JP4110848B2 - プレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、家電、建材用途に最適な表面処理鋼板であって、特に製造時および製品中にクロムなどの重金属を全く含まず、さらにその表面上に潤滑油などを塗布しなくても、優れたプレス成形性を有し、且つ耐食性も良好な環境適応型表面処理鋼板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
家電製品用鋼板、建材用鋼板、自動車用鋼板には、従来から亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、耐食性(耐白錆性、耐赤錆性)を向上させる目的で、クロム酸、重クロム酸またはその塩類を主要成分とした処理液によるクロメート処理が施された鋼板が広く用いられている。このクロメート処理は耐食性に優れ且つ比較的簡単に行うことができる経済的な処理方法である。
【0003】
クロメート処理は公害規制物質である6価クロムを使用するものであるが、この6価クロムは処理工程においてクローズドシステムで処理され、完全に還元、回収されて自然界に放出されていないこと、また、有機皮膜によるシーリング作用によってクロメート皮膜中からクロム溶出もほぼゼロにできることから、実質的には6価クロムによって環境や人体が汚染されることはない。しかしながら、最近の地球環境問題から、6価クロムを含めた重金属の使用を自主的に削減しようとする動きが高まりつつある。また、廃棄製品のシュレッダーダストを投棄した場合に環境を汚染しないようにするため、製品中にできるだけ重金属を含ませない若しくはこれを削減しようとする動きも始まっている。
【0004】
このようなことから、亜鉛系めっき鋼板の白錆の発生を防止するためにクロメート処理によらない処理技術、所謂クロムフリー技術が数多く提案されている。例えば、無機化合物、有機化合物、有機高分子材料、或いはこれらを組み合わせた溶液を用い、浸漬、塗布、電解処理などの方法により薄膜を生成させる方法がある。具体的には、特開昭53−121034号公報に、水分散性シリカとアルキド樹脂とトリアルコキシシラン化合物とを含む水溶液を金属表面に塗布し、乾燥して、被覆皮膜を形成する方法が開示されている。また、ヒドロキシピロン化合物誘導体からなる水溶性樹脂を使用して、金属材料に耐食性を付与することを目的とした表面処理方法、およびヒドロキシスチレン化合物の水溶液または水分散性重合体を用いて金属材料に耐食性を付与する方法が、特開昭57−44751号公報および特開平1−177380号公報などに開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の何れの方法も、クロメート皮膜に代替できるような高い耐食性を付与する皮膜を形成し得るものではない。このため耐食性に優れた金属材料用のノンクロム系表面処理剤および処理方法の開発が強く望まれている。
一方、亜鉛系めっき鋼板などの表面処理鋼板を自動車、家電、OA機器などの部品として使用する場合には種々のプレス成形が施され、またモーターカバー、カートリッジ式タンクなどの材料として使用する場合には絞り成形が施される。亜鉛系めっき鋼板のプレス成形性を向上させるために、一般的にはその表面上に潤滑油や防錆油を塗布することが行われている。しかしながら、潤滑油などの塗布は製造工程を煩雑にし、しかも作業環境を悪化させる。のみならず、潤滑油などを塗布してプレス成形した場合でも、成形条件が厳しい場合には成形される亜鉛系めっき鋼板にかじりが生じ、外観が低下するだけでなく、耐食性が劣化することがある。また、亜鉛系めっき鋼板表面にクロメート皮膜、またはクロメート皮膜と樹脂皮膜が形成されたクロメート処理亜鉛めっき鋼板は、潤滑油を塗布し或いは塗布しないでプレス成形を行うと、皮膜の剥離や剥離部分が黒く変色する黒化現象が生じ、成形部分の外観を著しく損なうとともに、耐食性が劣化するという問題がある。また、クロムフリーの化成処理鋼板の場合は、耐食性はさらに低いものとなる。
【0006】
前記のような問題を解決し、表面上に潤滑油などを塗布しなくても優れたプレス成形性が得られ、且つ耐食性も良好な表面処理鋼板として、例えば特許第2943472号公報に開示されているような、ガラス転移点の異なる2種類のウレタンプレポリマーを用いた溶剤系熱硬化型樹脂と特定のポリエチレン系樹脂および防錆顔料からなる皮膜を、クロメート皮膜を形成した亜鉛系めっき鋼板表面に形成したものが挙げられる。
【0007】
しかし、この表面処理鋼板は所定の耐食性を確保するためにクロメート皮膜を必要とするものであり、仮にクロメート皮膜を省略した場合には、良好なプレス成形性は得られるものの、耐食性が著しく劣ったものとなる。また、上述したようなクロメート皮膜の代替技術と組み合わせたとしても、クロメート皮膜を形成した表面処理鋼板に匹敵するような耐食性は得られず、特にプレス成形によって皮膜が損傷した部分において耐食性の劣化が著しい。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、プレス成形性と耐食性がともに優れたノンクロム系表面処理鋼板およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために表面処理鋼板の皮膜構成について検討を行い、その結果、まず下層皮膜については、特定の樹脂化合物と、特定のカチオン性官能基を有するカチオン性ウレタン樹脂と、特定の反応性官能基を有するシランカップリング剤と、さらに好ましくはTi化合物と特定の酸化合物を含む表面処理組成物を用いてめっき鋼板表面を処理することで表面処理皮膜を形成し、その上層にガラス転移温度が異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂をベースとし、これに適量の特定の固形潤滑剤と非クロム系防錆添加剤を配合した樹脂皮膜を形成することにより、プレス成形性に優れ、且つクロメート皮膜に匹敵しうる耐食性を有する表面処理鋼板が得られることを見い出した。
【0009】
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その特徴は以下のとおりである。
[1] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、下記一般式(1)で表わされる樹脂化合物(A)と、第1〜第3アミノ基および第4アンモニウム塩基の中から選ばれる少なくとも1種のカチオン性官能基を有するカチオン性ウレタン樹脂(B)と、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、メルカプト基およびメタクリロキシ基の中から選ばれる少なくとも1種の反応性官能基を有するシランカップリング剤(C)とを含有し、且つ、カチオン性ウレタン樹脂(B)と樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量との固形分の質量比[(B)/{(A)+(B)+(C)}]が0.04〜0.09であり、シランカップリング剤(C)と樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量との固形分の質量比[(C)/{(A)+(B)+(C)}]が0.6〜0.7である表面処理組成物(I)を塗布し、乾燥することにより形成された皮膜厚が0.01〜2μmの表面処理皮膜を有し、
その上層に、下記成分(a)、(b)および(c)を含有する塗料(II)を塗布し、加熱硬化させることにより形成された皮膜厚が0.1μm以上5μm未満の樹脂皮膜を有し、
(a)硬化後のガラス転移温度が異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂:100質量部(固形分割合)
(b)130℃以下の融点を有するポリエチレン樹脂からなる固形潤滑剤:1〜30質量部(固形分割合)
(c)非クロム系防錆添加剤:3〜30質量部(固形分割合)
前記表面処理皮膜と前記樹脂皮膜の合計膜厚が5μm以下であることを特徴とする、プレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板。
【化7】
一般式(1)中、ベンゼン環に結合しているY1及びY2は、それぞれ互いに独立に水素、又は下記式(2)又は式(3)により表されるZ基であり、1ベンゼン環当りのZ基の置換数の平均値は0.2〜1.0である。nは2〜50の整数を表わす。
【化8】
【化9】
式(2)及び式(3)中のR1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ互いに独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を表し、A−は水素イオン又は酸イオンを表す。
【0010】
[2] 上記[1]の表面処理鋼板において、表面処理組成物(I)が、さらにTi化合物(D)を含有し、該Ti化合物(D)と樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量との固形分の質量比[(D)/{(A)+(B)+(C)}]が0.05〜0.10であることを特徴とするプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板。
[3] 上記[1]又は[2]の表面処理鋼板において、表面処理組成物(I)が、さらにリン酸、硝酸、酢酸、およびこれらの塩の中から選ばれる少なくとも1種の酸化合物(E)を含有し、該酸化合物(E)と樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量との固形分の質量比[(E)/{(A)+(B)+(C)}]が0.05〜0.15であることを特徴とするプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板。
【0011】
[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの表面処理鋼板において、塗料(II)中に含まれる非クロム系防錆添加剤が、下記(e1)〜(e5)の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板。
(e1)酸化ケイ素
(e2)カルシウムおよび/またはカルシウム化合物
(e3)難溶性リン酸化合物
(e4)モリブデン酸化合物
(e5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物
[5] 上記[4]の表面処理鋼板において、非クロム系防錆添加剤として少なくともカルシウムイオン交換シリカを含有することを特徴とするプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板。
【0012】
[6] 上記[1]〜[5]のいずれかの表面処理鋼板において、塗料(II)中に含まれる、硬化後のガラス転移温度が異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂(a)が、硬化後のガラス転移温度が50℃以下である、1種以上の低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂(a1)と、硬化後のガラス転移温度が50℃超である、1種以上の高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂(a2)からなることを特徴とするプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板。
[7] 上記[6]の表面処理鋼板において、低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂(a1)と、高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂(a2)との配合比(a1)/(a2)が固形分の質量比で9/1〜1/9であることを特徴とするプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板。
【0013】
[8] 上記[1]〜[7]のいずれかの表面処理鋼板において、塗料(II)中に含まれる、硬化後のガラス転移温度が異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂(a)の各々の主剤樹脂が、水酸基含有ウレタンプレポリマーであることを特徴とするプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板。
[9] 上記[1]〜[8]のいずれかの表面処理鋼板において、塗料(II)中に含まれるポリエチレン樹脂からなる固形潤滑剤(b)が、融点90〜130℃、数平均分子量5000以下であることを特徴とするプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板。
【0014】
[10] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、下記一般式(1)で表わされる樹脂化合物(A)と、第1〜第3アミノ基および第4アンモニウム塩基の中から選ばれる少なくとも1種のカチオン性官能基を有するカチオン性ウレタン樹脂(B)と、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、メルカプト基およびメタクリロキシ基の中から選ばれる少なくとも1種の反応性官能基を有するシランカップリング剤(C)とを含有し、且つ、カチオン性ウレタン樹脂(B)と樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量との固形分の質量比[(B)/{(A)+(B)+(C)}]が0.04〜0.09であり、シランカップリング剤(C)と樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量との固形分の質量比[(C)/{(A)+(B)+(C)}]が0.6〜0.7である表面処理組成物(I)を塗布し、乾燥することにより皮膜厚が0.01〜2μmの表面処理皮膜を形成し、
その上層に、下記成分(a)、(b)および(c)を含有する塗料(II)を塗布し、加熱硬化させることにより皮膜厚が0.1μm以上5μm未満の樹脂皮膜を形成し、
(a)硬化後のガラス転移温度が異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂:100質量部(固形分割合)
(b)130℃以下の融点を有するポリエチレン樹脂からなる固形潤滑剤:1〜30質量部(固形分割合)
(c)非クロム系防錆添加剤:3〜30質量部(固形分割合)
前記表面処理皮膜と前記樹脂皮膜の合計膜厚が5μm以下となるようにしたことを特徴とする、プレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
【化10】
一般式(1)中、ベンゼン環に結合しているY1及びY2は、それぞれ互いに独立に水素、又は下記式(2)又は式(3)により表されるZ基であり、1ベンゼン環当りのZ基の置換数の平均値は0.2〜1.0である。nは2〜50の整数を表わす。
【化11】
【化12】
式(2)及び式(3)中のR1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ互いに独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を表し、A−は水素イオン又は酸イオンを表す。
【0015】
[11] 上記[10]の製造方法において、表面処理組成物(I)が、さらにTi化合物(D)を含有し、該Ti化合物(D)と樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量との固形分の質量比[(D)/{(A)+(B)+(C)}]が0.05〜0.10であることを特徴とするプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
[12] 上記[10]又は[11]の製造方法において、表面処理組成物(I)が、さらにリン酸、硝酸、酢酸、およびこれらの塩の中から選ばれる少なくとも1種の酸化合物(E)を含有し、該酸化合物(E)と樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量との固形分の質量比[(E)/{(A)+(B)+(C)}]が0.05〜0.15であることを特徴とするプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
【0016】
[13] 上記[10]〜[12]のいずれかの製造方法において、塗料(II)中に含まれる非クロム系防錆添加剤が、下記(e1)〜(e5)の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
(e1)酸化ケイ素
(e2)カルシウムおよび/またはカルシウム化合物
(e3)難溶性リン酸化合物
(e4)モリブデン酸化合物
(e5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物
[14] 上記[13]の製造方法において、非クロム系防錆添加剤として少なくともカルシウムイオン交換シリカを含有することを特徴とするプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
【0017】
[15] 上記[10]〜[14]のいずれかの製造方法において、塗料(II)中に含まれる、硬化後のガラス転移温度が異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂(a)が、硬化後のガラス転移温度が50℃以下である、1種以上の低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂(a1)と、硬化後のガラス転移温度が50℃超である、1種以上の高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂(a2)からなることを特徴とするプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
[16] 上記[15]の製造方法において、低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂(a1)と、高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂(a2)との配合比(a1)/(a2)が固形分の質量比で9/1〜1/9であることを特徴とするプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
【0018】
[17] 上記[10]〜[16]のいずれかの製造方法において、塗料(II)中に含まれる、硬化後のガラス転移温度が異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂(a)の各々の主剤樹脂が、水酸基含有ウレタンプレポリマーであることを特徴とするプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
[18] 上記[10]〜[17]のいずれかの製造方法において、塗料(II)中に含まれるポリエチレン樹脂からなる固形潤滑剤(b)が、融点90〜130℃、数平均分子量5000以下であることを特徴とするプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細とその限定理由を説明する。
本発明の表面処理鋼板のベースとなる亜鉛系めっき鋼板に特別な制限はなく、例えば、亜鉛めっき鋼板、Zn−Niめっき鋼板、Zn−Feめっき鋼板(電気めっき、合金化溶融亜鉛めっき)、Zn−Crめっき鋼板、Zn−Mnめっき鋼板、Zn−Coめっき鋼板、Zn−Co−Cr合金めっき鋼板、Zn−Cr−Niめっき鋼板、Zn−Cr−Feめっき鋼板、Zn−Alめっき鋼板(例えば、Zn−5%Al合金めっき鋼板、Zn−55%Al合金めっき鋼板)、さらにはこれらのめっきに金属酸化物、ポリマーなどを分散した亜鉛系複合めっき鋼板(例えば、Zn−SiO2分散めっき鋼板)などを用いることができる。また、上記のようなめっきのうち、同種または異種のものを2層以上めっきした複層めっき鋼板を用いることができる。また、本発明の表面処理鋼板のベースとなるアルミニウム系めっき鋼板にも特別な制限はなく、例えば、アルミニウムめっき鋼板、Al−Siめっき鋼板などを用いることができる。
また、めっき鋼板としては、鋼板面にあらかじめNiなどの薄目付けのめっきを施し、その上に上記のような各種めっきを施したものであってもよい。
【0020】
めっきの方法としては、電解法(水溶液中での電解、非水溶媒中での電解)、溶融法、気相法のうち、実施可能ないずれの方法も採用することができる。さらに、めっきの黒変を防止する目的で、めっき皮膜中にNi,Co,Feの1種以上を1〜2000ppm程度析出させたり、或いはめっき表面にNi,Co,Feの1種以上を含むアルカリまたは酸性水溶液による表面調整処理を施し、それらの元素を析出させるようにしてもよい。
【0021】
次に、上記亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に形成される表面処理皮膜とこの皮膜形成用の表面処理組成物(I)について説明する。
本発明の表面処理鋼板において、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に下層として形成される表面処理皮膜は、下記一般式(1)で表わされる樹脂化合物(A)と、第1〜第3アミノ基および第4アンモニウム塩基の中から選ばれる少なくとも1種のカチオン性官能基を有するカチオン性ウレタン樹脂(B)と、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、メルカプト基およびメタクリロキシ基の中から選ばれる少なくとも1種の反応性官能基を有するシランカップリング剤(C)とを含有し、且つ、カチオン性ウレタン樹脂(B)と樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量との固形分の質量比[(B)/{(A)+(B)+(C)}]が0.04〜0.09であり、シランカップリング剤(C)と樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量質量比[(C)/{(A)+(B)+(C)}]が0.6〜0.7である表面処理組成物(I)を塗布し、乾燥することにより形成された皮膜厚が0.01〜2μmの表面処理皮膜である。
【0022】
【化13】
上記一般式(1)中、ベンゼン環に結合しているY1及びY2は、それぞれ互いに独立に水素、又は下記一般式(2)又は(3)により表されるZ基であり、1ベンゼン環当りのZ基の置換数の平均値は0.2〜1.0である。nは平均重合度を表し、2〜50の整数である。ここで、Z基の置換数の平均値とは、全Z基導入数を全ベンゼン環数(即ち2n)で除した数値のことである。
上記平均重合度nが2未満では耐食性付与効果が不十分であり、一方、50を超えると水溶性の低下、増粘などにより、処理組成物中での安定性が低下し、保存安定性が不十分となる。
【0023】
【化14】
【化15】
上記一般式(2)及び(3)中、R1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ互いに独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を表す。アルキル基又はヒドロキシアルキル基の炭素数が10を超えると樹脂化合物(A)を十分に水溶化することができず、処理組成物中での安定性を欠くため適用できない。R1、R2、R3、R4及びR5としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、ヒドロキシイソブチルなどを挙げることができる。また、A−は水酸イオン又は酸イオンを表す。酸イオンの具体例としては、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオンなどを挙げることができる。
一般式(1)で表される樹脂化合物(A)はビスフェノール−ホルマリン縮合物であり、その合成方法は特定しないが、例えば、アルカリ触媒存在下で、ビスフェノールAにホルマリンとアミンを作用させることで得ることができる。
【0024】
前記カチオン性ウレタン樹脂(B)は、第1〜第3アミノ基および第4アンモニウム塩基の中から選ばれる少なくとも1種のカチオン性官能基を有するものであれば、構成されるモノマー成分であるポリオール、イソシアネート成分および重合方法は特に限定されるものではない。カチオン性官能基としては、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、トリメチルアミノ基、トリエチルアミノ基などが挙げられる。カチオン性ウレタン樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。
【0025】
カチオン性ウレタン樹脂(B)の配合量は、樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量との固形分の質量比[(B)/{(A)+(B)+(C)}]で0.04〜0.09とする。カチオン性ウレタン樹脂(B)をこのような配合量で含有させることにより、腐食初期に発生しやすい極く薄い白錆を効果的に防ぐことができる。この理由は必ずしも明らかではないが、カチオン性ウレタン樹脂を適量配合することにより造膜性が向上するためであると考えられる。しかしながら、上記質量比が0.04未満では初期の薄錆発生の抑制効果が不十分であり、一方、0.09を超えると長期の耐食性が不十分となる。
【0026】
前記シランカップリング剤(C)は、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、メルカプト基およびメタクリロキシ基の中から選ばれる少なくとも1種の反応性官能基を有するシランカップリング剤であれば特に限定されるものではなく、例えば、N−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトエリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどの1種以上が使用できる。シランカップリング剤(C)の配合量は、樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量との固形分の質量比[(C)/{(A)+(B)+(C)}]で0.6〜0.7とする。この質量比が0.6未満では耐食性および塗装性が不十分であり、一方、0.7を超えると成形後の外観性と耐食性が劣る。
【0027】
表面処理組成物(I)には、さらに耐食性および耐黒変性の改善を目的としてTi化合物(D)を添加することが好ましい。Ti化合物(D)は、Tiの供給源となるのもであれば,特に対となるアニオンを限定するものではなく、例えば、酢酸チタン、硝酸チタン、硫酸チタン、リン酸チタン、炭酸チタン、チタンフッ化水素酸などの1種以上が使用できる。
Ti化合物(D)の配合量は、樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量との固形分の質量比[(D)/{(A)+(B)+(C)}]で0.05〜0.10とすることが好ましい。この質量比が0.05未満では耐食性および耐黒変性の改善効果が不十分であり、一方、0.10を超えると表面処理組成物の可使用時間が短くなり、実質的な使用が困難になる。
【0028】
表面処理組成物(I)には、さらに耐食性の改善を目的として酸化合物(E)を添加することができる。この酸化合物(E)は、リン酸、硝酸、酢酸、およびこれらの塩の中から選ばれる少なくとも1種の酸化合物であれば特に限定するものではなく、例えば、オルソリン酸、ピロリン酸、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、硝酸、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、酢酸、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウムなどの1種以上が使用できる。
酸化合物(E)の配合量は、樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量との固形分の質量比[(E)/{(A)+(B)+(C)}]で0.05〜0.15とすることが好ましい。この質量比が0.05未満では耐食性の改善効果が不十分であり、一方、0.15を超えると上層の樹脂皮膜との密着性が低下し、その結果、成形後の外観性及び耐食性が劣ったものとなる。
【0029】
表面処理組成物(I)には、さらに必要に応じて固形潤滑剤を配合することができる。この固形潤滑剤としては、ポリエチレンワックスなどの炭化水素系潤滑剤、ポリ4フッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂系潤滑剤、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド系潤滑剤などをはじめとする任意のものが使用できる。
表面処理組成物(I)(処理液)はpH0.5〜6、好ましくは1〜4に調整することが適当である。表面処理組成物(I)のpHが0.5未満では処理液の反応性が強すぎるため外観ムラが生じやすく、一方、pHが6を超えると処理液の反応性が低くなり、めっき金属と表面処理皮膜との結合が不十分となりやすく、耐食性が低下する傾向がある。
【0030】
次に、上記表面処理皮膜の上層に形成される樹脂皮膜とこの皮膜形成用の塗料(II)について説明する。
上記表面処理皮膜の上層に形成される樹脂皮膜は、下記成分(a)、(b)および(c)を含有する塗料(II)を塗布し、加熱硬化させることにより形成された皮膜厚が0.1μm以上5μm未満の樹脂皮膜である。
(a)硬化後のガラス転移温度が異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂:100質量部(固形分割合)
(b)130℃以下の融点を有するポリエチレン樹脂からなる固形潤滑剤:1〜30質量部(固形分割合)
(c)非クロム系防錆添加剤:3〜30質量部(固形分割合)
【0031】
ベース樹脂として溶剤系熱硬化型樹脂(a)を用いる理由は、以下のとおりである。
▲1▼溶剤系樹脂は、水系樹脂に比較して、樹脂中に添加される潤滑剤および防錆添加剤などとの相溶性、および塗料としての長期安定性に優れている。
▲2▼可塑性樹脂と異なり、熱硬化性樹脂には融点が存在しないので、高温時の機械的強度が高い。したがって、このような樹脂からなる塗料によって皮膜を形成すれば、プレス成形時の摩擦熱により鋼板の表面温度が上昇しても、樹脂皮膜の剥離や変形が生じにくい。
【0032】
また、樹脂皮膜のベース樹脂として、硬化後のガラス転移温度が異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂(a)を使用する理由は次のとおりである。
すなわち、ガラス転移温度の低い溶剤系熱硬化型樹脂は低温時における柔軟性に優れている。したがって、このような樹脂をベース樹脂とした樹脂皮膜が形成されためっき鋼板をプレス成形する場合、プレス成形条件が緩やかな場合または緩やかな部分では、プレス成形性及びプレス成形後の外観が良好である。しかしながら、プレス成形条件が、表面が高温になるような厳しい場合または厳しい部分では、樹脂皮膜が軟化してめっき鋼板から剥離し、剥離した樹脂皮膜が成形用金型に付着する結果、プレス成形性およびプレス成形後の外観の劣化を招く。
【0033】
一方、ガラス転移温度の高い溶剤系熱硬化型樹脂は高温強度に優れている。したがって、このような樹脂をベース樹脂とした樹脂皮膜が形成されためっき鋼板をプレス成形する場合、プレス成形条件が厳しい場合または厳しい部分でも、樹脂皮膜が軟化してめっき鋼板から剥離するようなことはない。しかしながら、ガラス転移温度の高い溶剤系熱硬化型樹脂は低温時における柔軟性が悪いために、プレス成形条件が緩やかな場合または緩やかな部分では、樹脂皮膜が粉化してめっき鋼板から剥離し、剥離した樹脂皮膜が成形用金型に付着する結果、プレス成形性及びプレス成形後の外観の劣化を招く。
【0034】
そこで、本発明においては、樹脂皮膜にプレス成形する際の低温時における柔軟性および高温時における強度をともに付与するため、樹脂皮膜のベース樹脂を硬化後のガラス転移温度が異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂によって構成した。好ましい溶剤系熱硬化型樹脂は、硬化後のガラス転移温度が50℃以下である1種以上の低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂と、硬化後のガラス転移温度が50℃超である1種以上の高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂とによって構成された樹脂である。上記低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂の特に好ましいガラス転移温度は10〜50℃の範囲である。また、上記高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂の特に好ましいガラス転移温度は50℃超〜100℃の範囲である。
【0035】
低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂(a1)と高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂(a2)の配合比(a1)/(a2)は、固形分の質量比で9/1〜1/9の範囲とすることが好ましい。この配合比(a1)/(a2)が9/1を超えると、樹脂皮膜が形成されためっき鋼板のプレス成形時に、その成形条件が鋼板表面が高温になるような厳しい場合に、樹脂皮膜が軟化してめっき鋼板から剥離する問題が生じやすい。一方、上記配合比(a1)/(a2)が1/9未満では、上記成形条件が鋼板表面がそれほど高温にならないような緩やかな場合に、樹脂皮膜が粉化してめっき鋼板から剥離する問題が生じやすい。低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂(a1)と高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂(a2)のより好ましい配合比(a1)/(a2)は9/1〜5/5の範囲である。
【0036】
上述した硬化後のガラス転移温度が異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂の主剤樹脂成分は、硬化後のガラス転移温度が異なる2種以上の水酸基含有ウレタンプレポリマーであることが好ましい。また、これら各水酸基含有ウレタンプレポリマーは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリエステルポリオールの中から選ばれる少なくとも1種のポリオール(d)と、イソシアネート化合物(e)と、2価アルコール(f)とから得られるものが好ましい。
また、上記各水酸基含有ウレタンプレポリマーの硬化剤成分(架橋剤)としては、ブロックポリイソシアネート化合物およびアミノ樹脂の中から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。硬化剤としては、ガラス転移温度が異なる2種以上の水酸基含有ウレタンプレポリマーに対して1種又は2種以上の硬化剤を用いることができる。なお、硬化後のガラス転移温度はウレタンプレポリマーと硬化剤(架橋剤)との反応によって得られるものであるが、硬化後のガラス転移温度が異なる2種以上のウレタンプレポリマーを使用することにより、1種類の硬化剤を用いて硬化後のガラス転移温度を変えることができる。
【0037】
以下、上記水酸基含有ウレタンプレポリマーの構成成分と硬化剤成分について説明する。
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物のような直鎖状ポリアルキレンポリオールなどが挙げられる。
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、二塩基酸と低分子ポリオールとを反応させて得られる分子鎖中にOH基を有する線状ポリエステルなどを使用できる。前記塩基酸としては、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、ジメチルテレフタレート、イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸などのような二塩基酸またはそのエステル類などが挙げられる。
【0038】
前記ポリエーテルポリエステルポリオールとしては、前記塩基酸と前記ポリエーテルポリオール、またはこれと前記低分子ポリオールとの混合物をエステル化反応させて得られる分子鎖中にOH基を有する線状ポリエステル、並びに、末端にカルボキシル基および/または水酸基を有するポリエステルに、アルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなど)を付加反応させて得たポリエーテルなどが挙げられる。
【0039】
前記イソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、o−、m−、またはp−フェニレンジイソシアネート、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、芳香環が水素添加された2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ω,ω′−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω′−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼンなどの、芳香族環を有するイソシアネート化合物、または、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート化合物などが挙げられる。
前記2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、水添ビスフェノールAのようなオール類が使用できる。
【0040】
硬化剤であるブロックポリイソシアネート化合物の代表的なものは、いわゆるポリイソシアネートを公知のブロック剤を使用してブロック化させたブロックポリイソシアネートプレポリマーであって、例えば、商品名「バーノックD−550」、「バーノックD−500」、「バーノックB7−887」(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、商品名「タケネート N−815−N」(武田薬品工業(株)製)、商品名「アヂイトール(ADDITOL) VXL−80」(ヘキスト合成(株)製)など挙げられる。
硬化剤であるアミノ樹脂としては、メラミン尿素アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ステログアナミンまたはスピログアナミンなどのアミノ成分と、ホルムアルデヒド、パラホルム、アセトアルデヒド、グリオキサールなどのアルデヒド成分と、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノールなどのアルコール成分とを反応させて得られる樹脂が使用できる。
【0041】
塗料(II)中に添加する固形潤滑剤(b)としては、ポリエチレン樹脂(微粒子)を使用する。ポリエチレン樹脂からなる固形潤滑剤は、連続プレス成形などにおいて、鋼板に対して摺動、変形および摩耗に対する抵抗性を付与し、“かじり”や板破断などの鋼板の損傷や金型の損傷を防止する作用を有している。
ポリエチレン樹脂は、一般に数平均分子量が数百から数百万である結晶性熱可塑性樹脂であり、そのガラス転移点は約−100℃であって常温よりも低く、その融点は90〜140℃であって常温では柔軟な性質を有している。さらに、その臨界表面張力は約30dyne/cmであり、表面エネルギーが低いので濡れ性および付着性が低く、このため優れた潤滑作用を有している。本発明のようにポリエチレン樹脂粒子を表面処理鋼版の樹脂皮膜形成用の塗料中に潤滑剤として含有させる場合には、塗料中での分散性および薄膜形成の観点から、ポリエチレン樹脂粒子の粒径は20μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは約5μmとすることが望ましい。このような微粉末ではないポリエチレン樹脂では、所望の潤滑効果を得ることが困難となる。
【0042】
ポリエチレン樹脂の融点は潤滑性に影響を与える。すなわち、その融点が高いほど常温近傍における力学的強度(変形抵抗)が高く、ポリエチレン樹脂を含有する樹脂皮膜の潤滑性(摺動性)が低下する。したがって、本発明において潤滑剤として使用するポリエチレン樹脂の融点は、130℃以下、好ましくは90〜120℃の範囲内であることが必要である。また、製膜性の観点から、ポリエチレン樹脂の数平均分子量は5000以下であることが好ましい。なお、上述した範囲内の融点、数平均分子量及び粒径を有する2種以上のポリエチレン微粉末を使用してもよい。
【0043】
ポリエチレン樹脂からなる固形潤滑剤(b)の含有量は、溶剤系熱硬化性樹脂(a)の固形分100質量部に対して、固形分の割合で1〜30質量部とする。固形潤滑剤(b)の含有量が、溶剤系熱硬化性樹脂の固形分100質量部に対して1質量部未満では、潤滑性の向上効果が十分に得られず、一方、30質量部を超えると、樹脂皮膜自体の凝集力および強度が低下する結果、プレス成形時に樹脂皮膜の剥離が増加する問題が生ずる。ポリエチレン樹脂のより好ましい含有量は、溶剤系熱硬化性樹脂の固形分100質量部に対して5〜20質量部である。
【0044】
塗料(II)には、耐食性向上を目的として、非クロム系防錆添加剤(c)を配合する。塗料(II)中にこのような非クロム系防錆添加剤を配合することにより、特に優れた耐食性能(自己補修性)を得ることができる。この非クロム系防錆添加剤としては、特に下記(e1)〜(e5)の中から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
(e1)酸化ケイ素
(e2)カルシウムおよび/またはカルシウム化合物
(e3)難溶性リン酸化合物
(e4)モリブデン酸化合物
(e5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種又は2種以上のS原子を含有する有機化合物
【0045】
これら(e1)〜(e5)の非クロム系防錆添加剤の詳細および防食機構は以下の通りである。
まず、上記(e1)の成分としては、微粒子シリカであるコロイダルシリカや乾式シリカを使用することができるが、耐食性の観点からは、特にカルシウムをその表面に結合させたカルシウムイオン交換シリカを使用するのが好ましい。コロイダルシリカは、例えば、日産化学(株)製のスノーテックス0、スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40、スノーテックスC、スノーテックスS(いずれも商品名)を用いることができ、ヒュームドシリカとしては、日本アエロジル(株)製のAEROSIL R971、AEROSIL R812、AEROSIL AEROSIL R811、AEROSIL R974、AEROSIL R202、AEROSIL R805、AEROSIL 130、AEROSIL 200、AEROSIL 300、AEROSIL 300CF (いずれも商品名)を用いることができる。
また、カルシウムイオン交換シリカとしては、W.R.Grace&Co.製のSHIELDEX C303、SHIELDEX AC3、SHIELDEX AC5(いずれも商品名)、富士シリシア化学(株)製のSHIELDEX、SHIELDEX SY710(いずれも商品名)などを挙げることができる。これらシリカは、腐食環境下において緻密で安定な亜鉛の腐食生成物の生成に寄与し、この腐食生成物がめっき表面に緻密に形成されることによって、腐食の促進を抑制する。
【0046】
また、上記(e2)、(e3)は沈殿作用によって特に優れた防食性能(自己補修性)を発現する。上記(e2)の成分であるカルシウム化合物は、カルシウム酸化物、カルシウム水酸化物、カルシウム塩のいずれでもよく、これらの1種または2種以上を使用できる。また、カルシウム塩の種類にも特に制限はなく、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどのようなカチオンとしてのカルシウムのみを含む単塩のほか、リン酸カルシウム、亜鉛、リン酸カルシウム、マグネシウムなどのようなカルシウム以外のカチオンを含む複塩を使用してもよい。この(e2)成分は腐食環境下においてめっき金属である亜鉛やアルミニウムよりも卑なカルシウムが優先溶解し、これがカソード反応により生成したOH−と緻密で難溶性の生成物として欠陥部を封鎖、腐食反応を抑制する。また、上記のようなシリカとともに配合された場合には表面にカルシウムイオンが吸着し、表面電荷を電気的に中和して凝集する。その結果、緻密かつ難溶性の保護皮膜が生成して腐食起点を封鎖し、腐食反応を抑制する。
【0047】
また、上記(e3)である難溶性リン酸化合物としては、難溶性リン酸塩を用いることができる。この難溶性リン酸塩は単塩、複塩などのすべての種類の塩を含む。また、それを構成する金属カチオンに限定はなく、難溶性のリン酸亜鉛、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウムなどのいずれの金属カチオンでもよい。また、リン酸イオンの骨格や縮合度などにも限定はなく、正塩、二水素塩、一水素塩または亜リン酸塩のいずれでもよく、さらに、正塩はオルトリン酸塩の他、ポリリン酸塩などの全ての縮合リン酸を含む。この難溶性リン化合物は腐食によって溶出しためっき金属の亜鉛やアルミニウムが、加水分解により解離したリン酸イオンと錯形成反応により緻密かつ難溶性の保護皮膜を生成して腐食起点を封鎖し、腐食反応を抑制する。
【0048】
また、上記(e4)のモリブデン酸化合物としては、例えば、モリブデン酸塩を用いることができる。このモリブデン酸塩は、その骨格、縮合度に限定はなく、例えばオルトモリブデン酸塩、パラモリブデン酸塩、メタモリブデン酸塩などが挙げられる。また、正塩、複塩などのすべての塩を含み、複塩としてはリンモリブデン酸塩などが挙げられる。モリブデン酸化合物は不動態化効果によって自己補修性を発現する。すなわち、腐食環境下で溶存酸素と共にめっき皮膜表面に緻密な酸化物を形成することで腐食起点を封鎖し、腐食反応を抑制する。
【0049】
また、上記(e5)のS原子を含有する有機化合物としては、例えば、以下のようなものが挙げることができる。すなわち、トリアゾール類としては1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾールなどが、またチオール類としては、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール、2−メルカプトベンツイミダゾールなどが、またチアジアゾール類としては5−アミノ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールなどが、またチアゾール類としては2−N,N−ジエチルチオベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール類などが、またチウラム類としては、テトラエチルチウラムジスルフィドなどが、それぞれ挙げられる。これらの有機化合物は吸着効果によって自己補修性を発現する。すなわち、腐食によって溶出した亜鉛やアルミニウムが、これらの有機化合物が有する硫黄を含む極性基に吸着して不活性皮膜を形成して腐食起点を封鎖し、腐食反応を抑制する。
【0050】
なお、これらの中でも、耐食性の観点からは特に、カルシウムをその表面に結合させたカルシウムイオン交換シリカを使用するのが好ましい。また、上記(e1)〜(e5)の防錆添加剤を2種以上複合添加してもよく、この場合にはそれぞれ固有の防食作用が複合化されるため、より高度の耐食性が得られる。特に上記(e1)の成分としてカルシウム交換シリカを用い、且つこれに(e3)、(e4)、(e5)の成分の1種以上、特に好ましくは(e3)〜(e5)の成分の全部を複合添加した場合に特に優れた耐食性が得られる。
【0051】
非クロム系防錆添加剤(c)の含有量は、溶剤系熱硬化性樹脂(a)の固形分100質量部に対して、固形分の割合で3〜30質量部とする。非クロム系防錆添加剤の含有量が、溶剤系熱硬化性樹脂の固形分100質量部に対して3質量部未満では、耐食性の向上効果が得られず、一方、30質量部を超えて配合しても、それに見合う耐食性向上効果が得られないだけでなく、樹脂皮膜の凝集力が低下するため、プレス成形時に樹脂皮膜の剥離を増長させる問題が生ずる。非クロム系防錆添加剤のより好ましい含有量は、溶剤系熱硬化性樹脂の固形分100質量部に対して5〜20質量部である。
【0052】
塗料(II)中には、上述した溶剤系熱硬化型樹脂、固形潤滑剤および防錆添加剤のほかに、必要に応じて、他の成分、例えば、顔料、染料などの着色剤、溶剤、界面活性剤、安定剤等を含有させてもよい。
表面処理組成物(I)により形成される表面処理皮膜(下層)は乾燥膜厚が0.01〜2μm、好ましくは0.3〜0.8μmとする。乾燥膜厚が0.01μm未満では耐食性が不十分であり、一方、2μmを超えると成形後の外観が悪くなる。また、その上層に塗料(II)により形成される樹脂皮膜は乾燥膜厚を0.1μm以上5μm未満にするとともに、両皮膜(表面処理皮膜および樹脂皮膜)の合計を5μm以下とする。合計皮膜厚が5μmを超えると、溶接による接合が困難になる。一方、樹脂皮膜の膜厚が0.1μm未満では充分な潤滑性が得られない。
【0053】
次に、本発明の表面処理鋼板の製造方法について説明する。
亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に上記表面処理皮膜および樹脂皮膜を形成するには、上述した組成を有する表面処理組成物(I)(処理液)を乾燥皮膜厚が上記範囲となるように塗布し、水洗することなく加熱乾燥させた後、塗料(II)をさらに塗布し、水洗することなく乾燥させる。
表面処理組成物(I)や塗料(II)を塗布する方法は、塗布法、浸漬法、スプレー法のいずれでもよい。塗布処理方法としては、ロールコーター(3ロール方式、2ロール方式など)、スクイズコーター、ダイコーターなどいずれの方法でもよい。また、スクイズコーターなどによる塗布処理、或いは浸漬処理、スプレー処理の後に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
【0054】
表面処理組成物(I)や塗料(II)をコーティングした後は、水洗することなく加熱乾燥を行う。加熱乾燥手段としては、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉などを用いることができる。加熱処理は、表面処理組成物(I)では到達板温で30〜300℃、好ましくは60〜250℃の範囲で行うことが適当である。この加熱温度が30℃未満では皮膜中の水分が多量に残り、耐食性が不十分となる。また、300℃を越えると非経済的であるばかりでなく、皮膜に欠陥が生じ耐食性が低下する。また、塗料(II)では150〜270℃の範囲で行うことが適当である。加熱温度が150℃未満では硬化が不十分で耐食性、潤滑性、成形後外観が低下し、270℃を超えると、150℃未満の場合と同様に耐食性、潤滑性、成形後外観が低下する。
なお、上述した表面処理皮膜および樹脂皮膜はめっき鋼板の片面、両面のいずれに形成してもよい。
【0055】
【実施例】
下層である表面処理皮膜形成用の表面処理組成物(I)を以下のようにして調整した。
[表面処理組成物(I)の製造]
表面処理組成物用の樹脂化合物(A)として表2に示す化学構造を有する水分散性樹脂を用い、これに表3に示すカチオン性ウレタン樹脂(B)、表4に示すシランカップリング剤(C)、表5に示すTi化合物(D)、表6に示す酸化合物(E)、さらに表7に示す固形潤滑剤を適宜配合し、攪拌機を用いて所要時間攪拌し、表面処理組成物(I)を調製した。
【0056】
上層である樹脂皮膜形成用の塗料(II)を以下のようにして調整した。
塗料(II)を調整するために、溶剤系熱硬化型樹脂中の水酸基含有ウレタンプレポリマーとして、表8に示すものを製造した。
以下に、表8のNo.1の水酸基含有ウレタンプレポリマーの製造例について述べる。加熱装置、攪拌機、水分離器および温度計を備えた反応装置に、ポリエステルポリオールとして芳香族ポリエステルポリオール(AR):915質量部および脂肪族ポリエステルポリオール(AL):915質量部を、不活性ガス存在下において仕込み、加熱した。上記原料が融解した後、加熱しながら撹拌を開始した。融解した原料が100℃まで昇温した後、その温度で30〜60分間保温し、次いで脱水した。
【0057】
次いで、融解した原料の温度を70℃まで下げ、その温度下において、2価アルコールとして1,4−ブタンジオール:28質量部、イソシアネート化合物としてジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート:313質量部、反応触媒としてジブチルチンラウリレート:0.55質量部および溶剤としてシクロヘキサノン:940質量部を仕込み、70℃の温度で5〜10時間反応を継続し、所定の粘度に達したところで、2価アルコールとして1,3−ブタンジオール:10質量部を加えて反応を終了させた。さらに、溶剤としてシクロヘキサノン:4150質量部を加え、これにより不揮発分:30%、粘度1:400cpsの水酸基含有ウレタンプレポリマーNo.1を調製した。
【0058】
表8のNo.2〜No.8についても、同表に示す各成分を配合して上記方法に準じて水酸基含有ウレタンプレポリマーNo.2〜No.8を調製した。このようにして得られた水酸基含有ウレタンプレポリマーを硬化剤であるヘキサメチレンジイソシアネート3量体とNCO/OH=1/1の当量比で架橋硬化させた熱硬化型樹脂のガラス転移温度を表8に併せて示す。
表8の水酸基含有ウレタンプレポリマーを表9に示すように組み合わせて、本発明例で使用する9種類の溶剤系熱硬化型樹脂A〜Iを調製した。また、表9に比較例で使用される樹脂J〜Mを併せて示す。なお、溶剤系熱硬化型樹脂A〜I、L、Mの硬化剤としては、ヘキサメチレンジイソシアネート3量体をNCO/OHの当量比が1/1となるような配合比で用いた。
【0059】
冷延鋼板(板厚0.8mm)をベースとした家電、建材、自動車部品用のめっき鋼板である、表1に示すめっき鋼板を処理原板として用いた。このめっき鋼板の表面をアルカリ脱脂処理、水洗、乾燥した後、上記表面処理組成物(I)をロールコーターにより塗布し、水洗することなく誘導加熱装置により所定の焼付温度(到達板温)で加熱乾燥し、表面処理皮膜を形成した。皮膜の膜厚は、表面処理組成物の固形分(加熱残分)または塗布条件(ロールの圧下力、回転速度など)により調整した。
【0060】
さらにその上層に、表9に示す溶剤系熱硬化型樹脂に表10に示す固形潤滑剤および防錆添加剤であるシリカを添加して塗料(II)を調整し、この塗料(II)をロールコーターにより上記表面処理皮膜の上に塗布し、次いで水洗することなく誘導加熱装置により230℃の焼付温度(到達板温)で加熱乾燥した。また、比較例として表面処理組成物(I)を塗布乾燥することで得られた表面処理鋼板にプレス油を2g/m2塗布したものも作製した。
このようにして作製した表面処理鋼板の皮膜組成、および品質性能(潤滑性、成形後の外観性、成形後の耐食性)の各試験を行った結果を表11〜表26に示す。なお、品質性能の評価は以下のようにして行った。
【0061】
(1)潤滑性
図1に概略正面図で示す試験機を使用した。この試験機は、箱状の枠2の一側2aに固定されたフラット面を有する雌ダイス1と、この雌ダイス1と向き合った、所定高さの実質的に水平な突条3を有する雄ダイス4と、この雄ダイス4を支持し、雄ダイス4を雌ダイス1に向けて水平移動させるための、枠2の他側2bに固定された油圧シリンダ5とからなっている。前記雄ダイス4は、油圧シリンダ5のロッド5aにロードセル6を介して固定されている。なお、雄ダイス4の突条3の幅は10mmであり、その先端の長さは1mmである。
各実施例の表面処理鋼板から切り出された試験片7を、雌ダイス1と雄ダイス4との間隙に垂直に挿入し、油圧シリンダ5を作動させて、雌ダイス1と雄ダイス4とにより試験片7を50kgf(500kgf/cm2)の圧力で押しつけた。次いで、試験片7を矢印に示すように、100mm/分の速度で上方に引き抜き、そのときの動摩擦係数を調べ、これによって潤滑性を評価した。なお、試験は常温(20℃)の試験片のほか、実際のプレス作業時の板温上昇を考慮して150℃の高温試験片についても行った。評価の基準は次のとおりである。
○:動摩擦係数0.1未満
△:動摩擦係数0.1以上、0.2未満
×:動摩擦係数0.2以上
【0062】
(2)プレス成形性
各実施例の表面処理鋼板から切り出した円板状の試験片を、ポンチ径:50mm、ダイス径:51.91mm、しわ押さえ力:1トンの条件でカップ状に成形したときの限界絞り比を調べ、これによってプレス成形性を評価した。評価基準は次のとおりである。
○:限界絞り比2.30以上
△:限界絞り比2.20以上、2.30未満
×:限界絞り比2.20未満
【0063】
(3)成形後の外観性
図2に概略正面図で示す試験機を使用した。この試験機は、箱状の枠2の一側2aに固定された、所定高さの実質的に水平な突条8を有する雄ダイス9と、この雄ダイス9の突条8と向き合った所定深さの溝10を有する雌ダイス11と、この雌ダイス11を支持し、雌ダイス11を雄ダイス9の突条8に向けて水平に移動させるための、枠2の他側2bに固定された油圧シリンダ5とからなっている。前記雌ダイス11は、油圧シリンダ5のロッド5aにロードセル6を介して固定されている。なお、雄ダイス9の突条8の幅は30mmであり、突条8の先端の半径は0.25mmである。
各実施例の表面処理鋼板から切り出した試験片を、雄ダイス9と雌ダイス11との間隙に垂直に挿入し、油圧シリンダ5を作動させて、雄ダイス9と雌ダイス11とにより試験片7を50kgf(500kgf/cm2)の圧力で押しつけた。次いで、試験片7を矢印に示すように、100mm/分の速度で上方に引き抜き、そのときの試験片の外観を目視によって調べ、傷つき程度および黒化程度を評価した。評価基準は次のとおりである。
◎:全面にわたって殆ど変化なく、外観が均一
○:傷つきおよび黒化が少し発生し、外観が多少不均一
△:局部的に傷つきおよび黒化が発生し、外観が明らかに不均一
×:コーナー部を中心に傷つきおよび黒化が激しく発生
【0064】
(4)成形後の耐食性
図2に概略正面図で示した試験機を使用し、各実施例の表面処理鋼板から切り出された試験片を、前述したと同様の方法によって雄ダイス9と雌ダイス11とにより押しつけた状態で上方に引き抜いた。このようにして引き抜かれた試験片の端縁部を、タールエポキシ塗料によってシールした後、JIS Z 2371に基づく塩水噴霧試験を240時間施して白錆の発生率を調べ、これによって成形後の耐食性を評価した。評価基準は次のとおりである。
◎ :白錆面積率5%未満
○ :白錆面積率5%以上、10%未満
○−:白錆面積率10%以上、25%未満
△ :白錆面積率25%以上、50%未満
× :白錆面積率50%以上、100%以下
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
【表5】
【0070】
【表6】
【0071】
【表7】
【0072】
【表8】
【0073】
【表9】
【0074】
【表10】
【0075】
【表11】
【0076】
【表12】
【0077】
【表13】
【0078】
【表14】
【0079】
【表15】
【0080】
【表16】
【0081】
【表17】
【0082】
【表18】
【0083】
【表19】
【0084】
【表20】
【0085】
【表21】
【0086】
【表22】
【0087】
【表23】
【0088】
【表24】
【0089】
【表25】
【0090】
【表26】
【0091】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、皮膜にクロムを含有することなく、プレス成形性と耐食性に優れた表面処理鋼板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験片の潤滑性を評価するための試験機の概略正面図
【図2】試験片の成形後の外観性および成形後の耐食性を評価するための試験機の概略正面図
【符号の説明】
1:雌ダイス、2:枠、3:突条、4:雄ダイス、5:油圧シリンダ、6:ロードセル、7:試験片、8:突条、9:雄ダイス、10:溝、11:雌ダイス
Claims (18)
- 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、下記一般式(1)で表わされる樹脂化合物(A)と、第1〜第3アミノ基および第4アンモニウム塩基の中から選ばれる少なくとも1種のカチオン性官能基を有するカチオン性ウレタン樹脂(B)と、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、メルカプト基およびメタクリロキシ基の中から選ばれる少なくとも1種の反応性官能基を有するシランカップリング剤(C)とを含有し、且つ、カチオン性ウレタン樹脂(B)と樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量との固形分の質量比[(B)/{(A)+(B)+(C)}]が0.04〜0.09であり、シランカップリング剤(C)と樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量との固形分の質量比[(C)/{(A)+(B)+(C)}]が0.6〜0.7である表面処理組成物(I)を塗布し、乾燥することにより形成された皮膜厚が0.01〜2μmの表面処理皮膜を有し、
その上層に、下記成分(a)、(b)および(c)を含有する塗料(II)を塗布し、加熱硬化させることにより形成された皮膜厚が0.1μm以上5μm未満の樹脂皮膜を有し、
(a)硬化後のガラス転移温度が異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂:100質量部(固形分割合)
(b)130℃以下の融点を有するポリエチレン樹脂からなる固形潤滑剤:1〜30質量部(固形分割合)
(c)非クロム系防錆添加剤:3〜30質量部(固形分割合)
前記表面処理皮膜と前記樹脂皮膜の合計膜厚が5μm以下であることを特徴とする、プレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板。
- 表面処理組成物(I)が、さらにTi化合物(D)を含有し、該Ti化合物(D)と樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量との固形分の質量比[(D)/{(A)+(B)+(C)}]が0.05〜0.10であることを特徴とする請求項1に記載のプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板。
- 表面処理組成物(I)が、さらにリン酸、硝酸、酢酸、およびこれらの塩の中から選ばれる少なくとも1種の酸化合物(E)を含有し、該酸化合物(E)と樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量との固形分の質量比[(E)/{(A)+(B)+(C)}]が0.05〜0.15であることを特徴とする請求項1または2に記載のプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板。
- 塗料(II)中に含まれる非クロム系防錆添加剤が、下記(e1)〜(e5)の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1、2または3に記載のプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板。
(e1)酸化ケイ素
(e2)カルシウムおよび/またはカルシウム化合物
(e3)難溶性リン酸化合物
(e4)モリブデン酸化合物
(e5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物 - 非クロム系防錆添加剤として少なくともカルシウムイオン交換シリカを含有することを特徴とする請求項4に記載のプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板。
- 塗料(II)中に含まれる、硬化後のガラス転移温度が異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂(a)が、硬化後のガラス転移温度が50℃以下である、1種以上の低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂(a1)と、硬化後のガラス転移温度が50℃超である、1種以上の高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂(a2)からなることを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載のプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板。
- 低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂(a1)と、高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂(a2)との配合比(a1)/(a2)が固形分の質量比で9/1〜1/9であることを特徴とする請求項6に記載のプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板。
- 塗料(II)中に含まれる、硬化後のガラス転移温度が異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂(a)の各々の主剤樹脂が、水酸基含有ウレタンプレポリマーであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7に記載のプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板。
- 塗料(II)中に含まれるポリエチレン樹脂からなる固形潤滑剤(b)が、融点90〜130℃、数平均分子量5000以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記載のプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板。
- 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、下記一般式(1)で表わされる樹脂化合物(A)と、第1〜第3アミノ基および第4アンモニウム塩基の中から選ばれる少なくとも1種のカチオン性官能基を有するカチオン性ウレタン樹脂(B)と、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、メルカプト基およびメタクリロキシ基の中から選ばれる少なくとも1種の反応性官能基を有するシランカップリング剤(C)とを含有し、且つ、カチオン性ウレタン樹脂(B)と樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量との固形分の質量比[(B)/{(A)+(B)+(C)}]が0.04〜0.09であり、シランカップリング剤(C)と樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量との固形分の質量比[(C)/{(A)+(B)+(C)}]が0.6〜0.7である表面処理組成物(I)を塗布し、乾燥することにより皮膜厚が0.01〜2μmの表面処理皮膜を形成し、
その上層に、下記成分(a)、(b)および(c)を含有する塗料(II)を塗布し、加熱硬化させることにより皮膜厚が0.1μm以上5μm未満の樹脂皮膜を形成し、
(a)硬化後のガラス転移温度が異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂:100質量部(固形分割合)
(b)130℃以下の融点を有するポリエチレン樹脂からなる固形潤滑剤:1〜30質量部(固形分割合)
(c)非クロム系防錆添加剤:3〜30質量部(固形分割合)
前記表面処理皮膜と前記樹脂皮膜の合計膜厚が5μm以下となるようにしたことを特徴とする、プレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
- 表面処理組成物(I)が、さらにTi化合物(D)を含有し、該Ti化合物(D)と樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量との固形分の質量比[(D)/{(A)+(B)+(C)}]が0.05〜0.10であることを特徴とする請求項10に記載のプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
- 表面処理組成物(I)が、さらにリン酸、硝酸、酢酸、およびこれらの塩の中から選ばれる少なくとも1種の酸化合物(E)を含有し、該酸化合物(E)と樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂(B)およびシランカップリング剤(C)の合計量との固形分の質量比[(E)/{(A)+(B)+(C)}]が0.05〜0.15であることを特徴とする請求項10または11に記載のプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
- 塗料(II)中に含まれる非クロム系防錆添加剤が、下記(e1)〜(e5)の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項10、11または12に記載のプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
(e1)酸化ケイ素
(e2)カルシウムおよび/またはカルシウム化合物
(e3)難溶性リン酸化合物
(e4)モリブデン酸化合物
(e5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物 - 非クロム系防錆添加剤として少なくともカルシウムイオン交換シリカを含有することを特徴とする請求項13に記載のプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
- 塗料(II)中に含まれる、硬化後のガラス転移温度が異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂(a)が、硬化後のガラス転移温度が50℃以下である、1種以上の低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂(a1)と、硬化後のガラス転移温度が50℃超である、1種以上の高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂(a2)からなることを特徴とする請求項10、11、12、13または14に記載のプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
- 低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂(a1)と、高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂(a2)との配合比(a1)/(a2)が固形分の質量比で9/1〜1/9であることを特徴とする請求項15に記載のプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
- 塗料(II)中に含まれる、硬化後のガラス転移温度が異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂(a)の各々の主剤樹脂が、水酸基含有ウレタンプレポリマーであることを特徴とする請求項10、11、12、13、14、15または16に記載のプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
- 塗料(II)中に含まれるポリエチレン樹脂からなる固形潤滑剤(b)が、融点90〜130℃、数平均分子量5000以下であることを特徴とする請求項10、11、12、13、14、15、16または17に記載のプレス成形性および耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
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