JP4248106B2 - Seat belt device - Google Patents
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Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は車両などのシートベルト装置に関し、特に、余分のウェビング(シートベルト)を自動的に巻取るリトラクタに設けられて、車両急減速時等に、ウェビングの巻取軸を強制的に回転させてウェビングの弛みを取り、乗員を一時的に座席に拘束してより一層の安全を図るようにしたシートベルト装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のリトラクタ用プリテンショナとしては、ウェビングの緊急巻き取り構造の原理の観点から種々のものが知られている。例えば、球状の転動体をガス圧などで押し出す方式のものとしては、特開昭56-23972号、ドイツ特許公開「DE 195 12 660 A1」号、ドイツ特許公開「DE 196 02 549 A1」号、米国特許5,690,295号、特開昭56-23972号等に記載のものが知られている。
【0003】
これらの転動体を備えたプリテンショナは、車両の衝突時に複数の転動体を高圧ガスによってパイプ内を圧送させ、この転動体をリトラクタシャフトの周りに取り付けた駆動歯車に順次係合させることにより、リトラクタシャフトを巻取方向に回転させシートベルトを急速に巻き取る構造を有している。
【0004】
通常は、転動体の移動通路となるパイプをくねらせ、または渦巻き状に曲げて十分な長さの転動体を移動させるストロークを確保できるように努めている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記転動体通路等を設けることにより、プリテンショナ全体の容積が増大し、複雑化して、リトラクタの大型化は不可避的である。
【0006】
よって、 本発明は、プリテンショナを小型化及び簡素化して、車載の容易化を図ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のシートベルト装置は、圧力室とこの圧力室に連通する第1及び第2の移動体通路とを含むハウジングと、上記ハウジングに備えられて上記圧力室に高圧ガスを発生する圧力印加装置と、上記第1の移動体通路内に配置される移動体と、上記高圧ガスの圧力を受けて上記第1の移動体通路内の移動体を移動させる押出し部材と、ウェビングの巻取軸に装着されて、外周が巻取方向に回転すると、上記巻取軸と連結するクラッチと、上記クラッチの外周に一端が取付けられてこれに巻回され、他端が上記移動体との係合を経て上記ハウジングに取付られる引張り媒体と、を備え、上記圧力室及び上記第1の移動体通路はそれぞれ断面円形の第1のパイプ及び断面角形の第2のパイプによって形成される、プリテンショナ機構を含むリトラクタを有する。
【0008】
かかる構成により、移動体の短い移動距離によって巻取軸の所要の回転量が得られ、第1のパイプ(シリンダ)の長さ及び奥行寸法を小さくすることが可能となる。
【0009】
好ましくは、上記移動体は転動可能な円筒(円柱)形のコロである。それにより、転動体は直線及び周回の移動体通路を移動可能である。
【0010】
また、本発明のシートベルト装置は、圧力室と、上記圧力室と一体に連通し内部に移動体を収容した移動体通路と、上記圧力室に高圧ガスを発生する圧力印加装置と、上記移動体通路内に配置される移動体と、上記高圧ガスの圧力を受けて上記移動体通路内の移動体が移動すると、ウエビングの巻き取り軸に装着されているクラッチが作動してウエビングを巻き込むプリテンショナ機構と、を含むプリテンショナ機構を含むリトラクタを備えるシートベルト装置であって、上記圧力室と上記移動体通路は略L字状のパイプによって形成され、当該パイプはL字コーナー部に下方にくびれたくびれ部を有する。L字コーナー部にくびれ部を設けることによって移動体のストロークをくびれを設けない場合に比べて大きくしている。
好ましくは、上記第1のパイプ及び第2のパイプ相互間はくびれ部を介して連通し、該くびれ部によって上記第2のパイプは移動体のストロークが増すようになされる。また、該くびれ部によって上記第1のパイプの中心軸がくびれ部内径中心よりも上記巻取軸側に位置することが可能となる。それによって、圧力発生部の取付位置を巻取軸側に寄せ、プリテンショナの外形を小さくすることが可能となる。
【0011】
好ましくは、上記第1のパイプ及び第2のパイプは一体に形成される。
【0012】
好ましくは、上記第2のパイプは直線的にあるいは湾曲して形成される。
【0013】
好ましくは、上記第1のパイプの入口に上記圧力印加装置を挿入し、該パイプ入口をかしめて前記圧力印加装置を固定する。
【0014】
好ましくは、上記押出し部材は、上記第2のパイプの内壁に形成された突起によって位置決めされる。
【0015】
好ましくは、上記第2のパイプの上部側面に転動体の出入口を設け、パイプ上端部にパイプをハウジングに取付ける取付手段(例えば、ボルト穴や係合構造)を形成する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係るプリテンショナを含むリトラクタを備えたシートベルト装置について図面を参照して説明する。なお、各図において、同一または対応する部分には同一符号を付し、かかる部分の重複する説明は省略する。
【0017】
図1は、実施の形態に係るシートベルト装置用リトラクタをその軸方向側面から見た状態を示す説明図であり、図2に示すプリテンショナ12のI−I方向における一部断面図にて示している。図2は、図1に示すリトラクタ10の、プリテンショナ12のII−II方向における断面図である。図3は、プリテンショナ部のクラッチ44の構成を説明する説明図である。図4及び図5は、クラッチ44の動作を説明する説明図である。図6乃至図11は、圧力室30及び移動体通路(シリンダ)38aを構成するパイプ60を説明する説明図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、実施の形態に係るシートベルト装置のリトラクタ10は、車体に取付けるための板状のリトラクタベース16と、このリトラクタベース16上に固定された、ウェビング(図示せず)を巻き取るリトラクタ本体13と、このリトラクタ本体13の軸方向の一端部に設けられた緊急ロック機構14と、もう一端部に順次設けられたプリテンショナ12及び巻き取りばね装置11を備える。
【0019】
リトラクタ本体13は、ウェビングを巻き取りまたは引き出し自在な巻取リール22を備える。巻取リール22は、その巻取軸であるリトラクタシャフト24に連結された巻取りバネ装置11によりウェビングが巻き取られる方向に常時付勢されている。さらに、ウェビングが所定値以上の加速度で引き出されようとすると、リトラクタシャフト24の軸方向の一端に連結している緊急ロック機構14が作動し、リトラクタシャフト24の回転が阻止され、ウェビングが引き出されないように構成されている。
【0020】
なお、リトラクタシャフト24の巻取リール22部はねじりシャフト24aとされており、例えば、特開昭46−7710号に示されるように、過大な力が加わるとねじりシャフト24aがねじられ、部材が塑性変形してリトラクタシャフト24がウェビング引出し方向に回転可能となるようになされる。それにより、緊急時のウェビングの引出しを自由にする。
【0021】
プリテンショナ12は、リトラクタ10のハウジング26に形成される。プリテンショナ12は、車両の衝突時等急な減速が発生したときに、ウェビングを強制的に巻き取って、該ウェビングの弛みを瞬時に解消する機能を備える。以下、この機能を実現する構成を説明する。
【0022】
プリテンショナ12は、概略、ウェビングの巻取リール22に連結されるリトラクタシャフト24、リトラクタシャフト24に取付けられてウェビングの巻取方向に回転するときにリトラクタシャフト24と連結するクラッチ44、クラッチ44の外周に巻回された引張り媒体40、引張り媒体40に係合する移動体36、引張り媒体40が横切ると共に移動体36を案内する移動体通路38、移動体36を移動させる圧力印加装置32等によって構成される。移動体通路38は、直線状の通路(シリンダ)38aとシャフト24を中心に周回する周回通路38bとを含む。クラッチ44、引張り媒体40、移動体通路38bを収容するハウジングの空間は、蓋体28によって密閉される。
【0023】
図2に示すように、ウェビングの巻取りを行うリトラクタシャフト24は略ハウジング中央に位置し、クラッチ装置44が設けられる。クラッチ装置44は、その外周が図示の状態において反時計方向に回転したときに動作して、リトラクタシャフト24と連結し、クラッチ外周の回動をリトラクタシャフト24に伝達する。その他の場合、すなわち、クラッチ外周の時計方向の回動及びリトラクタシャフト24の回転に対しては、クラッチ装置44は動作せず、クラッチ装置44とリトラクタシャフト24相互間での力の伝達は生じない。
【0024】
図3に示すように、クラッチ装置44は、スリーブ44aと、プレート44bと、プーリー44cと、を備えている。
【0025】
プレート44bには、軸方向に折曲げられた複数の突起(爪)44bbが形成され、各突起44bbが変形し易いようにプレート44bの各突起44bbの根本に穴44baが開けられている。プレート44bの折曲げられた突起(爪)44bbの断面積は、図示の例では、四角形であるが、円形、楕円形、弓なり(円弧)形状等種々のものを適宜に選択可能である。
【0026】
スリーブ44aは、図1及び図2に示すように、リトラクタシャフト24の右端側に取付けられかつリール22とも連結されている。スリーブ44aのプーリー44cと対向する面には軸(リトラクタシャフト24)を一周する多数の溝山(ローレット目)が軸方向に形成され、プレート44bの突起44bbが接触すると噛合力を発生する。
【0027】
プーリー44cは、その外周面に引張り媒体40が取付けられ、内周面にカム面が形成される。このカム面は、プレート44bの突起44bbを介してスリーブ44aの溝山部と対向する。プレート44bは、プーリー44cが回動した後に、遅れて回動し、ズレ(位相差)が生じるように、慣性体、摩擦保持、剪断ピン、等によって保持される。例えば、プーリー44cは、その側面とハウジング26とでプレート44bを挟持し、位相差が生じるような適当な摩擦力を発生させる。
【0028】
図4及び図5は、クラッチ装置44の動作を説明する説明図である。図4に示す状態において、プーリー44cがプレート44bに対して相対的に回転すると、プーリー44cのカム面により突起44bbが軸心側に曲げられ、スリーブ44aの溝山に突き当る。そして、図5に示すように、プーリー44cの内面とスリーブ44aの溝山との間に突起44bbが介在することとなり、プーリー44cの反時計方向の回転が、突起44bb及びスリーブ44aを介してリトラクタシャフト24に伝達される。それにより、ウェビングの巻取りが可能となる。
【0029】
クラッチ装置44のプーリー44cの外径はリール22の外径よりも小径となっている。クラッチ44(プーリー44c)の外周面には、増速機構としての引張り媒体40を複数回巻き付けている。引張り媒体40は、線状体あるいは帯状体であり、例えば、ワイヤ、ロープ、鋼などの、所定幅及び長さの金属材料等で形成されている。引張り媒体40の一端は、クラッチの外周面に設けられた図示しないフック、ネジ、スポット溶接等によって固定される。この引張り媒体40を、例えば、2回、反時計方向に巻回した後、他端の係止部材46をハウジング26の係止部材収容空間26aに挿入し、係止する。
【0030】
クラッチ装置44の外周とハウジング26の内周とによって、移動体の周回通路38bが形成される。図示の例では、リトラクタシャフト24を中心とする略3時の位置から反時計方向に6時の位置まで周回通路38bが形成されているが、ハウジング26の内周に螺旋状に溝を設けて周回する移動体通路を形成しても良い。
【0031】
図2に示すように、リトラクタシャフト24の右下側のハウジング26には、周回通路38bに連通する上下方向に延在する移動体通路38aが設けられる。移動体通路38aは、パイプ64によって形成される。直線状の通路38a及び周回状の通路38bは移動体通路38を構成する。なお、後述するように、通路38aは直線状に限定されない(図10参照)。
【0032】
パイプ64の内部には、下部に弾力性のある押出し部材42が挿入され、その上部には、複数個の転動体36が列状に挿入される。パイプ64と押出し部材42とは、後述のように、転動体36を周回路38bに押出すシリンダとピストンとして機能する。押出し部材42は、その弾性部材をパイプ内壁に密着してガス漏れを防止するべく、組込み前は、直線路(シリンダ)部分38aの内径よりも僅かに大きい外径をしている。
【0033】
前述したように、移動体の通路38a内には、円筒状の転動体36が複数、互いに当接し且つ転動自在な状態で1列に挿入されている。この複数の転動体36の先頭は、図2に示すように、ハウジング26の内壁面とクラッチ44との間に位置する。クラッチ44に巻回された引張り媒体40は、先頭の転動体36の側面に接して半周し、転動体36とハウジング26の内壁面との間を通って、ハウジング26の係止部材収容空間26aに引張り媒体40端部の係止部材46を入れて係合する。好ましくは、先頭の転動体36には、その外周中央部を一周する引張り媒体40との係合溝を形成する。
【0034】
パイプ64の底部は、くびれ部66を介してリトラクタシャフト24の下部に横方向に延在するパイプ62と連通する。パイプ62とパイプ64とによってL型のパイプ60を一体的に形成する。
【0035】
パイプ62内は圧力室30となっている。パイプ62の開口部に圧力印加装置32が挿入され、パイプ端部68がかしめられることにより、圧力印加装置32がパイプ62に取付けられる。
【0036】
圧力印加装置32は、例えば、横置形の加圧ガス発生装置であり、この加圧ガス発生装置は、電極と、点火装置と、高圧ガス発生剤とを内蔵する。上記電極には、車両の衝突時に発生する急激な加速度を検出する図示しないショックサンサからの信号を伝える点火信号伝達用ハーネスが接続されている。ショックセンサから点火信号が電極に伝えられると、点火装置が高圧ガス発生剤を発火させて高圧ガスを瞬時に発生させる。
【0037】
図6及び図7に示すように、L型のパイプ60は、パイプ62の圧力印加装置32装着部分は断面円形であり、パイプ64のシリンダ部分は断面四角形である。転動体36は、例えば、直径が厚さ(高さ)よりも十分に大きい円筒形のコロを使用する。
【0038】
図8に示すように、シリンダ部分を断面円形ではなく、断面四角形とすることによって、ピストン(押上げ部材42)に同じガス圧力密度が印加される条件では、リトラクタ13の幅方向(リトラクタシャフト24の軸方向)の寸法hをより小さくすることが出来、リトラクタ13の小型化に寄与し得る。
【0039】
図9に示すように、L型のパイプ60にくびれ部66を形成し、上側のくびれ66aを下方に形成することによってシリンダ長Lを、くびれ部66を設けない場合のシリンダ長lに比べて、シリンダ長は、L>lとなり、シリンダ部のストローク長をより長く確保することが可能となる。これにより、押上げ部材42によって圧力が保持される距離が長くなり、移動体の移動距離が増して具合がよい。
【0040】
また、くびれ部66の下側のくびれ66bを介してパイプ62の中心軸Aをくびれ部66の内径の中心Bよりも上方に持上げることによって、ガス発生装置32の取付中心位置を上方向にΔhだけ移動させることが可能となる。それにより、ガス発生装置32の位置をリトラクタシャフト24側に近づけることが可能となり、装置の小型化に寄与し得る。
【0041】
ガス発生装置32により、転動体列の下端の転動体36に押出し部42を介して強い圧力を加えると、その圧力は反対側の転動体36に伝わり、この複数個の転動体36が列全体として一体に移動体通路38a内を移動可能である。この転動体36の列が移動して移動体通路38aから周回通路38bに移動するとき、その先頭の転動体36は引張り媒体40を押しながら、かつ、クラッチ44の外周とハウジング26の内周とによって形成される周回通路38bの円周軌道を周回する。すなわち、ハウジング26の内面には、必要により、移動体通路38aに連通しかつクラッチ装置44の外周部との間に周回状の溝が形成されており、転動体36は、この周回状の溝を周回する。
【0042】
図10は、パイプ60の他の構成例を示している。この例では、図7のパイプ例と同様に、パイプ62の断面形状は円形であり、パイプ64の断面形状は四角形である。ただし、図7のパイプ(シリンダ)64の場合とは異なり、パイプの延在の仕方が直線的ではなく、湾曲している。このようなシリンダが湾曲したあるいは円弧状のであっても、転動体40を移動体の周回通路38b中に押出すことが可能であり、図2に示すプリテンショナと同様の作用効果が期待可能である。
【0043】
図11は、押出し部材42の初期位置を定める突起60aの例を示している。突起60aは、パイプ64の内壁に形成されており、1つ若しくは複数の突起60aにより、あるいは内壁を一周する突起によって構成される。突起60aは、例えば、パイプ64の側面を押出し加工や打出し加工することによって形成される。また、ねじやリベット取付、突起片の溶接などによって形成することも可能である。この突起60aの上側に押出し部材42が係止し、押出し部材42の位置決めと転動体36の落下防止が図られる。なお、押出し部材42は、自身の弾性によってパイプ60の内壁と密着するので突起60aを用いない場合もある。
【0044】
次に、この実施の形態の動作について説明する。まず、乗員が車両に乗り、着座してウェビングを装着した初期状態では、プリテンショナ12は、図2に示す初期(未動作)状態にある。この初期状態の場合、図4に示すように、プレート44bの突起部44bbとスリーブ44aは離間しているので、クラッチ装置44はプリテンショナ12の動作には何ら関与しない。従って、巻取リール22から引出されたウェビングが弛むと、巻き取りバネ装置11によりリトラクタシャフト24が巻取方向に回転され、余分のウェビングが巻取られる。
【0045】
このような初期状態において、車両に衝突時等の急激な速度減が生じると、図示しないショックサンサから点火信号が圧力印加装置32に供給される。圧力印加装置32は瞬時に加圧ガスを発生し、この加圧ガスが圧力室30に放出される。これにより、圧力室30は高圧となり、複数の突起60aによって位置決めされた押出し部材42に下方から急激な押圧力が作用し、転動体列全体が移動通路38aから上方に向かって瞬時のうちに押し出される。
【0046】
この押し出しの力は初期状態において転動体列を押えている引張り媒体40の力に優る。転動体列の先頭は、引張り媒体40が移動通路38bを横断する部分と係合し、これを押しながら周回通路38bへと移動する。すなわち、転動体列が円周軌道に沿って形成された周回通路38bを移動する周回運動を行う。
【0047】
このとき引張り媒体40は、その一端がクラッチ44のプーリー44cの外周に固定され、このプーリー44cに1回以上巻回されて、他端は係止部材46が収容空間26a内壁に係止されている。このため、周回運動に移行したコロ列により強く押された引張り媒体40は、プーリー44cから引出され、この引出しによって、プーリー44cは回転する。いわゆる「動滑車の原理」によって、転動体列の移動距離の2倍の長さ分だけ、クラッチ外側に巻回された引張り媒体40が引き出される。これにより、クラッチ44のプーリー44cは引張り媒体40の引出し量に対応した角度だけ回転する。別言すれば、引張り媒体40は2倍の増速作用を発揮し、クラッチ外周となるプーリー44cをその増速状態で図4の矢印方向に回転させる。
【0048】
これにより、プーリー44cとプレート44bとにズレが生じ、プーリー44c内周の複数のカム面がそれぞれプレート44bの複数の突起部44bbを変形して、突起部44bbを軸心方向に押出す。突起部44bbはスリーブ44aの溝山部に噛込まれ、クラッチ装置44が連結動作する(図5参照)。引張り媒体40で代表される増速機構(即ちプリテンショナー12)とリトラクタシャフト24とが結合し、クラッチ装置44の回転と一体にリトラクタシャフト24も矢印A方向に回転する。
【0049】
転動体列の回転動が進むにつれて、引張り媒体40による引き込み量も多くなり、リトラクタシャフト24の回転は一気に進む。リトラクタシャフト24の回転トルクによって、リトラクタシャフト24が連結されたウェビングの巻取リール22が強制的に回転し、ウェビングが極めて短時間の内に巻き取られる。これにより、ウェビングが締め上げられ、乗員は座席に強制的に拘束され、乗員の安全が図られる。
【0050】
図12及び図13は、本発明の他の実施形態を示している。図12は、図2と対応して示す他のプリテンショナ例の断面図であり、同図において図2と対応する部分には、同一符号を付し、かかる部分の説明は省略する。図13は、図12のプリテンショナで使用されるL型のパイプ60の例を説明する斜視図である。
【0051】
図12に示されるプリテンショナでは、L型のパイプ60がハウジング26に対して斜めに取付けられている。パイプ60の先端部にはねじ穴67が設けられており、取付けボルトなどによってパイプ60をハウジングに取付ける。このパイプ60の断面角形のパイプ64部分の上部側面の両側に開口部69a及び69bが形成されている(図13参照)。この内、リトラクタシャフト24側の開口部69aは転動体の出入口となっている。パイプ64によって形成される転動体通路38aに配置された複数の転動体36の先端部の転動体36は略開口部69に位置する。クラッチ44の外周部に巻回された引張り媒体40は、開口部69aを通り、先端の転動体36を半周してパイプ64の右側開口部69bからパイプ64を抜け、該パイプ右側のハウジング26に形成された係止部材収容空間26aに入る。引張り媒体40の先端部の係止部材46は、係止部材収容空間26a内にて係止される。
【0052】
この実施の形態によれば、圧力保持が必要なパイプ60をボルトなどによってハウジング26に固定する。高圧が印加されるL型パイプをより確実に固定することが出来る。
【0053】
このように、本発明の実施の形態に係るプリテンショナによれば、移動体(転動体36の列あるいは単一の移動体(例えば、特願平10−354940号参照))、引張り媒体40、移動体通路38b、リール22よりも小径のクラッチ44等を中心とする「動滑車」原理の増速機構とを組み合わせるという従来には無いユニークな構造を採用したので、移動体36の移動量に対応する、移動体を収容するシリンダ38aのストロークが少なくて済む。また、シリンダ38aの断面形状を四角形とすることにより、シリンダ38aのリトラクタシャフト軸方向の寸法も短くすることが可能となる。従って、シリンダ38aの長さ及び奥行の寸法が比較的に短くなり、プリテンショナ全体が小形化されて車載条件が緩和される。また、シリンダをパイプによって形成し、押出し部材のシール性も良いので、移動体通路の加工工程も簡単化され、これにより、製造コストを低減させることが可能となる。
【0054】
また、ガス発生装置32を断面円形のパイプに挿入することにより、ガスのシール性が高められる。ガス発生装置32を挿入するパイプ部分を断面円形とすることにより、ガス発生装置32をかしめて固定することも容易である。
【0055】
また、パイプ60の側面69aから転動体が出入りする構造とすることによってパイプ先端部をパイプの固定(取付)部として使用することが出来る。取付部には、ボルト穴やハウジングと嵌合する鍔等を形成することが出来る。
【0056】
なお、既述の実施の形態の構成要素に作用効果を同じにする変更が行われ、あるいは構成要素の追加・削除が行われ得るが、そのような変更例は本願発明の範囲と均等である。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るプリテンショナを備えるシートベルト装置は、増速機構を備えて押出し部材42のストロークを短くし、シリンダ断面を四角形としたことにより、シリンダ(パイプ)寸法を小型化したので、プリテンショナの小形化および簡素化が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シートベルト装置のリトラクタ装置10をリトラクタシャフト24の軸方向外側から見た一部断面図である。
【図2】このリトラクタ装置に設けられたプリテンショナ12を説明する断面図である。
【図3】プリテンショナに使用されるクラッチ44を説明する分解斜視図である。
【図4】クラッチ44の初期(未動作)状態を説明する説明図である。
【図5】クラッチ44の連結(動作)状態を説明する説明図である。
【図6】パイプ60を説明する斜視図である。
【図7】パイプ60を説明する断面図である。
【図8】円筒型パイプと角形パイプを使用した場合の寸法の違いを説明する説明図である。
【図9】パイプ60のくびれ66の効果を説明する説明図である。
【図10】パイプ60の他の例を説明する説明図である。
【図11】図11は、押上げ部材42をパイプ64内に係止する突起60aを説明する説明図である。
【図12】図12は、他のプリテンショナの例を説明する断面図である。
【図13】図13は、側面に開口部69a及び69bと先端部にボルト穴67を有するパイプ60の例を説明する斜視図である。
【符号の説明】
10 リトラクタ
12 プリテンショナ
24 リトラクタシャフト
26 ハウジング
28 蓋体
32 加圧ガス発生装置(圧力印加装置)
36 転動体
38 移動体通路
38a 移動体通路(シリンダ部)
38b 移動体通路(周回路部)
40 引張り媒体
42 押出し部材
44 クラッチ装置[0001]
[Technical field to which the invention belongs]
The present invention relates to a seat belt device for a vehicle or the like, and more particularly to a retractor that automatically winds up an extra webbing (seat belt), and forcibly rotates a webbing take-up shaft when the vehicle suddenly decelerates. The present invention relates to an improvement in a seat belt device that takes up slack of webbing and temporarily restrains an occupant to a seat to further enhance safety.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, various types of retractor pretensioners are known from the viewpoint of the principle of the emergency winding structure for webbing. For example, as a method of extruding a spherical rolling element by gas pressure or the like, JP-A-56-23972, German Patent Publication “DE 195 12 660 A1”, German Patent Publication “DE 196 02 549 A1”, U.S. Pat. No. 5,690,295 and JP-A-56-23972 are known.
[0003]
In the pretensioner equipped with these rolling elements, a plurality of rolling elements are pumped through a pipe with high-pressure gas at the time of a vehicle collision, and the rolling elements are sequentially engaged with a drive gear attached around a retractor shaft. It has a structure in which the retractor shaft is rotated in the winding direction and the seat belt is rapidly wound.
[0004]
Usually, an effort is made to secure a stroke for moving a sufficiently long rolling element by twisting a pipe serving as a moving path of the rolling element or bending it in a spiral shape.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
However, by providing the rolling element passage and the like, the volume of the entire pretensioner is increased and complicated, and the size of the retractor is inevitable.
[0006]
Therefore, an object of the present invention is to make the pretensioner smaller and simpler and facilitate vehicle mounting.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, a seat belt device of the present invention includes a housing including a pressure chamber and first and second moving body passages communicating with the pressure chamber, and a high pressure in the pressure chamber provided in the housing. A pressure applying device that generates gas; a moving body disposed in the first moving body passage; and an extruding member that receives the pressure of the high-pressure gas and moves the moving body in the first moving body passage. When the outer periphery of the webbing is attached to the winding shaft and rotates in the winding direction, one end is attached to the outer periphery of the clutch connected to the winding shaft, and the other end is wound around the clutch. A tension medium attached to the housing through engagement with a moving body, wherein the pressure chamber and the first moving body passage are formed by a first pipe having a circular cross section and a second pipe having a square cross section, respectively. To be, Prete With a retractor, including the tensioner mechanism.
[0008]
With this configuration, a required rotation amount of the winding shaft can be obtained by a short moving distance of the moving body, and the length and depth dimension of the first pipe (cylinder) can be reduced.
[0009]
Preferably, the movable body is a rollable cylindrical (column) roller. Thereby, the rolling element can move along the linear and circular moving body passages.
[0010]
The seat belt device of the present invention includes a pressure chamber, a moving body passage integrally communicating with the pressure chamber and containing a moving body therein, a pressure applying device for generating high-pressure gas in the pressure chamber, and the moving When the movable body arranged in the body passage and the movable body in the movable body passage are moved under the pressure of the high-pressure gas, the clutch mounted on the webbing take-up shaft is actuated to wind the webbing. A seat belt device including a retractor including a pretensioner mechanism including a tensioner mechanism, wherein the pressure chamber and the moving body passage are formed by a substantially L-shaped pipe, and the pipe is downwardly formed in an L-shaped corner portion. It has a constricted constricted part. By providing the constriction at the L-shaped corner, the stroke of the moving body is made larger than when the constriction is not provided.
Preferably, the first pipe and the second pipe are communicated with each other via a constricted portion, and the constricted portion causes the second pipe to increase the stroke of the moving body. In addition, the constricted portion enables the central axis of the first pipe to be positioned closer to the winding shaft than the inner diameter center of the constricted portion. As a result, the mounting position of the pressure generating portion can be moved closer to the winding shaft, and the outer shape of the pretensioner can be reduced.
[0011]
Preferably, the first pipe and the second pipe are integrally formed.
[0012]
Preferably, the second pipe is formed linearly or curved.
[0013]
Preferably, the pressure applying device is inserted into the inlet of the first pipe, and the pressure applying device is fixed by caulking the pipe inlet.
[0014]
Preferably, the pushing member is positioned by a protrusion formed on the inner wall of the second pipe.
[0015]
Preferably, an entrance / exit of a rolling element is provided on the upper side surface of the second pipe, and attachment means (for example, a bolt hole or an engagement structure) for attaching the pipe to the housing is formed at the upper end of the pipe.
[0016]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, a seat belt device provided with a retractor including a pretensioner according to an embodiment of the present invention will be described with reference to the drawings. Note that, in each drawing, the same or corresponding parts are denoted by the same reference numerals, and redundant description of such parts is omitted.
[0017]
FIG. 1 is an explanatory view showing a state in which a retractor for a seat belt apparatus according to an embodiment is viewed from the side surface in the axial direction, and is shown in a partial sectional view in the II direction of the
[0018]
As shown in FIGS. 1 and 2, a
[0019]
The
[0020]
The take-
[0021]
The
[0022]
The
[0023]
As shown in FIG. 2, the
[0024]
As shown in FIG. 3, the
[0025]
A plurality of projections (claws) 44bb bent in the axial direction are formed on the
[0026]
As shown in FIGS. 1 and 2, the
[0027]
Pulling
[0028]
4 and 5 are explanatory diagrams for explaining the operation of the
[0029]
The outer diameter of the
[0030]
The outer circumference of the
[0031]
As shown in FIG. 2, the
[0032]
An
[0033]
As described above, a plurality of cylindrical
[0034]
The bottom portion of the
[0035]
Inside the
[0036]
The
[0037]
As shown in FIGS. 6 and 7, in the L-shaped
[0038]
As shown in FIG. 8, the cylinder portion is not cross-sectionally circular but rectangular in cross-section, so that the same gas pressure density is applied to the piston (pushing member 42) in the width direction of the retractor 13 (retractor shaft 24). The dimension h in the axial direction) can be further reduced, which can contribute to downsizing of the
[0039]
As shown in FIG. 9, the
[0040]
Further, by lifting the central axis A of the
[0041]
When a strong pressure is applied to the rolling
[0042]
FIG. 10 shows another configuration example of the
[0043]
FIG. 11 shows an example of the
[0044]
Next, the operation of this embodiment will be described. First, in an initial state in which an occupant gets on a vehicle, sits down, and wears a webbing, the
[0045]
In such an initial state, when a sudden speed reduction occurs during a collision or the like in the vehicle, an ignition signal is supplied to the
[0046]
This pushing force is superior to the force of the
[0047]
At this time, one end of the
[0048]
Thereby, the
[0049]
As the rotational movement of the rolling element row proceeds, the amount of pulling by the
[0050]
12 and 13 show another embodiment of the present invention. FIG. 12 is a cross-sectional view of another pretensioner example shown in correspondence with FIG. 2. In FIG. 12, parts corresponding to those in FIG. 2 are denoted by the same reference numerals, and description thereof is omitted. FIG. 13 is a perspective view illustrating an example of an L-shaped
[0051]
In the pretensioner shown in FIG. 12, an L-shaped
[0052]
According to this embodiment, the
[0053]
As described above, according to the pretensioner according to the embodiment of the present invention, a moving body (a row of rolling
[0054]
Further, by inserting the
[0055]
Further, by adopting a structure in which rolling elements come in and out from the
[0056]
It should be noted that the components of the above-described embodiment can be modified to have the same effect, or the components can be added / deleted, but such modified examples are equivalent to the scope of the present invention. .
[0057]
【The invention's effect】
As described above, the seatbelt device including the pretensioner according to the present invention includes a speed increasing mechanism, shortens the stroke of the pushing
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a partial cross-sectional view of a
FIG. 2 is a cross-sectional view illustrating a
FIG. 3 is an exploded perspective view illustrating a clutch 44 used in a pretensioner.
4 is an explanatory diagram illustrating an initial (non-operating) state of a clutch 44. FIG.
FIG. 5 is an explanatory diagram for explaining a connection (operation) state of a clutch 44;
6 is a perspective view illustrating a
7 is a cross-sectional view illustrating a
FIG. 8 is an explanatory diagram for explaining a difference in dimensions when a cylindrical pipe and a square pipe are used.
FIG. 9 is an explanatory diagram for explaining the effect of the
FIG. 10 is an explanatory diagram for explaining another example of the
FIG. 11 is an explanatory view for explaining a
FIG. 12 is a cross-sectional view illustrating an example of another pretensioner.
FIG. 13 is a perspective view illustrating an example of a
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
36
38b Moving body passage (circumferential circuit section)
40 Pulling
Claims (3)
前記ハウジングに備えられて前記圧力室に高圧ガスを発生する圧力印加装置と、
前記第1の移動体通路内に配置される円筒形状の移動体と、
前記高圧ガスの圧力を受けて前記第1の移動体通路内の移動体を移動させる押出し部材と、
ウェビングの巻取軸に装着されて、外周が巻取方向に回転すると、前記巻取軸と連結するクラッチと、
前記クラッチの外周に一端が取付けられてこれに巻回され、他端が前記移動体との係合を経て前記ハウジングに取付られる引張り媒体と、を備え、
前記圧力室及び前記第1の移動体通路はそれぞれ断面円形の第1のパイプ及び前記移動体に対応した断面角形の第2のパイプによって一体に形成される、プリテンショナ機構を含むリトラクタを備えるシートベルト装置。A housing including a pressure chamber and first and second movable body passages communicating with the pressure chamber;
A pressure applying device that is provided in the housing and generates high-pressure gas in the pressure chamber;
A cylindrical moving body disposed in the first moving body passage;
An extruding member that receives the pressure of the high-pressure gas and moves the moving body in the first moving body passage;
A clutch connected to the take-up shaft when attached to the take-up shaft of the webbing and the outer periphery rotates in the take-up direction;
A tension medium attached at one end to the outer periphery of the clutch and wound around the clutch, and the other end attached to the housing through engagement with the movable body;
The pressure chamber and the first moving body passage are each a sheet having a retractor including a pretensioner mechanism, which is integrally formed by a first pipe having a circular cross section and a second pipe having a square cross section corresponding to the moving body. Belt device.
ウェビングを巻き取るリールと、該リールの巻取軸と、を含むリトラクタ本体部と、
前記ウェビングを強制的に巻取るための回転力を発生するプリテンショナ機構と、
前記巻取軸と前記プリテンショナ機構との間に介在して、発生した前記回転力を前記プリテンショナ機構から前記巻取軸に一方向に伝達するクラッチ部と、を有し、
前記プリテンショナ機構は、
圧力室と、前記圧力室と一体に連通し内部に移動体を収容した移動体通路と、
前記圧力室に高圧ガスを発生する圧力印加装置と、
一端側が前記クラッチのプーリーに巻回され、他端側が前記高圧ガスの圧力を受けて移動する前記移動体に接してハウジングに係止されて、該移動体の運動を前記回転力に変換する引張り媒体と、を備え、
前記圧力室と前記移動体通路は略L字状のパイプによって形成され、当該パイプはL字コーナー部に下方にくびれたくびれ部を有し、該くびれ部よりも上方の位置に前記移動体が配置される、プリテンショナ機構を含むリトラクタを備えるシートベルト装置。 A seat belt apparatus including a retractor including a pretensioner mechanism ,
A retractor main body including a reel for winding the webbing, and a winding shaft of the reel ;
A pretensioner mechanism that generates a rotational force for forcibly winding the webbing ;
A clutch portion interposed between the winding shaft and the pretensioner mechanism and transmitting the generated rotational force in one direction from the pretensioner mechanism to the winding shaft ;
The pretensioner mechanism is
A pressure chamber, and a moving body passage integrally communicating with the pressure chamber and containing a moving body therein;
A pressure applying device for generating high-pressure gas in the pressure chamber;
One end is wound around the pulley of the clutch, and the other end is in contact with the moving body that moves under the pressure of the high-pressure gas, and is locked to the housing, thereby converting the movement of the moving body into the rotational force. A medium, and
The moving body passage and said pressure chamber is formed by a substantially L-shaped pipe, the pipe will have a constriction constricted downward in an L-corner part, the movable body to a position above the said constricted portion A seat belt apparatus comprising a retractor including a pretensioner mechanism disposed .
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