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JP4139612B2 - 精密加工用ステージ装置 - Google Patents

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JP4139612B2
JP4139612B2 JP2002071994A JP2002071994A JP4139612B2 JP 4139612 B2 JP4139612 B2 JP 4139612B2 JP 2002071994 A JP2002071994 A JP 2002071994A JP 2002071994 A JP2002071994 A JP 2002071994A JP 4139612 B2 JP4139612 B2 JP 4139612B2
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Japan Science and Technology Agency
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密加工用ステージ装置に係り、特に、ICやLSI等の集積回路を含む半導体生産工程における配線作業やその検査等で使用される精密加工用ステージ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体産業等では、ICやLSI等の生産工程で被加工物を精密加工の場に配設し保持するのに、多くは精密移動可能な可動テーブルを備えた加工用ステージ装置が使用されている。
【0003】
この場合、可動テーブルをその中心位置を原点として想定されるXーY直交座標の面上の任意の位置に精密移動させるには、通常は、まずX方向移動機構で可動テーブル全体をX方向に移動し、次に(又は同時に)、この可動テーブル及びX方向移動機構の全体をY方向移動機構にてY方向に移動する、という二重重ね構造の移動体保持機構を備えた方式のものが多い。
この種の加工用ステージ装置のテーブル駆動手段としては、通常はX方向およびY方向の各々に独立した駆動機構を備えたものとなっている。このため、装置全体の大型化および重量増をきたし、このため可搬性が悪いという不都合を常に伴っていた。
【0004】
一方、近時にあっては、装置全体の小型軽量化を意図して、田形状駆動コイルを装備した平面駆動方式(特開平5−336730号公報参照)のものが開発されている。
これは、装置の中心軸上で且つ前述した可動テーブルの中心位置に原点を設定して成るXーY直交座標の面上に、前述した可動テーブルを配設し、同一面上という共通の空間を利用してX方向およびY方向の何れの方向に対しても当該可動テーブルを移動可能とした技術で、X方向とY方向に対する二つの駆動機構を二重に重ねるという手段を備えていないことから、装置全体の小型軽量化に際しては実効あるものとなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平5−336730号公報記載のものは、田形状駆動コイルをXーY直交座標の面上における第1象限乃至第4象限の各象限部分に装備してあるので、例えば四つの田形状駆動コイルを全部稼働させると、X軸およびY軸に沿った方向への駆動に関しては円滑になし得るものの、X軸とY軸との中間方向(斜め方向)への駆動に関しては回転力が働いて駆動動作を円滑になし得ないという不都合が常に伴っていた。このため、可動テーブルを斜め方向に平面移動させる場合には、例えば移動方向に沿った方向に位置する田形状駆動コイルの駆動を停止させなければならず、全体的に駆動力が低下するという不都合があった。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、とくに、全体的に駆動力を低下させることなく可動テーブルの中心位置を原点とするXーY直交座標面上の所定方向に当該精密作業用の可動テーブルを迅速に平面移動させると共に、装置全体の小型軽量化を可能とした精密加工用ステージ装置を提供することを、その目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明にかかる精密加工用ステージ装置は、同一面上にて任意の方向への移動および回動動作が可能に配設された可動テーブルと、この可動テーブル上の中心点を原点として同一面上での前記各動作を許容して当該可動テーブルを保持すると共に当該可動テーブルに対する元位置復帰を付勢する元位置復帰機能を備えたテーブル保持機構と、このテーブル保持機構を支持する本体部と、この本体部に装備され前述した可動テーブルに移動力を付勢する電磁駆動手段とを備えている。
【0008】
電磁駆動手段は、前記可動テーブルの所定位置に固定装備された複数個の被駆動磁石と、この各被駆動磁石に対向して個別に配設され且つ当該各被駆動磁石を介して前記可動テーブルに所定の移動方向に沿った所定の電磁駆動力を付勢する複数の田形状駆動コイルと、この田形状駆動コイルを保持すると共に前記本体部に固定された固定プレートとにより構成されている。
【0009】
ここで、前述した固定プレートは、前記可動テーブルと前記テーブル保持機構との間に配設された構成とし、又、前述したテーブル保持機構は、前記可動テーブルから当該テーブル保持機構に向けて前記固定プレートを貫通して突設されたテーブル側脚部を介して、前記可動テーブルを空中で安定した状態で保持する構成とする。
更に、前述した各田形状駆動コイルの内側に形成される十字状コイル辺の縦方向又は横方向の何れか一方が前述した固定プレートの中央部の中心点を原点として設定されるXーY直交座標平面上の中心点側に向かうように(何れか一方のコイル辺の延長線上にXーY直交座標平面上の中心点が存在するように)、当該各田形状駆動コイルを前述した固定プレート上に配設して固着した。そして、前述した田形状駆動コイルの外側の輪郭コイル部分を前述した被駆動磁石の大きさよりも大きく設定する。更に、前述した電磁駆動手段に、前記可動テーブルに対して同一面上での任意の方向への移動動作を規制する動作制御系を併設すると共に、この動作制御系が、前記電磁駆動手段の複数の田形状駆動コイルの十字状コイル辺の少なくとも縦方向又は横方向の何れか一方を選択的に通電制御して前記可動テーブルを所定の方向に移動制御するコイル駆動制御手段を備えたことを特徴とする(請求項1)
【0010】
このため、複数の各田形状駆動コイルと対応する被駆動磁石との間に発生する電磁駆動力が常に固定プレート上の中心位置を原点とするXーY座標平面上の中心点から外側に向かう方向に発生することとなり、これがため、その合力も必ずXーY座標平面上の中心点を通る事となり、かかる点において移送方向が変化しても常に回転を伴うことなく円滑に可動テーブルを(XーY座標平面上の設定された範囲内で)平面移動させることが可能となる。
【0011】
即ち、各田形状駆動コイルにより発生する電磁駆動力の大小とその発生方向を適宜設定することにより、各田形状駆動コイル毎に発生する電磁駆動力を回転を伴うことなく効率よく可動テーブルに伝えることができ、当該可動テーブルを所定の意図する方向に効率良く移送することができる。
【0012】
更に、可動テーブルに対する回転駆動に際しては、各田形状駆動コイルの十字状コイル辺の内の前述したXーY直交座標平面上の中心点を通るコイル部分を所定の方向に(回転方向に電磁駆動力が発生するように)通電駆動する。この場合、円滑な回転動作を意図するには、予め複数の被駆動磁石をバランスよく可動テーブル上に配置しこれに対応して田形状駆動コイルを固定プレート上に装備することにより実現される。
【0013】
このように、本発明では、複数の各田形状駆動コイルに対して通電電流を調整することによって所定方向にアナログ量の電磁駆動力を出力し得るので、可動テーブルの移動もミクロン単位の精密移動が可能となっている。
【0014】
ここで、前述したテーブル保持機構を、可動テーブルの周端部の同一円周上に所定間隔を隔てて平行に配設され且つ一端部が当該可動テーブルに植設された少なくとも三本の一方の棒状弾性部材と、この一方の各棒状弾性部材に対応し且つ当該各棒状弾性部材の外側にて同一円周上に所定間隔を隔てて平行に配設され一端部が本体部に保持された同一長さの少なくとも三本の他方の棒状弾性部材と、この一方と他方の各棒状弾性部材の他端部を平行状態を維持しつつ一体的に保持する中継部材とにより構成してもよい。
【0015】
この場合、テーブル保持機構の三組の各棒状弾性部材をそれぞれ同一の強度で同一長さのピアノ線等の棒状弾性部材で構成される。
【0016】
このようにすると、可動テーブルは同一面上にて移動可能に保持される。この場合、例えば可動テーブルが全体的に同一方向にスライド移動すると、各組の各棒状弾性部材は全て同一の変形をする。一方、本体側の各棒状弾性部材は端部が保持された状態で弾性変形することから、同様に弾性変形するテーブル側の各棒状弾性部材の変形動作により可動テーブルの高さ位置は不変となり、代わって、両棒状弾性部材に共通に支持された中継部材の高さ位置が変動する。
【0017】
即ち、この中継部材が各棒状弾性部材(ピアノ線等)の変形で生じる高さ位置の変動を吸収することになり、これによって、可動テーブルは全体的に高さ方向に変動することなく同一面内でスライド移動する。この場合、電磁駆動力を開放すると、可動テーブルは各棒状弾性部材のばね作用により一直線に元位置に復帰する(元位置復帰機能の発動)。
【0018】
また、可動テーブルが同一面内で回転駆動された場合にも、同様の理由から当該可動テーブルは全体的にほぼ同一の高さを維持しつつ同一面内で回転動作することとなる。そして、この場合も電磁駆動力を開放すると、可動テーブルは各棒状弾性部材のばね作用により一直線に元位置に復帰する。そして、これら各部の動作に際しては、摩擦部分は一切存在しないことから、安定した状態で円滑に可動テーブルの平面移動が実現される。
【0019】
更に、本発明では、前述した可動テーブルに近接し対向した状態で当該可動テーブルに補助テーブルを併設すると共に、この補助テーブルを介してテーブル保持機構が前述した可動テーブルを保持する構成とし、更に、少なくとも補助テーブルに前述した複数の被駆動磁石を装備することにより当該補助テーブルを介して前述した電磁駆動手段が可動テーブルに平面移動力を付勢する構成としてもよい(請求項2)
【0020】
このようにすると、補助テーブルを介して電磁駆動手段が可動テーブルに平面移動力を付勢するようにしたので、その構造に余裕があり、かかる点において生産性および保守性をたかめることが可能となっている。
【0021】
ここで、前述したテーブル保持機構については、前述した補助テーブルを介して前述した可動テーブルを保持するようにしてもよい。
【0022】
このため、可動テーブルの高さ位置を変えることなく、当該可動テーブルの平面移動を許容し得るようになっている。そして、この場合も前述したテーブル保持機構と同様に摩擦部分は一切存在しないことから、安定した状態で円滑に可動テーブルの平面移動が実現されるようになる
【0023】
又、前述した各田形状駆動コイルについては、これを前記固定プレートに貫通した状態で装備してもよい。そして、この各田形状駆動コイルの各端面に対応して、前記可動テーブル及び補助テーブルの各々に前記被駆動磁石をそれぞれ配設する、という構成としてもよい(請求項3)
【0024】
このため、これによると、被駆動磁石を可動テーブル及び補助テーブルの各々にそれぞれ配設したので、二倍の駆動力で補助テーブル(即ち、可動テーブル)を平面駆動することができ、かかる点において、装置全体の性能の向上を期待し得るという利点がある。
【0025】
更に、前述した被駆動磁石については、これを偶数個設けると共に、この偶数個の被駆動磁石の配置について下記ように限定してもよい
【0026】
例えば、偶数個の被駆動磁石を同一円周上に等間隔に配置し、これにより位置が特定された各被駆動磁石に個別に対応して田形状駆動コイルを固定プレート上にそれぞれ配置する(請求項6)。
【0027】
又、前述した偶数個の被駆動磁石を、前述した可動テーブルの中央部を原点として想定されるXーY面上の少なくともX軸に対して線対称位置(左右対称位置)に配置する。そして、これにより位置が特定された各被駆動磁石に個別に対応して前述した田形状駆動コイルを固定プレート上にそれぞれ配置する(請求項7)。
【0028】
更に、前述した複数個の被駆動磁石を、可動テーブルの中央部を原点として想定されるXーY直交座標の面上の正負各軸上の所定位置にそれぞれ配設する。そして、これにより位置が特定された少なくとも四個の各被駆動磁石に個別に対応して少なくとも四個の田形状駆動コイルを固定プレート上にそれぞれ装備する(請求項8)。
【0029】
このため、これらの各発明では、それぞれ上述した各発明と同等に機能するほか、更に各被駆動磁石に発生する複数の電磁駆動力が、XーY直交座標上の軸上で中央部の原点Oを基準としてその合力が形成されることとなり、かかる点において回転動作成分が確実に排除され、当該可動テーブルをXーY軸上の所定の方向へ蛇行することなく円滑に移動させることが可能となる。
【0030】
更に、前述した田形状駆動コイルの外形の形状については、これを以下の如く特定してもよい。
【0031】
即ち、前述した各田形状駆動コイルを、それぞれ独立して通電可能な四個の四角形状の角形小コイルにより構成すると共に、その組合せの全体の形状を四角形状とする(請求項9)。
、前述した各田形状駆動コイルを、それぞれ独立して通電可能な四個の三角形状の角形小コイルにより構成すると共に、その組合せの全体の形状を菱形状とする(請求項10)。
更に、前述した各田形状駆動コイルを、それぞれ独立して通電可能な四個の扇状の角形小コイルにより構成すると共に、その組合せの全体の形状を、円形状とする(請求項11)
或いは、前述した各田形状駆動コイルを、それぞれ独立して通電可能な四個の5角形状の角形小コイルにより構成すると共に、その組合せの全体の形状を、八角形状とする(請求項12)
【0032】
そして、前述した各角形小コイルの通電方向を外部から特定することにより、例えば田形状駆動コイルの内部の十字状部分に流れる合計電流値を見かけ上,縦方向又は横方向の何れかに限定して通電したのと同等の状態(動作可能状態)を設定することができ、これにより、対応して配置された被駆動磁石に対しては、フレミングの左手の法則に従って当該被駆動磁石を所定の方向へ押圧する電磁力を出力することができる。
【0033】
本発明では、このようにして、可動テーブルの形状や構造その他の環境条件に合わせてこれに対応した田形状駆動コイルを設定することにより、装置の汎用性を高めることができる。
【0034】
又、前述した田形状駆動コイルの端面部分に、非磁性金属部材からなる制動用プレートを前述した被駆動磁石の磁極面に対向して固定装備した構成としてもよい(請求項13)。
【0035】
このようにすると、被駆動磁石が装備された補助テーブル又は可動テーブルが急激な移動動作をした場合に当該被駆動磁石と制動用プレートとの間に移動速度に比例した大きさの電磁制動力(うず電流ブレーキ)が生じ、補助テーブル又は可動テーブルは急激な動作が抑制されて徐々に移動することとなる。
【0036】
尚、前述したテーブル保持機構としてばね性を備えたものを採用した場合には、補助テーブル(又は可動テーブル)に動作停止時の慣性力の影響で繰り返し動作(バランス位置での往復動作)が生じる。
かかる場合にも、被駆動磁石の急峻な移動動作(繰り返し往復移動も含む)によって制動用プレート上に当該移動速度に比例した大きさのうず電流が流れ、当該被駆動磁石の磁力線との間に前述したのと同様の電磁制動(うず電流制動)が生じる。そして、この電磁制動(うず電流制動)によって当該被駆動磁石が付された補助テーブル(又は可動テーブル)の往復繰り返し動作は抑制され、当該補助テーブル(又は可動テーブル)は所定位置に安定した状態で円滑に移動し停止することとなる。
【0037】
更に、この各田形状駆動コイルの端面部分に装備された非磁性部材からなる金属製の制動用プレートは、各田形状駆動コイルとの関係ではトランスの二次側回路を構成し、且つ所定の低抵抗(うず電流損を生じる)を介して短絡された形態を構成する。
このため、この場合の一次側回路を構成する各田形状駆動コイルは、比較的大きい電流を通電することができ、これがため、前述した被駆動磁石との間には当該制動用プレートがあっても比較的大きい電磁力を出力することができる。
【0038】
又、この制動用プレートは、放熱板としても機能し、かかる点において田形状駆動コイルの連続運転に伴う径年変化(熱による絶縁破壊)を有効に抑制することができ、装置全体の耐久性を増大することができ、ひいては装置全体の信頼性を高めることができる。
【0039】
更に、前述したように、電磁駆動手段に併設された動作制御系は電磁駆動手段の有する複数の田形状駆動コイルの十字状コイル辺の少なくとも縦方向又は横方向の何れか一方を動作可能に選択的に通電制御して前述した可動テーブルを所定の方向に移動制御するコイル駆動制御手段を備えている。
【0040】
このため、可動テーブルの実際の動作制御に際しては、動作制御系が有効に機能して複数の田形状駆動コイルを作動させ、これによって可動テーブルを所定の方向に移動させることが可能となっている。
【0041】
この動作制御系は、電磁駆動手段の複数の各田形状駆動コイルを所定の制御モードに従って駆動制御するコイル駆動制御手段と、このコイル駆動制御手段に併設され前述した可動テーブルの移動方向,回転方向,及びその動作量等が特定された複数の制御モードにかかる複数の制御プログラムが記憶されたプログラム記憶部と、各制御プログラムの実行に際して使用される所定の座標データ等を記憶したデータ記憶部とを備えている。そして、前述したコイル駆動制御手段には、複数の各田形状駆動コイルに対する所定の制御動作を指令する動作指令入力部を併設する、という構成が採られている(請求項4)。
【0042】
又、前述したように、プログラム記憶部は田形状駆動コイルに対する基本的な四つの固定された通電パターンを記憶する駆動パターン記憶領域を有する。
【0043】
このプログラム記憶部は、前述したように、固定プレート上の中央部を原点として想定されるXーY平面上にて前述した可動テーブルを正負の各X軸方向および正負の各Y軸方向にそれぞれ移動せしめる第1乃至第4の制御モードと、XーY平面上に設定される各象限内の所定方向に可動テーブルを移動せしめる第5乃至第8の制御モードと、可動テーブルを所定位置にて正負いずれかの方向に回転動作せしめる第9乃至第10の各制御モードにかかる各動作プログラムを記憶する制御モード記憶領域とを有する。そして、このプログラム記憶部には、上述した各通電パターンおよび各動作プログラムが、前述したコイル駆動制御手段に対して出力可能に記憶されている、という構成を採られている(請求項5)。
【0044】
このため、本発明では、動作指令入力部からの指令に基づいてコイル駆動制御手段が作動してプログラム記憶部およびデータ記憶部から移動方向先の情報および移動用の所定の制御モードを取り出すと共に、これに基づいて前述した電磁駆動手段の複数の各田形状駆動コイル駆動制御され、これによって、可動テーブルを所定の方向に移動させるように機能する。
【0045】
この場合、特に本発明では、移動方向によって特定された各田形状駆動コイルに対する制御モード(通電制御の態様)を予め記憶しておき、これに基づいて各田形状駆動コイルを駆動制御するようにした。このため、動作指令入力部からの指令に迅速に対応することができるという利点を備えている。
【0046】
又、本発明では、前述した請求項1乃至16の何れか一つに記載の精密加工用ステージ装置において、前述した可動テーブルの移動情報を検出し外部出力する複数の位置検出センサを当該可動テーブルの周端部の複数箇所にそれぞれ分散して装備し、この複数の位置検出センサで検出される情報に基づいて所定の演算をし前記可動テーブルの移動方向およびその変化量等を特定して位置情報として外部出力する位置情報演算回路を設ける、という構成を採っている(請求項14)。
【0047】
このため、本発明では、更に、可動テーブルの移動情報および移動後の位置情報をリアルタイムで外部出力することができ、これがため、オペレータは、可動テーブルの移動方向や移動後の位置のずれ等を外部から容易に把握し得るので、やり直し又は修正の必要性を迅速に把握することができ、このため、補助テーブル(即ち可動テーブル)の移動作業を高精度に且つ迅速に成し得ることとなる。
【0048】
ここで、前述した可動テーブルの移動情報を検出し外部出力する複数の位置検出センサを前述した補助テーブルの複数箇所にそれぞれ分散して装備し、この複数の位置検出センサで検出される情報に基づいて所定の演算をし前述した可動テーブルの移動方向およびその変化量等を特定して位置情報として外部出力する位置情報演算回路を設けるように構成してもよい。
【0049】
このようにしても、前述した可動テーブルの移動情報及び移動後の位置情報をリアルタイムで外部出力することができ、又、オペレータは、可動テーブルの移動方向や移動後の位置のずれ等を外部から容易に把握し得るので、やり直し又は修正の必要性を迅速に把握することができ、補助テーブル(即ち可動テーブル)の移動作業を、迅速に且つ高精度に実行することができる。
【0050】
更に、前述した被駆動磁石については、これを永久磁石により構成してもよい。
【0051】
このようにすると、電磁石で必要とする通電回路は不要であり、その分、構造が簡略化されることから生産性および保守性の向上を図ることができ、装置全体の故障率を低減させることができ、かかる点において耐久性向上を図ることができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図に基づいて説明する。
【0053】
【第1の実施形態】
本発明の第1実施形態を図1乃至図18に示す。
最初に、本実施形態の基本的な構成を説明し、その後に具体的な内容を説明する。
まず、図1乃至図18において、符号1は可動テーブルを示し、符号2はテーブル保持機構を示す。このテーブル保持機構2は、図1の下方部分に配設され、前述した可動テーブル1が同一面内での任意の方向への移動を許容すると共に当該可動テーブル1に対する元位置復帰機能を有し、当該可動テーブル1に元位置復帰力を付加し得る状態で当該可動テーブル1を保持するように構成されている
【0054】
このテーブル保持機構2は本体部としてのケース本体3によって支持されている。
ケース本体3は、本実施形態では図1に示すように上方および下方が開放された箱体状に形成されている。付号4は電磁駆動手段を示す。この電磁駆動手段4は、その主要部がケース本体3側に保持され、前述した可動テーブル1に移動力を付勢する機能を備えている。符号3Aは、ケース本体3の内壁部周囲に突設された駆動手段保持部を示す。
そして、この電磁駆動手段4は、本実施形態では可動テーブル1と後述する補助テーブル5との間に配設されている。
【0055】
前述した可動テーブル1に対向し且つ所定間隔を隔てて平行に補助テーブル5が連結装備されている。そして、前述したテーブル保持機構2は、この補助テーブル5側に装備され、該補助テーブル5を介して可動テーブル1を保持するように構成されている。
【0056】
前述した電磁駆動手段4は、後述するように補助テーブル5の所定位置に固定装備された四個の正方形形状の被駆動磁石6と、この各被駆動磁石6に対向して配置された十字状コイル辺を有し且つ当該各被駆動磁石6に対して前述した可動テーブル1の所定の移動方向に沿って電磁的に所定の駆動力を付勢する田形状駆動コイル7と、この田形状駆動コイル7を定位置にて保持すると共に前述した補助テーブル5の可動テーブル1側に装備された固定プレート8とを備えている。この内、田形状駆動コイル7と固定プレート8とによって、前述した電磁駆動手段4の主要部が構成されている。
【0057】
更に、上述した田形状駆動コイル7の前述した被駆動磁石6に面する端面側には、非磁性金属部材からなる制動用プレート9が被駆動磁石6の磁極面に近接して個別に配設されている。この制動用プレート9は前述した固定プレート8側に固定された状態となっている。
ここで、本第1の実施形態にあっては、図1乃至図18からも明らかのように、前述した各構成要素である可動テーブル1,テーブル保持機構2,ケース本体3,電磁駆動手段4,補助テーブル5および固定プレート8の各中心点は共通の中心線である装置全体の中心線S上に設定されて構成されている。そして、前述した可動テーブル1,テーブル保持機構2,ケース本体3,電磁駆動手段4,補助テーブル5,固定プレート8の各機能もしくは各動作の説明に際して設定されるXーY直交座標は、後述する図13,図18でも明らかのように、いずれもこれら各構成要素の中心点を原点として設定されている。他の実施形態においても同様である。
【0058】
次に、上述した実施形態の内容を、更に具体的に説明する。
〔可動テーブルと補助テーブル〕
まず、図1乃至図4において、可動テーブル1は本実施形態では円形状に形成され、補助テーブル5は四角形状に形成されている。この補助テーブル5は、可動テーブル1に対向し且つ所定間隔を隔てて平行に配置され、その中心部の連結支柱10を介して前述した可動テーブル1に一体的に連結されている。
このため、この可動テーブルは、補助テーブル5と平行状態を維持しつつ一体的に移動し且つ一体的に回転し得るようになっている。
【0059】
連結支柱10は、前述したように可動テーブル1と補助テーブル5とを連結する連結部材であって、両端部に鍔部10A,10Bを備えた断面工字状に形成され、その両端部外側中央には、可動テーブル1と補助テーブル5との各中心部に形成された位置決め孔1a,5aに係合する突起10a,10bが設けられている。
【0060】
そして、可動テーブル1と補助テーブル5とは、この突起10a,10bと鍔部10A,10Bとによって位置決めされ当該連結支柱10に固着され一体化されている。この一体化に際しては本実施形態では接着剤が用いられているが、溶接にて部分的に接合しても、或いは突起10a,10b部分を位置決め孔1a,5aに圧入し他の部分を接着剤又は溶接等によって一体化してもよい。
【0061】
又、可動テーブル1或いは補助テーブル5の何れか一方をネジ止めにて前述した連結支柱10の鍔部10A又は10Bに着脱自在に固着してもよい。この場合、ネジ止め後に、数本のノックピンを位置決め固定用として係合する両者間に打ち込むとよい(図示せず)。このようにすると、可動テーブル1と補助テーブル5との一体化を更に有効に実現することができて都合がよい。
【0062】
〔テーブル保持機構〕
前述したテーブル保持機構2は、本実施形態にあっては可動テーブル1を保持しつつ当該可動テーブル1をその高さ位置を変えることなく同一面上のいずれの方向へも自在に移動可能とする機能を備え、同時に外力が解除された場合には可動テーブル1を元の位置に復帰せしめる元位置復帰機能を備えたものであり、補助テーブル5を介してこれを実行するようにしたものである。
【0063】
このテーブル保持機構2は、全体的にはリンク機構を三次元空間に応用したもので、所定間隔を隔てて設置される二本の棒状弾性部材としてのピアノ線(可動テーブル1および補助テーブル5を支えるに充分な適度の剛性を備えた棒状弾性部材であれば、他の素材で形成したものであってもよい)を一組として予め補助テーブル5の端部周囲のコーナー部分に対応して四組準備し、この四組のピアノ線を組毎に、四角形状に形成された中継部材としての中継プレート2Gの各四隅部分に分けて、それぞれ上方向に向けて植設する。
そして、内側に位置する四本のピアノ線2Aで補助テーブル5を下方から保持し、外側に位置する四本のピアノ線2Bで中継部材としての中継プレート2Gを本体部3から揺動自在に吊り下げたような構成とした。
【0064】
これにより、補助テーブル5(即ち、可動テーブル1)が中継プレート2Gと各四本のピアノ線(棒状弾性部材)2A,2Bとによって空中で安定した様態で保持され、その水平面内での移動は、後述するように同一の高さ位置を維持しつつ何れの方向にも自在に移動可能となっている。同一面内での回転動作もほぼ同様に可能となる。
【0065】
これを更に詳述する。
前述したテーブル保持機構2は、補助テーブル5の周端部の四隅部分からそれぞれ図1の下方に向けて植設された四本のテーブル側ピアノ線(テーブル側棒状弾性部材)2Aと、この各テーブル側ピアノ線2Aの図1における下端部に装備された中継部材としての中継プレート2Gと、この中継プレート2Gを本体部側から吊り下げるように構成され前述したテーブル側ピアノ線2Aの外側に装備された本体側ピアノ線(本体側棒状弾性部材)2Bとを備えている。
【0066】
この四本のテーブル側ピアノ線2Aは、図1における上端部が補助テーブル5に固着され、下端部が中継プレート2Gに固着されている。符号5A,5Bは補助テーブル5の下面側の二箇所に設けられた下方突出部を示す。この下方突出部5A,5Bによってテーブル側ピアノ線2Aの固定位置が設定されている。
【0067】
又、この四本の各テーブル側ピアノ線2Aの外側には、これに個別に対応して且つ所定間隔Sを隔てて本体側ピアノ線2Bがそれぞれ個別に且つ平行に配設されている。この本体側ピアノ線2Bは、その下端部が前述したテーブル側ピアノ線2Aと同様に中継プレート(中継部材)2Gに固着され、その上端部がケース本体3の内壁部に設けられた本体側突出部3Bに固着されている。
これらの各ピアノ線2A,2Bは、前述したように可動テーブル1および補助テーブル5を支えるに充分な適度の剛性を備えた弾性線材によって形成されている。
【0068】
これにより、前述した可動テーブル1は、まず、補助テーブル5と共に中継プレート2G上にて内側の4本のテーブル側ピアノ線2Aによって支持され、当該4本のテーブル側ピアノ線2Aの弾性限界内においてリンク機構の原理に従ってその平行移動および面内での回転が許容された状態となっている。
【0069】
一方、中継プレート2Gは、当該中継プレート2G上の外側の4本のテーブル側ピアノ線2Bによって本体側突出部3Bに吊持されていることから、ケース本体3に対してはその平行移動および面内での回転が同様に許容された状態となっている。
【0070】
このため、補助テーブル5(即ち、可動テーブル1)が、外力に付勢されてその面内で移動し又は回転すると、後述する図17に示すようにテーブル側およびケース本体側の各ピアノ線2A,2Bが同時に弾性変形して中継プレート2Gが平行状態を維持しつつ上下動する。即ち、補助テーブル5(即ち、可動テーブル1)が外力によってその面内で移動し又は回転すると、その高さ位置の変動は中継プレート2Gによって吸収される。
これにより、可動テーブル1は、外力に付勢されて移動しても、各ピアノ線2A,2Bの弾性限界内において何れの方向へも同一高さを維持しつつ移動することが可能となっている。
【0071】
このため、本実施形態にあっては、テーブル側とケース本体側の各ピアノ線2A,2Bをほぼ等間隔に四組装備すると共に、テーブル側のピアノ線2Aとケース本体側のピアノ線2Bとを所定間隔を隔てて近接して装備したので、強度的に全体のバランスがとられており、安定た状態で可動テーブル1を移動させることができるという利点がある。
【0072】
ここで、テーブル側およびケース本体側の各ピアノ線2A,2Bは同一の直径を備え同一の弾性を備えたものが使用され、その露出部分の長さLはそれぞれ全く同一に設定されている。又、各ピアノ線2A,2Bは、例えば図3に示すように、テーブル保持機構2の中心線に直交する平面の中心位置に原点を設定してXーY直交座標を想定しこれに前記テーブル保持機構2を投影して見た場合のY軸に対しては、左右方向に分かれて配設され,又X軸に対しては上下方向に分かれて配設されているこの場合、X軸およびY軸に対してそれぞれ線対称に成る位置に(又は、各ピアノ線2A,2Bが全体的にほぼ均等に)配設されておれば、図3に示す位置以外の位置に配設しておよい。
【0073】
そして、上述したように各ピアノ線2A,2Bを配置することにより、可動テーブル1の移動に際して各ピアノ線2A,2Bには弾性応力がそれぞれ均一に生じることから、可動テーブル1の元位置復帰動作を含めて可動テーブル1を円滑に移動し得るという利点を得ることができる。
【0074】
このように、上述したテーブル保持機構2では、例えば補助テーブル5が全体的に同一方向にスライド移動すると、各組の各ピアノ線2A,2Bは全て同一に変形をする。この場合、本体側ピアノ線2Bは端部が保持された状態で弾性変形することから、同様に弾性変形するテーブル側ピアノ線2Aの変形動作により補助テーブル5の高さ位置は不変となり、代わって、両ピアノ線2A,2Bに共通に支持された中継プレート2Gの高さ位置が変動する。
【0075】
換言すると、この中継プレート2Gが両ピアノ線2A,2Bの変形で生じる高さ位置の変動を吸収することになり、これにより、補助テーブル5(即ち可動テーブル1)は全体的に高さ変動することなく同一面内でスライド移動することとなる。この場合、補助テーブル5から駆動力を開放すると、当該補助テーブル5は各ピアノ線2A,2Bのばね作用によって一直線に元位置に復帰する(元位置復帰機能の発動)。
【0076】
また、補助テーブル5(可動テーブル1)が同一面内で回転駆動された場合にも、同等の理由から補助テーブル5(可動テーブル1)は全体的にほぼ同一の高さを維持しつつ同一面内で回転動作することとなる。そして、この場合も駆動力を開放すると、補助テーブル5は各ピアノ線2A,2Bのばね作用により一直線に元位置に復帰する(元位置復帰機能の発動)。
【0077】
ここで上記テーブル保持機構2では、両ピアノ線2A,2Bを四組八本装備した場合を例示したが、両ピアノ線2A,2Bを適度にバランス良く(例えば等間隔に)配置することにより三組六本で構成してもよい。この場合、三組六本のピアノ線2A,2Bは、1組のピアノ線2A,2Bを相互に近接して配置すると共に、全体的には三組のピアノ線2A,2Bをほぼ等間隔に(三箇所に均等に)併設してもよい。又、両ピアノ線2A,2Bを5組以上組み込んだものであってもよい。
【0078】
〔電磁駆動手段〕
可動テーブル1と補助テーブル5との間には、前述したように、補助テーブル5を介して可動テーブル1に対し所定の移動力を付勢する電磁駆動手段4が装備されている(図1参照)。
【0079】
この電磁駆動手段4は、前述したように、本実施形態では補助テーブル5上に装備された四個の被駆動磁石(本実施形態では永久磁石が使用されている)6と、この各被駆動磁石6を介して可動テーブル1に所定の移動方向に向けて所定の電磁力を付勢する四個の田形状駆動コイル7と、この各田形状駆動コイル7を保持する固定プレート8とを備えている。
【0080】
この内、固定プレート8は、図1に示すように、補助テーブル5の可動テーブル1側(補助テーブル5と可動テーブル1との間)に装備され、その周囲がケース本体3に固着装備されている。ここで、この固定プレート8については、図1の左右両端部のみがケース本体3に固定装備されるように構成してもよい。この固定プレート8の中央部には、前述した連結支柱10の所定範囲内での平行移動を許容する貫通穴8Aが形成されている。この貫通穴8Aは、本実施形態では円形のものが形成されているが、四角形であっても或いはその他の形状であってもよい。
【0081】
前述した固定プレート8は、前述したようにその周囲全体が本体側突出部3に保持されている。この場合、固定プレート8と本体側突出部3Aとは、その一体化を堅牢にするため、ネジ止め後にノックピン等で一体化しても或いは溶接等で一体化してもよい。このようにすると、可動テーブルのミクロン(μ)単位の変位や移動に対しても、固定プレート8がケース本体3に対して位置ずれを生じることなく円滑にこれに対応することができるという利点が生じる。
【0082】
前述した四個の被駆動磁石6は、本実施形態では図2,図3に示すように、駆動コイルとの対向面が四角形状の永久磁石が使用され、補助テーブル5の上面にて中心点を原点とする直交するX軸,Y軸からなるXーY直交座標面上で、中心部から等距離の位置のX軸上およびY軸上にそれぞれ配設され固着されている。
この四個の被駆動磁石6に対向する位置には、中央部に十字状のコイル辺を有し且つ当該各被駆動磁石6に対し前述した可動テーブル1の所定の移動方向に沿って電磁的に所定の駆動力を付勢する田形状駆動コイル7が、前述した四個の被駆動磁石6に個別に対応して固定プレート8上の定位置に、固着装備されている。
【0083】
即ち、四個の各田形状駆動コイル7は、前述した四個の被駆動磁石6に対向する位置(X軸上およびY軸上)の固定プレート8上に固着装備されている。そして、この場合、各田形状駆動コイル7の内側に形成される十字状コイル辺の縦方向又は横方向の何れか一方が、前述した可動テーブル1(もしくは固定プレート8)における中心点を原点として設定されるXーY直交座標平面上の中心点に向かうよう固定プレート8上に配置されている。
このため、例えば本実施形態にあっては、各田形状駆動コイル7の内、X軸上に装備された田形状駆動コイル7の十字状コイル辺は、その縦方向部分がX軸上に直交した状態で又横方向部分がX軸上に沿った状態で、固定プレート8上の所定位置に固着装備されている。
【0084】
この場合、四個の被駆動磁石6の向きは、田形状駆動コイル7に面する側の磁極が、本実施形態ではX軸上のものはN極に、Y軸上のものはS極に、それぞれ設定されている(図2,図3参照)。
【0085】
このため、十字状のコイル辺の縦方向又は横方向に生じる電流と被駆動磁石6とのあいだに発生する電磁力は、常にX軸方向又はY軸方向に統一され、その合力が常に最大値となるように設定されている。このため、発生する電磁力を効率良く可動テーブル1に対する駆動力として出力することが出来て都合がよい。
【0086】
又、前述した田形状駆動コイル7については、その大きさは内側に有する十字状コイル辺の領域が前述した被駆動磁石6の最大移動範囲を許容する大きさに設定されている。
【0087】
このため、四個の被駆動磁石6との間に生じる電磁力は、田形状駆動コイル7が固定プレート8上の定位置に固定されていることにより、当該被駆動磁石6を介して補助テーブル5に対する所定方向への駆動力として確実に出力されることとなる。
【0088】
〔田形状駆動コイル〕
電磁駆動手段4の主要部を成す田形状駆動コイル7は、例えば図5に示すように、実際にはそれぞれ独立して通電可能な四個の角形小コイル7a,7b,7c,7dにより構成されている。
【0089】
このため、各角形小コイル7a〜7dの通電方向を後述する動作制御系によって外部から切り換え制御することにより、例えば田形状駆動コイル7の内部の十字状部分に流れる電流を図中の縦方向又は横方向の何れか一方に限定して通電(正又は逆方向を含めて)することが可能となり、これに対応して配置された被駆動磁石6に対しては、フレミングの左手の法則に従って当該各被駆動磁石6を所定の方向へ押圧する電磁力(反力)を出力することができる。
【0090】
このため、四個の角形小コイル7a〜7dに生じる電磁力の方向を組み合わせることにより、前述した田形状駆動コイル7の内側に位置する十字状のコイル辺部分に、縦方向又は横方向等の何れか一方への通電状態が設定され、これによって対応する被駆動磁石6に所定方向への電磁駆動力が出力される。そして、前述した4個の被駆動磁石6に生じる電磁駆動力の合力によって、前述した補助テーブル5に対して当該補助テーブル5の中心点を原点とするXーY直交座標を想定した場合の当該XーY直交座標上で回転動作を含む任意の方向に向けて移動力が付勢されるようになっている。
【0091】
これら四個の角形小コイル7a〜7dに対する一連の通電制御の手法については、後述するプログラム記憶部22の説明箇所(図6,図8)で詳述する。
又、この四個の角形小コイル7a〜7dは中空のコイルもよいが、内側にフェライト等の被導電性磁性部材を充填したものであってもよい。
符号9は、被駆動磁石6に近接対向して田形状駆動コイル7側に固定装備された制動用プレートを示す。この制動用プレート9については後に詳述する。
【0092】
〔位置情報検出手段〕
前述した電磁駆動手段4によって駆動される補助テーブル5(即ち、可動テーブル1)の移動状態は、位置情報検出手段25によって検出される。
【0093】
この位置情報検出手段25は、図1乃至図3および図6に示すように、本実施形態では静電容量型の複数の検出電極を備えた容量センサ群26と、この容量センサ群26で検出される複数の容量変化成分を電圧変換すると共に所定の演算をして位置変化情報として後述するテーブル駆動制御手段21に送り込む演算部としての位置情報演算回路27とを備えた構成となっている。
【0094】
この内、位置情報演算回路(演算部)27は、前述した容量センサ群26で検出される複数の容量変化成分を個別に電圧変換する信号変換回路部27Aと、この信号変換回路部27で変換された複数の容量変化成分にかかる電圧信号を所定の演算によりXーY直交座標上の位置(移動前の補助テーブル5の中心位置を原点として当該補助テーブル5の移動面上に想定したXーY直交座標上の位置のこと、以下同じ)を示すX方向位置信号V及びY方向位置信号Vに変換し出力し更には回転角信号θを演算して出力する位置信号演算回路部27Bとにより構成されている。
【0095】
前述した複数の検出電極を備えた容量センサ群26は、図1乃至図4に示すように、補助テーブル5の周囲の下面部分に対向して且つ前述した本体側突出部3Bの上面に所定間隔を隔てて配設された八個の角形の容量検出電極26X,26X,26X,26X,26Y,26Y,26Y,26Yと、これに対応して前述した補助テーブル5の周囲の下面部分に連続して設けられた比較的幅の広い共通電極(図示せず)とによって構成されている。
【0096】
このため、位置検出センサという場合は、実際にはこの各容量検出電極26X,26X,26X,26X,26Y,26Y,26Y,26Yと共通電極(図示せず)との組み合わせで構成されるが、ここでは、便宜上、容量検出電極26X,26X,26X,26X,26Y,26Y,26Y,26Yを位置検出センサとして扱うものとする。
【0097】
上記各容量検出電極(位置検出センサ)26X,26X,26X,26X,26Y,26Y,26Y,26Yの内、一対の容量検出電極(位置検出センサ)26X,26Xが図2,図3の右端部に上下に沿って所定間隔を隔てて装備され、これに対して他の一対の容量検出電極(位置検出センサ)26X,26Xが図2,図3の左端部に上下に沿って所定間隔を隔てて装備されている。
【0098】
また、上記各容量検出電極26X,26X,26X,26X,26Y,26Y,26Y,26Yの内、一対の容量検出電極(位置検出センサ)26Y,26Yが図2,図3の上端部に左右に沿って所定間隔を隔てて装備され、他の一対の容量検出電極(位置検出センサ)26Y,26Yが図2,図3の下端部に左右に沿って所定間隔を隔てて装備されている。
【0099】
即ち、上記八個の各容量検出電極(位置検出センサ)26X,26X,26X,26X,26Y,26Y,26Y,26Yは、本実施形態にあっては図2〜図4,図7に示すように、X軸およびY軸に対して、それぞれ線対称の位置に配設されている。
【0100】
そして、例えば前述した補助テーブル5(即ち、可動テーブル1)が電磁駆動手段4に付勢されて図7(A)に示すように矢印Fの方向(図中、右上方向)に移動動作した場合、本実施形態では、補助テーブル5の両側に(及び上下方向に)位置する一方の位置検出センサ26X,26X(26Y,26Y)と他方の位置検出センサ26X,26X(26Y,26Y)で検出される容量変化成分が、信号変換回路27Aで電圧変換された後に位置信号演算回路27Bに送り込まれ、この位置信号演算回路27Bで前述した各変換電圧を入力してX方向位置信号V,Y方向位置信号Vとして差動出力するように構成されている。
【0101】
又、前述した補助テーブル5が電磁駆動手段4に付勢されて図7(B)に示すように矢印方向に回転動作した場合、本実施形態では、上述した場合と同様に各部が作動し同様に機能して、その変化成分が電圧変換されて所定の回転角信号θとして差動出力されるように構成されている。
【0102】
ここで、補助テーブル5(可動テーブル1)の移動と共に四対の各容量検出電極(位置検出センサ)はその容量変化をリアルタイムで検知して位置情報演算回路(演算部)27へ出力する。この位置情報演算回路(演算部)27では、この八つのセンサ情報に基づいて可動テーブルの移動方向と移動量とを特定する。
【0103】
この場合、例えばY軸方向に装備した二対の各位置検出センサに容量変化が見られない場合には可動テーブルはX軸に沿って(回転動作なしに)移動したことを意味し、その移動量はX軸方向の二対の位置検出センサ26X,26X及び26X,26Xの容量の増減で判断され特定される。
【0104】
又、X軸方向とY軸方向の両方の位置検出センサが同一の容量変化を検出した場合には、可動テーブルは45°方向に(回転動作なしに)移動したことを意味し、その移動方向は直接的には各位置検出センサの容量の増減のパターンによって判断され、又その移動量は、各位置検出センサの容量の変化量によって特定される。
【0105】
更に、対を成す二つの位置検出センサが異なった容量変化を出力した場合は、可動テーブルは回転動作をしたことを意味し、同時に一方の二つの位置検出センサの容量変化の差と他方の二つの位置検出センサの容量変化の差とが等しい場合には正常回転を意味する。
この場合、可動テーブルの回転方向は各位置検出センサの容量の増減のパターンによって判断され、又その移動量は、各位置検出センサの容量の変化量によって特定される。
【0106】
そして、これら各位置検出センサの容量変化のパターンによる移動方向の特定,および各位置検出センサの容量の変化量と可動テーブルの移動量との関係は、実際上は、予め実験的に特定され且つマップ化されてメモリ等に記憶され、これを基準として位置ずれ等が判断されるようになっている。これにより、演算処理の迅速化が図られている。
【0107】
又、本実施形態にあっては、例えば、図3の左右(及び上下)の各容量検出電極に同時に印加されるノイズを差動出力(例えば、X軸方向の一端部と他端部に配置された容量検出電極に検知される容量変化の差をとること:外部雑音排除機能)によって打ち消すことができ、同時に測定値が電圧変換された後にその変化分が、例えば「(+v)−(−v)=2v」の如く合算されて出力されるので、補助テーブル5(可動テーブル1)の位置変化情報を高感度に出力することができるという利点がある。
【0108】
〔動作制御系〕
本実施形態にあっては、前述した電磁駆動手段4には、前述した複数の田形状駆動コイル7を個別に駆動制御して前述した可動テーブル1の移動若しくは回転動作を規制する動作制御系20が併設されている(図6参照)。
【0109】
この動作制御系20は、図6に示すように、前述した電磁駆動手段4の複数の各田形状駆動コイル7を所定の制御モードに従って個別に駆動し前述した可動テーブル1を所定の方向に移動制御するテーブル駆動制御手段21と、このテーブル駆動制御手段21に併設され前述した可動テーブル1の移動方向,回転方向,およびその動作量等が特定された複数の制御モードにかかる複数の制御プログラムが記憶されたプログラム記憶部22と、これら各制御プログラムの実行に際して使用される所定のデータ等を記憶したデータ記憶部23とを備えている。
【0110】
テーブル駆動制御手段21には、複数の各田形状駆動コイル7に対する所定の制御動作を指令する動作指令入力部24が併設されている。又、このテーブル駆動制御手段21には、前述した可動テーブル1の移動中および移動後の位置情報が、前述した位置検出センサ機構25によって検出され後述するように高感度に演算処理されて送り込まれるようになっている。
【0111】
上述したテーブル駆動制御手段21は、本実施形態にあっては、動作指令入力部24からの指令に基づいて作動し所定の制御モードをプログラム記憶部22から選択し前述した複数の各田形状駆動コイル7に所定の電流を通電制御する主制御部21Aと、この主制御部21Aにて設定される制御モードに従って所定の四個の各田形状駆動コイル7,7,……を同時に且つ個別に駆動制御するコイル選択駆動制御部21Bとを備えている。
【0112】
又、主制御部21Aは、テーブル位置を検出する位置検出センサ機構25からの入力情報に基づいて前述した可動テーブル1の位置を算定し或いはその他の種々の演算を行う機能も同時に兼ね備えている。
符号4Gは、前述した電磁駆動手段4の複数の各田形状駆動コイル7に所定の電流を通電する電源回路部を示す。
【0113】
更に、上記テーブル駆動制御手段21は、前述した位置検出センサ機構25からの情報を入力して所定の演算を行いこれに基づいて予め動作指令入力部24で設定した移動先の基準位置情報とのズレを算定する位置ずれ演算機能と、この算定された位置ずれ情報に基づいて電磁駆動手段4を駆動し予め設定された移動先の基準位置に当該可動テーブル1を移送制御するテーブル位置補正機能とを備えている。
【0114】
このため、本実施形態にあっては、可動テーブル1の移動方向が外乱等によってずれた場合には当該ずれを修正しながら可動テーブル1を所定の方向に移送制御することとなり、これにより、当該可動テーブル1は迅速且つ高精度に予め設定した目標位置に移送される。
【0115】
〔プログラム記憶部〕
前述したテーブル駆動制御手段21は、プログラム記憶部22に予め記憶された所定の制御プログラム(所定の通電パターンおよびその選択組合せである所定の制御モード)に従って前述した電磁駆動手段4の四個の田形状駆動コイル7を個別に駆動制御するように構成されている。
【0116】
即ち、前述したプログラム記憶部22には、本実施形態にあっては前述した四個の各田形状駆動コイル7,7,……に対する基本的な四つの通電パターンを実行するためのプログラムが記憶されている(図6,図8参照)。
【0117】
図8は、田形状駆動コイル7(固定子側)の四個の角形小コイル7a,7b,7c,7dに対する四種類の通電パターンA,B,C,Dと、その時に各田形状駆動コイルの十字辺部分に生じる電流の向き、及びこれに対応して可動子側の被駆動磁石(永久磁石)6に生じる電磁駆動力(推力)の向きを、それぞれ示す。
【0118】
この図8において、通電パターンAの場合は、角形小コイル7a,7bに対しては左回りの電流が,又角形小コイル7c,7dに対しては右回りの電流がそれぞれ通電制御され、これによって中央部に位置する十字状のコイル辺部分では、外部に出力される磁束が全体的に加算又は相殺され、その結果としてX軸の正方向の電流Iのみが通電されたのと同等の状態となる。
【0119】
又、通電パターンBでは、それぞれ図示の如く各角形小コイル7a〜7cが個別に通電制御され、これによってX軸の負方向の電流Iのみが通電されたのと同等の状態となる。通電パターンCでは、それぞれ図示の如く各角形小コイル7a〜7cが個別に通電制御され、これによってY軸の正方向の電流Iのみが通電されたのと同等の状態となる。同様に、通電パターンDでは、それぞれ図示の如く各角形小コイル7a〜7cが個別に通電制御され、これによって、Y軸の負方向の電流Iのみが通電されたのと同等の状態となる。
この上記四つの通電パターンA,B,C,Dは、プログラム記憶部22に予め記憶された所定の制御プログラムに基づいて実行されるようになっている。
【0120】
又、図8に開示した白抜き矢印は、これらの通電パターンA,B,C,Dに対応して可動子側の被駆動磁石(永久磁石)6との間に発生する電磁駆動力(推力)の向きを、それぞれ示す。
【0121】
この場合、対応する各電磁力は田形状駆動コイル7の通電コイル辺部分にフレミングの左手の法則によって発生するが、当該田形状駆動コイル7が固定プレート8上に固定されていることからその反力が電磁駆動力(推力)として被駆動磁石(永久磁石)6側に向けて発生する。
図8に開示した白抜き矢印は、その反力(電磁駆動力)を示すものである。このため、この反力(電磁駆動力)は、被駆動磁石6の磁極N,Sの種類によってその向きが反転する。
【0122】
更に、このプログラム記憶部22には、前述した固定プレート8上の中央部を原点として想定されるXーY直交座標平面上にて、可動テーブル1をX軸の正負二方向およびY軸の正負二方向にそれぞれ移動せしめる第1乃至第4の制御モードと、XーY直交座標平面上に設定される各象限内の所定方向に可動テーブル1を移動せしめる第5乃至第8の制御モードと、可動テーブル1を所定位置にて時計方向又は反時計方向に回転動作せしめる第9乃至第10の各制御モードにかかる各動作プログラムが記憶されている。
【0123】
図9乃至図13に、それぞれ前述した第1乃至第10の各制御モードにかかる動作プログラムを実行した場合に生じる各田形状駆動コイル7の機能および補助テーブル(可動テーブル1)の動作状態の一例をそれぞれ示す。
【0124】
図9(A)(B)は、第1の制御モードを実行した場合の状態を示すものである。この図に示すように、この第1の制御モードでは、X軸上の二つの田形状駆動コイル7,7はそれぞれ電流パターンDの手法で通電制御され、Y軸上の二つの田形状駆動コイル7,7はそれぞれ電流パターンCの手法で通電制御される。図9(A)において、記号N,Sは、各被駆動磁石(永久磁石)6の磁極の種類を示す。
【0125】
その結果、この第1の制御モードでは、各被駆動磁石(永久磁石)6に対しては、矢印FX1, X2, X3, X4の方向に電磁駆動力が発生し、これによりX軸上の正の方向(矢印+F)に向けて補助テーブル5が駆動される。
【0126】
図9(B)は、各田形状駆動コイル7,7,……に同一の電磁駆動力が発生した場合の向きをXーY直交座標上に例示したものである。これより、X軸上の正の方向に補助テーブル5を移送する場合には、特に、Y軸上の各田形状駆動コイル7,7に同一の大きさの駆動力を発生させることが重要となる。
【0127】
第2の制御モードの場合は、X軸上の負の方向(図示せず)に補助テーブル5を移送する場合であるから、各田形状駆動コイル7,7,……に通電する電流パターンを上述した第1の制御モードの場合に比較して全く逆に設定すればよい。
即ち、この第2の制御モードでは、X軸上の二つの田形状駆動コイル7,7はそれぞれ電流パターンCの手法で通電制御され、Y軸上の二つの田形状駆動コイル7,7はそれぞれ電流パターンDの手法で通電制御される。これより、X軸上の負の方向に補助テーブル5は円滑に移送される(図示せず)。
【0128】
図10(A)(B)は、第3の制御モードを実行した場合の状態を示すものである。この図に示すように、この第3の制御モードでは、X軸上の二つの田形状駆動コイル7,7はそれぞれ電流パターンAの手法で通電制御され、Y軸上の二つの田形状駆動コイル7,7はそれぞれ電流パターンBの手法で通電制御される。
【0129】
その結果、この第3の制御モードでは、各被駆動磁石(永久磁石)6に対しては、矢印FY1, Y2, Y3, Y4の方向に電磁駆動力が発生し、これにより、Y軸上の正の方向(矢印+F)に向けて補助テーブル5が駆動されることとなる。
【0130】
図10(B)は、各田形状駆動コイル7,7,……に同一の電磁駆動力が発生した場合の合力の向きをXーY直交座標上に例示したものである。これより、Y軸上の正の方向に補助テーブル5を移送する場合には、特に、X軸上の各田形状駆動コイル7,7に同一の大きさの駆動力を発生させることが重要となる。
【0131】
第4の制御モードの場合は、Y軸上の負の方向に補助テーブル5を移送する場合(図示せず)であるから、各田形状駆動コイル7,7,……に通電する電流パターンを上述した第3の制御モードの場合に比較して全く逆に設定すればよい。
即ち、この第2の制御モードでは、X軸上の二つの田形状駆動コイル7,7はそれぞれ電流パターンBの手法で通電制御され、Y軸上の二つの田形状駆動コイル7,7はそれぞれ電流パターンAの手法で通電制御される。これより、Y軸上の負の方向に補助テーブル5は円滑に移送される(図示せず)。
【0132】
図11(A)(B)は、第5の制御モードを実行した場合の状態を示すものである。この図に示すように、この第5の制御モードでは、X軸上の二つの田形状駆動コイル7,7はそれぞれ電流パターンDの手法で通電制御され、Y軸上の二つの田形状駆動コイル7,7はそれぞれ電流パターンBの手法で通電制御される。
【0133】
その結果、この第5の制御モードでは、X軸上の二つの被駆動磁石(永久磁石)6に対しては、矢印FX1, X3の方向に電磁駆動力が発生し、Y軸上の二つの被駆動磁石(永久磁石)6に対しては、矢印FY2, Y4の方向に電磁駆動力が発生し、これにより、XーY軸上の中心点から第1象限方向に向けて(矢印FXY)に向けて補助テーブル5が駆動される。
【0134】
図11(B)は、各田形状駆動コイル7,7,……に同一の電磁駆動力が発生した場合の合力の向きをXーY直交座標上に例示したものである。これより、XーY直交座標軸上の中心点から第1象限方向に向かう方向(矢印FXY)に向けて補助テーブル5を駆動する場合には各田形状駆動コイル7,7,……に通電される電流値の大きさを適当に設定することによって、その移動方向を変化させることができることが分かる。かかる通電電流の大きさは前述した主制御部21Aで設定制御される。
【0135】
第6の制御モードの場合は、XーY直交座標軸上の中心点から第3象限方向(図示せず)に向けて補助テーブル5を移送する場合であるから、各田形状駆動コイル7,7,……に通電する電流パターンを上述した第5の制御モードの場合に比較して全く逆に設定すればよい。
即ち、この第5の制御モードでは、X軸上の二つの田形状駆動コイル7,7はそれぞれ電流パターンCの手法で通電制御され、Y軸上の二つの田形状駆動コイル7,7はそれぞれ電流パターンBの手法で通電制御される。これより、XーY直交座標軸上の中心点から第3象限方向に向けて補助テーブル5は円滑に移送されることとなる(図示せず)。
【0136】
図12(A)(B)は、第7の制御モードを実行した場合の状態を示すものである。この図に示すように、この第7の制御モードでは、X軸上の二つの田形状駆動コイル7,7はそれぞれ電流パターンCの手法で通電制御され、Y軸上の二つの田形状駆動コイル7,7はそれぞれ電流パターンBの手法で通電制御される。
【0137】
その結果、この第7の制御モードでは、X軸上の二つの被駆動磁石(永久磁石)6に対しては、矢印−FX1, −FX3の方向に電磁駆動力が発生し、Y軸上の二つの被駆動磁石(永久磁石)6に対しては、矢印FY2, Y4の方向に電磁駆動力が発生し、これによってXーY軸上の中心点から第2象限方向に向けて(矢印FYX)に向けて補助テーブル5が駆動されることとなる。
【0138】
図12(B)は、各田形状駆動コイル7,7,……に同一の電磁駆動力が発生した場合の合力の向きをXーY直交座標上に例示したものである。これより、XーY直交座標軸上の中心点から第2象限方向に向かう方向(矢印FYX)に向けて補助テーブル5を駆動する場合には各田形状駆動コイル7,7,……に通電される電流値の大きさを適当に設定することによって、その移動方向を変化させることができることが分かる。かかる通電電流の大きさは前述した主制御部21Aで設定制御される。
【0139】
第8の制御モードの場合は、XーY直交座標軸上の中心点から第4象限方向(図示せず)に向けて補助テーブル5を移送する場合であるから、各田形状駆動コイル7,7,……に通電する電流パターンを上述した第7の制御モードの場合に比較して全く逆に設定すればよい。
即ち、この第8の制御モードでは、X軸上の二つの田形状駆動コイル7,7はそれぞれ電流パターンDの手法で通電制御され、Y軸上の二つの田形状駆動コイル7,7はそれぞれ電流パターンAの手法で通電制御される。これより、XーY直交座標軸上の中心点から第4象限方向に向けて補助テーブル5は円滑に移送されることとなる(図示せず)。
【0140】
図13(A)(B)は、第9の制御モードを実行した場合の状態を示すものである。この図に示すように、この第9の制御モードでは、補助テーブル5(即ち、可動テーブル1)を所定角度θ分、回転動作させるためのもので、この制御動作では、所定の許容範囲内において中心軸を有しない補助テーブル5を左回りの円運動をさせ所定位置での静止動作が可能としたものである。
【0141】
即ち、この図13(A)に示す第9の制御モードでは、X軸の正軸上の田形状駆動コイル7は電流パターンAの手法によって、X軸の負軸上の田形状駆動コイル7は電流パターンBの手法によって、Y軸の正軸上の田形状駆動コイル7は電流パターンDの手法によって、又Y軸の負軸上の田形状駆動コイル7は電流パターンCの手法によって、それぞれ通電制御される。
【0142】
その結果、この第9の制御モードでは、各田形状駆動コイル7,7,……に対応した
各被駆動磁石(永久磁石)6には、図11に示すようにそれぞれ左回りの方向に沿って各軸に直交する方向FY1,−FX2,−FY3,又はFX4に向けてそれぞれ電磁駆動力が発生する。
【0143】
このため、図13(B)に開示したように、当該各被駆動磁石(永久磁石)6に生じる電磁駆動力の大きさをそれぞれ同一の大きさPに設定制御することにより、補助テーブル5は所定の許容範囲内において中心軸を有しない状態でも左回りの円運動をし所定位置での静止動作が可能となる。
【0144】
この場合、円運動後の停止位置は、全体の電磁駆動力と前述したテーブル保持機構2のバネ作用による元位置復帰力とのバランス点(所定角度θ分、回転した位置)となり、かかる位置は設定回転角度と上述した電磁駆動力との関係として予め実験的に特定され、検索可能に図表化(マップ化)されて前述したデータ記憶部23に記憶されるようになっている。
【0145】
図13(B)は、各田形状駆動コイル7,7,……に同一の電磁駆動力が発生した場合の向きをXーY直交座標上に例示したものである。これより、XーY直交座標軸上の中心点Oを回転中心として補助テーブル5(即ち、可動テーブル1)は所定角度θだけ左回りに回転し停止することとなる。
この場合、回転後の停止位置を設定する回転角度θの大きさは、各田形状駆動コイル7,7,……に通電される同一の電流値の大きさを適当に設定制御することにより、その回転角度θが定められる。かかる通電電流の大きさは前述した主制御部21Aで設定制御される。
【0146】
第10の制御モードの場合は、補助テーブル5(即ち、可動テーブル1)を右回りに回転させる場合である。このため、この第10の制御モードでは、前述した各各田形状駆動コイル7,7,……に通電される同一の電流の向きを逆方向に設定すればよい。
【0147】
即ち、X軸の正軸上の田形状駆動コイル7は電流パターンBの手法によって、X軸の負軸上の田形状駆動コイル7は電流パターンAの手法によって、Y軸の正軸上の田形状駆動コイル7は電流パターンCの手法によって、又Y軸の負軸上の田形状駆動コイル7は電流パターンDの手法によって、それぞれ通電制御される。
これより、XーY軸上で、補助テーブル5は右回りに所定角度θ分だけ、円滑に回転制御されることとなる(図示せず)。
【0148】
これらの各通電パターンおよび各制御動作にかかる動作プログラムは、テーブル駆動制御手段21に併設された動作プログラム記憶部22に出力可能に記憶されている。そして、テーブル駆動制御手段21は、動作指令入力部24からの指令に基づいて前述した各動作プログラムの何れかを選択し、これに基づいて前述した電磁駆動手段4を駆動制御するようになっている。
【0149】
〔制動用プレート〕
前述した四個の各田形状駆動コイル7の被駆動磁石6に対向した端面部分には、図14に示すように、非磁性部材からなる金属製の制動用プレート9が、周囲から絶縁された状態で各被駆動磁石6の磁極面に対向し且つ近接してそれぞれ固着装備されている。
【0150】
この各制動用プレート9は、補助テーブル5(可動テーブル1)の急激な移動動作に対してこれを抑制しつつ当該補助テーブル5(可動テーブル1)を緩やかに移動させる機能を備えている。
ここで、図14(A)は図1の制動用プレート9部分を示す部分断面図を示す。又図14(B)は図14(A)の矢印AーA線に沿って見た平面図を示す。
【0151】
即ち、四個の被駆動磁石6が装備された補助テーブル5又は可動テーブル1が急激な移動動作をした場合、当各該被駆動磁石6とこれに対応した各制動用プレート9との間に電磁制動(うず電流ブレーキ)が働く。これにより、補助テーブル5(即ち、可動テーブル1)は急激な移動動作が抑制されて徐々に移動することとなる。
【0152】
図15(A)(B)に、上記電磁制動(うず電流ブレーキ)の発生について示す。
この図において、制動用プレート9は、被駆動磁石6のN極に対向して田形状駆動コイル7の端部に固着されている。
【0153】
いま、補助テーブル5が図の右方向に速度Vで急激に移動すると、金属製の制動用プレート9は(固定されているため)相対的に図の左方向に同一の速度V(=V)で急激に移動することになる。これにより、制動用プレート9内にはフレミングの右手の法則に従って速度Vに比例した起電力Eが図15(B)に示す方向(図中、上向き)に発生し、これにより同矢印の方向に左右対象の渦電流が流れる。この渦電流の大きさも速度Vに比例する。
【0154】
次に、起電力Eの発生領域にはN極からの磁束が存在することから、この被駆動磁石6の磁束と制動用プレート9内の(起電力E方向の)渦電流との間にフレミングの左手の法則に従って所定の移動力fが制動用プレート9内に(図の右方向に向けて)発生する。
【0155】
一方、制動用プレート9は固定プレート8上で固定されているため、移動力fの反力fが被駆動磁石6上に制動力として発生し、その向きは移動力fの向きとは逆の向きになる。即ち、この制動力fは被駆動磁石6(即ち補助テーブル5)の最初の急激な移動方向とは逆の方向となり、しかもその大きさは当該補助テーブル5の移動速度に比例した大きさとなることから、当該補助テーブル5はその急激な移動が適度の制動力fによって抑制され、安定した状態で円滑に移動することとなる。
他の制動用プレート9の箇所でも全く同様に所定の制動力fが発生する。
【0156】
このため、被駆動磁石6を備えた補助テーブル5では、例えば急激な停止動作に際しては当該停止箇所にて往復移動が生じ易いが、これに対しては制動力fによってその動作が適度に抑制されて円滑に穏やかに移動することとなる。即ち、全体的にはこの各制動用プレート9が有効に機能して、補助テーブル5(可動テーブル1)の移動動作の安定した装置を得ることができる。外部からの振動によって補助テーブル5が往復微小振動した場合にも、同様に機能してかかる往復微小振動は有効に抑制される。
【0157】
又、この各田形状駆動コイルの端面部分に装備された非磁性部材からなる金属製の各制動用プレート9は、図16に示すように、各田形状駆動コイル7との関係ではトランスの二次側回路を構成し、且つ所定の低抵抗r(うず電流損を生じる)を介して短絡された形態を構成する。
【0158】
図16において、Kは田形状駆動コイル7を表す一次側巻線を示し、Kは制動用プレート9に相当する二次側巻線を示す。図16(A)は、制動用プレート9内の電気抵抗成分(低抵抗r:うず電流損を生じる)を介して当該二次側巻線部分が短絡された状態を示す。他の制動用プレート9が付された箇所も全く同様の状態となっている。又、図16(B)は、制動用プレート9が無い状態(二次側巻線部分が開放された状態)を示す。
【0159】
このため、この場合の一次側回路を構成する各田形状駆動コイル7は、起動時の立ち上がり時(過渡状態)におけるコイルのインダクタンス成分による大きな抵抗が存在しても二次側短絡によりその影響を有効に低減することができ、かかる点において、起動時から比較的大きい電流を通電することができ、これがため、前述した被駆動磁石との間には当該制動用プレート9が無い場合に比較して電磁駆動力を迅速に出力することができる。
【0160】
又、上記各制動用プレート9は、各田形状駆動コイル7の駆動時に生じる熱を放熱する機能を兼ね備えている。かかる点において駆動コイル7の連続運転に伴って生じる高温下での抵抗増加と通電電流値の低下(即ち、電磁駆動力の低下)を有効に抑制して通電電流を長時間ほぼ一定レベルに設定することができ、このため、電磁駆動手段から出力される電磁駆動力に対する外部からの電流制御を安定した状態にて継続することができ、経年変化(熱による絶縁破壊)を有効に抑制することができ、装置全体の耐久性を、ひいては装置全体の信頼性を高めることができる。
【0161】
尚、上述した制動用プレート9については、本実施形態では各田形状駆動コイル7毎に装備した場合を例示したが、二個以上の田形状駆動コイル7又は当該田形状駆動コイル7の全部を対象としてこれを一枚の制動用プレートで覆うように構成したものであってもよい。
【0162】
〔全体的な動作〕
次に、上記第1実施形態の全体的な動作について説明する。
図6において、まず動作指令入力部24から、可動テーブル1を所定位置へ移動させるための動作指令が入力されると、テーブル駆動制御手段21の主制御部21Aが直ちに作動し、当該動作指令に基づいてデータ記憶部23から移動先の基準位置情報を選択し、同時に動作プログラム記憶部22からこれに対応した所定の制御モードにかかる制御プログラムを選択し、続いて、コイル選択駆動制御部21Bを付勢し、電磁駆動手段4の四つの田形状駆動コイル7を所定の制御モードに基づいて駆動制御する。
【0163】
可動テーブル1をX軸の正方向への所定位置へ移動する旨の指令が動作指令入力部24から入力され、これに基づいて装置全体が作動した状態を図17,図18に示す。
この事例では、制御モードとしては図9に示す第1の制御モードが選択され、これに従って各四つの田形状駆動コイル7に対してはそれぞれ図9に示す状態に通電パターンが選択され、これに従って動作したことを示す。
【0164】
この場合、前述したステージ保持機構4では、補助テーブル5が電磁駆動手段4によって図の右方に付勢されると、各ピアノ線2A,2Bの弾性力に抗して当該補助テーブル5が移動する。そして、この補助テーブル5(即ち、可動テーブル1)は、各ピアノ線2A,2Bの弾性復帰力と当該補助テーブル5に印加される電磁駆動手段4の電磁駆動力とのバランス点(移動目標位置)において停止する。
【0165】
図17,図18において、符号Tは移動した距離を示す。又、図18において、斜線部分は補助テーブル5の移動によって前述した他方の容量検出電極26X,26Xの容量成分が減少した部分を示し、交差斜線部分は前述した一方の容量検出電極26X,26Xの容量成分が増加した部分を示す。尚、この図18にあっては、Y軸方向への位置ずれは無い。
【0166】
そして、動作中に、外乱等によって補助テーブル5の移動位置が目標位置からずれた場合には、この容量検出電極26X,26X,26X,26Xの容量成分の増加減少の情報に基づいて前述したように実際の移動後の位置が検出され、位置ずれ防止用のフィードバック制御が行われるようになっている。
一方、かかる状態から補助テーブル5に印加されている電磁駆動力が開放されると、補助テーブル5はピアノ線2A,2Bの弾性復帰力に付勢されて元位置に復帰する(元位置復帰機能の発動)。
【0167】
かかる一連の動作にあって、補助テーブル5の移動動作は、通常は電磁駆動力の印加制御又は開放制御が何れの場合でも急激に行われる。このため、かかる場合、補助テーブル5(又は可動テーブル1)には、移動先での停止時又は元位置復帰に際しての停止位置において、慣性力およびばね力に起因した繰り返し往復動作が生じる。
しかしながら、本実施形態にあって、かかる繰り返し往復動作は、前述したように制動用プレートと被駆動磁石との間に生じる電磁制動(うず電流ブレーキ)によって抑制され、所定位置に向けて円滑に移動し、安定した状態で停止制御される。
【0168】
動作指令入力部24から、可動テーブル1を上記以外の他の所定位置へ移動させるための動作指令が入力された場合にも、上述した場合と同様にテーブル駆動制御手段21の主制御部21Aが直ちに作動し、当該動作指令に基づいてデータ記憶部23から移動先の基準位置情報を選択し、同時に動作プログラム記憶部22からこれに対応した所定の制御モードにかかる制御プログラムを選択する。続いて、コイル選択駆動制御部21Bを付勢し、電磁駆動手段4の四つの田形状駆動コイル7を所定の制御モードに基づいて駆動制御する。
【0169】
そして、この場合も、上述した場合と同様の制御動作および制動用プレートによる制動動作が実行され、補助テーブル5(可動テーブル1)は所定位置に向けて円滑に移動し、安定した状態で停止制御される。
【0170】
このように、上記第1の実施形態にあっては、リンク機構を応用したテーブル保持機構2によって滑り動作を伴うことなく補助テーブル5(可動テーブル1)を中心位置から(所定範囲内において)同一の高さ位置を維持しつつXーY直交座標の平面上のいずれの方向へも円滑に移動させ或いは回転させることができる。
【0171】
これがため、上記第1の実施形態によると、従来より必要としていた重厚な二重構造のXーY軸移動保持機構を不要としたことから装置全体の小型化軽量化が可能となり、同時に軽量化によって可搬性を著しく改善することができ、従来例に比較して部品点数も少なくなり、かかる点において耐久性を著しく向上させることができ、組立て時の調整に熟練を必要としないため生産性を高めることができた。
【0172】
又、被駆動磁石が装備された補助テーブル5(可動テーブル1)が急激に動作変化しても、前述したように当該被駆動磁石6と非磁性金属部材からなる制動用プレート9との間に電磁制動(うず電流ブレーキ)が働くことから、これにより、可動テーブルはその急激な動作が抑制され、所定方向に安定した状態で円滑に移動することができる。
【0173】
更に、この制動用プレート9については各被駆動磁石6に対向した状態で個別に田形状駆動コイル7に装備するという簡単な構成であり、電磁駆動力を発生させる電磁駆動手段4も補助テーブル5に装備した被駆動磁石6とこれに対向して固定プレート8に田形状駆動コイル7を装備するという簡単な構成であることから、かかる点においても、装置全体の小型化および軽量化が可能となり、可搬性が良好となるばかりでなく、組立作業に際しても特に熟練を要することが無いことから、作業性も良好となる。
【0174】
更に、駆動コイルの前述した被駆動磁石6側の端面部分に装備された非磁性部材からなる金属製の制動用プレートは、駆動コイルとの関係ではトランスの二次側回路と同等の回路を構成し、且つ制動用プレートの電気抵抗成分(うず電流損を生じる)を介して短絡された形態を構成する。
【0175】
このため、この場合の一次側回路を構成する田形状駆動コイル7は、二次側回路が開放状態の場合に較べて比較的大きい電流を通電することができ、これがため、制動用プレート9により田形状駆動コイル7と被駆動磁石6との間の間隔が幾分大きくなるが、通電電流も増加することから、かかる点において発生する電磁駆動力を低下させることがなく、当該被駆動磁石6に対しては比較的大きい電磁力を出力することが可能となっている。
【0176】
又、この制動用プレート9は、放熱板としても機能し、かかる点において田形状駆動コイル7の連続運転に伴う径年変化(熱による絶縁破壊)を有効に抑制することができ、かかる点においても装置全体の耐久性を増大することができ、ひいては装置全体の信頼性を高めることができる。
【0177】
更に、本実施形態では、電磁駆動手段における四個の田形状駆動コイル7と対応する各被駆動磁石6を上述したように装備したので、四個の各田形状駆動コイル7は、対応する各被駆動磁石6を常に前述したXーY直交座標の平面上のX軸又はY軸に直交する方向に押圧するように作動することから、補助テーブル5(即ち、可動テーブル1)に対する電磁駆動力は何れの方向に移動させる場合でも常に当該XーY直交座標平面上の中心点側から外側に向かう方向に発生することとなる。このため、補助テーブル5(即ち、可動テーブル1)の移送方向が変化しても常に回転を伴うことなく可動テーブル1を円滑に(許容範囲内において)平面移動させることができる。
【0178】
即ち、各田形状駆動コイル7毎に発生する電磁駆動力の大小とその発生方向を予め適宜設定することにより、各田形状駆動コイル7毎に発生する各電磁駆動力の合力をもって、前述した補助テーブル5を回転させることなく当該補助テーブル5(即ち、可動テーブル1)を所定の意図する方向に円滑に移送することができる。
【0179】
更に、可動テーブル1に対する回転駆動に際しては、各田形状駆動コイル7の十字状コイル辺の内の前述したXーY直交座標の平面上の中心点から外側に向かう線分上に位置するコイル部分を一様に左回り又は右回りの方向に(要するに、回転方向に電磁駆動力が発生するように)通電駆動する。
この場合、円滑な回転駆動を意図するには、上述した実施形態のように予め複数の被駆動磁石6をバランスよく補助テーブル5(又は可動テーブル1)上に配置すると共に、これに対応して各田形状駆動コイル7を固定テーブル8上に装備するとよい。
【0180】
このように、上記実施形態にあっては、複数の各田形状駆動コイル7に対して通電電流を調整することによって所定方向に連続した電磁駆動力を出力し得るので、可動テーブル1を連続的に移送することができ、かかる点においてミクロン単位の精密移動が可能となっている。
【0181】
尚、上記第1の実施形態にあっては、被駆動磁石6を補助テーブル5に装備した場合を例示したが、被駆動磁石6を可動テーブル1側に装備すると共に、これに対向して前述した各田形状駆動コイル7を固定テーブル8上の所定位置に配設してもよい。
又、可動テーブル1については、円形状の場合を例示したが、四角形状でも他の形状であってもよい。補助テーブル5については四角形状の場合を例示したが、上述した諸機能を実現し得るものであれば、円形でも他の形状のものであってもよい。
【0182】
更に、上記第1実施形態にあっては、制動用プレート9を装備した場合を例示したが、特に移動の迅速性を問わない場合には当該制動用プレート9は装備しなくてもよい。
【0183】
【第2の実施の形態】
図19〜図20にこれを示す。
この図19〜図20に示す第2の実施形態は、前述した第1の実施形態において装備した補助テーブル5を削除し、可動テーブル31をテーブル保持機構2で直接保持すると共に、テーブル駆動制御手段21によって可動テーブル31を直接駆動するように構成した点に特徴を備えている。
【0184】
この図19至図20において、符号31は四角形状の可動テーブルを示す。この可動テーブル31は、上面に円形の平坦作業面31Aを備えている。符号2は前述した第1実施形態におけるテーブル保持機構と同一のテーブル保持機構を示す。
このテーブル保持機構2は、前述した第1実施形態と同様に図19の下方部分に配設され、可動テーブル31の同一面内での任意方向への移動を許容すると共に、当該可動テーブル31に元位置復帰力を付加し得る状態で当該可動テーブル31を保持している。
【0185】
即ち、この第2の実施形態にあっては、可動テーブル31は、本体部としてのケース本体33の内側に配設されたこのテーブル保持機構2を介して、上述したようにケース本体33に支持されている。
【0186】
又、上記可動テーブル31とケース本体33の後述する駆動手段保持部(本体側突出部)33Aとの間に、可動テーブル31の移動位置を常時検出する容量型の位置情報検出手段のセンサ部を構成する容量センサ群26が前述した第1の実施形態の場合と同様に装備されている。
即ち、可動テーブル31の図19における下面(底面)の端部周囲には、所定幅の平坦面を備えた口字状のスペーサ31Bが装備され、その下面部分に、容量型の位置検出センサの共通電極31Baが設けられている。又、この共通電極31Baに対向して前述した第1実施形態における容量検出電極と同一の容量検出電極26X,26X,26X,26X,26Y,26Y,26Y,26Yが、前述した第1実施形態の場合と同様に設けられ、後述する駆動手段保持部(本体側突出部)33Aの上面に装備されている。
【0187】
テーブル保持機構2は、前述した第1実施形態におけるテーブル保持機構2と同様に、所定間隔を隔てて設置される二本の棒状弾性部材であるピアノ線(可動テーブル31を支えるに充分な適度の剛性を備えた弾性線材であれば他の部材であってもよい)2A,2Bを一組として予め可動テーブル31の周端部に対応して四組準備し、この四組のピアノ線2A,2Bを組毎に、四角形状の中継部材2Gの各四隅部分に分けてそれぞれ上方向に向けて植設する。
【0188】
そして、内側に位置する四本のテーブル側ピアノ線2Aで可動テーブル31を下方から保持し、外側に位置する本体側の四本のピアノ線2Bで中継部材2Gをケース本体33から360°方向に揺動自在に吊り下げた構造となっている。
【0189】
これにより、可動テーブル31は、前述した第1実施形態の場合と同様に高さ位置を変えることなく同一面内においていずれの方向へも移動することができ、同時に許容された範囲内での回転動作も可能となっている。
【0190】
ケース本体(本体部)33は、本実施形態では図19に示すように上方および下方が開放された箱体状に形成されている。
付号34は電磁駆動手段を示す。この電磁駆動手段34は、前述した第1の実施形態における電磁駆動手段4と同一に形成され、可動テーブル31の図19における下側に配置されてケース本体33側に保持され、前述した可動テーブル31に移動力を付勢する機能を備えている。
【0191】
又、符号33Aは、ケース本体33の内壁部周囲に突設された駆動手段保持部を示す。電磁駆動手段34は、この駆動手段保持部33Aを介してケース本体33に保持されている。この駆動手段保持部33Aの図19における上面側は前述したように平坦面を成し、この平坦面上に、可動テーブル31の位置情報を外部出力する容量検出電極26X,26X,26X,26X,26Y,26Y,26Y,26Yが、前述した第1実施形態の場合と同様に装備され、同様に機能するようになっている。
これにより、前述した第1実施形態における容量センサ群26と同様に、可動テーブル31の移動情報をリアルタイムで常時検出し、演算部を介して全体的には雑音を相殺した情報を出力し得るようになっている。
【0192】
前述した電磁駆動手段34は、前述した第1実施形態の場合と同様に、可動テーブル31の図19における下面部分の所定位置に固定装備された四個の被駆動磁石6と、この各被駆動磁石6に対向して配置された十字状コイル辺を有し且つ当該各被駆動磁石6に対して前述した可動テーブル31の所定の移動方向に沿って電磁的に所定の駆動力を付勢する田形状駆動コイル7と、この田形状駆動コイル7を定位置にて保持する固定プレート38とを備えている。
【0193】
この固定プレート38は、前述した可動テーブル31に所定間隔を隔てて平行に設定され、可動テーブル31の図19における下方に配設されてその周囲がケース本体33の駆動手段保持部33Aに保持されている。
【0194】
更に、田形状駆動コイル7の前述した被駆動磁石6側の端面側には、前述した第1の実施形態の場合と同様に、非磁性金属部材からなる制動用プレート9が被駆動磁石6の磁極面に近接して個別に配設されている。
【0195】
この制動用プレート9は、本実施形態では田形状駆動コイル7の端面部分に固着され、この田形状駆動コイル7を介して前述した固定プレート38側に固定された状態となっている。尚、この制動用プレート9については、田形状駆動コイル7の端面部分に当接したた状態を維持しつつ、他のスペーサ部材(図示せず)を介して固定プレート38に固定するように構成してもよい。この点は前述した第1実施形態の場合も同様である。
【0196】
可動テーブル31は、前述したように、内側に位置する四本のテーブル側ピアノ線2Aによって保持されている。符号31Cは、この四本のテーブル側ピアノ線2Aに係合するために可動テーブル31の図19における下面から下方に向けて突設された四本のテーブル側脚部を示す。前述した可動テーブル31は、この四本のテーブル側脚部31Cを介して四本の各テーブル側ピアノ線2Aに連結され保持されている。
【0197】
ここで、この四本のテーブル側脚部31Cの長さは、前述した内側に位置する四本のテーブル側ピアノ線2Aが外側に位置する四本のピアノ線2Bとその露出長さLを同一にし得る長さに設定されている。
【0198】
前述した固定プレート38の四隅部分には、所定の大きさの貫通穴38Aがそれぞれ形成されている。この貫通穴38Aは、本実施形態では四角形状に形成されているが、前述した可動テーブル31の動作を許容し得る大きさであれば、その形状については、円形等,他の形状であってもよい。
【0199】
そして、この貫通穴38Aを前述した四本のテーブル側脚部31Cがそれぞれ個別に貫挿し、これによって、図19の上方部分に位置する可動テーブル1が同図の下方部分に位置するテーブル保持機構2の四本のテーブル側ピアノ線2Aによって保持された構造となっている。
その他の構成及び機能は前述した第1の実施形態の場合と同一となっている。
【0200】
このようにしても、この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を有するほか、特に前述した第1の実施形態において装備した補助テーブル5を削除して可動テーブル31をテーブル保持機構2で直接保持すると共に、テーブル駆動制御手段21によって可動テーブル31を直接駆動するように構成したので、構造が単純化され、その分、小型軽量化が可能となり、可動テーブル1側の重量が軽減されるので、可動テーブル1の駆動制御に際してはその動作が迅速化され、且つ保持機構であるテーブル保持機構2の耐久性向上を図ることができ、装置全体の可搬性の向上を図ることができる。更には、補助テーブル5を可動テーブル31に連結し組み込むという作業工程が不要となるので、生産性および保守性を著しく向上させることができ、装置全体の原価低減を図ることができるという効果を奏する。
【0201】
【第3の実施の形態】
図21に第3の実施形態の一例を示す。
この第3の実施形態は、前述した第1の実施形態において、各被駆動磁石に対向して複数の田形状駆動コイルの端部に個別に装備した複数の制動用プレート9を、一枚の板状部材を使用して共用とした点に構造上の特徴を備えている。
【0202】
この図21では、前述した第1実施形態に装備した四枚の制動用プレート9に代えて同一材質からなる1枚の制動用プレート39を装備した場合を示す。
この場合、制動用プレート39の中央部には、図1に開示した連結支柱10の挿通を許容し且つ当該連結支柱10が補助テーブル5(及び可動テーブル1)と共に図21のXーY直交座標の平面内において移動するのを許容する程度の大きさの貫通穴39Aが形成されている。
【0203】
ここで、この制動用プレート39は、図21(A)では、複数の各田形状駆動コイル7の各端部に当接した状態で当該各田形状駆動コイル7を介して固定プレート8に装着した場合を例示してある。一方、この制動用プレート39については、各田形状駆動コイル7の端面部分に当接した状態を維持しつつ、他のスペーサ部材(図示せず)を介して固定プレート8に固定するように構成してもよい。
その他の構成は前述した第1の実施形態と同一となっている。
【0204】
このようにしても、前述した第1の実施形態の場合と同等の作用効果を得ることができるほか、更に制動用プレート39の組立作業が前述した第1実施形態の場合に比較して著しく単純化され、制動用プレート39の全体の表面積が大きくなるので放熱板としても有効に機能し、各田形状駆動コイル7の耐久性を増大させることができ、かかる点において生産性および装置の耐久性の向上を図ることができるという利点がある。
【0205】
尚、この第3の実施形態は、前述した前述した第1の実施形態における複数の制動用プレート9に代えて同一材質の一枚の板状部材を装備するように構成した場合を例示したが、前述した第2の実施形態において複数の制動用プレート9に代えて同一材質の一枚の板状部材を単一の制動用プレート39として装備するように構成してもよい。
【0206】
【第4の実施の形態】
図22に第4の実施形態を示す。
この第4の実施形態は、前述した第1の実施形態における四つの各田形状駆動コイル7を前述した固定プレート48にそれぞれ貫通した状態で当該固定プレート48に固着装備すると共に、この各田形状駆動コイル7の端面に個別に対応して前述した補助テーブル5及び可動テーブル1の各々に被駆動磁石6を装備し、これによって電磁駆動手段44を構成した点に特徴を備えている。
【0207】
符号48Aは図1における貫通穴8Aと同様に連結支柱10の移動動作を許容する貫通穴を示す。又、符号49,50はそれぞれ各田形状駆動コイル7の各端面に当接して固定プレート8の両面に、前述した各被駆動磁石6毎にに対向し且つ近接した状態で各々固着装備された制動用プレートを示す。
その他の構成は前述した第1の実施形態と同一となっている。
【0208】
このようにしても、前述した第1の実施形態と同一の作用効果を有するほか、更に、被駆動磁石6を田形状駆動コイル7の両端面の十字状コイル辺に対応してそれぞれ装備したので、電磁駆動力を倍増させることができ、このため、より迅速に且つ安定した状態で補助テーブル5及び可動テーブル1を平面駆動することができ、かかる点において装置全体の性能および信頼性の向上を図り得るという利点がある。
【0209】
ここで、上述した制動用プレート49,50については、本実施形態では各々前述した各田形状駆動コイル7の各端面毎に区画して同一面上に個別に独立して装備した場合を例示したが、前述した第3の実施形態における制動用プレート39(図21参照)の場合と同様に、補助テーブル5側(又は可動テーブル1側)の各被駆動磁石6に共通に対向して一枚の制動用プレートで共用するように構成してもよい。
【0210】
また、この図22に示す第4の実施形態においては、制動用プレート49,50を装備した場合を例示したが、この制動用プレート49,50については削除してもよい。
このようにすると、各被駆動磁石6と対応する各田形状駆動コイル7との間の隙間を小さくすることができ、これによって両者間に働く電磁駆動力を大きく設定することができるという利点がある。
【0211】
【その他の実施形態】
ここでは、田形状駆動コイルの他の形状の例を説明する。
上述した第1乃至第4の各実施形態においては田形状駆動コイルとして四角形状のものを例示したが、本発明は田形状駆動コイルを必ずしもこれに限定するものではなく、以下に示す形状のものも、田形状駆動コイルとして機能し得るものである。
【0212】
(1).外形が菱形の田形状駆動コイル
図23にこれを示す。この図23に示す田形状駆動コイル61は、それぞれ独立して通電可能な四個の三角形状の角形小コイル61a,61b,61c,61dによって構成され、その全体の組み合わせを菱形状としたもの(四角形状のものを90°回転させた状態)で、内側には図23に示すように十字状コイル辺を備えている。
【0213】
図23は、このようにして形成された四個の田形状駆動コイル61を、前述した第1の実施形態の場合と同様に、固定テーブル8上の中心点を原点とするXーY直交座標上の各軸上に配置し固定テーブル8(図示せず)に固着装備した場合を示す。
【0214】
そして、この場合も、被駆動磁石6は各田形状駆動コイル61の十字状コイル辺に対応して補助テーブル5上に装備されるようになっている。また、符号62は前述した第3の実施形態における制動用プレート39と同等に機能する制動用プレートを示す。同様に、符号5は補助テーブルを示す。その他の構成は前述した第1の実施形態と同一となっている。
【0215】
このようにしても、田形状駆動コイル61は前述した第1の実施形態における田形状駆動コイル7と同等に機能し、これを装備した精密加工用ステージ装置も前述した第1の実施形態の場合と同等の作用効果を得ることができる。
【0216】
(2).外形が円形状の田形状駆動コイル
図24にこれを示す。この図24に示す田形状駆動コイル62は、それぞれ独立して通電可能な四個の扇形の角形小コイル62a,62b,62c,62dによって構成され、その全体の組み合わせを円形状としたもので、内側には図23の場合と同様に十字状コイル辺を備えている。
【0217】
図24は、このようにして形成された四個の円形状の田形状駆動コイル62を、前述した第1の実施形態の場合と同様に、固定テーブル8上の中心点を原点とするXーY直交座標上の各軸上に配置し固定テーブル8(図示せず)に固着装備した場合を示す。
【0218】
そして、この場合も、被駆動磁石6は各田形状駆動コイル62の十字状コイル辺に対応して補助テーブル5上に装備されるようになっている。また、符号39は前述した第3の実施形態における制動用プレートと同一の制動用プレートを示す。同様に、符号5は補助テーブルを示す。その他の構成は前述した第1の実施形態と同一となっている。
【0219】
このようにしても、円形状の田形状駆動コイル62は前述した第1の実施形態における四角形状の田形状駆動コイル7と同等に機能し、これを装備した精密加工用ステージ装置も前述した第1の実施形態の場合と同等の作用効果を得ることができる。
【0220】
(3).外形が八角形状の田形状駆動コイル
図25にこれを示す。この図25に示す田形状駆動コイル63は、それぞれ独立して通電可能な四個の五角形状の角形小コイル63a,63b,63c,63dによって構成され、その全体の組み合わせを八角形状としたもので、内側には図22の場合と同様に十字状コイル辺を備えている。
【0221】
図25は、このようにして形成された四個の八角形状の田形状駆動コイル63を、前述した第1の実施形態の場合と同様に固定テーブル8上の中心点を原点とするXーY直交座標上の各軸上に配置し固定テーブル8(図示せず)に固着装備した場合を示す。
【0222】
そして、この場合も、被駆動磁石6は各田形状駆動コイル63の十字状コイル辺に対応して補助テーブル5上に装備されるようになっている。また、符号39は前述した第3の実施形態における制動用プレートと同一の制動用プレートを示す。同様に、符号5は補助テーブルを示す。その他の構成は前述した第1の実施形態と同一となっている。
【0223】
このようにしても、八角形状の田形状駆動コイル63は前述した第1の実施形態における四角形状の田形状駆動コイル7と同等に機能し、これを装備した精密加工用ステージ装置も前述した第1の実施形態の場合と同等の作用効果を得ることができる。
【0224】
以上のように、本発明における田形状駆動コイルについては、内側に十字状コイル辺を備えたものであれば、その外形の形状に関しては必ずしも四角形状に限定するものではなく、同等に機能するものであれば他の形状であってもよい。
また、上述した各実施形態にあっては、各田形状駆動コイルの内側部分(十字状コイル辺部分)の空間領域を中空状態の場合を例示したが、この部分には、フェライト等の非導電性磁性部材を充填したものであってもよい。
【0225】
更に、上記第1〜第4およびその他の各実施形態にあっては、被駆動磁石6として永久磁石を装備した場合を例示したが、永久磁石に代えて電磁石を装備したものであってもよい。この場合、この電磁石の駆動制御については、前述したテーブル駆動制御手段21が担当し、前述した各田形状駆動コイル7の動作に連動してその順方向又は逆方向或いは通電停止状態が選択され所定の通電制御が成されるようになっている(図示せず)。
【0226】
この被駆動磁石6を電磁石とした場合にあっては、可動テーブルの駆動制御に種々変化をもたせることができる。例えば、移動時の加速/減速に際しては各駆動コイルと電磁石の両方を駆動制御してこれに対応し得るので、可動テーブルの移動方向等の変化に対して迅速に対応し得ることが可能となる。
即ち、この被駆動磁石6を電磁石とした場合にあっては、被駆動磁石の磁束密度(磁石の強さ)を必要に応じて自由に設定し得るので、当該被駆動磁石の強度を使用状態に応じて変化させることができるという利点がある。
【0227】
又、上記各実施形態にあっては、四個の被駆動磁石6及び対応する各田形状駆動コイル7,61,62又は63を補助テーブル5(又は可動テーブル1)の上面における補助テ ーブル5(又は可動テーブル1)の中心点を原点とするXーY直交座標上の中心部から等距離の位置のX軸上及びY軸上にそれぞれ配設した場合を例示したが、本発明は必ずしもこれに限定されず、四個の各被駆動磁石6はXーY直交座標上でバランスのとれた位置であれば原点である中心部から等距離の位置でなくてもよい。
【0228】
被駆動磁石6については、これを偶数個(四個でなくてもよい)準備すると共に、この偶数個の被駆動磁石6を補助テーブル5(又は可動テーブル1)の同一円周上に等間隔に配置し、これによって位置が特定された各被駆動磁石6に個別に対応して前述した田形状駆動コイル7を前述した固定プレート8上にそれぞれ配置してもよい。
【0229】
更に、被駆動磁石6については、被駆動磁石6のを偶数個準備すると共に、この偶数個の被駆動磁石6を、例えば補助テーブル5(又は可動テーブル1)の面における前述したXーY直交座標上のX軸(又はY軸)を基準として左右対称(又は上下対称)となるように配置し、これによって位置が特定された各被駆動磁石6に個別に対応して前述した田形状駆動コイル7を前述した固定プレート8上にそれぞれ配置してもよい。
このようにしても、前述した第1乃至第4およびその他の各実施形態とほぼ同等の作用効果を備えた精密加工用ステージ装置を得ることができる。
【0230】
更に、前述した各実施形態にあっては制動用プレートを装備した場合を例示したが、この制動用プレートについては、これを必ずしも装備しなくてもよい。
一方、この制動用プレートについては、田形状駆動コイルとの対応関係をはずし、当該田形状駆動コイルから離れた領域の前述した固定テーブル8上に固着装備し、これに近接し且つ対向した状態の新たな制動用磁石を前述した可動テーブル(又は補助テーブル)の所定位置に装備し、これによって田形状駆動コイルとは独立した状態で電磁制動を作動させるようにしてもよい。
【0231】
又、上記各実施形態において、容量センサ群26を八個の容量検出電極26X,26X,26X,26X,26Y,26Y,26Y,26Yを補助テーブル5又は可動テーブル1の周囲下面の口字状の共通電極に対応して各辺(例えば、前述したXーY直交座標の平面における各軸の両端に位置する領域)に所定間隔を隔てて二個づつ配置した場合を例示したが、これを半減して例えばXーY座標平面における各軸の正方向の端に位置する領域のみに所定間隔を隔てて二個配置したものであってもよい。
【0232】
このようにすると、演算部の雑音排除機能はなくなるが、構成が単純化されるばかりでなく検出される情報量が半減するため、位置情報の演算処理をより一層迅速に成し得ることとなり、移動中の可動テーブル1の位置ずれ等に対する修正をより一層迅速に成し得るという効果を奏する。
【0233】
更に、上記各実施形態において、テーブル保持機構2としては、四本のテーブル側棒状弾性部材(テーブル側ピアノ線)2Aとこれに対応し且つ本体側に位置する四本の本体側棒状弾性部材(本体側ピアノ線)2Bとを備え、且つ対応する各棒状弾性部材2A,2Bは近接した位置に配置した場合の具体例を説明したが、本発明は、必ずしもこれに限定するものではなく、棒状弾性部材2A,2Bの数については、それぞれバランスよく配置することを前提として、それぞれ三本(合計六本)であってもよい。又、一組を構成するテーブル側及び本体側の各棒状弾性部材2A,2Bについては、必ずしも相互に近接して装備しなくてもよい。
【0234】
このようにしても、可動テーブル1の移動に際しては、各棒状弾性部材2A,2Bはそれぞれほぼ同様に弾性変形してこれに対応することから、全体的には、前述した各実施形態におけるテーブル保持機構2の場合と同等に機能し同等の作用効果を得ることができる。又、このテーブル保持機構2における棒状弾性部材2A,2Bについては、五組以上であってもよい。
【0235】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成され機能するので、これによると、請求項1記載の発明では、各田形状駆動コイルの駆動力が対応する各被駆動磁石を、常に、前述したように可動テーブルの面上に想定されるXーY直交座標平面上のX軸又はY軸の各軸に沿った方向又は直交する方向のいずれかの方向に押圧するように作動することから、その全体の電磁駆動力(各田形状駆動コイルの駆動力の合力)は可動テーブルを何れの方向に移動させる場合でも常に当該XーY直交座標平面上の中心点側から外側に向かう方向に出力され、これがため、可動テーブルの移送方向(設定先)が変化しても常に回転を伴うことなく可動テーブルを許容範囲内において円滑に平面移動させることができる。
【0236】
即ち、本請求項1記載の発明によると、各田形状駆動コイル毎に発生する電磁駆動力の方向とその大小とを前述した動作制御系を介して予め適宜設定することにより、各田形状駆動コイル毎に発生する各電磁駆動力の合力をもって、可動テーブルを回転させることなく所定の意図する方向に円滑に移送することができる。
【0237】
更に、本請求項1記載の発明にあっては、各田形状駆動コイルの十字状コイル辺の内の前述したXーY直交座標平面上の中心点から外側に向かう線分上に位置するコイル部分を一様に左回り又は右回りの方向に(要するに、回転方向に電磁駆動力が発生するように)前述したように動作制御系が機能して電磁駆動手段を有効に通電駆動することから、所定の許容範囲において可動テーブルに回転駆動することができ、かかる点において装置全体の汎用性を高めることができる。
【0238】
このように、請求項1記載の発明では、複数の各田形状駆動コイルに対して通電電流を調整することによって所定方向に連続した電磁駆動力を大小可変出力し得るので、回転動作を含めて同一平面内の何れの方向へも可動テーブルの移送が可能となり、斜め方向への直線移動に際しては回転動作を排除した状態で所定方向への直線移動が可能となり、かかる点において装置全体の信頼性を高めることができる。
【0239】
又、上述したように、複数の各田形状駆動コイルは可動テーブルの動作領域内に当該可動テーブルに対応して、同一面上(前述したXーY直交座標面上)に併設されることから、通常装備される外付の複数の駆動モータ等が不要となり、かかる点において装置全体の小型軽量化が可能となり、かかる点において可搬性を大幅に改善することができる。
【0240】
請求項2乃至請求項14にそれぞれ記載の発明は、いずれも上述した請求項1記載の発明と同等の作用効果を有するほか、更に後述するような作用効果を備えている。
【0241】
(削除)
【0242】
(削除)
【0243】
請求項2記載の発明では、前述した請求項1記載の精密加工用ステージ装置において、可動テーブルに補助テーブルを一体的に併設し、この補助テーブルを介してテーブル保持機構が前述した可動テーブルを保持すると共に当該補助テーブルを介して電磁駆動手段が可動テーブルに平面移動力を付勢するように構成した点に特徴を備えている。
このため、この請求項2記載の発明では、前述した請求項1記載の発明と同等の効果を奏するほか、更にその構造に余裕があり、かかる点において生産性および保守性をたかめることができる。
【0244】
(削除)
【0245】
請求項3記載の発明では、前述した請求項3又は4記載の精密加工用ステージ装置において、各田形状駆動コイルを前記固定プレートに貫通した状態で装備する。そして、この各田形状駆動コイルの各端面に対応して可動テーブル及び補助テーブルの各々に被駆動磁石をそれぞれ配設する、という構成を採っている。
【0246】
このため、この請求項3記載の発明では、前述した請求項3又は4記載の明と同等の作用効果を有するほか、更に、ほぼ二倍の駆動力にて補助テーブル(即ち、可動テーブル)を平面駆動することができ、かかる点において、装置全体の性能の向上を期待し得るという利点がある。
【0247】
請求項4乃至5については後述する。
請求項6乃至8記載の各発明では、前述した請求項1,2,3,4又は5記載の精密加工用ステージ装置において、被駆動磁石を偶数個設けると共に、この偶数個の被駆動磁石の配置について限定した点に特徴を有する。
【0248】
即ち、偶数個の被駆動磁石を同一円周上に等間隔に配置する(請求項6)。又、偶数個の田形状駆動コイルを、前述した可動テーブルの中央部を原点として想定されるXーY面上の少なくともX軸に対して左右対称位置に配置する(請求項7)。更に、複数個の被駆動磁石を、可動テーブルの中央部を原点として想定されるXーY面上の正負各軸上の所定位置にぞれぞれ配設する(請求項8)。そして、これにより位置が特定された少なくとも四個の各被駆動磁石に個別に対応して少なくとも四個の田形状駆動コイルを固定プレート上にそれぞれ装備した。
【0249】
このため、この請求項6乃至8記載の各発明では、それぞれ前述した請求項1乃至5記載の何れか一つに記載の発明と同等の作用効果を有するほか、更に各被駆動磁石に発生する複数の電磁駆動力が、前述したXーY直交座標軸上の中央部の原点Oを基準としてそのその合力が形成されることとなり、かかる点において回転動作成分が確実に排除され、当該可動テーブルをXーY直交座標軸上の所定の方向へ蛇行することなく円滑に移動させることが可能となる。
【0250】
又、請求項9乃至12記載の各発明では、前述した請求項1乃至8の何れか一つに記載の精密加工用ステージ装置において、田形状駆動コイルの外形の形状を特定した点に特徴を有する。
【0251】
即ち、各田形状駆動コイルを、それぞれ独立して通電可能な四個の四角形状の角形小コイルにより構成し、その組合せの全体の形状を四角形状とした(請求項9)。各田形状駆動コイルを、それぞれ独立して通電可能な四個の三角形状の角形小コイルにより構成し、その組合せの全体の形状を菱形状とした(請求項10)。各田形状駆動コイルをそれぞれ独立して通電可能な四個の扇状の角形小コイルにより構成し、その組合せの全体の形状を円形状とした(請求項11)。各田形状駆動コイルを、それぞれ独立して通電可能な四個の5角形状の角形小コイルにより構成し、その組合せの全体の形状を八角形状とした(請求項12)。
【0252】
このため、この請求項9乃至12記載の各発明では、請求項1乃至8の何れか一つに記載の発明と同等の作用効果を有するほか、更に可動テーブルの形状や構造その他の環境条件に合わせてこれに対応した田形状駆動コイルを設定することができ、かかる点において装置の汎用性を高めることができる。
【0253】
更に、請求項13記載の発明では、前述した請求項1乃至12の何れか一つに記載の精密加工用ステージ装置において、田形状駆動コイルの前述した被駆動磁石側の端面部分に、非磁性金属部材からなる制動用プレートを前述した被駆動磁石の磁極面に対向して配設し、固定装備した。
【0254】
このため、この請求項13記載の発明では、前述した請求項1乃至12の何れか一つに記載の発明と同等の作用効果を有するほか、更に、被駆動磁石が装備された補助テーブル又は可動テーブルが急激な移動動作をした場合に当該被駆動磁石を制動用プレートとの間に電磁制動(うず電流ブレーキ)が働き、補助テーブル又は可動テーブルは急激な動作が抑制されて徐々に移動することとなる。
【0255】
(削除)
【0256】
(削除)
【0257】
前述した請求項4乃至5に記載の各発明では、前述した請求項1乃至3の何れか一つに記載の精密加工用ステージ装置において、まず、電磁駆動手段に前述した可動テーブルの移動若しくは回転動作を規制する動作制御系を併設する。そして、このこの動作制御系を前述したように更に具体的に構成した。
【0258】
このため、この請求項4乃至5に記載の各発明では、前述した請求項1乃至3の何れか一つに記載の発明と同等の作用効果を有するほか、更に、動作指令入力部からの指令に基づいてコイル駆動制御手段が作動し、プログラム記憶部およびデータ記憶部から移動方向先の情報および移動用の所定の制御モードを取り出すと共に、これに基づいて前述した電磁駆動手段の複数の各田形状駆動コイルを駆動制御し、可動テーブルを所定の方向に移動させるようにした。
【0259】
又、請求項14に記載の発明では、前述した請求項1乃至13の何れか一つに記載の精密加工用ステージ装置において、可動テーブルの移動情報を検出し外部出力する複数の移動情報検出センサを当該可動テーブルの周端部の複数箇所にそれぞれ分散して装備し、この複数の移動情報検出センサで検出される情報に基づいて所定の演算をし前記可動テーブルの移動方向およびその変化量等を特定して位置情報として外部出力する位置情報演算回路部を設ける、という構成を採っている。
【0260】
このため、この請求項14記載の発明では、前述した請求項1乃至13の何れか一つに記載の発明と同等の作用効果を有するほか、更に、可動テーブルの移動情報若しくは移動後の位置情報をリアルタイムで外部出力することができ、これがため、オペレータは、可動テーブルの移動方向や移動後の位置のずれ等を外部から容易に把握し得るので、やり直し又は修正の必要性を迅速に把握することができ、このため、補助テーブル(即ち可動テーブル)の移動作業を高精度に且つ迅速に成し得ることとなる。
【0261】
(削除)
【0262】
(削除)
【0263】
(削除)
【0264】
(削除)
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態を示す一部省略した概略断面図である。
【図2】 図1の一部切り欠いた平面図である。
【図3】 図1のAーA線に沿った概略断面図である。
【図4】 図1の下方からみた一部切り欠いた底面図である。
【図5】 図1に開示した田形状駆動コイルと被駆動磁石および制動用プレートとの位置関係を示す説明図図である。
【図6】 図1の各構成部分とその動作制御系との関係を示すブロック図である。
【図7】 図6に開示した動作制御系に付勢されて作動する補助テーブル(可動テーブル)の動作例を示す図で、図7(A)は右上45°の方向に補助テーブル(可動テーブル)が平面移動した場合を示す説明図、図7(B)は補助テーブル(可動テーブル)が角度θだけ回動した場合を示す説明図である。
【図8】 図1乃至図4に開示した田形状駆動コイルの四つの角形小コイルに通電される四つの通電パターン(通電プログラムは予めプログラム記憶部に記憶される)とその機能とを示す図表である。
【図9】 図6に開示した動作制御系が四つの田形状駆動コイルを駆動制御する場合の制御モードと補助テーブル(可動テーブル)の動作方向とを示す図で、図9(A)は第1の制御モードと補助テーブル(可動テーブル)のX軸(正)方向への動作を示す説明図、図9(B)はこの場合の駆動力の大きさと作用点との関係を示す説明図である。
【図10】 図6に開示した動作制御系が四つの田形状駆動コイルを駆動制御する場合の制御モードと補助テーブル(可動テーブル)の動作方向とを示す図で、図10(A)は第3の制御モードと補助テーブル(可動テーブル)のY軸(正)方向への動作を示す説明図、図10(B)はこの場合の駆動力の大きさと作用点との関係を示す説明図である。
【図11】 図6に開示した動作制御系が四つの田形状駆動コイルを駆動制御する場合の制御モードと補助テーブル(可動テーブル)の動作方向とを示す図で、図11(A)は第5の制御モードと補助テーブル(可動テーブル)のXーY座標上の第1象限方向への動作を示す説明図、図11(B)はこの場合の駆動力の大きさと作用点との関係を示す説明図である。
【図12】 図6に開示した動作制御系が四つの田形状駆動コイルを駆動制御する場合の制御モードと補助テーブル(可動テーブル)の動作方向とを示す図で、図12(A)は第7の制御モードと補助テーブル(可動テーブル)のXーY座標上の第2象限方向への動作を示す説明図、図11(B)はこの場合の駆動力の大きさと作用点との関係を示す説明図である。
【図13】 図6に開示した動作制御系が四つの田形状駆動コイルを駆動制御する場合の制御モードと補助テーブル(可動テーブル)の動作方向とを示す図で、図13(A)は第9の制御モードと補助テーブル(可動テーブル)のXーY座標上の原点を中心として回動する場合を示す説明図、図13(B)はこの場合の駆動力の大きさと作用点との関係を示す説明図である。
【図14】 図1に開示した制動用プレートと四つの田形状駆動コイル及び被駆動磁石との位置関係を示す図で、図14(A)は制動用プレートを含む部分の構造を示す部分断面図、図14(B)は図14(A)中のAーA線に沿って見た平面図である。
【図15】 図1に開示した制動用プレートの制動力発生原理を示す図で、図15(A)は図1の制動用プレート部分を示す拡大部分断面図、図15(B)はこの場合の図15(A)中のAーA線に沿って見た制動用プレートに生じるうず電流制動の発生状況をす説明図である。
【図16】 図1に開示した田形状駆動コイルと制動用プレートとの電気的な関係を示す図で、図16(A)は両者を連結された場合の状態を示す等価回路、図16(B)は制動用プレートが無い場合の田形状駆動コイルの状態を示す等価回路である。
【図17】 図1に開示した第1実施形態の全体的な動作例を示す説明図である。
【図18】 図17の動作例を平面的に見た場合の一例を示す説明図である。
【図19】 本発明の第2実施形態を示す一部省略した概略断面図である。
【図20】 図19の一部切り欠いた平面図である。
【図21】 本発明の第3実施形態を示す図で、図21(A)は一部省略した概略部分断面図、図21(B)は図21(A)の矢印AーA線に沿ってみた一部省略した平面図である。
【図22】 本発明の第4実施形態を示す一部省略した概略断面図である。
【図23】 本発明における各実施形態に開示した田形状駆動コイルの他の例を示す図で、田形状駆動コイルを菱形状とした場合の例を示す説明図である。
【図24】 本発明における各実施形態に開示した田形状駆動コイルの他の例を示す図で、田形状駆動コイルを円形状とした場合の例を示す説明図である。
【図25】 本発明における各実施形態に開示した田形状駆動コイルの他の例を示す図で、田形状駆動コイルを八角形状とした場合の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1,31 可動テーブル
2 テーブル保持機構
2A,2B 棒状弾性部材としてのピアノ線
2G 中継部材としての中継プレート
3,33 本体部としてのケース本体
4,34,44 電磁駆動手段
5 補助テーブル
6 被駆動磁石
7,61,62,63 田形状駆動コイル
8,38,48 固定プレート
9,39,49,50,59 制動用プレート

Claims (14)

  1. 同一面上にて任意の方向への移動および回動動作が可能に配設された可動テーブルと、この可動テーブル上の中心点を原点として同一面上での前記各動作を許容して当該可動テーブルを保持すると共に当該可動テーブルに対する元位置復帰を付勢する元位置復帰機能を備えたテーブル保持機構と、このテーブル保持機構を支持する本体部と、この本体部に装備され前記可動テーブルに移動力を付勢する電磁駆動手段とを備え、
    前記電磁駆動手段を、前記可動テーブルの所定位置に固定装備された複数個の被駆動磁石と、この各被駆動磁石に対向して個別に配設され且つ当該各被駆動磁石を介して前記可動テーブルに所定の移動方向に沿った所定の電磁駆動力を付勢する複数の田形状駆動コイルと、この田形状駆動コイルを保持すると共に前記本体部に固定された固定プレートとにより構成すると共に、
    前記固定プレートは、前記可動テーブルと前記テーブル保持機構との間に配設された構成とし、
    前記テーブル保持機構は、前記可動テーブルから当該テーブル保持機構に向けて前記固定プレートを貫通して突設されたテーブル側脚部を介して、前記可動テーブルを空中で安定した状態で保持する構成とし、
    前記各田形状駆動コイルの内側の十字状コイル辺の縦方向又は横方向の何れか一方が前記固定プレートの中央部の中心点を原点として設定されるXーY直交座標平面上の中心点側に向かうように、当該各田形状駆動コイルを前記固定プレート上に装着すると共に、前記田形状駆動コイルの外側の輪郭コイル部分を前記被駆動磁石の大きさよりも大きく設定し、
    前記電磁駆動手段に、前記可動テーブルに対して同一面上での任意の方向への移動動作を規制する動作制御系を併設すると共に、この動作制御系が、前記電磁駆動手段の複数の田形状駆動コイルの十字状コイル辺の少なくとも縦方向又は横方向の何れか一方を選択的に通電制御して前記可動テーブルを所定の方向に移動制御するコイル駆動制御手段を備えたことを特徴とする精密加工用ステージ装置。
  2. 同一面上にて任意の方向への移動および回動動作が可能に配設された可動テーブルと、この可動テーブル上の中心点を原点として同一面上での前記各動作を許容して当該可動テーブルを保持すると共に当該可動テーブルに対する元位置復帰を付勢する元位置復帰機能を備えたテーブル保持機構と、このテーブル保持機構を支持する本体部と、この本体部に装備され前記可動テーブルに移動力を付勢する電磁駆動手段とを備え、
    前記可動テーブルに所定間隔を隔てて平行に補助テーブルを連結装備すると共に、この補助テーブルを介して前記テーブル保持機構が前記可動テーブルを空中で安定した状態で保持する構成とし、
    前記電磁駆動手段を、少なくとも前記可動テーブル又は補助テーブルの何れか一方の所定位置に固定装備された複数個の被駆動磁石と、この各被駆動磁石に対向して個別に配設され且つ当該各被駆動磁石を介して前記可動テーブルに所定の移動方向に沿った所定の電磁駆動力を付勢する複数の田形状駆動コイルと、この田形状駆動コイルを保持する固定プレートとを備えた構成とし、
    前記固定プレートは、前記可動テーブルと前記補助テーブルとの間に配設された構成とし、
    前記各田形状駆動コイルの内側の十字状コイル辺の縦方向又は横方向の何れか一方が前記固定プレートの中央部の中心点を原点として設定されるXーY直交座標平面上の中心点側に向かうように、当該各田形状駆動コイルを前記固定プレート上に装着すると共に、前記田形状駆動コイルの外側の輪郭コイル部分を前記被駆動磁石の大きさよりも大きく設定し、
    前記電磁駆動手段に、前記可動テーブルに対して同一面上での任意の方向への移動動作を規制する動作制御系を併設すると共に、この動作制御系が、前記電磁駆動手段の複数の 田形状駆動コイルの十字状コイル辺の少なくとも縦方向又は横方向の何れか一方を予め特定した所定の制御モードに従って選択的に通電制御し前記可動テーブルを所定の方向に移動制御するコイル駆動制御手段を備えたことを特徴とする精密加工用ステージ装置。
  3. 前記各田形状駆動コイルを前記固定プレートに貫通した状態で装備すると共に、この各田形状駆動コイルの各端面に対応して前記可動テーブル及び補助テーブルの各々に前記被駆動磁石をそれぞれ配設したことを特徴とする請求項2に記載の精密加工用ステージ装置。
  4. 前記動作制御系を、前記電磁駆動手段の複数の各田形状駆動コイルを所定の制御モードに従って駆動制御する前記コイル駆動制御手段と、このコイル駆動制御手段に併設され前記可動テーブルの移動方向,回転方向,およびその動作量等が特定された複数の制御モードにかかる複数の制御プログラムが記憶されたプログラム記憶部と、前記各制御プログラムの実行に際して使用される所定の座標データ等を記憶したデータ記憶部とを備えた構成とし、
    前記コイル駆動制御手段に、前記複数の各田形状駆動コイルに対する所定の制御動作(特定の制御モードの選択)を指令する動作指令入力部を併設したことを特徴とする請求項1,2又は3に記載の精密加工用ステージ装置。
  5. 前記プログラム記憶部には、前記田形状駆動コイルに対する基本的な四つの固定された通電パターンを記憶する駆動パターン記憶領域を有し、
    前記固定プレート上の中央部を原点として想定されるXーY直交座標の平面上にて前記可動テーブルを正負の各X軸方向および正負の各Y軸方向にそれぞれ移動せしめる第1乃至第4の制御モードと、XーY直交座標の平面上に設定される各象限内の所定方向に可動テーブルを移動せしめる第5乃至第8の制御モードと、可動テーブルを所定位置にて正負いずれかの方向に回転動作せしめる第9乃至第10の各制御モードとにかかる各動作プログラムを記憶する制御モード記憶領域とを有し、
    これらプログラム記憶部に記憶された各通電パターンおよび各動作プログラムが、前記コイル駆動制御手段に出力可能に記憶されていることを特徴とした請求項4に記載の精密加工用ステージ装置。
  6. 前記被駆動磁石を偶数個設けると共に、この偶数個の被駆動磁石を同一円周上に等間隔に配置し、これにより位置が特定された各被駆動磁石に個別に対応して前記田形状駆動コイルを前記固定プレート上にそれぞれ配置したことを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載の精密加工用ステージ装置。
  7. 前記被駆動磁石を偶数個設けると共に、この偶数個の各被駆動磁石を、前記可動テーブルの中央部を原点として想定されるXーY直交座標面上の少なくともX軸に対して線対称位置に配置し、これにより位置が特定された各被駆動磁石に個別に対応して前記田形状駆動コイルを前記固定プレート上にそれぞれ配置したことを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載の精密加工用ステージ装置。
  8. 前記被駆動磁石を、前記可動テーブルの中央部を原点として想定されるXーY直交座標面上の正負の各軸上の所定位置にそれぞれ配設すると共に、これにより位置が特定された少なくとも四個の各被駆動磁石に個別に対応して前記複数の田形状駆動コイルを前記固定プレート上にそれぞれ装備したことを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載の精密加工用ステージ装置。
  9. 前記各田形状駆動コイルは、それぞれ独立して通電可能な四個の四角形状の角形小コイルにより構成すると共に、その組合せの全体の形状を四角形状としたことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一つに記載の精密加工用ステージ装置。
  10. 前記各田形状駆動コイルは、それぞれ独立して通電可能な四個の三角形状の小コイルにより構成すると共に、その組合せの全体の形状を菱形状としたことを特徴とするとする請求項1乃至8の何れか一つに記載の精密加工用ステージ装置。
  11. 前記各田形状駆動コイルは、それぞれ独立して通電可能な四個の扇状の小コイルにより構成すると共に、その組合せの全体の形状を円形状としたことを特徴とするとする請求項1乃至8の何れか一つに記載の精密加工用ステージ装置。
  12. 前記各田形状駆動コイルは、それぞれ独立して通電可能な四個の5角形状の角形小コイルにより構成すると共に、その組合せの全体の形状を八角形状としたことを特徴とするとする請求項1乃至8の何れか一つに記載の精密加工用ステージ装置。
  13. 前記田形状駆動コイルの端面部分に、非磁性金属部材からなる制動用プレートを前記被駆動磁石の磁極面に対向して配設したことを特徴とする請求項1乃至12の何れか一つに記載の精密加工用ステージ装置。
  14. 前記可動テーブルの移動情報を検出し外部出力する複数の位置検出センサを当該可動テーブルの複数の特定位置にそれぞれ分散して装備し、
    この複数の位置検出センサで検出される情報に基づいて所定の演算をし前記可動テーブルの移動方向,回転方向およびその変化量等を特定して位置情報として外部出力する位置情報演算回路を、前記本体部に併設したことを特徴とする請求項1乃至13の何れか一つに記載の精密加工用ステージ装置。
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