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JP4131183B2 - 磁気検出装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気抵抗素子の抵抗値変化を利用して被検出体の運動を検出する磁気検出装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の磁気検出装置には、特許文献1に記載されているように、ギヤなどの被検出体の回転を検出するものがある。これは、例えばフェライト系プラスチックマグネットのように樹脂を用いて中空円筒状に形成された磁石部(バイアス磁石)の中空部内に、磁気抵抗素子を有し樹脂によりモールドされた集積回路部(以下、モールドICと称する。)を挿入し、両者を一体化したものである。
【0003】
ここで、磁石部とモールドICとの組み付けにおいては、従来、円筒状の磁石部にモールドICを挿入して接着したり、或は磁石部にモールドICを圧入したりして固定する方法、或はモールドICを磁石部の射出成形型内に配置して磁石部を樹脂成形するというインサート成形によって両者を一体化する方法が採用されていた(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−174490号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平2000−298134号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、磁石部にモールドICを挿入して接着する方法では、接着硬化がバッチ処理となり、工数がかかるため、コスト高となる。また、圧入による固定方法では、部品及び組み付けに厳しい精度が要求されるため、製造コスト、組み立てコストが嵩む。また、インサート成形により一体化する方法では、モールドICの位置決めを当該モールドICの外形で行うため、位置決め精度が低く、結果、磁石部とモールドICとの相対的位置精度の低いものとなる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、磁石部とモールドICとを効率良く且つ精度良く安価に一体化することができる磁気検出装置の製造方法を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、磁気検出素子を有する集積回路部をリードフレームに複数取り付けてこれら集積回路部をモールド樹脂によりモールドし、リードフレームをセットしたとき、当該リードフレームに形成されたガイド孔に嵌合する位置決めピン及び集積回路部をモールドした各モールド樹脂を取り巻くように形成された複数のキャビティを有する成形型を用意し、リードフレームを成形型に、ガイド孔を位置決めピンに嵌合することにより位置決め状態にセットし、キャビティ内に磁石部を構成する樹脂を射出して集積回路部をモールドした各モールド樹脂を取り巻くようにして磁石部を筒状に成形し、その後、集積回路部をモールドしたモールド樹脂及び磁石部をリードフレームから切り離すようにしたものである。
【0009】
また、本発明は、集積回路部をリードフレームに複数個取り付けてこれら各集積回路部をモールド樹脂によりモールドし、リードフレームがセットされたとき、当該リードフレームに形成されたガイド孔に嵌合する位置決めピン及び各集積回路部をモールドしたモールド樹脂の両側のうち少なくとも一方側に位置するキャビティを複数有する成形型を用意し、リードフレームを成形型に、ガイド孔を位置決めピンに嵌合することにより位置決め状態にセットし、キャビティ内に磁石部を構成する樹脂を射出して集積回路部をモールドするモールド樹脂の少なくとも一方側に磁石部を成形し、その後、集積回路部をモールドしたモールド樹脂及び磁石部をリードフレームから切り離すようにしたものである。
【0010】
このような手段によれば、成形型の位置決めピンにリードフレームのガイド孔を嵌合することによって、集積回路部をモールドした各モールド樹脂の成形型に対する位置決めを行うので、精度良く位置決めすることができ、その結果、集積回路部と磁石部との相対的位置精度に優れたものとすることができる。また、一度に複数個のモールドされた集積回路部と磁石部とを一体化できるので、効率良く製造することができ、コストを低減化できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1乃至図4を参照しながら説明する。
本実施形態の磁気検出装置1は、例えば回転する側に設けられるギヤと組みにして使用することにより、エンジンの回転センサ、カム角センサ、クランク角センサ、車速センサなどの回転運動を検出するための装置として適用することができる。
この磁気検出装置1の全体構成は図4に示されている。同図に示すように、磁気検出装置1は、平型のモールドIC2の外周部に、円筒状のバイアス用磁石部3を設けてなる。
【0012】
モールドIC2は、後述するリードフレーム4に搭載された図示しない磁気抵抗素子を有するICチップ(集積回路部)を、エポキシなどの熱可塑性樹脂からなるモールド用樹脂5によって包み込むようにモールドしたもので、ICチップには、磁気抵抗素子から出力される検出信号の処理回路を構成する集積回路が形成されている。
【0013】
ここで、モールドIC2には、リードフレーム4から切り離されてモールド用樹脂5の一端部から外方に突出する部分が存在し、この突出部分が外部回路などと電気的に接続される端子部4aを構成する。そして、図示しない磁気検出素子とICチップとは、モールド用樹脂5内に端子部4aとは反対側の端部内に埋め込まれている。
【0014】
磁石部3は、バインダとしての例えばPPS(ポリフェニレンサルファド)などの熱可塑性樹脂にフェライトなどの磁性粉を混合したプラスチックマグネット材料を型成形することによって形成したものである。
【0015】
このような磁気検出装置1の検出作用は従来と同様で、磁石部3とギヤなどの披検出体との間に磁界を発生させ、披検出体の運動に応じた磁界の変化によってモールドIC2の磁気抵抗素子に生ずる抵抗値変化を、披検出体、モールドIC2、磁石部3の磁気回路を介して検出することにより披検出体の運動を検出する。
【0016】
次に、上記磁気検出装置1の製造方法について図1乃至図3をも参照して説明する。まず、図示しないICチップを取り付けてモールドするためのリードフレーム4は銅などの金属板から形成され、図2に示すように、複数、例えば6個のICチップを取り付けることができるようになっている。図3には、リードフレーム4の一部分、即ち1個のICチップを取り付ける部分を示しているが、同図に示すように、リードフレーム4は、前述の端子部4aの他、図示しないICチップを取り付けてモールド用樹脂5内に埋め込まれる部分(埋め込み部分)4bと、磁石部3内に埋め込まれる部分(埋め込み部分)4cとを備え、これらの各部分4a〜4cはタイバー4dによってリードフレーム4と繋げられている。そして、リードフレーム4の両縁部分にはモールド用樹脂5の成形型(図示せず)に対する位置決め用のガイド孔4eが多数形成されている。なお、磁石部3内に埋め込まれる部分4cには、磁石部3を構成する樹脂が部分4cの図示上下両側部分で良好に繋がるようにするための穴4fが形成されている。
【0017】
一方、磁石部3を成型するための成形型6は図1に示されている。同図のように、成形型6は固定型7と可動型8とからなり、両型7,8にはコア9,10が固定されている。そして、固定型7のコア9には、リードフレーム4が嵌め込まれる浅い矩形状の凹部11が形成されていると共に、リードフレーム4のガイド孔4eに嵌合される位置決めピン12が突設されている。そして、両型7,8のコア9,10には、夫々断面半円形の穴部13,14が形成されており、これら穴部13,14は、固定型7と可動型8とを型締めしたとき、磁石部2を成型するための円筒状のキャビティCを構成するようになっている。
【0018】
さて、磁気検出装置1を製造するには、まず、リードフレーム4に複数個のICチップを取り付け、そして、このリードフレーム4を図示しないモールド用成形型にセットしてモールド用樹脂5により図示しないICチップをモールドする。
【0019】
その後、リードフレーム4を磁石部3の成形型6にセットする。即ち、可動型8を固定型7から離した型開き状態で、リードフレーム4を固定型7の凹部11内に嵌合する。このとき、リードフレーム4のガイド孔4eを位置決めピン12に嵌合することによって、リードフレーム4が正しく位置決めされるようにする。
【0020】
そして、可動型8を移動させて固定型7に突き合わせた型締め状態にし、この状態でキャビティC内にプラスチックマグネット材料の樹脂を射出する。すると、プラスチックマグネット材料がモールドIC2を包み込むようにしてキャビティC内に充填され、磁石部3として成形される。このようにして成形された磁石部3は内部にリードフレーム4の部分4cを埋め込んでいるので、モールドIC2から抜け外れることはない。
【0021】
磁石部3を成型した後、リードフレーム4を成形型6から取り出し、図示しないプレスにセットしてリードフレーム4のタイバー4dを切断する。これにより、磁気検出装置1(端子部4a付きのモールドIC2及び磁石部3)がリードフレーム4から切り離される。
【0022】
このように本実施形態によれば、リードフレーム4からモールドIC2を切り離すことなく、リードフレーム4をそのガイド孔4eと位置決めピン12との嵌合によって精度良く位置決めした状態で、インサート成形によって磁石部3を成形したので、モールドIC2と磁石部3との相対的な位置精度に優れる。即ち、筒状に成形した磁石部にモールドICを挿入して両者を接着する方法では、嵌め合い隙間の存在によって両者の相対的な位置精度は0.25mm程度であったが、ガイド孔4eと位置決めピン12とによる位置決め精度は0.05mm程度と非常に高く、従ってモールドIC2と磁石部3とを位置精度良く一体化することが可能となる。
しかも、磁石部3は一度に複数個、この実施例では6個一度に成形することができるので、生産性に優れ、コストの低減化を図ることができる。
【0023】
図5及び図6は本発明の他の実施形態を示す。この実施形態が上述の一実施形態と異なるところは、図6に示すように、磁気検出装置15は、モールドIC2の両側に一対の磁石部16を成形するようにしたところにある。
即ち、モールドIC2は上述の一実施形態と同様に、平型で、モールド用樹脂5内には、リードフレーム4の部分4bが埋め込まれており、一端部からは端子部4aが突出している。そして、モールド用樹脂5の左右両側に一対の磁石部16が設けられており、この磁石部16内には、リードフレーム4の部分4cが埋め込まれている。
【0024】
磁石部16を成形するための成形型17を示す図5において、固定型7と可動型8のコア9,10には、モールドIC2の両側に位置するようにして穴部18が形成されており、この穴部18は、固定型7と可動型8とを型締めしたとき、磁石部16を成型するためのキャビティDを構成する。
【0025】
この実施形態の磁気検出装置1の製造方法は、まず、上述の一実施形態と同様に、リードフレーム4に図示しないICチップを取り付けてモールド成形型によってモールド樹脂5を成形する。その後、リードフレーム4を磁石部16の成形型17にセットして磁石部16を射出成形する。そして、磁石部16の成形後、タイバー4dを切断してリードフレーム4から磁気検出装置15を切り離す。
【0026】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施形態に限定されるものではなく、以下のような拡張或は変更が可能である。
磁石部3は筒状であれば良く、円筒状でも、角筒状でも良い。
磁石部16は一対でなくとも、どちらか片側にあれば良い。
リードフレーム4に取り付けるICチップは任意の数で良い。
リードフレーム4のうち、モールド樹脂5、磁石部3,16内に埋め込まれる部分4b,4cの形状は任意の形状で良い。
磁気抵抗素子と処理回路とは別々のICチップで構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態における磁石部の成形型を示す断面図
【図2】 リードフレームをセットした状態で示す固定型の平面図
【図3】 モールドICを設けたリードフレームの平面図
【図4】 磁気検出装置の斜視図
【図5】 本発明の他の実施形態を示す図1相当図
【図6】 図4相当図
【符号の説明】
図中、1,15は磁気検出装置、2はモールドIC、3,15は磁石部、4はリードフレーム、4eはガイド孔、5はモールド用樹脂、6,17は成形型、12は位置決めピン、C,Dはキャビティである。

Claims (2)

  1. 樹脂を用いて型成形され被検出体との間に磁界を発生させる磁石部と、前記被検出体の運動に応じた磁気の変化により抵抗値変化を生じる磁気抵抗素子を有しモールド用樹脂によりモールドされた集積回路部とを備えた磁気検出装置の製造方法であって、
    前記集積回路部をリードフレームに複数取り付けてこれら集積回路部を夫々前記モールド樹脂によりモールドし、
    前記リードフレームがセットされたとき、当該リードフレームに形成されたガイド孔に嵌合する位置決めピン及び前記各集積回路部をモールドした前記各モールド樹脂を取り巻くように形成された複数のキャビティを有する成形型を用意して、
    前記リードフレームを前記成形型に、前記ガイド孔を前記位置決めピンに嵌合することにより位置決め状態にセットし、前記キャビティ内に前記磁石部を構成する樹脂を射出して前記集積回路部をモールドした前記モールド樹脂を取り巻くようにして前記磁石部を筒状に成形し、
    その後、前記集積回路部をモールドした前記モールド樹脂及び前記磁石部を、前記リードフレームから切り離すようにしたことを特徴とする磁気検出装置の製造方法。
  2. 樹脂を用いて型成形され、被検出体との間に磁界を発生させる磁石部と、前記被検出体の運動に応じた磁気の変化により抵抗値変化を生じる磁気抵抗素子を有しモールド用樹脂によりモールドされた集積回路部とを備えた磁気検出装置の製造方法であって、
    前記集積回路部をリードフレームに複数取り付けてこれら集積回路部を夫々前記モールド樹脂によりモールドし、
    前記リードフレームがセットされたとき、当該リードフレームに形成されたガイド孔に嵌合する位置決めピン及び前記各集積回路部をモールドした前記各モールド樹脂の両側のうち少なくとも一方側に位置するキャビティを複数有する成形型を用意して、
    前記リードフレームを前記成形型に、前記ガイド孔を前記位置決めピンに嵌合することにより位置決め状態にセットし、前記キャビティ内に前記磁石部を構成する樹脂を射出して前記集積回路部をモールドした前記モールド樹脂の少なくとも一方側に前記磁石部を成形し、
    その後、前記集積回路部をモールドした前記モールド樹脂及び前記磁石部を、前記リードフレームから切り離すようにしたことを特徴とする磁気検出装置の製造方法。
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