JP4104717B2 - 鋳造装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、金属の溶湯を圧力により鋳造金型のキャビティ内に充填する鋳造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の低圧鋳造装置には、金属溶湯を溶融状態で保持させる溶湯保持炉を設け、この溶湯保持炉の上方に鋳造金型を配設すると共に、下端部を溶湯保持炉内の金属溶湯内に挿入したストークを設け、このストークの上端を鋳造金型のキャビティの一つの溶湯充填路(湯口)に連通させたものが知られている。この低圧鋳造装置では、溶湯保持炉内の溶湯面に圧力を加えることにより、溶湯保持炉内の溶湯をストークを介して上昇させてキャビティに充填した後、キャビティ内の溶湯を凝固させ、次に溶湯保持炉の溶湯面への加圧力を解除することでストーク内の溶湯を溶湯保持炉内に戻して、溶湯充填路における湯切りを行う様にしている。
【0003】
しかし、一つの溶湯充填路からキャビティに溶湯を充填するので、製品の肉厚部の凝固が遅く、この溶湯充填路の凝固が早い場合にはキャビティ内で凝固する製品に引け巣等の不良が発生することもある。また、溶湯充填路が一つであるため、製品の肉厚部の凝固と溶湯充填路の凝固との間のタイミングがとりにくく、引け巣等の不良が発生したり、又は、湯切りが早い場合には未凝固の箇所が発生したりする虞がある。
【0004】
この様な不良製品の発生を防止する従来の低圧鋳造装置としては、例えば図10に示したような、鋳造金型70を図示しない溶湯保持炉の上方に配置し、溶湯保持炉内の溶湯を加圧力で鋳造金型70に充填する様にしたものが知られている(特開昭58−116973号公報参照)。
【0005】
この鋳造金型70は上金型71と下金型72を備え、金型71,72間にはキャビティ73が形成されている。しかも、下金型72には、下部が図示しない溶湯保持炉にストークを介して連通する溶湯案内路74が設けられていると共に、溶湯案内路74の上端から分岐してキャビティ73に連通する複数の溶湯充填路75が設けられている。図中、76は両端部が金型71,72間に保持された中子である。
【0006】
この鋳造装置では、図示しない溶湯保持炉の溶湯面に圧力を加えることで、溶湯保持炉内の溶湯がストーク内を溶湯案内路74内まで上昇させられた後、この溶湯が複数の溶湯充填路75を介してキャビティ73内に迅速に充填される様になっている。この鋳造装置でも、キャビティ73内に充填された溶湯が凝固した後、溶湯保持炉の溶湯面に作用させていた加圧力を解除することで、複数の溶湯充填路75,溶湯案内路74,及びストーク内の溶湯が溶湯保持炉内に自重により戻される様になっている。この際、複数の溶湯充填路75の湯切りは同じタイミングで行われる。この後、キャビティ73内の溶湯が完全に凝固してから金型71,72を開くことで、金型71,72間に形成された製品を取り出すことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図10に示した従来の鋳造装置では、キャビティ内の溶湯がある程度凝固したときに、溶湯充填路やストーク内の溶湯を自重により溶湯保持炉内に戻すようにしているため、複数の溶湯充填路75の湯切りを迅速に行うことができないものであった。
【0008】
しかも、一つの製品の肉厚が場所によって大きく異なる場合、即ちキャビティ73内の容積が場所によって大きく異なる場合、溶湯の凝固速度は容積の大きい部分では遅く容積の小さい部分では早くなる。このため、図10に示したように複数の溶湯充填路75の湯切りを同一のタイミングで行う構成では、湯切りのタイミングが早い場合には、キャビティ73の容積の大きい部分において溶湯が完全に凝固せずに、凝固していない溶湯の一部が湯切りに際して溶湯保持炉に戻され、製品に空洞が生ずる虞もある。また、湯切りのタイミングが遅い場合には、キャビティ73の容積が小さい部分に対応する溶湯充填路75内の溶湯が凝固して、次の鋳造に支障を来す虞もある。
【0009】
そこで、この発明の第1の目的は、複数の溶湯充填路を引け巣の発生しやすい箇所に設置し、不良品の少ない製品が製造できる鋳造装置を提供することにある。
【0010】
また、この発明の第2の目的は、製品の肉厚が一様でない場合でも、湯切りのタイミングを肉厚に応じてタイミングよく行って、不良品が生じたり、鋳造に支障を来したりすることのない鋳造装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この第1の目的を達成するため、請求項1の発明は、溶湯保持炉と、前記溶湯保持炉の上方に配設された溶湯チャンバと、下端部が前記溶湯保持炉の溶湯に挿入され且つ前記溶湯を前記溶湯チャンバ内に案内させる溶湯案内路と、前記溶湯保持炉内の上部に気体を供給する気体供給源と、前記気体供給源から前記溶湯保持炉内の上部に供給される気体の圧力をコントロールすることにより、前記溶湯保持炉の溶湯を前記溶湯案内路を介して前記溶湯チャンバ内に供給する溶湯供給手段と、前記溶湯チャンバの上方に配設され且つ大容積部と小容積部が設けられたキャビティを備える金型と、下端部が前記溶湯チャンバに挿入され、且つ前記溶湯チャンバの溶湯を前記キャビティの小容積部に案内させる第1の溶湯充填路と、下端部が前記溶湯チャンバに挿入され、且つ前記溶湯チャンバの溶湯を前記キャビティの大容積部に案内させる第2の溶湯充填路と、前記溶湯チャンバ内の上部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給源と、前記不活性ガス供給源から前記溶湯チャンバの上部に供給される不活性ガスの圧力をコントロールすることにより、前記溶湯チャンバ内の溶湯を前記各溶湯充填路を介して前記キャビティに充填する溶湯充填手段と、前記溶湯充填手段を制御する制御手段と、を有すると共に、前記大容積部に溶湯を案内する第2の溶湯充填路の開口下端部は前記小容積部に溶湯を案内する前記第1の溶湯充填路の開口下端部よりも前記溶湯チャンバ内に深く配設されていることを特徴とする鋳造装置。
【0012】
また、第1,第2の目的を達成するため、請求項2の発明は、請求項1に記載の鋳造装置において、前記制御手段は、溶湯充填手段を作動制御して、前記溶湯チャンバの上部に供給される不活性ガスの圧力をコントロールすることにより、前記第1の溶湯充填路の前記キャビティへの開口部の溶湯が凝固し且つ前記第1の溶湯充填路上部の溶湯が凝固する以前に、前記溶湯チャンバ内の湯面を前記第1の溶湯充填路の開口下端部よりも下方に降下させた後、前記第2の溶湯充填路の前記キャビティへの開口部の溶湯が凝固し且つ前記第2の溶湯充填路上部の溶湯が凝固する以前に、前記溶湯チャンバ内の湯面を前記第2の溶湯充填路の開口下端部よりも下方に降下させる鋳造装置としたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
<溶湯鋳造側の機械的構成>
図1において、1は溶湯保持炉、1aは溶湯保持炉1の底壁、1bは溶湯保持炉1の上部に配設されたヒータ、2は溶湯保持炉1内のアルミニウム,アルミニウム合金,マグネシウム合金等の金属の溶湯、3は溶湯保持炉1の上部開口端を閉成している蓋体、4は溶湯保持炉1内に設けられた隔壁である。
【0015】
図1中、溶湯保持炉1内は隔壁4により右側の溶湯補給室(溶湯注入室)5と左側の溶湯供給室6とに区画されている。しかも、この隔壁4の上端と蓋体3との間には連通口1cが設けられ、この隔壁4と溶湯保持炉1の底壁1aとの間には溶湯補給室5と溶湯供給室6とを連通させる連通口7が形成されている。
【0016】
8は蓋体3を貫通して溶湯補給室5内に挿入された脱ガス装置(ガス抜き装置)、9は溶湯補給室5上に位置させて蓋体3に設けられた溶湯補給口、10は溶湯補給口9を閉成する蓋体、11は溶湯供給室6の上部空間6aに連通する接続口である。尚、脱ガス装置8は、溶湯補給口9から注入される溶湯2中のガス(主に水素等)を外部に排出する様になっている(この構成には周知の構造が採用される)。
【0017】
また、溶湯保持炉1の上方には金型支持用のプレート12が配設され、このプレート12の上部には金型支持台13が固定され、この金型支持台13内には上方に開放する容器状の断熱材13aが固定され、断熱材13a内には上方に開放した鋳鉄製の溶湯容器14が配設されている。この溶湯容器14の表面は、図示しないセラミックウール等により覆われていて、溶湯2´と化学反応しないようになっている。12aはプレート12に設けた挿通孔である。しかも、溶湯容器14は底壁14aが中央に向うに従って下方に下がるようなテーパ形状に形成されている。
【0018】
そして、この底壁14aの中央には、セラミック等からなる筒状のストーク(溶湯案内パイプ)15の上端が固定されている。このストーク15は、挿通孔12aを介して下方に延びると共に、蓋体3を貫通して溶湯供給室6内の溶湯2内に挿入されている。15aはストーク15内の溶湯案内路である。
【0019】
尚、溶湯容器14の底壁14aをテーパ状に形成することで、溶湯容器14内の溶湯2´を下方の溶湯保持炉1側に押し下げる場合には、溶湯容器14内に溶湯2´が残ることなく下方に押し下げることができる。また、溶湯容器14内には溶湯2´のための溶湯チャンバ16が形成され、溶湯容器14の上部には溶湯チャンバ16の上部空間16aに連通する接続口17が形成されている。
【0020】
また、金型支持台13及び溶湯容器14上には、金型支持台13の上端に固定されて溶湯容器14の上端を閉成する下型取付板19が配設され、この下型取付板19には溶湯チャンバ16の上部空間16a内に突出する湯面検出センサ23が固定されている。
【0021】
また、下型取付板19上には鋳造金型25が配設されている。この鋳造金型25は、下型取付板19上に固定された下金型26と、下金型26上に配置された上金型27を有する。この上金型27は支持部材28を介して上型取付板21の下面(内面)に固定されている。この金型26,27間には製品形状のキャビティ29が形成されている。このキャビティ29は、左右の容積の小さい小容積部29a,29bと、中央の容積の大きい大容積部29cを有する。
【0022】
しかも、下金型26には、上下に延び且つ上端をキャビティ29の小容積部29a,29bに連通させた溶湯充填パイプ30a,30bが固定されていると共に、上下に延び且つ上端をキャビティ29の大容積部29cに連通させた溶湯充填パイプ30cが固定されている。
【0023】
この溶湯充填パイプ30a〜30cは下型取付板19を貫通して溶湯チャンバ16内に突出している。この両側の溶湯充填パイプ30a,30bの溶湯チャンバ16内の突出位置は、中央の溶湯充填パイプ30cの溶湯チャンバ16への突出位置よりも高くなっている。30a′,30b′は溶湯充填パイプ30a,30b内の第1の溶湯充填路、30c′は溶湯充填パイプ30c内の第2の溶湯充填路である。また、溶湯充填パイプ30a〜30cの外周面及び下型取付板19の下面は鋳鉄製の保護層19aで覆われ、この保護層19aの表面は図示しないセラミックウール等により覆われている。このセラミックウールは、保護層19aが溶湯と化学反応するのを防止すると共に、溶湯チャンバ16内の熱が鋳造金型25に伝達しにくくする断熱機能を兼備している。
【0024】
<溶湯加圧系統>
溶湯保持炉1には溶湯供給室6の上部空間6aに連通する接続口11が設けられ、溶湯チャンバ16には上部空間16aに連通する接続口17が設けられている。
【0025】
この接続口11には不活性ガス又はコンプレッサーエアー等の気体供給用のパイプ32が接続され、このパイプ32には排気弁(三方電磁切換弁)33の第1ポート33aが接続され、この排気弁33の第2ポート33bにはガス供給用(気体供給用)の圧力コントロールバルブ34の吐出側が接続され、圧力コントロールバルブ34の流入側には不活性ガス又はコンプレッサーエアー等のガス供給源(気体供給源)35が接続されている。尚、本実施例では、排気弁33の第3のポート33cは大気に開放されている。しかし、この第3のポート33cをガス(気体)回収装置に接続して、第3のポート33cから排出される不活性ガスを再利用するようにしてもよい。
【0026】
また、接続口17には不活性ガス供給用(気体供給用)のパイプ17aが接続され、このパイプ17aには排気弁(三方電磁切換弁)36の第1ポート36aが接続され、この排気弁36の第2ポート36bには不活性ガス供給用(気体供給用)の圧力コントロールバルブ37の吐出側が接続され、圧力コントロールバルブ37の流入側には不活性ガス供給源(気体供給源)38が接続されている。尚、本実施例では、排気弁36の第3のポート36cは大気に開放されている。しかし、この第3のポート36cをガス回収装置に接続して、第3のポート36cから排出される不活性ガスを再利用するようにしてもよい。
【0027】
そして、パイプ32,17aには圧力センサ39,40が取り付けられている。尚、ガス供給源35にはアルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガス又はコンプレッサーエアー等の気体が充填され、不活性ガス供給源(気体供給源)38にはアルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガス(気体)が充填されている。また、圧力センサ39,40からの圧力信号は演算制御回路(制御手段)41に入力され、演算制御回路41は排気弁33,36及び圧力コントロールバルブ34,37を作動制御する様になっている。
【0028】
<作用>
次に、この様な構成の演算制御回路41による制御作用の伴う鋳造工程を図2〜図9に基づいて説明する。尚、図2,図3は、鋳造工程の全体を概略的に示したものであるので、図1に示した符号の内の説明に必要な最小限の符号を付して、詳細な符号は図4〜図9に示す。
【0029】
図2において、(a)は溶湯チャンバ16の上部空間16aの圧力(溶湯チャンバ内圧力)を示し、(b)は溶湯保持炉1の上部空間6aの圧力(溶湯保持炉内圧力)を示したものである。
【0030】
そして、(a)の圧力特性曲線50は、溶湯2が溶湯チャンバ16内の所定高さまで押し上げられて、この溶湯チャンバ16内の溶湯2´の湯面S1が湯面検出センサ23により検出されている時点において、溶湯チャンバ16内の上部空間16aの圧力を大気圧と同じにしたとき、この上部空間16a内の圧力を「0」として図示してある。また、(b)の圧力特性曲線52は、溶湯供給室6内の湯面S2に圧力が加えられていない時、即ち溶湯供給室6の上部空間6a内の圧力を大気圧にしたとき、この上部空間6a内の圧力を「0」として図示してある。
【0031】
(i)スタート
この図2のt1は図3の(1)のスタートすなわち鋳造開始の時点になる。このスタート位置では、溶湯供給室6の上部空間6aの圧力が図2(b)に示した様に「0」である。この状態では、前回の鋳造工程の終了によって、溶湯案内路15a,溶湯チャンバ16,溶湯充填路30a等には不活性ガスが充填されている。尚、図中、不活性ガスは小点の集合で表している。
【0032】
そして、演算制御回路41は、鋳造金型25の型締め前の時間t1において、排気弁36のポート36a,36bを連通させると共に、圧力コントロールバルブ37を作動させて、不活性ガス供給源38からの不活性ガスをパイプ17aを介して溶湯チャンバ16内に供給を開始する。
【0033】
(ii)型締め
演算制御回路41は、この不活性ガス供給開始と同時において油圧回路31を作動制御して図示しない油圧シリンダを作動させ、上型取付板21を図3(1)及び図4の位置から降下させて図3(2)及び図5で示した様に上金型27は下金型26に当接させられ型締めが行われる。この型締めは時間t2で完了する。
【0034】
尚、この時点では、不活性ガス供給源38からの不活性ガスがパイプ17aを介して溶湯チャンバ16内に供給されているので、この不活性ガスが溶湯充填路30aを介して鋳造金型25のキャビティ29内に供給(充填)されると共に、金型26,27の合せ部間の隙間等から洩れる。
【0035】
(iii)溶湯上昇
また、演算制御回路41は、鋳造金型25の型締め直後の時間t2において圧力コントロールバルブ37の作動を停止させ、溶湯チャンバ16への不活性ガスの供給を停止させる。
【0036】
一方、演算制御回路41は、時間t2で排気弁33のポート33a,33bを連通させると共に、圧力コントロールバルブ34を作動させて、ガス供給源35からの不活性ガス又はコンプレッサーエアー等のガスを排気弁33及びパイプ32を介して溶湯供給室6の上部空間6aに加圧供給し、上部空間6a内の圧力をP1まで上昇させる。この上部空間6a内の圧力の上昇にともない、溶湯供給室6内の溶湯2が溶湯案内路15aを介して溶湯チャンバ16内に押し上げられる。
【0037】
この溶湯2の押し上げに伴って、溶湯チャンバ16内の湯面S1が図3(3)及び図6の如く時間t3で上昇する。この状態では、溶湯充填パイプ30a〜30cの下端部が溶湯チャンバ16内の溶湯2´内に挿入された状態となっている。
【0038】
(iv)溶湯充填
この後、演算制御回路41は、時間t3で更に圧力コントロールバルブ34及びガス供給源35を作動制御して、ガス供給源35からの不活性ガス又はコンプレッサーエアー等のガスを排気弁33及びパイプ32を介して溶湯供給室6の上部空間6aに更に加圧供給し、上部空間6a内の圧力をP2まで上昇させる。この上部空間6a内の圧力の上昇にともない、溶湯供給室6内の溶湯2が溶湯案内路15aを介して溶湯チャンバ16内に更に押し上げられる。
【0039】
一方、演算制御回路41は、上部空間6a内の圧力の上昇に伴い、湯面検出センサ23からの検出信号に基づき圧力コントロールバルブ37及び不活性ガス供給源38を作動制御して、不活性ガス供給源38からの不活性ガスをパイプ17aを介して溶湯チャンバ16内に更に供給し、湯面S1が湯面検出センサ23で検出される高さに維持する様、溶湯チャンバ16の上部空間16a内の圧力をP2′まで上昇させる。
【0040】
この様な作動制御により、溶湯チャンバ16内に溶湯保持炉1内の溶湯が補充されながら、溶湯チャンバ16内の溶湯がキャビティ29に溶湯充填パイプ30a〜30cを介して充填される。この溶湯の充填は時間t3で開始されt4で終了する。
【0041】
(押し湯及び湯切り)
この充填によりキャビティ29内では凝固が開始されて、キャビティ29内に充填された溶湯の収縮が行われるので、鋳造品(製品)の品質の安定のために、キャビティ29への押し湯を行わせる。
【0042】
即ち、演算制御回路41は、時間t4において圧力コントロールバルブ34を作動させて、ガス供給源35の不活性ガス又はコンプレッサーエアー等のガスを排気弁33及びパイプ32を介して溶湯供給室6の上部空間6aに更に加圧供給し、上部空間6a内の圧力を時間t4から時間t5までの時間でP2からP3まで上昇させる。そして、圧力P3は圧力センサ39の検出信号を基に演算制御回路41が圧力コントロールバルブ37を制御することにより時間t7まで維持される。
【0043】
一方、演算制御回路41は、上部空間6a内の圧力の上昇に伴い、湯面検出センサ23からの検出信号に基づき圧力コントロールバルブ37及び不活性ガス供給源38を作動制御して、不活性ガス供給源38からの不活性ガスをパイプ17aを介して溶湯チャンバ16内に更に供給し、湯面S1が湯面検出センサ23で検出される高さに維持する様、溶湯チャンバ16の上部空間16a内の圧力を時間t4から時間t5の間でP2′からP4まで上昇させる。そして、圧力P4は圧力センサ40の検出信号を基に演算制御回路41が圧力コントロールバルブ34を制御することにより時間t6まで維持される。
【0044】
更に、演算制御回路41は、時間t6になると、圧力コントロールバルブ37及び不活性ガス供給源38を作動制御して、不活性ガス供給源38からの不活性ガスをパイプ17aを介して溶湯チャンバ16内に更に供給し、溶湯チャンバ16の上部空間16a内の圧力を時間t6から時間t6′の間でP4からP5まで上昇させて第1の湯切りを行う。
【0045】
尚、溶湯保持炉1の上部空間6a内の圧力は時間t7から徐々に減少させられるので、キャビティ29内への押し湯は時間t5〜時間t7の間で行われ、キャビティ29内に充填された溶湯の凝固に伴う収縮に際して、この収縮分だけ溶湯がキャビティ29内に補充され、鋳造品(製品)の品質が安定させられる。
【0046】
このキャビティ29への溶湯2´´の充填が完了後に所定時間t7まで経過すると、キャビティ29内の溶湯2´´の熱が金型26,27に吸収されて放熱され凝固する。この際、キャビティ29の溶湯の凝固は、容積が小さい部分29a,29b内が容積が大きい部分29cより早く行われる。従って、溶湯充填路30a′,30b′のキャビティ29への開口部の凝固は、溶湯充填路30c′のキャビティ29への開口部の凝固よりも早く行われる。尚、溶湯充填路30a′,30b′のキャビティ29への開口部の凝固が行われた時点では溶湯充填路30a′,30b′内の溶湯は凝固していない状態となっており、溶湯充填路30c′のキャビティ29への開口部の凝固が行われた時点では溶湯充填路30c′内の溶湯は凝固していない状態となっている。
【0047】
そして、演算制御回路41は、排気弁33を作動制御して、排気弁33の第1ポート33aと第2ポート33bとの連通を遮断させると共に、排気弁33の第1ポート33aを第3ポート33cに連通させて、溶湯保持炉1の上部空間6aを大気に開放させる。これにより、溶湯保持炉1の上部空間6a内の圧力が、時間t7から時間t9まで徐々に減少させられ、時間t9で「0」となる。
【0048】
一方、演算制御回路41は、時間t6から時間t8まで圧力コントロールバルブ37により不活性ガスを不活性ガス供給源38から溶湯チャンバ16の上部空間16aに加圧供給して、溶湯チャンバ16の上部空間16aの圧力をP6に維持して第2の湯切りを行う。そして、演算制御回路41は、時間t8になると排気弁36の第1ポート36aと第2ポート36bの連通を遮断すると共に、排気弁36の第1ポート36aと第3のポート36cを連通させて、溶湯チャンバ16の上部空間16aを大気に開放する。これにより、溶湯チャンバ16の上部空間16a内の圧力が、時間t8から時間t9まで徐々に減少させられ、時間t9で「0」となる。
【0049】
この結果、溶湯チャンバ16内の溶湯は、時間t7になると、最初は溶湯保持炉1の上部空間6aの圧力減少と溶湯チャンバ16の上部空間16aの圧力P6によって、ストーク15を介して溶湯保持炉1内に戻される。
【0050】
この際、溶湯チャンバ16内の湯面S1が降下させられて、最初に溶湯充填パイプ30a,30bの下端より下方まで移動し、不活性ガスが溶湯充填路30a′,30b′内に流入させられて、溶湯充填路30a′,30b′内の溶湯が不活性ガスにより強制的に降下させられ、次に溶湯チャンバ16内の湯面S1が更に降下させられて、溶湯充填パイプ30c下端より下方まで移動し、不活性ガスが溶湯充填路30c′内に流入させられて、溶湯充填路30c′内の溶湯が不活性ガスにより強制的に降下させられる。この様にして、溶湯充填パイプ30内の溶湯は、不活性ガスが溶湯充填パイプ30内を上昇することにより、キャビティ29の下端で縁切される。この様な湯切りは、時間t6′〜時間t8の間で行われる。
【0051】
この後、溶湯チャンバ16内の溶湯は、時間t6′〜t9の間で溶湯保持炉1内に戻される。
【0052】
この様に溶湯充填路30a′〜30c′のキャビティ29への開口部への縁切りを時間差をおいて行わせることで、キャビティ29の各部の容積の大小に応じて好ましいタイミングで溶湯充填路30a′〜30c′の湯切りを行うことができる。次に、図8(a)及び図8(b)を説明する。
【0053】
溶湯充填路30a′,30b′のキャビティ29への開口部の凝固が行われた時点では溶湯充填路30a′,30b′内の溶湯は凝固していない状態となっているので、溶湯チャンバ16内の湯面S1をP5の圧力を掛けて溶湯充填パイプ30a,30bの下端より下方まで移動させて、不活性ガスを溶湯充填路30a′,30b′内に流入させることにより、溶湯充填路30a′,30b′内の溶湯のキャビティ29への開口部の第1の湯切りを行わせる。そして、この湯切りを行っている間に、キャビティ29内の容積の大きい部分29cの溶湯の凝固を行わせ、溶湯充填路30c′のキャビティ29への開口部の凝固を行わせる。この凝固が行われた時点では溶湯充填路30c′内の溶湯は凝固していない状態となっているので、この状態で溶湯チャンバ16の湯面S1をP6の圧力により溶湯充填パイプ30c下端より下方まで移動させ、不活性ガスを溶湯充填路30c′内に流入させて、溶湯充填路30c′内の溶湯を不活性ガスにより強制的に降下させ、第2の湯切りをさせる。
【0054】
(v)製品取り出し
そして、演算制御回路41は、上部空間16a及び6a内の圧力が時間t9で略「0」になった後、時間t10の凝固を待って油圧回路31を作動制御して図示しない油圧シリンダにより上金型27を上型取付板21と一体に上昇させて、上金型27を図3(6)及び図9に示した如く下金型26から分離する。
【0055】
この後、図示しない製品受を上金型27の下方に移動させて、上金型27による製品保持を解除することにより、上金型27に保持された鋳造品(製品)60を製品受に受けさせた後、製品受を上金型27の下方から取り出すことにより、鋳造品60の取り出しが行われる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように構成したので請求項1,2の発明は、複数の溶湯充填路を引け巣の発生箇所に設置し、不良品の少ない製品が製造できる。しかも、複数の溶湯充填路からキャビティに溶湯を充填するので、製品の肉厚部の凝固が遅く且つ溶湯充填路の凝固が早い場合でも、キャビティ内で凝固する溶湯に引け巣等の不良が発生するのを未然に防止できる。
【0057】
また、請求項2の発明は、製品の肉厚が一様でない場合でも、湯切りのタイミングを肉厚に応じてタイミングよく行って、不良品が生じたり、鋳造に支障を来したりすることを未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る差圧鋳造装置の説明図である。
【図2】図1に示した差圧鋳造装置の鋳造金型への圧力等の経時関係を示す圧力特性曲線図である。
【図3】図2の圧力特性曲線図に従って制御される図1の差圧鋳造装置による鋳造工程の説明図である。
【図4】図3の(1)の拡大説明図である。
【図5】図3の(2)の拡大説明図である。
【図6】図3の(3)の拡大説明図である。
【図7】図3の(4)の拡大説明図である。
【図8】(a)は図3の(5a)の拡大説明図、(b)は図3の(5b)の拡大説明図である。
【図9】図3の(6)の拡大説明図である。
【図10】従来の差圧鋳造装置の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1…溶湯保持炉
2…溶湯
6…溶湯供給室
6a…上部空間
15…ストーク(溶湯案内パイプ)
15a…溶湯案内路
16…溶湯チャンバ
16a…上部空間
25…鋳造金型
26…下金型
27…上金型
29…キャビティ(金型キャビティ)
30…溶湯充填パイプ
30a…溶湯充填路
34…圧力コントロールバルブ(溶湯供給手段)
35…ガス供給源(不活性ガス供給手段)
37…圧力コントロールバルブ(溶湯充填手段)
38…不活性ガス供給源
41…演算制御回路(制御手段)
Claims (2)
- 溶湯保持炉と、前記溶湯保持炉の上方に配設された溶湯チャンバと、下端部が前記溶湯保持炉の溶湯に挿入され且つ前記溶湯を前記溶湯チャンバ内に案内させる溶湯案内路と、前記溶湯保持炉内の上部に気体を供給する気体供給源と、前記気体供給源から前記溶湯保持炉内の上部に供給される気体の圧力をコントロールすることにより、前記溶湯保持炉の溶湯を前記溶湯案内路を介して前記溶湯チャンバ内に供給する溶湯供給手段と、前記溶湯チャンバの上方に配設され且つ大容積部と小容積部が設けられたキャビティを備える金型と、下端部が前記溶湯チャンバに挿入され、且つ前記溶湯チャンバの溶湯を前記キャビティの小容積部に案内させる第1の溶湯充填路と、下端部が前記溶湯チャンバに挿入され、且つ前記溶湯チャンバの溶湯を前記キャビティの大容積部に案内させる第2の溶湯充填路と、前記溶湯チャンバ内の上部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給源と、前記不活性ガス供給源から前記溶湯チャンバの上部に供給される不活性ガスの圧力をコントロールすることにより、前記溶湯チャンバ内の溶湯を前記各溶湯充填路を介して前記キャビティに充填する溶湯充填手段と、前記溶湯充填手段を制御する制御手段と、を有すると共に、前記大容積部に溶湯を案内する第2の溶湯充填路の開口下端部は前記小容積部に溶湯を案内する前記第1の溶湯充填路の開口下端部よりも前記溶湯チャンバ内に深く配設されているいることを特徴とする鋳造装置。
- 請求項1に記載の鋳造装置において、前記制御手段は、溶湯充填手段を作動制御して、前記溶湯チャンバの上部に供給される不活性ガスの圧力をコントロールすることにより、前記第1の溶湯充填路の前記キャビティへの開口部の溶湯が凝固し且つ前記第1の溶湯充填路上部の溶湯が凝固する以前に、前記溶湯チャンバ内の湯面を前記第1の溶湯充填路の開口下端部よりも下方に降下させた後、前記第2の溶湯充填路の前記キャビティへの開口部の溶湯が凝固し且つ前記第2の溶湯充填路上部の溶湯が凝固する以前に、前記溶湯チャンバ内の湯面を前記第2の溶湯充填路の開口下端部よりも下方に降下させることを特徴とする鋳造装置。
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