JP4289734B2 - 歯牙擦掃用清拭材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯磨剤や歯刷子あるいは水等を必要とせず、歯牙表面を擦掃及び清拭するだけで、該歯牙表面に付着する歯垢や食物残渣、たばこや飲食物に起因する外因性のステイン等を簡便かつ短時間に除去することができる歯牙擦掃用清拭材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
口腔内の汚れや着色物質等を除去するための方法として、従来より一般に、研磨剤を含有する歯磨材と歯刷子の併用による物理的研磨、刷掃(ブラッシング)等が行われていた。
【0003】
しかしながら、歯磨剤と歯刷子を用いてブラッシングする方法は、時間がかかる上、使用者のブラッシング技術の差によって清掃効果に優劣が生じ易く、しかも、歯牙表面に沈着した着色物質(たばこや飲食物等に起因する外因性のステイン)を完全には除去し難いという問題があった。更に、歯磨後には洗口する必要があるため、水や洗面台が必要であるという煩雑さもあった。そのため、外出先や朝食時などであっても歯牙表面の汚れを短時間でより簡便に除去することができる方法の出現が望まれてきた。
【0004】
このような要求に応えるため、これまで、歯牙表面や口腔粘膜の汚れを短時間で簡便に除去するための清掃用具として、指にはめ込む方式の清掃具(特開昭61−240908号、特開平1−97405号、特公昭61−46146号公報)や、歯磨成分を含浸させた棒状の清掃具(特開平8−56966号、特開昭53−120956号公報)、あるいはシート、テープ状の清掃具(特開昭61−44807号、同52−87245号公報、特開平1−268624号、同2−124812号公報)、またはチューイング刷掃される歯磨材(特開平3−271216号公報)等が提案されている。
【0005】
しかし、これらの清掃用具は何れも、使用中又は保管中に研磨剤や保湿剤、粘稠剤等を基材に有効に保持させることができないという欠点があった。また、清掃用具を構成する繊維が太いために繊維集合体表面に存在する繊維本数が少なかったり、繊維間に形成される空隙が粗であることなどにより、物理的清掃力が不十分になり易く、このため、ペリクルやステインなどの強固な汚れを除去することは殆ど不可能に近かった。
【0006】
一方、口腔粘膜の汚れを拭き取るための拭き取り材として、特開平3−176046号公報には、断面が円形でない異形断面の極細繊維を使用した拭き取り材が開示されている。このような極細繊維を使用した拭き取り材は、組織が緻密で口腔粘膜に付着した汚れを拭き取る効果は勝れているが、この拭き取り材をそのまま歯牙表面の汚れの拭き取りに使用しても、同様の効果を得ることはできなかった。その理由は、口腔粘膜の汚れは一般に、舌苔と呼ばれる唾液由来のタンパク質や食物残渣、細菌等からなる凝集体であって、口臭の原因物質とされるものであるのに対し、歯牙表面に固着する汚れは、歯牙表層に特異的に形成されるペリクルと称されるタンパク質の薄い膜に茶渋やタバコヤニ等が沈着してできるステインと呼ばれる有色性の汚れが中心であって、両者の汚れの成分と形成のメカニズムとが異なるためであり、この結果、上記拭き取り材が口腔粘膜に付着した舌苔の除去に有効であっても、歯牙に付着したステインの除去に有効であるとは限らないからである。
【0007】
また、物理的清掃以外の方法でステインを除去するため、クエン酸(特開昭63−297318号公報)、コハク酸(特開昭48−43869号公報)等の有機酸や、EDTA(特開昭51−130639号公報)、フィチン酸(特開昭56−18911号公報)等のキレート剤を歯面に付着させる方法が提案されているが、歯牙を溶解し損傷しない範囲で使用する場合、ステインを充分に除去することは難しい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、その技術的課題は、歯牙を擦掃及び清拭するだけで、歯牙表面に付着したステインを中心とする汚れを簡単且つ短時間に除去することができ、しかも使用感と簡便性に優れた歯牙擦掃用清拭材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、異形断面の極細繊維を含む特定構造の繊維集合体で歯牙清拭材を形成した場合に、歯牙に付着するステインの除去に極めて有効であることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0010】
即ち、本発明は、シャープエッジを有し、単繊維繊度が0.0001〜1.0デニールである極細繊維(以下、「異形断面極細繊維」と略記する)を少なくとも一部に含み、坪量が20〜300g/m2 で引張強度が1〜30kg/幅2cmである繊維集合体により形成され、上記異形断面極細繊維がポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアクリル、ポリ塩化ビニル、エチレンビニルアルコール共重合体の一種または2種以上を含むことを特徴とするものである。
【0011】
上記構成を有する歯牙擦掃用清拭材は、異形断面極細繊維が有効に機能し、歯牙表面に付着したステインを確実に除去することができる。しかも、坪量を20〜300g/m2 とすることにより、研磨剤や保湿剤、粘稠剤等を含む液状組成物を保持させた場合の保持性能に勝れるだけでなく、使用時の口腔内粘膜への当りも良好で、使用性にも勝れる。
【0013】
本発明においては、上記繊維集合体に含まれる極細繊維の割合は10〜100重量%とすることが好ましく、特に好ましくは30〜80重量%である。
本発明においてはまた、上記繊維集合体が一部に親水性繊維を含んでいても良い。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の歯牙擦掃用清拭材につき更に詳しく説明するに、この歯牙擦掃用清拭材は、シャープエッジを有する異形断面極細繊維を少なくとも一部に含む坪量が20〜300g/m2 の繊維集合体により、シート状やスティック状など、手に持って歯牙を清掃するのに適した形状に形成されている。
【0015】
上記極細繊維は、その断面形状を円形以外の異形形状とすることにより、稜線部分に上記シャープエッジを形成したものである。この場合の断面形状は、少なくとも一部のシャープエッジが鋭角をなす扁平三角形状やそれに類似する形状が好ましいが、このような形状に限定されるものではなく、矩形やひし形、あるいは不定形など、シャープエッジを有するものであればどのような形状であっても良い。
【0016】
また、上記異形断面極細繊維の単繊維繊度は、0.0001〜1.0d(デニール)が好ましく、より好ましくは0.1〜0.5dである。単繊維繊度が0.0001d未満である時は十分な擦掃効果が認められない場合があり、1.0dを越えると使用感に悪影響を与える場合がある。
【0017】
上記異形断面極細繊維の素材は、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアクリル、ポリ塩化ビニル等が好ましく、特に好ましくはポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、エチレンビニルアルコール共重合体である。
異形断面極細繊維は、例えば材質の異なる2種以上の樹脂を一本の繊維として紡糸した後、それを高圧水流で強制的に分割することにより製造することができるが、この方法に限定されるものではない。
【0018】
更に、上記繊維集合体の坪量は、20〜300g/m2 の範囲にあることが好ましいが、より好ましくは40〜200g/m2 の範囲である。坪量が20g/m2 未満では、使用時に手が汚れ易くなったり、シートが変形して汚れ除去効果が低下する。一方、坪量が300g/m2 を超えると、加工性が悪化したり、使用時の口腔内粘膜への刺激が大きくなり、使用性が悪くなる。
【0019】
上記繊維集合体の厚さに特に制限はないが、擦掃用清拭材の使用感から一般的には100〜4000μm程度が好ましい。また、該繊維集合体の引張強度は1〜30kg/幅2cmが好ましく、特に好ましくは2〜20kg/幅2cmである。引張強度が1kg/幅2cmに満たないと使用中に破れ易くなり、30kg/幅2cmより強くなると、繊維集合体が固くなって使用感が悪くなる場合がある。
なお、上記引張強度は、東洋ボードウィン社のテンシロンメーターUTM−II−20を使用し、幅2cm、長さ14cmの試料片を掴み間隔10cm、引張速度40cm/分の条件で試験したときの破断する最大荷重を測定した。
【0020】
上記繊維集合体には、必要に応じて表面に多皺化加工、穴あき加工、エンボス加工等の外観処理加工を施すことができる。
【0021】
上記繊維集合体にはまた、必要に応じて親水性繊維を混合することができる。このように親水性繊維を混合することにより、擦掃清拭材の吸水力及び保水力が向上すると共に、液状組成物含浸後のドレープ性が向上し、口腔内での操作性が良くなる。
【0022】
上記親水性繊維として特に制限はないが、綿、麻、絹、羊毛、パルプ等の天然繊維、ビスコースレーヨン、キュプラ等の再生繊維、アセテート、ポリビニルアルコール等の合成繊維を単独あるいは2種以上を使用することができる。これらのうち綿、パルプ、ビスコースレーヨンが好ましく、特に好ましくはビスコースレーヨンである。
【0023】
繊維集合体中に含まれる親水性繊維の割合は、異形断面極細繊維/親水性繊維=10/90〜90/10(重量%、以下同じ)が好ましく、特に好ましくは30/70〜70/30である。親水性繊維の配合割合が90重量%を超えると、異形断面極細繊維のエッジ機能が低下し、十分な清掃効果を発揮し得なくなる場合がある。
【0024】
上記繊維集合体を、例えばシャープエッジを有する極細繊維としてポリエステル製及びナイロン製の異形断面極細繊維を使用し、親水性繊維としてビスコースレーヨンを使用して製造する場合は、所定の割合で配合したこれらの繊維を、高圧水流によるスパンレース法により交絡させて複合化させることにより得ることができるが、この方法に限定されるものではない。
【0025】
上記の如く構成された歯牙擦掃用清拭材は、異形断面極細繊維の持つエッジ効果により高い汚れ除去機能を発揮し得るものであり、この効果を損なわない範囲で液状組成物を含浸或は付着させて使用することができる。この液状組成物には目的に応じて種々の成分を添加することができ、例えば、研磨剤、粘調剤、保湿剤、界面活性剤、防腐剤、香料、着色剤、各種薬用成分等を使用することができる。しかも、上記液状組成物が一度の使用で全て滲出することがなく、適量ずつ徐々に滲出するため、繰り返し擦掃することが可能である。更に、使用時に余分な成分が滲出することがないため、手指に製剤汚れが着きにくい点というでも有利なものである。
【0026】
上記擦掃清拭材に保持させる液状組成物に配合する界面活性剤成分としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤及び両性イオン界面活性剤を用いることができる。
【0027】
上記アニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル酸硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸ナトリウム、N−ラウロイルザルコシンナトリウム、N−ミリストイルザルコシンナトリウムなどのN−アシルザルコシンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウムなどのN−アシルグルタミン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム等が用いられる。
【0028】
また、上記ノニオン界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステルなどの糖脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル、ラクチトール脂肪酸エステルなどの糖アルコール脂肪酸エステル、ポリオキエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ラウリン酸モノ又はジエタノールアミド、ミリスチン酸モノ又はジエタノールアミドなどの脂肪酸エタノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステル等が好適に用いられる。
【0029】
更に両性イオン界面活性剤としては、N−ラウリルジアミノエチルグリシン、N−ミリスチルジアミノエチルグリシンなどのN−アルキルジアミノエチルグリシン、N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリンベタインナトリウムなどが好適に使用される。
【0030】
上記擦掃清拭材に使用する液状組成物中の研磨剤の成分としては、第2リン酸カルシウム・2水和物及び無水物、第1リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、第3リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベントナイト、ケイ酸ジルコニウム、ポリメタクリル酸メチル、その他の合成樹脂等の1種又は2種以上を配合し得る。一般的に用い得る研磨剤の粒径は、約1〜20μmである。
【0031】
また、上記液状組成物中には、水不溶性複合シートへの定着性を高めたり、歯牙表面への滞留性を高めるため、粘結剤成分として、例えば、カラゲナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、キサンタンガム、トラガントガム、アラビアガムなどのガム類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドンなどの合成粘結剤、シリカゲル、アルミニウムシリカゲル、ビーガム、ラポナイトなどの無機粘結剤等の1種又は2種以上を配合し得る。
【0032】
更に、粘稠剤成分として、ソルビット、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリトール、マルチロール、ラクチトール等の1種又は2種以上を配合し得る。
【0033】
また、上記液状組成物における香料成分としては、メントール、アネトール、カルボン、オイゲノール、リモネン、n−デシルアルコール、シトロネロール、α−テルピネオール、シトロネリルアセテート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、ピメント油、桂葉油、シソ油、冬緑油、丁字油、ユーカリ油等の香料を単独で又は組み合わせて配合し得るほか、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、ソーマチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル、P−メトキシシンナミックアルデヒドなどの甘味剤を配合し得る。
【0034】
さらに、上記液状組成物には薬用成分として、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、アミラーゼ、プロテアーゼ、溶菌酵素、スーパーオキサイドディスムターゼなどの酵素、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウムなどのアルカリ金属モノフルオロフスフェートやフッ化ナトリウム、フッ化第一錫などのフッ化物、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイン、ジヒドロコレスタノール、グリチルリチン酸類、グリチルレチン酸、ビサボロール、イソプロピルメチルフェノール、グリセロフォスフェート、クロロフィル、グルコン酸銅、塩化ナトリウム、水溶性無菌リン酸化合物、トリクロサン、セチルピリジニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼントニウム等の有効成分の1種又は2種以上を配合し得る。
【0035】
本発明では、上記水不溶性の複合シートである繊維集合体に液状組成物を含浸又は付着させる方法に特に制限はなく、水不溶性複合シートの一部又は全部に液状組成物を含浸させたり、噴霧するなどの方法で行うことができる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例と比較例とを示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、各例における%は何れも重量%である。
【0037】
[実験例1]
ポリプロピレンとエチレンビニルアルコール共重合体の溶融ポリマーを同一の紡糸口に均一に供給して紡糸することにより、複合繊維を製造した。それとは別に、ポリプロピレンを溶融紡糸することにより円形断面を有するポリプロピレン単一繊維を製造した。これら2種の繊維を表1に示す割合で混合した後、ウエブを形成した。このウエブに高圧水流を当てることにより、複合繊維を分割して異形断面極細繊維を形成させながら、不織布を製造した。この不織布シート(大きさ15×15cm)を水に浸し絞ったものを試料とし、以下に示す方法により歯垢除去試験及びステイン除去試験を行った。比較例として、ポリプロピレン単一繊維より製造した不織布、市販のナイロン(登録商標)布及び綿布についても同様の試験を行った。結果を表1に示した。
【0038】
歯垢除去試験法
歯垢清掃を48時間行っていない状態の上下顎前歯部を、繊維集合体試料で各20回ずつ払拭した。払拭前後の歯垢付着状況を目視観察することにより、除去効果を以下の4段階で評価した。
◎: 著しい歯垢除去効果が認められる
○: 歯垢除去効果が認められる
△: 弱い歯垢除去効果が認められる
×: 殆ど歯垢除去効果が認められない
【0039】
ステイン除去試験法
歯垢清掃後、所定本数の煙草を喫煙した状態の上下顎前歯部を、繊維集合体試料で各20回ずつ払拭した。払拭前後のタバコヤニステインの付着状況を目視観察し、除去効果を以下の4段階で評価した。
◎: 著しい除去効果が認められる
○: 除去効果が認められる
△: 弱い除去効果が認められる
×: 殆ど除去効果が認められない
【0040】
【表1】
【0041】
表1に示す如く、異形断面極細繊維を含む不織布は、歯垢除去力、ステイン除去力とも優れることが明らかである。
【0042】
[実験例2]
表2に示す種々の樹脂を原料として溶融紡糸により複合繊維を製造した。この複合繊維とポリプロピレン単一繊維を表2に示す割合で混合した後、ウエブを形成した。このウエブに高圧水流を当てることにより、複合繊維を分割して異形断面極細繊維を形成させながら、不織布を製造した。この不織布シート(大きさ15×15cm)を水に浸し絞ったものを試料とし、実験例1と同様の方法により歯垢除去試験及びステイン除去試験を行った。結果を表2に示した。
【0043】
【表2】
【0044】
表2に示す如く、異形断面極細繊維の繊度が1.0デニール以下であるとき優れた歯垢除去力及びステイン除去力を示すことが明らかとなった。
【0045】
[実験例3]
実験例1で製造したポリプロピレン/エチレンビニルアルコール共重合体複合繊維と表3に示す親水性繊維とを混合した後、ウエブを形成した。このウエブに高圧水流を当てることにより、複合繊維を分割して異形断面極細繊維を形成させながら、不織布を製造した。この不織布シート(大きさ15×15cm)を試料とし、実験例1と同様の方法により歯垢除去試験及びステイン除去試験を行った。更に、以下に示す方法により不織布の保水力試験を行った。結果を表3に示した。
【0046】
【表3】
【0047】
保水力試験法
試料片に布重量の4倍量の水を含浸させた後静かに引き上げ、水を30秒間自然滴下させ、布が水を保持しているレベルを目視観察することにより以下の4段階で評価した。
◎: 十分に吸水し、かつ殆ど水の放出がなく、水量を保持している
○: かなり水を保持している
△: やや水を保持している
×: 全く水を吸収しないか、または吸収した水の放出が著しく、全く水を保持していない
【0048】
表3に示す如くビスコースレーヨン、綿、パルプ等の親水性繊維を混合した不織布は、優れた歯垢除去力、ステイン除去力を示すと共に、高い保水力を保ち、使用感も良好であることが明らかとなった。
Claims (3)
- シャープエッジを有し、単繊維繊度が0.0001〜1.0デニールである極細繊維を少なくとも一部に含み、坪量が20〜300g/m2 で引張強度が1〜30kg/幅2cmである繊維集合体により形成され、
上記極細繊維がポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアクリル、ポリ塩化ビニル、エチレンビニルアルコール共重合体の一種または2種以上を含む、
ことを特徴とする歯牙擦掃用清拭材。 - 上記繊維集合体に含まれる極細繊維の割合が10〜100重量%であることを特徴とする請求項1に記載の歯牙擦掃用清拭材。
- 親水性繊維を上記繊維集合体の一部に含むことを特徴とする請求項1または2に記載の歯牙擦掃用清拭材。
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