JP4287005B2 - カード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多量の情報を印字して使用し、しかも偽造を困難としたカードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、銀行カードやクレジットカードを始めとして、多くのカードが普及している。銀行カードやクレジットカードの基材は、代表的には、内側にコアシートと呼ばれる2枚の白色の厚いプラスチックシートを、外側の表裏に1枚ずつのオーバーシートと呼ばれる2枚の透明のプラスチックシートを配置し、合計4枚のプラスチックシートを互いに熱融着したものである。
【0003】
銀行カードやクレジットカードは、通常、一方のオーバーシートに磁気記録層が積層されており、この磁気記録層に情報が記録されている他、カードの厚み全体に、エンボス加工による浮き出し文字によって、個々のカードに固有な番号、カード保持者の氏名、カードの有効期限等が目に見えるように形成されており、また裏面には、通常、カード保持者自身が署名をするための筆記性層が形成されている。
【0004】
銀行カードやクレジットカードは、磁気記録層に記録された情報を読取れば、必要かつ充分な情報がもたらされるものであるが、磁気記録層に磁気的に記録された情報は目には見えない事、および書込み、読み出しについても、ある程度の専門的知識を要する事が、不正な意図でのカードの偽造・改ざん等の歯止めとなっている。
【0005】
しかし、カードに属するものの中には、磁気記録層等の目に見えない記録を行なうよりも、目で見える情報が主体のものも多い。
代表的な例が、自動車の運転免許証等、各種の免許証を携帯可能なカードサイズとしたものであり、必要な枠や項目等の共通な部分以外に、顔写真、住所、氏名、生年月日等の個人に特有な情報に加え、免許の内容、種別、期限等の、発行毎に異なる情報が多量に印字されていることが多い。
【0006】
従って、印字された情報は、いずれも目に見えるものであるので、不正な意図を持って、カラー電子複写機や、パソコンにつないだカラープリンター等を用いて、複写したり、一部を改変する等は、磁気記録層を利用する銀行カードやクレジットカードの偽造・改ざんよりも容易と言わざるを得ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、従来のカードのうち、情報が比較的多量に印字されるタイプのカードにおいて、製造が比較的容易でありながら、不正な意図での偽造・改ざんを防止でき、目で見たときにも判別がしやすく、しかも、印字された情報を見えにくくすることのない、改良されたカードを提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決する手段】
上記の課題は、カード基材上に光輝性層を積層した上をパターン状に隠蔽して光輝性パターンを形成し、その上に印字可能な透明層を形成することにより、解決することができた。
【0009】
第1の発明は、カード基材上に、透明樹脂中に光輝性顔料が分散された光輝性層が積層されており、前記光輝性層上には、透明樹脂中に隠蔽性顔料を含有し、下層を隠蔽する画線部と非画線部とからなる隠蔽性パターン層が積層されており、さらに、前記隠蔽性パターン層上および前記非画線部における前記光輝性層上には、染料受容性透明樹脂を主体とし、移行してくる染料を受容可能な染料受容層が積層されていることを特徴とするカードに関するものである。
第2の発明は、第1の発明において、前記染料受容層には、染料からなる画像が形成されていることを特徴とするカードに関するものである。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記光輝性顔料が金属の粉末もしくは薄片、合金の粉末もしくは薄片、金属蒸着フィルムの微細断裁片、パール顔料、または光干渉性フィルムの断裁片のいずれか1種または2種以上であることを特徴とするカードに関するものである。
第4の発明は、第1〜第3いずれかの発明において、前記カード基材上の前記光輝性層が積層されていない部分、もしくは前記光輝性層が積層されていて、前記隠蔽性パターンが積層されていない部分に、筆記性層が積層されていることを特徴とするカードに関するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、本発明のカード1は、カード基材2の表側の面に所定の欄、および項目名等の印刷3aが施されており、必要に応じて写真を貼るための枠4a内に顔写真4bが形成されており、図2に示すように、同じカード基材2の裏側の面に、別の所定の欄および文字の印刷3bが施されたものである。
なお、本発明のおいては、銀行カードやクレジットカードの大きさ程度のものを想定して説明する場合が多いが、これに限定されず、携帯できる範囲であれば銀行カードやクレジットカードの大きさより大きくてもよいし、あるいは小さくてもよい。
【0011】
図1および図2は、運転免許証を想定したので、運転免許証用の欄、項目名、写真等を例示したが、このほかの免許証、許可証、証明書等の場合であれば、それぞれに特有な欄や項目としてよく、写真が必要な場合もあり、不要な場合もある。
上記の印刷3a、3bは、カード保持者によって異なることのない「固定情報」と、氏名、生年月日、本籍、もしくは住所等の、カード保持者毎に定まる「可変情報」とからなっている。
【0012】
図3、および図4は、上記のカード1の積層構造を模式的に示す断面図である。
図3において、カード1は、カード基材2上に、光輝性顔料が分散された光輝性層6が積層されており、その上に、隠蔽性顔料を含有する画線部と画線部以外の非画線部とからなる隠蔽性パターン7が積層され、最上層に染料受容層が積層されている。
光輝性層6はカード基材2上の全面にではなく、一部に形成されていてもよい。
また、形成の都合上、カード基材の周囲に余白を残して形成されていてもよい。
隠蔽性パターン層7は、光輝性層6をパターン化して見せるためのものなので、光輝性層7上にのみあればよく、また、隠蔽性パターン層7は、光輝性層6上の全面にあっても、一部の上にのみあってもよい。なお、いずれにおいても、光輝性層6のない部分のカード基材2に隠蔽性パターン層7があってよい。
【0013】
隠蔽性パターン層7は、図5に示す例のように、パターン(ここでは、両端が丸みを帯びた棒状のパターン)を仮にポジパターンとするときの、そのポジパターンおよび対応するネガパターンからなるもので、隠蔽性層からなるネガパターンが下層の光輝性層を覆っており、非画線部であるポジパターンの形状の孔から、下層の光輝性層が見えるよう構成され、結果的に、あたかも光輝性層からなるポジパターンが形成されているように見える。
パターンの形状は、図示した以外に自由に選択してよく、模様や文字をデザインすればよい。また、大きさは任意であるが、カード上に形成される文字や顔写真に比べて、小さいパターンであることが好ましい。
【0014】
図3において符号5で表す部分は、染料からなる画像であって、この画像5は、下層に隠蔽性パターン層7の上記のネガパターンがある部分、あるいはない部分のいずれにも形成してあってよい。ここで、画像5は、顔写真等の写真や絵、文字等のプリントもしくは出力の対象となるものを総称する。
なお、画像3は、オフセット印刷等の通常の印刷手段によって施した枠や項目名、カードの名称、もしくは注意書き等であり、光輝性層6上に積層させて描いたが、隠蔽性パターン層7上に積層させてあってもよい。
【0015】
図4に示すカード1においては、カード基材が2枚のシート2a、および2bとからなっていて、それら2枚のシートの間を接着剤9を介して積層したものである。
シート2aから上の部分については、図3に示したものと同様である。
図4に示すカード1においては、カード基材2の、光輝性層6および隠蔽性パターン7が積層された面とは反対側の面(図4では下面)に別の受容層8bが積層されており、受容層8bの下面側には、画像5bが形成してあってもよい。
なお、なお、画像3bは、オフセット印刷等の通常の印刷手段によって施した枠や項目名、カードの名称、もしくは注意書き等であり、カード基材2bに積層させて描いたが、光輝性層や隠蔽性パターン層を伴なう場合にはそれらに積層させてあってもよい。
【0016】
具体的なカード基材2を構成するシートとしては、紙、プラスチックシート、金属箔もしくは金属板等、任意に選択可能で、また、これらを任意に2種以上組み合わせて使用することもできる。さらに、同種のシートどうし、もしくは異種のものを含む組み合わせにおいて、2枚以上のシートを積層して使用することができる。
【0017】
銀行カードもしくはクレジットカードにおいては、ポリ塩化ビニル樹脂シートを使用することが多いが、それ以外のプラスチックシートも使用でき、ポリ塩化ビニル樹脂の持つ特性よりも下回らないためには、ポリプロピレン樹脂、非結晶性環状オレフィン系共重合体、ABS、ポリエステル樹脂(=ポリエチレンテレフタレート樹脂)、非結晶性ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂もしくはポリイミド樹脂の単独もしくはこれらの樹脂どうし、あるいはこれらの樹脂とこれら以外の樹脂とのブレンド樹脂からなるシートを使用することが好ましい。
勿論、上記以外のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂も使用可能である。
上記プラスチックシートは、透明でもよいが、白色化して白色シートとして使用するのがよい。
【0018】
上記における非結晶性ポリエステル樹脂は、耐熱性を有するのみならず、エンボス加工にも適している点で、好ましい。非結晶性ポリエステル樹脂はより好ましくは、ガラス転移点が、35〜100℃、好ましくは50〜95℃、より好ましくは、65〜95℃であり、ジカルボン酸としてのテレフタル酸と、ジオール成分がエチレングリコール50〜99モル%、および1,4−シクロヘキサンジメタノール1〜50モル%であるものがよい。とくに、エチレングリコール60〜80モル%および1,4−シクロヘキサンジメタノール20〜40モル%のものがなおよい。
【0019】
具体的な非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂で市販品としては、イーストマンコダック社製の商品名;KODAR PETG6763(ジカルボン酸成分;テレフタル酸、ジオール成分;エチレングリコール70重量%、1,4−シクロヘキサンジメタノール30重量%)を利用することができる。
【0020】
非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂は、他の樹脂とブレンドしたものであってもよく、ブレンドする他の樹脂のうち、特に興味深いものとして、芳香族ポリカーボネートがある。芳香族ポリカーボネートとしては、特にビスフェノールAを主原料として製造されたポリカーボネート樹脂を使用することがガラス点移転が高く、耐熱性を向上させる点で好ましく、非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂と上記ポリカーボネート樹脂とは、各々の質量比で、非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂/上記ポリカーボネート樹脂=95/5〜5/95が好ましく、より好ましくは、80/20〜20/80である。
【0021】
上記の種々の樹脂をカード基材2とするときは、必要に応じて、二酸化チタンを始めとする隠蔽性の高い充填剤を配合して得たプラスチックシートを使用するのがよい。
このほか、添加剤としては、ハロゲン系化合物、リン化合物、もしくは無機系化合物等の難燃剤を配合することが好ましい。
【0022】
なお、本発明においては必ずしも必要ではないが、耐熱性が比較的高いプラスチックシート(A)と、耐熱性がそれよりも低いプラスチックシート(B)とを組み合わせるときは、耐熱性の高いプラスチックシート(A)を最も外側、即ち、表裏に両面に配置することが好ましく、耐熱性の低い方のプラスチックシートを内側、好ましくは中心に配置するとよい。
【0023】
従って、前記したように、耐熱性の高いプラスチックシートを「高」、耐熱性の低いプラスチックシートを「低」と表記すると、プラスチックカード2が2枚構成のときは、同じものどうしで構成し、3枚構成のときは、高/低/高、4枚構成のときは、高/低/低/高、5枚構成のときは、高/低/低/低/高、もしくは高/高/低/高/高のように構成するとよい。
【0024】
なお、カード基材2を2枚以上のプラスチックシートで構成するときは、各々のシートの延伸方向を揃えることが好ましく、図6に示すように、例えば、2枚のシート2a、および2bとで構成するときは、図6中では左右方向であるカードの長辺方向に、シート2aの延伸方向11、およびシート2bの延伸方向13を合わせるようにするとよく、あるいは、長辺方向とは直角の短辺方向に、各シート延伸方向12、および14を合わせるようにするとよい。
【0025】
カード基材2は、一般的なカードを作成する際にカード基材に設置する様々な情報記録手段を有していてもよい。例えば、磁気記録層やICモジュール、ホログラムや回折格子、レーザ光での記録可能な光記録層、等である。
また、カード1としては、これら情報記録手段を保護するための保護層を有していてもよい。
【0026】
光輝性層6は透明樹脂からなるバインダー樹脂中に、光輝性顔料が分散されたものである。
光輝性顔料としては、種々のタイプのものがあり、(1)アルミニウムもしくは銅等の金属の粉末もしくは薄片、(2)真鍮等の合金の粉末もしくは薄片、(3)金属蒸着フィルムの微細断裁片、(4)二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、三塩化ビスマス等の真珠光沢もしくは干渉光沢を有するパール顔料(例えば、メルク社製の登録商標Iriodinの各色)、(5)光の屈折率の異なる樹脂(例えば、ポリエステル樹脂とアクリル樹脂等)の層を二層以上、いずれも数μm以下程度に多層に積層し、光の干渉による虹彩色を生じさせた光干渉性フィルム(マール社製、マールフィルム)の断裁片等が使用できる。なお、パール顔料としては、真珠の粉末や貝殻の内壁の真珠光沢部分の粉末も使用できる。
【0027】
上記(1)〜(5)の光輝性顔料のうち、(1)、(2)のものは、金属光沢による光の反射が大きく、また、それぞれ特有の着色を伴なうため、その上に配置された画像の視認性を損なうので、その意味で、(3)、(4)、および(5)が好ましく、このうち、(3)は、(1)、(2)の金属や合金に比べれば、反射率が低いとは言え、金属光沢があるので、その上に配置された画像の視認性が低く、(4)および(5)が、その上に配置された画像の視認性の点で、より好ましい。
【0028】
上記の光輝性顔料は、透明樹脂からなる適宜なバインダ樹脂、溶剤もしくは希釈剤、必要に応じて配合する添加剤、例えば、沈降防止剤、界面活性剤、シランカップリング剤等と共に混練して、インキ組成物もしくは塗料組成物を調製し、得られた光輝性層形成用のインキ組成物もしくは塗料組成物を公知の印刷手段もしくは公知の塗付手段を利用し、カード基材2の表面に塗付、もしくは印刷し、乾燥等により固化して、光輝性層6とするのがよい。
従って、光輝性層6は本質的に、光輝性顔料が透明樹脂に分散されたものであるが、必要に応じて、着色用の顔料もしくは染料を配合したことにより着色されたものであってもよい。
【0029】
光輝性層6を構成するための透明樹脂としては、エチルセルロース、ニトロセルロース、エチルヒドロキシセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、もしくは酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン等のスチレン樹脂、あるいはスチレン共重合体樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、もしくはポリアクリル酸ブチル等のアクリル樹脂もしくはメタクリル樹脂の単独、あるいは共重合樹脂、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、もしくは重合ロジン等のロジンエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、クマロン樹脂、ビニルトルエン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、またはポリビニルブチラール樹脂等が使用できる。
【0030】
また、インキ組成物を用いて、光輝性層6をカード基材2上に形成するための印刷手段としては、平版オフセット印刷、凸版印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、もしくはフレキソ印刷が利用できるが、光輝性顔料の粒径が比較的大きく、しかも塗付量の多い方が下地を隠蔽し、光輝性を発揮できる観点から、グラビア印刷、もしくはシルクスクリーン印刷がより適している。ただし光輝性層6は一様に形成されるので、後記する隠蔽性パターン層7で光輝性層6をパターン化する必要がある。
なお、塗付量の多い印刷方式で光輝性層をパターン状に形成することも考えられるが、塗付量が多いと、光輝性層を形成したところと形成しないところの高低差が生じ、この上に通常の印刷を施したり、コーティングする際の支障となりやすい。
【0031】
さらに、塗料組成物を用いて、光輝性層6をカード基材2上に形成するための塗付手段としては、ロールコーティング、グラビアロールコーティング、ナイフコーティング、もしくはカーテンフローコーティング等が利用できる。
【0032】
なお、光輝性層6は、上記した以外に、印刷もしくは塗付により光輝性層6を転写シート上の転写性層とし、転写によって形成してもよい。あるいは、光輝性顔料を配合した樹脂組成物を溶融し、押出す等してシート化することによっても形成可能であり、このようにすれば、カード基材2を兼ねることが可能である。ただし、上記のように印刷手段もしくは塗付手段を用いると、汎用されているシート上に光輝性層6を形成でき、使用する光輝性顔料を少なくすることができる利点がある。また転写シートを用いると、必要のつど光輝性層6を形成するのに適している。
【0033】
隠蔽性パターン層7を形成する隠蔽性層は、透明樹脂中に隠蔽性顔料を含有するものである。隠蔽性顔料の代表的なものは、二酸化チタンであるが、インキ組成物や塗料組成物に通常使用する着色用顔料の多くは、隠蔽性を有している。
なお、通常、隠蔽性とは、例えば白色区域と黒色区域とが互いに接するように塗り分けたシートを下に敷いたときに、白色区域と黒色区域との境界が判別できない程度を指すことが多い。ただ、ここでは、隠蔽性パターン層7の下層となる光輝性層が見えない程度であればよく、光輝性層が淡色であるときは、隠蔽性パターン層7は、隠蔽性のある二酸化チタンを配合した白色層であればよく、あるいは、二酸化チタンに加えて染料もしくは顔料等の着色剤で着色した着色層であってもよい。
なお、二酸化チタンは非常に細かい粒子であるので、平版オフセット印刷のような、形成される被膜の薄い印刷方式でも隠蔽性を与えることができる。
【0034】
受容層8は、受容層8に画像を形成するときにもたらされる染料を受容する、具体的には染料が染着しやすい透明樹脂を主体としたものである。
染料が染着しやすい樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、エチレンもしくはプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、ハロゲン化樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、もしくはポリ塩化ビニリデン等、ビニル系樹脂、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエステル系樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート、もしくはポリブチレンテレフタレート等、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、もしくはセルロース誘導体等が挙げられ、これらのうちから、任意に選択して1種もしくは2種以上を使用することが出来る。
【0035】
上記の染料が染着しやすい樹脂は、適宜な添加剤と共に溶剤もしくは希釈剤で溶解もしくは分散して、受容層形成用組成物とし、得られた受容層形成用組成物を公知の印刷手段もしくは公知の塗付手段により、光輝性層6および隠蔽性パターン層7が形成された上に、受容層8を形成する。
受容層8の厚みとしては、1〜10μm程度であり、透明であるため、下層の隠蔽性パターン層7で輪郭が形成された光輝性層のパターンが透視できる。
【0036】
受容層8に添加される添加剤の重要なものは、離型剤であり、離型剤としては、リン酸エステル系可塑剤、フッ素化合物、もしくはシリコーンオイルを用いることができるが、この中でもシリコーンオイルが好ましい。
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンを始め、各種の変性シリコーン、例えば、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、もしくはウレタン変性シリコーンを用い、これらをブレンドしたり、各種の反応を用いて重合させて用いることもできる。離型剤の添加量は樹脂100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましい。
【0037】
受容層8に形成される画像5は、外部から移行してくる染料が染着して形成されたものである。
通常、画像5の形成は、昇華性染料もしくは熱移行性の染料をバインダ樹脂中に含む転写性層を有する転写シートを使用し、転写シートをその転写性層が受容層8に接するようにして重ね、重ねられた界面を加熱することにより、転写性層中の昇華性染料もしくは熱移行性の染料が受容層8中に移行して染着することのより行ない、ごく一般的には、昇華性染料を用いて構成された昇華転写シートを用い、転写シートの背面よりサーマルヘッドを用い、画像情報に応じた加熱を行なうことにより行なう。
【0038】
図4に示すように、カード1においては、カード基材2の、光輝性層6、隠蔽性パターン層7、および受容層8aが積層された面とは反対側の面(図4では下面)に別の受容層8bが積層されており、受容層8bの下面側には、画像5bが形成してあってもよい。
【0039】
下面の受容層8bを、上面の受容層8aと同じ素材を用いて構成する場合は、図示してないが、シート2b、受容層8bとシート2bとの間に、光輝性層6b、および隠蔽性パターン層7の2つの層を介在させてもよい。結局、図3に示すものを2枚準備し、一方のものを裏返した後、シート2どうしを接着剤を介する等して積層するとよい。
【0040】
下面の受容層8bを、上面の受容層8aとは別の素材を用いて構成することもできる。上面の受容層8aを昇華性染料等の染料の画像を受容しやすい受容層とし、下面の受容層8bを筆記性層とするやり方である。
筆記性層は、カードにおいて、カード保持者自身の署名を行なう等の手書きの必要な部分に設けるものであって、鉛筆、ボールペン、もしくは万年筆等によって記録が行なわれる。
【0041】
筆記性層8bは、透明樹脂中に筆記性付与の目的で体質顔料を添加したもので、体質顔料としては、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、等を添加することもできる。中でもシリカ、特にマイクロシリカと呼ばれる微粉シリカを使用すると、透明性が高く、筆記性層の存在が目立たないので好ましい。
【0042】
図4に示したカードの製造工程例は、概略、次の通りである。
まず、厚み250μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(以降において「白PET」と略称する。)の巻き取りを2個準備する。
一方の白PETの巻き取りを巻き出し、その片面に光輝性層形成用塗料組成物を用いてロールコーティングし、光輝性層/白PETの積層構造とする。
なお、記号「/」は以降も含めて、記号の前後のものが積層されていることを示すものとし、また、例えば、(イ)/(ロ)/(ハ)と表記した積層構造において、先頭の(イ)が最上層、最後の(ハ)が最下層であるとする。
得られた光輝性層/白PETの積層構造のものを枚葉印刷機(=分離された1枚ずつのシートを印刷する印刷機)にかけるため、所定のサイズ(例えば、330mm×600mmの長方形)に断裁する。
【0043】
光輝性層/白PETの光輝性層側に、二酸化チタンを含有する隠蔽性の白色インキを用い、図5中符号7で示す平面形状の隠蔽性パターン層を印刷し、同じ印刷機内で引続き、図1に示す3a、および4aの部分の印刷を施し、印刷/隠蔽性パターン層/光輝性層/白PETの積層構造とする。
この後、最上層に、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体を樹脂成分とする染料受容層をシルクスクリーン印刷にて形成し、染料受容層/印刷/隠蔽性パターン層/光輝性層/白PETの積層構造(A)とする。
【0044】
他方の白PETの巻き取りを巻き出し、その片面にポリエステル系樹脂溶液からなる接着剤溶液を塗布し、乾燥させた後、前記したのと同様なサイズに断裁する。断裁後、接着剤を塗布したのとは反対側の面に、図4に示す3bの印刷を施して、接着剤/白PET/印刷の積層構造(B)する。
【0045】
上記で得られた積層構造(A)と積層構造(B)の1枚ずつを、(A)の白PET側と(B)の接着剤側とが接するようにして、4隅をスポット溶接して仮貼りした後、熱プレスで本貼りを行ない、染料受容層/印刷/隠蔽性パターン層/光輝性層/白PET/接着剤/白PET/印刷の積層構造(C)とする。
【0046】
得られた積層(C)のものの最下層の印刷の下面に、マイクロシリカを含むポリエステル樹脂系インキ組成物を用いて、シルクスクリーン印刷により、筆記性層を形成した後、所定のカードサイズに打ち抜いて、カード形状とする。
【0047】
こうして得られたカード形状のものの表裏に、カード保持者となる人の顔写真をビデオカメラで取り込んだ画像の分色の階調に関する情報、および、表裏の各欄に相当する記入事項の文字情報からなる画像情報を、昇華転写シートとサーマルヘッドを備えた熱転写プリンターを用いてプリントし、免許証を作成することができる。
得られる免許証は受容層が透明であるため、下層の隠蔽性パターン層7で輪郭が形成された光輝性層6のパターンが透視でき、光輝性顔料を特にパール顔料や光干渉性フィルムの断裁片とすれば、プリントされた顔写真の画像や文字の視認性は充分確保でき、しかも、単にプリントしただけでは再現できない光輝性のパターンを下層に有しているものである。
【0048】
上記の製造工程は一例であり、加工の順序や接着剤を塗る面等の変更は自由にでき、また、巻き取り状態で加工し、プリントの直前の工程で打ち抜いたり、あるいは始めからカードサイズで加工する等の変更は必要に応じて自由に行なってよい。
【0049】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、染料受容層の下層に、染料受容層上から透視できる光輝性パターンを有しているので、偽造防止効果が高く、しかも光輝性パターンが光輝性層と隠蔽性パターン層とから形成されるので、あたかも薄い光輝性層でパターンを形成してあるように見える優れた外観のカードを提供できる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、染料からなる画像を備えたカードを提供できる。
請求項3の発明によれば、請求項1または2記載の発明の効果に加え、具体的な光輝性顔料を特定したので、これら顔料は入手しやすく、加工も容易であり、用途に応じた外観の設計の可能なカードを提供できる。
請求項4の発明によれば、請求項1〜3いずれかの発明の効果に加え、さらにカード保持者自身の署名や手書き事項の記入の容易なカードを提供出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】カードの上面図である。
【図2】カードの下面図である。
【図3】カードの断面図である。
【図4】2枚のシートを基材とするカードの断面図である。
【図5】隠蔽性パターンを示す平面図である。
【図6】基材の2枚のシートの延伸方向を説明する図である。
【符号の説明】
1 カード
2 カード基材
3 印刷
4 写真(4a;枠、4b;顔写真)
5 染料画像
6 光輝性層
7 隠蔽性パターン層
8 受容層
11、12、21、22 延伸方向
Claims (4)
- カード基材上に、透明樹脂中に光輝性顔料が分散された光輝性層が積層されており、前記光輝性層上には、透明樹脂中に隠蔽性顔料を含有し、下層を隠蔽する画線部と非画線部とからなる隠蔽性パターン層が積層されており、さらに、前記隠蔽性パターン層上および前記非画線部における前記光輝性層上には、染料受容性透明樹脂を主体とし、移行してくる染料を受容可能な染料受容層が積層されていることを特徴とするカード。
- 前記染料受容層には、染料からなる画像が形成されていることを特徴とする請求項1記載のカード。
- 前記光輝性顔料が金属の粉末もしくは薄片、合金の粉末もしくは薄片、金属蒸着フィルムの微細断裁片、パール顔料、または光干渉性フィルムの断裁片のいずれか1種または2種以上であることを特徴とする請求項1または2記載のカード。
- 前記カード基材上の前記光輝性層が積層されていない部分、もしくは前記光輝性層が積層されていて、前記隠蔽性パターンが積層されていない部分に、筆記性層が積層されていることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のカード。
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