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JP4112351B2 - 自動車のエンジン停止制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車のエンジン停止制御装置、特にエンジンと自動変速機とを備え、所定のアイドルストップ条件を満足した時、エンジンを停止させるエンジン停止制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平11−257121号公報
従来、走行状態から停止した際に、エンジンを自動停止させ、停車中の無駄な燃料消費や排出ガスの発生を抑える自動アイドルストップ制御と呼ばれる制御方法を実施する自動車が提案されている。
このような自動車において、エンジンの自動停止を許可する条件としては、シフト位置がNやPなどのニュートラル位置であること、ブレーキがONであることなどがあり、エンジンの再始動条件(自動停止解除条件)としては、ニュートラル位置からD,Rなどの走行位置へ切り換えられたこと、ブレーキがOFFであること、アクセルペダルが踏み込まれたことなどがある。また、トルクコンバータ付きの自動変速機を搭載した自動車の場合、トルクコンバータがエンジンと自動変速機との間の相対回転を許容するので、ニュートラル位置だけでなく、走行位置でもエンジンの自動停止を行うことが可能となる。
【0003】
ところで、渋滞路で車両の停止および発進が短い時間間隔で繰り返されるような場合には、エンジンの停止と再始動が頻繁に繰り返されるので、運転者にとって煩わしいという欠点がある。
この問題を解決するため、特許文献1には、渋滞時などにエンジンの停止および再始動が頻繁に行われるのを防止したエンジン停止制御装置が提案されている。このエンジン停止制御装置は、所定車速に達した後、自動変速機が非走行ポジション、あるいは走行ポジションでかつブレーキ操作が行われた場合に、エンジンの停止を行うものである。そして、エンジン始動後、車速が最初に所定値を越えるまで、エンジンの停止を禁止するようにしている。そのため、渋滞時のように車両の停止および発進が繰り返されるような場合には、エンジンの駆動状態を維持し、エンジンの停止と再始動が頻繁に繰り返されるのを防止できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、車両の減速時にブレーキをポンピング操作すると、次のような不具合が発生する。すなわち、ポンピング操作とはブレーキペダルを踏み直すことであるが、特許文献1の制御を実施した場合、減速中にポンピング操作を行うと、一旦車速が所定値まで上昇しない限りエンジン停止を行うことができず、ポンピング操作後に停車した場合には燃料消費を抑えることができない。
【0005】
図5はポンピング操作後に停車した場合の車速変化と、ブレーキ操作と、特許文献1によるエンジン制御とを示したものである。
時刻t1でブレーキONとすると、減速燃料カットが実施され、車速が減少する。やがて時刻t2でエンジン回転数がアイドル回転数以下に低下しても燃料供給が停止されるため、アイドルストップが実施される。時刻t3でブレーキがOFFとなると、アイドルストップが解除され、エンジンが始動される。ところが、その直後の時刻t4でブレーキが再度ONしても、車速は所定値まで上昇していないので、エンジンの燃料噴射を持続することになる。したがって、時刻t5で車両が停止した後も、エンジンは駆動したままとなる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ブレーキのポンピング操作後に停車した後もエンジンを停止させることが可能で、燃料消費を抑制できる自動車のエンジン停止制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、エンジンと、エンジンの駆動力を駆動輪に伝達する自動変速機と、自動変速機のシフトポジションを検出するシフトポジション検出手段と、運転者のブレーキ操作を検出するブレーキ操作検出手段と、車速を検出する車速検出手段と、シフトポジションが走行レンジであって、かつブレーキONの減速中を含む所定のエンジン停止条件を満足した時、エンジンの停止を許可し、ブレーキOFFの時にエンジンを再始動させるエンジン制御手段と、を備えた自動車のエンジン停止制御装置において、上記ブレーキのポンピング操作を検出するポンピング操作検出手段を設け、エンジン始動後、車速検出手段により検出された車速が所定値以上になった時、上記エンジン制御手段によるエンジンの停止を許可し、エンジン始動後、車速検出手段により検出された車速が所定値未満であって、上記ポンピング操作検出手段がブレーキのポンピング操作を検出した時、上記エンジン制御手段によるエンジンの停止を許可し、エンジン始動後、車速検出手段により検出された車速が所定値未満であって、上記ポンピング操作検出手段がブレーキのポンピング操作を検出しない時、上記エンジン制御手段によるエンジンの停止を禁止することを特徴とする自動車のエンジン停止制御装置を提供する。
【0008】
本発明では、車両が走行状態から停車した場合に3通りのエンジン制御を行う。第1は、エンジン始動後、車速検出手段により検出された車速が一度でも所定値以上になった時であり、この時にはエンジン制御手段によるエンジンの停止を許可する。つまり、他のエンジン停止条件を満足すれば、エンジンを停止させることができ、燃料消費を削減できる。
第2は、エンジン始動後、車速検出手段により検出された車速が一度も所定値に達しない場合であって、ポンピング操作検出手段がブレーキのポンピング操作を検出した時であり、この時にはエンジン制御手段によるエンジンの停止を許可する。つまり、減速中にブレーキをポンピング操作した後、停車した場合には、エンジンの停止を行うことができるため、停車中もエンジンを停止させることができ、燃料消費を削減できる。
第3は、エンジン始動後、車速検出手段により検出された車速が一度も所定値に達しない場合であって、ポンピング操作検出手段がブレーキのポンピング操作を検出しない時であり、この時にはエンジン制御手段によるエンジンの停止を禁止する。つまり、ブレーキをポンピング操作せずに停車した場合には、従前どおり車速が所定値以上になるまでエンジンの停止を禁止するので、渋滞時にエンジンの停止と再始動が頻繁に繰り返されるのを防止できる。
【0009】
請求項2のように、ポンピング操作検出手段は、前回のブレーキONから今回のブレーキONまでのブレーキOFF期間中にアクセル操作がないこと、または前回のブレーキONから今回のブレーキONまでのブレーキOFF時間が所定時間以内であることにより、ブレーキのポンピング操作を検出するのがよい。
この場合には、ブレーキの踏み替え回数が多くても、ブレーキのポンピング操作を確実に検出できる。また、ポンピング操作をブレーキ操作検出手段のブレーキ操作信号を用いてプログラム的に検出できるので、格別なセンサを必要としない。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本発明にかかるエンジン停止制御装置を備えた自動車の一例であるハイブリッド自動車のシステム構成を示す。
エンジン1の出力軸と自動変速機2の入力軸との間にモータジェネレータ7が設けられ、自動変速機2の出力軸5は駆動輪(図示せず)と接続されている。この例の自動変速機2は、トルクコンバータ3と、複数の摩擦係合要素を持つ変速機構4と、油圧制御装置6とを備えた有段式の自動変速機である。
【0011】
エンジン1はエンジン制御用コントローラ20によって制御され、自動変速機2はAT制御用コントローラ21によって制御され、モータジェネレータ7はモータ制御用コントローラ22によって制御される。コントローラ20,21,22には各種センサから信号が入力され、かつ相互に通信用バス23で接続されている。入力信号には、車速信号、スロットル開度(アクセル開度)信号、シフト位置信号、エアコン信号、イグニッション信号、アイドル信号、エンジン水温信号、吸入空気量信号、エンジン回転数信号、タービン回転数信号、スタート信号、ブレーキ信号、バッテリ容量などがある。ブレーキ信号は、例えばブレーキペダルの踏み込みを検出するブレーキスイッチから得られる。
【0012】
エンジン制御用コントローラ20は、所定のエンジン停止条件を満足した時、エンジン1を自動停止させ、停車中の無駄な燃料消費や排出ガスの発生を抑えるアイドルストップ制御(エンジン停止制御)を実施する。また、エンジン回転数とスロットル開度とから、走行中の無駄な燃料消費を抑える減速燃料カット制御を実施する。
エンジン停止条件としては、シフト位置がPであること、シフト位置がNまたはD位置でかつブレーキがONであることなどがある。ただし、エンジン水温が低いとき、バッテリ容量が少ないとき、電気負荷が大きいとき、アクセルペダルが踏まれているときなどの場合には、自動停止を許可しない。
一方、エンジン1の再始動条件(停止解除条件)としては、ブレーキがOFFになったこと、シフト位置をRまたはL位置にシフトしたこと、アクセルペダルを踏んだこと、車速信号の入力があったことなどがある。
また、エンジン制御用コントローラ20は、ブレーキのポンピング操作を検出する機能も備える。このポンピング操作は、前回のブレーキONから今回のブレーキONまでのブレーキOFF期間中にアクセル操作がないこと、または前回のブレーキONから今回のブレーキONまでのブレーキOFF時間Δtが所定時間以内であることにより、検出することができる。
【0013】
AT制御用コントローラ21は周知のように、走行状態に応じて予め設定された変速マップに従って変速段を決定し、油圧制御装置6に内蔵されたソレノイドバルブ24〜26を制御することによって、摩擦係合要素に選択的に油圧を供給し、決定された変速段へ変速する。この実施例では油圧制御装置6に変速制御用の3個のソレノイドバルブ24〜26を設けたが、この他にロックアップクラッチ制御用やライン圧制御用などの別のソレノイドバルブを設けてもよい。
【0014】
モータ制御用コントローラ22にはバッテリ8が接続され、適時モータジェネレータ7を駆動し、エンジン1の始動やアシストを実施すると同時に、モータジェネレータ7の回生エネルギーをバッテリ8に蓄えるようになっている。
【0015】
図2,図3は本発明におけるエンジン停止制御方法を用いたタイムチャートを示す。これらタイムチャートは、車両の減速状態からブレーキのポンピング操作を行った後、停止した場合の車速変化と、ブレーキ操作と、エンジン制御とを示したものである。
図2において、時刻t1でブレーキONとすると、減速燃料カットが実施され、車速が減少する。やがて時刻t2でエンジン回転数がアイドル回転数以下に低下しても燃料供給が停止されるため、アイドルストップが実施される。時刻t3でブレーキがOFFすると、アイドルストップが解除され、エンジンが始動される。以上の動作は、従来例(図5参照)と同様である。
時刻t3直後の時刻t4でブレーキが再度ONすると、ブレーキOFF時間Δtが所定時間より短いので、ポンピング操作であると判定する。ポンピング操作を判定した場合には、エンジンの停止を許可する。このとき、所定のエンジン停止条件を満足しておれば、燃料カットが実施され、エンジンが停止される。したがって、時刻t5で車両が停止した後も、エンジンは停止状態となり、燃料消費を削減できる。
【0016】
図3は図2の車両停止後の制御を示し、特に渋滞時のエンジン制御を示す。
時刻t5で車両が停止した後、時刻t6でブレーキをOFFし、アクセルペダルを踏み込むと、エンジンが再始動され、発進することができる。ところが、所定車速Voまで上昇する前の時刻t7で再びブレーキをONすると、本来であればエンジンが停止される筈であるが、これでは渋滞時などにエンジンの停止と再始動が頻繁に繰り返される結果となる。そのため、所定車速Voまで上昇せずに停止した場合には、エンジン停止を禁止する。そのため、他のエンジン停止条件を満足したか否かに関係なく、エンジン停止を行わない。
所定車速Voとは、渋滞時か否かを判別するための車速であり、例えば10〜15km/h程度に設定される。
【0017】
本発明では、ブレーキOFF時間Δtを所定時間と比較することによって、ブレーキのポンピング操作を判定している。この判定のための所定時間は1〜2秒程度と短く、渋滞時などのブレーキOFF時間に比べて遙に短いので、渋滞時のブレーキ操作をポンピング操作と誤判定することがない。
なお、ポンピング操作を判定するため、ブレーキOFF時間Δtを所定時間と比較することに代えて、ブレーキOFF期間中にアクセル操作がないことで判定してもよい。つまり、ポンピング操作は減速のために行う操作であり、その途中にアクセル操作がある場合には、加速の意志があると判断し、ポンピング操作と区別できるからである。また、ブレーキOFF時間Δtを所定時間と比較することと、ブレーキOFF期間中にアクセル操作がないこととの両方の条件からポンピング操作を判定してもよい。この場合には、ポンピング操作をより確実に判定できる。
【0018】
図4はDレンジで走行中にアイドルストップ制御を行う例のフローチャート図である。
制御がスタートすると、エンジン停止条件を満足したか否かを判定する(ステップS1)。このエンジン停止条件としては、例えばシフトポジションがDレンジであること、ブレーキがONであること、バッテリ容量が十分であることなどがある。エンジン停止条件を満足していない場合には、燃料噴射を続行する(ステップS2)。ステップS1の判定で、エンジン停止条件を満足している場合には、エンジン始動後に車速が所定値Voを超えたかどうか(車速履歴)を判定する(ステップS3)。この所定値Voとは渋滞時か否かを判定する基準となる車速である。エンジン始動後に一旦車速が所定値Voを超えた場合には、燃料カットを実施する(ステップS4)。一方、エンジン始動後に車速が一度も所定値Voを超えていない場合には、ブレーキをポンピング操作したか否か(ポンピング操作の履歴)を判定する(ステップS5)。もし、ポンピング操作の履歴がある場合には、燃料カットを実施し(ステップS4)、エンジンを停止させる。ポンピング操作の履歴がない場合には、燃料噴射を続行し(ステップS2)、エンジンを駆動し続ける。そのため、渋滞時などにエンジンの停止と再始動が頻繁に繰り返される事態を解消できる。
【0019】
本発明は上記実施例に限定されるものではない。
上記実施例では、ブレーキのONまたはOFFの検出をブレーキスイッチを用いて行っているが、ブレーキ液圧が閾値以上のときブレーキON、閾値未満のときブレーキOFFとして、ブレーキ操作を検出してもよい。
上記実施例では、エンジンおよび自動変速機の他にモータジェネレータを備えたハイブリッド車について説明したが、エンジンと自動変速機とを備えた一般のAT車にも適用できる。
本発明の自動変速機には、遊星歯車装置と摩擦係合要素とを持つ有段変速機のほか、Vベルト型やトロイダル型などの無段変速機を含む。
【0020】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、請求項1に記載の発明によれば、ブレーキのポンピング操作の有無によってエンジン停止の許可または禁止を判断するようにしたので、従来では不可能であったブレーキのポンピング操作後に停車した後もエンジンを停止させることが可能となり、燃料消費を抑制できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるエンジン停止制御装置を備えた自動車の一例であるハイブリッド自動車のシステム構成図である。
【図2】本発明にかかるエンジン停止制御の一例を示すタイムチャート図である。
【図3】図2に続くエンジン停止制御の例を示すタイムチャート図である。
【図4】本発明にかかるエンジン停止制御の一例を示すフローチャート図である。
【図5】従来のエンジン停止制御の一例を示すタイムチャート図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 自動変速機
3 トルクコンバータ
7 モータジェネレータ
20 エンジン制御用コントローラ
21 モータ制御用コントローラ
22 AT制御用コントローラ

Claims (2)

  1. エンジンと、
    エンジンの駆動力を駆動輪に伝達する自動変速機と、
    自動変速機のシフトポジションを検出するシフトポジション検出手段と、
    運転者のブレーキ操作を検出するブレーキ操作検出手段と、
    車速を検出する車速検出手段と、
    シフトポジションが走行レンジであって、かつブレーキONの減速中を含む所定のエンジン停止条件を満足した時、エンジンの停止を許可し、ブレーキOFFの時にエンジンを再始動させるエンジン制御手段と、を備えた自動車のエンジン停止制御装置において、
    上記ブレーキのポンピング操作を検出するポンピング操作検出手段を設け、
    エンジン始動後、車速検出手段により検出された車速が所定値以上になった時、上記エンジン制御手段によるエンジンの停止を許可し、
    エンジン始動後、車速検出手段により検出された車速が所定値未満であって、上記ポンピング操作検出手段がブレーキのポンピング操作を検出した時、上記エンジン制御手段によるエンジンの停止を許可し、
    エンジン始動後、車速検出手段により検出された車速が所定値未満であって、上記ポンピング操作検出手段がブレーキのポンピング操作を検出しない時、上記エンジン制御手段によるエンジンの停止を禁止することを特徴とする自動車のエンジン停止制御装置。
  2. 上記ポンピング操作検出手段は、前回のブレーキONから今回のブレーキONまでのブレーキOFF期間中にアクセル操作がないこと、または前回のブレーキONから今回のブレーキONまでのブレーキOFF時間が所定時間以内であることにより、ブレーキのポンピング操作を検出することを特徴とする請求項1に記載の自動車のエンジン停止制御装置。
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