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JP4211001B2 - 高圧タンクシステムのガス漏れ検出装置 - Google Patents

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本発明は高圧タンクシステムのガス漏れ検出装置に関し、特に、燃料電池車両搭載用の高圧水素タンクシステムに好適なガス漏れ検出装置に関する。
燃料電池をオンボード発電機として搭載する燃料電池車両においては車両の航続距離を延ばすために高圧水素タンクをより高圧化する傾向にある(例えば35〜70MPa)。一方、燃料電池システムのガス漏れ対策として、特開2003−166699号公報には漏洩水素ガスを収容する隔室を新たに設け、この隔室の圧力変化に基づいて水素ガスの漏れを検出する構成が提案されている。
特開2003−166699号公報
しかし、漏洩水素ガスを収容するための隔室を新たに設けると、高圧水素タンクシステムの構成が複雑化する。また、高圧水素タンクの高圧化に伴い、広範囲のガス圧を検出できる圧力センサが必要になるが、圧力センサのレンジを広くとると、センサの分解能は必然的に低くなる(ダイナミックレンジは小さくなる)ため、燃料ガス配管系統のガス漏れによる微小な圧力変化を検出することが困難となる。
そこで、本発明はガス漏れ検出のための新たな構造を付加せずに、しかも高分解能の圧力センサを要することなく、高精度なガス漏れ検出を行えるガス漏れ検出装置を提案することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明のガス漏れ検出装置は、高圧タンクシステムのガス配管系統におけるガス漏れを検出するための装置であって、ガス配管系統の圧力変化率を検出する圧力変化率センサと、圧力変化率センサが検出した圧力変化率に基づいてガス漏れを判定する判定手段を備える。ガス配管系統にガス漏れが生じている場合には、ガス配管系統のガス圧は変動する(ガス漏れ原因によって昇圧又は降圧する)ため、単位時間あたりの圧力変化量を検出することで、ガス漏れを判定できる。これにより、ガス漏れ検出のための新たな構造を付加せずに、しかも高分解能の圧力センサを要することなく、高精度なガス漏れ検出を行えるガス漏れ検出装置を提供できる。圧力変化率センサとしては圧力の変化率(変化量、変化速度)を直接的に検出できるセンサであることが必要である。ここで、圧力変化率センサには、例えば、圧力の大きさを検出する圧力センサによって異なる時刻T1及び時刻T2におけるそれぞれの圧力検出値から時間あたりの圧力変化を検出し、間接的に圧力変化率を得る方式を含むものではない。このように圧力変化率センサとしては、圧力変化と実質的に等価な(又は圧力変化に代替できる)物理量の変化率、例えば、流量の変化率、流速の変化率、体積の変化率などであっても、圧力変化率が直接的に検出できて、圧力変化率の大小が判断できるセンサであればよい。具体的には、圧力(又は流量、流速、体積などの物理量)が変化したときに検出信号を出力する「接点スイッチ」等が好適である。
ここで、ガス配管系統の上流側に高圧タンクが配設され、その下流側に高圧タンクから流出するガスを遮断する遮断弁が配設されており、圧力変化率センサは高圧タンクと遮断弁の間のガス配管系統に配設されており、判定手段は遮断弁が閉弁しているときの圧力変化率に基づいてガス漏れを判定するように構成してもよい。例えば、遮断弁が閉弁している状態で圧力変化率センサが検出した圧力変化率が「正方向」に増大していれば、高圧タンクの元栓バルブに開故障又は半開故障が生じて高圧タンクからガス配管系統へガスが漏出していることが推測できる。一方、遮断弁が閉弁している状態で圧力変化率センサが検出した圧力変化率が「負方向」に増大してれば、遮断弁に開故障又は半開故障が生じてガス配管系統の下流側に向けてガスが漏出しているか、又はガス配管系統自体に亀裂等が生じて配管外部にガスが漏出していることが推測できる。ここで、「正方向」とは圧力の時間微分が正、即ち、圧力が増加傾向にあることを意味し、「負方向」とは圧力の時間微分が負、即ち、圧力が減少傾向にあることを意味する。
また、ガス配管系統の上流側に高圧タンクが配設され、その下流側に高圧タンクから流出するガスを遮断する遮断弁が配設されており、圧力変化率センサは遮断弁の下流側のガス配管系統に配設されており、判定手段は遮断弁が閉弁しているときの圧力変化率に基づいてガス漏れを判定するように構成してもよい。例えば、遮断弁が閉弁している状態で圧力変化率センサが検出した圧力変化率が「正方向」に増大していれば、高圧タンクの元栓バルブと遮断弁の両方に開故障又は半開故障が生じて高圧タンクからガス配管系統へガスが漏出していることが推測できる。一方、遮断弁が閉弁している状態で圧力変化率センサが検出した圧力変化率が「負方向」に増大してれば、ガス配管系統自体に亀裂等が生じて配管外部にガスが漏出していることが推測できる。
本発明のガス漏れ検出装置はあらゆる高圧タンクシステムのガス漏れ判定に適用することができ、例えば、燃料電池車両搭載用の高圧水素タンクシステムの燃料ガス配管系統のガス漏れ判定に好適である。
本発明によれば、ガス配管系統にガス漏れが生じている場合にはガス配管系統のガス圧は変動するため、単位時間あたりの圧力変化率を検出することでガス漏れを判定できる。これにより、ガス漏れ検出のための新たな構造を付加せずに、しかも高分解能の圧力センサを要することなく、高精度なガス漏れ検出を行えるガス漏れ検出装置を提供できる。
図1は本実施形態に係わる高圧水素タンクシステムの構成を示している。高圧水素タンクシステム10は燃料電池車両搭載用の水素供給システムとして構成されており、水素ガスを高圧(例えば35〜70MPa)に充填した複数の高圧水素タンク11〜14と、これらの高圧水素タンク11〜14から燃料電池スタック(図示せず)へ燃料ガス(水素ガス)を供給するための燃料ガス配管系統21と、燃料ガス配管系統21の圧力変化率(単位時間あたりの圧力変化量又は圧力変化速度)を検出する圧力変化率センサPと、圧力変化率センサPが検出した圧力変化率に基づいてガス漏れを判定する制御部30と、を主要構成として備えている。
燃料ガス配管系統21は複数の分岐管21a〜21dに分岐して複数の高圧水素タンク11〜14に接続している。各々の分岐管21a〜21dには高圧水素タンク11〜14の元栓バルブ(電磁遮断弁)A1〜A4が配設されている。ガス配管系統21の上流側に高圧水素タンク11〜14が配設され、その下流側に高圧水素タンク11〜14から流出する燃料ガスを遮断する電磁遮断弁A5が配設されている。圧力変化率センサPは高圧水素タンク11〜14と電磁遮断弁A5の間の燃料ガス配管系統21に配設されている。電磁遮断弁A5は燃料ガス配管系統21を流れる燃料ガスを遮断するためのバルブである。燃料ガス配管系統21を流れる燃料ガスは調圧弁(レギュレータ)A6によって所定圧に調圧(減圧)された後、燃料電池スタックに供給される。制御部30は高圧水素タンクシステム10を制御するシステムコントローラとして機能し、元栓バルブA1〜A4を開閉制御して燃料電池スタックへの燃料ガスの供給を行う高圧水素タンク11〜14を切り替えるとともに、システム停止時又は間欠運転時には電磁遮断弁A5を閉弁して燃料電池スタックへの燃料ガス供給を遮断する。制御部30は更に圧力変化率センサPが検出した単位時間あたりの圧力変化量が予め定められた閾値を超えた場合に燃料ガス配管系統21にガス漏れが生じていると判定するガス漏れ判定手段として機能する。
燃料ガス配管系統21の微小な圧力変化率を検出してガス漏れ判定を行うには、通常運転時以外のタイミング、例えば、システム起動直後、システム停止直前、又は燃料電池の要求負荷が小さいときにガス漏れ判定を行うのが望ましい。特に、燃料電池と蓄電装置(二次電池又はキャパシタ)を混載したハイブリッド車両では、車両走行中であっても、蓄電装置から供給される電力で車両走行可能である場合は燃料電池の運転を停止して燃料ガス配管系統21のガス漏れ判定を行ってもよい。同図に示すように高圧水素タンク11〜14と電磁遮断弁A5との間の燃料ガス配管系統21に圧力変化率センサPが配設されている場合には、元栓バルブA1〜A4と電磁遮断弁A5を全て閉弁した状態で密閉空間を形成し、その密閉空間の圧力変化率を検出してガス漏れ判定を行うことができる。密閉空間が形成された状態で圧力変化率センサPが検出する単位時間あたりの圧力変化率が「正方向」に増大すると、何れかの元栓バルブA1〜A4に開故障又は半開故障が生じて高圧水素タンクA1〜A4から燃料ガス配管系統21へ燃料ガスが漏出していることが推測できる。一方、圧力変化率センサPが検出する単位時間あたりの圧力変化率が「負方向」に増大すると、電磁遮断弁A5に開故障又は半開故障が生じて燃料ガス配管系統21から燃料電池スタックへ向けて燃料ガスが漏出しているか、又は燃料ガス配管系統21に亀裂等が生じて配管外部に燃料ガスが漏出していることが推測できる。ここで、「開故障」とはバルブが開いたままになって閉弁できなくなる故障状態をいい、「半開故障」とはバルブが途中までしか閉弁せずに半開状態になる故障状態をいう。制御部30はガス漏れを検出するとシステム異常停止等の処理を行う。
尚、ガス漏れ判定精度を高めるには、上述のように元栓バルブA1〜A4と電磁遮断弁A5を全て閉弁した状態で適度な容積の密閉空間を形成し、その密閉空間の圧力変化率を検出するのが望ましいが、必ずしも密閉空間を形成する必要はなく、例えば、全ての元栓バルブA1〜A4を閉弁し、且つ電磁遮断弁A5を開弁した状態でガス漏れ判定を行ってもよい。また、ガス漏れ判定時に全ての元栓バルブA1〜A4と調圧弁A6を閉弁し、且つ電磁遮断弁A5を開弁した状態で、調圧弁A6と元栓バルブA1〜A4との間に密閉空間を形成してガス漏れ判定を行ってもよい。また、ガス漏れ判定時に全ての元栓バルブA1〜A4と、燃料電池入口側のスタック入口弁又は燃料電池出口側のスタック出口弁を閉弁し、且つ、調圧弁A6と電磁遮断弁A5を開弁した状態で、スタック入口弁又はスタック出口弁と元栓バルブA1〜A4との間に密閉空間を形成してガス漏れ判定を行ってもよい。ガス漏れの誤判定を避けるには、元栓バルブA1〜A4、電磁遮断弁A5、調圧弁A6等を閉弁した後、ガス漏れ判定空間の圧力が安定するまでの所定時間が経過した時点で圧力変化率を検出するのが好ましい。
また、圧力変化率センサPの配設箇所としては、燃料ガス配管系統21の特定位置に限られるものではなく、例えば、図2に示すように、電磁遮断弁A5の下流側であってもよい。つまり、燃料ガス配管系統21の上流側に高圧水素タンク11〜14を配設し、その下流側に高圧水素タンク11〜14から流出する燃料ガスを遮断する電磁遮断弁A5を配設し、更に電磁遮断弁A5の下流側の燃料ガス配管系統21に圧力変化率センサPを配設しておき、電磁遮断弁A5が閉弁しているときの圧力変化率に基づいてガス漏れを判定するように構成してもよい。例えば、電磁遮断弁A5が閉弁している状態で圧力変化率センサPが検出した圧力変化率が「正方向」に増大していれば、元栓バルブA1〜A4と電磁遮断弁A5の両方に開故障又は半開故障が生じて高圧水素タンク11〜14から燃料ガス配管系統21へ燃料ガスが漏出していることが推測できる。一方、電磁遮断弁A5が閉弁している状態で圧力変化率センサPが検出した圧力変化率が「負方向」に増大してれば、燃料ガス配管系統21自体に亀裂等が生じて配管外部にガスが漏出していることが推測できる。この場合においても、電磁遮断弁A5は必ずしも閉弁している必要はなく、例えば、全ての元栓バルブA1〜A4を閉弁し、且つ電磁遮断弁A5を開弁した状態でガス漏れ判定を行ってもよい。このように、圧力変化率センサP、電磁遮断弁A5、高圧水素タンク11〜14の相互間の位置関係や、電磁遮断弁A5の開閉状態を変えることで、ガス漏れ原因(例えば、バルブの故障か又は配管の故障か)をある程度推測できる。
尚、圧力変化率センサPの個数は単一に限らず、複数であってもよい。例えば、燃料ガス配管系統21に配設された複数のバルブを閉弁することで、複数のガス漏れ判定空間を形成し、それぞれのガス漏れ判定空間に設置された圧力変化率センサPの出力に基づいてガス漏れ箇所とガス漏れ原因を判定するように構成してもよい。また、ここでは燃料電池車両に搭載される高圧水素タンクシステム10の燃料ガス漏れを検出する構成を例示したが、本発明はこれに限られるものではなく、各種の高圧タンクシステムのガス漏れ検出に適用できる。
本実施形態によれば、圧力変化率センサPによって燃料ガス配管系統21の単位時間あたりの圧力変化量を検出することで、ガス漏れを判定できる。これにより、ガス漏れ検出のための新たな構造を付加せずに、しかも高分解能の圧力センサを要することなく、高精度なガス漏れ検出を行えるガス漏れ検出装置を提供できる。
本実施形態の高圧水素タンクシステムの構成図である。 本実施形態の高圧水素タンクシステムの構成図である。
符号の説明
10…高圧水素タンクシステム 11〜14…高圧水素タンク 21…燃料ガス配管系統 21a〜21d…分岐管 30…制御部 A1〜A4…元栓バルブ A5…電磁遮断弁 A6…調圧弁 P…圧力変化率センサ

Claims (7)

  1. 高圧タンクシステムのガス配管系統におけるガス漏れを検出するための装置であって、
    前記ガス配管系統の圧力変化率を検出する圧力変化率センサと、
    前記圧力変化率センサが検出した正方向の圧力変化率に基づいてガス漏れを判定する判定手段を備え、
    前記高圧タンクシステムは、燃料電池と蓄電装置とを混載する車両用の高圧水素タンクシステムであり、
    前記判定手段は、前記蓄電装置から供給される電力で車両走行できる場合は、前記燃料電池の運転を停止してガス漏れを判定する、ガス漏れ検出装置。
  2. 請求項1に記載のガス漏れ検出装置であって、
    前記ガス配管系統の上流側に高圧タンクが配設され、その下流側に前記高圧タンクから流出するガスを遮断する遮断弁が配設されており、
    前記圧力変化率センサは前記高圧タンクと前記遮断弁の間のガス配管系統に配設されており、
    前記判定手段は前記遮断弁が閉弁しているときの圧力変化率に基づいてガス漏れを判定する、ガス漏れ検出装置。
  3. 請求項1に記載のガス漏れ検出装置であって、
    前記ガス配管系統の上流側に高圧タンクが配設され、その下流側に前記高圧タンクから流出するガスを遮断する遮断弁が配設されており、
    前記圧力変化率センサは前記遮断弁の下流側のガス配管系統に配設されており、
    前記判定手段は前記遮断弁が閉弁しているときの圧力変化率に基づいてガス漏れを判定する、ガス漏れ検出装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のうち何れか1項に記載のガス漏れ検出装置であって、
    前記高圧タンクシステムは、燃料電池車両搭載用の高圧水素タンクシステムであり、
    前記ガス配管系統は、前記高圧水素タンクシステムから燃料電池に水素ガスを供給するための燃料ガス配管系統である、ガス漏れ検出装置。
  5. 請求項1に記載のガス漏れ検出装置であって、
    前記判定手段は、前記高圧タンクシステムの起動直後にガス漏れを判定する、ガス漏れ検出装置。
  6. 請求項1に記載のガス漏れ検出装置であって、
    前記判定手段は、前記高圧タンクシステムの停止直前にガス漏れを判定する、ガス漏れ検出装置。
  7. 請求項1に記載のガス漏れ検出装置であって、
    前記判定手段は、前記ガス配管系統内のガス漏れ判定空間の圧力が安定するまでの所定時間が経過した時点でガス漏れを判定する、ガス漏れ検出装置。
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