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JP4211215B2 - 車両用交流発電機 - Google Patents

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JP4211215B2
JP4211215B2 JP2000317612A JP2000317612A JP4211215B2 JP 4211215 B2 JP4211215 B2 JP 4211215B2 JP 2000317612 A JP2000317612 A JP 2000317612A JP 2000317612 A JP2000317612 A JP 2000317612A JP 4211215 B2 JP4211215 B2 JP 4211215B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車やオートバイ等の走行車両に用いられる車両用交流発電機に係り、特に当該発電機に具備され、回転子と共に一体回転する冷却ファンの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両用交流発電機は、原動機から動力を得て発電を行い、バッテリへの充電を行うと共に、原動機の点火、照明、その他の各種電装品への電源供給を行うものであり、市場競争力の維持向上のためには小型化、軽量化、高出力化と共に製品寿命向上、低騒音化も重要な課題である。
【0003】
近年のエンジンルーム狭小化及び高出力化等のニーズに伴い、車両用交流発電機の内部発熱は上昇傾向にあり、製品寿命の維持向上のためには主たる発熱源である固定子コイルの温度低減が急務であって、高冷却能力を持った冷却ファンが必要になってきている。また、車両静粛化及び法規性等により車両用交流発電機の低騒音化が求められており、回転して内部冷却を行う冷却ファンの発生する騒音(ファン音)についても低減ニーズが強まってきている。
【0004】
従来、これら冷却ファンの一般的な製法・形状として、特開昭63−15652号公報中第2図で示されるようなファンがある。これは板材(一般的には鉄板を使用)をプレス型等で所定の略円形乃至は多角形状に打ち抜き、その板材の外端部に所定の間隔で切り込みを入れて折り曲げ、斜流翼或いは遠心翼をなすよう屹立させて複数の羽根(以下、ブレードと称す)を構成するものであり、回転子端面への取り付けは、ベース平板部分を溶接、カシメ、或いは回転軸への打ち込み等により固定する手段が用いられる。
【0005】
他のファンの製法・構造としては特開平4−200255号公報中で示されるものがある。これは樹脂材料等を用い型等で成形してファンを製造する手法であり、冷却ファンは略円形状のベース平板と、このベース平板と一体成形で任意に配置されたブレードとから構成される。回転子への取り付けは、ベース平板等に設けられた突起部分を熱カシメにて係止固定する手段の他、予めベース平板中央に設けられる回転軸との嵌合孔に鉄リング等をインサートモールドし回転軸と適度な嵌めあいをもって圧入固定する手段、ボルト等でポールコア(回転子鉄心)端面に締結固定する手段、ベース平板部分にインサートモールドされた金具等をポールコアに溶接する手段、或いはポールコアに接着固定する手段等が用いられる。
【0006】
更に、他のファン製法として特開平3−218241号公報で示されるものがある。これは焼結金属を材料に用い型等にて成形・焼成してファンを製造する手法であり、冷却ファンは略円形状のベース平板と、このベース平板と一体成形で任意に配置されたブレードとから構成される。回転子への取り付けは、予めベース平板中央に設けられる回転軸との嵌合孔にて回転軸と適度な嵌めあいをもって圧入固定する手段、ボルト等でポールコア端面に締結固定する手段等の他に、ポールコアへのロー付け等で固定する手段が用いられる。
【0007】
更に、他のファン製法・構造として特開平5−236700号公報に示されるものがある。これはポールコアをインサート部材として用い、ポールコア端面部にアルミダイカスト等の手法により型で一体鋳造してブレード形状を作り込み、冷却ファンを構成するものであった。
【0008】
更に、他のファン製法・構造として特開平1−170352号公報による構造がある。これはポールコア製造過程、例えば冷間鍛造等の手法にて鉄系材料塊から塑性変形させてポールコアを成形する際に、隣り合う爪状磁極間の隙間に回転軸と略直交方向に水掻き状平板部を設け、後工程にて切り起こし等によってこの平板部を回転軸と略平行な向きに立ち上げてブレードとするものであった。
【0009】
また、複数に断片化したブレードを持つファン構造として、実開昭56−133272号公報による構造がある。これはポールコアの隣り合う爪状磁極間の隙間に鉄片等の板材を打ち込みによって食い込ませて橋渡し様に固定し、その板材を屹立させてブレードの機能を持たせたるよう構成するものであった。
【0010】
更に、断片化したブレードを持つ別のファン構造として、特開昭59−67847号公報で示されるものがある。これは、ポールコア端面の回転軸近くに複数個の軸方向通風孔を設けると共に、該通風孔と連通して空気を遠心方向へ吐出する機能を果たす様に回転子の内部外径寄りに設けられたリブとによって該通風孔に外部空気を導入して主に回転子を冷却するよう構成された回転機に関するものであった。そして、回転子に設けられた該通風孔を覆うように、断片化された複数のカップ片が回転方向前方に開口部が向くように具備され、外部空気を該カップで捉えて該通風孔に対して押し込むよう圧力を高める作用をし、回転子内部の該リブの発生する冷却風の吸い込みをアシストする形で機能させるよう構成するものであった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した特開昭63−15652号公報に記載の冷却ファンは、一枚の板材の複数箇所を切り起こし多数のブレードを形成するため、ブレードの位置や枚数などには制約ができ、ファン設計自由度は低くなる。すなわち、ブレードは板材から切り起こし可能な分だけしか形成できない。そのため、高い冷却性能や低騒音を図る上で最適なファン形状が得難いという問題がある。また、ファンバリエーション毎に異なるプレス型が必要となる、或いは型寿命に伴う型更新及び設計変更に伴う型修正等、型費・工数などの製造コストが増大するといった問題がある。
【0012】
また、特開平4−200255号公報並びに特開平3−218241号公報に記載の冷却ファンは、前述した一体的なプレス製法による冷却ファンとは異なり、ブレードの位置や枚数などに制約が無くファン設計自由度は高い反面、ファンバリエーション毎に成形のための専用型が必要となる点において前述の特開昭63−15652号公報と同様の問題がある。
【0013】
また、特開平5−236700号公報に記載の冷却ファンは、これもファン設計自由度は高い反面、ポールコアをインサート部材とするためダイカスト型の規模が大きくなること、ファンバリエーション毎に及びインサート部材であるポールコアの体格・形状毎にダイカスト型が必要となる点において前述の特開昭63−15652号公報と同様の問題がある。またその他に、ポールコアが鋳造工程中高温に晒されることに伴うポールコアの物性劣化、ファン形成後のポールコアの取り扱い性の悪化、回転子組み付け時の作業性の悪化等の問題がある。
【0014】
また、特開平1−170352号公報に記載の冷却ファンは、ブレードが回転子の爪状磁極と同数しか設定できない、或いはブレード面積が十分とれないといった制約があり、ファン設計自由度が低くなることから所望の冷却性が十分得られないおそれがある。また、ブレード位置が磁極位置に倣って通常等間隔に配置されることからピッチノイズ等の騒音が悪化するおそれがある。
【0015】
また、実開昭56−133272号公報に記載の冷却ファンは、前述の特開平1−170352号と同様に、ファン設計自由度が低くなることから所望の冷却性が十分得られないといった問題がある他に、ブレードとなる板部材をポールコア爪部に打ち込んで固定させる構造上、板部材がポールコア爪根元に傷をつけるためポールコア爪の耐遠心強度が大きく低下するおそれがある。
【0016】
また、特開昭59−67847号公報に記載のカップ形状は、軸方向通風孔を備え、別体で設けられ負圧を発生するブレードを備えた該公報による回転機では押し込みブレードとして有効に機能するものである。しかしながら、該カップ単体を車両用交流発電機に用いたとしても、通風孔を備えない点及び該カップでは遠心方向への冷却風吐出は皆無であることから主たる発熱源となる固定子コイルの冷却には全く寄与しない点において、車両用交流発電機の十分な内部冷却が得られない問題がある。
【0017】
本発明は、上記問題点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、多様なファンバリエーションに容易に対応して所望の冷却性能を確保し、且つ型製作等にかかるコスト低減を図ることが可能な車両用交流発電機を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の車両用交流発電機では、回転子の端面に固着され、ベース平板上に起立し且つ回転子の回転軸を中心として円周方向に配置された複数の羽根部を有する冷却ファン(従来相当の冷却ファン)を用い、その冷却ファンに対して、断片化された羽根片を適宜装着することを提案している。すなわち、冷却ファンの隣り合う2つの羽根部の間に、断片状に型成形された少なくとも1つの羽根片を配置する。この場合、プレスやダイカスト等、既存の専用型により成形された冷却ファンに対して羽根片を後付けすることにより、羽根部の増設に伴う風量向上や風向き設定が可能となる。換言すれば、かかる構成においてもファンの設計自由度が増し、結果として所望の冷却性能が確保できることとなる。また、同一型の冷却ファン(従来相当の冷却ファン)を用いて多バリエーションが実現できることから、バリエーション毎の異なる専用型が不要になり、型製作等の費用が低減できるといった効果が併せて得られる。本発明は特に、多機種生産される冷却ファン(車両用交流発電機)においてその効果を大きく発揮する
【0031】
また、請求項に記載の発明では、前記羽根片は、冷却ファンのベース平板に接合される取付け面と、該取付け面より屈曲形成された羽根面とを持つことを特徴としている。この場合、羽根片は、取付け面と羽根面とから成る単純形状となるので、プレス型等の羽根片の成形型が小規模のもので済み、型製作費が低減できる。
【0032】
【発明の実施の形態】
本実施の形態は、エンジンに搭載固定されてエンジンにより回転駆動される車両用交流発電機に具体化しており、以下、車両用交流発電機の詳細を図面に基づいて説明する。
【0033】
図1は、車両用交流発電機の単体構造を示す縦断面図であり、図2は、回転子に設置される冷却ファンを示す平面図である。なお、図1において図面の左側がフロント側、右側がリヤ側であり、図2は冷却ファンをフロント側から見た平面図である。
【0034】
交流発電機1において、ハウジング5はドライブフレーム21、リヤフレーム22及びリヤカバー23により構成されている。ドライブフレーム21には、円筒部24及び側壁部25がアルミダイカストにて一体成形されており、ドライブフレーム21の側壁部25には、回転子軸6の一端側(図の左端側)が軸受30により回転自在に支持されている。円筒部24の内径部には、固定子4の固定子鉄心15が圧入状態で固定保持されている。一方、リヤフレーム22には、円筒部31及び側壁部32がアルミダイカストにて一体成形されており、リヤフレーム22の側壁部32には、回転子軸6の他端側(図の右端側)が軸受38により回転自在に支持されている。ドライブフレーム21の円筒部24とリヤフレーム22の円筒部31とは、複数個(本例では4個)のスタッドボルト34やナット35等の締め付け具により締め付け固定されている。
【0035】
回転子3には、複数の爪状磁極を有する磁極鉄心3a,3bの他、界磁巻線7、プーリ11、冷却ファン12a,12b、スリップリング13a,13bが一体的に設けられている。固定子4は回転子3の外側に配され、磁極鉄心3a,3b外周に極小空隙を空けて配置される固定子鉄心15と、固定子鉄心15に巻装される固定子巻線(固定子コイル)16とを備える。そして、エンジンの運転に伴い回転子3が回転すると回転磁界が発生し、固定子4において前記回転磁界により起電力が発生する。更に、リヤフレーム22とリヤカバー23との間には、スリップリング13a,13bの外周にそれぞれ摺接するブラシ14a,14b、及びこれらのブラシ14a,14bを収納するブラシホルダ44等が設けられている。
【0036】
また、リヤフレーム22とリヤカバー23との間には、整流装置45及びICレギュレータ46等がネジ等の手段で組み付けられている。整流装置45は、複数個の整流素子(ダイオード)を集めたものであり、交流電流を直流電流に変換(整流)する。ICレギュレータ46は、界磁巻線7とアース(図示せず)との間に入れたトランジスタ等のスイッチング素子(図示せず)をオン、オフすることにより界磁巻線7を流れる励磁電流を制御して車両用交流発電機1の出力電圧を一定にする。
以下、実施の形態としての詳細説明に先立ち、各種比較例について説明する。
【0037】
(比較例1)
比較例では、断片化された複数の羽根片の集合により冷却ファン12a,12bを構成することを特徴としており、その構成を図2を用いて以下に詳しく説明する。なおここでは、フロント側の冷却ファン12aを代表して説明する。
【0038】
図2において、回転子3を構成する磁極鉄心3aの端面には、回転子軸6を中心として円周方向に且つ略等間隔に複数(本例では12個)の羽根片41が固着されている。羽根片41は、個々にプレス等により型成形されるものであり、例えば図2の他に図4(a)にも示すように断面が略L字形状を成し、回転子端面(実際には磁極鉄心3aの端面)に接合される取付け面42と、この取付け面42より略直角に屈曲形成された羽根面43とを有する。この羽根片41は、取付け面42が2箇所ずつ溶接されることにより回転子端面に接合されている。但し、羽根片41の固定方法は、溶接以外にも、リベット止め、ロー付け、ボルト締結、カシメ等の手段を適宜用いることも可能である。
【0039】
また、羽根片41は、取付け面42からの高さ方向の羽根面43の寸法(図のL1)よりも狭い間隔(図のL2)で回転子端面に固着されており、羽根片41(=羽根面43)の総数は回転子3の磁極数よりも多い。なおこの場合、羽根片41の位置は回転子磁極の位置に合わせる必要はなく、回転子端面上の任意の位置に羽根片41が固定される。
【0040】
また、図3に示すように、羽根片41は、回転中心から延びる中心線Sを基準として取付け角度θで回転子端面に取り付けられるが、この取付け角度θは回転子3への装着時において任意に調整される。例えば、取付け角度をθからθ’に変更する。この場合、取付け角度θはファン風量に寄与することが知られており、角度θを個々に調整することにより、ファン風量が望み通りに調整できる。言うまでもなく、取付け角度θは羽根片毎に相違させても良い。
【0041】
上記のファン構成によれば、回転子3が図2の半時計回り方向に回転すると、それと共に羽根片41の集合体である冷却ファン12aが一体に回転する。これにより、個々の羽根片41より外部空気が吸い込まれ、主に遠心方向に冷却風が吐出される。故に、回転子3周囲の固定子巻線16が冷却される。
【0042】
図示は省略するが、リヤ側の冷却ファン12bも同様の構成を有しており、回転子3の回転に伴い主に遠心方向に冷却風が吐出され、固定子巻線16が冷却される。またその際、リヤカバー23内の整流装置45、ICレギュレータ46等が吸入風により冷却されるようになっている。
【0043】
以上詳述した本比較例によれば、以下に示す効果が得られる。
要するに、一枚の板材より通常複数枚のブレードを切り起こして冷却ファンを一体的に製作する従来技術や、回転子の磁極間隙間毎にブレードを設けた従来技術とは異なり、個々の羽根片(ブレード)の取り付け位置、取り付け枚数、取り付け間隔に制約を受けない。従って、冷却ファンの設計自由度が増し、多様なファンバリエーションに適宜対応できる。その結果、所望の冷却性能が確保できる。また、羽根片41が断片化されることから各羽根片41を製作するための成形型が自ずと小さくなる他、同一型にて製作された複数の羽根片41を用いて多様なファンバリエーションへの対応が可能となることからバリエーション毎の異なる専用型が不要になり、型製作等の費用が低減できるといった効果が併せて得られる。特に羽根片41は、取付け面42と羽根面43とから成る単純形状となるので、羽根片41のプレス型が小規模のもので済み、型製作費が低減できる。また、生産段階でのファン仕様変更も容易に実施できる。加えて、従来のモールド製法やダイカスト製法と同等に、大面積の羽根片を多数有するファン構造が実現可能となる。
【0044】
羽根片41は、例えばプロジェクション溶接等、汎用的な接合技術により回転子3の端面に固着されれば良いので、ベース平板と共に羽根片をダイカスト成形したり、隣り合う爪状磁極部の間に羽根片を打ち込んで固定したりするといった既述の従来技術とは異なり、回転子性能に悪影響を及ぼすこともない。
【0045】
また、従来のプレス製法の冷却ファンや、回転子磁極間にブレードを設けた従来構成と比較して羽根片(羽根面)の設置可能個数を大幅に増やすことができる。従って、高出力化等に伴う内部発熱上昇、特に固定子の温度増大が今後予測される車両用交流発電機に対して、より冷却効率を高めた冷却ファンが容易に提供できる。
【0046】
(比較例2)
羽根片41の変形例として、以下の構成が実現できる。図4において、(a)は前述した羽根片41の基本構成であり、(b)は取付け面42と羽根面43との間に補強リブ48を配したもの、(c)は一片につき複数(図では2枚)の羽根面43を持たせたものである。特に(c)の構成では、冷却ファン12a,12bとして多数の羽根面43を設ける場合において、回転子3に固着される羽根片41は羽根面43の必要枚数よりも少なくなる。それ故に、羽根片41の溶接等にかかる製造コストが低減できると共に部品点数が削減でき、冷却ファン12a,12bのコスト低減が可能となる。またその他に、羽根面43を曲面で形成することも可能である(但し図示略)。
【0047】
更に、図5に示すように、羽根片41として、遠心翼形状や斜流翼形状を任意に設定することもできる。図5において、(a)の羽根片41は遠心翼形状を成し、(b)の羽根片41は斜流翼形状を成し、(c)の羽根片41は遠心翼形状と斜流翼形状とを併せ持つ形状を成す。なお、一つの冷却ファンとして、上記(a)〜(c)の羽根片41を適宜組み合わせて用いることも可能である。こうして多種多様な羽根片を用意しておくことにより、きめ細かいファンバリエーション展開が可能となり、冷却効果や騒音低減効果が望み通りに得られるようになる。
【0048】
例えば前述の図4(a)の羽根片41は、羽根面43が左右方向(図2では回転子3の内周側及び外周側)で対称形をなす。それ故、個々の羽根片41を90度程度回転させて回転子3に固着する(内周側と外周側とを逆にする)ことにより、回転子3の回転方向が正逆反転する場合にも容易に対応できる。すなわち、図6の構成では前記図2とは逆に時計回り方向に回転子3が回転するが、同一の羽根片41を用い該羽根片41の向きを変化させるだけで、時計回り仕様の冷却ファン12aが製作できる。
【0049】
また、複数の羽根片41の少なくとも一部を不等間隔で配置させるようにしても良い。これにより、ピッチノイズ低減策等のノイズ分散技術が容易に達成できる。なお、例えばプレスの切り起こしによりブレードを設ける従来技術では、ブレード(羽根片41)を不等ピッチで配置させる場合、自ずとブレードの大小ができてしまう(間隔狭の部位は小さく、間隔広の部位は大きくなる)が、上記の通り断片化した羽根片41を用いて不等ピッチ化を図ることにより、全て同一の大きさのブレードにより冷却ファンが構成できる。それ故に、冷却風量が確保できる。
【0050】
回転子3の爪状磁極間の隙間部分は、羽根片41の取付け座面が確保できず取り付けが困難になる場合も生じるが、図7に示すように、磁極鉄心3aの磁極間隙間部分にベース平板51を取り付ければ、回転子3に対して羽根片41を容易に固着することが可能となる。つまり、冷却ファンの製造過程において、ベース平板51上に羽根片41を一旦固着した後、このベース平板51を回転子端面に接合する。なお、図7では、2個の羽根片41をベース平板51上に搭載させている。但し、ベース平板51への羽根片41の搭載数は1個、又は3個以上でも良く、羽根片41の数に見合う大きさ及び形状のベース平板51を用意すれば良い。また、同図7では、回転子端面に直接固着された羽根片41と、ベース平板51を介して回転子端面に固着された羽根片41とを混在させている。かかる場合、回転子側の形状に関係なく、如何なる場合にも羽根片41の取り付けを容易に且つ確実に行うことができる。
【0051】
(比較例3)
図8は、前記図2よりも更に多数個の羽根片を装着した冷却ファン構造を示す。図8の冷却ファンの場合、18個の羽根片53を装着させている。この場合、回転子(磁極鉄心)と略同じ径で且つ円形のベース平板52を用い、このベース平板52上に全ての羽根片53を固着させている。この構成では、ベース平板52が回転子の磁極間隙間を塞ぎ冷却風整流板として機能するため、冷却効率を上げることができる。
【0052】
また、図8に示す冷却ファンでは、隣り合う羽根片53が近接して設けられるため、各羽根片53の取付け面が干渉することが考えられる。そこで、各羽根片53の取り付け面には、干渉を回避するための切り欠き部54が設けられている。これにより、羽根片53を多数装着する際の制約がなくなる。
【0053】
(実施の形態)
本実施の形態では、従来相当の冷却ファンを用い、その冷却ファンに対して、断片化された羽根片を適宜装着することで新たなファン構造を実現する。このファン構造を図9を用いて説明する。すなわち、図9に示すファン構造では、ベース平板61上に起立し且つ回転子軸6を中心として円周方向に配置された複数の羽根部62を有する冷却ファン60(従来相当の冷却ファン)が、回転子端面(磁極鉄心3aの端面)に固着されている。そして、冷却ファン60の隣り合う2つの羽根部62の間に、断片状に型成形された少なくとも1つ(図では2個)の羽根片63が配置されている。ここで、羽根片63は、ベース平板61に接合される取付け面64と、該取付け面64より屈曲形成された羽根面65とを持つ。
【0054】
なお、羽根片63は、図示するように羽根部62間の数箇所(1箇所でも可)に配置されても良いし、全ての羽根部62間に配置されても良い。また、羽根部62間の間隔に余裕があれば、2個以上の羽根片63を配置することも可能である。また、前述した図4又は図5のような構成の羽根片を適宜用いることも可能である。
【0055】
以上図9の構成によれば、プレスやダイカスト等、既存の専用型により成形された冷却ファン60(従来相当の冷却ファン)に対して羽根片63を後付けすることにより、羽根部の増設に伴う風量向上や風向き設定が可能となる。換言すれば、かかる構成においてもファン構造の設計自由度が増し、結果として所望の冷却性能が確保できることとなる。また、同一型の冷却ファン60(従来相当の冷却ファン)を用いて多バリエーションが実現できることから、バリエーション毎の異なる専用型が不要になり、型製作等の費用が低減できるといった効果が併せて得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】両用交流発電機の単体構造を示す縦断面図。
【図2】回転子に設置される冷却ファン構造を示す平面図。
【図3】羽根片の取付け角度θを示す平面図。
【図4】羽根片の構成を示す斜視図。
【図5】羽根片の構成を示す図。
【図6】回転子に設置される冷却ファン構造を示す平面図。
【図7】回転子に設置される冷却ファン構造を示す平面図。
【図8】回転子に設置される冷却ファン構造を示す平面図。
【図9】回転子に設置される冷却ファン構造を示す平面図。
【符号の説明】
1…車両用交流発電機、3…回転子、3a,3b…磁極鉄心、4…固定子、6…回転子軸、12a,12b…冷却ファン、15…固定子鉄心、16…固定子巻線、21…ドライブフレーム、22…リヤフレーム、41…羽根片、42…取付け面、43…羽根面、51,52…ベース平板、53…羽根片、54…切り欠き部、60…冷却ファン、61…ベース平板、62…羽根部、63…羽根片、64…取付け面、65…羽根面。

Claims (2)

  1. 回転自在に支持され外部からの動力により回転して回転磁界を発生する回転子と、
    前記回転子の外側に極小空隙を空けて配置される鉄心と該鉄心に巻装されるコイルを備え前記回転磁界により起電力を発生する固定子と、
    前記回転子と前記固定子を収容するためのフレームと、
    前記回転子の端面に固着され、ベース平板上に起立し且つ回転子の回転軸を中心として円周方向に配置された複数の羽根部を有する冷却ファンと、を具備する車両用交流発電機において、
    前記冷却ファンの隣り合う2つの羽根部の間に、断片状に型成形された少なくとも1つの羽根片を配置したことを特徴とする車両用交流発電機。
  2. 前記羽根片は、冷却ファンのベース平板に接合される取付け面と、該取付け面より屈曲形成された羽根面とを持つ請求項1に記載の車両用交流発電機。
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