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JP4294525B2 - スタビライザ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のスタビライザ制御装置に関し、特に、車両前後の左右車輪間に配設するスタビライザのねじり剛性を電気モータ駆動のアクチュエータによって可変制御するスタビライザ制御装置に係る。
一般的に、車両のスタビライザ制御装置は、車両の旋回走行中にスタビライザバーの作用により適切なロールモーメントを外部から付与し、車体のロール運動を低減又は抑制するように構成されている。この機能を実現するため、例えば特許文献1には、スタビライザバーを二分割し、その半部分間に電気機械式旋回アクチュエータを設けた車両の横揺れ安定化装置が提案され、以下のように説明されている。
即ち、特許文献1に記載の装置においては、調節範囲外においても受動的車両に比較して横揺れをさらに低減できるという可能性を提供できるように、スタビライザ半部分の反対方向旋回変位をロックするために電磁式開放ブレーキまたは電磁式閉止ブレーキが用いられる。そして、装置の故障時にとられる処置は方式により異なり、電磁式閉止ブレーキにおいては、横揺れ特性およびサスペンション・ロール効果は通常のばね要素および減衰要素のみにより決定される。また、電磁式開放ブレーキにおいては、相互にロックされたスタビライザ半部分は受動的トーション・バーのように働くため、捩り剛性を選択することにより、横揺れ特性およびサスペンション・ロール効果が決定される。しかし、直進走行における車両ボディーの傾斜姿勢を回避するために、電気機械式旋回スタビライザアクチュエータを中立の中間位置のみにロック可能であることが保証されなければならない旨記載されている。
特表2002−518245号公報
然し乍ら、上記特許文献1に記載のような能動的に車体のロール運動を抑制する装置においては、万一装置が故障した時にも、ある程度のロール抑制効果を発揮しつつ、適切な車両ステア特性(所謂アンダステア/オーバステア特性)を維持し得るようにすることが望ましい。そのためには、装置の故障時にも、スタビライザによってロール運動に対して抗力を発生させること、及び、その抗力の前後比率が適正であることが肝要となるが、上記特許文献1においては、このような場合の抗力の前後比率について考慮されていない。
そこで、本発明は、電気モータ駆動のアクチュエータを備えたスタビライザ制御装置において、電源が失陥した場合やスタビライザ制御装置が故障した場合にも、車体ロール運動の増大を抑制し、好適な車両ステア特性を維持し得るスタビライザ制御装置を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明は、請求項1に記載のように、車両前後の左右車輪間に配設される一対のスタビライザバーと、前記車両の電源によって駆動する電気モータを有し、前記車両の前輪側の一対のスタビライザバー間及び後輪側の一対のスタビライザバー間の各々に配設されるアクチュエータを具備したスタビライザと、前記車両の旋回状態に応じて前記アクチュエータを制御する制御手段とを備えたスタビライザ制御装置において、前記前輪側の一対のスタビライザバー間及び前記後輪側の一対のスタビライザバー間の各々の相対変位を拘束する拘束手段を備え、少なくとも前記電源の失陥時に、前記拘束手段によって前記前輪側の一対のスタビライザバー間に付与する拘束力を、前記拘束手段によって前記後輪側の一対のスタビライザバー間に付与する拘束力に対し、相対的に大きくなるように構成したものである。
また、請求項2に記載のように、前記スタビライザ制御装置の故障状態を判定する故障判定手段を具備し、該故障判定手段にて前記スタビライザ制御装置が故障と判定されたときには、前記拘束手段によって前記前輪側の一対のスタビライザバー間に付与する拘束力を、前記拘束手段によって前記後輪側の一対のスタビライザバー間に付与する拘束力に対し、相対的に大きくなるように構成してもよい。
前記スタビライザ制御装置において、請求項3に記載のように、前記拘束手段は、前記アクチュエータの各々における前記電気モータの端子間を短絡させる端子間短絡手段を具備したものとし、該端子間短絡手段による端子間の短絡の結果形成される短絡回路の抵抗値について、前記車両の前輪側のアクチュエータにおける前輪側抵抗値を、前記車両の後輪側のアクチュエータにおける後輪側抵抗値に対し、相対的に小さくなるように設定するとよい。そして、請求項4に記載のように、前記アクチュエータの各々は、前記電気モータのコイルと並列に配置する少なくとも一つのモータリレーを夫々具備したものとし、前記モータリレーのうちの少なくとも一つを短絡させて、前記前輪側の一対のスタビライザバー間に付与する拘束力を、前記後輪側の一対のスタビライザバー間に付与する拘束力に対し、相対的に大きくなるように構成するとよい。特に、請求項5に記載のように、前記アクチュエータに具備されるモータリレーのうち、少なくとも前記前輪側のアクチュエータに具備されるモータリレーが、前記前輪側のアクチュエータ内に内蔵される構成とするとよい。
あるいは、前記スタビライザ制御装置において、請求項6に記載のように、前記拘束手段は、前記アクチュエータの各々における前記電気モータを機械的に拘束するロック手段を具備したものとし、該ロック手段によって前記前輪側の一対のスタビライザバー間に付与する拘束力を、前記後輪側の一対のスタビライザバー間に付与する拘束力に対し、相対的に大きくなるように構成するとよい。
そして、請求項7に記載のように、前記アクチュエータの各々は、前記電気モータに連結され、前記電気モータの出力回転速度を減速する減速機を夫々具備したものとし、前記拘束手段は、前記前輪側の一対のスタビライザバー間に介装する減速機を自己拘束型の減速機とするとよい。ここで、自己拘束型の減速機とは、スタビライザバー側から電気モータに動力伝達する際の効率を指す逆効率が実質的にゼロである減速機をいう。
更に、請求項に記載のスタビライザ制御装置において、前記モータリレーは、請求項に記載のように、非通電時に短絡回路を形成するノーマルクローズ型のリレーで構成するとよい。
而して、請求項1に記載のスタビライザ制御装置によれば、少なくとも電源の失陥時に、拘束手段によって前輪側の一対のスタビライザバー間に付与される拘束力が、拘束手段によって後輪側の一対のスタビライザバー間に付与される拘束力に対し、相対的に大きくなるので、電源が失陥して電力が供給されなくなった場合にも、車体ロール運動の増大を抑制し、好適な車両ステア特性を維持することができる。
更に、請求項2に記載のように構成すれば、スタビライザ制御装置が故障した場合にも、車体ロール運動の増大を抑制し、好適な車両ステア特性を維持することができる。
上記請求項1又は2に記載のスタビライザ制御装置において、具体的には、請求項3乃至7に記載のように構成すれば、簡単な構成で、電源が失陥した場合やスタビライザ制御装置が故障した場合にも、車体ロール運動の増大を抑制し、好適な車両ステア特性を維持することができる。特に、請求項5に記載のように、モータリレーがアクチュエータ内に内蔵される構成とすれば、モータリレーがアクチュエータの外部に配設される構成と比較して、短絡回路の抵抗値を小さく設定することが可能となるので、電源失陥時あるいは装置故障時にスタビライザバーに付与される拘束力を大きくすることができ、車体ロール運動の増大を適切に抑制することができる。
尚、請求項に記載のようにモータリレーを構成すれば、電源失陥時には確実に拘束力を付与することができる。
以下、本発明の望ましい実施形態を説明する。本発明の一実施形態に係るスタビライザ制御装置を備えた車両の全体構成を図1に示す。本実施形態においては、車体(図示せず)にロール方向の運動が入力された場合に、ねじりばねとして作用する前輪側スタビライザSBfと後輪側スタビライザSBrが配設されている。これら前輪側スタビライザSBf及び後輪側スタビライザSBrは、車体のロール運動に起因する車体ロール角を抑制するために、各々のねじり剛性がスタビライザアクチュエータFT及びRTによって可変制御されるように構成されている。尚、これらスタビライザアクチュエータFT及びRTは電子制御装置ECU内のスタビライザ制御ユニットECU1によって制御される。
図1に示すように各車輪WHxxには車輪速度センサWSxxが配設され(添字xxは各車輪を意味し、frは右側前輪、fl左側前輪、rrは右側後輪、rlは左側後輪を示す)、これらが電子制御装置ECUに接続されており、各車輪の回転速度、即ち車輪速度に比例するパルス数のパルス信号が電子制御装置ECUに入力されるように構成されている。更に、ステアリングホイールSWの操舵角(ハンドル角)δfを検出する操舵角センサSA、車両の前後加速度Gxを検出する前後加速度センサXG、車両の横加速度Gyを検出する横加速度センサYG、車両のヨーレイトYrを検出するヨーレイトセンサYR等が電子制御装置ECUに接続されている。
尚、電子制御装置ECU内には、上記のスタビライザ制御ユニットECU1のほか、ブレーキ制御ユニットECU2、操舵制御ユニットECU3等が構成されており、これらの制御ユニットECU1乃至3は夫々、通信用のCPU、ROM及びRAMを備えた通信ユニット(図示せず)を介して通信バスに接続されている。而して、各制御システムに必要な情報を他の制御システムから送信することができる。
本実施形態のスタビライザ制御ユニットECU1は例えば図2に示すように構成されており、スタビライザアクチュエータFT(又はRT)を構成する電気モータMが制御される。スタビライザ制御ユニットECU1においては、電気モータMに対し指令値を設定するロール抑制制御部と、その指令値に基づき電気モータMを駆動制御するモータサーボ制御部とが一体として、あるいは別体としてコントローラ部CTが構成される。そして、オルタネータ及びバッテリを電源PWとし、コントローラ部CTに定電圧レギュレータを介して電圧が供給される。また、他の制御ユニット及びセンサ等の情報が、通信バスを介して相互に交換される。
ロール抑制制御部では、後述するようにスタビライザクチュエータFT(又はRT)のモータ駆動指令値が生成され、このモータ駆動指令値に基づきモータ駆動回路MCが制御される。このモータ駆動回路MCにはスイッチング素子が組み込まれ、動力源PWから電気モータMに電流が供給される。また、モータ駆動回路MCには電流検出部ISが設けられ、電気モータMの電流制御に供される。本実施形態の電気モータMは、3相のブラシレスDCモータで構成され、回転角検出手段たる回転角センサRSが備えられ、その検出情報に基づき電気モータMの駆動制御が行われる。
更に、スタビライザ制御ユニットECU1には故障判定手段FDが構成されており、センサ信号及び演算信号を監視することによって、装置作動が正常か否かが判定される(この判定については後述する)。而して、万一装置が故障した場合には、後述するように、故障判定手段FDで判定された結果に基づき、拘束手段HDが制御されて、車両ステア特性が適切に維持されつつ車体ロール角の増大が抑制される。
図3は、スタビライザアクチュエータFTの具体的構成例(RTも同様の構成)を含む前輪側スタビライザSBfを示すものである。この前輪側スタビライザSBfは左右一対のスタビライザバーSBfr及びSBflに二分割されており、夫々の一端が左右の車輪に接続され、他端の一方側が減速機RDを介して電気モータMのロータRO、その他方側が電気モータMのステータSRに接続されている。尚、スタビライザバーSBfr及びSBflは保持手段HLfr及びHLflにより車体に保持される。而して、電気モータMが通電されると、二分割のスタビライザバーSBfr及びSBflの夫々に対しねじり力が生じ、前輪側スタビライザSBfの見掛けのねじりばね特性が変更されるので、車体のロール剛性が制御されることになる。また、電気モータMの回転角を検出する回転角検出手段として、回転角センサRSがスタビライザアクチュエータFT内に配設されている。後輪側スタビライザSBrも上記と同様の構成であるので説明は省略し、以下、電気モータMというときは前輪側及び後輪側のスタビライザSBf及びSBrに供される電気モータを含むものとする。
図4は、本発明に係る基本的な制御ブロックを示すもので、運転者のハンドル(ステアリング)操作に関し、運転者操作検出手段M11によりハンドル角(操舵角)δfを含む情報が検出され、車両の走行状態検出手段M12により車両速度、横加速度及びヨーレイトを含む車両運動状態量が検出される。これらの情報に基づき、車両の望ましいロール特性を達成するための車両アクティブロールモーメント目標値Rmvが演算される(M13)。また、車両挙動判定演算M14においては運転者のハンドル操作と車両運動状態量に基づき車両のステア特性(所謂アンダステア傾向、オーバステア傾向)が判定される。次に、演算されたステア特性と車両運動状態に応じて前輪と後輪のロール剛性比率の目標値が演算される(M15)。このようにして求められた車両アクティブロールモーメント及びロール剛性比率の目標値によって前輪及び後輪のアクティブロールモーメントの目標値が演算される(M16)。
そして、これらの前輪及び後輪のアクティブロールモーメント目標値に基づきモータ制御目標値への変換が行われ、アクチュエータサーボ制御部(M17)によってスタビライザアクチュエータFT及びRTが制御される。一方、図2の故障判定手段FDに対応する故障判定手段(M18)の判定結果に基づき、図2の拘束手段HDに対応し前輪側拘束手段及び後輪側拘束手段から成る拘束手段(M19)によって、前輪側のスタビライザアクチュエータFT及び後輪側のスタビライザアクチュエータRTが拘束される。これにより、装置の故障時にも車体ロールの増大が抑制される。尚、上記拘束手段の具体的構成については後述する。
ところで、車両の旋回運動は右旋回と左旋回が存在するが、夫々の状態を考慮し、旋回状態及びロール運動を表現する運動状態量は、旋回方向に応じた正負の符号付きの値となる。更に、これら符号を考慮した値に対してしきい値を設定し、その大小関係において制御開始又は終了の判定等を行う場合には説明が煩雑になる。そこで、以下においては、車両の旋回状態及びロール運動状態が正符号である場合について説明する。
図5は、図4の具体的態様を示すもので、車両アクティブロールモーメント目標値演算部M13において横加速度センサYGの信号から得られる横加速度Gy、これを時間微分する実横加速度変化量dGy、ハンドル角(操舵角)δf及び車両速度(車速)Vxから演算される演算横加速度Gye、これを時間微分する演算横加速度変化量dGyeに基づき車両全体でロール運動を抑制するために必要な車両アクティブロールモーメント目標値Rmvが演算される。尚、演算横加速度Gyeは次の式(1)により求められる。
Gye =(Vx2・δf)/{L・N・(1+Kh・Vx2)}…(1)
ここで、Lはホイールベース、Nはステアリングギア比、Khはスタビリティファクタである。
而して、好適なロール特性を達成するために車両全体に付与すべき車両アクティブロールモーメント目標値Rmvは、次の式(2)により求められる(K1、K2、K3、K4は制御ゲイン)。
Rmv =K1・Gye+K2・dGye+K3・Gy+K4・dGy …(2)
上記のように、制御演算の遅れやアクチュエータの応答性を補償するために、ハンドル角δfと車速Vxから求められる演算横加速度Gyeとその変化量dGyeが考慮される。
前後輪ロール剛性比率目標値演算部M15においては、ロール剛性の前後比率目標値が以下のように決定される。先ず、車両速度(車速)Vxに基づき前輪側及び後輪側のロール剛性比率の初期値Rsrfo、Rsrroが設定される。前輪ロール剛性比率の初期値Rsrfoは、図6に示すように車両速度Vxが低い状態では低く、高い状態では高くなるように設定され、高速走行においてはアンダステア傾向が強くなるように設定される。そして、後輪ロール剛性配分比率の初期値Rsrroは(1−Rsrfo)で決定される。次に、車両挙動判定演算部M14において、車両ステア特性を判別するために、ハンドル角δfと車両速度Vxから目標ヨーレイトYreが演算され、実際のヨーレイトYrと比較されてヨーレイト偏差ΔYrが演算され、このヨーレイト偏差ΔYrに基づき、ロール剛性比率補正値Rsraが演算される。
この結果、車両がアンダステア傾向にある場合には前輪側ロール剛性比率を低め、後輪側のそれを高める補正が行われる。逆に、オーバステア傾向にある場合には前輪側ロール剛性比率を高め、後輪側のそれを低める補正が行われる。更に、前輪及び後輪アクティブロールモーメント目標値演算部M16において、車両アクティブロールモーメント目標値Rmv、並びに前後輪ロール剛性比率目標値Rsrf及びRsrrに基づき、前輪及び後輪アクティブロールモーメント目標値Rmf及びRmrが、夫々Rmf=Rmv・Rsrf、Rmr=Rmv・Rsrrとして設定される。そして、これらの前輪及び後輪アクティブロールモーメント目標値Rmf及びRmr(以下、単にアクティブロールモーメント目標値Rmf及びRmrという)に基づき、前輪及び後輪用のスタビライザアクチュエータFT及びRTで発生すべきねじり力が決定され、以下のように電気モータMが制御されることとなる。
先ず、電流目標値に基づく電気モータMの制御態様について説明すると、図7は、図4のアクチュエータサーボ制御部M17の一態様を示すもので、モータ電流値と出力トルクは略比例関係にあるため、モータトルクをモータ電流値とすることも可能である。次に、モータ出力目標値演算ブロック(M21)で設定される目標値と、センサによって検出される実値との偏差eが図7のブロックM22にて演算され、この偏差eに基づき、電気モータMを駆動・制御するための所謂PID制御のデューティ比DTが次の式(3)のように設定される。
DT=Kp・e+Ki・∫e+Kd・de …(3)
ここで、Kpは比例項ゲイン、Kiは積分項ゲイン、Kdは微分項ゲインであり、∫eは偏差eの積分値、deは偏差eの微分値である。
そして、ブロックM23にて上記のデューティ比DTに応じたPWM出力が演算され、このPWM出力によりモータ駆動回路MCのスイッチング素子が制御され、電気モータMが駆動制御される。
次に、図4の故障判定手段M18において行われる故障判定について説明する。この故障判定は、先ず、通信バスから得られるセンサ異常フラグに基づいて行われる。アクティブロール抑制制御には、ハンドル角、車両速度又はこれを演算するための車輪速度、横加速度、ヨーレイト等の信号が必要となるが、これらは図1に示す通信バスを介して入力される。各センサは自己診断機能を有しており、診断結果が故障と判定された場合には、センサ異常フラグが通信バス上に出力される。また、センサ間の相互監視が行われ、所定の関係にある車両状態量間で不整合が生じた場合にはセンサ異常が判定され、異常フラグが通信バス上に出力される。例えば、通常の走行状態では、車両速度Vx、横加速度Gy、ヨーレイトYrは、概略Gy=Yr・Vxの関係にあるが、この関係において、GyとYr・Vxとの偏差が所定値以上となった場合に、故障と判定される。
図8乃至図10は故障判定演算例を示すもので、アクティブロール抑制制御の各目標値と、各センサからの実側値(実値)に基づいて故障判定が行われる。図8に示す態様では、ステップ101で初期化された後、ステップ102及び103にて目標値の今回値Xnと目標値の前回値Xn-1が読み込まれ、ステップ104においてこれらが比較される。正常な場合には、目標値の今回値Xnと前回値Xn-1とが大きくかけ離れることはない。その偏差の絶対値が大きくなるということは、それを生成する状態量に異常があるためで、この偏差の絶対値が所定値H1以上となった場合には、ステップ105に進み故障と判定される。尚、図8における目標値とは、図5及び図7に示される目標値を意味する。
次に、図9に示す態様では、ステップ201で初期化された後、ステップ202及び203にて目標値Ytと実値Yaが読み込まれ、ステップ204においてこれらが比較される。目標値Ytと実値Yaの偏差の絶対値が所定値H2以上となった場合にはステップ204にて故障と判定される。図5及び図7に示すアクティブロール抑制制御は、基本的には目標値と実値の偏差に基づいて行われる。即ち、正常な場合には目標値Ytと実値Yaとは大きくかけ離れることはないが、その偏差の絶対値が大きくなるということは、目標値Ytを生成する状態量、あるいは実値Yaを検出するセンサ、演算結果等に異常があるためであり、この偏差の絶対値が所定値H2以上となった場合には、ステップ205に進み故障と判定される。ここで、目標値Yt及び実値Yaとは、図5及び図7に示される目標値、及びセンサ値又は演算値を意味する。
そして、図10に示す態様では、ステップ301で初期化された後、ステップ302に進み、センサにより検出される実値Zaが読み込まれ、ステップ303においてこの実値Zaが所定値H3と比較される。この結果、Za≧H3と判定された場合には故障と判定される。例えば、図2においてモータ駆動回路MCのモータ駆動電流が検出され、所定値以上の過電流となった場合に故障判定が行われる。実値は上限値を持つ場合だけではなく、好適値をもつものもある。例えば、車両が所定の旋回状態にあるにもかかわらず、図2の回転角センサRSからの回転角が所定値以上、もしくは、所定値H4以下となる場合にも同様に、ステップ304に進み故障と判定される。
ところで、広義の装置の故障には、以下の二つの場合が想定される。第1の場合は電源系の故障であり、システム(装置)に電力供給が行われなくなりスタビライザアクチュエータFT及びRTが出力できなくなる場合である。もう一つの場合は、センサ、制御演算等において不具合が発生し、システムの作動を停止する場合であり、故障診断が実行されスタビライザアクチュエータFT及びRTの出力が停止、抑制、又は制御が行われる。これら何れの装置の故障に対しても、車体ロールの増大が抑制され、且つ、車両ステア特性が適正範囲に維持されるようにするため、故障時に一対のスタビライザバー間の相対位置を拘束する手段を設け、車両の前後に配置される一対のスタビライザバーを拘束する力の相対的関係において、前輪側の一対のスタビライザバー間の拘束力が、後輪側の一対のスタビライザバー間の拘束力に対して大きくなるような構成とされている。
以上のように、電源の故障を含み、装置の故障が発生した場合に、車両ステア特性を所定範囲内に維持しながら、車体ロール角の増大を抑制するためには、装置の故障にともなって一対のスタビライザバー間の拘束力が急激に消失することを防止し、且つ、拘束力の前後バランスを適切に保つことが必要である。例えば、前輪側で一対のスタビライザバー間の拘束力がなくなり、後輪側では一対のスタビライザバー間の拘束力が維持されているときには、前輪側でのロール剛性が低下し後輪側では変化無しということになる。この場合には、車両のロール剛性比率は、前輪側に対して後輪側の比率が高くなるため、車両ステア特性はオーバステア傾向となって好ましくない。そこで、本発明においては、前輪側の一対のスタビライザバー間の拘束力が、後輪側の一対のスタビライザバー間の拘束力に対し、相対的に大きくなるように構成されたものであり、これにより、装置の故障が発生した場合でも、車体ロールに対してスタビライザが抗力を発生し、その抗力が車両をアンダステア特性に維持するように作用するため、車両ステア特性が適切に維持される。
下記の表1は、装置が故障したときに、前輪側の一対のスタビライザバー間の拘束力が後輪側の一対のスタビライザバー間の拘束力より大きくなるようにするための態様を例示するものであり、以下、順次説明する。
Figure 0004294525
先ず、第1の態様(表1の左端の態様1に対応。以下、同様)は、一対のスタビライザバー間の拘束を、アクチュエータを駆動する電気モータの端子間に短絡回路を形成することによって行い、この拘束手段を前輪側にのみ配設するものである。 図11は、この拘束手段の一例として、電気モータMの各端子間を短絡することによって一対のスタビライザバーSBfrとSBfl間に拘束力を付与する手段を示すもので、スタビライザアクチュエータFTの基本構成は図3に示すものと同様である。即ち、スタビライザアクチュエータFTを駆動する電気モータMの端子間に短絡回路を形成するために短絡リレーRLYが設けられ、その短絡リレーRLYを駆動するためにリレー駆動回路RCが設けられている。尚、短絡リレーRLYは、図16に示すように、スタビライザアクチュエータFT内に内蔵される構成としてもよく、これによる特有の効果については後述する。
而して、装置が正常に作動しているときには、リレー駆動回路RCにより短絡リレーRLYが非短絡状態(電気モータMの端子間が開放されている状態)とされ、通常の電気モータ制御が実行される。電源PWが失陥したとき、あるいは故障判定手段FDにより装置の故障と判定されたとき、即ち、広義の装置の故障時には、リレー駆動回路RCによりモータ端子間の短絡リレーRLYが短絡状態に切り換えられ、一対のスタビライザバーSBfrとSBflとの間に、電気モータMによる拘束力が付与される。
図12は、電気モータMの端子間に短絡回路を形成することによって一対のスタビライザバー間に拘束力を付与するものである。モータ駆動回路MC及び電気モータMは図12に示すように構成されており、3相の電気モータMの端子間には、各端子間を短絡し得るリレーRLY1、RLY2及びRLY3が、夫々、電気モータMのコイルL1、L2及びL3に並列に接続されている。図12では、電気モータMにおけるU相、V相、W相の各相を短絡し得るリレーの配置構成となっているが、3相のうち、何れか2相間で短絡させれば全ての相間で短絡したことになるため、三つのリレーのうち一つを省略することが可能である。また、3相間のうち何れか一つの相間で短絡状態が形成できれば、制動トルクが得られるため、上記のリレーは少なくとも一つあればその機能を発揮することができる。但し、系としての冗長性を求めるならば、全相間にリレーを配置する構成が望ましい。尚、本実施形態の電気モータMは3相からなるブラシレスモータが用いられるが、これに限定されるものではなく、他の相数を有するモータにも応用可能であり、ブラシモータに応用することも可能である。
そして、故障判定手段FDの判定結果に基づき、装置(例えばスタビライザアクチュエータFT)が故障と判定された場合には、リレーRLY1、RLY2及びRLY3の回路が短絡される。これらのリレーRLY1、RLY2及びRLY3は非通電時に短絡状態となるノーマルクローズ型のリレーであるため、リレー駆動電流がオフとされると、電気モータMのコイルL1、L2及びL3には瞬時に短絡回路が形成されるので、それまで電気モータMの回転によって発生していた逆起電力による電流が、短絡されたリレー回路を流れることとなる。即ち、電気モータMのコイルL1、L2及びL3の夫々の両端電圧は電位差がない状態となり、電気モータMは停止するように動くが、このとき短絡回路には電気モータMの回転によって発生していた逆起電力による電流が流れる。この逆起電力による電流は、コイルL1、L2及びL3を流れ、これらの回路に存在する内部抵抗によって消費されて徐々に電流値は減少する。この働きが電気モータMの制動トルクとなって、あたかもブレーキ力を付与したように作用し、電気モータMに対する外力(車体慣性力)による回転は阻止される。
つまり、モータリレーRLY(リレーRLY1、RLY2及びRLY3を総称)によって短絡回路が形成され、その結果発生する逆起電力により電気モータMに制動トルクが付与され、一対のスタビライザバー間の拘束力となり、車体ロール角変化が抑制されることになる。更に、このときの車体ロール角変化及び車両ステア特性が好適な特性となるように、上述したリレーRLY1、RLY2及びRLY3の短絡回路の開閉を、好適なパターンに適合するように、周期的に複数回の開閉を繰り返し、各リレーの短絡タイミングや作動時間を調整し、短絡回路を構成する各回路の抵抗値R1’、R2’及びR3’の調整を行う構成とするとよい。
前述のように、スタビライザアクチュエータFT(又はRT)に電源PWから電力供給されない場合においても、上記のモータ端子間の短絡は迅速且つ確実に行われなければならない。このため、図12におけるリレーRLY1、RLY2及びRLY3は、電力が供給されない非通電時に短絡されるノーマルクローズ型のリレーが用いられており、電源系に故障が発生し電源PWが失陥した場合においても、瞬時に短絡回路を形成して一対のスタビライザバー間に拘束力を発生させ、電源PWの失陥に対処することができる。そして、システムが作動状態になる場合には、先ず、各リレーが閉位置から開位置に駆動され、モータ端子間の短絡状態が解消され、電気モータMへの通電が行われる。
以上のように前述の表1に示す第1の態様においては、前輪側のスタビライザアクチュエータFTには短絡リレーRLY及びその駆動回路RCが設けられ、後輪側のスタビライザアクチュエータRTにはそれらが省略されている。従って、電源PWの失陥を含み、装置の故障が発生したときには、モータ端子間の短絡によって、前輪側の一対のスタビライザバーSBfr及びSBfl間に対してのみ拘束力が作用する。この結果、前輪側のロール剛性の低下が抑制され、車両ステア特性はアンダステアに維持される。更に、図16に示すように、短絡リレーRLYがスタビライザアクチュエータFT内に内蔵される構成とすれば、短絡リレーRLYがスタビライザアクチュエータFTの外部に配設される構成と比較して、短絡回路の抵抗値を小さく設定することが可能となるので、電源失陥時あるいは装置故障時にスタビライザバーSBfr及びSBflに付与される拘束力を大きくすることができ、車体ロール運動の増大を適切に抑制することができる。
次に、表1に示す第2の態様は、第1の態様におけるモータ端子間短絡による一対のスタビライザバー間の拘束力に代えて、ロック手段によって前輪側のスタビライザバーSBfr及びSBfl間に拘束力を付与するように構成するものである。図13は、このロック手段による一対のスタビライザバーSBfr及びSBfl間の拘束を行う実施形態を示すもので、ロック手段LDはクラッチ機構CLで構成されており、装置の正常作動時には、ロック手段駆動回路LCによりクラッチ機構CLにロック開放トルクが付与されて開放状態とされており、拘束力は生じない。従って、一対のスタビライザバーSBfr及びSBfl間の相対位置は電気モータMによって制御される。一方、装置が故障した場合には、ロック手段駆動回路LCによりクラッチ機構CLが閉状態とされる。図13に示すように、クラッチ機構CLのディスクがモータシャフトMSに固定されており、そのロック機構側がスタビライザアクチュエータFTのケース内側に固定されているため、クラッチ機構CLの閉状態によりスタビライザバーSBfr及びSBfl間の相対的な動きが拘束される。このようにクラッチ機構CLは非通電時に閉状態となるタイプのものが用いられるため、万一電源PWが失陥しても、確実に一対のスタビライザバーSBfr及びSBfl間に拘束力を付与することが可能となる。
図14及び図15は、ロック手段によって一対のスタビライザバー間に拘束力を付与する他の態様に係るもので、図15に示すようにスタビライザアクチュエータFT(又はRT)のモータシャフトMSには切欠部CPが形成されており、その切欠部CPにプランジャPLを係合させることにより一対のスタビライザバーSBfr及びSBfl間の相対的な動きを拘束するように構成されている。このプランジャPLはソレノイドSLによって駆動されるように構成されており、ソレノイドSLはスタビライザアクチュエータFTのケース内側に固定されている。そして、モータシャフトMSの切欠部CPにプランジャPLが係合するとロータROのステータSRに対する回転がロックされることになり、この結果、一対のスタビライザバーSBfr及びSBfl間の相対的な動きが拘束される。これに対し、装置が正常に作動するときには、ソレノイド駆動手段(図示せず)によりソレノイドSLが駆動され、切欠部CPとプランジャPLの係合が解かれ、一対のスタビライザバーSBfr及びSBfl間の相対的移動が電気モータMにより制御される。
而して、装置が故障したときには、モータシャフトMS(切欠部CP)とプランジャPLが係合状態となり、一対のスタビライザバーSBfr及びSBfl間の相対的な動きが拘束される。特に、ソレノイドSLが非通電時に切欠部CPとプランジャPLの係合状態を形成するように構成することで、電源PWが失陥したときにおいても、確実に一対のスタビライザバー間を拘束することが可能となる。
以上のように、表1における第2の態様では、前輪側のスタビライザアクチュエータFTはロック手段LDを具備し、後輪側のスタビライザアクチュエータRTはこれを具備していないため、装置が故障したときには、ロール剛性配分が前輪寄りとなりアンダステア特性が維持されるとともに、前輪側のスタビライザバーSBfr及びSBflが拘束されているため、車体ロールに対して抗力を発生する受動的スタビライザとして機能することになる。従って、装置が故障したときにも、車体ロール角の増大を抑制することが可能となる。
次に、表1の第3の態様においては、前輪側のスタビライザアクチュエータFTを構成する減速機(図示しないが、これを特にRDfという)として、スタビライザバーSBfr及びSBfl側から電気モータMのロータROに動力伝達する際の効率を指す逆効率がゼロである「自己拘束型」が用いられ、後輪側のスタビライザアクチュエータRTの減速機(図示しないが、これを特にRDrという)は、逆効率を有する構成とされている。このように、前輪側のスタビライザアクチュエータFTの減速機RDfは自己拘束型であるので、装置の故障時に電気モータMへの通電が停止すると、前輪側のスタビライザバーSBfr及びSBfl間はロックされ、スタビライザバー本来のねじり剛性となる。これに対し、後輪側のスタビライザアクチュエータRTの減速機RDrは逆効率を有し、後輪側のスタビライザバーSBrr及びSBrl間はロックされないため、後輪側のスタビライザSBrのねじり剛性はスタビライザバー本来のねじり剛性より低くなる。この結果、ロール剛性配分が前輪寄りとなりアンダステア特性が維持され、少なくとも前輪側のスタビライザバーSBfr及びSBflが拘束されているため、車体ロールに対して抗力を発生する受動的スタビライザとして機能し、車体ロール角の増大を抑制することができる。
尚、上記の自己拘束型の減速機(RDf)は、例えば、減速機として作動する場合の入力側(図3の電気モータMのロータRO側)の摩擦トルクを相当程度に大きくすることによって構成することができる。即ち、逆効率を発揮する作動では、その際の入力(減速機が増速機として作動するスタビライザバーからの入力)に対して上記の摩擦トルクは減速比倍されるため、逆効率が概ねゼロとなり、自己拘束型として機能することになる。
表1における第4の態様は、前輪側のスタビライザアクチュエータFTを構成する減速機RDfを自己拘束型とし、後輪側のスタビライザアクチュエータRTを構成する減速機RDrが逆効率を有するものとし、且つ、図11及び図12に示す電気モータ端子間の短絡リレーRLYを備えた構成である。前輪側のスタビライザアクチュエータFTの減速機RDfは自己拘束型であるため、電気モータMへの通電が行われない装置故障時には、一対のスタビライザバー間はロックされ、受動的スタビライザとして機能する。しかし、装置故障時に電気モータMの端子間を短絡することにより拘束力を発生させる後輪側のスタビライザアクチュエータRTを備えた構成では、電気モータMのロータROとステータSRとの間に相対運動が生ずると、初めて一対のスタビライザバー間に拘束力が発生する。従って、第4の態様においても、前輪側の一対のスタビライザバー間の拘束力が後輪側のそれよりも大きくなるため、装置の故障時に、車両はアンダステア特性を維持することができ、車体ロール角の増大も抑制することができる。
また、表1の第5の態様は、装置故障時における前輪側の一対のスタビライザバー間の拘束力発生手段として、第4の態様で用いた自己拘束型の減速機(RDf)に代えて、図13乃至図15に示すロック手段を用いた構成である。このロック手段を用いれば、装置故障時には、前輪側の一対のスタビライザバー間が確実にロックされるため、車両のアンダステア特性は維持され、車体ロールの増大も抑制される。
表1に示す第6の態様においては、前輪側スタビライザSBf及び後輪側スタビライザSBrの両者に、前述のモータ端子間短絡リレーRLY、ロック手段LD等のスタビライザバー拘束手段を具備することなく、且つ、スタビライザアクチュエータFT及びRTを構成する減速機RDf及びRDrは逆効率を有するが、前輪側の減速機RDfの逆効率が後輪側の減速機RDrの逆効率に比して低い減速機を用いることとしたものである。スタビライザアクチュエータFT及びRTを構成する軸受等には摩擦が存在し、また電気モータMにはコギングトルクがあり、ロータROも慣性質量を有するため、これらによってスタビライザバーを拘束する力を発生させることになる。
而して、第6の態様に関し、例えば図3のスタビライザアクチュエータFTの構成において、装置に故障が生じ、スタビライザバーSBfr及びSBflが減速機RDを介してモータMのロータROを回転させようとする場合には、電気モータMのロータROと減速機RDとの間の軸受けの摩擦、電気モータMのコギングトルク、ロータROの慣性質量によりスタビライザバーSBfr及びSBfl間に拘束力が発生する。これらによって発生する前輪側のスタビライザバーSBfr及びSBfl間の拘束力は、減速機RDの逆効率が低くなるほど大きくなる。そのため、前輪側のスタビライザアクチュエータFTを構成する減速機RDfの逆効率を、後輪側の減速機RDrの逆効率より低く設定することにより、車両はアンダステア特性を維持し、車体ロール角の増大も抑制することができる。このように、第6の態様では、前述の拘束手段は備えていないが、前輪側および後輪側共に、モータ端子間の短絡リレーRLYを具備する構成とすることもできる。
更に、表1の第7乃至第9の態様は、前輪側のスタビライザアクチュエータFT及び後輪側のスタビライザアクチュエータRTの両者に、図11及び図12に示す電気モータ端子間の短絡リレーRLYを備えた構成であり、以下、順次説明する。先ず、第7の態様では、図12に示すモータ端子間を短絡する回路の抵抗値R1’、R2’及びR3’に関し、前輪側より後輪側の方が高い値に設定されている。而して、モータ端子間を短絡させることにより、逆起電力が生じ、それによって発生する逆起電流に応じて一対のスタビライザバー間の拘束力が発生する。短絡回路を構成する抵抗値は小さいほど、その逆起電流は大きくなり、一対のスタビライザバー間の拘束力は大きくなる。従って、前輪側のモータ端子間短絡回路の抵抗値を後輪側に対して小さく設定することにより、装置が故障したときには、前輪側の一対のスタビライザバー間の拘束力が、後輪側の一対のスタビライザバー間の拘束力より大きくなるため、車両をアンダステア特性に維持し、車体ロールの増大を抑制することが可能となる。例えば、図16に示すように、短絡リレーRLYがスタビライザアクチュエータFT内に内蔵される構成を前輪側のみとすれば、確実に前輪側の短絡回路の抵抗値を後輪側に比較して相対的に小さく設定することができ、電源失陥時あるいは装置故障時に好適な車両ステア特性を維持することができる。尚、図12においては、短絡回路内に抵抗を備える構成としているが、ここで問題としているのは短絡回路の抵抗値であるため、短絡リレー、配線等が抵抗値を有するときには、図12に示す抵抗は必ずしも必要とはしない。
また、表1に示す第8の態様は、前述のようにモータ端子間の短絡回路を形成する短絡リレーRLYを、断続制御(ON/OFF)することによって短絡時間を制御することとしたものである。即ち、所定時間内における短絡時間について、前輪側の短絡時間が後輪側の短絡時間に比べて長くなるように、短絡リレーRLYの駆動が制御される。この結果、前輪側の一対のスタビライザバー間の拘束力が後輪側の一対のスタビライザバー間の拘束力に比して大きくなるため、車両をアンダステア特性に維持し、車体ロールの増大を抑制することが可能となる。
更に、第9の態様では、前述の短絡回路が形成されるモータ端子間の相数において、前輪側の短絡される相間の数(短絡相数)が後輪側の短絡相数より多くなるように構成されている。例えば、電気モータMとして3相モータが用いられた場合において、例えば装置が故障したときには、前輪側では3相間全ての短絡回路が形成され(このため、前輪側では少なくとも2つの短絡リレーが必要)、後輪側では2相間のみが短絡状態とされる(後輪側では1つの短絡リレー)。この結果、前輪側の一対のスタビライザバー間の拘束力が、後輪側の一対のスタビライザバー間の拘束力に比して大きくなるため、車両をアンダステア特性に維持し、車体ロールの増大を抑制することが可能となる。
そして、表1に示す第10の態様は、前輪側のスタビライザアクチュエータFT及び後輪側のスタビライザアクチュエータRTの両者に、図13に示すクラッチ機構CLによるロック手段を設けたもので、後輪側のクラッチ機構CLのロック開放トルクが前輪側のクラッチ機構CLのロック開放トルクより低く設定されている。換言すると、表1の第10の態様に記載のように、前輪側のクラッチ機構CLのロック開放トルクの方が後輪側より大きいので、開放状態とされにくい。即ち、車両ステア特性が問題となるのは旋回程度が大きくなった場合であるので、車両前後に配設された前述のクラッチ機構CLのロック開放トルクを適切に設定することにより、ある程度大きい旋回に達した際に、後輪側のクラッチ機構CLを開放状態とし前輪側のクラッチ機構CLをロック状態とすればよい。これにより、車両をアンダステア特性に維持し、車体ロールの増大を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係るスタビライザ制御装置を備えた車両の概要を示す構成図である。 本発明の一実施形態におけるスタビライザ制御ユニットの一例を示す構成図である。 本発明の一実施形態における前輪側スタビライザの具体的構成例を示す構成図である。 本発明の一実施形態におけるアクティブロール抑制制御の概略を示す制御ブロック図である。 図4のアクティブロール抑制制御の一態様の制御ブロック図である。 本発明の一実施形態における前輪ロール剛性比率の初期値設定用マップの一例を示すグラフである。 本発明の一実施形態におけるモータ制御の一態様の制御ブロック図である。 本発明の一実施形態における故障判定演算の一例を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態における故障判定演算の他の例を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態における故障判定演算の更に他の例を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態における拘束手段の一例を示す構成図である。 本発明の一実施形態における拘束手段の一例を構成するモータ駆動回路及び電気モータの回路図である。 本発明の一実施形態における拘束手段の他の例を示す構成図である。 本発明の一実施形態における拘束手段の更に他の例を示す構成図である。 図14に示す拘束手段におけるモータシャフト及びプランジャの係合状態を示す断面図である。 本発明の一実施形態における拘束手段の他の例を示す構成図である。
符号の説明
SBf 前輪側スタビライザ
SBfr,SBfl 前輪側スタビライザバー
SBr 後輪側スタビライザ
FT,RT スタビライザアクチュエータ
SW ステアリングホイール
SA 操舵角センサ
WHfr, WHfl, WHrr, WHrl 車輪
WSfr,WSfl,WSrr,WSrl 車輪速度センサ
YR ヨーレイトセンサ
XG 前後加速度センサ
YG 横加速度センサ
ECU 電子制御装置
PW 電源
FD,M18 故障判定手段
HD,M19 拘束手段

Claims (8)

  1. 車両前後の左右車輪間に配設される一対のスタビライザバーと、前記車両の電源によって駆動する電気モータを有し、前記車両の前輪側の一対のスタビライザバー間及び後輪側の一対のスタビライザバー間の各々に配設されるアクチュエータを具備したスタビライザと、前記車両の旋回状態に応じて前記アクチュエータを制御する制御手段とを備えたスタビライザ制御装置において、前記前輪側の一対のスタビライザバー間及び前記後輪側の一対のスタビライザバー間の各々の相対変位を拘束する拘束手段を備え、少なくとも前記電源の失陥時に、前記拘束手段によって前記前輪側の一対のスタビライザバー間に付与する拘束力を、前記拘束手段によって前記後輪側の一対のスタビライザバー間に付与する拘束力に対し、相対的に大きくなるように構成することを特徴とするスタビライザ制御装置。
  2. 前記スタビライザ制御装置の故障状態を判定する故障判定手段を具備し、該故障判定手段にて前記スタビライザ制御装置が故障と判定されたときには、前記拘束手段によって前記前輪側の一対のスタビライザバー間に付与する拘束力を、前記拘束手段によって前記後輪側の一対のスタビライザバー間に付与する拘束力に対し、相対的に大きくなるように構成することを特徴とする請求項1記載のスタビライザ制御装置。
  3. 前記拘束手段は、前記アクチュエータの各々における前記電気モータの端子間を短絡させる端子間短絡手段を具備し、該端子間短絡手段による端子間の短絡の結果形成される短絡回路の抵抗値について、前記車両の前輪側のアクチュエータにおける前輪側抵抗値を、前記車両の後輪側のアクチュエータにおける後輪側抵抗値に対し、相対的に小さくなるように設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のスタビライザ制御装置。
  4. 前記アクチュエータの各々は、前記電気モータのコイルと並列に配置する少なくとも一つのモータリレーを夫々具備し、前記モータリレーのうちの少なくとも一つを短絡させて、前記前輪側の一対のスタビライザバー間に付与する拘束力を、前記後輪側の一対のスタビライザバー間に付与する拘束力に対し、相対的に大きくなるように構成することを特徴とする請求項3記載のスタビライザ制御装置。
  5. 前記アクチュエータに具備されるモータリレーのうち、少なくとも前記前輪側のアクチュエータに具備されるモータリレーが、前記前輪側のアクチュエータ内に内蔵される構成としたことを特徴とする請求項4記載のスタビライザ制御装置。
  6. 前記拘束手段は、前記アクチュエータの各々における前記電気モータを機械的に拘束するロック手段を具備し、該ロック手段によって前記前輪側の一対のスタビライザバー間に付与する拘束力を、前記後輪側の一対のスタビライザバー間に付与する拘束力に対し、相対的に大きくなるように構成することを特徴とする請求項1又は2に記載のスタビライザ制御装置。
  7. 前記アクチュエータの各々は、前記電気モータに連結され、前記電気モータの出力回転速度を減速する減速機を夫々具備し、前記拘束手段は、前記前輪側の一対のスタビライザバー間に介装する減速機を自己拘束型の減速機としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のスタビライザ制御装置。
  8. 前記モータリレーが、非通電時に短絡回路を形成するノーマルクローズ型のリレーであることを特徴とする請求項4記載のスタビライザ制御装置。
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