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JP4274067B2 - 銅合金から不純物金属を除去する方法及びそれを利用したスラグフューミング方法 - Google Patents

銅合金から不純物金属を除去する方法及びそれを利用したスラグフューミング方法 Download PDF

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Description

本発明は、銅合金から不純物金属を除去する方法及びそれを利用したスラグフューミング方法に関し、さらに詳しくは、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出されるスラグを、銅融体と共存させてスラグフューミングして形成される鉄、鉛、ヒ素その他の不純物金属を含む銅合金を、該銅融体の銅源として再利用することによって銅源コストを低減するために、該銅合金から不純物金属を除去する方法に関する。
亜鉛及び/又は鉛製錬において、Imperial Smelting Processと呼ばれる亜鉛と鉛を同時に製錬する熔鉱炉法が広く用いられている。前記熔鉱炉で発生するスラグの処理方法としては、一般に、熔鉱炉の前床にスラグを導いて含銅粗鉛と炉鉄を粗分離した後、これを水砕しセメント原料用等の製品スラグとする方法が行われている。また、前記スラグは、一般に亜鉛含有量が高く、鉛とともに、スパイスの成分であるヒ素、アンチモンその他の金属を含むので、スラグ中の亜鉛、鉛、ヒ素、アンチモン等の金属をより低い水準にまで除去するために、前記粗分離後のスラグをスラグフューミングに付し、その後水砕して製品化する方法が行われている。
前記スラグフューミングとは、熔融状態のスラグを加熱還元することによって、スラグに含まれる亜鉛、鉛、ヒ素、アンチモン等の金属を揮発除去するものである。これによって、スラグから亜鉛と鉛を回収するとともに不純物金属を除去することができ、清浄化されたスラグが得られる。ここで、スラグフューミング処理は、ガス吹き込み用のランス、又は炉下部に羽口を備えた加熱炉を用いて、スラグを還元吹錬することで行われる。例えば、ガス吹き込み用のランスを備えたスラグフューミング炉の操業では、該炉内に装入した熔融状態のスラグにランスを浸漬してランス先端から重油、天然ガス、微粉炭等の炭素質燃料と空気を噴出させることにより還元吹錬を行って、スラグ中の金属を還元し揮発させる処理を行う。そして、処理後のスラグは炉下部から抜き出され、また、揮発された金属は炉頂部への移動の途中で空気を加えて酸化され、亜鉛と鉛を含むダストとして回収される。
しかしながら、一般のスラグフューミング処理では、回収の主目的元素である亜鉛と鉛とともに、低沸点で蒸気圧の高いヒ素、アンチモン等のV族元素も揮発するので、これらが回収した亜鉛と鉛ダスト中に濃縮する。これらV族元素を含むダストを、亜鉛と鉛を回収するために、前記熔鉱炉法の焼結工程に繰返した場合には、焼結工程でV族元素が揮発して排ガス処理系統への負荷を増加させるという問題があった。さらに、焼結塊として熔鉱炉内へ装入されると、V族元素が高融点金属化合物であるスパイスを生成させ熔鉱炉操業を困難にさせるという問題があった。
また、前記スラグフューミング処理の操業の変動により、鉛又はヒ素といった有害元素がスラグ中に残留した場合には、上記処理後のスラグの溶出試験において、土壌環境基準(環境庁告示第46号による溶出試験でのPb、As溶出量:各0.01mg/L以下)を満足することができないという問題がおこるので、安定的に土壌環境基準を満足する方法が望まれていた。
この対応策として、スラグの改質方法が提案されており、代表的なものとしては、熔鉱炉産出のスラグを前床に導いて含銅粗鉛と炉鉄を粗分離した後、電気炉で加熱して含銅粗鉛と炉鉄を沈降分離して、その後スラグフューミング炉で処理する2段処理(例えば、特許文献1参照。)が挙げられる。しかしながら、この方法では、スラグの亜鉛、鉛及びヒ素の含有量が低下し、かつスラグの土壌環境基準は満足されるが、ヒ素とアンチモンが亜鉛と鉛とともに揮発する点については根本的な解決策は得られないという問題があった。
この解決策として、本出願人は、先に、特願2004−10348号において、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出される、亜鉛と鉛とともに、ヒ素及びアンチモンを含有するスラグ融体と銅融体を共存させながら、該銅融体とスラグ中に含有されるヒ素及びアンチモンとを反応させてCu−Fe−Pb−As系銅合金均一融体を形成するスラグフューミング方法(以下、銅共存下スラグフューミング法と呼称する場合がある。)を提案した。この方法を用いれば、ヒ素及びアンチモン含有量が少ない亜鉛と鉛を含むダストを得るとともに、安定的に土壌環境基準を満足することができるスラグが得られ、かつ一段処理で低コストであることが開示されている。しかしながら、この方法では、銅融体として銅を大量に用いるとコストの上昇に繋がるので、銅源コストの低減が課題である。
特開平11−269567号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、銅共存下スラグフューミング法において、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出されるスラグを、銅融体と共存させてスラグフューミングして形成される鉄、鉛、ヒ素その他の不純物金属を含む銅合金を、該銅融体の銅源として再利用することによって銅源コストを低減するために、該銅合金から不純物金属を除去する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、銅共存下スラグフューミング法において形成される鉄、鉛、ヒ素その他の不純物金属を含む銅合金を銅源として再利用する方法について、鋭意研究を重ねた結果、フラックスを添加し、かつ酸化処理したところ、該銅合金から不純物金属が除去され、スラグフューミングに際して銅融体の銅源として再利用することができる銅合金が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出されるスラグを銅融体と共存させてスラグフューミングすることによって形成される、鉄、鉛、ヒ素その他の不純物金属を含む銅合金に、フラックスを添加し、次いで酸化処理することを特徴とする、銅合金から不純物金属を除去する方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記フラックスは、酸性酸化物又は塩基性酸化物であることを特徴とする銅合金から不純物金属を除去する方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、前記塩基性酸化物は、CaO及び/又はNaOであることを特徴とする銅合金から不純物金属を除去する方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3いずれかの発明の方法により不純物金属が除去された銅合金を、前記銅融体の銅源として再利用することを特徴とする、スラグフューミング方法が提供される。
本発明の銅合金から不純物金属を除去する方法及びそれを利用したスラグフューミング方法は、銅共存下スラグフューミング法において形成される鉄、鉛、ヒ素その他の不純物金属を含む銅合金から、該不純物金属を除去し、銅融体の銅源として再利用するのに好適な組成の銅合金を得ることができる方法であり、本発明の方法によれば、ヒ素及びアンチモン含有量が少ない亜鉛と鉛を含むダストと安定的に土壌環境基準を満足するスラグとを得ることができるとともに、スラグフューミングでの銅源コストを低減するのでその工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明の銅合金から不純物金属を除去する方法及びそれを利用したスラグフューミング方法を詳細に説明する。
本発明の銅合金から不純物金属を除去する方法及びそれを利用したスラグフューミング方法は、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出されるスラグを銅融体と共存させてスラグフューミングすることによって形成される、鉄、鉛、ヒ素その他の不純物金属を含む銅合金に、フラックスを添加し、次いで酸化処理することを特徴とするものであり、その方法により不純物金属が除去された銅合金を、前記銅融体の銅源として再利用することを特徴とするものである。
まず、本発明に用いる銅共存下スラグフューミング法により得られる銅合金の製造方法について説明する。
本発明に用いる銅合金は、銅共存下スラグフューミング法により得られる鉄及び鉛とともにヒ素、アンチモン、ビスマス等のV族元素を不純物金属として含むCu−Fe−Pb−As系の銅合金である。前記銅共存下スラグフューミング法は、例えば、以下のように行うことができる。
上記銅共存下スラグフューミング法では、スラグ融体と銅融体を共存させて還元吹錬に付し、所定温度に保持して該銅融体とスラグ中に含有されるヒ素及びアンチモンとを反応させて銅合金の均一融体を形成する。これによって、ヒ素及びアンチモン含有量が少ない亜鉛と鉛を含むダストと、安定的に土壌環境基準を満足するスラグとを得ることが達成できる。すなわち、ヒ素とアンチモンを、それらを安定的に含有する前記銅合金の均一融体中に分配させることで揮発を抑制して、ダストとスラグへのヒ素とアンチモンの分布を低減する。
上記銅共存下スラグフューミング法で用いるスラグとしては、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出される、亜鉛及び鉛とともにヒ素及びアンチモンを含有する還元性雰囲気で形成されたスラグを用いる。このスラグは、亜鉛及び/又は鉛製錬の原料とフラックスの調合によって、1200〜1350℃のスラグ温度で操業できるように調製された、比較的低融点のFeO−SiO−Al−CaO−ZnO−PbO系のスラグ組成のものである。
なお、上記スラグは、ヒ素とアンチモンをスパイス相としてスラグ中に混濁した状態で含む。すなわち、スパイスとはヒ素とアンチモンを含む高融点の金属間化合物であるが、例えば、Imperial Smelting Processと呼ばれる亜鉛と鉛を同時に製錬する熔鉱炉法においては、還元性雰囲気のスラグ中の局部的な強還元性によって生成された金属鉄と、ヒ素又はアンチモンが反応してスパイスを形成する。このスパイス中のヒ素とアンチモンは、著しく活量が低下しており、極めて安定化した状態にあることが知られている。そのため、ヒ素とアンチモンは、スラグ温度がそれらの金属の沸点以上である1200〜1350℃であるにもかかわらず、鉄スパイス相としてスラグ中に混濁した状態で存在する。
上記銅共存下スラグフューミング法で用いる銅融体の銅源としては、特に限定されるものではなく、還元吹錬に際して、還元性雰囲気下1200〜1500℃の温度で鉄と均一融体を形成することができる金属又は酸化物状態の銅含有物を用いるが、例えば、銅スクラップ、銅製錬工程から得られる粗銅(銅品位98〜99重量%)等の中間物を熔融して用いることが好ましい。
上記銅共存下スラグフューミング法の還元吹錬は、例えば、ガス吹き込み用のランスを備えたスラグフューミング炉を用いて、炉内に装入したスラグ融体と銅融体の混合物にランスを浸漬してランス先端から重油、天然ガス、微粉炭等と酸素含有ガスを噴出するガス吹錬を行い、これらを混合撹拌するとともに、融体内を還元性雰囲気として、亜鉛、鉛、ヒ素、アンチモン等を金属状態へ還元する。ここで、金属化された亜鉛の大部分と鉛の一部を揮発させてダストとして回収する。
一方、金属化されたヒ素とアンチモンは、蒸気圧が高いという性質の一方で鉄及び銅との親和力が強いという性質を有している。したがって、銅融体が共存するとヒ素とアンチモンは銅と反応する。この反応によって、ヒ素が銅中に溶融あるいは固溶すれば、銅中のヒ素の活量はヒ素濃度が低い場合には著しく小さいので、その蒸気圧は低くなり、ヒ素は揮発することなく銅合金を形成し前記銅合金の均一融体に含まれることになる。アンチモンに関しても、ヒ素と同様の挙動を示し、前記銅合金の均一融体に含有される。
上記還元吹錬の融体温度は、1200〜1500℃であり、1200〜1400℃が好ましい。すなわち、銅融体とスラグ中に含有されるヒ素、アンチモン等を含むスパイスとを反応させて銅合金の均一融体を形成するためには、上記温度範囲が適切である。融体温度が1200℃未満では、スラグの粘性が高すぎたり、あるいは固化するといった問題が生じる。一方、融体温度が1500℃を超えると、耐火物の損傷量が多くなり、あるいは必要とする熱エネルギーが大きくなるという問題が生ずる。
図1を用いて、前記銅合金の均一融体の生成について、より詳しく説明する。図1は、銅−鉄二元系状態図を示す。ここで、図1より、1350℃では、銅中に鉄が約15%まで熔融し、均一融体となることが分かる。例えば、鉄スパイスが金属状の銅と共存したときには、鉄スパイスは銅中に熔融し一部の鉛とともに銅主体のCu−Fe−Pb−As系の均一融体を生成することになる。また、高銅品位領域では、均一融体を形成する銅に対する鉄の溶解量は温度によって変化し、温度が高いほど溶解量は増加する。したがって、還元吹錬の融体温度は、高温で行うほど少ない銅量でもスパイスの吸収処理を効率的に行うことができるというメリットを有する。
上記銅共存下スラグフューミング法で処理スラグ量に対する銅の使用量は、特に限定されるものではなく、銅がスラグ中のスパイスと反応して1200〜1500℃の温度範囲においてCu−Fe−Pb−As系銅合金の均一融体を形成することができる条件が選ばれる。例えば、1200〜1500℃の温度範囲において均一融体中への鉄の溶解量は、その温度により銅に対して5〜50重量%に変化する。したがって、必要とされる銅量は、用いる温度とスラグに含有されるスパイス中の鉄量に応じて求められる。
ここで、銅の使用量はこの必要とされる銅量以上にすることが望ましい。具体的には、スラグに含まれるスパイス中の鉄量に応じて銅量を変化させるか、あるいは銅量を一定にして処理するスラグ量を変化させることによって、前記均一融体を安定的に形成することができる。また、前記均一融体の形成において、銅スパイス相の生成が懸念されるが、鉄の溶解量に基づいて選ばれるような過剰の銅量の添加条件では銅スパイス相の生成はおきないので、事実上は上記のように鉄の溶解量に基づいて調製される。
しかしながら、銅を大量に使用すると銅源コストの上昇につながるため、形成された前記銅合金(均一融体)を繰り返し使用して、使用銅量を最少にすることが望まれる。
一般に銅とスラグ中のスパイスとの反応はスラグ融体と銅融体の接触度合に依存するので、1バッチあたりのスラグ量に対する銅量が多いほど好ましい。したがって、1バッチあたりのスラグ量に対する銅量としては、上記の銅に対する鉄の溶解量から求められる1バッチあたりの銅量以上を用いて、銅に対する鉄の溶解量が銅合金の鉄品位で好ましくは5〜50重量%、より好ましくは5〜35重量%の濃度範囲で飽和に到るまで、前記銅合金を繰返し使用して複数バッチの新規スラグを処理する方法が好ましい。
この銅合金の繰返し使用の限界は、特に限定されるものではなく、ヒ素あるいは鉄が固溶しなくなる、あるいは均一融体を形成できなくなるまで行うことができる。この際、スラグ中のヒ素含有率は通常0.n重量%以下と低いので、事実上はヒ素量よりも鉄量が前記銅合金の繰返し使用を制限する大きな要因となる。しかし、鉛、砒素、アンチモンに関しても、銅合金中の含有量が過剰なるとこれら不純物金属の吸収能を低下させる原因となる。
本発明の不純物金属を除去する方法において、銅合金に、フラックスを添加し、かつ酸化処理して、鉄、鉛、ヒ素その他の不純物金属を除去することが重要である。これによって、銅融体の銅源として再利用することができる組成を有する銅合金を得ることができる。特に、所定の繰返し使用を行った後の銅合金の均一融体から不純物金属を除去する場合に有効である。
本発明において、銅合金の酸化処理において、酸素に対する親和力の違いによって、まず鉄が酸化しフラックスと反応してスラグ化して分離され、脱鉄された銅合金が生成される。さらに、酸化処理を進めることで、鉛、ヒ素及びアンチモンが除去分離された銅合金を得ることができる。なお、鉛、ヒ素及びアンチモンの除去はスラグ化とともに酸化性雰囲気下での揮発分離による効果も大きい。得られる銅合金はいずれもが銅融体の銅源として再利用することができる不純物金属含有量が低い組成の銅合金である。
上記酸化処理の方式は、特に限定されるものではなく、銅合金中の鉄、鉛、ヒ素及びアンチモンを優先的に酸化することができる方式を用いることができるが、銅合金に所定量のフラックスを添加して加熱熔融しながら、ランスあるいは羽口などを通じて、空気、酸素富化空気、純酸素などの酸素含有ガスを熔体中に吹き込む方式、あるいは吹き付ける方式が好ましい。
これらの操作を行う設備は、特に限定されるものではなく、スラグフューミング炉での還元吹錬の後にスラグを除去した後、該炉内で実施してもよく、該炉外に銅合金を抜き出して別の炉を用いて実施し、得られた銅合金をスラグフューミング炉内に繰返してもよい。
上記酸化処理の熔融温度は、特に限定されるものではなく、1150〜1500℃が好ましい。すなわち、熔融温度が1150℃未満では合金の融点に近く、粘性が低すぎて操業が著しく困難になる。一方、熔融温度が1500℃を超えると、エネルギーコストが上昇するばかりでなく、耐火物の損傷が大きくなり、炉修繕に要するコストと修繕に伴う炉の停止期間が増大する。
本発明に用いるフラックスとしては、特に限定されるものではなく、酸化して生成するFeOあるいはFeと流動性を有するスラグを形成することができる、SiO、P、B等の酸性酸化物、又はCaO、MgO、NaO等の塩基性酸化物を選ぶことができる。例えば、鉄のスラグ化には、酸性酸化物として、ファイアライト(2FeO・SiO)スラグを生成するSiOを含む珪石等、あるいは塩基性酸化物として、カルシウムフェライト(CaO−Fe)スラグを生成するCaOを含む石灰石等を用いることができる。また、スラグフューミングスラグ等各種スラグのように鉄の酸化物を溶融させる化合物も用いることができる。
上記フラックスの添加量は、特に限定されるものではなく、SiOの場合には、銅合金に対して、1〜20重量%が好ましく、CaOの場合には、銅合金に対して、1〜15重量%が好ましい。いずれの場合でも上記範囲より、少なすぎると効果が不十分であり、多すぎるとコスト増大の原因となる。
また、ヒ素及びアンチモンの酸化処理による除去分離に際しては、フラックスとして、NaO、CaO等のアルカリ、アルカリ土類金属の酸化物を用いると形成される酸化物中への分配量が多くなるので好ましい。特に、ヒ素、アンチモン及び鉛が濃縮した銅合金の酸化処理においては、例えば、フラックスとして、銅合金に対して1〜15重量%のCaO及び0.2〜3重量%のNaOの添加割合になるように混合物を共存させることが好ましい。これによって、銅合金中のヒ素及びアンチモンをさらに低減させることができる。すなわち、CaO及びNaOの添加量が、これらの範囲を外れる場合、少なすぎると十分に効果を発揮せず、多すぎるとコストの上昇あるいは耐火物の侵食量増大につながるという問題をおこす。
また、ヒ素及びアンチモンの酸化処理においては、排ガス中にヒ素とアンチモンが多く分配するので、還元吹錬時とは別の排ガス処理系を設けて処理し、亜鉛と鉛を含むダストの汚染を抑えることが肝要である。
以上のように、銅共存下スラグフューミング法において、スラグフューミング炉内でスラグを除去した後、鉄、鉛、ヒ素、アンチモン等が濃縮した銅合金を酸化することにより、鉄、鉛、ヒ素、アンチモン等の除去を行い、その後この得られた銅合金上に新たなスラグを投入し、スラグフューミング操作を行うという簡便な操作方式で、銅合金を銅融体の銅源として再利用することができる。
以下に、本発明の実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例で用いた金属の分析はICP発光分析法で行った。
また、実施例で用いた原料スラグは、熔鉱炉から産出したスラグを用いた。表1にその化学組成を示す。
Figure 0004274067
また、実施例で用いたスラグの還元吹錬方法は、下記の通りである。
[スラグの還元吹錬方法]
図2のスラグフューミング装置を用いた。スラグフューミング装置は、外熱式の電気炉9によって加熱され、温度制御用熱電対6と雰囲気担保用窒素吹き込み管1によって温度と電気炉内雰囲気が制御される。まず、反応に用いるアルミナるつぼ7に原料調合物を装入し、るつぼ保持用レンガ8の上に設置したセラミック外るつぼ5の中にアルミナるつぼ7を装入する。次に、加熱されて熔融状態の融体に撹拌窒素用吹き込み管3により窒素を吹きこみ、測温用熱電対4で反応温度を測定しながらの還元吹錬を行う。なお、発生するダストは、ダスト回収用セラミック管2を通じて回収する。
(実施例1)
上記スラグを用いてスラグフューミング処理を行い銅合金を得て、それを用いた酸化処理で得られた酸化後銅合金を用いたスラグフューミング処理を行った。
(1)銅共存下スラグフューミング処理
アルミナるつぼ内に、上記原料スラグ2000g、金属銅(銅品位99.99重量%)400g、及び炉内への混入酸素による酸化分を考慮したコークス(全炭素87.5重量%)40gを入れた。次に、上記[スラグの還元吹錬方法]にしたがって、窒素雰囲気下において1350℃に加熱し、熔融後30分保持した後、窒素ガスで浴内を120分撹拌し、撹拌終了後60分保持して,第1回目のスラグフューミングを行った。その後、スラグと銅合金をサンプリングし化学組成を分析した。また、揮発したダストを回収し化学組成を分析した。結果を表2に示す。また、得られたスラグに対し、環境庁告示第46号による溶出試験を行い鉛とヒ素の溶出量を測定した。結果を表3に示す。なお、スラグ及び銅合金の生成量は、各々、1795g及び305gであった。
次いで、別のアルミナるつぼ内に上記原料スラグ2000gを新たに装入し、これに第1回目のスラグフューミングで得られた銅合金のほぼ全量、所定量の金属銅(銅品位99.99重量%)及び炉内混入酸素による酸化分を考慮した40gのコークスを入れ、上記第1回目のスラグフューミングと同様の条件で還元吹錬操作を行い、ダスト、スラグ及び銅合金を形成した。なお、全装入銅量を400gに調合した。その後、スラグ及び銅合金をサンプリングし化学組成を分析した。また、揮発したダストを回収し化学組成を分析した。なお、この操作を4回(第2〜5回目)継続して行った。各回のスラグフューミングの結果を表2に示す。また、得られたスラグに対し、環境庁告示第46号による溶出試験を行い鉛とヒ素の溶出量を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0004274067
表2より、いずれの操作回数においても、ヒ素とアンチモンが銅合金中に濃縮しており、銅合金を繰り返し使用しても、スラグ中の鉛、ヒ素及びアンチモンが低減し、ヒ素とアンチモンはダストに分配しないことが分かる。
Figure 0004274067
表3より、鉛とヒ素の溶出量が安定的に土壌環境基準を満足することが分かる。
(2)銅合金の酸化処理
図2のスラグフューミング装置を用いた。上記銅共存下スラグフューミング処理の第5回目のスラグフューミング処理で得られた銅合金300gと硅石(SiO品位97重量%)20gをアルミナるつぼ内に入れ、1350℃で加熱溶融した後、熔体中にアルミナチューブを通じて酸素を送り込み酸化を行い、60分間保持した後、冷却した。その後、酸化後スラグ及び酸化後銅合金をサンプリングし化学組成を分析した。なお、得られた酸化後スラグと酸化後銅合金の重量は、各々75gと250gであった。結果を表4に示す。
Figure 0004274067
表4より、上記スラグフューミング処理で得られた銅合金の酸化処理は、本発明の方法に従って行われたので、銅合金中の鉛と鉄を低減することができることが分かる。
(3)酸化後銅合金を用いたスラグフューミング処理
アルミナるつぼ内に、上記原料スラグ2000g、酸化後銅合金235g、金属銅(銅品位99.99重量%)165g及び炉内への混入酸素による酸化分を考慮したコークス(全炭素87.5重量%)40gを入れた。次に、上記[スラグの還元吹錬方法]にしたがって、窒素雰囲気下において1350℃に加熱し、熔融後30分保持した後、窒素ガスで浴内を120分撹拌し、撹拌終了後60分保持して、スラグフューミングを行った。その後、スラグと銅合金をサンプリングし化学組成を分析した。また、揮発したダストを回収し化学組成を分析した。結果を表5に示す。また、得られたスラグに対し、環境庁告示第46号による溶出試験を行い鉛とヒ素の溶出量を測定した。結果を表6に示す。なお、スラグ及び銅合金の生成量は、各々、1680g及び312gであった。
Figure 0004274067
表5より、銅共存下スラグフューミング処理で得た銅合金を本発明の方法に従って処理後の酸化後銅合金は、スラグフューミング処理の銅融体の銅源として再利用することができることが分かる。
Figure 0004274067
表6より、得られたスラグの鉛と砒素の溶出量は低いままであり、酸化後銅合金を繰返し使用しても、土壌環境基準を満足することが分かる。
(実施例2)
上記スラグを用いてスラグフューミング処理を行い銅合金を得て、それを用いて酸化処理を行った。
(1)銅共存下スラグフューミング処理
銅共存下スラグフューミング処理において、還元吹錬操作の回数が計3回(第1〜3回)であること以外は実施例1と同様に行い、銅合金を得た。得られた銅合金の化学組成は,表2に示す操作回数が3回目の銅合金とほぼ同様であった。
(2)銅合金の酸化処理
銅合金として上記銅合金310gを、フラックスとしてCaO20gとNaO5gを含む混合物を用いた以外は実施例1と同様に行い、得られた酸化後銅合金を化学分析した。なお、得られた酸化後銅合金の重量は、230gであった。結果を表7に示す。
Figure 0004274067
表7より、上記スラグフューミング処理で得られた銅合金の酸化処理は、本発明の方法に従って行われたので、銅合金中の鉛、ヒ素及びアンチモンを低減することができることが分かる。
以上より明らかなように、本発明のスラグフューミング方法で得られる銅合金から不純物金属を除去する方法は、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出されるスラグを、銅融体と共存させてスラグフューミングして形成される鉄、鉛、ヒ素その他の不純物金属を含む銅合金から不純物金属を除去する方法として利用され、特に、繰返し使用によって高濃度に鉄、鉛、ヒ素その他の不純物金属を含む銅合金から銅融体の銅源を得る際に好適に用いられる。
銅−鉄二元系状態図である。 実施例に用いたスラグフューミング装置の概念図である。
符号の説明
1 雰囲気担保用窒素吹き込み管
2 ダスト回収用セラミック管
3 撹拌窒素用吹き込み管
4 測温用熱電対
5 セラミック外るつぼ
6 温度制御用熱電対
7 アルミナるつぼ
8 るつぼ保持用レンガ
9 電気炉

Claims (4)

  1. 亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出されるスラグを銅融体と共存させてスラグフューミングすることによって形成される、鉄、鉛、ヒ素その他の不純物金属を含む銅合金に、フラックスを添加し、次いで酸化処理することを特徴とする、銅合金から不純物金属を除去する方法。
  2. 前記フラックスは、酸性酸化物又は塩基性酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の銅合金から不純物金属を除去する方法。
  3. 前記塩基性酸化物は、CaO及び/又はNaOであることを特徴とする請求項2に記載の銅合金から不純物金属を除去する方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法により不純物金属が除去された銅合金を、前記銅融体の銅源として再利用することを特徴とする、スラグフューミング方法。
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