JP4109328B2 - ビデオ信号符号化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はビデオ信号符号化装置に関し、特に、様々な標準テレビジョン方式のビデオ信号を所定の共通フォーマットに変換して符号化するビデオ信号符号化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビデオ信号符号化装置では、ビデオ信号の情報を圧縮するために、符号化するビデオ信号の水平方向画素数(以下、画素数)と垂直方向ライン数(以下、ライン数)とを間引くことが行われる。ここで、ビデオ信号は、各国ごとにNTSC,PAL,SECAMといった異なる規格を採用しているため、それら様々な規格のビデオ信号を符号化して通信する際には、まず各国間でも行われる通信用に定められた共通フォーマットの信号に変換する必要がある。
【0003】
上記共通フォーマットとしては、国際標準規格であるITU−H.261によるCIF(Common Interface Format )やQCIF(Quater CIF)などのフォーマットがある。以下に、A/D変換されたNTSC方式のビデオ信号をQCIFに変換する場合を例に挙げて、図面を参照しながら説明する。
【0004】
NTSC信号をQCIFに変換する際には、画素数を変換しやすいように、画素数がQCIFの4倍になるように13.5MHzでサンプリングされる。この中からブランキング区間を除いたものが符号化の対象となるが、この時点で輝度信号の1フレームの大きさは、図3(a)に示すように(704×480)=(画素数×ライン数、以下同じ)である。また、色差信号については、図3(d)に示すように水平方向の偶数番目の画素を間引いて(352×480)である。
【0005】
このような輝度信号および色差信号をまず最初にCIFに変換するために、画素数およびライン数の間引きが行われる。このとき、平滑化のためのフィルタ処理を水平方向および垂直方向共に行ってから間引くことで、輝度信号の大きさは図3(b)に示すように(352×288)、色差信号の大きさは図3(e)に示すように(176×288)に変換される。更に色差信号については、改めて垂直方向のフィルタ処理を行ってから間引くことで、図3(f)に示すように(176×144)に変換される。この時点でCIFへの変換が完了する。
【0006】
さらに、QCIFへの変換は、水平方向および垂直方向に対するフィルタ処理をもう一度行ってから間引くことで行われる。これにより、輝度信号の大きさは図3(c)に示すように(176×144)、色差信号の大きさは図3(g)に示すように(88×72)に変換される。これで全ての処理が完了する。
【0007】
次に、以上の動作を実現する従来技術を用いたビデオ信号符号化装置の一例を図4を参照しながら説明する。
図4に示すように、従来技術を用いたビデオ信号符号化装置は、2つのフレームメモリ401,407、2つの水平方向フィルタ回路402,405、3つの垂直方向フィルタ回路403,404,406、リードアドレス発生回路408および符号化回路409によって構成される。なお、入力されるビデオ信号は、ディジタル信号に変換された信号であり、このディジタル化されたビデオ信号の各画素に同期してディジタル化されたクロック信号もこのビデオ信号と同時に入力される。
【0008】
ビデオ信号の入力段にある第1のフレームメモリ401は、入力ビデオ信号をフレーム単位に格納する。これは、NTSCはインターレース方式であるので、これをノンインターレースで読み出すことができるようにするためである。すなわち、第1のフレームメモリ401への書き込み時におけるデータの順番は、インターレースのラスタスキャン順であり、読み出し時におけるデータの順番は、ノンインターレースのラスタスキャン順である。
【0009】
上記第1のフレームメモリ401から読み出されたデータは、第1の水平方向フィルタ回路402に入力される。この第1の水平方向フィルタ回路402は、水平方向に画素の間引きを行っても、ビデオ信号が視覚的に平滑になるようにするという役割を持つ。ここでは特に画素数を、輝度信号については704個から352個に間引き、色差信号については352個から176個に間引く。
【0010】
この第1の水平方向フィルタ回路402で処理されたデータは、次段の第1の垂直方向フィルタ回路403に入力される。このとき、間引かれる画素に対してはビデオ信号と同時に入力されるクロック信号が非活性となる。これにより、第1の垂直方向フィルタ回路403は、第1の水平方向フィルタ回路402での間引き後のデータに対してのみ動作することになる。
【0011】
上記第1の垂直方向フィルタ回路403は、垂直方向に画素の間引きを行っても、ビデオ信号が視覚的に平滑になるようにするという役割を持つ。ここでは特にライン数を、輝度信号、色差信号共に480個から288個に間引く。
【0012】
この第1の垂直方向フィルタ回路403で処理されたデータは、次段の第2の垂直方向フィルタ回路404に入力される。このとき、間引かれる画素に対してクロック信号が非活性となり、これによって第2の垂直方向フィルタ回路404は、第1の垂直方向フィルタ回路403での間引き後のデータに対してのみ動作することになる。この時点でフレームの大きさは、図3(b)(e)に相当し、輝度信号についてはCIFへの変換が完了する。
【0013】
上記第2の垂直方向フィルタ回路404は、第1の垂直方向フィルタ回路403と同様に、垂直方向に画素の間引きを行っても、ビデオ信号が視覚的に平滑になるようにするという役割を持つ。ここでは特にライン数を、色差信号については288個から144個に間引き、輝度信号については間引きは行わずバイパスとなる。
【0014】
この第2の垂直方向フィルタ回路404で処理されたデータは、次段の第2の水平方向フィルタ回路405に入力される。このとき、間引かれる画素に対してクロック信号が非活性となり、これによって第2の水平方向フィルタ回路405は、第2の垂直方向フィルタ回路404での間引き後のデータに対してのみ動作することになる。この時点でフレームの大きさは、図3(b)(f)に相当し、色差信号についてもCIFへの変換が完了する。
【0015】
上記第2の水平方向フィルタ回路405は、第1の水平方向フィルタ回路402と同様に、水平方向に画素の間引きを行っても、ビデオ信号が視覚的に平滑になるようにするという役割を持つ。ここでは特に画素数を、輝度信号については352個から176個に間引き、色差信号については176個から88個に間引く。
【0016】
この第2の水平方向フィルタ回路405で処理されたデータは、次段の第3の垂直方向フィルタ回路406に入力される。このとき、間引かれる画素に対してクロック信号が非活性となり、これによって第3の垂直方向フィルタ回路406は、第2の水平方向フィルタ回路405での間引き後のデータに対してのみ動作することになる。
【0017】
上記第3の垂直方向フィルタ回路406は、第1、第2の垂直方向フィルタ回路403,404と同様の役割を持つ。ここでは特にライン数を、輝度信号については288個から144個に間引き、色差信号については144個から72個に間引く。
【0018】
この第3垂直方向フィルタ回路406で処理されたデータは、次段の第2のフレームメモリ407に書き込まれる。このとき、間引かれる画素に対してクロック信号が非活性となり、このクロック信号をもとにして図示しないライトイネーブル発生回路からライトイネーブル信号が第2のフレームメモリ407に出力される。これによって第2のフレームメモリ407は、第3の垂直方向フィルタ回路406での間引き後のデータのみを格納することになる。この時点でフレームの大きさは、図3(c)(g)に相当し、輝度信号、色差信号共にQCIFへの変換が完了する。
【0019】
上記第2のフレームメモリ407は、上記第3の垂直方向フィルタ回路406より出力されるデータをフレーム単位で格納する。これは、QCIFに変換されたデータを符号化回路409で符号化するときには、第3の垂直方向フィルタ回路406の出力順とは異なった順番で読み出す必要があるので、そのためのバッファの役割をする。
【0020】
リードアドレス発生回路408は、QCIFに変換されたデータを符号化回路409で符号化するときの順序で第2のフレームメモリ407から読み出すためのリードアドレスを発生する。先に例として挙げたITU−H.261では、マクロブロックと呼ばれる(16×16)の輝度信号、(8×8)の色差信号を1単位とし、その単位でラスタスキャン順にデータを読み出すことになる。
【0021】
符号化回路409は、ビデオ信号符号化装置全体として達成すべき符号化方式を実現するための回路であり、先に例として挙げたITU−H.261に準じた符号化を達成するならば、H.261符号化回路となる。
【0022】
次に、図4に示した各フィルタ回路402〜406の構成の一例を、図5を参照しながら説明する。なお、図5(a)は水平方向フィルタ回路402,405の構成を示し、図5(b)は垂直方向フィルタ回路403,404,406の構成を示す。
【0023】
図5(a)に示すように、水平方向フィルタ回路は、直列接続された2つのレジスタ501,502、3つの乗算器503,504,505および加算器506によって構成される。レジスタ501,502は、それぞれ1画素分の輝度信号あるいは色差信号を保持するものである。
【0024】
一方、図5(b)に示すように、垂直方向フィルタ回路は、直列接続された2つのディレイライン507,508、3つの乗算器503,504,505および加算器506によって構成される。ディレイライン507,508は、それぞれ1ライン分の輝度信号あるいは色差信号を保持するものである。すなわち、1ライン中の画素数分のレジスタに相当し、例えば図4の第1の垂直方向フィルタ回路403で輝度信号の場合には、352個のレジスタとなる。
【0025】
この図5(a)および(b)の例は、
y′=ax+by+cz (a+b+c=1)
の計算式を実現する回路を示している。ここで、yはフィルタをかける対象画素、x,zは図5(a)の水平方向フィルタ回路の場合は対象画素の左右の画素、図5(b)の垂直方向フィルタ回路の場合は対象画素の上下の画素である。
【0026】
なお、この図5の例は、3タップフィルタの場合を示したものであるが、タップ数を変える場合には、タップ数の増加に応じてレジスタ501,502またはディレイライン507,508と乗算器503,504,505とを増やし、加算器506をタップ数に応じた入力数のものに変えれば良い。
【0027】
図5(a)に示した上記2つのレジスタ501,502は直列に接続されており、ある画素データが入力されると、その画素データに対して1画素分遅れたデータが第1のレジスタ501から、2画素分遅れたデータが第2のレジスタ502からそれぞれ出力される。
【0028】
また、図5(a)の3つの乗算器503,504,505には、それぞれ入力画素データ、レジスタ501,502からの出力データが入力されるようになっている。これにより、3つの乗算器503,504,505には、水平方向に3つ並んだ画素データが同時に入力される。これを先の計算式に対応させると、第1の乗算器503にはx、第2の乗算器504にはy、第3の乗算器505にはzの画素データがそれぞれ入力されることとなり、これら3つの乗算器503,504,505は、それぞれa×x、b×y、c×zを計算する。
【0029】
一方、図5(b)に示した上記2つのディレイライン507,508も直列に接続されており、ある画素データが入力されると、その画素データに対して1ライン分遅れたデータが第1のディレイライン507から、2ライン分遅れたデータが第2のディレイライン508からそれぞれ出力される。
【0030】
また、図5(b)の3つの乗算器503,504,505には、それぞれ入力画素データ、ディレイライン507,508からの出力データが入力されるようになっている。これにより、3つの乗算器503,504,505には、垂直方向に3つ並んだ画素データが同時に入力される。これを先の計算式に対応させると、第1の乗算器503にはx、第2の乗算器504にはy、第3の乗算器505にはzの画素データがそれぞれ入力されることとなり、これら3つの乗算器503,504,505は、それぞれa×x、b×y、c×zを計算する。
【0031】
図5(a)に示した水平方向フィルタ回路の場合も、図5(b)に示した垂直方向フィルタ回路の場合も、加算器506は、3つの乗算器503,504,505より入力された3つ並んだ画素データの合計を計算して出力する。以上により、先の計算式が達成される。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
以上の説明から明らかなように、従来の技術では、多数のフレームメモリやフィルタ回路が存在し、しかも個々のフィルタ回路自体の規模も大きいことから、ビデオ信号符号化装置の全体的な回路規模が非常に大きくなってしまうという欠点があった。特に、各フィルタ回路内の乗算器や、垂直フィルタ回路内のディレイラインは物理的、価格的に大きな負担となるものである。したがって、ビデオ信号符号化装置の小型化、低価格化のためには、これらは少ない程望ましい。
【0033】
本発明は、このような実情に鑑みて成されたものであり、様々な標準テレビジョン方式のビデオ信号を所定の共通フォーマットに変換して符号化する方式のビデオ信号符号化装置の回路規模を小さくできるようにすることを目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
本発明のビデオ符号化装置は、標準テレビジョン方式のビデオ信号を、水平方向の画素数および垂直方向のライン数を間引いて共通フォーマットであるCIF又はQCIFに変換した後で符号化するビデオ信号符号化装置において、上記標準テレビジョン方式のビデオ信号の入力段に設けられ、CIFとして最終的に必要な段階まで水平方向の画素数の間引きを行う第1の水平方向間引き手段と、上記第1の水平方向間引き手段での間引き後のデータに対して、QCIFとして最終的に必要な段階まで水平方向の画素数の間引きを行う第2の水平方向間引き手段と、CIFに変換するか、QCIFに変換するかに応じて、上記第1の水平間引き手段での間引き後のデータ又は上記第2の水平間引き手段での間引き後のデータを選択する選択手段と、上記選択手段により選択された間引き後のデータを格納するフレームメモリと、上記フレームメモリからノンインターレース方式で、かつ、前記符号化の処理単位であるマクロブロックに後段の垂直方向間引き手段で間引くライン数を加えたものごとにデータを読み出すためのアドレスを発生する読み出し制御手段と、上記フレームメモリから読み出されたビデオ信号に対して、CIF又はQCIFとして最終的に必要な段階まで垂直方向のライン数の間引きを行う垂直方向間引き手段とを備えた点に特徴を有する。
また、本発明のビデオ信号符号化装置の他の特徴とするところは、上記垂直方向間引き手段は、上記フレームメモリから読み出されたビデオ信号に対して垂直方向のライン数の間引きを行う1個の垂直方向間引き手段と、上記垂直方向間引き手段によりライン数の間引かれたビデオ信号を一時格納する一時記憶メモリとにより構成され、上記垂直方向間引き手段と上記一時記憶メモリとでフィードバックループを構成し、上記1個の垂直方向間引き手段を繰り返し用いてCIF又はQCIFとして最終的に必要な段階まで垂直方向のライン数の間引きを行う構成とした点にある。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態によるビデオ信号符号化装置の構成を示すブロック図であり、図2は、本実施形態によるビデオ信号符号化装置の動作を説明するための図である。なお、図2は、NTSC信号からCIFあるいはQCIFのビデオ信号を生成する動作を示している。
【0047】
図1に示すように、本実施形態のビデオ信号符号化装置は、直列接続された2つの水平方向フィルタ回路101,102、2つのマルチプレクサ103,106、フレームメモリ104、リードアドレス発生回路105、垂直方向フィルタ回路107、RAM108および符号化回路109によって構成される。なお、入力されるビデオ信号は、ディジタル信号に変換された信号であり、このディジタル化されたビデオ信号の各画素に同期したクロック信号もビデオ信号と同時に入力される。
【0048】
ビデオ信号の入力段にある第1の水平方向フィルタ回路101には、図2(a)に示す1フレームの大きさが(704×480)の輝度信号と、図2(e)に示す同じく1フレームの大きさが(352×480)の色差信号とが入力される。この第1の水平方向フィルタ回路101は、水平方向に画素の間引きを行っても、ビデオ信号が視覚的に平滑になるようにするという役割を持つ。
【0049】
上記第1の水平方向フィルタ回路101は、ここでは特に画素数を、輝度信号については704個から352個に間引き、色差信号については352個から176個に間引く。この第1の水平方向フィルタ回路101で処理されたデータは、これに直列に接続された第2の水平方向フィルタ回路102と第1のマルチプレクサ103とに入力される。
【0050】
上記第1の水平方向フィルタ回路101からの出力データが第2の水平方向フィルタ回路102に入力されるとき、間引かれる画素に対してはビデオ信号と同時に入力されるクロック信号が非活性となる。これにより、第2の水平方向フィルタ回路102は、第1の水平方向フィルタ回路101での間引き後のデータに対してのみ動作することになる。
【0051】
上記第2の水平方向フィルタ回路102は、第1の水平方向フィルタ回路101と同じ役割を持つ。ここでは特に画素数を、輝度信号については352個から176個に間引き、色差信号については176個から88個に間引く。この第2の水平方向フィルタ回路102で処理されたデータは、第1のマルチプレクサ103に入力される。
【0052】
上記第1のマルチプレクサ103は、NTSC信号をCIFに変換するかQCIFに変換するかによって、第1の水平方向フィルタ回路101からの出力データと第2の水平方向フィルタ回路102からの出力データとの何れか一方を選択する。すなわち、符号化処理を行う画面の大きさがCIFの場合は、第1の水平方向フィルタ回路101からの出力データを選択し、QCIFの場合は第2の水平方向フィルタ回路102からの出力データを選択する。そして、選択したデータをフレームメモリ104に供給する。
【0053】
上記フレームメモリ104は、第1のマルチプレクサ103より出力されるデータをフレーム単位で格納する。これは、本実施形態では、以降の処理を行うときに、第1のマルチプレクサ103の出力順とは異なった順番でデータを読み出すようにしているので、そのためのバッファの役割をするものである。
【0054】
上記第1の水平方向フィルタ回路101あるいは第2の水平方向フィルタ回路102で間引かれたデータがフレームメモリ104に書き込まれるとき、間引かれる画素に対してクロック信号に対応したライトイネーブル信号が非活性となり、これによってフレームメモリ104は、間引き後のデータのみを格納することになる。
【0055】
この時点でフレームの大きさは、輝度信号については図2(b)のようになり、色差信号については図2(f)のようになる。すなわち、符号化処理を行う画面の大きさがCIFの場合は、輝度信号については(352×480)、色差信号については(176×480)となり、符号化処理を行う画面の大きさがQCIFの場合は、輝度信号については(176×480)、色差信号については(88×480)となる。
【0056】
なお、本実施形態では、第1、第2の水平方向フィルタ回路101,102からの出力データの何れか一方を第1のマルチプレクサ103を用いて選択することによってCIFおよびQCIFの両方に対応しているが、NTSC信号をCIFに変換する場合には、第2の水平方向フィルタ回路102および第1のマルチプレクサ103は不要となる。
【0057】
次に、リードアドレス発生回路105は、フレームメモリ104に格納されたデータを、以降の処理を行うときの順序で読み出すためのリードアドレスを発生する。先に例として挙げたITU−H.261では、マクロブロックと呼ばれる(16×16)の輝度信号、(8×8)の色差信号を1単位とし、その単位でラスタスキャン順にデータを読み出すことになる。ただし、この時点ではライン数の間引きは全く行っていないので、更にこのマクロブロックを中心にして、上下数ラインも加えて読み出す必要がある。なお、以降の処理は、このITU−H.261の処理を行うことを例として説明する。
【0058】
上記リードアドレス発生回路105により発生されるリードアドレスに従ってフレームメモリ104から読み出されたデータは、第2のマルチプレクサ106に供給される。第2のマルチプレクサ106は、このフレームメモリ104より出力されたデータと、RAM108より出力されフィードバックされたデータとの何れか一方を選択して出力する。
【0059】
すなわち、垂直方向に対するライン数変換処理は、輝度信号についてはCIFの場合は1回、QCIFの場合は2回行う必要があり、色差信号についてはCIFの場合は2回、QCIFの場合は3回行う必要があるが、第2のマルチプレクサ106は、次段の垂直方向フィルタ回路107に供給するデータとして、1回目のライン数変換処理を行うときはフレームメモリ104の出力を選択し、2回目以降のライン数変換処理を行うときはRAM108の出力を選択する。
【0060】
上記垂直方向フィルタ回路107は、垂直方向に画素の間引きを行っても、ビデオ信号が視覚的に平滑になるようにするという役割を持つ。この垂直方向フィルタ回路107は、図4に示した3つの垂直方向フィルタ回路403,404,406の役割を兼ね、順番にその役割を変えていく。
【0061】
すなわち、最初は図4の第1の垂直方向フィルタ回路403の役割をすべく、垂直方向フィルタ回路107への入力データとして、第2のマルチプレクサ106によりフレームメモリ104からの出力データが選択される。このとき、CIFあるいはQCIFのマクロブロックを作るのに必要なライン数のデータが、1ライン当たり16画素ずつラスタスキャン順に読み出されて間引きが行われ、その結果がRAM108に格納される。
【0062】
このとき、間引かれる画素に対してクロック信号に対応したライトイネーブル信号が非活性となり、これによってRAM108は、間引き後のデータのみを格納することになる。以上の処理は、ライン数を輝度信号、色差信号共に480個から288個に間引くことに対応する。
【0063】
次に、垂直方向フィルタ回路107が図4の第2の垂直方向フィルタ回路404の役割をすべく、垂直方向フィルタ回路107への入力データとして、第2のマルチプレクサ106によりRAM108からの出力データが選択される。これにより、その直前(1回目)にライン数変換処理されたデータが読み出されて間引きが行われ、その結果がRAM108に再び格納される。
【0064】
このとき、間引かれる画素に対してクロック信号に対応したライトイネーブル信号が非活性となり、これによってRAM108は、間引き後のデータのみを格納することになる。以上の処理は、ライン数を色差信号について288個から144個に間引くことに対応しており、輝度信号についてはバイパスとなる。もし、符号化処理を行う画面の大きさがCIFの場合は、この時点でライン数変換処理が完了し、フレームの大きさは、図2(c)および(g)のようになる。
【0065】
さらに、垂直方向フィルタ回路107が図4の第3の垂直方向フィルタ回路406の役割をすべく、垂直方向フィルタ回路107への入力データとして、第2のマルチプレクサ106によりRAM108からの出力データが選択される。これにより、その直前(2回目)にライン数変換処理されたデータが読み出されて間引きが行われ、その結果がRAM108に再び格納される。
【0066】
このとき、間引かれる画素に対してクロック信号に対応したライトイネーブル信号が非活性となり、これによってRAM108は、間引き後のデータのみを格納することになる。以上の処理は、ライン数を輝度信号については288個から144個に間引くことに対応し、輝度信号については144個から72個に間引くことに対応する。この時点でマクロブロック単位のQCIFによるビデオ信号が完成し、フレームの大きさは、図2(d)および(h)のようになる。
【0067】
上述のように、RAM108は、垂直方向フィルタ回路107より出力されるデータを格納すると同時に、垂直方向フィルタ回路107への入力にもなるので、2面用意している。すなわち、一方がリード状態の時はもう一方がライト状態となり、これが交互に切り替わるダブルバッファ構成となっている。
【0068】
符号化回路109は、ビデオ信号符号化装置全体として達成すべき符号化方式を実現するための回路であり、本実施形態ではH.261符号化回路となる。この符号化回路109は、RAM108より出力されるCIFあるいはQCIFになったビデオ信号を、ITU−H.261の手順に従って符号化する。
【0069】
以上のように、本実施形態では、入力段に設けた2つの水平方向フィルタ回路101,102によって、CIFあるいはQCIFとして最終的に必要な段階まで水平方向に対する画素の間引きをまず最初に行ってしまうようにしている。そして、その1画面分の間引き結果をフレームメモリ104に格納した後、リードアドレス発生回路105により発生されるアドレスに従って、符号化回路109での処理順序に応じた順序でフレームメモリ104から後段の回路にデータを読み出すようにしている。
【0070】
これにより、図1のフレームメモリ104は、第1のマルチプレクサ103からインターレースで書き込まれたデータをノンインターレースで読み出すようにするためのフレームメモリ(図4の第1のフレームメモリ401に相当)と、1画面のラスタスキャン順で書き込まれたデータをマクロブロックのラスタスキャン順で読み出すようにするためのフレームメモリ(図4の第2のフレームメモリ407に相当)とを兼用する役割を持つ。
【0071】
したがって、本実施形態では、図1のようにフレームメモリは1つだけ設ければ良く、従来のように2つ設けなくても済むようになる。ただし、本実施形態ではRAM108が新たに設けられているが、間引きがかなり進んだ後のデータを格納すれば良いので、そのメモリ容量は小さい。よって、フレームメモリ104の容量とRAM108の容量とを合わせても、図4に示した2つのフレームメモリ401,407の合計容量よりも小さくなり、装置の小型化を図れる。
【0072】
また、本実施形態では、第2のマルチプレクサ106と垂直方向フィルタ回路107とRAM108とでフィードバックループを構成し、1つの垂直方向フィルタ回路107に図4に示した3つの垂直方向フィルタ回路403,404,406の役割を持たせるようにしている。これにより、従来は3つ必要であった垂直方向フィルタ回路が本実施形態によれば1つで済むようになる。
【0073】
ここで、図1の水平方向フィルタ回路101,102および垂直方向フィルタ回路107は、何れも図5に示すような構成のものである。したがって、垂直方向フィルタ回路の数が減った分だけ、コスト面や回路規模等の面でデメリットの大きいディレイラインや乗算器の数を格段に減らすことができる。
【0074】
しかも、本実施形態では、垂直方向フィルタ回路107よりも前段でリードアドレス発生回路105によってマクロブロック単位のラスタスキャン順となるようにデータが読み出されているので、垂直方向フィルタ回路107の中のディレイラインは、従来のようにフレーム単位での1ライン中の画素数分のレジスタに相当するものではなく、マクロブロック単位での1ライン中の画素数分のレジスタに相当する。すなわち、輝度信号の場合は16個、色差信号の場合は8個のレジスタで良く、従来の704個に比べて格段に少なくて済む。
【0075】
なお、図1の例では第2のマルチプレクサ106と垂直方向フィルタ回路107とRAM108とでフィードバックループを構成しているが、従来例と同様に3つの垂直方向フィルタ回路を直列接続するようにしても良い(ただし、輝度信号を処理するか色差信号を処理するかによって、あるいはCIFであるかQCIFであるかによって、処理が不要な垂直方向フィルタ回路は間引きは行わずバイパスさせる)。この場合は、フィルタ回路の数は従来と変わらないが、フレームメモリが1つで良く、また垂直方向フィルタ回路内のディレイラインのサイズが小さくて良い分、従来よりも回路規模を小さくすることができる。
【0076】
また、図1の例では、垂直方向フィルタ回路107よりも前にリードアドレス発生回路105を設け、マクロブロック単位のラスタスキャン順に読み出したデータを垂直方向フィルタ回路107に入力するようにしているが、従来例と同様に、符号化回路109の前段にもフレームメモリを設け、ここからマクロブロック単位のラスタスキャン順にデータを読み出すようにしても良い。この場合は、フレームメモリの数は従来と変わらないが、垂直方向フィルタ回路が1つで良い分、従来よりも回路規模を小さくすることができる。
【0077】
また、図1の例では垂直方向フィルタ回路107をフィードバックループの中で繰り返し用いるようにしたが、水平方向フィルタ回路あるいは、水平方向フィルタ回路と垂直方向フィルタ回路との両方をフィードバックループの中で繰り返し用いるようにしても良い。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、上記標準テレビジョン方式のビデオ信号の入力段に設けられ、CIFとして最終的に必要な段階まで水平方向の画素数の間引きを行う第1の水平方向間引き手段と、第1の水平方向間引き手段での間引き後のデータに対して、QCIFとして最終的に必要な段階まで水平方向の画素数の間引きを行う第2の水平方向間引き手段と、CIFに変換するか、QCIFに変換するかに応じて、第1の水平間引き手段での間引き後のデータ又は第2の水平間引き手段での間引き後のデータを選択する選択手段と、選択手段により選択された間引き後のデータを格納するフレームメモリと、フレームメモリからノンインターレース方式で、かつ、前記符号化の処理単位であるマクロブロックに後段の垂直方向間引き手段で間引くライン数を加えたものごとにデータを読み出すためのアドレスを発生する読み出し制御手段とを有するので、標準テレビジョン方式のビデオ信号を、CIF又はQCIFの所望の共通フォーマットに変換することができる。また、インターレースで書き込まれたビデオ信号をノンインターレースで読み出すようにするためと、フレーム単位のラスタスキャン順に書き込まれたビデオ信号を符号化回路での処理単位のラスタスキャン順で読み出すようにするための両者の役割を本発明のフレームメモリに持たせるようにすることができ、1つのフレームメモリだけで共通フォーマットへの変換を実現することができる。
【0079】
しかも、上記フレームメモリの後段の垂直方向間引き手段では、上述のように符号化の処理順序に応じた順序で処理単位ごとに読み出されたビデオ信号に対してライン数の間引きが行われるので、垂直方向間引き手段の内部に備えられるディレイラインのサイズを、フレーム単位より小さい符号化回路の処理単位での1ライン中の画素数分で済むようにすることができる。
したがって、本発明によれば、2つのフレームメモリを用いており、垂直方向間引き手段内のディレイラインのサイズがフレーム単位での1ライン中の画素数分であった従来例よりもビデオ信号符号化装置の回路規模を小さくすることができる。
【0080】
また、本発明の他の特徴によれば、1個の垂直方向間引き手段とその結果を格納する一時記憶メモリとでフィードバックループを構成し、上記1個の垂直方向間引き手段を繰り返し用いて共通フォーマットとして最終的に必要な段階まで垂直方向のライン数の間引きを行うようにしたので、垂直方向間引き手段を複数個設けることなく共通フォーマットへの変換を実現することができ、複数個の垂直方向間引き手段を使って共通フォーマットへの変換を行っていた従来例よりもビデオ信号符号化装置の回路規模を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるビデオ信号符号化装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態によるビデオ信号符号化装置の動作を説明するための図である。
【図3】従来のビデオ信号符号化装置の動作を説明するための図である。
【図4】従来のビデオ信号符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図5】水平方向フィルタ回路および垂直方向フィルタ回路の構成を示す図である。
【符号の説明】
101,102 水平方向フィルタ回路
103,106 マルチプレクサ
104 フレームメモリ
105 リードアドレス発生回路
107 垂直方向フィルタ回路
108 RAM
109 符号化回路
501,502 レジスタ
503,504,505 乗算器
506 加算器
507,508 ディレイライン
Claims (2)
- 標準テレビジョン方式のビデオ信号を、水平方向の画素数および垂直方向のライン数を間引いて共通フォーマットであるCIF又はQCIFに変換した後で符号化するビデオ信号符号化装置において、
上記標準テレビジョン方式のビデオ信号の入力段に設けられ、CIFとして最終的に必要な段階まで水平方向の画素数の間引きを行う第1の水平方向間引き手段と、
上記第1の水平方向間引き手段での間引き後のデータに対して、QCIFとして最終的に必要な段階まで水平方向の画素数の間引きを行う第2の水平方向間引き手段と、
CIFに変換するか、QCIFに変換するかに応じて、上記第1の水平間引き手段での間引き後のデータ又は上記第2の水平間引き手段での間引き後のデータを選択する選択手段と、
上記選択手段により選択された間引き後のデータを格納するフレームメモリと、
上記フレームメモリからノンインターレース方式で、かつ、前記符号化の処理単位であるマクロブロックに後段の垂直方向間引き手段で間引くライン数を加えたものごとにデータを読み出すためのアドレスを発生する読み出し制御手段と、
上記フレームメモリから読み出されたビデオ信号に対して、CIF又はQCIFとして最終的に必要な段階まで垂直方向のライン数の間引きを行う垂直方向間引き手段とを備えたことを特徴とするビデオ信号符号化装置。 - 上記垂直方向間引き手段は、上記フレームメモリから読み出されたビデオ信号に対して垂直方向のライン数の間引きを行う1個の垂直方向間引き手段と、上記垂直方向間引き手段によりライン数の間引かれたビデオ信号を一時格納する一時記憶メモリとにより構成され、上記垂直方向間引き手段と上記一時記憶メモリとでフィードバックループを構成し、上記1個の垂直方向間引き手段を繰り返し用いてCIF又はQCIFとして最終的に必要な段階まで垂直方向のライン数の間引きを行う構成としたことを特徴とする請求項1に記載のビデオ信号符号化装置。
Priority Applications (1)
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Family
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Family Applications (1)
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JP22050596A Expired - Lifetime JP4109328B2 (ja) | 1996-08-02 | 1996-08-02 | ビデオ信号符号化装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP4109328B2 (ja) |
-
1996
- 1996-08-02 JP JP22050596A patent/JP4109328B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH1051772A (ja) | 1998-02-20 |
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