JP4129630B2 - 軸受付樹脂製プーリ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、軸受の外輪外周に合成樹脂製プーリを一体成形し且つ回転中発生する熱のこもりを防止し、軸受寿命の延長を図ることの出来る軸受付樹脂製プーリに関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関等では、冷却用ポンプや発電用ジェネレータ等の補機を駆動する場合、該内燃機関から動力を取り出し、ベルト駆動によってこれらの補機を回転駆動する。このようなベルト駆動において、特にアイドラプーリは、外輪回転のラジアル玉軸受が使用されるが、通常軸受の外輪外周面に合成樹脂をインサート成形により射出成形した樹脂一体型の軸受付樹脂製プーリとして製作し、使用される。このように外輪の外周に合成樹脂を一体成形した軸受付樹脂製プーリは、内燃機関周囲に配置され、回転中の熱の発生により潤滑剤の劣化や消耗により寿命低下が問題となっている。
【0003】
従来から軸受付き樹脂製プーリの上記問題を解決するため種々の提案がなされている。例えば、図3に示すように、内転動体案内部材12とこれを組み込んだ樹脂成形品の内樹脂製ケース13とで構成される内輪14と、外転動体案内部材15とこれを組み込んだ樹脂成形品の外樹脂製ケース16とで構成される外輪17と、前記内転動体案内部材12と外転動体案内部材15との間に複数の球状転動体18が配設されたもので、前記内転動体案内部材12と外転動体案内部材15とは、中空円筒体の長手方向で、且つ、その中央部に転動溝(12a,15a)を有すると共に、中空円筒体の一方端で、その端部を曲折して成る鍔12b、15bに樹脂ケース13、16に組み込まれる際の樹脂の滑り止めを有する形態が一体にプレス成形された樹脂製プーリ付き軸受が提案されている(特許文献1参照)。
或いは、樹脂製のプーリ本体20のボス部21の内周面に放熱用金属板30の円筒部31を露出させ、その円筒部31の一端に内フランジ部31aを形成して、円筒部31および内フランジ部31aにおいて転がり軸受10の外輪25の外周面25aおよび端面22bの双方に密着させた状態で、放熱金属板30のフランジ部32の少なくとも一部をプーリ本体20のウエブ部23において外部に露出させることで、放熱金属板30を外輪25に対して大きな面積のもとに接触させて転がり軸受1内の熱を効率よく放熱し、プーリ本体20のボス部21とリム部22はウエブ部23に不連続部分を設けることなくその全面で繋がった構造とすることで、射出成形時にウェルドが発生する可能性を低減する構成の樹脂製プーリが提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−39193
【特許文献2】
特開2001−355711
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記するように、軸受外輪と一体成形される合成樹脂製プーリは、熱によるグリースの劣化或いは洩れにより寿命が低下するという問題がある。また、加工部分が多く、軸受製作に要する製造コストが高い、という問題もあった。
【0006】
この発明は、上記する課題に対処するためになされたものであり、放熱効果に優れ、製造コストも低減できる軸受付樹脂製プーリを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、この発明は、上記する課題を解決するために、請求項1に記載の発明は 、外周面に転動体軌道用溝(2a)を内輪(2)と、内周面に前記内輪(2)の転動体軌道用溝に対応する転動体軌道用溝(1a)を形成した外輪(1)と、前記内外輪の両転動体軌道用溝間に配設される複数の転動体(3)を有する軸受の外輪外周面に一体形成された樹脂プーリ部(4)を備える軸受付樹脂製プーリであって、
前記外輪(1)は板金製であり、
前記外輪(1)の両端部には外径側に曲折して前記樹脂プーリ部の端面の一部(4)を覆う放熱部がそれぞれ形成され、
前記外輪(1)はプレス成形により、前記外輪(1)の転動体軌道用溝(1a)および両放熱部とともに形成されることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の軸受付樹脂製プーリであって、前記内輪(2)および外輪(1)の両端部間に、芯金付き密封部材(9)を圧入したことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の具体的な実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の軸受付樹脂製プーリを示すものであって、軸方向の一部断面図である。この軸受付樹脂製プーリは、外輪1と、内輪2と転動体(玉)3と、前記外輪外周側に樹脂をモールド成形により一体に形成された樹脂プーリ部4と、で構成されている。尚、前記転動体3は、周方向一定間隔に保持器(図示省略)により保持されている。また、前記樹脂プーリ部4外周には、ベルト(図示省略)を係止させるためのV溝4a,4a,・・が形成され、外輪1が該樹脂プーリ部4と一体に回転するようにしてある。
【0011】
前記外輪1は、板金によりプレス成形して製作される。即ち、該外輪1は、プレス成形により、内周面に断面円弧状の転動体軌道用溝1aが形成されると共に、該外輪端部には、樹脂プーリ部4の側面部の一部を覆うように外径側に曲折されフランジ部1c,1dが形成される。このように、前記樹脂プーリ部4では、外輪1の端部にフランジ部1c,1dがその端面をむき出した状態で形成され、樹脂プーリ部4を一体にモールドされている。該外輪1と樹脂プーリ部4をこのように構成することにより回転中に発生する熱の放熱効果が良くなる。
【0012】
次に、内輪2は、前記外輪1と同様に、板金をプレス成形することによって製作され、外周には前記外輪の転動体軌道用溝1aに対応する断面円弧状の転動体軌道用溝2aが形成されている。そして一方の端部には、径内側方向にフランジ部2bが形成されている。該内輪2の内部には、フランジ部2bに当接するよう軸5が嵌め入れてあり外側から座金6をおいてボルト7でこれら内輪2と軸5とを固定する。
【0013】
上記するように、前記外輪1及び内輪2は、板金をプレス成形したものであり、外輪1の内周面の転動体軌道用溝1aおよび内輪2の外周面の転動体軌道用溝2aは、転動体3が配置されるため真円度を確保しなければならない。従って、いずれも軸受として組み立てる前に研磨加工ある対は超仕上げ加工する。
【0014】
前記外輪1と内輪2との間の環状空間8には、転動体3を間において芯金付き密封部材9,9が配置してある。この芯金付き密封部材9は、図2に示すように、芯金9aと、該芯金9aに焼付けたゴムシール部9bと、より構成され、芯金9aは内輪2の外周面2cに圧入され、ゴムシール部9bは、外輪1の内周面1eに接触させるか、或いはラビリンス構造となるようにする。
【0015】
上記するように、この発明の軸受付樹脂製プーリは、上記構成とすることにより、比較的加工工数が少なく且つ放熱効果に優れた軸受付樹脂製プーリとすることができる。また、外輪および内輪には密封部材の芯金用の溝加工等必要でなく、安価に製作することが可能となる。
【0016】
【発明の効果】
以上、詳述したように、この発明の軸受付樹脂製プーリによれば、回転中に発生する熱のこもりを防止し、また、グリースの劣化を防ぎ寿命の低下を防止する樹脂製プーリを提供することができる。更に、プレス加工することにより加工工数を低減し製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の軸受付樹脂製プーリを示すものであって、軸方向の一部断面図である。
【図2】 この発明の軸受付樹脂製プーリの外輪と内輪との間の環状空間に配置される密封部材の配置状態を示す図である。
【図3】 従来の軸受付樹脂製プーリの軸方向の一部断面図である。
【図4】 従来の軸受付樹脂製プーリの軸方向の一部断面図である。
【符号の説明】
1 外輪(板金製)
1a 転動体用軌道用の断面円弧状の溝
1c フランジ部
1d フランジ部
2 内輪(板金製)
2a 転動体用軌道用の断面円弧状の溝
2b フランジ部
3 転動体(玉)
4 樹脂プーリ部
5 軸
9 密封部材
Claims (2)
- 外周面に転動体軌道用溝を形成した内輪と、内周面に前記内輪の転動体軌道用溝に対応する転動体軌道用溝を形成した外輪と、前記内外輪の両転動体軌道用溝間に配設される複数の転動体を有する軸受の外輪外周面に一体形成された樹脂プーリ部を備える軸受付樹脂製プーリであって、
前記外輪は板金製であり、
前記外輪の両端部には外径側に曲折して前記樹脂プーリ部の端面の一部を覆う放熱部がそれぞれ形成され、
前記外輪はプレス成形により、前記外輪の転動体軌道用溝および両放熱部とともに形成されることを特徴とする軸受付樹脂製プーリ。 - 請求項1記載の軸受付樹脂製プーリであって、
前記内輪および外輪の両端部間に、芯金付き密封部材を圧入したことを特徴とする軸受付樹脂製プーリ。
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