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JP4254122B2 - スイッチング電源回路 - Google Patents

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JP4254122B2
JP4254122B2 JP2002102454A JP2002102454A JP4254122B2 JP 4254122 B2 JP4254122 B2 JP 4254122B2 JP 2002102454 A JP2002102454 A JP 2002102454A JP 2002102454 A JP2002102454 A JP 2002102454A JP 4254122 B2 JP4254122 B2 JP 4254122B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子機器に電源として備えられるスイッチング電源回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種電子機器に用いられるスイッチング電源回路に対する、低ノイズ化や省電力化の要求が高まってきており、共振形のスイッチング電源回路が多用されるようになってきている。
特に、電源回路における一次側に並列共振回路を持つ電圧共振形スイッチング電源回路は、他の方式の共振形スイッチング電源回路に比較して、原理的にスイッチング素子におけるスイッチング損失が小さいことが知られており、上記したような低ノイズ化や省電力化に対する効果が期待されている。
【0003】
ところで、上記したような電圧共振形スイッチング電源回路においては、入力電圧及び負荷等の変動に対して安定的にゼロボルトスイッチング(ZVS)動作が得られないという問題点を有していた。
すなわち、上記したような電圧共振形スイッチング電源回路において、このZVS可能な動作範囲は、共振のインピーダンスをZr、入力電圧をVin、負荷電流をIoとすると、
Io≧Vin/Zr
で与えられるため、入力電圧が高い領域や負荷が軽い領域ではZVSが不可能となってしまうものである。
【0004】
このような問題に対し、先に本出願人は、電圧共振形スイッチング電源に対して、二次側にも並列共振回路、或いは直列共振回路を付加し、これによってZVS可能な動作範囲を広げることが可能となる、いわゆる複合共振形スイッチング電源回路を各種提案している。
【0005】
図8は、先に本出願人が提案した発明に基づいて構成することのできる、複合共振形スイッチング電源回路の構成例を示した回路図である。
この図において、商用交流電源ACは、ブリッジダイオードDiにより全波整流され、その整流出力は平滑コンデンサCiに充電される。これにより、交流入力電圧VACの1倍のレベルに対応する整流平滑電圧Eiが得られる。
【0006】
この図に示す電源回路のスイッチングコンバータは電圧共振形とされ、上記整流平滑電圧Eiを入力してスイッチング動作を行うスイッチング素子としては、バイポーラトランジスタであるスイッチング素子Q1が備えられる。
このスイッチング素子Q1のコレクタはコンバータトランスTRの一次巻線N1と接続され、また、コレクタ−エミッタ間には、スイッチング素子Q1と並列に一次側並列共振コンデンサCrが挿入されている。そして、この電源回路においては、上記一次側並列共振コンデンサCrのキャパシタンスと、上記一次巻線N1に得られるリーケージインダクタンスにより、一次側並列共振回路が形成され、これによって電圧共振形コンバータとしての動作が得られるようになっている。
さらに、スイッチング素子Q1のコレクタ−エミッタ間には、図示するようにダンパーダイオードDpが並列に接続される。これにより一次側(一次巻線N1)に流れるスイッチング電流が連続的に流れるようになる。
【0007】
また、このスイッチング素子Q1のベースには、制御・駆動回路1が接続される。この制御・駆動回路1は、所要の周波数による駆動信号を生成し、これをスイッチング素子Q1のベースに対して印加することによりスイッチング素子Q1を駆動する。さらに、この制御・駆動回路1は、後述するシャントレギュレータQ2からフォトカプラPCを介して供給される制御信号のレベルに基づいて、スイッチング素子Q1のスイッチング周波数を可変的に制御する動作を行う。
【0008】
コンバータトランスTRは、一次側に一次巻線N1、二次側に二次巻線N2を備え、一次巻線N1に得られたスイッチング素子Q1の出力を電気的に絶縁された二次側に伝送する。
このコンバータトランスTRの構造としては、例えば図9の斜視図に示すように、それぞれ3本の磁脚を有するE型コアCR1とE型コアCR2とを組み合わせたコアが用いられ、このコアの磁脚に対して、一次巻線N1と二次巻線N2とを分割して巻装することで所要のリーケージインダクタンスを得るようにされている。
【0009】
このコンバータトランスTRの二次巻線N2に対しては、図示するように二次側並列共振コンデンサC2が並列に接続される。そして、この二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスと、上記二次巻線N2のリーケージインダクタンスによっては、二次側並列共振回路が形成される。
このため、コンバータトランスTRの二次巻線N2に交番電圧が励起されることによっては、二次側にて電圧共振動作が得られることになる。
つまり、この図に示す電源回路は、電圧共振形コンバータとして、上述したように一次側において電圧共振動作が得られると共に、二次側においても電圧共振動作が得られる、いわゆる複合共振形コンバータとしての動作が得られるようにされているものである。
【0010】
また、上記二次巻線N2に対しては、図示するようにして整流ダイオードDO1及び平滑コンデンサCO1による半波整流回路が設けられ、この半波整流回路の整流動作によって、平滑コンデンサCO1の両端に二次側直流出力電圧EOが得られるようになっている。
この二次側直流出力電圧EOは、図示しない負荷に対して供給される。さらに、この二次側直流出力電圧EOは、図示するように次に説明するシャントレギュレータQ2のための検出電圧としても分岐して入力される。
【0011】
シャントレギュレータQ2は、図示するようにそのコントロール端子から、二次側直流出力電圧EOと二次側アース間に挿入された分圧抵抗R3−分圧抵抗R4の直列接続回路により検出された二次側直流出力電圧EOを入力するようにされる。
そして、シャントレギュレータQ2は、このように入力した二次側直流出力電圧EOと内部基準電圧とを比較して、アノードに流れる電流のレベルを制御する。
【0012】
このようにしてシャントレギュレータQ2に流れるようになった電流は、制御信号としてフォトカプラPCを介して制御・駆動回路1に伝送される。
そして、制御・駆動回路1においては、上述もしたようにこの制御信号のレベルに基づき、スイッチング素子Q1のスイッチング周波数を可変的に制御する動作が行われるようになる。
【0013】
このようにスイッチング周波数が可変されることによっては、例えば一次側並列共振回路における共振インピーダンスも可変されるようになり、これに伴い二次側に伝送される電力も可変されるようになって、結果的には二次側直流出力電圧EOのレベルも可変されるようになる。
すなわち、この図に示す電源回路においては、上記のような動作により二次側直流出力電圧EOについての定電圧制御動作が得られているものである。
【0014】
ここで、このような構成とされる複合共振形のスイッチング電源回路における共振周波数特性の例を図10に示す。
この図に示すように、上記図8で示したような構成とされる複合共振形スイッチング電源回路においては、共振周波数の変化に伴い、2つのゲインのピークが得られる。すなわち、これは、一次側と二次側とで2つの共振回路が設けられることにより、共振インピーダンスがゼロとなる場合の共振周波数の値が2つ存在するようになることが示されているものである。
そして、図8に示した電源回路においては、図中に矢印で示すように、これら2つの周波数の値の範囲内にスイッチング周波数の制御範囲を設定するようにされている。
【0015】
上記のようにしてスイッチング周波数の制御範囲を設定する図8の回路の場合、出力電圧についての定電圧化のためのスイッチング周波数制御動作としては、重負荷及び入力電圧のレベルが低い場合には、スイッチング周波数を低くするようにされる。
一方、軽負荷及び入力電圧のレベルが高い場合には、スイッチング周波数を高くするよう制御を行うようにされる。
【0016】
また、図8の回路においては、スイッチング素子Q1のスイッチング周期におけるオフ期間は、一次側並列共振コンデンサCr及び二次側並列共振コンデンサC2と、コンバータトランスTRにおけるリーケージインダクタンスとで決まる一定の時間に設定される。
このため、上記したようなスイッチング周波数制御としては、オン時間のみを変化させることによって行うようにされている。
【0017】
このようにして行われるスイッチング周波数制御動作に伴い、図8の回路におけるスイッチング動作は次の図11、図12に示すようになる。
図11、図12は、それぞれ一次側並列共振コンデンサCrの両端に発生する一次側共振電圧V1の波形と、スイッチング素子Q1のコレクタ電流Icの波形を示しており、図11は軽負荷時、図12は重負荷時におけるそれぞれの波形を示している。
まず、図11において、軽負荷時には、上述したようにしてスイッチング周波数は高く制御されるようになるため、この場合のスイッチング素子Q1のオン期間(TON)は、図12の重負荷時に比べて短くなっていることがわかる。
また、図12において、逆に重負荷時には、先に説明したようにしてスイッチング周波数が低くなるように制御されるようになって、スイッチング素子Q1のオン期間(TON)が図11の場合と比べて長くなるようにされる。
【0018】
ところで、上記のように構成される図8の電源回路においては、図11(a)及び図12(a)の波形図に示されるように、一次側共振電圧V1のピークレベルVpは、重負荷時の制御により、スイッチング素子Q1のオン期間が長くなることによって上昇するようになる。
すなわち、この一次側共振電圧V1のピークレベルVpは、その変化特性の例を示した図13に示すように、負荷電流が増加するに従って上昇するようになるものである。
また、さらに、この一次側共振電圧V1のピークレベルVpは、同じく図13に示すように入力電圧(交流入力電圧VAC)が高くなるのに応じても上昇するようになる。
【0019】
ここで、この一次側共振電圧V1のピークレベルVpは、例えば負荷が短絡した場合に最大のレベルに達してしまうことになる。
まず、負荷が短絡した場合、二次側直流出力電圧EOが急激に0レベルまで低下し、シャントレギュレータQ2に検出入力されるべき電圧がなくなって、制御・駆動回路1には制御信号が供給されなくなる。そして、これに伴っては、スイッチング周波数制御動作が行われなくなり、スイッチング素子Q1は最低のスイッチング周波数により動作するようにされる。
つまり、このようにスイッチング素子Q1が最低のスイッチング周波数により動作することによっては、スイッチング周期におけるオン時間が最大値となり、このため、一次側共振電圧V1のピークレベルVpは最大のレベルに達してしまうものである。
そして、このような一次側共振電圧V1は、場合によってはスイッチング素子Q1の定格電圧を超えてしまうこともあり、これがスイッチング素子Q1に印加されてしまうと素子が破壊されてしまうという問題があった。
【0020】
そこで、従来では、上記の問題点に対して以下のような構成を採ることで対処していた。
すなわち、まず、図8の破線内に示すようにして、スイッチング素子Q1のコレクタ−エミッタ間に対し検出抵抗R5及びR6から成る過電圧検出回路6を挿入して一次側共振電圧V1を検出するようにし、これを制御・駆動回路1に入力するようにする。そして、制御・駆動回路1において、この一次側共振電圧V1が、例えばスイッチング素子Q1の定格電圧のレベルに対応するようにして設定される所定の電圧(保護設定電圧)のレベルを越えるのに応じて、スイッチング周波数を高くする制御を開始するようにするものである。
これにより、一次側共振電圧V1が保護設定電圧を越えた場合は、スイッチング周波数が高くなるように制御されるようになり、これに伴って、例えば一次側における共振インピーダンスを大きくさせる等して、一次側共振電圧V1のレベルを下げるようになるものである。
【0021】
また、上記問題点に対しては、従来、スイッチング素子Q1のオン期間の時間長の上限値を設定することで、一次側共振電圧V1のレベルが素子を破壊するに至る所定のレベルに達しないようにするということも行われていた。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記過電圧検出回路6が設けられた場合の電源回路における動作について、図15を用いて説明する。
この図において、例えば或る時点taにおいて、負荷が短絡する等して急峻な負荷変動が生じたとする。すると、図15(a)に示すようにして、二次側直流出力電圧EOのレベルは、0レベルまで低下していくこととなる。そのタイミングとしては、例えばスイッチング周期によりみた場合、或る時間幅を有して低下していくものである。
また、このように負荷が短絡した場合、先に説明したようにシャントレギュレータQ2、及び制御・駆動回路1によるスイッチング周波数制御動作が行われなくなることにより、図15(b)(c)に示すようにスイッチング素子Q1のオン期間TON1は最大の時間長になる。これにより、この期間TON1直後のオフ期間TOFF1における一次側共振電圧V1としては、非常にピークレベルの高い波形が現れるようになる。
そして、この期間TOFF1で発生した一次側共振電圧V1は、図示する時点tbにおいて、過電圧検出回路6により保護設定電圧を越えたことが検出される。これに応じては、制御・駆動回路1によりスイッチング周波数が制御されるようになり、図示するように以降は、この一次側共振電圧V1のレベルが抑制されるようになる。
【0023】
しかしながら、この場合の制御・駆動回路1は、期間TOFF1において発生した一次側共振電圧V1が保護設定電圧のレベルを超えたことを検出するのに応じて、図示するようにその次の周期のオン期間を所定の値とするように動作するものである。
このため、この場合の電源回路においては、上記のように期間TOFF1で発生する高レベルの一次側共振電圧V1を抑えることは不可能であり、この電圧がスイッチング素子Q1の定格電圧を超えてしまった場合、これに対処することができないという問題点があった。
【0024】
また、上記したスイッチング素子Q1のオン期間の時間長の上限値を規定する場合にも、以下のような問題点があった。
すなわち、このようにオン期間の時間長の上限値を規定したとしても、図16及び図17に示す波形図の比較からもわかるように、同じオン時間であっても、入力電圧のレベルが異なれば、一次側共振電圧V1のピークレベルVpの値も大きく異なってきてしまうものである。
つまりは、図14のピークレベルVpの変化特性の例にも示すように、この場合、例えば入力電圧のレベルが低い条件でオン時間の上限値を設定してしまうと、入力電圧のレベルが高かったときはピークレベルVpが過大になり、素子が破壊される可能性が高くなってしまう。
また、逆に入力電圧が高い条件でオン時間の上限値を決めてしまうと、入力電圧が低かった際に十分な電力を取り出せなくなってしまうという問題があった。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明では、以上のような問題点に鑑み、スイッチング電源回路として以下のように構成することとした。
すなわち、まず、商用交流電源を入力し整流平滑することで直流入力電圧を得る直流入力電圧生成手段と、上記直流入力電圧を入力して断続するようにしてスイッチング動作を行うスイッチング素子を備えるスイッチング手段と、上記スイッチング手段のスイッチング出力を一次側から二次側に伝送するために設けられ、少なくとも一次側に一次巻線、二次側に二次巻線を備えるコンバータトランスとを備え、さらに、少なくとも、上記コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分と上記スイッチング素子に並列接続された一次側並列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成され、上記スイッチング手段の動作を電圧共振形とする一次側並列共振回路を備える。
また、上記コンバータトランスの二次巻線に得られる交番電圧を入力して整流動作を行って、二次側直流出力電圧を生成するように構成された直流出力電圧生成手段と、上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて上記スイッチング素子のオン期間の長さを制御することにより、上記二次側直流出力電圧に対する定電圧制御を行うように構成された定電圧制御手段とを備える。
その上で、上記二次側直流出力電圧の負荷に流れるとされる負荷電流を検出し、上記負荷電流が過電流とされる所定レベルに達するのに応じて動作を開始すると共に、上記負荷電流のレベルに応じ上記スイッチング素子のオン期間の長さの制御として、上記負荷電流のレベルが高いときには上記オン期間を短くするように制御し、上記負荷電流のレベルの低下に応じては上記オン期間を長くするように制御する過負荷保護手段と、上記スイッチング手段におけるスイッチング素子のコレクタ−エミッタ間電圧を検出するようにして設けられると共に、上記コレクタ−エミッタ間電圧が、上記過負荷保護手段による上記オン期間の制御に伴って上昇して過電圧とされる所定レベルに達するのに応じて上記スイッチング素子のオン期間の長さを制御することで上記コレクタ−エミッタ間電圧のレベルを抑制する過電圧保護手段とを備えるようにした。
【0028】
上記構成による電源回路において、例えば負荷が短絡した場合には、過負荷保護手段により、まず負荷電流が過電流とされる所定レベルに達したことが検出される。そして、上記過負荷保護手段においては、このように過電流が検出されることに応じて、上記負荷電流のレベルに応じたスイッチング素子に対するスイッチング周波数制御動作が開始されるようになる。
これにより、上記構成による電源回路では、負荷短絡時においても、急激に上昇するとされるコレクタ−エミッタ間電圧のレベルが抑制されるようになる。
また、上記構成によれば、例えば上記負荷電流が次第に流れなくなっていくことにより、上記過負荷保護手段によるスイッチング周波数制御動作が行われなくなり、コレクタ−エミッタ間電圧のレベルが徐々に上昇したとしても、過電圧保護手段によりこれが検出されることにより、続けて上記コレクタ−エミッタ間電圧のレベルを抑制する動作が得られるようになる。
【0029】
【発明の実施の形態】
<第1の実施の形態>
図1に第1の実施の形態としてのスイッチング電源回路の回路図を示す。
この図において、商用交流電源ACからは交流入力電圧VACが入力され、これがブリッジダイオードDiにより全波整流され、その整流出力は平滑コンデンサCiに充電される。これにより、図示するように交流入力電圧VACの1倍のレベルに対応する整流平滑電圧としての直流入力電圧Eiが得られる。
【0030】
本実施の形態の場合、上記平滑コンデンサCiに対しては、分圧抵抗R1と分圧抵抗R2とが直列接続されて形成される入力電圧検出回路5が並列に接続される。そして、この入力電圧検出回路5によっては、上記直流入力電圧Eiが検出されるようになり、この検出出力は、図示するように後述する制御・駆動回路1内の最大オン時間制御部1aに対して入力される。
【0031】
この図に示す電源回路のスイッチングコンバータは電圧共振形とされ、上記直流入力電圧Eiを入力してスイッチング動作を行うスイッチング素子としては、バイポーラトランジスタとされるスイッチング素子Q1が備えられる。
このスイッチング素子Q1のコレクタは、図示するようにコンバータトランスTRの一次巻線N1の巻き始め端部と接続され、また、コレクタ−エミッタ間には、スイッチング素子Q1と並列に一次側並列共振コンデンサCrが挿入されている。
この電源回路において、上記一次側並列共振コンデンサCrのキャパシタンスと、上記一次巻線N1に得られるリーケージインダクタンスによっては、一次側並列共振回路が形成され、これによって電圧共振形コンバータとしての動作が得られるようになっている。
【0032】
また、スイッチング素子Q1のコレクタ−エミッタ間には、図示するようにダンパーダイオードDpが、上記スイッチングQ1と並列に接続され、これにより一次側(一次巻線N1)に流れるスイッチング電流が連続的に流れるようにされる。
【0033】
また、このスイッチング素子Q1のベースには、制御・駆動回路1が接続される。この制御・駆動回路1は、所要の周波数による駆動信号を生成し、これをスイッチング素子Q1のベースに対して印加することによりスイッチング素子Q1を駆動する。また、この制御・駆動回路1は、後述するシャントレギュレータQ2からフォトカプラPCを介して供給される制御信号に基づき、スイッチング素子Q1のスイッチング周波数を可変的に制御する動作を行う。
【0034】
また、本実施の形態の場合、この制御・駆動回路1には、図示するように最大オン時間制御部1aが設けられる。
この最大オン時間制御部1aは、上記スイッチング素子Q1のスイッチング動作に対する制御として、上記スイッチング素子のオン期間(導通期間)の時間長が、最大オン時間として設定する時間長を越えないように制御する動作を行う。
また、これと同時に、この最大オン時間制御部1aは、上記最大オン時間の時間長を、上述したようにして入力電圧検出回路5から検出入力される直流入力電圧Eiのレベルに応じた値に設定する。すなわち、この最大オン時間制御部1aでは、このような最大オン時間制御における入力電圧と最大オン時間との関係について、図2に示すようにして直流入力電圧Eiのレベルが高くなるに従い最大オン時間の時間長が短くなるように設定されるものである。
なお、このような最大オン時間制御部1aによる最大オン時間制御動作については後述する。
【0035】
コンバータトランスTRは、一次側に一次巻線N1、二次側に二次巻線N2を備え、一次巻線N1に得られたスイッチング素子Q1の出力を電気的に絶縁された二次側に伝送する。
このコンバータトランスTRの構造としては、例えば図9に示すように、それぞれ3本の磁脚を有するE型コアCR1とE型コアCR2とを組み合わせたコアが用いられ、このコアの磁脚に対して、一次巻線N1と二次巻線N2とを分割して巻装することで所要のリーケージインダクタンスを得るようにされている。
【0036】
このコンバータトランスTRの二次巻線N2に対しては、図示するように二次側並列共振コンデンサC2が並列に接続される。そして、この二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスと、上記二次巻線N2のリーケージインダクタンスによっては、二次側並列共振回路が形成される。
このため、コンバータトランスTRの二次巻線N2に交番電圧が励起されることによっては、二次側にて電圧共振動作が得られることになる。
つまり、この図に示す電源回路は、電圧共振形コンバータとして、上述したように一次側において電圧共振動作が得られると共に、二次側においても電圧共振動作が得られる、いわゆる複合共振形コンバータとしての動作が得られるようにされているものである。
【0037】
また、この電源回路の二次側において、上記二次巻線N2の巻き始め端部に対しては、図示するようにして整流ダイオードDO1のアノードが接続され、また、この整流ダイオードDO1のカソードには、平滑コンデンサCO1の正極端子が接続される。
そして、これら整流ダイオードDO1及び平滑コンデンサCO1によっては、半波整流回路が形成され、この半波整流回路の整流動作によって、平滑コンデンサCO1の両端に二次側直流出力電圧EOが得られるようになっている。
この二次側直流出力電圧EOは、図示しない負荷に対して供給される。さらに、この二次側直流出力電圧EOは、図示するように次に説明するシャントレギュレータQ2のための検出電圧としても分岐して入力される。
【0038】
シャントレギュレータQ2は、そのコントロール端子が、図示するように二次側直流出力電圧EOと二次側アース間に挿入された分圧抵抗R3−分圧抵抗R4の直列接続回路の分圧点に接続される。これにより、このシャントレギュレータQ2のコントロール端子には、二次側直流出力電圧EOが検出入力されるようになる。
また、シャントレギュレータQ2のアノードは二次側アースに接地され、カソードはフォトカプラPC(のカソード)に接続される。
【0039】
このフォトカプラPCのアノードは、図示するように上記二次側直流出力電圧EOと二次側アース間のラインに接続される。また、このフォトカプラPCのコレクタは制御・駆動回路1に接続され、エミッタはスイッチング素子Q1のエミッタに接続される。
【0040】
このような接続形態において、シャントレギュレータQ2は、上記のようにして検出入力した二次側直流出力電圧EOと内部基準電圧とを比較して、二次側直流出力電圧EOのレベルに応じてアノードに流れる電流のレベルを制御する。そして、これによりシャントレギュレータQ2に流れるようになった電流は、フォトカプラPCを介し、電気的に絶縁された一次側に伝送されるようになり、この電流が制御信号として制御・駆動回路1に供給されるようになる。
【0041】
このように制御信号が供給されることによっては、上述もしたように制御・駆動回路1おいて、この制御信号のレベルに基づいてスイッチング素子Q1のスイッチング周波数を可変的に制御する動作が行われるようになる。
そして、このようにスイッチング周波数が可変されることによっては、例えば一次側並列共振回路における共振インピーダンスも可変されるようになり、これに伴い二次側に伝送される電力も可変されるようになって、結果的には二次側直流出力電圧EOのレベルも可変されるようになる。
すなわち、この図に示す電源回路においては、上記のような動作により二次側直流出力電圧EOについての定電圧制御動作が得られるようになるものである。
【0042】
上記のように構成される本実施の形態の電源回路におけるスイッチング動作は、次の図11、図12に示すようになる。
図11、図12は、それぞれ一次側並列共振コンデンサCrの両端に発生する一次側共振電圧V1の波形と、スイッチング素子Q1のコレクタ電流Icの波形を示しており、図11は軽負荷時、図12は重負荷時におけるそれぞれの波形を示している。
まず、図11において、軽負荷時には、図12の重負荷時の場合と比較してわかるように、スイッチング素子Q1のオン期間TONは短くなっている。すなわち、この電源回路においては、軽負荷時には、オン期間を短くしてスイッチング周波数を高くする制御動作が行われているものである
また、図12において、逆に重負荷時には、スイッチング素子Q1のオン期間TONが長くなるようにされ、スイッチング周波数が低くなるように制御されている。
【0043】
また、図11(a)及び図12(a)の波形図に示されるように、一次側共振電圧V1のピークレベルVpは、重負荷時の制御によってスイッチング素子Q1のオン期間が長くなることで上昇するようになる。
すなわち、この一次側共振電圧V1のピークレベルVpは、その変化特性の例を示した図13に示すように、負荷電流が増加するに従って上昇するようになるものである。
また、さらに、この一次側共振電圧V1のピークレベルVpは、同じく図13に示すように入力電圧が高くなるのに応じても上昇するようになる。
【0044】
ここで、本実施の形態の電源回路において、例えば負荷が短絡したとする。
まず、負荷が短絡した場合、二次側直流出力電圧EOが急激に0レベルまで低下していくこととなり、シャントレギュレータQ2には、二次側直流出力電圧EOが検出入力されなくなる。これに伴っては、制御・駆動回路1に対し、シャントレギュレータQ2からの制御信号が供給されなくなり、スイッチング素子Q1に対するスイッチング周波数制御動作は停止されてしまう。
そして、このようにスイッチング周波数制御動作が停止されてしまうことによっては、スイッチング素子Q1が、制御・駆動回路1からの駆動信号のみに基づいた最低のスイッチング周波数により動作してしまう可能性があり、この結果、一次側共振電圧V1のピークレベルVpは急激に上昇してしまう虞がある。
【0045】
しかしながら、本実施の形態の電源回路において、上記のようにして負荷短絡に伴いスイッチング素子Q1に対するスイッチング周波数制御動作が停止されたとしても、図1で説明したような制御・駆動回路1による最大オン時間制御により、このオン時間が所定の時間長を超えないように制御する動作が得られることとなる。
そして、この場合の制御・駆動回路1では、最大オン時間制御部1aにおいて、上記最大オン時間を、定常時におけるオン時間よりも長く、且つ上記最低のスイッチング周波数での動作時におけるオン時間を越えないように設定している。すなわち、この最大オン時間として、例えば、ピークレベルVpがスイッチング素子Q1の耐圧レベルを越えない程度となるような時間長に設定するものである。
また、これと共にこの最大オン時間制御部1aでは、上記最大オン時間を固定値とはせず、図13で説明したような直流入力電圧Eiの変動に伴うピークレベルVpの変動を吸収するよう、直流入力電圧Eiのレベルに応じて可変的に設定するようにしている。
【0046】
ここで、このような最大オン時間制御部1aによる最大オン時間制御が行われた場合の、本実施の形態の電源回路におけるスイッチング動作を、次の図3、図4に示す。
図3、図4は、それぞれ一次側並列共振コンデンサCrの両端に発生する一次側共振電圧V1の波形と、スイッチング素子Q1のコレクタ電流Icの波形を示しており、図3は直流入力電圧Eiのレベルが低い場合、図4は直流入力電圧Eiのレベルが高い場合におけるそれぞれの波形を示している。
【0047】
まず、この電源回路において、最大オン時間の時間長は、先に図2において説明したように、直流入力電圧Eiのレベルが高くなるに従って短くなるように設定されるため、図3の入力電圧Eiのレベルが低い場合には、スイッチング素子Q1のオン期間(TON)が、図4の入力電圧Eiが高い場合に比べて長くなるようにされる。
また、逆に図4の入力電圧Eiのレベルが高い場合では、スイッチング素子Q1のオン期間(TON)は、図3の入力電圧Eiが低い場合に比べて短くなるようにされる。
そして、このように入力直流電圧Eiのレベルに応じて最大オン時間が可変制御されることにより、図3、図4のそれぞれの場合における一次側共振電圧V1のピークレベルVpの差は、図示するようにほぼなくなるようになる。
すなわち、本実施の形態の最大オン時間制御によっては、入力直流電圧Eiのレベル変動に伴ってピークレベルVpが大きく変動してしまうことが防止されるようになるものである。
【0048】
これは、従来の最大オン時間を固定値とする場合の波形図として示した、図16及び図17とを比較した場合に比べて、図3及び図4との比較の方が、直流入力電圧Eiの変動により生じるピークレベルVpの差が小さくなっていることからも理解できる。
また、本実施の形態の最大オン時間制御動作時におけるピークレベルVpの変化特性の例を図5に示すが、この図5と、上記従来の回路の場合の変化特性を示す図14との比較からも、直流入力電圧Eiの変動によるピークレベルVpの差が、それぞれの図中に矢印で示すように小さくなっていることがわかる。
【0049】
このように、第1の実施の形態の電源回路においては、例えば負荷が短絡する等してスイッチング周波数制御動作が停止された場合にも、制御・駆動回路1内の最大オン時間制御部1aにより、スイッチング素子Q1のオン期間の時間長が所定の時間長を超えないように制御されるようになり、この結果一次側共振電圧V1のピークレベルVpが所定レベルを越えないように制御される。
そして、最大オン時間制御部1aでは、上記最大オン時間として、例えばピークレベルVpがスイッチング素子Q1の定格電圧レベルを越えない程度となるようにする時間長が設定されており、これによりピークレベルVpが、常にスイッチング素子Q1の定格電圧レベル以下に抑制されるようにしている。
【0050】
また、これと共に最大オン時間制御部1aにおいては、上記最大オン時間を直流入力電圧Eiのレベルに応じて可変設定するようにもされるため、最大オン時間制御動作時において、ピークレベルVpが入力電圧のレベルによって極端に変動することが防止されるようになる。
【0051】
さらに、上記のようにして、スイッチング素子Q1の最大オン時間を設定してピークレベルVpが所定レベルを越えないようにする本実施の形態の電源回路は、従来のようにスイッチング素子Q1のコレクタ−エミッタ間電圧を検出する構成に比べ、確実にピークレベルVpを所定レベル以下に抑えることが可能となる。
【0052】
<第2の実施の形態>
図6は、第2の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成を示す回路図である。なお、この図において、図1で既に説明した部分については同一の符号を付して説明を省略する。
まず、この第2の実施の形態の電源回路においては、分圧抵抗R5と分圧抵抗R6が直列接続されて成る過電圧検出回路6が、一次側並列共振コンデンサCrに対して並列に接続される。これにより、第2の実施の形態の電源回路においては、この過電圧検出回路6により、一次側並列共振コンデンサCrの両端に発生する一次側共振電圧V1が検出されるようになる。
そして、これら分圧抵抗R5と分圧抵抗R6の接続点からは、図示するように制御・駆動回路1に接続されるラインが形成され、この制御・駆動回路1には、上記のようにして検出される一次側共振電圧V1が入力されるようになる。
【0053】
また、この電源回路の二次側には、平滑コンデンサCO1の負極端子に対して過電流検出抵抗R10が接続され、この過電流検出抵抗R10の両端には、負荷電流に比例した電圧が生じるようにされる。そして、このように過電流検出抵抗R10の両端に生じた電圧は、図示するようにこの過電流検出抵抗R10と過負荷保護回路7の分圧抵抗R7とが接続されることにより、過負荷保護回路7に入力されるようになる。
【0054】
過負荷保護回路7は、上記分圧抵抗R7と分圧抵抗R8との直列接続回路、及び過負荷保護トランジスタQ3を有して構成される。
この過負荷保護回路7において、上記直列接続回路の分圧抵抗R8側は二次側アースに接地される。
また、上記過負荷保護トランジスタQ3は、PNP型のトランジスタとされ、そのベースは、上記分圧抵抗R7−分圧抵抗R8の直列接続回路の接続点に対して接続されている。そして、この過負荷保護トランジスタQ3のコレクタは、フォトカプラPCのカソードと接続され、エミッタは二次側アースに接地される。
【0055】
このように構成される過負荷保護回路7においては、まず、上記過電流検出抵抗R10より入力された電圧が、分圧抵抗R7−分圧抵抗R8の直列接続回路により検出される。そして、この電圧が、過負荷保護トランジスタQ3のベース−エミッタ間電圧Vbeの電位を越えると、過負荷保護トランジスタQ3は導通し、上記過電流検出抵抗R10より入力された電圧のレベルに応じた電流をコレクタから出力するようにされる。
このように過負荷保護トランジスタQ3のコレクタより出力された電流は、フォトカプラPCを介し、制御信号として制御・駆動回路1に供給される。
【0056】
第2の実施の形態の場合、制御・駆動回路1では、上記のようにして過負荷保護回路7から供給される制御信号のレベルに基づき、スイッチング素子Q1のスイッチング周波数を可変的に制御する動作を行うようにもされる。
さらに、この場合の制御・駆動回路1は、上記過電圧検出回路6から入力される一次側共振電圧V1のレベルに基づき、スイッチング素子Q1のスイッチング周波数を制御する動作も行うようにされている。すなわち、先行技術として図8に示した回路と同様、一次側共振電圧V1が、例えばスイッチング素子Q1の定格電圧のレベルに対応するようにして設定される所定の電圧(保護設定電圧)レベルを越えるのに応じて、スイッチング周波数を高くする制御動作を開始するようにされるものである。
そして、これにより、例えば一次側における共振インピーダンスを大きくする等して、一次側共振電圧V1のレベルを下げるようにするものである。
【0057】
なお、この制御・駆動回路1において、定常時の制御動作としては、第1の実施の形態の場合と同様の動作が得られる。
すなわち、重負荷に対する制御としては、シャントレギュレータQ2から供給される制御信号に基づき、スイッチング周波数を高く(オン期間を短く)するように動作し、逆に、軽負荷に対する制御としては、スイッチング周波数を低く(オン期間を長く)するように動作して、二次側直流出力電圧EOについての定電圧化を図るようにされているものである。
【0058】
ここで、この図に示す電源回路において、例えば負荷が短絡した場合には、上記過電圧検出回路6、及び過負荷保護回路7により、次の図7に示すような動作が得られることとなる。
この図において、図7(a)は二次側直流出力電圧EO、図7(b)は一次側共振電圧V1、図7(c)はスイッチング素子Q1のコレクタ電流Icの波形を示す図であり、それぞれの横軸は時間経過を示している。
まず、図示する時点t1において負荷が短絡したとする。すると、これに応じては、過電流検出抵抗R10には過大なレベルの負荷電流が流れるようになり、過電流検出抵抗R10の両端には、この電流に応じたレベルの電圧が生じることとなる。
そして、この両端電圧の電位が、過負荷保護回路7における分圧抵抗R7及びR8と、過負荷保護トランジスタQ3のベースーエミッタ間電圧Vbeとで決まる電位に達すると、過負荷保護トランジスタQ3が導通して制御・駆動回路1に対する制御信号の供給が開始される(図中の期間t2)。
【0059】
ここで、負荷短絡直後において、上記過電流検出抵抗R10に流れる負荷電流としては、非常に過大なレベルの電流が流れることとなる。そして、これにより、上記過負荷保護トランジスタQ3に検出入力される電圧のレベルも比較的大きなレベルとなる。
従って、負荷短絡直後(図示する期間t2の前半部分)においては、この過負荷保護トランジスタQ3により出力される制御信号のレベルとしても、比較的大きなものとなり、このような制御信号に応じては、制御・駆動回路1において、スイッチング素子Q1のスイッチング周波数を、負荷短絡が発生した時点t1以前よりも急激に高くするように制御する動作が行われるようになる。
この結果、このような負荷短絡直後の過負荷保護回路7の動作によっては、スイッチング素子Q1のスイッチング動作が、図7(b)に示すようにして強制的にオフ期間に移行されるようになる。そして、これに伴っては、一次側共振電圧V1のピークレベルVpも、同図に示すように急激に下げられることとなる。
【0060】
このような過負荷保護回路7による動作が開始される期間t2において、二次側直流出力電圧EOは、負荷が短絡したことにより、図7(a)に示すようにして0レベルにまで低下していく。そして、これに伴い、過電流検出抵抗R10に流れる負荷電流も徐々に減少していくようになり、二次側直流出力電圧EOのレベルが0になるとこの電流は流れなくなる。
これに伴っては、過負荷保護トランジスタQ3のコレクタ電流も徐々に減少することとなり、制御・駆動回路1への制御信号は徐々に減少していくこととなる。そして、このように制御信号が減少していくことによっては、スイッチング素子Q1のオン期間は長くなっていき、この結果、ピークレベルVpは、図示するようにこの期間t2の終盤にかけて徐々に上昇していくようにされる。
【0061】
なお、この期間t2においては、上記のようにして二次側直流電圧EOのレベルが急激に低下するため、定常時における定電圧制御動作(シャントレギュレータQ2、及び制御・駆動回路1の系による制御動作)による影響はほぼなくなっている。
【0062】
上記のようにして、期間t2においてピークレベルVpが徐々に上昇すると、制御・駆動回路1では、或る時点において、このピークレベルVpが保護設定電圧のレベルを超えたことが検出されるようになる(図中、期間t3開始時点)。
ここで、この際のピークレベルVpは、上記のようにして、過負荷保護回路7の動作が行われることで徐々に上昇していくようにされているため、この場合、ピークレベルVpが保護設定電圧を或る許容レベル以上に越えてしまうことが防止されるようになる。
そして、このようにピークレベルVpが保護設定電圧のレベルを超えたことが検出されることにより、この制御・駆動回路1では、図6で説明したようにしてスイッチング素子Q1のスイッチング周波数が高くなるように制御する動作が得られるようになる。
このような制御・駆動回路1における過電圧保護動作により、以降はこのピークレベルVpが保護設定電圧を超えないように制御されるようになる。
【0063】
このように、第2の実施の形態のスイッチング電源回路においては、例えば負荷が短絡した場合には、過電流検出抵抗R10により負荷短絡直後の過大なレベルの負荷電流が検出されることで、過負荷保護回路7の動作が開始され、スイッチング素子Q1に対するスイッチング周波数制御動作が行われるようになる。
そして、この過負荷保護回路7の動作は、上記負荷電流のレベルに応じて行われるようにされる。また、この負荷電流は、負荷短絡直後の過大なレベルから、二次側直流出力電圧EOの低下に伴い徐々に減少していくものである。
このため、上記過負荷保護回路7の動作によっては、負荷短絡直後においては、スイッチング素子Q1のスイッチング周波数を急激に高くする動作が得られるようになってピークレベルVpが大幅に抑制されるようになり、その後、上記のように負荷電流のレベルが徐々に低下するのに伴って、ピークレベルVpが徐々に上昇していくようになる。
これにより、負荷短絡直後において、ピークレベルVpが急激に上昇するのを防止することができるようになる。
【0064】
そして、上記のようにピークレベルVpが徐々に上昇し、制御・駆動回路1において保護設定電圧を超えたことが検出されると、以降はこの制御・駆動回路1による過電圧保護動作が行われるようになり、引き続きピークレベルVpを保護設定電圧のレベル以下に抑制することができるようになる。
【0065】
なお、上記各実施の形態では、二次側にも共振回路を備える複合共振形スイッチング電源回路の構成を例示したが、勿論、本発明は二次側に共振回路を備えない他の電圧共振形のスイッチング電源回路に対しても好適に適用することが可能なものである。
【0066】
また、第1の実施の形態では、平滑コンデンサCiの両端電圧である入力直流電圧Eiのレベルに応じて最大オン時間の時間長を設定する例を挙げたが、これに代えて、交流入力電圧VACを検出するようにし、これに応じて最大オン時間の時間長を設定するようにしてもよい。
【0067】
また、第2の実施の形態では、過負荷保護回路7に、過負荷保護トランジスタQ3を用いた場合を例として挙げたが、この過負荷保護回路7としては、例えば差動アンプ等、他の検出手段を用いることも可能である。
【0068】
さらに、第2の実施の形態では、一次側共振電圧V1を検出する手段として、一次側並列共振コンデンサCrに並列に設けられる過電圧検出回路6を構成する場合を例に挙げた。しかしながら、上記検出手段としては、例えばコンバータトランスTRの一次巻線N1に対して密結合となる巻線を新たに設け、これに発生する一次側共振電圧V1に相似な波形を検出するなど、間接的に一次側共振電圧V1を検出することが可能な他の構成が採られても構わないものである。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、本発明のスイッチング電源回路は、負荷電流が過電流とされる所定レベルに達したことに応じて、上記負荷電流のレベルに応じたスイッチング素子に対するスイッチング周波数制御動作を開始する過負荷保護手段を設けるようにしている。
そして、これにより、例えば負荷短絡直後において急激に上昇するとされる、スイッチング素子のコレクタ−エミッタ間電圧のレベルを抑制することが可能となる。
また、これと共に本発明のスイッチング電源回路は、上記コレクタ−エミッタ間電圧が過電圧とされる所定レベルに達するのに応じて、上記スイッチング素子のスイッチング周波数を制御する過電圧保護手段も設けるようにしている。
そして、これにより、例えば上記負荷電流が次第に流れなくなっていくのに伴って、上記過負荷保護手段によるスイッチング周波数制御動作が行われなくなり、上記コレクタ−エミッタ間電圧のレベルが徐々に上昇したとしても、引き続き上記コレクタ−エミッタ間電圧のレベルを抑制することが可能となる。
【0071】
このように、本発明のスイッチング電源回路によっては、例えば負荷が短絡した場合においても、スイッチング素子のコレクタ−エミッタ間電圧のレベルが所定のレベル(スイッチング素子の定格電圧)を越えないように制御することが可能となる。
これにより、本発明によっては、負荷短絡時においてスイッチング素子が破壊されるのを防止することが可能となる。
【0072】
また、上記のようにして、負荷短絡時における上記コレクタ−エミッタ間電圧のレベルを抑制することが可能となることにより、スイッチング素子として従来よりも定格電圧の低いものが使用可能となる。
そして、このように定格電圧の低い素子を使用可能となることによっては、機器の小型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成を示す回路図である。
【図2】 上記第1の実施の形態のスイッチング電源回路における、最大オン時間制御の例を示す図である。
【図3】 上記第1の実施の形態のスイッチング電源回路におけるスイッチング動作を説明する波形図である。
【図4】 上記第1の実施の形態のスイッチング電源回路におけるスイッチング動作を説明する波形図である。
【図5】 上記第1の実施の形態のスイッチング電源回路における、最大オン時間制御動作時におけるピークレベルVpの変化特性を例示する図である。
【図6】 本発明の第2の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成を示す回路図である。
【図7】 上記第2の実施の形態のスイッチング電源回路における、負荷短絡時の動作を説明するための波形図である。
【図8】 先行技術としてのスイッチング電源回路の構成を示す回路図である。
【図9】 図8の回路に用いられるコンバータトランスの構造を示す斜視図である。
【図10】 図8の回路における共振周波数特性を例示する図である。
【図11】 図8の回路におけるスイッチング動作を説明する波形図である。
【図12】 図8の回路におけるスイッチング動作を説明する波形図である。
【図13】 図8の回路にけるピークレベルVpの変化特性を例示する図である。
【図14】 先行技術として、スイッチング素子のオン時間の上限を定めるスイッチング電源回路におけるピークレベルVpの変化特性を例示する図である。
【図15】 図8の回路にける負荷短絡時の動作を説明するための波形図である。
【図16】 上記スイッチング素子のオン時間の上限を定めるスイッチング電源回路における、負荷短絡時の動作を説明する波形図である。
【図17】 上記スイッチング素子のオン時間の上限を定めるスイッチング電源回路における、負荷短絡時の動作を説明する波形図である。
【符号の説明】
Di ブリッジダイオード、Ci 平滑コンデンサ、Q1 スイッチング素子、Q2、シャントレギュレータ、Q3 過負荷保護トランジスタ、TR コンバータトランス、N1 一次巻線、N2 二次巻線、C 一次側並列共振コンデンサ、C2 二次側並列共振コンデンサ、R10 過電流検出抵抗、1 制御・駆動回路、1a 最大オン時間制御部、5 入力電圧検出回路、6 過電圧検出回路、7 過負荷保護回路

Claims (1)

  1. 商用交流電源を入力し整流平滑することで直流入力電圧を得る直流入力電圧生成手段と、
    上記直流入力電圧を入力して断続するようにしてスイッチング動作を行うスイッチング素子を備えるスイッチング手段と、
    上記スイッチング手段のスイッチング出力を一次側から二次側に伝送するために設けられ、少なくとも一次側に一次巻線、二次側に二次巻線を備えるコンバータトランスと、
    少なくとも、上記コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分と上記スイッチング素子に並列接続された一次側並列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成され、上記スイッチング手段の動作を電圧共振形とする一次側並列共振回路と、
    上記コンバータトランスの二次巻線に得られる交番電圧を入力して整流動作を行って、二次側直流出力電圧を生成するように構成された直流出力電圧生成手段と、
    上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて上記スイッチング素子のオン期間の長さを制御することにより、上記二次側直流出力電圧に対する定電圧制御を行うように構成された定電圧制御手段と、
    上記二次側直流出力電圧の負荷に流れるとされる負荷電流を検出し、上記負荷電流が過電流とされる所定レベルに達するのに応じて動作を開始すると共に、上記負荷電流のレベルに応じ上記スイッチング素子のオン期間の長さの制御として、上記負荷電流のレベルが高いときには上記オン期間を短くするように制御し、上記負荷電流のレベルの低下に応じては上記オン期間を長くするように制御する過負荷保護手段と、
    上記スイッチング手段におけるスイッチング素子のコレクタ−エミッタ間電圧を検出するようにして設けられると共に、上記コレクタ−エミッタ間電圧が、上記過負荷保護手段による上記オン期間の制御に伴って上昇して過電圧とされる所定レベルに達するのに応じて上記スイッチング素子のオン期間の長さを制御することで上記コレクタ−エミッタ間電圧のレベルを抑制する過電圧保護手段と
    を備えるスイッチング電源回路。
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