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JP4108257B2 - 交流発電機 - Google Patents

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JP4108257B2
JP4108257B2 JP2000222077A JP2000222077A JP4108257B2 JP 4108257 B2 JP4108257 B2 JP 4108257B2 JP 2000222077 A JP2000222077 A JP 2000222077A JP 2000222077 A JP2000222077 A JP 2000222077A JP 4108257 B2 JP4108257 B2 JP 4108257B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関により駆動される交流発電機に関し、特に乗用車やトラック等に搭載可能な車両用交流発電機の固定子巻線の結線構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、交流発電機において、小型高出力および品質の向上が益々求められてきている。小型高出力を実現するには、磁気装荷と電気装荷との分配を如何に最適に、かつ、限られた容積の中で如何に高密度に、構成するかが重要となる。
例えば、車両用交流発電機においては、車両エンジンルームが益々狭小化する中で、搭載スペースに余裕がなくなってきている一方で、車両負荷の増大による発電出力の向上が求められている。また、車内外共に、騒音低減のニーズが高く、エンジン騒音が低下してきているが、車両への電気負荷供給のため常時発電稼働している車両用交流発電機の騒音が問題とされている。さらに、車両用交流発電機は、常時発電稼働しているので、出力電流のジュール熱のため、その発熱量が多く、曝される熱的環境は厳しく、極めて高い耐熱性が求められている。
【0003】
特に、交流発電機の小型高出力については、固定子巻線の巻線抵抗値の低減、固定子の磁気回路内に納める電気導体の占積率の向上、さらには固定子巻線の渡り部(固定子鉄心外の渡り部をコイルエンドと呼ぶ)の整列化および高密度化が必要であり、これに加えて、上記のような低騒音、耐熱環境性等の要求に応える必要がある。
そして、固定子巻線の素線として断面積の大きい短尺の導体線を略U字状に成形してなる導体セグメントを用いて、巻線抵抗値(熱損失)の低減、電気導体の占積率向上、あるいは、コイルエンドの整列化および高密度化を図る構造が、日本国特許第2927288号などに提案されている。
【0004】
また、この種の交流発電機においては、電気磁気的な騒音の低減や高品質の電力供給の要望があり、毎極毎相当たりのスロット数を増やす、即ち複数組の3相交流巻線を構成する傾向にあり、3相交流結線用のリード線の本数が増加してしまうことになる。そして、3相交流巻線を形成する際には、巻線から延出するリード線を引き回し、かつ、曲げて結線する結線作業が必要となり、この煩雑な結線作業負荷を低減することが望まれていた。しかしながら、上述の日本国特許第2927288号では、この結線作業負荷の低減について、何ら考慮されていなかった。
そこで、本出願人は、中継用導通部材を用い、固定子巻線の結線作業時におけるリード線の引き回しや曲げ作業を軽減して結線作業負荷の低減を図る固定子巻線のリード線結線構造を特願2000−011704号に提案している。
【0005】
図11は特願2000−011704号に提案されている先行技術としての車両用交流発電機を示す断面図、図12は先行技術の車両用交流発電機における固定子を示す斜視図、図13は先行技術の車両用交流発電機における固定子巻線の1相分の結線状態を説明するリヤ側端面図、図14は先行技術の車両用交流発電機の固定子における3相交流結線用ターミナルアッセンブリを示す斜視図、図15は先行技術の車両用交流発電機における固定子巻線と整流器との結線方法を説明する図、図16は先行技術の車両用交流発電機における回路図である。
【0006】
図11において、車両用交流発電機は、ランドル型の回転子7がアルミニウム製のフロントブラケット1およびリヤブラケット2から構成されたケース3内にシャフト6を介して回転自在に装着され、固定子8が回転子7の外周側を覆うようにケース3の内壁面に固着されて構成されている。
シャフト6は、フロントブラケット1およびリヤブラケット2に回転可能に支持されている。このシャフト6の一端にはプーリ4が固着され、エンジンの回転トルクをベルト(図示せず)を介してシャフト6に伝達できるようになっている。回転子7に電流を供給するスリップリング9がシャフト6の他端部に固着され、一対のブラシ10がこのスリップリング9に摺接するようにケース3内に配設されたブラシホルダ11に収納されている。固定子8で生じた交流電圧の大きさを調整するレギュレータ18がブラシホルダ11に嵌着されたヒートシク17に接着されている。固定子8に電気的に接続され、固定子8で生じた交流を直流に整流する整流器12がケース3内に装着されている。
【0007】
回転子7は、電流を流して磁束を発生する回転子コイル13と、この回転子コイル13を覆うように設けられ、回転子コイル13で発生された磁束によって磁極が形成される一対のポールコア20、21とから構成される。一対のポールコア20、21は、鉄製で、それぞれ8つの爪形状の爪状磁極22、23が外周縁に周方向に等角ピッチで突設され、爪状磁極22、23をかみ合わせるように対向してシャフト6に固着されている。さらに、ファン5が回転子7の軸方向の両端に固着されている。
また、吸気孔1a、2aがフロントブラケット1およびリヤブラケット2の軸方向の端面に設けられ、排気孔1b、2bがフロントブラケット1およびリヤブラケット2の外周両肩部に固定子巻線16のフロント側およびリヤ側のコイルエンド群16f、16rの径方向外側に対向して設けられている。
【0008】
固定子8は、図12に示されるように、軸方向に延びるスロット15aが周方向に所定ピッチで複数形成された円筒状の積層鉄心から成る固定子鉄心15と、固定子鉄心15に巻装された固定子巻線16と、各スロット15a内に装着されて固定子巻線16と固定子鉄心15とを電気的に絶縁するインシュレータ19とを備えている。そして、固定子巻線16は、1本の素線30が、固定子鉄心15の端面側のスロット15a外で折り返されて、6スロット(1磁極ピッチ)毎にスロット15a内でスロット深さ方向に内層と外層とを交互に採るように波巻きされて巻装された24本の巻線を備えている。ここでは、固定子鉄心15には、回転子7の磁極数(16)に対応して、3相交流巻線を2組収容するように、96本のスロット15aが等間隔に形成されている。また、素線30には、例えば絶縁被膜が被覆された長方形の断面を有する長尺の銅線材が用いられる。
【0009】
つぎに、a相の固定子巻線群161の巻線構造について図13を参照して具体的に説明する。
a相の固定子巻線群161は、それぞれ1本の素線30からなる第1乃至第4の巻線31〜34から構成されている。そして、第1巻線31は、1本の素線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の内周側から1番目の位置(以下、1番地という)と内周側から2番目の位置(以下、2番地という)とを交互に採るように波巻きし、その巻線端同士を接合して1ターンの波巻き巻線に構成されている。第2巻線32は、素線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の2番地と1番地とを交互に採るように波巻きし、その巻線端同士を接合して1ターンの波巻き巻線に構成されている。第3巻線33は、素線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の内周側から3番目の位置(以下、3番地という)と内周側から4番目の位置(以下、4番地という)とを交互に採るように波巻きし、その巻線端同士を接合して1ターンの波巻き巻線に構成されている。第4巻線34は、素線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の4番地と3番地とを交互に採るように波巻きし、その巻線端同士を接合して1ターンの波巻き巻線に構成されている。そして、各スロット15a内には、素線30が長方形断面の長手方向を径方向に揃えて径方向に1列に4本並んで配列されている。
【0010】
ついで、スロット番号の61番と67番とから固定子鉄心15の一端側に延出する第1および第3巻線31、33の素線30の部分が切断され、スロット番号の55番と61番とから固定子鉄心15の一端側に延出する第2および第4巻線32、34の素線30の部分が切断される。そして、第1巻線31の切断端31bと第3巻線33の切断端33aとが接合され、第2巻線32の切断端32bと第4巻線34の切断端34aとが接合され、さらに第1巻線31の切断端31aおよび第2巻線32aとが接合されて、第1乃至第4巻線31〜34が直列接続されてなる4ターンのa相の固定子巻線群161が構成される。
なお、第3および第4巻線33、34の切断端33b、34bがそれぞれa相の交流出力接続リード線(Oa)および中性点接続リード線(Na)となる。
同様にして、素線30が巻装されるスロット15aを1つづつずらして6相分の固定子巻線群161が形成されている。
【0011】
ここで、固定子巻線16を構成する2組の3相交流巻線は、図12に示されるように、2つの3相交流結線用ターミナルアッセンブリ100を用いて24本の巻線を交流結線して構成されている。3相交流結線用ターミナルアッセンブリ100は、図14に示されるように、中性点中継用導通部材101と、3つの渡り結線中継用導通部材102とを絶縁性樹脂103により一体に形成されている。中性点中継用導通部材101は、矩形断面を有する銅などの金属棒を折り曲げ加工して作製され、3つの接合片101aと1つの中性点引き出しリード線101bとが設けられている。一方、各渡り結線中継用導通部材102は、矩形断面を有する銅などの金属棒を両端に接合片102aを有するようにコ字状に折り曲げて作製されている。
【0012】
そして、各相の第1巻線31の切断端31bと第3巻線33の切断端33aとがアーク溶接等により接合され、第2巻線32の切断端32bと第4巻線34の切断端34aとがアーク溶接などにより接合された後、3相交流結線用ターミナルアッセンブリ100がコイルエンド群16r上に配置される。ついで、各相の第1巻線31の切断端31aおよび第2巻線32の切断端32aが引き回され、かつ、折り曲げられて渡り結線中継用導通部材102の各接合片102aに密接され、アーク溶接等により接合される。これにより、第1乃至第4巻線31〜34からなるa相、b相、c相、a’相、b’相およびc’相の固定子巻線161が形成される。同様に、各相の第4巻線34の切断端34bが引き回され、かつ、曲げられて中性点中継用導通部材101の接合片101aにそれぞれ密接され、アーク溶接等により接合される。これにより、a相、b相およびc相の固定子巻線161が交流結線された3相交流巻線と、a’相、b’相およびc’相の固定子巻線161が交流結線された3相交流巻線とが構成される。ここで、第1巻線31の切断端31aおよび第2巻線32の切断端32aが渡り結線用リード線に相当している。
【0013】
このように構成された固定子8においては、図12に示されるように、2組の3相交流結線用ターミナルアッセンブリ100が固定子鉄心15に巻装された固定子巻線16のコイルエンド群16r上に近接して配設され、固定子巻線16を構成する2組の3相交流巻線の交流出力接続リード線(Oa、Ob、Oc、Oa’、Ob’、Oc’)および中性点接続リード線101b(Nabc、Na’b’c’)が固定子巻線16のコイルエンド群16rから軸方向に延出されている。
【0014】
そして、金属接続金具104が、図15に示されるように、軸方向外方に引き出された交流出力接続リード線(Oa)の先端に固着され、その後径方向に曲げられて整流器12に結線される。同様に、金属接続金具104が軸方向に引き出された他の交流出力接続リード線(Ob、Oc、Oa’、Ob’、Oc’)および中性点接続リード線101b(Nabc、Na’b’c’)の先端に固着され、その後径方向内方に曲げられて整流器12に結線される。これにより、3相の固定子巻線群161を交流結線してなる2組の3相交流巻線160が、図16に示されるように、それぞれ整流器12に接続された回路を構成している。そして、各整流器12の直流出力は並列に接続されて合成されて出力される。また、各3相交流巻線160の中性点がダイオード29を介して整流器12の直流出力端子に接続されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
この先行技術の車両用交流発電機は、以上のように、3相交流結線用ターミナルアッセンブリ100が固定子巻線16のコイルエンド群16rに近接して配設されているので、ファン5による冷却風の通路を構成しているコイルエンド群16rと整流器12との間のスペースに3相交流結線用ターミナルアッセンブリ100が存在してしまい、通風抵抗を増大させてしまっていた。この通風抵抗の増大は冷却風の全体風量の低減をもたらし、整流器12や固定子巻線16を効率的に冷却できなくなり、整流器12や固定子巻線16の温度上昇を抑えられなかった。そして、固定子巻線16が高温となることは、高出力化を妨げる結果となる。また、冷却風の風量が同じ場合、コイルエンド群16rと整流器12との間のスペースに存在する3相交流結線用ターミナルアッセンブリ100により風騒音が増大してしまっていた。
また、先行技術による交流発電機においては、3相交流巻線160の交流出力接続リード線(Oa、Ob、Oc、Oa’、Ob’、Oc’)および中性点接続リード線(Nabc、Na’b’c’)を整流器12に直接結線するようにしているので、交流出力接続リード線および中性点接続リード線の先端に金属接続金具104を固着し、各リード線を径方向内方に折り曲げ、該金属接続金具104を整流器12に結線しなければならず、結線作業負荷が増大してしまっていた。また、3相交流結線用ターミナルアッセンブリ100がコイルエンド群16rに近接して配設されているので、中性点中継用導通部材101および渡り結線中継用導通部材102と中性点用リード線および渡り結線用リード線との結線スペースが狭くなり、結線作業性が悪化していた。さらに、中性点用リード線および渡り結線用リード線を引き回しつつ折り曲げて中性点中継用導通部材101および渡り結線中継用導通部材102に結線しているので、結線作業性の悪化をもたらしていた。
【0016】
この発明は、本出願人が先に提案した先行技術の改良にかかるもので、中継用導通部材をファンの軸方向端面に対してリヤ側に位置して固定子巻線のコイルエンド群の頂部と相対するように配設し、通風抵抗を低減して、整流器や固定子巻線の冷却性を向上させるとともに、交流結線作業性を向上させることができ、小型、高出力を兼ね備えた交流発電機を得ることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る交流発電機は、軸方向に延びるスロットが周方向に複数設けられた筒状の固定子鉄心およびこの固定子鉄心の上記スロットに巻装された固定子巻線を有する固定子と、上記固定子鉄心に囲繞されるように配設された回転子と、この回転子に装着されたファンと、整流器とを備え、上記固定子巻線が、電気角で120度の位相差のある3相の固定子巻線群を交流結線してなるn組(n:自然数)の3相交流巻線で構成された交流発電機において、素線を3n個のスロット毎にスロット内でスロット深さ方向に内層と外層とを交互にとるように波状に巻装して構成された1ターンの第1巻線が1スロットピッチで3n本配列されてなる第1波巻き巻線群と、上記素線を3n個のスロット毎に上記スロット内でスロット深さ方向に内層と外層とを交互にとるように波状に、かつ、上記第1巻線に対して電気角で180度ずらして反転するように巻装して構成された1ターンの第2巻線が1スロットピッチで3n本配列されてなる第2波巻き巻線群とが、それぞれの上記スロット内にスロット深さ方向に上記第1巻線のスロット収納部位と上記第2巻線のスロット収納部位とを交互に、かつ、1列に並ぶようにm対(m:自然数)配設され、各組の上記3相交流巻線は、上記第1および第2巻線から延出された複数のリード線が中継用導通部材を介して結線され、それぞれ3n個のスロット毎のスロットで構成される同一スロット群に巻装されている上記第1および第2巻線からなる3本の上記固定子巻線群を交流結線して構成され、上記中継用導電部材は、上記固定子巻線のコイルエンド群の頂部と相対し、かつ、離間するように配設され、上記複数のリード線は上記第1および第2巻線間の渡り結線用リード線であり、かつ、上記中継用導通部材は渡り結線中継用導通部材であり、上記渡り結線用リードが上記渡り結線中継用導通部材に接合され、上記第1および第2巻線間が渡り結線されているものである。
【0018】
また、上記ファンは上記回転子の少なくとも一方の端部に固着され、上記整流器は上記回転子のファン固着側に配設され、上記中継用導電部材は、上記ファンの軸方向端面に対して、反回転子側に配設され、上記複数のリード線は上記3相交流巻線の交流出力用リード線であり、かつ、上記中継用導通部材は交流出力接続端子が径方向内方に延出された交流出力中継用導通部材であり、上記交流出力用リード線が上記交流出力中継用導通部材に接合され、上記交流出力接続端子を介して上記整流器に接続されているものである。
【0019】
また、上記複数のリード線は上記固定子巻線群の中性点用リード線であり、上記中継用導通部材は中性点中継用導通部材であり、各相の中性点用リード線が上記中性点中継用導通部材に接合されて一体化されているものである。
【0020】
また、上記中性点中継用導通部材は中性点接続端子が径方向内方に延出されており、上記中性点接続端子が上記整流器に接続されているものである。
【0022】
また、上記複数のリード線はそれぞれ上記第1および第2巻線から軸方向に、互いに平行に延出し、上記固定子鉄心の端面から略同一の所定高さ位置で上記中継用導通部材に接合されているものである。
【0023】
また、上記中継用導通部材が絶縁性樹脂により一体化されているものである。
【0024】
また、上記固定子は、上記固定子巻線のコイルエンド群が径方向に関して上記ファンとラップしないように配設されているものである。
【0025】
また、上記中継用導通部材の径方向幅が上記固定子巻線のコイルエンド群の径方向幅以下に形成されているものである。
【0026】
また、上記素線は、連続導体線であり、上記第1および第2巻線は、それぞれ、1本の上記連続導体線で1ターンの波巻き巻線に構成されているものである。
【0027】
また、上記第1および第2波巻き巻線群の各対がそれぞれ複数の上記第1および第2巻線を集合した巻線アッセンブリで構成されているものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機の構成を示す断面図、図2はこの車両用交流発電機に適用される固定子巻線を構成する素線の要部を示す斜視図、図3はこの車両用交流発電機に適用される固定子巻線を構成する素線の配列を説明する図、図4はこの車両用交流発電機に適用される固定子巻線を構成する巻線アッセンブリを示す図であり、図4の(a)はその端面図、図4の(b)はその平面図である。図5はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機における固定子巻線の1相分の結線状態を説明するリヤ側端面図、図6はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機における固定子巻線の3相分の結線状態を説明するリヤ側端面図、図7はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機に適用される固定子を示す斜視図、図8および図9はそれぞれこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機に適用される整流器を示す斜視図および正面図、図10はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機における固定子の整流器への取り付けを説明する斜視図である。
【0029】
図1において、固定子8は、固定子巻線16のコイルエンド群16f、16rを含む軸方向長さが回転子7の軸方向長さ以下に構成され、コイルエンド群16f、16rが径方向に関してファン5とラップしないように配設されている。また、固定子巻線16が3相交流結線用ターミナルアッセンブリ60により交流結線され、3相交流結線用ターミナルアッセンブリ60がファン5の軸方向端面に対してリヤ側に位置して固定子巻線16のコイルエンド群16rの頂部と相対するように配設されている。
なお、他の構成は図11に示される先行技術と同様に構成されている。
【0030】
この実施の形態1によれば、3相交流結線用ターミナルアッセンブリ60がファン5の軸方向端面に対してリヤ側に位置して固定子巻線16のコイルエンド群16rの頂部と相対するように配設されているので、3相交流結線用ターミナルアッセンブリ60はファン5による冷却風の通路を構成しているコイルエンド群16rと整流器12との間のスペースに存在していない。そこで、コイルエンド群16rと整流器12との間のスペースにおける通風抵抗が低減し、冷却風の全体風量が増大される。その結果、整流器12や固定子巻線16を効率的に冷却できるようになり、整流器12や固定子巻線16の温度上昇が抑えられ、高出力化を実現できる。また、冷却風の風量が同じ場合、3相交流結線用ターミナルアッセンブリ100が該スペースに存在している先行技術の車両用交流発電機に比べて風騒音を低減できる。
また、固定子8は、コイルエンド群16f、16rが径方向に関してファン5とラップしないように配設されているので、コイルエンド群16rと整流器12との間のスペースにおける通風抵抗がさらに低減し、上述の効果が一層高められる。
【0031】
以下、各構成要素について具体的に説明する。
まず、固定子巻線16の巻線構造について図2乃至図4を参照しつつ説明する。
素線30は、絶縁被膜49が被覆された長方形の断面を有する1本の銅連続線が用いられる。この素線30は、図2に示されるように、ターン部30aで連結されたスロット収納部位としての直線部30bが6スロットピッチ(6P)で配列された平面状パターンに折り曲げ形成されている。そして、隣り合う直線部30bが、ターン部30aにより、素線30の幅(W)分ずらされている。
このようなパターンに形成された2本の素線30は、図3に示されるように、6スロットピッチずらして直線部30bを重ねて配列されて素線対を構成している。この素線対が、後述する第1および第2巻線31、32(第3および第4巻線33、34)に相当している。また、この素線対は、一方の素線30が他方の素線30に対して電気角で180度ずれて反転するように構成されている。
この素線対が、1スロットピッチづつずらして6対配列されて図4に示される巻線アッセンブリ39を構成している。そして、素線30の端部が素線アッセンブリ39の両端の両側に6本づつ延出されている。また、ターン部30aが巻線アッセンブリ39の両側部に整列されて配列されている。なお、図4では、後述する各リード線が省略されている。
このように構成された巻線アッセンブリ39を2層に重ねて固定子鉄心15のスロット15aに巻装することで、結線前の固定子が得られることになる。そして、巻線アッセンブリ39の両端に延出している各素線30の端部同士を溶接し、固定子鉄心15に巻装された24本の1ターンの波巻き巻線が得られる。
【0032】
つぎに、1相分(a相)の固定子巻線群161の巻線構造について図5を参照しつつ説明する。なお、図5中実線はリヤ側の巻線を、点線はフロント側の巻線を示している。
a相の固定子巻線群161は、それぞれ1本の素線30からなる第1乃至第4の巻線31〜34から構成されている。そして、第1巻線31は、1本の素線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の1番地と2番地とを交互に採るように波巻きし、その巻線端同士を接合して1ターンの波巻き巻線に構成されている。第2巻線32は、素線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の2番地と1番地とを交互に採るように波巻きし、その巻線端同士を接合して1ターンの波巻き巻線に構成されている。第3巻線33は、素線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の3番地と4番地とを交互に採るように波巻きし、その巻線端同士を接合して1ターンの波巻き巻線に構成されている。第4巻線34は、素線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の4番地と3番地とを交互に採るように波巻きし、その巻線端同士を接合して1ターンの波巻き巻線に構成されている。そして、各スロット15a内には、素線30が長方形断面の長手方向を径方向に揃えて径方向に1列に4本並んで配列されている。
【0033】
ついで、スロット番号の55番と61番とから固定子鉄心15の一端側に延出する第2および第4巻線32、34の素線30の部分が切断され、スロット番号の61番と67番とから固定子鉄心15の一端側に延出する第1および第3巻線31、33の素線30の部分が切断される。そして、第1巻線31の切断端31bと第3巻線33の切断端33aとがアーク溶接等により接合され、第2巻線32の切断端32bと第4巻線34の切断端34aとがアーク溶接等により接合され、さらに第3巻線33の切断端33bと第4巻線34の巻線端34bとがアーク溶接等により接合されて、第1乃至第4巻線31〜34が直列接続されてなる4ターンのa相の固定子巻線161が形成される。
なお、第1および第2巻線31、32の切断端31a、32aがそれぞれa相の中性点用リード線(Na)および交流出力用リード線(Oa)となる。また、第3および第4巻線33、34の切断端33b、34bがa相の渡り結線用リード線となる。
【0034】
同様にして、素線30が巻装されるスロット15aを1つづつずらして6相分の固定子巻線群161が形成されている。なお、図6は、3相(a相、b相、c相)分の固定子巻線群161の結線状態を示している。
【0035】
ここで、第1乃至第4巻線31〜34を構成するそれぞれの素線30は、1つのスロット15aから固定子鉄心15の端面側に延出し、折り返されて6スロット離れたスロット15aに入るように波巻きに巻装されている。そして、それぞれの素線30は、6スロット毎に、スロット内で、スロット深さ方向(径方向)に関して、内層と外層とを交互に採るように巻装されている。
また、固定子鉄心15の端面側に延出して折り返された素線30のターン部30aがコイルエンドを構成している。そこで、固定子鉄心15の両端において、ほぼ同一形状に形成されたターン部30aが周方向に、かつ、径方向に互いに離間して、2列となって周方向に整然と配列されてコイルエンド群16f、16rを構成している。
【0036】
ついで、3相交流結線用ターミナルアッセンブリ60の構成について図7を参照しつつ説明する。
3相交流結線用ターミナルアッセンブリ60は、中性点中継用導通部材61と、3つの交流出力中継用導通部材62と、3つの渡り結線中継用導通部材63とを絶縁性樹脂64により一体に形成されている。中性点中継用導通部材61は、銅などの金属板をプレス加工して作製され、3つの接合片61aと1つの中性点接続端子61bとが設けられている。各交流出力中継用導通部材62は、銅などの金属板をプレス加工して作製され、1つの接合片62aと1つの交流出力接続端子62bとが設けられている。また、各渡り結線中継用導通部材63は、銅などの金属板をプレス加工して作製され、2つの接合片63aが設けられている。そして、3つの交流出力中継用導体62が中性点中継用導通部材61の接合片61a間を連結する連結部61cの内径側に周方向に並んで配置され、3つの渡り結線中継用導通部材63が連結部61cの外径側に周方向に並んで配置されている。また、中性点中継用導通部材61、交流出力中継用導通部材62および渡り結線中継用導通部材63は同一面位置に配置され、中性点接続端子61bおよび交流出力接続端子62bは径方向内方に延出している。また、3相交流結線用ターミナルアッセンブリ60の中継用導通部材61、62、63の径方向配列幅Dは、コイルエンド群16rの径方向幅以下に構成されている。
【0037】
つぎに、整流器12の構成について図8および図9を参照しつつ説明する。
整流器12は、円弧状の一対のヒートシンク120、121が主面を同一面位置として同軸に配置され、円弧状のサーキットボード122がヒートシンク120、121の主面側に積層されて構成されている。そして、ダイオード29がヒートシンク120、121の主面上に8個づつ固着されている。サーキットボード122には、8つの接続端子122aが設けられ、各接続端子122aはヒートシンク120の主面上に配設されたダイオード29とヒートシンク121の主面上に配設されたダイオード29との対を接続しているとともに、ねじ穴122bが設けられている。
【0038】
ここで、固定子8の組立について説明する。
まず、2つの巻線アッセンブリ39が2層に重ねられて直方体の固定子鉄心(図示せず)のスロットに装着される。そして、直方体の固定子鉄心を丸め、その両端を当接させて溶接一体化し、円筒状の固定子鉄心15を作製する。
ついで、巻線アッセンブリ39を構成する各素線30の端部同士を接合し、それぞれ1ターンを有する24本の第1乃至第4巻線31〜34が固定子鉄心15に巻装された固定子8を得る。そして、6スロット毎のスロットで構成される同一スロット群に巻装されている第1乃至第4巻線31〜34において、図5の結線方法に基づいて、第1および第3巻線31、33の切断端31b、33aを渡り結線し、第2および第4巻線32、34の切断端32b、34aを渡り結線する。また、第1乃至第4巻線の切断端31a、32a、33b、34bを軸方向に互いに平行に延出させる。この時、第1乃至第4巻線の切断端31a、32a、33b、34bは固定子鉄心15の端面からほぼ同等の高さ位置まで延出されている。
【0039】
つぎに、3相交流結線用ターミナルアッセンブリ60をコイルエンド群16rの頂部に対向させて配置する。この時、各相の第1乃至第4巻線の切断端31a、32a、33b、34bの先端がそれぞれ中性点中継用導通部材61の接合片61a、交流出力中継用導通部材62の接合片62aおよび渡り結線中継用導通部材63の2つの接合片63aに突き合わされている。そこで、各相の第3および第4巻線の切断端33b、34bと渡り結線中継用導通部材63の2つの接合片63aとを接合することにより、第1乃至第4巻線31〜34からなる4ターンの固定子巻線群161が構成される。また、各相の第1巻線の切断端31aと中性点中継用導通部材61の各接合片61aとを接合することにより、固定子巻線群161を星型結線してなる3相交流巻線160が構成される。さらに、各相の第2巻線の切断端32aと各交流出力用導通部材62の接合片62aとを接合することにより、3相交流巻線16の出力端子に交流出力接続端子62bが接続される。これにより、図7に示されるように、3相交流結線用ターミナルアッセンブリ60により交流結線された固定子巻線16を備えた固定子8が組み立てられる。
そして、このように組み立てられた固定子8はケース3に装着される。この時、固定子8と整流器12とは、図10に示されるように、3相交流結線用ターミナルアッセンブリ60とサーキットボード122とが対向する位置関係となっている。ついで、3相交流結線用ターミナルアッセンブリ60の中性点接続端子61bおよび交流出力接続端子62bを整流器12のサーキットボード122の接続端子122aに設けられたねじ穴122bにねじ38により締着固定されて整流器12に接続される。これにより、図16に示されるように、3相分の固定子巻線群161を星型結線して構成された2組の3相交流巻線160がそれぞれ整流器12に接続され、各整流器12の直流出力が並列に接続されて合成され回路構成が構成される。
【0040】
この実施の形態1によれば、3相交流巻線160の交流出力用リード線である第2巻線32の切断端32aが交流出力接続端子62bを有する交流出力中継用導通部材62の接合片62aに接合されているので、交流出力接続端子62bを整流器12のサーキットボード122の接続端子122aに接続することで、3相交流巻線160が整流器12に接続される。そこで、先行技術において必要であった交流出力用リード線に金属接続端子を固着し、該リード線を径方向内方に曲げるリード線処理が不要となり、結線作業性が向上される。
【0041】
また、3相分の固定子巻線群161の中性点用リード線である3本の第1巻線31の切断端31aが中性点中継用導通部材61の接合片61aに接合されて一体に結線されているので、従来必要であった3本の中性点用リード線を引き回して1箇所に集め、3本のリード線を捩って半田接合するリード線処理が不要となり、結線作業性が向上される。さらに、中性点接続端子61bが中性点中継用導通部材61に一体に形成されているので、先行技術において必要であった中性点用リード線に金属接続端子を固着し、該リード線を径方向内方に曲げるリード線処理が不要となり、結線作業性がさらに向上される。
【0042】
また、第3および第4巻線33、34間の渡り結線用リード線である切断端33b、34bが渡り結線中継用導通部材63の接合片63aに接合され、第3および第4巻線33、34間が渡り結線されているので、従来必要であった3本の渡り結線用リード線を引き回して1箇所に集め、3本のリード線を捩って半田接合するリード線処理が不要となり、結線作業性が向上される。
【0043】
また、中性点用リード線、交流出力用リード線および渡り結線用リード線がそれぞれコイルエンド群16rから軸方向に、互いに平行に延出し、固定子鉄心15の端面から略同一の所定高さ位置で各中継用導通部材61、62、63に接合されているので、接合作業性が向上される。
また、各中継用導通部材61、62、63が絶縁性樹脂64により一体化されているので、中継用導通部材61、62、63の取り扱いが容易となり、組立性が向上される。
また、各中継用導通部材61、62、63の径方向幅Dが固定子巻線16のコイルエンド群16rの径方向幅以下に形成されているので、回転子7と各中継用導通部材61、62、63との間のスペースが大きくなり、ファン5等の内蔵物の設計自由度が増大する。
【0044】
また、第1乃至第4巻線31〜34がそれぞれ1本の連続導体線で1ターンの波巻き巻線に構成されているので、短尺な銅線を略U字状に成形した導体セグメントを用いた従来例に比べて、接合箇所が著しく削減できる。そこで、生産性および歩留まりを向上させることができ、コイルエンドの高さが低くなり、かつ、コイルエンドの露出面積が大きくなり、高出力化および小型化が図られる。
また、波巻き巻線群の各対がそれぞれ1ターンの波巻き巻線を集合した巻線アッセンブリ39で構成されているので、固定子鉄心15への組み込み時における絶縁被膜49の損傷発生が抑えられ、絶縁性が確保されるとともに、ターン数の増加にも容易に対応できる。
【0045】
なお、上記実施の形態1では、長方形断面形状の銅線を素線に用いるものとして説明しているが、素線は長方形断面形状の銅線に限定されるものではなく、例えば円形断面形状の銅線でもよい。この構成により、素線の成形性が向上し、中継用導通部材への接続が容易となり、作業性がさらに向上する。さらに、素線は銅線に限定されるものではなく、例えばアルミ線でもよい。
また、上記実施の形態1では、連続線からなる素線30を用いるものとしているが、短尺の銅線を略U字状に成形してなる導体セグメントを素線に用いても、同様の効果を奏する。
また、上記実施の形態1では、車両用交流発電機の固定子巻線に適用するものとして説明しているが、本発明は他の交流発電機に適用しても、同様の効果を奏するものである。
また、上記実施の形態1では、ファン5として内扇ファンを用いるものとしているが、ファンとして外扇ファンを用いても、同様の効果が得られる。
また、上記実施の形態1では、中継用導通部材はリヤ側に配設されているものとして説明しているが、中継用導通部材をフロント側のファン対向面を塞ぐことなくフロント側に配設し、リヤ側には交流出力用リード線のみを導出させてもよい。この構成においても、固定子巻線と整流器との間の通風抵抗を抑制でき、またフロント側の固定子巻線の冷却性も阻害することがなく、同様の効果を得ることができる。
また、上記実施の形態1では、導体がスロット内で径方向に4層配設され、コイルエンドを2列のターン部で構成しているものとして説明しているが、導体をスロット内で径方向に6層配設し、3列のターン部でコイルエンドを構成してもよく、また導体をスロット内で径方向に8層配設し、4列のターン部でコイルエンドを構成してもよい。このように、導体数が多くなると接続箇所が増加するので、本発明の中継用導通部材を用いない場合には、通風抵抗の悪化や、作業性の悪化をもたらすことになる。即ち、本発明の中継用導通部材を用いることにより、かかる通風抵抗の悪化や作業性の悪化が抑制される。
【0046】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0047】
この発明によれば、軸方向に延びるスロットが周方向に複数設けられた筒状の固定子鉄心およびこの固定子鉄心の上記スロットに巻装された固定子巻線を有する固定子と、上記固定子鉄心に囲繞されるように配設された回転子と、この回転子に装着されたファンと、整流器とを備え、上記固定子巻線が、電気角で120度の位相差のある3相の固定子巻線群を交流結線してなるn組(n:自然数)の3相交流巻線で構成された交流発電機において、素線を3n個のスロット毎にスロット内でスロット深さ方向に内層と外層とを交互にとるように波状に巻装して構成された1ターンの第1巻線が1スロットピッチで3n本配列されてなる第1波巻き巻線群と、上記素線を3n個のスロット毎に上記スロット内でスロット深さ方向に内層と外層とを交互にとるように波状に、かつ、上記第1巻線に対して電気角で180度ずらして反転するように巻装して構成された1ターンの第2巻線が1スロットピッチで3n本配列されてなる第2波巻き巻線群とが、それぞれの上記スロット内にスロット深さ方向に上記第1巻線のスロット収納部位と上記第2巻線のスロット収納部位とを交互に、かつ、1列に並ぶようにm対(m:自然数)配設され、各組の上記3相交流巻線は、上記第1および第2巻線から延出された複数のリード線が中継用導通部材を介して結線され、それぞれ3n個のスロット毎のスロットで構成される同一スロット群に巻装されている上記第1および第2巻線からなる3本の上記固定子巻線群を交流結線して構成され、上記中継用導電部材は、上記固定子巻線のコイルエンド群の頂部と相対し、かつ、離間するように配設され、上記複数のリード線は上記第1および第2巻線間の渡り結線用リード線であり、かつ、上記中継用導通部材は渡り結線中継用導通部材であり、上記渡り結線用リードが上記渡り結線中継用導通部材に接合され、上記第1および第2巻線間が渡り結線されている。これにより、固定子巻線頂部の通風抵抗が低減され、固定子巻線の冷却性を向上させるとともに、交流結線作業性を向上させることができ、小型、高出力を兼ね備えた交流発電機を得ることができる。さらに、複数本の渡り結線用リード線を引き回して1箇所に集め、それらのリード線を捩って半田接合するリード線処理が不要となり、結線作業性が向上される。
【0048】
また、上記ファンは上記回転子の少なくとも一方の端部に固着され、上記整流器は上記回転子のファン固着側に配設され、上記中継用導電部材は、上記ファンの軸方向端面に対して、反回転子側に配設され、上記複数のリード線は上記3相交流巻線の交流出力用リード線であり、かつ、上記中継用導通部材は交流出力接続端子が径方向内方に延出された交流出力中継用導通部材であり、上記交流出力用リード線が上記交流出力中継用導通部材に接合され、上記交流出力接続端子を介して上記整流器に接続されている。これにより、固定子巻線と整流器との間の通風抵抗が低減され、整流器や固定子巻線の冷却性が向上されるとともに、交流結線作業性を向上させることができる。さらに、交流出力用リード線に金属接続端子を固着し、該リード線を径方向内方に曲げるという整流器に接続するためのリード線処理が不要となり、結線作業性が向上される。
【0049】
また、上記複数のリード線は上記固定子巻線群の中性点用リード線であり、上記中継用導通部材は中性点中継用導通部材であり、各相の中性点用リード線が上記中性点中継用導通部材に接合されて一体化されているので、3本の中性点用リード線を引き回して1箇所に集め、それらのリード線を捩って半田接合するリード線処理が不要となり、結線作業性が向上される。
【0050】
また、上記中性点中継用導通部材は中性点接続端子が径方向内方に延出されており、上記中性点接続端子が上記整流器に接続されているので、中性点用リード線に金属接続端子を固着し、該リード線を径方向内方に曲げるという整流器に接続するためのリード線処理が不要となり、結線作業性がさらに向上される。
【0052】
また、上記複数のリード線はそれぞれ上記第1および第2巻線から軸方向に、互いに平行に延出し、上記固定子鉄心の端面から略同一の所定高さ位置で上記中継用導通部材に接合されているので、接合作業性が向上される。
【0053】
また、上記中継用導通部材が絶縁性樹脂により一体化されているので、中継用導通部材の取り扱いが容易となり、組立性が向上される。
【0054】
また、上記固定子は、上記固定子巻線のコイルエンド群が径方向に関して上記ファンとラップしないように配設されているので、固定子巻線と整流器との間の通風抵抗が低減され、整流器や固定子巻線の冷却性が向上される。
【0055】
また、上記中継用導通部材の径方向幅が上記固定子巻線のコイルエンド群の径方向幅以下に形成されているので、回転子と中継用導通部材との間のスペースが大きくなり、ファン等の内蔵物の設計自由度が増大する。
【0056】
また、上記素線は、連続導体線であり、上記第1および第2巻線は、それぞれ、1本の上記連続導体線で1ターンの波巻き巻線に構成されているので、接合箇所が著しく削減され、生産性および歩留まりを向上させることができ、コイルエンドの高さが低くなり、かつ、コイルエンドの露出面積が大きくなり、高出力化および小型化が図られる。
【0057】
また、上記第1および第2波巻き巻線群の各対がそれぞれ複数の上記第1および第2巻線を集合した巻線アッセンブリで構成されているので、固定子鉄心への組み込み時における絶縁被膜の損傷発生が抑えられ、絶縁性が確保されるとともに、ターン数の増加にも容易に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機の構成を示す断面図である。
【図2】 この車両用交流発電機に適用される固定子巻線を構成する素線の要部を示す斜視図である。
【図3】 この車両用交流発電機に適用される固定子巻線を構成する素線の配列を説明する図である。
【図4】 この車両用交流発電機に適用される固定子巻線を構成する巻線アッセンブリを示す図である。
【図5】 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機における固定子巻線の1相分の結線状態を説明するリヤ側端面図である。
【図6】 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機における固定子巻線の3相分の結線状態を説明するリヤ側端面図である。
【図7】 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機に適用される固定子を示す斜視図である。
【図8】 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機に適用される整流器を示す斜視図である。
【図9】 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機に適用される整流器を示す正面図である。
【図10】 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機における固定子の整流器への取り付けを説明する斜視図である。
【図11】 特願2000−011704号に提案されている先行技術としての車両用交流発電機を示す断面図である。
【図12】 先行技術の車両用交流発電機における固定子を示す斜視図である。
【図13】 先行技術の車両用交流発電機における固定子巻線の1相分の結線状態を説明するリヤ側端面図である。
【図14】 先行技術の車両用交流発電機の固定子における3相交流結線用ターミナルアッセンブリを示す斜視図である。
【図15】 先行技術の車両用交流発電機における固定子巻線と整流器との結線方法を説明する図である。
【図16】 先行技術の車両用交流発電機における回路図である。
【符号の説明】
5ファン、7 回転子、8 固定子、12 整流器、15 固定子鉄心、15a スロット、16 固定子巻線、16r コイルエンド群、30 素線、30b 直線部(スロット収納部位)、31 第1巻線、31a 切断端(中性点用リード線)、32 第2巻線、32a 切断端(交流出力用リード線)、33 第3巻線、33b 切断端(渡り結線用リード線)、34 第4巻線、34b 切断端(渡り結線用リード線)、39 巻線アッセンブリ、60 3相交流結線用ターミナルアッセンブリ、61 中性点中継用導通部材、61b 中性点接続端子、62 交流出力中継用導通部材、62b 交流出力接続端子、63 渡り結線中継用導通部材、160 3相交流巻線、161 固定子巻線群。

Claims (10)

  1. 軸方向に延びるスロットが周方向に複数設けられた筒状の固定子鉄心およびこの固定子鉄心の上記スロットに巻装された固定子巻線を有する固定子と、上記固定子鉄心に囲繞されるように配設された回転子と、この回転子に装着されたファンと、整流器とを備え、上記固定子巻線が、電気角で120度の位相差のある3相の固定子巻線群を交流結線してなるn組(n:自然数)の3相交流巻線で構成された交流発電機において、
    素線を3n個のスロット毎にスロット内でスロット深さ方向に内層と外層とを交互にとるように波状に巻装して構成された1ターンの第1巻線が1スロットピッチで3n本配列されてなる第1波巻き巻線群と、上記素線を3n個のスロット毎に上記スロット内でスロット深さ方向に内層と外層とを交互にとるように波状に、かつ、上記第1巻線に対して電気角で180度ずらして反転するように巻装して構成された1ターンの第2巻線が1スロットピッチで3n本配列されてなる第2波巻き巻線群とが、それぞれの上記スロット内にスロット深さ方向に上記第1巻線のスロット収納部位と上記第2巻線のスロット収納部位とを交互に、かつ、1列に並ぶようにm対(m:自然数)配設され、
    各組の上記3相交流巻線は、上記第1および第2巻線から延出された複数のリード線が中継用導通部材を介して結線され、それぞれ3n個のスロット毎のスロットで構成される同一スロット群に巻装されている上記第1および第2巻線からなる3本の上記固定子巻線群を交流結線して構成され、
    上記中継用導電部材は、上記固定子巻線のコイルエンド群の頂部と相対し、かつ、離間するように配設され、
    上記複数のリード線は上記第1および第2巻線間の渡り結線用リード線であり、かつ、上記中継用導通部材は渡り結線中継用導通部材であり、上記渡り結線用リードが上記渡り結線中継用導通部材に接合され、上記第1および第2巻線間が渡り結線されていることを特徴とする交流発電機。
  2. 上記ファンは上記回転子の少なくとも一方の端部に固着され、上記整流器は上記回転子のファン固着側に配設され、上記中継用導電部材は、上記ファンの軸方向端面に対して、反回転子側に配設され、上記複数のリード線は上記3相交流巻線の交流出力用リード線であり、かつ、上記中継用導通部材は交流出力接続端子が径方向内方に延出された交流出力中継用導通部材であり、上記交流出力用リード線が上記交流出力中継用導通部材に接合され、上記交流出力接続端子を介して上記整流器に接続されていることを特徴とする請求項1記載の交流発電機。
  3. 上記複数のリード線は上記固定子巻線群の中性点用リード線であり、上記中継用導通部材は中性点中継用導通部材であり、各相の中性点用リード線が上記中性点中継用導通部材に接合されて一体化されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の交流発電機。
  4. 上記中性点中継用導通部材は中性点接続端子が径方向内方に延出されており、上記中性点接続端子が上記整流器に接続されていることを特徴とする請求項3記載の交流発電機。
  5. 上記複数のリード線はそれぞれ上記第1および第2巻線から軸方向に、互いに平行に延出し、上記固定子鉄心の端面から略同一の所定高さ位置で上記中継用導通部材に接合されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の交流発電機。
  6. 上記中継用導通部材が絶縁性樹脂により一体化されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の交流発電機。
  7. 上記固定子は、上記固定子巻線のコイルエンド群が径方向に関して上記ファンとラップしないように配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の交流発電機。
  8. 上記中継用導通部材の径方向幅が上記固定子巻線のコイルエンド群の径方向幅以下に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の交流発電機。
  9. 上記素線は、連続導体線であり、上記第1および第2巻線は、それぞれ、1本の上記連続導体線で1ターンの波巻き巻線に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の交流発電機。
  10. 上記第1および第2波巻き巻線群の各対がそれぞれ複数の上記第1および第2巻線を集合した巻線アッセンブリで構成されていることを特徴とする請求項9記載の交流発電機。
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