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JP4134437B2 - 滑り支承装置 - Google Patents

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JP4134437B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は滑り支承装置に係り、特にカバーを有した滑り支承装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
建物や機械設備等を免震構造とするために、平滑板上に滑り支承部材を摺動自在に配設した滑り支承装置が普及しつつある。この滑り支承部材としては、金属板などの硬質板とゴム等の軟質板との積層体の下面にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の低摩擦材層を設けたものが多く用いられている。平滑板としては、通常の場合ステンレス板が用いられている。
【0003】
このような滑り支承装置においては、地震時にはPTFE材を装着した積層体が、相手材であるステンレス板上を滑り、地震力が吸収される。
【0004】
このステンレス板を露出したまま放置すると長期の使用期間においてステンレス板上部に埃や水分等が堆積するため、弾性滑り支承本来の摩擦特性が変動する可能性がある。そこで、防塵・防水性及び外観上の点からも、弾性滑り支承を覆うカバーが必要となる。このカバーとして、従来ではアクリル板等のパネルを接着剤やねじ等により組み付けることが行われている。
【0005】
また、特開平9−195577号公報には滑り支承部材に支承された基礎梁に膜状弾性体よりなるカバーを取りつけ、このカバーによって滑り支承装置の全体を覆う構成が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
滑り支承は、他の免震積層ゴム支承と同様に、定期的な点検を要する他、所定値以上の振動を受けた時には臨時の点検を要する。
【0007】
しかしながら、前記のようなパネルをカバーとして用いた場合、カバー材自体が重いことや、カバー材に傷や割れ等が生じないよう注意しなければならないため、カバー材の脱着作業やねじの取り付け取り外し作業に多大の労力と時間を要し、弾性滑り支承の定期点検や臨時点検を容易迅速に行えない場合があった。
【0008】
上記特開平9−195577号公報のように膜状弾性体よりなるカバーにより滑り支承装置全体を覆った場合には、カバー内部に結露水等が生じ易くなり、蒸発もできないため水分が堆積してしまったり、地震等で建物の上部構造体と下部構造体がずれた時に、カバー材が滑り支承の積層ゴムとステンレス板との間に挟まれてしまうという問題がある。また、このような膜状弾性体よりなるカバーは防炎性が乏しいので、滑り支承設置部付近で工事業者が溶接工事を行った場合、溶接火花がカバー材に引火するおそれがある。
【0009】
本発明は、カバー材の着脱が容易であり滑り支承装置の点検作業を効率良く行うことができる滑り支承装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、カバー内部に結露を生じさせることがなく(たとえ結露が生じても、蒸発する余地があり)、長期の耐久性に著しく優れた滑り支承装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の滑り支承装置は、平滑板と、該平滑板上に摺動自在に配置された滑り支承部材と、該平滑板を覆うカバーとを有する滑り支承装置において、該平滑板上にカバー支持体が摺動自在に配置され、該カバーが該カバー支持体よって支持されていることを特徴とするものである。
【0012】
かかる滑り支承装置にあっては、カバー支持体によってカバーを支持するようにしてカバーを平滑板上に配置することによりカバーの設置施工を行うことができ、カバーの設置作業がきわめて簡単である。また、このカバーは取り外しも容易である。このカバーを上面が金属フィルム(例えばアルミフィルム)で覆われた断熱ボードとすることにより、カバーの軽量化が実施されると共に、カバーの耐久性、防水性、防炎性が良好なものとなる。この断熱ボードを空気層を確保して用いると、カバー内部における結露を十分に防止できる。また、たとえ結露が生じたとしても、蒸発する余地がある。
【0013】
上記のカバー支持体は、平滑板上を摺動するスライドベースと該スライドベースから立ち上がるロッドとを備えており、該ロッドが該カバーを貫通し、該スライドベースが該カバーを支持していることが好ましい。
【0014】
この場合、滑り支承部材は側方に張り出すフランジを備えており、前記ロッドは該フランジの外周に当接ないし近接していることが好ましい。
【0015】
本発明では、カバーを複数枚のカバー片を連結することにより構成しても良い。この場合、カバー片をアルミ接着テープなどの金属接着テープもしくは平面ファスナ(商品名マジックテープ)等によって連結するのが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1は本発明の実施の形態に係る滑り支承装置を示す斜視図、図2は滑り支承部材に対するカバーの連結構造を示す分解斜視図である。図3は図1のIII−III線に沿う断面図、図4は図3の要部拡大図、図5はカバー支持体の斜視図である。
【0018】
この実施の形態にあっては、コンクリート製の基礎底盤1上にステンレス製の平滑板2が固定設置されている。この平滑板2上に滑り支承部材3が摺動自在に配置されている。この滑り支承部材3は、鉄板等の金属板4aとゴム等の軟質板4bを積層した免震用の積層体4と、この積層体4の底面に接着等により設けられたフッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン)等の低摩擦材料よりなる摺動板5と、積層体4の上面に加硫接着等により接合された金属製のフランジ6とを備えている。このフランジ6は建築物などの被支承部材30を固定するためのボルト挿通孔7を有する。
【0019】
図2に示す通り、この実施の形態にあっては、カバー9は2枚のカバー片10の連結体よりなる。カバー片10は、円柱形の積層体4の外周面に近接して配置される半円弧状の凹曲部11と、この凹曲部11の縁部から立ち上がる起立壁12とを有する。この起立壁12に沿って、カバー支持体20の挿通部(孔又は切欠きよりなる。)13が設けられている。
【0020】
このカバー片10は難燃性のイソシアヌレート発泡体よりなる断熱ボードと、この断熱ボードの上面に貼り付けられたアルミ箔とで構成されている。なお、断熱ボードの端面にもアルミ箔を回り込ませて美感を良くするのが好ましい。このカバー片10の下面側には軽量なフレーム15を配設するのが好ましい。
【0021】
カバー支持体20は、ポリプロピレン等の合成樹脂よりなるものであり、平滑板2上を摺動するスライドベース22と、このスライドベース22から立ち上がるロッド21とを備えている。このロッド21が挿通部13に挿通され、その上端がフランジ6の側周面に当接ないし近接している。カバー9は該スライドベース22上に載荷されている。地震によって滑り支承部材3が平滑板2上をスライドしたときには、フランジ6がロッド21を押し、カバー9が滑り支承部材3と共に移動する。
【0022】
このように構成された滑り支承装置にあっては、平滑板2の上面のうち滑り支承部材3の周囲部分がカバー9で覆われており、水分や塵埃が滑り支承部材3の周囲の平滑板2上にかかることがなく、長期にわたって優れた滑り性及び支承機能が維持される。特に、このカバー9の下面側は空気層を有した断熱ボードにて構成されているから、カバー9の内側において結露が発生しても、結露水は空気層内で蒸発する余地があり、平滑板2上に堆積することがない。このため著しく長期にわたって弾性滑り支承本来の滑り特性が保たれる。
【0023】
この実施の形態にあっては、カバー9が複数枚のカバー片10をテープで連結することにより構成されたものであり、カバー片の現場への運び込みが容易であると共に、滑り支承部材3を囲むようにカバー9を配設する作業が極めて容易である。なお、一枚のカバー片10に損傷が生じた場合には、そのカバー片のみを交換することも可能である。
【0024】
上記実施の形態にあっては2枚のカバー片10を用いているが、カバー片の数は3枚など他の枚数としても良い。また、1枚のみからなるカバーを用いても良い。
【0025】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、カバーによって平滑板と滑り支承部材との摺動性を長期にわたって保つようにしたものにおいて、このカバーの設置作業や取り外し作業を簡単に行えるようになる。また、本発明によると、カバー内部での結露を防止し、著しく長期にわたって滑り支承本来の優れた滑り特性を保つことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る滑り支承装置を示す斜視図である。
【図2】実施の形態に係る滑り支承装置を示す分解斜視図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図3の一部の拡大図である。
【図5】カバー支持体の斜視図である。
【符号の説明】
1 基礎底盤
2 平滑板
3 滑り支承部材
4 積層体
5 摺動板
6 フランジ
9 カバー
10 カバー片
20 カバー支持体
21 ロッド
22 スライドベース

Claims (8)

  1. 平滑板と、該平滑板上に摺動自在に配置された滑り支承部材と、該平滑板を覆うカバーとを有する滑り支承装置において、該平滑板上にカバー支持体が摺動自在に配置され、該カバーが該カバー支持体によって支持されていることを特徴とする滑り支承装置。
  2. 請求項1において、該カバーは上面を金属フィルムで覆った断熱ボードよりなることを特徴とする滑り支承装置。
  3. 請求項2において、前記断熱ボードは平滑板との間に空気層を有することを特徴とする滑り支承装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記カバー支持体は、該平滑板上を摺動するスライドベースと該スライドベースから立ち上がるロッドとを備えており、該ロッドが該カバーを貫通し、該スライドベースが該カバーを支持していることを特徴とする滑り支承装置。
  5. 請求項4において、前記滑り支承部材は側方に張り出すフランジを備えており、前記ロッドは該フランジの外周に当接ないし近接していることを特徴とする滑り支承装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記カバーは複数枚のカバー片を連結したものであることを特徴とする滑り支承装置。
  7. 請求項6において、カバー片同士が金属接着テープもしくは平面ファスナ等によって連結されていることを特徴とする滑り支承装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項において、前記カバーは、前記平滑板の全面を覆うものであることを特徴とする滑り支承装置。
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