光を射出するLEDからなるAF用光源61と、光源61から射出した検出光が入射される送光レンズ系62と、送光レンズ系62を通過した光を、検出対象である感光基板P(あるいはマスクM)に傾斜方向から導くミラー63と、ミラー63を介して照射された検出光に基づき感光基板P(あるいはマスクM)で発生した反射光を受光レンズ系65に導くミラー64と、受光レンズ系65を通過した光を受光する撮像素子(CCD)66とを備えている。送光レンズ系62は、検出光を例えばスリット状に整形してから感光基板Pに照射する。ここで、図5に示すように、検出対象である感光基板PのZ軸方向における位置がΔZ変位すると、傾斜方向から照射されたスリット状の検出光は、撮像素子66におけるX軸方向における結像位置をΔX変位させる。撮像素子66の撮像信号は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTは撮像素子66による撮像位置の基準位置に対する変位量ΔXに基づいて、感光基板PのZ軸方向における変位量ΔZを求める。ここで、受光レンズ系65の入射面から射出面側への倍率がN倍(例えば10倍)に設定されていると、撮像素子66は、感光基板Pの変位ΔZに対してN倍(10倍)の感度で検出可能となる。フォーカス検出系60、70の検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTは、フォーカス検出系60、70の検出結果に基づいて、マスクMのパターン面と感光基板Pの露光面とが常に所定の間隔になるように位置制御する。
【0036】
上記AF検出系60a(60b〜60g、70a〜70d)では、光源61、送光レンズ系62、及びミラー63がAF検出系の送光系を構成しており、ミラー64、受光レンズ系65、及び撮像素子66がAF検出系の受光系を構成している。なお、光源61は複数のAF検出系60a〜60g(70a〜70d)のそれぞれに設ける構成でもよいし、1つの光源61から射出された光を複数のライドガイド(光ファイバ)で分岐し、この分岐した複数の光を複数のAF検出系のそれぞれに供給する構成としてもよい。また、AF用検出光も感光基板Pのレジストに対して非感光性であることが望ましく、光源61より射出された光のうち、特定の波長の光をカットするフィルタを、光源61と感光基板Pとの間の光路上に設ける構成としてもよい。
【0037】
ところで、本実施形態におけるマーク検出系ALはオフアクシス方式であり、アライメント処理を行うに際し、マスクMとマーク検出系ALとの相対位置であるベースライン量が計測される。以下、ベースライン計測方法について説明する。図1に示すように、マスクMにはベースライン計測用のマーク(マスク側AISマーク)90が設けられており、基板ステージPSTにはベースライン計測用のマーク(基板側AISマーク)91を有する基準部材92が設けられている。基板側AISマーク91のZ軸方向における形成位置(高さ)は感光基板Pの表面(露光面)と略一致するように設定されている。また、マスク側AISマーク90はマスクMの特定位置(例えば中心位置)に対して所定の位置関係で設けられている。マスク側AISマーク90と基板側AISマーク91とは対応しており、それぞれY軸方向に複数並んで設けられている。また、基準部材92の下方には基準部材92を通過した光を受光可能なAIS受光系94が基板ステージPSTに埋設されている(図6参照)。AIS受光系94は、レンズ系95と、レンズ系95を介した光を受光する撮像素子(CCD)96とを備えている。
【0038】
次に、図6を参照しながらベースライン計測手順を説明する。
図6(a)に示すように、基板側AF検出系60が基板ステージPSTに設けられている基板側AISマーク91を有する基準部材92との距離を検出するとともに、マスク側AF検出系70がマスク側AISマーク90を有するマスクMとの距離を検出する。制御装置CONTは、基板側AF検出系60及びマスク側AF検出系70それぞれの検出結果に基づいて、マスクMと基準部材92との距離を求める(ステップSA1)。
このとき、マスクMを支持しているマスクステージMSTの位置はレーザ干渉計Mx1、Mx2、My1により検出され、基板ステージPSTの位置はレーザ干渉計Px1、Px2、Py1により検出されている。
【0039】
次いで、図6(b)に示すように、制御装置CONTは、いわゆるスルー・ザ・レンズ(TTL)方式により、撮像素子96でマスクMのAISマーク90と基板ステージPST上のAISマーク91とを検出し、この検出結果に基づいてマスクMと基板ステージPSTとの相対位置を求める(ステップSA2)。
具体的には、制御装置CONTは、撮像素子96でマスク側AISマーク90の像と基板側AISマーク91の像とが一致するようにマスクステージMST及び基板ステージPSTを移動し、照明光学系ILでマスクMのマスク側AISマーク90を照明する。マスクMを通過した照明光(露光光)は投影光学系PLを通過するとともに基板側AISマーク91を通過し撮像素子96に導かれる。ここで、制御装置CONTは、ステップSA1で求めたマスクMと基準部材92との距離に基づいて、基板ステージPSTのZ軸方向における位置や投影光学系PLの像特性を調整し、マスク側AISマーク90及び基板側AISマーク91のそれぞれの像を撮像素子96で結像させる(ピントを合わせる)。このとき、マスクMを支持しているマスクステージMSTの位置はレーザ干渉計Mx1、Mx2、My1により検出され、基板ステージPSTの位置はレーザ干渉計Px1、Px2、Py1により検出されている。なお、露光光を用いて撮像素子96でAISマーク90、91を撮像する際、撮像素子96上で最適な光量(照度)が得られるように、例えば、照明光学系IL内のフィルタを駆動することができる。
【0040】
次に、図6(c)に示すように、制御装置CONTは基板ステージPSTを移動し、マーク検出系ALの計測領域中心(具体的には計測領域に設けられている指標マーク)に基板ステージPSTのAISマーク91を一致させ、このときの基板ステージPSTの位置をレーザ干渉計Px1、Px2、Py1で検出する(ステップSA3)。
ステップSA2及びステップSA3で求めたレーザ干渉計によるステージ位置検出結果から、マスクMとマーク検出系ALとの相対位置であるベースライン量が求められる。そして、求めたベースライン量に基づいて、制御装置CONTは、基板ステージPST上に載置された感光基板Pをマーク検出系ALによりマスクMに対して位置合わせ(アライメント)する。
【0041】
なお、ベースライン計測は、露光処理開始毎に行ってもよいし、所定時間間隔毎(例えば10時間毎、1日毎など)、及び予め設定した所定ロット数毎に行うようにしてもよい。また、上記AISマーク90、91の像を撮像素子96で撮像しつつ、投影光学系PL(PLa〜PLg)の像シフト機構19、倍率調整機構23、及びローテーション調整機構としての直角プリズム24、27を駆動し、投影光学系PLa〜PLgそれぞれのシフト、スケーリング、及びローテーションといった像特性を調整することができる。
【0042】
次に、上述したマーク検出系ALを有する露光装置EXにより、マスクMと感光基板Pとをアライメントする方法、及びマスクMのパターンを感光基板Pに露光する方法について説明する。
本実施形態では、図7に示すように、感光基板P上に9つのパターン形成領域(露光領域、ショット領域)PA1〜PA9を設定し、これらパターン形成領域PA1〜PA9のそれぞれに対して露光処理し、デバイスを形成するものとする。複数のパターン形成領域PA1〜PA9のうち、パターン形成領域PA1〜PA3がY軸方向(第2の方向)に3つ並んで設定され、パターン形成領域PA4〜PA6がY軸方向に3つ並んで設定され、パターン形成領域PA7〜PA9がY軸方向に3つ並んで設定されている。ここで、以下の説明において、Y軸方向に並ぶパターン形成領域PA1〜PA3を「ブロックBR1」、パターン形成領域PA4〜PA6を「ブロックBR2」、パターン形成領域PA7〜PA9を「ブロックBR3」と適宜称する。したがって、感光基板PはX軸方向に関して分割された3つのブロックBR1、BR2、BR3に設定される。また、パターン形成領域PA1〜PA9のそれぞれは、X軸方向における大きさのほうがY軸方向より大きく設定されている。そして、Y軸方向に並んだ複数のアライメントマークm1〜m6のうち、アライメントマークm1、m2がパターン形成領域PA3、PA6、PA9に配置され、アライメントマークm3、m4がパターン形成領域PA2、PA5、PA8に配置され、アライメントマークm5、m6がパターン形成領域PA1、PA4、PA7に配置されるように、アライメントマークm1〜m6のそれぞれの間隔が予め設定されている。そして、Y軸方向に並んだアライメントマークm1〜m6が、X軸方向に予め設定された間隔をおいて配置されていることにより、パターン形成領域PA3、PA6、PA9のそれぞれの4隅にアライメントm1、m2が配置され、パターン形成領域PA2、PA5、PA8のそれぞれの4隅にアライメントm3、m4が配置され、パターン形成領域PA1、PA4、PA7のそれぞれの4隅にアライメントm5、m6が配置される。
【0043】
ここで、以下の説明において、Y軸方向に並んだ6つのアライメントマークm1〜m6をまとめて、適宜「アライメントマーク群」と称する。したがって、本実施形態において、感光基板P上には、X軸方向に6つのアライメントマーク群G1〜G6が設けられた構成となっている。
【0044】
そして、X軸方向に並ぶレーザ干渉計Py1〜Py3の配置(間隔)は、感光基板P上でX軸方向に並ぶ複数のブロックBR1、BR2、BR3に対応するように設定されている。すなわち、レーザ干渉計Py1〜Py3の間隔は、パターン形成領域PA1、PA4、PA7のX軸方向における長さに応じて設定されている。また、感光基板Pは大型基板であって、移動鏡34bのX軸方向における長さは感光基板PのX軸方向における長さよりも短く、移動鏡34bは高い加工精度で製造されている。
【0045】
以下、図8に示すフローチャート図、及び図9、図10に示す模式図を参照しながら、アライメント処理(ラフアライメント処理)手順について説明する。
感光基板Pが基板ステージPSTにロードされたら、制御装置CONTは不図示のピン部材を感光基板Pの端部に当てることで、基板ステージ座標系に対する感光基板Pの大まかな位置計測(ポテンショ計測)を行う(ステップSB1)。次いで、制御装置CONTは、前記ポテンショ計測結果に基づいて、マーク検出系AL1〜AL6と感光基板P上のアライメントマークm1〜m6との大まかな位置合わせを行う(ステップSB2)。
【0046】
図9(a)は、複数のマーク検出系AL1〜AL6と、感光基板P上のアライメントマークm1〜m6とが大まかに位置合わせされた状態を示す模式図である。図9(a)に示すように、本実施形態では、X軸方向に並んだ複数のアライメントマーク群G1〜G6のうち、X軸方向に関して略中央部に設けられた第2のアライメントマーク群G2と、マーク検出系AL1〜AL6とが大まかに位置合わせされる。
【0047】
次いで、制御装置CONTは、複数のマーク検出系AL1〜AL6で、第2のアライメントマーク群G2のアライメントマークm1〜m6に対する計測動作を同時に行う(ステップSB3)。
【0048】
図9(b)は、図9(a)に示した状態におけるマーク検出系AL1〜AL6の計測領域K1〜K6と、アライメントマークm1〜m6との位置関係を示す模式図である。
図9(b)に示すように、マーク検出系AL1〜AL6は、矩形状の計測領域K1〜K6をそれぞれ有している。そして、図9(b)に示す例では、マーク検出系AL1、AL2、AL3、AL4、AL5の計測領域K1、K2、K3、K4、K5のそれぞれにアライメントマークm1、m2、m3、m4、m5が配置され、マーク検出系AL6の計測領域K6にはアライメントマークが配置されていない。つまり、複数のマーク検出系AL1〜AL6のうち、マーク検出系AL1〜AL5がアライメントマークを検出しており、他のマーク検出系AL6はアライメントマークを検出していない状態となっている。
【0049】
制御装置CONTは、計測領域にアライメントマークが配置されたマーク検出系AL1〜AL5のうち、互いに最も離れた位置にある2つのマーク検出系AL1、AL5の検出結果に基づいて、感光基板Pの位置情報を求める(ステップSB4)。
具体的には、制御装置CONTは、マーク検出系AL1、AL5の検出結果に基づいて、所定位置に対する感光基板Pの位置情報を求める。ここで、所定位置とは、複数のマーク検出系AL1〜AL6の全ての計測領域K1〜K6にアライメントマークm1〜m6が配置される感光基板Pの位置である。
【0050】
制御装置CONTは、前記所定位置に対する感光基板Pの位置ずれ量を求める。具体的には、マーク検出系AL1、AL5それぞれの計測領域K1、K5の基準位置(ここでは計測領域K1、K5の中心位置)と、計測領域K1、K5に配置されたアライメントマークm1、m5との位置関係を求め、この求めた位置関係に基づいて、感光基板Pを前記所定位置に対して位置合わせするための補正量を求める(ステップSB5)。
例えば、計測領域K1の基準位置(中心位置)に対するアライメントマークm1のX軸方向及びY軸方向における位置ずれ量をΔx1、Δy1、計測領域K5の基準位置(中心位置)に対するアライメントマークm5のX軸方向及びY軸方向における位置ずれ量をΔx5、Δy5、マーク検出系AL1とマーク検出系AL5との距離をΔLyとすると、
θZ方向における補正量ΔRot=(Δx1−Δx5)/ΔLy、
X軸方向における補正量ΔX=(Δx1+Δx5)/2、
y軸方向における補正量ΔY=(Δy1+Δy5)/2、
である。
【0051】
制御装置CONTは、上記求めた補正量(ΔRot、ΔX、ΔY)に基づいて、感光基板Pを所定位置に対して位置合わせする。すなわち、複数のマーク検出系AL1〜AL6の全ての計測領域K1〜K6にアライメントマークm1〜m6が配置されるように基板ステージPSTを駆動し、感光基板Pを位置決めする(ステップSB6)。
【0052】
図10は、上記求めた補正量に基づいて基板ステージPSTを駆動することにより感光基板Pを所定位置に位置合わせした状態を示す模式図である。このように、複数のマーク検出系AL1〜AL6の全ての計測領域K1〜K6にアライメントマークm1〜m6が配置され、以上でラフアライメント処理が終了する。
【0053】
本実施形態では、ラフアライメント処理を行うに際し、X軸方向に設けられた複数のアライメントマーク群G1〜G6のうち、中央部に設けられたアライメントマーク群G2を用いている。これは、ポテンショ計測後、例えば感光基板PがθZ方向に大きく回転していたり、あるいはXY方向に移動していても、マーク検出系に対するアライメントマークの位置誤差量が、端部に比べて中央部のほうが小さいため、マーク検出系の計測領域にアライメントマークが配置されやすいためである。また、ラフアライメント処理においては、複数のアライメントマーク群G1〜G6のうち1つのアライメントマーク群に対する計測動作を行えば十分であるが、もちろん、2つ以上の任意数のアライメントマーク群に対して計測動作を行っても構わない。
【0054】
本実施形態では、アライメントマークm1〜m5を検出した複数のマーク検出系AL1〜AL5のうち、互いに最も離れた位置にある2つのマーク検出系AL1、AL5の検出結果に基づいて、感光基板Pの位置情報を求めている。これにより、感光基板Pの特にθZ方向における位置情報(位置ずれ量)を精度良く求めることができる。一方、アライメントマークを検出した複数のマーク検出系のうち、任意の2つのマーク検出系(例えばマーク検出系AL2、AL4)の検出結果に基づいて感光基板Pの位置情報を求めることもできるし、2つに限らず、アライメントマークを検出した複数のマーク検出系のうち3つ以上の任意の数のマーク検出系の検出結果に基づいて感光基板Pの位置情報を求めるようにしてもよい。3つ以上のマーク検出系の検出結果を用いる場合には、最小自乗法等の手法を用いてデータ解析することで、感光基板Pの位置情報を精度良く求めることができる。
【0055】
ラフアライメント処理が終了したら、ファインアライメント処理の後、露光処理が行われる。ファインアライメント処理及び露光処理動作の一例について図11〜図16を参照しながら説明する。
図6を参照して説明したようにベースライン計測が行われた後、図11(a)に示すように、制御装置CONTは、基板ステージPSTを移動し、感光基板Pに設けられている−X側から1列目の第1のアライメントマーク群G1とマーク検出系AL1〜AL6とを対向させる。前述したように、本実施形態では、感光基板Pに形成されているアライメントマークm1〜m6の配置(間隔)に基づいてマーク検出系AL1〜AL6の配置(間隔)が設定されている。そして、制御装置CONTは、このときの基板ステージPSTのX軸方向及びθZ方向における位置をレーザ干渉計Px1、Px2を用いて検出するとともに、複数のレーザ干渉計Py1〜Py3のうちパターン形成領域PA1〜PA3(ブロックBR1)に対応する1つのレーザ干渉計Py1を選択し、基板ステージPSTのY軸方向における位置をレーザ干渉計Py1を用いて検出する。そして、制御装置CONTは、レーザ干渉計で基板ステージPSTの位置を検出しつつ、マーク検出系AL1〜AL6と第1のアライメントマーク群G1とを対向した状態で、Y軸方向に複数並んだパターン形成領域(露光領域)PA1〜PA3のそれぞれに対応するアライメントマークm1〜m6を同時に検出する。
【0056】
次いで、図11(b)に示すように、制御装置CONTは、基板ステージPSTを−X方向に移動し、感光基板Pに設けられている−X側から2列目の第2のアライメントマーク群G2とマーク検出系AL1〜AL6とを対向させ、レーザ干渉計Py1で基板ステージPSTのY軸方向における位置を検出するとともにレーザ干渉計Px1、Px2で基板ステージPSTのX軸及びθZ方向における位置を検出し、アライメントマークm1〜m6のそれぞれを同時に検出する。以上で、ファインアライメント処理のための第1及び第2のアライメントマーク群G1、G2に対する計測動作が終了する。
【0057】
ところで、ファインアライメント処理時では、上記ラフアライメント処理時と同じ計測領域が用いられる。換言すれば、上記ラフアライメント処理時においても、高倍率な(狭い計測領域である)アライメント受光系が用いられる。これにより、装置構成を簡略化できる。そして、本実施形態のラフアライメント処理時において、複数並んだマーク検出系を使ってアライメントマークを同時計測することで、高倍率なマーク検出系であっても少なくとも2つのマーク検出系の計測領域にアライメントマークを配置することが可能となる。
【0058】
一方、マーク検出系AL1〜AL6のそれぞれについて、ラフアライメント用の低倍率アライメント受光系と、ファインアライメント用の高倍率アライメント受光系との双方を併設してもよい。この場合、ラフアライメント処理時において、高倍率アライメント受光系を用いたアライメントマーク検出が不能である場合、低倍率アライメント受光系に切り替えてアライメントマーク検出を行うことによりアライメントマーク検出が可能となる。このように、低倍率及び高倍率アライメント受光系を切り替えてアライメントマーク検出を行うことにより、アライメント処理を円滑に行うことができる。
【0059】
制御装置CONTは、パターン形成領域PA1〜PA3のそれぞれに対してX軸方向に所定距離離れた2箇所で1列目のアライメントマーク及び2列目のアライメントマークの位置検出を行い、これら検出結果に基づいて、各パターン形成領域PA1〜PA3に関するシフト、スケーリング、及びローテーション等の像特性を補正する補正パラメータを求める。
【0060】
ここで、第1のアライメントマーク群G1を検出後、第2のアライメントマーク群G2を検出するために、感光基板PがアライメントユニットUに対して走査することになるが、このとき、アライメントユニットUのうちY軸方向に並んだ複数の基板AF検出系60a〜60gのそれぞれが感光基板Pの表面の高さ位置をX軸方向において所定距離間隔で検出する。すなわち、感光基板Pの表面の高さ位置が碁盤目状の複数位置で検出される。これら基板AF検出系60a〜60gそれぞれの検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTは基板AF検出系60a〜60gの検出結果に基づいて、感光基板Pのパターン形成領域PA1〜PA3それぞれの表面形状を求める。
【0061】
複数のマーク検出系AL1〜AL6のうち外側2つのマーク検出系AL1及びAL6には、基板AF検出系60a及び60gが近接して設けられている。したがって、基板AF検出系60a及び60gによる感光基板PのZ軸方向における位置情報をモニタしつつ、マーク検出系によるアライメント処理(アライメントマーク検出)を行うことにより、アライメント処理時において感光基板Pが投影光学系の結像面からZ軸方向に大きくずれた状態でアライメント処理してしまうといった不都合を抑えることができる。
【0062】
次いで、制御装置CONTは、前記求めた補正パラメータに基づいて、投影光学系PLの結像特性調整装置を使って像特性を補正した後、レーザ干渉計Py1、及びPx1、Px2で基板ステージPSTの位置検出をしつつ、パターン形成領域PA1に対する露光処理を行う。
すなわち、制御装置CONTは、投影光学系PLとパターン形成領域PA1の+X側端部とが対向するように基板ステージPSTを移動する。同時に、制御装置CONTは、図11では不図示のマスクMを支持したマスクステージMSTも−X側に移動し、感光基板Pに対してマスクMを位置合わせする。そして、マスクMと感光基板Pとを投影光学系PLに対して+X方向に同期移動しつつマスクMを露光光ELで照明することにより、パターン形成領域PA1に対して露光処理が行われる。図11(c)には、パターン形成領域PA1に対する走査露光が終了した後の状態が示されている。ここで、上記求めた感光基板P(パターン形成領域PA1)の表面形状データに基づいて、投影光学系の結像面と感光基板Pの表面とが一致するように、基板ステージPSTをZ軸方向、あるいはθX、θY方向に移動して感光基板Pの姿勢を制御しつつ走査露光が行われる。なお、複数の投影光学モジュールPLa〜PLgのうち、使用しない投影光学モジュール(例えばパターン形成領域PA1からはみ出る投影光学モジュールPLa、PLg等)は、その光路を照明シャッタにより遮蔽される。
【0063】
次いで、制御装置CONTは、補正パラメータに基づいて像特性を補正した後、レーザ干渉計Py1、及びPx1、Px2で基板ステージPSTの位置検出をしつつ、パターン形成領域PA2に対する露光処理を行う。図12(d)には、パターン形成領域PA2に対する走査露光が終了した後の状態が示されている。同様に、制御装置CONTは、補正パラメータに基づいて像特性を補正した後、レーザ干渉計Py1、及びPx1、Px2で基板ステージPSTの位置検出をしつつ、パターン形成領域PA3に対する露光処理を行う。図12(e)には、パターン形成領域PA3に対する走査露光が終了した後の状態が示されている。
【0064】
次いで、図13(a)に示すように、制御装置CONTは基板ステージPSTを移動し、感光基板Pに設けられている−X側から3列目の第3のアライメントマーク群G3とマーク検出系AL1〜AL6とを対向させる。そして、制御装置CONTは複数のレーザ干渉計Py1〜Py3のうちパターン形成領域PA4〜PA6(ブロックBR2)に対応する1つのレーザ干渉計Py2を選択する。制御装置CONTは、基板ステージPSTのX軸方向における位置が移動したことに伴い、基板ステージPSTのY軸方向の位置検出に用いるレーザ干渉計をレーザ干渉計Py1から前記選択したレーザ干渉計Py2に切り替える。
【0065】
そして、制御装置CONTは、このときの基板ステージPSTのX軸方向及びθZ方向における位置をレーザ干渉計Px1、Px2を用いて検出するとともに、基板ステージPSTのY軸方向における位置をレーザ干渉計Py2を用いて検出する。制御装置CONTはレーザ干渉計で基板ステージPSTの位置を検出しつつ、マーク検出系AL1〜AL6と第3のアライメントマーク群G3とを対向した状態で、Y軸方向に複数並んだパターン形成領域PA4〜PA6のそれぞれに対応するアライメントマークm1〜m6を同時に検出する。
次いで、図13(b)に示すように、制御装置CONTは基板ステージPSTを−X方向に移動し、感光基板Pに設けられている−X側から4列目の第4のアライメントマーク群G4とマーク検出系AL1〜AL6とを対向させ、レーザ干渉計Py2で基板ステージPSTのY軸方向における位置を検出するとともにレーザ干渉計Px1、Px2で基板ステージPSTのX軸方向及びθZ軸方向における位置を検出し、アライメントマークm1〜m6のそれぞれを同時に検出する。そして、制御装置CONTは、第3、第4のアライメントマーク群G3、G4の位置検出結果に基づいて、各パターン形成領域PA4〜PA6に関するシフト、スケーリング、及びローテーション等の像特性を補正する補正パラメータを求める。このとき、上述同様、基板AF検出系60a〜60gにより、感光基板Pのパターン形成領域PA4〜PA6それぞれの表面形状が求められる。そして、制御装置CONTは、図13(c)、図14(d)、図14(e)に示すように、パターン形成領域PA4、PA5、PA6に対する露光処理を順次行う。
【0066】
次いで、図15(a)に示すように、制御装置CONTは、基板ステージPSTを移動し、感光基板Pに設けられている−X側から5列目の第5のアライメントマーク群G5とマーク検出系AL1〜AL6とを対向させる。そして、制御装置CONTは複数のレーザ干渉計Py1〜Py3のうちパターン形成領域PA7〜PA9(ブロックBR3)に対応する1つのレーザ干渉計Py3を選択する。制御装置CONTは、基板ステージPSTのX軸方向における位置が移動したことに伴い、基板ステージPSTのY軸方向の位置検出に用いるレーザ干渉計をレーザ干渉計Py2から前記選択したレーザ干渉計Py3に切り替える。
【0067】
そして、制御装置CONTは、このときの基板ステージPSTのX軸方向及びθZ方向における位置をレーザ干渉計Px1、Px2を用いて検出するとともに、基板ステージPSTのY軸方向における位置をレーザ干渉計Py3を用いて検出する。制御装置CONTはレーザ干渉計で基板ステージPSTの位置を検出しつつ、マーク検出系AL1〜AL6と第5のアライメントマーク群G5とを対向した状態で、Y軸方向に複数並んだパターン形成領域PA7〜PA9のそれぞれに対応するアライメントマークm1〜m6を同時に検出する。
【0068】
次いで、図15(b)に示すように、制御装置CONTは、基板ステージPSTを−X方向に移動し、感光基板Pに設けられている−X側から6列目の第6のアライメントマーク群G6とマーク検出系AL1〜AL6とを対向させ、レーザ干渉計Py3で基板ステージPSTのY軸方向における位置を検出するとともにレーザ干渉計Px1、Px2で基板ステージPSTのX軸方向及びθZ方向における位置を検出し、アライメントマークm1〜m6のそれぞれを同時に検出する。そして、制御装置CONTは、第5、第6のアライメントマーク群G5、G6の位置検出結果に基づいて、各パターン形成領域PA7〜PA9に関するシフト、スケーリング、及びローテーション等の像特性を補正する補正パラメータを求める。このとき、上述同様、基板AF検出系60a〜60gにより、感光基板Pのパターン形成領域PA4〜PA6それぞれの表面形状が求められる。そして、制御装置CONTは、図15(c)、図16(d)、図16(e)に示すように、パターン形成領域PA7、PA8、PA9に対する露光処理を順次行う。
【0069】
なお、上記実施形態における露光装置EXは、互いに隣接する複数の投影光学系を有する、所謂マルチレンズスキャン型露光装置であるが、投影光学系が1つである走査型露光装置ついても、本発明を適用することができる。更には、走査型露光装置に限らず、一括型露光装置(所謂ステッパ)について本発明を適用することももちろん可能である。
【0070】
次に、本発明の露光装置EXの他の実施形態について図17を参照しながら説明する。図17は投影光学系PLを1つ有する一括型露光装置EXを示す模式図であって、図17(a)は上方から見た平面図、図17(b)は感光基板P上に設けられているアライメントマークとマーク検出系の計測領域との位置関係を示す模式図である。ここで、以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
【0071】
図17(a)に示す露光装置EXにおいて、投影光学系PLの周囲にほぼ等間隔で4つのマーク検出系AL1〜AL4が配置されている。このマーク検出系AL1〜AL4は、基板ステージPSTに支持されている矩形状の感光基板P上に設けられているアライメントマークm1〜m4に対応して設けられている。
【0072】
アライメント処理する際には、上記実施形態同様、まず、基板ステージPSTにロードされた感光基板Pのアライメントマークm1〜m4と、マーク検出系AL1〜AL4との大まかな位置合わせが行われる。次いで、制御装置CONTは、4つのマーク検出系AL1〜AL4を使ってアライメントマークm1〜m4を同時に計測する。
【0073】
図14(b)に示すように、マーク検出系AL1〜AL4は、矩形状の計測領域K1〜K4をそれぞれ有しており、マーク検出系AL2、AL3、AL4の計測領域K2、K3、K4のそれぞれにアライメントマークm2、m3、m4が配置され、マーク検出系AL1の計測領域K1にはアライメントマークが配置されていない。制御装置CONTは、計測領域にアライメントマークが配置されたマーク検出系AL2〜AL4のうち、2つのマーク検出系AL3、AL4の検出結果に基づいて、感光基板Pの位置情報を求める。
【0074】
制御装置CONTは、マーク検出系AL3、AL4それぞれの計測領域K3、K4の基準位置(中心位置)と、計測領域K3、K4に配置されたアライメントマークm3、m4との位置関係を求め、この求めた位置関係に基づいて、感光基板Pを前記所定位置に対して位置合わせするための補正量を求める。例えば、計測領域K3の基準位置(中心位置)に対するアライメントマークm3のX軸方向及びY軸方向における位置ずれ量をΔx3、Δy3、計測領域K4の基準位置(中心位置)に対するアライメントマークm4のX軸方向及びY軸方向における位置ずれ量をΔx4、Δy4、マーク検出系AL3とマーク検出系AL4との距離をΔLyとすると、
θZ方向における補正量ΔRot=(Δx3−Δx4)/ΔLy、
X軸方向における補正量ΔX=(Δx3+Δx4)/2、
y軸方向における補正量ΔY=(Δy3+Δy4)/2、
である。
【0075】
制御装置CONTは、上記求めた補正量(ΔRot、ΔX、ΔY)に基づいて、感光基板Pを所定位置に対して位置合わせする。すなわち、複数のマーク検出系AL1〜AL4の全ての計測領域K1〜K4にアライメントマークm1〜m4が配置されるように基板ステージPSTを駆動し、感光基板Pを位置決めする。
【0076】
図18は、上記求めた補正量に基づいて基板ステージPSTを駆動することにより感光基板Pを所定位置に位置合わせした状態を示す模式図である。このように、複数のマーク検出系AL1〜AL4の全ての計測領域K1〜K4にアライメントマークm1〜m4が配置され、以上でラフアライメント処理が終了する。
【0077】
なお、上記各実施形態において、露光装置EXの用途としては角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを露光する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば、半導体製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッドを製造するための露光装置にも広く適当できる。
【0078】
本実施形態の露光装置EXの光源は、g線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)のみならず、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、F2レーザ(157nm)を用いることができる。
【0079】
投影光学系PLの倍率は等倍系のみならず、縮小系及び拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLとしては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、F2レーザを用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系にする。
【0080】
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータを用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもいい。また、ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもいいし、ガイドを設けないガイドレスタイプでもよい。
【0081】
ステージの駆動装置として平面モ−タを用いる場合、磁石ユニットと電機子ユニットのいずれか一方をステージに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットの他方をステージの移動面側(ベース)に設ければよい。
【0082】
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、特開平8−166475号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
【0083】
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
【0084】
本願実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0085】
半導体デバイスは、図19に示すように、デバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板(ウエハ、ガラスプレート)を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置によりマスクのパターンを基板に露光し、この露光した基板を現像する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0086】
【発明の効果】
本発明によれば、アライメントマークを検出可能な少なくとも2つのマーク検出系の検出結果に基づいて、複数のマーク検出系による基板上で異なる露光領域の複数のアライメントマークの検出を、基板を第1方向に移動して複数回行うとともに、検出系による基板のZ軸方向の位置検出を、第1方向への基板の移動と並行して行う。このため、検出すべきアライメントマークの数を減らすことなく、従来に比べてアライメントマークの検出時間を短縮できるとともに、アライメントマークの検出動作と並行してZ軸方向の基板の位置を検出できる。従って、基板の露光前の準備動作に要する時間を短縮でき、露光処理のスループットを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアライメント装置を備えた露光装置の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】マーク検出系を備えたアライメントユニットを示す概略斜視図である。
【図3】マーク検出系及びAF検出系の配置を説明するための模式図である。
【図4】マーク検出系の概略構成図である。
【図5】AF検出系の概略構成図である。
【図6】ベースライン計測手順を説明するための図である。
【図7】アライメントユニットと基板ステージに支持された感光基板との関係を説明するための図である。
【図8】本発明のアライメント方法の一実施形態を示すフローチャート図である。
【図9】本発明のアライメント方法の一実施形態を説明するための模式図である。
【図10】本発明のアライメント方法の一実施形態を説明するための模式図である。
【図11】本発明の露光方法の一実施形態を説明するための模式図である。
【図12】本発明の露光方法の一実施形態を説明するための模式図である。
【図13】本発明の露光方法の一実施形態を説明するための模式図である。
【図14】本発明の露光方法の一実施形態を説明するための模式図である。
【図15】本発明の露光方法の一実施形態を説明するための模式図である。
【図16】本発明の露光方法の一実施形態を説明するための模式図である。
【図17】本発明のアライメント方法の他の実施形態を説明するための模式図である。
【図18】本発明のアライメント方法の他の実施形態を説明するための模式図である。
【図19】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
AL1〜AL6…マーク検出系(アライメント装置)、
CONT…制御装置(制御系)、EX…露光装置、K1〜K6…計測領域、
M…マスク、m1〜m6…アライメントマーク、P…感光基板(基板)
Claims (10)
- マスクと基板とを第1方向に同期移動しつつ、前記基板に対して前記マスクのパターンを露光する露光方法において、
前記第1方向と直交する第2方向に計測領域が配置される複数のマーク検出系で前記基板の複数のアライメントマークの検出を略同時に行い、
前記複数のマーク検出系のうち前記アライメントマークが前記計測領域に配置される少なくとも2つのマーク検出系の検出結果に基づいて、前記複数のマーク検出系による前記基板上で異なる露光領域の複数のアライメントマークの検出を、前記基板を前記第1方向に移動して複数回行うとともに、前記複数のマーク検出系と異なる検出系による前記第1及び第2方向と直交するZ軸方向の前記基板の位置検出を、前記第1方向への前記基板の移動と並行して行い、前記基板上の露光領域毎に前記同期移動により前記マスクのパターンを露光することを特徴とする露光方法。 - 前記異なる露光領域の複数のアライメントマークが前記計測領域に配置されるように、前記少なくとも2つのマーク検出系の検出結果に基づいて前記基板を位置合わせすることを特徴とする請求項1記載の露光方法。
- 前記アライメントマークが前記計測領域に配置されるマーク検出系のうち、前記第2方向に関して互いに最も離れた2つのマーク検出系の検出結果に基づいて前記基板を位置合わせすることを特徴とする請求項2記載の露光方法。
- 前記第2方向に関して位置が異なる複数の投影領域を有する投影光学系によって前記マスクのパターンを前記基板上に投影しつつ前記同期移動により前記露光領域に前記パターンを露光することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の露光方法。
- 前記基板上で前記第2方向に隣接する複数の露光領域は、前記同期移動が互いに逆方向に行われて前記マスクのパターンが露光されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の露光方法。
- マスクと基板とを第1方向に同期移動しつつ、前記基板に対して前記マスクのパターンを露光する露光装置において、
前記第1方向と直交する第2方向に計測領域が配置され、前記基板上のアライメントマークを検出する複数のマーク検出系と、
前記第1及び第2方向と直交するZ軸方向の前記基板の位置を検出する検出系と、
前記複数のマーク検出系のうち前記アライメントマークが前記計測領域に配置される少なくとも2つのマーク検出系の検出結果に基づいて、前記複数のマーク検出系による前記基板上で異なる露光領域の複数のアライメントマークの検出を、前記基板を前記第1方向に移動して複数回行うとともに、前記複数のマーク検出系と異なる前記検出系による前記Z軸方向の前記基板の位置検出を、前記第1方向への前記基板の移動と並行して行い、前記基板上の露光領域毎に前記同期移動により前記マスクのパターンを露光する制御系とを備えることを特徴とする露光装置。 - 前記制御系は、前記異なる露光領域の複数のアライメントマークが前記計測領域に配置されるように、前記少なくとも2つのマーク検出系の検出結果に基づいて前記基板を位置合わせすることを特徴とする請求項6記載の露光装置。
- 前記検出系は、前記第1方向に関して前記複数のマーク検出系と離れて配置され、かつ前記第2方向に関して異なる複数位置でそれぞれ前記基板の前記Z軸方向の位置を検出することを特徴とする請求項6又は7記載の露光装置。
- 前記マスクのパターンを前記基板上に投影する投影光学系を備え、前記複数のマーク検出系、前記検出系、及び前記投影光学系は、前記第1方向に関して異なる位置に配置されることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項記載の露光装置。
- 前記投影光学系は、前記第2方向に関して位置が異なる複数の投影領域を有することを特徴とする請求項9記載の露光装置。
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