JP4213148B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
触媒コンバータの下流の酸素濃度センサは、雰囲気の排気温度が低いため出力変動が小さく、また触媒の下流では排ガスが十分混合されており空燃比は平衡状態に近くなっているため、触媒の浄化状態を精度良くまた安定的に検出できる。
このため、触媒コンバータの下流の空燃比を理論空燃比付近に維持している限り、触媒の浄化状態を良好に保つことができる。
また、比例演算は、偏差に比例して出力を生成するため早い応答性を示し、触媒コンバータの上流の空燃比の乱れに起因する触媒コンバータの下流の空燃比の一時的な偏差を早急に復帰させる効果があり、ゲイン設定を大きくすればするほど、復帰速度が早くなる。
また、理論空燃比よりもリッチ側では、触媒が保持している酸素は放出され、酸素ストレージ量が消費されなくなるまで、触媒コンバータ内の雰囲気を理論空燃比付近に維持する。
この触媒の酸素ストレージ量は、触媒コンバータの下流空燃比の理論空燃比付近での微小変化により検出できるため、触媒コンバータの下流酸素濃度センサ出力に基づく空燃比制御により、酸素ストレージ量が半分程度の適切な状態に保たれるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
このとき、PI(Proportion、Integral)制御における触媒コンバータの下流の酸素濃度センサの空燃比出力に基づく空燃比制御の比例ゲインを大きく設定すると、復帰速度を速めることができる。
以下、本発明の実施の形態1に係る内燃機関の制御装置について図面を用いて説明する。
図1は、この発明の実施の形態1に係る内燃機関の制御装置の構成を示す図である。
図1に示すように、内燃機関の制御装置は、内燃機関であるエンジン1に供給される燃料と空気との比率(空気/燃料)である空燃比を制御する装置である。
エンジン1の排気管2には、エンジン1から排出される排気ガス中の有害成分HC、CO、NOxを同時に浄化する触媒コンバータ3が配設される。
これら上流酸素濃度センサ4および下流酸素濃度センサ5は、触媒上流及び下流それぞれの排気ガス中の酸素濃度に応じた電気信号を発生する。すなわち、排気ガス中の空燃比が理論空燃比に対してリーン側かリッチ側かに応じて異なる出力電圧を発生する。
検出された酸素濃度は、排気管2内における空燃比を特定するための情報として用いられる。すなわち、内燃機関の制御装置は、エンジン1に供給する燃料の空燃比を制御するコントローラ6を備え、このコントローラ6は、上流酸素濃度センサ4および下流酸素濃度センサ5で検出された酸素濃度に基づいてエンジン1に供給する燃料の空燃比を制御する。
コントローラ6は、後述する図2または図3に示す電圧値と空燃比の出力特性を記憶保持しており、上流酸素濃度センサ4または下流酸素濃度センサ5が出力する電圧値を前述の出力特性で変換して空燃比の制御を行う場合と、このような出力特性を備えずに、電圧値を直接用いて空燃比を制御する場合がある。
このコントローラ6は、空燃比調整手段7、上流側制御手段8、下流側制御手段9、下流側目標空燃比記憶手段10、燃料カット手段11、及び、比例ゲイン切り替え手段13を備える。
空燃比調整手段7は、エンジン1に供給する燃料を調節し空燃比を制御する。
上流側制御手段8は、上流酸素濃度センサ4により検出される上流側空燃比出力と上流側目標空燃比とが一致するように空燃比調整手段7への出力を比例演算及び積分演算により制御するPI(Proportion、Integral)制御器を有する。
下流側目標空燃比記憶手段10は、ROMで構成され、触媒コンバータ3の下流側における排気ガス中の空燃比の目標値を記憶保持する。
比例ゲイン切り替え手段13は、燃料カット手段11により燃料カット(燃料供給遮断)が開始された時点で下流側制御手段の比例演算の比例ゲインを通常の比例ゲインから通常の比例ゲインより所定値だけ大きい比例ゲインに設定されている燃料カット後の比例ゲインに切り替え、燃料カットが解除された時点から空気量センサ14により検出される内燃機関に吸入される空気量の積算空気量が所定判定空気量へ到達したことに応答して燃料カット後のゲインから通常のゲインに切り替える。
なお、通常の比例ゲインから通常の比例ゲインより所定値だけ大きい比例ゲインに設定されている燃料カット後のゲインとは、燃料供給遮断により飽和した酸素ストレージ量を速やかに復帰させ、触媒の空燃比外乱の吸収能力を回復するが、通常運転時の過度の空燃比補正を行い、トルク変動を生じてしまう、通常の比例ゲインより十分に大きい比例ゲインをいう。
図2は、空燃比に対してλ型の出力特性を有する酸素濃度センサの出力特性を示す図である。この特性は理論空燃比に対応した特性である。
下流酸素濃度センサ5の空燃比出力はコントローラ6に伝送される。この下流酸素濃度センサ5には、図2に示すセンサ雰囲気の空燃比の変化に対して理論空燃比付近において出力電圧が急激に変化し2値的な特性を有するλ型を用いる。
理論空燃比付近における検出分解能が非常に高いため、制御精度が向上する。
なお、上述したように、コントローラ6は、図2に示す下流酸素濃度センサ5の出力電圧に対する空燃比の特性を有する場合と、このような特性を有しない場合があるが、以下では、電圧値をそのまま用いて制御処理を行う場合について説明する。従って、以下では、下流側の空燃比出力と記す場合は電圧値を指す。
下流側目標空燃比は、理論空燃比に対応したλ型酸素濃度センサの所定出力値、0.45(V)付近に設定され、下流側制御手段9に伝送される。
下流側制御手段9では、下流側目標空燃比と下流側空燃比出力の偏差ΔVrを下記(1)式の通りに演算する。偏差ΔVrに応じて比例演算(以下、Pと称す)及び積分演算(以下、Iと称す)を行うPI制御器により、偏差ΔVrを無くすように出力が制御される。この出力は、上流側目標空燃比として上流側制御手段8に伝送される。
ΔVr=下流側目標空燃比−下流側空燃比出力 (1)
AFOBJF=中心値−Σ(Kir×ΔVr)−Kpr×ΔVr (2)
ここで、Kirは積分ゲイン、Kprは比例ゲインである。中心値は、理論空燃比に相当する値であり、ここでは14.7に設定されている。
例えば、図2に示す特性において、下流側空燃比出力が下流側目標空燃比(0.45(V))より小さい(リーン側)時、上流側目標空燃比は理論空燃比よりリッチ側に設定され、下流側目標空燃比に復帰させるように作用する。
上流酸素濃度センサ4の出力(空燃比出力)はコントローラ6に伝送される。
この上流酸素濃度センサ4は、図3に示すように、センサ雰囲気の空燃比の変化に対してリニアな出力特性を有する。この上流酸素濃度センサ4の出力は、上流側空燃比出力として上流側制御手段8に伝送される。
ここでは、空燃比に変換して処理する場合について説明する。従って、上流側の空燃比出力と記す場合には、電圧値ではなく変換後の上流側の空燃比を指す。
Cfb=1.0+Σ(Kif×ΔAFf)+Kpf×ΔAFf(4)
ここで、Kifは積分ゲイン、Kpfは比例ゲインである。
Qfuel=Qfuel0×Cfb (5)
ここで、Qfuel0は基本燃料供給量であり、式(6)のように演算される。
Qfuel0=Qacyl/理論空燃比 (6)
ここで、Qacylは、空気量検出センサ14により検出される吸入空気量qaに基づき演算されるエンジン1に供給される空気量である。
Qfuel0=Qacyl/上流側目標空燃比 (7)
比例ゲインの切り替えは、酸素ストレージ量が半分程度の適切な状態に復帰した時点で行なうのが最も適切で、酸素ストレージ量の復帰挙動に適合する必要がある。
OSC=Σ(ΔA/F×KO2×qa×ΔT) (8)
0≦OSC≦上限値 (9)
酸素ストレージ量、OSCは、触媒コンバータ3の上流側の空燃比の理論空燃比からの偏差ΔA/Fと、空燃比から酸素濃度に換算する所定係数KO2と、内燃機関に吸入される吸入空気量qaと、演算周期ΔTとの乗算した値を積算することで比較的精度良く演算できる。ΔTと、KO2は所定値に設定するため、OSCの挙動はΔA/Fとqaの変化に依存する。
また、上述したように酸素ストレージ量には上限があるため、式(9)のように酸素ストレージ量を上限値と、最小値”0”で制限する。
従って、飽和した酸素ストレージ量が復帰するまでの期間は、吸入空気量の積算値が所定値になるまでの期間と同じになる。
燃料カット手段11は、絞り弁15を最小開度まで閉じる減速時など所定の運転条件が成立した場合に、空燃比調整手段7において設定される燃料量Qfuelを”0”に設定し燃料供給を停止する。
燃料カットの実施状況は、比例ゲイン切り替え手段13に伝送される。
図4に示すように、比例ゲイン切り替え手段13は、ステップS101において燃料カット手段11が燃料カットを実施しているか判定する。
燃料カット実施中の場合は、フローはステップS102に進み、積算空気量Qafcを”0”にリセットする。
なお、吸入空気量は、空気量センサ14の検出値を用いなくても、絞り弁15の開度情報、絞り弁15下流の吸気管内に配置された圧力センサ(不図示)からの信号情報、または、エンジン1の回転数の情報のいずれかを用いることによって検出することもできる。
このような構成によると、燃料カットの時は積算空気量を”0”にリセットし、燃料カットから復帰した時点から空気量の積算を”0”から開始し、燃料カット後の積算空気量を演算する。
図5において、比例ゲイン切り替え手段13は、ステップS201において燃料カット手段11が燃料カットを実施しているか判定する。
燃料カット実施中であると判定した場合は、フローはステップS202に進行する。
一方、ステップS201において、燃料カット実施中でないと判定した場合は、フローはステップS203に進行し、燃料カット後の積算空気量Qafcが所定判定空気量Xqaを上回っているかどうか判定する。
ステップS203において、燃料カット後の積算空気量Qafcが所定判定空気量Xqaを上回っていないと判定した場合は、フローはステップS202に進行する。
一方、ステップS203において、燃料カット後の積算空気量Qafcが所定判定空気量Xqaを上回っていると判定した場合は、フローはステップS204に進行する。
この切り替えフラグRFBPの情報は、比例ゲインの切り替えを指示する情報として下流側制御手段9に伝送される。
また、エンジン1から下流側酸素濃度センサまでの排気ガスの移送遅れの度合い、もしくは下流側酸素濃度センサの応答遅れの度合い、もしくは比例ゲインの設定値の大きさ等によっては、フィードバック制御の一般的な挙動である目標値に対するオーバシュート、アンダシュートを生じることがある。
燃料カットを実施し、触媒コンバータ3の酸素ストレージ量を上限値まで変化させる。燃料カットから復帰後、下流側制御手段の比例演算により触媒コンバータ3の下流側の空燃比が目標値付近に安定するまでの積算空気量を演算し設定値とする。このとき比例ゲインは、燃料カット後のゲインに設定する。また、運転条件によるバラツキなどを考慮して、設定値を予め増減させておいても良い。
切り替えフラグRFBPが通常のゲインへの切り替えを示す”0”の場合は、比例ゲインに通常のゲインKpr_nrが設定される。
一方、切り替えフラグRFBIが燃料カット後のゲインへの切り替えを示す1の場合は、比例ゲインに燃料カット後のゲインKpr_fcが設定される。
また、通常のゲインは、下流酸素濃度センサの空燃比出力が変化したときに、上流側目標空燃比が過補正されてトルク変動が大きくならないように十分小さく設定されている。
また、センサの特性上、もしくは演算式の数式上、比例ゲインに負の値が設定されているような場合は、本発明で説明するゲインの大小は、設定ゲインの絶対値の大小となる。
図6及び図7は、この発明の実施の形態1に係る内燃機関の制御装置による空燃比制御動作を表すタイムチャートである。
図6及び図7では、それぞれ、上から順に、燃料供給量、吸入空気量qa、積算空気量Qafc、切り替えフラグ(RFBP)、比例ゲインKpr、酸素ストレージ量(OSC)、下流側空燃比出力、上流側目標空燃比について、燃料カット前後における各値の変化を実線で示す。
なお、一点鎖線で示す特性は、比例ゲインの切り替え時期を酸素ストレージ量の挙動を考慮せず、燃料カット時点から所定期間(T0)経過後に切り替えるように仮定した場合(以下「比較例」とも称する)における各値の変化を比較例として示すものである
燃料供給量が燃料カットによって一旦”0”となり(時刻t1)、時刻t2に燃料カット状態から復帰して、予め設定された所定時間T0が経過するまで(時刻t2〜t3)は、比例ゲインKprに燃料カット後のゲインKpr_fcが設定される。そして、時刻t3において、所定時間T0が経過すると、比例ゲインKprはより小さい通常のゲインKpr_nrに切り替えられる。
なお、積分演算値の変化は比較的ゆっくりとしているため、この表示期間内では変化量は小さく表していない。
この発明の実施の形態1に係る内燃機関の制御装置は、図6の実線で示すように、時刻t2に燃料カット状態から復帰した後の積算空気量Qafcが所定判定空気量Xqaに到達するまで、比例ゲインKprに燃料カット後のゲインKpr_fcが設定される(時刻t2からt4)。
したがって、時刻t4において、比例ゲインKprを小さい通常のゲインKpr_nrに切り替えても、酸素ストレージ量の復帰に支障を生じない。
外乱はさまざまな要因で生じ、例えば、変速機のギアチェンジによるエンジンの回転数の変化、排気ガスを吸気管に再還流させるバルブの開度の変化、絞り弁開度の変化などがある。
比較例の場合は、酸素ストレージ量は外乱吸収能力が最も高くなる値の半分まで十分に復帰していないため、上流側空燃比の一時的な外乱に対して酸素ストレージ量は上限値まで到達してしまう。これにより触媒コンバータ3内の雰囲気が理論空燃比付近を逸脱してしまい排ガス浄化率が大きく悪化する。
一方、実線で示す本発明の場合は、酸素ストレージ量は外乱吸収能力が最も高くなる値の半分まで復帰しており、外乱に対して上限値、及び”0”の容量内に吸収できる。したがって、触媒コンバータ3内の雰囲気を理論空燃比付近に保つことができ、浄化率悪化を防げる。
比較例(一点鎖線)において、燃料供給量は燃料カットにより一旦”0”になり(時刻t11)、時刻t12に燃料カット状態から復帰して、予め設定された所定時間T0が経過するまで(時刻t12〜t14)は、比例ゲインKprに燃料カット後のゲインKpr_fcが設定される。
そして、時刻t14において、所定時間T0が経過すると、比例ゲインKprはより小さい通常のゲインKpr_nrに切り替えられる。
そのため、図6の場合とは異なり、所定時間T0が経過する前の時刻t13のとき、酸素ストレージ量(OSC)は適正量である上限値の約半分まで復帰しており、復帰した後の時刻t13から時刻t14の長い期間、燃料カット後の大きいゲインKpr_fcに設定されている。
吸入空気量qaの増加による、酸素ストレージ量復帰の早期化に適応し、ゲインの切り替え時期が早期化する。
比較例の場合は、比例ゲインに燃料カットの大きいゲインKpr_fcが設定されており、下流側空燃比出力の変動により上流側目標空燃比が大きく変動し、エンジンに供給される燃料供給量が大きく変動する。したがって、エンジンのトルクが大きく変動し、動力を安定的に供給するエンジンの商品性が低下してしまう。
また、比較例、本発明ともに、酸素ストレージ量は半分まで復帰しており、外乱に対して排ガス浄化率の悪化を防止できる。
図6及び図7に示したように、酸素ストレージ量が上限の半分に復帰する時期は、積算空気量QafcがXqaに到達する時期と一致するが、同時に下流側空燃比出力が下流側目標空燃比に到達する時期とも一致する。
1)上流側酸素濃度センサに出力変動が生じた場合
2)下流側空燃比出力に目標値に対しオーバシュート、アンダシュートするような制御装置の場合
実線は、出力変動がない場合の燃料カット前後の下流側空燃比出力の挙動を示しており、図6及び図7の場合に相当する。
二点鎖線は、図9に示すように、同じ目標値に制御した時に空燃比がリッチ方向にシフトするような変動が生じた場合を示し、一点鎖線は、リーン方向にシフトするような変動が生じた場合を示す。
下流側空燃比出力により比例ゲインを切り替える方法を用いると、出力変動のない実線の場合は時刻t24であるが、リッチ変動の一点鎖線の場合は時刻t24より早い時刻t23にずれ、リーン変動の二点鎖線の場合は目標値に到達しないため比例ゲインの切り替えは行わない。長期的には、下流側制御手段の積分演算により出力変動は解消されるが、出力変動が生じた後しばらくは同様の挙動が生じる。
実線は、オーバシュート、アンダシュートがない場合における燃料カット前後の下流側空燃比出力の挙動で、図6及び図7の場合に相当する。一点鎖線は、オーバシュート、アンダシュートが生じる制御装置の場合を示す。
以上、この発明の実施の形態1に係る内燃機関の制御装置について説明したが、この発明は上記説明した内容に限定されるものではない。
実施の形態1では、上流側目標空燃比と触媒コンバータ3の上流側の空燃比を一致させるために、上流酸素濃度センサ4により検出される上流側空燃比出力を上流側制御手段8に伝送して燃料供給量をフィードバック的に操作していたが、燃料供給量の制御はこのような方法に限られるものではない。
比例ゲイン切り替え手段13の切り替え判定結果が、燃料カット後のゲインである場合(RFBP=1)は、燃料供給量Qfuelは、次の式(10)のように演算される。
Qfuel0=Qacyl/上流側目標空燃比 (10)
一方、通常のゲインの場合(RFBP=0)は、上述した実施の形態の式(5)から式(7)までと同じように演算される。
図11は、この発明の実施の形態3に係る内燃機関の制御装置における理論空燃比に対する比例ゲインと特性を示す図である。
実施の形態2では、燃料カット後の比例ゲインKpr_fcを一定値に設定していたが、燃料供給量の制御はこのような方法に限られるものではない。
すなわち、この発明の実施の形態3に係る内燃機関の制御装置では、例えば、図11に示すように、下流側目標空燃比よりリーン側(式(1)中の下流側目標空燃比と下流側空燃比出力の偏差ΔVrがプラス側の領域)において、通常のゲインKpr_nrより大きくなるように設定してもよい。
図12は、この発明の実施の形態4に係る内燃機関の制御装置における理論空燃比に対する比例ゲインと特性を示す図である。
実施の形態3では、燃料カット後のゲインKpr_fcを一定値に設定していたが、燃料供給量の制御はこのような方法に限られるものではない。
すなわち、この発明の実施の形態4に係る内燃機関の制御装置では、例えば、図12に示すように、所定空燃比よりリーン側において、通常のゲインKpr_nrより所定値だけ大きくなるように設定してもよい。
実施の形態4では、積算空気量Qafcと比較される所定判定空気量Xqaは経時的に不変である場合について説明したが、燃料供給量の制御はこのような方法に限られるものではない。
すなわち、この発明の実施の形態5に係る内燃機関の制御装置では、例えば、触媒コンバータ3に添加され酸素ストレージ作用を生じる物質の経時劣化による酸素ストレージ量の上限値の減少を検出する触媒劣化度算出手段(図示せず)により算出される触媒劣化度の増加にしたがい所定判定空気量Xqaを減少させるように設定してもよい。この触媒劣化度算出手段は、触媒コンバータ3に添加され酸素ストレージ作用を生じる物質の経時劣化の特性を予め記憶保持しており、使用開始からの経過時間に従って、触媒劣化度を算出する。
また、触媒コンバータ3の上流側の空燃比は、触媒コンバータ3内および排気管内での混合、もしくは触媒コンバータ3の酸素ストレージ効果により、平均化され触媒コンバータ3の下流側に伝わるため、触媒コンバータ3の上流側の空燃比の平均値を制御するような構成としてもよい。このような制御によっても、上述の各実施の形態の場合と同様に、燃料カットにより飽和した酸素ストレージ量を速やかに復帰させ、触媒コンバータ3の空燃比外乱の吸収能力を回復すると共に、通常運転時の過度の空燃比補正を防止しトルク変動を抑制することができる。
Claims (5)
- 内燃機関の排気系に配設され、排気ガスを浄化する触媒コンバータの上流側における空燃比を検出する上流側空燃比検出手段と、
前記触媒コンバータの下流側における排気ガス中の空燃比を検出する下流側空燃比検出手段と、
前記内燃機関への燃料供給量を調節し、空燃比を調整する空燃比調整手段と、
前記触媒コンバータの下流側における空燃比の目標値を記憶保持する下流側目標空燃比記憶手段と、
前記下流側空撚比検出手段によって検出される下流側空燃比と、下流側目標空燃比記憶手段に記憶保持された下流側目標空燃比とを一致させるように、比例演算を用いて上流側目標空燃比を演算する下流側制御手段と、
前記上流側空燃比検出手段によって検出される上流側空燃比と、前記下流側制御手段によって演算される上流側目標空燃比とを一致させるように、前記空燃比調整手段を制御する上流側制御手段と、
前記空燃比調整手段による燃料供給を停止させる燃料供給遮断手段と、
吸入空気量を検出する空気量検出センサと、
前記燃料供給遮断手段によって燃料供給遮断が開始されると、前記下流側制御手段における前記上流側目標空燃比を演算するための比例演算の比例ゲインを、通常時の比例ゲインから、通常時の比例ゲインよりも所定値だけ大きい比例ゲインに設定される燃料供給遮断後の比例ゲインに切り替え、前記燃料供給遮断手段による燃料供給遮断が終了してから前記内燃機関に吸入される積算空気量を、前記空気量検出センサにより検出された前記吸入空気量に基づいて演算し、前記積算空気量が所定の判定空気量に到達すると、前記下流側制御手段における前記上流側目標空燃比を演算するための比例ゲインを燃料供給遮断後の比例ゲインから通常時の比例ゲインに切り替える比例ゲイン切り替え手段と
を備えることを特微とする内燃機関の制御装置。 - 前記触媒コンバータの劣化度を算出する触媒劣化度算出手段をさらに備え、この触媒劣化度算出手段によって算出される触媒劣化度に応じて、前記内燃機関に吸入される積算空気量の所定量を減少させることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記空燃比調整手段は、前記比例ゲイン切り替え手段によって比例ゲインが燃料供給遮断後の比例ゲインに切り替えられている間は、前記下流側制御手段により演算される上流側目標空燃比に碁づいて燃料供給量を調節することを特微とする請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記燃料供給遮断後の比例ゲインは、所定空燃比よりリーン側において通常時の比例ゲインより所定値だけ大きく設定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記所定空撚比は、前記下流側目標空燃比であることを特徽とする請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
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