JP4210787B2 - 雌性ホルモン検出試薬用ペプチド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、雌性ホルモンのエストロンまたはプロゲステロンに結合性を有する雌性ホルモン検出試薬用ペプチドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ウシの妊娠診断の指標として使用されている性ホルモン、ウシエストロンおよびプロゲステロンの測定方法としては、ウシエストロンおよびプロゲステロン精製品をマウスやウサギなどに免疫することにより得た抗体を用いる高感度酵素免疫測定法(EIA)や放射免疫測定法(RIA)があり、通常では、乳汁、尿または血清に存在する微量なエストロンを測定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、エストロンやプロゲステロンなどのホルモンは分子量300前後と小さいため、それを抗原として実験動物に免疫しても安定した高力価の抗体を得ることは容易ではなく、さらに特異的な抗体を得ることは困難である。
【0004】
また、従来、雌性ホルモンの検出試薬として用いられている抗体は、実験動物を用いてホルモンを抗原として作製されたものであるから、目的の抗体を得るまでに長い時間を要し、そのために効率よく量産することが困難である。さらに、このような抗体は、精製しても抗体生産単位の各ロット毎に試薬の品質が変わる可能性があり、品質の安定化が困難であるという問題点もある。
【0005】
そこで、この発明の課題は上記した問題点を解決し、特定のアミノ酸配列で示される合成可能なショートペプチドで雌性ホルモン検出試薬を構成することにより、雌性ホルモン検出試薬の品質および製造効率の向上と安定化を図ることである。
【0006】
因みに、動物間でのエストロンおよびプロゲステロンの化学構造の違いは報告されておらず、そのため、この発明のペプチドを利用した検査試薬は、ウシだけでなく、ヒトまたはその他の哺乳類にも応用できる可能性があると考えられる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本願の請求項1に係る発明では、配列表の配列番号1〜3のいずれか1つのアミノ酸配列からなり、エストロンと結合性を有する雌性ホルモン検出試薬用ペプチドとしたのである。
【0008】
また、同様に本願の請求項2に係る発明では、配列表の配列番号4〜6のいずれか1つのアミノ酸配列からなり、プロゲステロンと結合性を有する雌性ホルモン検出試薬用ペプチドとしたのである。
【0009】
上記したように構成されるこの発明のエストロンまたはプロゲステロン結合性のペプチドは、それぞれ所定の雌性ホルモンと特異的に結合するため、従来の測定試薬に使用されていた抗体に代替可能な新規な雌性ホルモン検出試薬として使用できるものである。
【0010】
そして、配列表の配列番号1〜6のいずれか1つのアミノ酸配列からなるエストロンおよびプロゲステロン結合性ペプチドは、いずれも周知の化学合成法等によって効率よく生産できる。
【0011】
そのため、この発明のペプチドを用いて検査試薬を開発することにより、安定した試薬製品の生産が可能になる。また、この発明のペプチドをいくつか架橋して倍増させれば、検出感度の向上が期待できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明における配列番号1〜6で示される所定のアミノ酸配列からなるペプチドは、上述のように化学合成法などの周知のペプチド調整方法により自動ペプチド合成装置(バイオシステム社製など)を用いて製造できる。
【0013】
因みに、固相合成法により任意のペプチドを合成するには、架橋ポリスチレンなどの不溶性支持体上に合成すべきペプチドのC末端のアミノ酸を固定し、それを起点としてマイクロコンピュータで制御された市販の合成装置でN−α―t−ブトキシカルボニル化アミノ酸(Boc-アミノ酸)またはN−α―9フルオレニルメトキシカルボニル化アミノ酸(Fmoc-アミノ酸)に対して、適宜に保護基を除去して順に所要のペプチド鎖を伸張させることにより行える。
【0014】
次に、Boc法またはFmoc法にて得られたエストロンおよびプロゲステロン結合性ペプチドは、水晶発振子マイクロバランスを用いた生体分子間相互作用定量装置を用いて、それぞれ雌性ホルモンとの親和性の確認を行うことができる。
【0015】
代表的な生体分子間相互作用定量装置の測定原理は、圧電特性、化学的性質、熱的安定性に優れた水晶板の両面に電極を取り付け、これに電圧を与えることによって生じる逆電圧効果を利用している。すなわち、水晶板は、水晶発振子として水晶板のもつ固有振動数で共振させることができ、このとき水晶発振子である電極上に物質が付着すると、振動数が減少する現象を利用している。
【0016】
水晶発振子の振動数変化と付着物質の質量との関係は、下記の数1の「Sauerbrey式」と呼ばれる式で表され、電極上での質量変化は、振動数変化と比例関係にあることが確認されている。
【0017】
【数1】
【0018】
また、基本振動数の変化と時間との関係を図1(a)に示し、τ=結合定数の逆数と試料濃度の関係を図1(b)に示す。
【0019】
上記したような測定原理の生体分子間相互作用定量装置(生体分子間相互作用解析装置とも別称される。)は、株式会社イニシアム社から製品名:AFFINIX Qとして市販されている。
【0020】
雌性ホルモンとの親和性が確認されたペプチドは、必要に応じて周知の標識物質(酵素や発色性物質など)と結合させることにより、前記雌性ホルモンを有しているウシその他の動物が雌性ホルモンを分泌している状態を確認でき、例えば動物の妊娠検査試薬などに用いられるものである。
【0021】
【実施例および比較例】
〔実施例1〜6、比較例1、2〕
自動ペプチド合成機(日本パーセプティブ社製:パイオニア)を用い、t−Boc法による固相合成法で配列番号1〜3に示したアミノ酸配列のエストロン結合性ペプチドおよび配列番号4〜6に示したアミノ酸配列のプロゲステロン結合性ペプチドを製造した。
【0022】
これらのペプチドを水晶発振子マイクロバランスを用いた生体分子間相互作用定量装置(イニシアム社製:AFFINIX Q)を用いて、それぞれホルモンとの親和性の確認した。
【0023】
生体分子間相互作用定量装置(イニシアム社製:AFFINIX Q)の測定に際し、金膜センサーチップ上にエストロン結合性ペプチドおよびプロゲステロン結合性ペプチドを固定し、それぞれの抗体を比較例1、2とした。それぞれ1μg/mlを前記チップ上に添加した後、1時間静置し、精製水で金膜を洗浄した。次いでブロッキング液(大日本製薬社製:ブロックエース)を添加後、1時間静置し、蒸留水で洗浄後、生体分子間相互作用定量装置にセットした。
【0024】
ジメチルスルホキシド(DMSO)で希釈したエストロン(Sigma社製:E9750)を1μg/ml、1ng/ml、1pg/mlを添加し、市販の抗体(比較例1、2)および実施例1〜6のペプチドとの分子間相互作用を検討し、図2にエストロンに対する抗体とペプチドの親和性とを比較するための検量線を示し、同様に図3にはプロゲステロンに対する抗体とペプチドの親和性とを比較するための検量線を示した。
【0025】
また、以下の表1に実施例1〜3と比較例1のエストロン濃度に対する結合定数(τ値)と結合速度定数(Ka値)を示した。
【0026】
【表1】
【0027】
以下の表2に実施例4〜6と比較例2のプロゲステロン濃度に対する結合定数(τ値)と結合速度定数(Ka値)を示した。
【0028】
【表2】
【0029】
図2および表1の結果から、実施例1〜3のエストロン結合性ペプチド▲1▼〜▲3▼は、エストロンと確実に結合することが確認できた。
【0030】
また、図3および表2の結果から、実施例4〜6のプロゲステロン結合性ペプチド▲4▼〜▲6▼は、プロゲステロンと確実に結合することが確認でき、さらに実施例4のプロゲステロン結合性ペプチドは、比較例2の抗体よりも強い親和性のあることが確認された。
【0031】
実施例1〜3のエストロン結合性ペプチド▲1▼〜▲3▼のうち、最も親和性の高かったのはペプチド▲1▼であり、また実施例4〜6のプロゲステロン結合性ペプチド▲4▼〜▲6▼のうち、最も親和性の高かったペプチド▲4▼を用いて牛唾液中のエストロンの検出が可能であるかを検討した結果を表3に示した。なお、表中の妊娠初期は種付け後1ヶ月、妊娠後期は種付け後6ヶ月、非妊娠は種付け後1ヶ月の検出時期を示している。
【0032】
【表3】
【0033】
表3の結果からも明らかなように、発情期の指標であるエストロンに対する結合ペプチドと非妊娠期の牛唾液との結合が高くなっており、この結果から牛の発情状態を牛唾液により検出できることがわかる。
【0034】
また、妊娠マーカーとなるプロゲステロンに対する結合性ペプチドは、妊娠初期から後期にかけて反応性の上昇が確認できた。
【0035】
また、エストロンおよびプロゲステロン結合性ペプチドをともに金チップに固相化した場合には、相乗した反応が確認できたことから、複数物質(蛋白、ペプチド、化学物質など)を固相化した場合による検出目的物質との反応性確認も可能であることがわかる。
【0036】
【発明の効果】
本願のエストロン結合性ペプチドに係る発明では、以上説明したように、配列表の配列番号1〜3のいずれか1つのアミノ酸配列からなり、エストロンと結合性を有する雌性ホルモン検出試薬用ペプチドとしたので、このような特定のアミノ酸配列で示される合成可能なショートペプチドは、従来のように動物から精製する抗体を使用した試薬に比べて、安定した物性を示し雌性ホルモン検出試薬の品質が高められたものであり、このものは周知の化学合成法等により比較的簡単に生産できるから、製造効率の向上も図れる利点がある。
【0037】
また、同様にプロゲステロン結合性ペプチドに係る発明では、配列表の配列番号4〜6のいずれか1つのアミノ酸配列からなり、プロゲステロンと結合性を有する雌性ホルモン検出試薬用ペプチドとしたので、このような特定のアミノ酸配列で示される合成可能なショートペプチドは、安定した物性を示すので、雌性ホルモン検出試薬の品質が高くなり、このものは周知の化学合成法等によって比較的簡単に生産できるから、製造効率の向上も図れる利点がある。
【0038】
また、エストロンおよびプロゲステロンの化学構造は動物間での違いは報告されていないため、この発明のペプチドを用いた検査試薬はウシだけでなく、ヒトあるいはその他の哺乳動物にも応用できるものであるといえる。
【0039】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)水晶発振子の基本振動数の変化と時間との関係を示す図表(b)試料中の水晶発振子に物質が付着するときのτ=結合定数の逆数と試料濃度の関係を示す図表
【図2】エストロンに対する抗体とペプチドの親和性とを比較するための検量線を示し、実施例と比較例の濃度と結合定数の逆数との関係を表す図表
【図3】プロゲステロンに対する抗体とペプチドの親和性とを比較するための検量線を示し、実施例と比較例の濃度と結合定数の逆数との関係を表す図表
Claims (2)
- 配列表の配列番号1〜3のいずれか1つのアミノ酸配列からなり、エストロンと結合性を有する雌性ホルモン検出試薬用ペプチド。
- 配列表の配列番号4〜6のいずれか1つのアミノ酸配列からなり、プロゲステロンと結合性を有する雌性ホルモン検出試薬用ペプチド。
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