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JP4102020B2 - 水性スルホポリウレアコロイド分散液 - Google Patents

水性スルホポリウレアコロイド分散液 Download PDF

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Description

【0001】
背景技術
本発明は、スルホポリウレアの安定な水性コロイド分散液、および約室温から150度を超える温度まで良好な物理的性質を示す前記分散液から形成される自己支持フィルムに関する。本発明のフィルムは、揮発性有機化合物(VOC)エミッションがなくおよび化学的またはイオン架橋のポストコーティングもなく形成され、水に再分散されえず、耐熱性研磨物の形成に用いうる。
【0002】
ポリウレタンは、引っ張り強度、靱性およびたわみ性といった独特の組み合わせを表すよう用意に調整されうる高い能力を有するポリマーの良く確立されたクラスである。この融通性の結果、ポリウレタンはバインダー樹脂、耐摩耗性コーティング剤、保護コーティング剤および膜などの様々な応用に用いられることがわかっている。
【0003】
ポリウレタンは、湿潤硬化または二部硬化可能系として、一般には有機溶媒から、またはコロイドポリマー系の水性分散液として、押し出し過程により熱可塑性材料または熱硬化性材料として支持層に送達される。二部ポリウレタンは一般的に有機溶媒、ブロックされたイソシアネート末端の化合物およびポリオールの混合物または有機溶媒、ジイソシアネート末端化合物およびポリオールの混合物から送達されるバインダーまたはコーティングの応用に用いられる。
【0004】
水性ポリウレタン分散液はポリウレタンコーティングを繊維、織物、紙などの支持体に送達する手段として開発された。それにより、揮発性有機化合物(VOC)エミッションを少なくし、コーティング時に毒性を有するイソシアネートまたはジアミン化合物への露出をなくしてもよく、全過程を単純化するといった二部ポリウレタン系を越える利点が得られた。
【0005】
ポリウレタン骨(例えば、エポキシ樹脂)と反応する架橋モノマーの取り込みにより水性ポリウレタン材料の熱安定で流出耐性の性質を改良しようとする試みは部分的に成功しただけであった。高温度での能力を改良することは、典型的には靱性や伸びの減少、そして劇的な係数の増大を犠牲にして達成されていた。
【0006】
発明の要約
本発明は、複数の式(a):
【0007】
【化10】
Figure 0004102020
で示される単位(a)と
式(b):
【0008】
【化11】
Figure 0004102020
で示される単位(b)とが式:
【0009】
【化12】
Figure 0004102020
(式中、各Rはそれぞれ好ましくは
−CH−CH−(OCH−CH−)−基、
−C(CH)H−CH−(OC(CH)H−CH−)−基および−O−(CH−CO−
【−O−(CH−CO−】−基
などのエーテルまたはエステル官能基を含む平均分子量200−600の二価脂肪族基を表し、
各Rはそれぞれ2−15の炭素原子を有する二価の直鎖または分枝鎖アルキレン基もしくはシクロ脂肪族基または好ましくは
−CH−CH−(OCH−CH−)−基、
−C(CH)H−CH−(OC(CH)H−CH−)−基
−CH−CH−CH−CH−(OCHCH−CH−CH−基および
−O−(CH−CO−【−O−(CH−CO−】−基
などのエーテルまたはエステル官能基を含む分子量200−2,000の二価脂肪族基を表し、
各Rはメチレン−4,4’−ジフェニル基、1,4−フェニル基、4,4’−ビフェニル基、1,6−ナフチル基、N,N−ジ((p−メチルフェニル)フェニル)−カルボジイミド基またはその混合物であり、mは約2−約5の整数であり、nは約2−約15の整数であり、xは1であり、yは0−4の整数であり、zは0−6の整数であり、そしてMはナトリウム、リチウムまたはカリウムの陽イオンである)
で示されるセグメントにより互いに連結されてなる安定な水性スルホポリウレアコロイド分散液に関する。スルホポリウレア組成物は約1,000−約8,500のスルホン酸塩当量を有する。
【0010】
また、本発明は本発明のスルホポリウレア分散液を用いた耐熱性研磨物だけでなく自己支持フィルムにも関する。このような研磨物はスルホポリウレアからなる新規で、丈夫で、熱安定な、粘着性と弾性のある樹脂性バインダー系を用いた有機基質からなる。
【0011】
これらの研磨物は、小さなまたは望ましくない表面を製造素材表面にこすりつけたり移したりすることなく高圧、高速で製造素材に押しつけることができる。
【0012】
本明細書中、
「コロイド分散液」とは、水性媒体(典型的には水)中で、約1ミクロン未満、典型的には約500ナノメートル未満の平均サイズを有する粒子の分離した配置を意味し、
「結晶融点」Tとは、平衡状態で結晶性がなくなるぎりぎりの線である温度のことであり、
「エステル/ウレタン含有」とは、カルボン酸エステルまたはウレタン結合基を含む二価アルキル基を意味し、
「ハードセグメント」とは、水素結合を介した(最も一般的にはイソシアネート基とアミンまたは官能基により誘導されたアルコールにより形成される)スルホポリウレア鎖のセグメントを含むウレタンおよびウレア連結を意味し、
「分離した相」とは、ハードセグメントとソフトセグメントの分離した領域が水素結合したハードセグメントの相互作用の会合により形成されるポリウレアコーティングまたはフィルムにおける形態的現象を意味し、
「ポリウレア」とは、鎖の成長メカニズムがアミンまたはウレア基を有するイソシアネート基の反応による全体的なウレアおよびビウレット連結の形成であり、ウレア連結形成が優勢である重合反応により得られるポリマーのことであり、
「ソフトセグメント」とは、ハードセグメント間に位置し、典型的にはポリマー骨内に含まれる一またはそれ以上のポリオールからなるポリウレア骨の部分のことであり、
「安定な水性コロイド分散液」とは、(連続的または断続的のどちらにおいても)撹拌しなくても凝集しない、水中に平均直径約10ナノメートル−約1ミクロンの均一な分散ポリマー粒子を意味し、
「スルホン酸塩当量」とは、ポリマー分子に含まれるスルホン酸塩基の数で割ったスルホポリウレアの全原子の原子量の合計を意味し、
「スルホポリウレア」とは、ポリマー鎖に共有結合しかつポリマー鎖から垂れ下がった複数のスルホン酸塩基を含む高分子量のポリウレアを意味し、そして
「引っ張りストレージ係数(E’)」とは、目的温度で負荷される振動する引っ張り圧力に対する材料の応答を測定することにより得られる、与えられた温度での材料の剛性の測定単位のことである。
【0013】
発明の詳細な説明
本発明は、スルホン酸塩および二つのカルボン酸エステル基からなるトリアリール基を中央に配置してなる一またはそれ以上のソフト親水性セグメントならびに二価の直鎖または分枝鎖アルキレン基またはシクロ脂肪族基からなる任意の修飾基を含んでなる安定な水性スルホポリウレアコロイド組成物であって、前記エステル基はさらにエーテルまたはエステル機能を含む二価のアルキル基を含んでなり、前記ソフト親水性セグメントおよび前記任意の修飾セグメントは少なくともジフェニルメタン基、1,4−フェニル基、4,4’−ビフェニル基、1,6−ナフチル基、N,N−ジ((p−メチルフェニル)フェニル)−カルボジイミド基またはウレア基により互いに連結されるその混合物のジアドからなるハードセグメントにより互いに連結されることが好ましい、安定な水性スルホポリウレアコロイド組成物を提供する。
【0014】
本発明におけるスルホポリウレア組成物は、通常のポリウレア組成物よりもハードセグメントの含有が有意に高く、重合/分散工程の間に形成される結晶化可能なハードセグメントが伸長した鎖として溶媒に可溶なまたは湿潤硬化する組成物である。通常の水性の分散可能なポリウレアまたはポリウレタン/ウレア組成物は、結晶化しないか、プレポリマー過程を可能にするために低濃度で存在するハードセグメントに限定される。ハードセグメントの含有が高いと、本発明のスルホポリウレア組成物に基づくフィルムはポストフィルム形成架橋なくては実質上水に反応しなくなり、また水に再分散されなくなる。さらに、本発明のスルホポリウレア組成物に基づくフィルムは、意外にも通常のポリウレタン/ウレア組成物より有意に高い温度についての性質を示す。例えば、本発明のスルホポリウレア組成物に基づくフィルムは熱安定であり、150度を超える温度でもほとんどまたは全く流出せず、好ましくは200度を超える温度でもほとんどまたは全く流出せず、最も好ましくは250度を超える温度でもほとんどまたは全く流出しない。さらに、本発明のスルホポリウレア組成物に基づくフィルムは、100度を超える温度でもストレージ係数の損失が比較的低い。
【0015】
本発明のスルホポリウレア組成物は、複数の式(a):
【0016】
【化13】
Figure 0004102020
で示されるセグメント(a)と
式(b):
【0017】
【化14】
Figure 0004102020
で示されるセグメント(b)とが式
【0018】
【化15】
Figure 0004102020
(式中、各Rはそれぞれエーテルまたはエステル官能基を含む平均分子量200−600の二価脂肪族基を表し、
各Rはそれぞれ平均2−15の炭素原子を有する二価の直鎖または分枝鎖アルキレン基もしくはシクロ脂肪族基またはエーテルまたはエステル官能基を含む平均分子量200−2,000の二価脂肪族基を表し、
はメチレン−4,4’−ジフェニル基、1,4−フェニル基、4,4’−ビフェニル基、1,6−ナフチル基、N,N−ジ((p−メチルフェニル)フェニル)−カルボジイミド基またはその混合物を表し、
mは約2−約5の整数であり、
nは約2−約15の整数であり、
xは1であり、
yは0−4の整数であり、
zは0−6の整数であり、そして
Mはナトリウム、リチウムまたはカリウムの陽イオンである)
で示されるセグメントにより互いに連結されてなるポリマーからなる。
【0019】
本発明の好ましいスルホポリウレア組成物としては、式中、Rは平均分子量約400のの二価脂肪族ポリオキシエチレン基と平均分子量約425の二価脂肪族ポリオキシプロピレン基の等モル混合物からなり、Rは平均分子量約400の二価脂肪族ポリオキシエチレン基と平均分子量約425の二価脂肪族ポリオキシプロピレン基および平均分子量約1000の二価脂肪族ポリオキシプロピレン基の等モル混合物からなり、Rはメチレン−4,4’−ジフェニル基からなり、xは1であり、yは0−1.5であり、そしてzは0−5である組成物が挙げられる。より好ましくは、yは1であり、そしてzは0−3である。
【0020】
本発明の好ましいスルホポリウレア組成物として他には、式中、Rは平均分子量約600の二価脂肪族ポリオキシエチレン基からなり、Rは平均分子量約600の二価脂肪族ポリオキシエチレン基2当量と平均分子量約1000の二価脂肪族ポリオキシプロピレン基1当量の混合物からなり、Rはメチレン−4,4’−ジフェニル基からなり、xは1であり、yは1であり、そしてzは0−5である組成物が挙げられる。より好ましくは、zは0−3である。
【0021】
本発明のスルホポリウレア組成物は、好ましくは約1,000−約8,500、より好ましくは約2,500−約7,000のスルホン酸塩当量を有し、約20重量%−約60重量%、好ましくは約30重量%−約50重量%のハードセグメント含量を有する。
【0022】
本発明のスルホポリウレアの調製を、以下の反応経路に略図的に示す。この反応経路では、工程1でジメチル−5−ソジオスルホイソフタレート(I)をポリオール(II)を用いてトランスエステル化し、スルホポリオール(III)を調製する。続いて、工程2でスルホポリオール(III)をポリイソシアネート(IV)との反応によりイソシアネート末端スルホプレポリマー(V)に転化してスルホポリオールからプレポリマーを調製する。工程1で過剰のポリオール(II)が用いられた場合には、工程2の反応生成物はイソシアネート末端スルホプレポリマー(V)とイソシアネート末端ポリオール(VI)の混合物を含んでなる。過剰のポリオールという用語には、初期のトランスエステル化反応に用いられる過剰のポリオールまたはトランスエステル化反応の反応生成物により多くの同じポリオールまたは異なるポリオールを加えることが含まれるということがわかり、前記異なるポリオールとしては、分子量約62−約200の範囲を有する低分子量ポリオールが挙げられる。工程2の反応生成物は未反応の/過剰なポリイソシアネート(VI)が含まれていてもよい。前記過程により生成されるイソシアネート末端スルホプレポリマーは米国特許第4,558,149号、第4,746,717号および第4,855,384号に記載されている。また、スルホポリオール(III)をラクトンと反応させてラクトン化スルホ−有機ジオールを形成し、続いてポリイソシアネートと反応させてイソシアネート末端スルホプレポリマーを形成してもよい。工程3では、イソシアネート末端スルホプレポリマー−プレポリマー(V)[またはプレポリマーの混合物(V、VIおよびII)]を微小流動化器に入れ、反応温度を約70度としてN風囲気下、約5−約60分間高速ねじり撹拌を維持することによりスルホポリウレア(VII)のコロイド分散液をイソシアネート末端スルホプレポリマー(V)[またはプレポリマーの混合物(V、VIおよびII)]から調製してもよい。他の混合方法としては、肉眼でみえるようなゲル粒子の形成を避けるため、ねじりまたは撹拌の適切なレベルを与える方法を採用してもよい。回転成形または他の標準的フィルム形成技術によりスルホポリウレア(VII)のコロイド分散液から自立構造フィルムを調製した。
【0023】
スルホポリオール(III)の調製に用いるものとして適切なポリオール(II)は、典型的には低分子量ジオールであるが、それに限らず、平均分子量400のポリエチレングリコール(DuPont Chemicals、Wilmington、DEから入手可能)、平均分子量600のポリエチレングリコール(Union Carbide Chemical and Plastics Co.,Inc.、Danbury、CTから入手可能)、平均分子量425のポリプロピレングリコール(Arco Chemical、Newton Square、PAから入手可能)およびポリカプロラクトンジオール(Union Carbide Corp.からPCP−200として入手可能)が挙げられる。
【0024】
スルホポリオール(III)は、一またはそれ以上の示したポリオール(II)、ジメチル−5−ソジオスルホイソフタレート(I)およびトランスエステル化反応触媒を用いて、典型的なトランスエステル化反応条件下調製される。反応混合物からメタノールを蒸留し、反応を完全に進行させる。スルホポリオール(III)は一種のポリオールまたは二種以上のポリオールの混合物を用いて調製することができる。典型的には、過剰のポリオール(II)(ジメチル−5−ソジオスルホイソフタレートに対し4:1モルまで過剰なポリオール)をスルホポリオール(III)の形成に用い、工程2のイソシアネート末端スルホプレポリマーに持ち越されるスルホポリオール(III)およびポリオール(II)の混合物を生成する。
【0025】
【化16】
Figure 0004102020
【0026】
イソシアネート末端スルホポリマー(V)の調製に用いるポリイソシアネート(IV)は高い芳香族含量を有し、ハードセグメントの形成およびそれに続く最終的スルホポリウレア(VII)の相分離を促進する。適切なポリイソシアネートとしては、4,4’−ジイソシアネートジフェニルメタン(Aldrich Chemical Co.、Milwaulkee、WIから入手可能)、1,4−ジイソシアネートベンゼン、4,4’−ジイソシアネートビフェニル、1,6−ジイソシアネートナフテンおよびイソネート2143L(Dow Chemical Corp.、Midland、MIから入手可能)または二種以上の同じものの混合物が挙げられるが、それらに限られない。イソシアネート末端スルホポリマー(V)は一種のスルホプレポリオールまたはスルホポリオール(III)および一種またはそれ以上のポリオール(II)の混合物を用いて調製してよい。プレポリマー(V)形成反応は典型的には過剰のポリイソシアネート(III)(ヒドロキシル末端基に対し約1−50モル%過剰なイソシアネート基)を用い、イソシアネート末端スルホプレポリマー(V)、イソシアネート末端ポリオール(VI)および未反応ポリイソシアネート(IV)の混合物を生成する。
【0027】
スルホポリオールおよびポリイソシアネート反応体の量は、約20重量%−約60重量%、好ましくは約30重量%−約50重量%のハードセグメント含量を有するスルホポリウレア組成物を生成するように調整する。
【0028】
イソシアネート末端スルホプレポリマー(V)[または(V)、(VI)および(II)の混合物]を水に入れ、例えば微小流動化器を用いて生成される肉眼でみえるようなゲルの形成を避けるため充分に撹拌すると、最終的には本発明のスルホポリウレア(VII)を生成する前駆体のコロイド分散液が生成される。水性環境への導入に続いて、イソシアネート基の一部分をアミノ基で加水分解すると、次には加水分解していないイソシアネート基とも反応してスルホポリウレア(VII)のウレア連結を形成する。この過程で、直径1ミクロン未満、典型的には直径約10ナノメートル−約500ナノメートルの範囲のスルホポリウレア(VII)粒子の分離した配置または分散液が水中にうまれる。この分散液は半透明で、青みを帯びたコロイド分散液の外観的特徴を有する。粒子には、分散液が良好な安定性を示す垂れ下がったスルホン酸塩基により、充分な親水性が与えられ、周囲条件で界面活性剤を追加せずに延長したストレージで撹拌またはアジテーションしなくても実質的に凝集がみられない。例えば、様々な支持体を湿りやすくするために、分散液の安定性に対し不都合に作用することのない追加の界面活性剤を分散液に加えてもよい。
【0029】
金属、プラスティック、木などの、しかしこれらに限定されるわけではない様々な支持体に分散液を適用することにより保護コーティングを形成することができる。分散液を繊維性支持体に適用して支持体にポリウレアバインダーを与えてもよい。
【0030】
組成物から水を除去し、粒子を癒着させることにより自己支持フィルムの自立構造はコロイド分散液から容易に調製される。通常の回転成形またはフィルムコーティング技術をこれらのフィルム形成に利用してもよい。共溶媒を水性分散液に加えることにより、本発明のコロイド分散液の安定性に不都合に影響することなくフィルム形成や支持体の湿りを容易にしてもよい。
【0031】
このように生成されたスルホプレポリマーポリウレアフィルムは水の除去により相分離をおこし、実質上無定形、ソフトセグメントであって、前記セグメントはスルホン酸塩および二つのカルボン酸エステル基からなるトリアリール基を中央に含むスルホポリウレアセグメントからなり、前記エステル基はさらにエーテルまたはエステル機能を含む二価のアルキル基を含んでなるソフトセグメント、およびウレタンおよびウレア連結を含んでなるセグメントからなる半結晶のハードセグメントであって、前記連結はスルホポリウレア鎖のセグメントを含んでなるハードセグメントに分離する。この相分離は周囲温度でおこる一方、温度を上げてフィルムをアニーリングすることにより促進することもできる。典型的なアニーリングの温度は40−70度である。アニーリングの条件(すなわち時間と温度)を慎重に選択することにより、本発明のスルホポリウレアのハードセグメントにおける結晶化を促進し、これらのセグメントにとって300度を超えるTに達することが可能となる。
【0032】
本発明のスルホポリウレア組成物から調製されるフィルムの高温度での意外な性能は、熱重量測定分析(TGA)およびダイナミックメカニカル分析(DMA)の検査で、本発明のスルホポリウレア組成物から調製されたフィルムのデータを市販で入手可能な水に支持されたポリウレタン/ウレア組成物から調製されたフィルムの類似のデータに比較すると明らかである。比較のポリウレタン/ウレアに対するスルホポリウレアの熱安定性は、スルホポリウレアおよび比較のポリウレタン/ウレアのTGA分析でフィルム試料をN風囲気下550度に供すると劇的に実証される。全ての場合で、本発明のスルホポリウレア組成物は550度にさらしても、もとの非加熱試料の重量に対し少なくとも12%から27%の高さまで残ったが、比較のポリウレタン/ウレアは約3%未満しか残らなかった。DMAでも、本発明のスルホポリウレア組成物の高温度での意外な性能が実証される。図1に、温度の関数としてフィルムの引っ張りストレージ係数(E’)に対するDMA曲線を本発明のスルホポリウレアのフィルムについてプロットする。実施例1−4の組成物にそれぞれ対応する曲線A−Dは、全て約0−50度まで安定状態にある初期E’値を示し、次にフィルム温度が約40−75度に達するにつれ降下し、そこでE’は実質上約150度を超える温度まで安定状態にある。比較の、市販で入手可能な水に支持されたポリウレタン/ウレアに基づくフィルムの対応するDMAデータは図4−6に示される。全ての場合において、これらのフィルムのE’値はフィルム温度を上げると安定した減少を示す。
【0033】
このデータの分析により、温度上昇の関数としてストレージ係数と剛性の維持が測定される。より詳しくは、実施例1−4のスルホポリウレア組成物については、100−135度の温度範囲では約13%−77%のE’損失が観察され、100−200度の温度範囲では約9%−133%のE’損失が観察された。これは比較例C1−C4については、100−135度の温度範囲で約126%−約902%のE’損失が観察されたことと対照する。100−200度の温度範囲でのE’変化は、比較の試料についてはあまりに軟らかくなりすぎ、かつ軟らかくなった試料の係数は分析器の計測限界以下となったので、決定することができなかった。
【0034】
静電気防止剤、殺生物剤、充填剤、研磨補助剤、潤滑剤、顔料やレー理論上の添加剤などの、しかしこれらに限定されるわけではない補助剤を、本発明のスルホポリウレア組成物に組成物の熱性質に不都合な影響を与えずに取り込むこともできる。
【0035】
本発明の研磨物は、シート、ブロック、ストリップ、ベルト、刷毛、回転フラップ、ディスクまたは固体のもしくは泡だった盤などの様々な通常の形態をとってよい。特に便利な形態はディスクまたは精密円筒の形態をとった盤であり、シリンダーの高さが例えば数ミリメートルオーダーの非常に小さい寸法であってもよく、または例えば2メートルまたはそれ以上の非常に大きい寸法であってもよく、例えば数センチメートルオーダーの非常に小さい直径であってもよく、または例えば1メートルまたはそれ以上の非常に大きい直径であってもよい。前記盤は典型的には軸または使用に際し盤を回転させる他の機械的支持手段による支持のための中央開口を有する。盤の寸法、配置、支持手段および回転手段は当該技術においてよく知られている。
【0036】
基材は固体のまたは泡だった有機ポリマーまたは不織布繊維織物のどちらでもよい。このような基材も従来技術でよく知られている。非常に有効な例として、接触点で研磨粒子を含有するバインダーと粘着した縮めた短繊維からなる不織布繊維基材が米国特許第2,958,593号(Hooverら)に記載されている。米国特許第4,227,350号(Fitzer)は、3次元波形を内部に取り入れた自生結合連続フィラメントからなる基材を開示している。
【0037】
本発明の研磨物は、当該技術でよく知られる適切な技術により調製されてもよい。例えば、盤の形は研磨材料のスラブからダイカットしてもよい。さらに、研磨材料のリボン、ストリップまたは伸長したセグメントを螺旋状に盤型に傷を付け、一方バインダー系を成形せずにまたは一部成形して、それから盤をつくるように成形してもよい。さらに、成形していないまたは一部成形した織物をシートまたはディスクにカットして、次々に重ね、それから加圧して加圧下高密度研磨物となるようにしてもよい。このような形成技術は当該技術においてよく知られている。
【0038】
本発明の研磨物は、広範囲で様々な場面の使用に適する。金属、木、プラスティック、複合物、ガラス、セラミック、コンクリートや他のいかなる製造素材の使用についても適応するであろう。製造素材から材料を積極的に除去すること、塗装、板金などの準備における製造素材の洗浄すること、光るほどの仕上がりまで表面を磨くこと、または液体にこだわらずに表面を繊細にふくことなどを目的としてよい。
【0039】
本発明に従う好ましい研磨物としては、一種のコーティングのみがその利益の実現に必須であるとして、複数のコーティングであってもよい。例えば、不織布織物をハード熱設定バインダーまたは丈夫な、エラストマーのバインダーでかるく被覆して、次のコーティングのための支持体としてよい。この初期コーティングは「予備結合」として知られている。次に第二または「作成(make)」コーティングを施し、さらに強く、さらに硬く、さらに丈夫にし、および/またはより多く研磨粒子を複合物に与えてもよい。次に第三または「サイズ」コーティングを施し、さらなる研磨粒子の付与および/またはさらなる研磨複合物の強化を行ってもよい。本発明のスルホポリウレアバインダー系は、いくつかのまたは全てのコーティングに用いることができ、この開示で証明されるように、このような研磨組成物を製造するために必要な全ての資質を提供しうる。また、特定の研磨物にとっても、それに施される全てのコーティングは実質的に本発明のバインダー系からなっていてもよい。
【0040】
試験方法
TGA(熱重量測定分析)
熱重量測定分析は、TA Instruments TGA(TA Instruments、Amherst、MAから入手可能)を用いて行った。温度は窒素風囲気下200度−550度を10度/分の傾斜とした。残さの百分率は550度での一定重量損失後に測定した。
【0041】
DMA(ダイナミックメカニカル分析)
DMAスペクトルはRheometrics RSA IIダイナミックメカニカル分析器(Rheometrics Scientific、Piscatawny、NJから入手可能)を用いて生じさせた。典型的な寸法20−25mm長さ、7mm幅および0.2−0.7mm厚さの試料を繊維/フィルム固定置にのせ、試料が崩れないように静的張力を負荷した。試料に振動力を10rad/秒で負荷し、得られた正弦応力を温度の関数として測定した。典型的な温度範囲のプロフィールは、5度/分で−50−250度であった。負荷した力に伴う正弦応力の応答の補正により、引っ張りストレージ係数(E’)、引っ張り損失係数(E”)およびtanδを計算した。ガラスの温度推移は、tanδにおける最初の最大に対応する温度により決定した。温度の関数として流出耐性を測定するため、温度の関数としてストレージ係数を測定する各材料について、プロットした。
【0042】
引っ張りの分析
引っ張りの測定は、Sintechの機械(Sintech,Inc.、Research Triangle Park、NCから入手可能)を用いて12.54cm/分の速度で行った。試料を2.54cm長さと0.47cm幅のイヌの骨の形にダイカットした。3種の複製を各試料について用いた。
【0043】
粒子サイズの決定
粒子サイズは、Malvern PCS 4700機(Malvern Insruments LTD.、MALVERN Worcs UK、Malvern Instruments Ltd.、Spring Lane South MALVERN Worcs WR14 1XZ、UKから入手可能)を用いて75mWアルゴンレーザーで標準的なダイナミック光散乱方法により決定した。濃縮した分散液を5μmナイロンフィルターにより予備濾過し、次に濾過した(0.45μm)DI水を用いて0.001重量%に希釈し、分析した。5つの測定値を得、その値を平均化した。結果、Cumulents分析により決定した平均直径および多分散率を得る。
【0044】
ディファレンシャル走査熱量測定(DSC)
典型的には、目的材料の試料約10mgを試料パンに置き、DSC機(TA Instrument、New Castle、Delawareから入手可能)の試料ヘッドに置く。試料チャンバーの温度を制御して上げ、エネルギーを様々な速度で試料に与え、参考ヘッド上の空の参考パンに対し一定温度を保つ。参考に対し試料に与えたエネルギーを温度の関数としてプロットする。典型的には、図は下降方向で融点などの吸熱推移を示す。
【0045】
WAXスペクトル方法
フィルム試料を、Philips vertical回折計(reflection geometryとしてPhilips Electronic Instruments Company、Mahwah、NJから入手可能)を用いて、銅Kα放射および散乱放射の比例検出記録で広角X線散乱技術により調べた。回折計には可動入り口スリット、固定された出口スリットおよび黒鉛回折ビームモノクロメーターが備わっている。段階走査は5−55度(2θ)内で行い、0.04度段階サイズ、4秒のドエル時間の角度範囲で散乱させた。発電器の設定は40kVおよび35mAとした。得られたデータの分析はPhilips PC−APDソフトウェアを用いて行った。高温度走査は、プラチナストリップ炉およびPaarHTLコントローラーに合わせた類似の回折系を用いて行った。
【0046】
それ自身の部分を製造素材に対して動かすかこするための研磨盤の性向を試験する方法を以下に記載する。
【0047】
スメア試験
9.5mmの中央穴を有し、厚さ6mm、直径75mmの盤を、1分当たり14,000−18,000回転の非負荷速度で回転するエアー発動ツールの軸にのせた。ツールを静止して支持し、試験製造素材に対する盤に力を負荷した。動かした旋回テーブルにのせた60mmx300mmチタン金属プレートに対し回転盤に35.6N(または充分にコントロール試料をこする力)の力を負荷し、盤に1秒当たり25mmの速度で金属プレート上に200mm長さの跡をつけさせた。
【0048】
比較のために、こする金属に移る研磨物の性向を以下の図により主観的に評価する。
【表1】
Figure 0004102020
【0049】
実施例
ポリオールの調製
スルホポリオールAの調製
機械的撹拌機、窒素を通じる系および蒸留装置を備えた反応器に、ジメチル−5−ソジオスルホイソフタレート(42.6g、0.144モル、Du Pont Chemicalsから入手可能)、分子量400のポリエチレングリコール(115.1g、0.288モル、Union Carbide Chemical and Plastics Co.,Inc.から入手可能)および分子量425のポリプロピレングリコール(122.3g、0.288モル、Arco Chemical Co.から入手可能)ならびにキシレン(75g)をチャージした。反応容器を1時間かけて穏やかに220度まで加熱し、キシレンを除去した。次に、酢酸亜鉛(0.2g)をフラスコ内容物に加え、反応からメタノールを蒸留しながら反応混合物の温度を220度で4時間維持した。次に、温度を160度に下げ、0.2torrの減圧を反応混合物に30分間施した。続いて、フラスコの内容物を窒素風囲気下120度に冷却し、排水して無色透明の液体ポリオールを生成した。このポリオールのOH当量は310g/モルOH(理論上は320のOH)であった。ポリオール混合物の理論上のスルホン酸塩当量は1882gポリマー/モルスルホン酸塩である。
【0050】
スルホポリオールBの調製
スルホポリオールBは実質上スルホポリオールAの調製に記載した方法に従って調製したが、反応体のチャージはジメチル−5−ソジオスルホイソフタレート(27.5g、0.09モル)、分子量600のポリエチレングリコール(222.6g、0.37モル、Union Carbide Chemical and Plastics Co.,Inc.から入手可能)およびキシレン(75g)とした。このポリオールのOH当量は425g/モルOH(理論上は439のOH)であり、理論上のスルホン酸塩当量は2632gポリマー/モルスルホン酸塩であった。
【0051】
スルホポリオールCの調製
スルホポリエステルポリオールを一般的には米国特許第4,746,717号の実施例1に記載の方法に従って調製した。反応器に機械的撹拌機、窒素を通じる系、蒸留ヘッドおよび受け取りフラスコを備え、減圧蒸留に設定し、受け取りフラスコをドライアイス/アセトン浴を用いて冷却した。反応器に、ジメチル−5−ソジオスルホイソフタレート(296g、1モル)およびポリカプロラクトンジオール(1060g、2モル)、PCP−0200(Union Carbide Chemical and Plastics Co.,Inc.から入手可能)をチャージした。フラスコの内容物を窒素風囲気下撹拌しながら230度まで加熱し、テトライソプロピルチタン酸塩(0.13g)をエステル化触媒として加えた。反応混合物を230度で4時間維持し、その間50−75%のメタノール凝縮液を除去した。反応器内の圧力を20torrに下げ、15分間維持し、窒素で系を反対に満たした。白熱したフラスコから低粘度の生成物を除去した。このポリオールは、ポリマー1グラム当たり840モルOHのヒドロキシル当量を有しており、理論上のスルホン酸塩当量は1292gポリマー/モルスルホン酸塩であった。
【0052】
実施例1
イソシアネート末端スルホプレポリマーの合成
機械的撹拌機および窒素を通じる系を備えた反応器に、4,4’−ジイソシアネートジフェニルメタン(183.9g、0.736モル、Bayer Corp、Pittsburgh、PAから入手可能)およびスルホン酸エタン(0.25g、Aldrich Chemical Company、Milwaukee、WIから入手可能)をチャージし、混合物を70度に加熱した。ポリオールA(216.1g)を穏やかに30分かけて撹拌しながら反応混合物に加えた(NCO:OHのエンドキャップ比率は2.1:1)。混合物をさらに5時間加熱し、窒素を通じて排水して、粘度のある透明な液体を生成した。
【0053】
スルホポリウレア分散液の合成
脱イオン処理した水(1000g)を、温度68度の熱交換機を通じて再循環するHC−8000微小流動化機(Microfluidics,Inc.、Newton、MA)にチャージした。前記イソシアネート末端プレポリマー(175g)を85度に予備加熱し、次に微小流動化機に入れ、それを50MPaの圧力で20分間作動して、安定で、半透明の青みを帯びた分散液を18%固体、pH7で生成した。平均粒子サイズは約40nmであることが前記レーザー光線散乱によりわかった。分散したポリマーの理論上のスルホン酸塩当量は3387gポリマー/モルスルホン酸塩であり、ハードセグメント含量は45%であった。
【0054】
このように調製した約50gの分散液を高速回転テフロンドラムに入れ、55度で12時間維持して、DMAによるTが65.1度の透明な19mil厚さのスルホポリウレアフィルムを生成した。フィルムは沸騰水には分散せず、前記引っ張り分析方法に従って試験すると、0.05の負荷で降伏応力49.4MPa、破壊応力35.7MPa、93%の破壊での伸び、およびヤング係数1,486MPa(図1,曲線A)であると決定された。前記TGA分析では、フィルムを550度に窒素風囲気下加熱した後では20.0%残さとなることがわかった。フィルムの温度の関数としてE’についてのDMAデータを図2,曲線Aに示す。
【0055】
実施例2
イソシアネート末端スルホプレポリマーの合成
機械的攪拌機および窒素を通じる系を備えた反応器に、4,4’−ジイソシアネートジフェニルメタン(126.6g、0.506モル)およびスルホン酸エタン(0.13g)をチャージし、70度に加熱した。ポリオールA(113.2g)および分子量1000のポリプロピレングリコール(60.3g、0.06モル、Arco Chemical Co.)を予備混合し、次に穏やかに30分かけて撹拌しながら反応混合物に加えた(NCO:OHのエンドキャップ比率は2.1:1)。混合物をさらに70度で5時間加熱し、窒素を通じて排水して、粘度のある透明な液体を生成した。
【0056】
スルホポリウレア分散液の合成
実施例1に記載の方法に従って、イソシアネート末端スルホプレポリマーを85度に予備加熱し、脱イオン処理した水(1000g)中に分散させ、17%固体を含有する安定で、青みを帯びた白い分散液を得た。その理論上のスルホン酸塩当量は4864gポリマー/モルスルホン酸塩であり、ハードセグメント含量は41%であり、多分散インデックス0.17で、平均粒子サイズは106nmであった。
【0057】
スルホポリウレアの自立構造フィルムは、DMAによるTが37.8度であり、沸騰水には分散せず、破壊応力48.6MPa、263%の破壊での伸び、降伏応力はなく、かつヤング係数476MPa(図1,曲線B)であった。前記TGA分析では、フィルムを550度に窒素風囲気下加熱した後では12.1%残さとなることがわかった。フィルムの温度の関数としてE’についてのDMAデータを図2,曲線Bに示す。
【0058】
実施例3
イソシアネート末端スルホプレポリマーの合成
ポリオールB(205.1g)、分子量1000のポリプロピレングリコール(79.5g、0.08モル)、イソネート2143L(196.4g)およびスルホン酸エタン(0.1g)(NCO:OHのエンドキャップ比率は2.1:1)をチャージして、実施例3の方法を繰り返した。
【0059】
スルホポリウレア分散液の合成
実施例1に記載の方法に従って、イソシアネート末端スルホプレポリマー(175g)を脱イオン処理した水(800g)中に分散させ、18%固体を含有する安定で、白い分散液を得た。その理論上のスルホン酸塩当量は5850gポリマー/モルスルホン酸塩であり、ハードセグメント含量は40%であり、多分散インデックス0.14で、平均粒子サイズは91nmであった。前記のように製造されたこのスルホポリウレアの自立構造フィルムは、DMAによるTが18.9度であり、沸騰水には分散せず、破壊応力29.8MPa、412%の破壊での伸び、降伏応力はなく、かつヤング係数13.0MPa(図1,曲線C)であった。前記TGA分析では、フィルムを550度に窒素風囲気下加熱した後では27.1%残さとなることがわかった。フィルムの温度の関数としてE’についてのDMAデータを図2,曲線Cに示す。
【0060】
実施例4
実施例2および実施例3で得られた分散液を振ってともに混合し、50重量%の各ポリマーからなる安定な分散液を生成した。前記のように製造されたこのスルホポリウレア混合物の自立構造フィルムは、DMAによるTが29.0度であり、沸騰水には分散せず、破壊応力33.9MPa、363%の破壊での伸び、降伏応力はなく、かつヤング係数152MPa(図1,曲線D)であった。前記TGA分析では、フィルムを550度に窒素風囲気下加熱した後では16.1%残さとなることがわかった。フィルムの温度の関数としてE’についてのDMAデータを図2,曲線Dに示す。
【0061】
比較例
比較例C1−C5に列挙するような市販で入手可能な水に支持されたポリウレタンを用いて比較分析(引っ張り分析、DMAおよびTGA)を行った。試料フィルムは実施例1−4の記載と同様に調製した。
【表2】
Figure 0004102020
【0062】
引っ張り分析
比較例C1−C5についての引っ張り分析のデータを図3に示す。比較例の材料C1−C5が示した降伏応力、力および破壊力は実施例1−4に記載した本発明のフィルムにより示されたものと非常によく似ていた。
【0063】
DMA分析
実施例1−4に記載した前記方法を用いて、比較例C1−C5についてダイナミックメカニカル分析を行った(図4,5および6を参照のこと)。
【0064】
実施例1−4および比較例C1−C5のDMA曲線データ(図2、4、5および6)を分析し、上昇させた温度の関数としてストレージ係数維持を測定値を得た。温度範囲100度−135度でのE’の百分率の変化および温度範囲100度−200度でのE’の百分率の変化を全試料について以下に示す。
【表3】
Figure 0004102020
【0065】
TGA分析
前記フィルム試料について熱重量測定分析を行った(表1を参照のこと)。本発明の技術に従って調製した実施例1−4で550度に延長して加熱した後、元の非加熱試料に比較すると、最終的に12重量%を越える重量、いくつかの場合では25重量%を越える重量の硬く、もろい残さを得た。比較例C1−C5は全て3重量%の残さレベルしか示さなかった。
【表4】
Figure 0004102020
【0066】
実施例5
窒素を通じる系、機械的攪拌機および蒸留装置を備えた反応器に、スルホポリオールC(91.2g)およびメチルエチルケトン(MEK、300g)をチャージした。反応器の内容物を、120度に反応器を加熱し、約50gのMEKを蒸留することにより乾燥し、続いて混合物を70度に冷却して、スルホン酸エタン(0.1g)を反応器に加え、さらにイソネート2143L(34.9g、0.24モルNCO、NCO:OHは2.25:1)を加えた。次に、反応混合物を乾燥窒素風囲気下70度で6時間撹拌した。
【0067】
圧力補正添加筒および窒素を通じる系、機械的攪拌機および蒸留装置を備えた反応器に、脱イオン処理した水(700g)をチャージし、その水を沸騰するまで加熱した。前記イソシアネート末端プレポリマーを、重く窒素を通じかつ高速で撹拌しながら1時間かけて水に加え、一方MEKを連続的に除去した。次に、フラスコ内の圧力をアスピレーター圧力を用いて段階的に下げ、残るMEKおよび水の一部分(約225g)を除去した。得られた分散液(21%固体)は外観として黄金色で透明であった。
【0068】
実施例1に記載のように製造したこのスルホポリウレアの19mil厚さの自立構造フィルムは、Tが10.4度であり、沸騰水には分散せず、引っ張り強度53.5MPa、407%の破壊での伸び、100%の伸びでの係数が15.0MPaであった。
【0069】
実施例6
実施例5の方法に従って、イソシアネート末端プレポリマーを調製し、ただしチャージとしてスルホポリオールC(159.0g、0.19モルOH)、ネオペンチルグリコール(9.84g、0.19モルOH、Aldrich Chemical Co.から入手可能)およびイソネート2143L(108.27g、0.76モルNCO、NCO:OHは2:1)を用い、スルホポリオールおよびネオペンチルグリコールは混合してアゼオトロープ乾燥した。実施例6の方法に従って、プレポリマーを70度に加熱し、蒸留水(700g)に分散させた。
【0070】
得られた分散液は水中に27%の固体を有し、外観は白色の半透明であった。実施例1の記載に従って調製したこのポリマーのフィルムは丈夫で透明であり、沸騰水には分散しなかった。ポリマーは(DSCによる)Tが46.7度であり、理論上のスルホン酸塩当量はスルホン酸塩1モル当たり2928gポリマーであり、引っ張り強度57.5MPa、253%の破壊での伸び、100%の伸びでの係数が39.0MPaであった。
【0071】
実施例7
イソシアネート末端スルホプレポリマーの合成
スルホポリオールB(62.2g)、イソネート2143L(62.8g)およびスルホン酸エタン(0.1g)をチャージして、実施例2の方法を繰り返し、NCO:OHのエンドキャップ比率が3:1のNCO:OHで粘度のある液体プレポリマーを製造した。
【0072】
スルホポリウレア分散液の合成
実施例2に記載の方法に従って、調製したイソシアネート末端スルホプレポリマー(125g)を水(700g)中に分散させ、安定で、白色から青色の外観で、18%固体を含有する分散液を得た。
【0073】
記載した成形方法を用いて、この分散液の自立構造フィルムを調製した。フィルムはDSCによるTが31.2度であり、沸騰水には分散せず、破壊応力49.1MPa、201%の破壊での伸び、降伏応力26.7MPa、かつヤング係数713MPaであった。
【0074】
実施例8
実施例6の方法に従って、イソシアネート末端プレポリマーを調製し、ただしチャージとしてポリオールC(200.0g、0.24モルOH)およびイソネート2143L(68.0g、0.48モルNCO、NCO:OHは2:1)を用いた。実施例5の方法に従って、メチルエチルケトン中のプレポリマーをアゼオトロープ乾燥し、70度に加熱し、蒸留水(2500g)に分散させた。
【0075】
得られた分散液は水中に10%の固体を有し、外観は透明で黄金色であった。実施例1の記載に従って調製したこのポリマーのフィルムは丈夫で透明であり、沸騰水には溶解しなかった。ポリマーは(DSCによる)Tが1.8度であり、理論上のスルホン酸塩当量はスルホン酸塩1モル当たり2200gポリマーであり、引っ張り強度43.8MPa、そして462%の破壊での伸びであった。
【0076】
実施例9
実施例5の方法に従って、イソシアネート末端プレポリマーを調製し、ただしチャージとしてメチルエチルケトン(800g)、4,4’−ジイソシアネートジフェニルメタン(423.1g、1.69モル)およびポリオールA(467.9g、1.54モルOH、NCO:OHのエンドキャップ比率は2.2:1)を用いた。次に、実施例5の方法に従って、メチルエチルケトン中のプレポリマーを70度に加熱し、蒸留水(2500g)に分散させた。
【0077】
得られた安定な分散液は水中に28%の固体を有し、外観は半透明で青みを帯びており、pHは7であった。実施例1の記載に従って調製したこのポリマーのフィルムは丈夫で透明であり、沸騰水には溶解しなかった。ポリマーは、理論上のスルホン酸塩当量はスルホン酸塩1モル当たり3416gポリマーであり、0.053の力で降伏応力57.9MPa、破壊応力47.3MPa、ヤングの係数1679MPa、そして162%の破壊での伸びであった。
【0078】
このフィルムの試料を窒素風囲気下10時間110度でアニールした。もとの試料およびアニールしたフィルムを広角X線散乱により評価すると、アニーリングについてはオーダーでの上昇が示された(図7)。アニールした試料のディファレンシャル走査熱量測定ではTは342度であった。
【0079】
アニールについてのオーダーでの上昇は、アニールしたフィルムのWAXSスペクトルにおける不連続散乱強度の外観により明らかであった。オーダーでの上昇は結晶ドメインの形成、存在する結晶ドメインのサイズの拡大、または存在する結晶ドメインのオーダーの上昇と関連するのかもしれない。
【0080】
実施例10
80g/mの重さで、15mm厚さの低密度不織布織物を、商標名「Rando Webber」としてRando Machine Corporation、Macedon、N.Y.から入手可能な織物形成機械を用いて13デニールナイロン−6,6繊維から形成した。得られた低密度織物は予備結合樹脂でロール被覆されており、キシロール39.3%、35部メチレンジアニリン(MDA)および65部2−エトキシエタノールの酢酸塩の溶液16.1%、分子量約1500を有するポリ−1,4−ブチレングリコールジイソシアン酸ケトキシム(商標名「Adiprene BL−16」としてUniroyal Chemicals division of Compton & Knowles Corporationから販売)44.6%および微量のシリコーン消泡剤(「Q2」としてDow Corning Corporation、Midland、MIから入手可能)からなるコーティング溶液を用いて45g/mの重量で乾燥添加した。150度に維持した対流式オーブンに持続時間約7分間、被覆した織物を通すことにより予備結合樹脂を非粘着状態にした。得られた予備結合した不織布織物は、厚さ約10mm、重さ約126g/mであった。
【0081】
ジエチレングリコールモノエチルエーテル39.8%、70%の非揮発性物質を有する塩基触媒にかけたフェノール−ホルムアルデヒド樹脂59%、水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:水が1:1)1.2%およびフルオロケミカル界面活性剤(商標名「FC 170」としてMinnesota Mining and Manufacturing Company、St.Paul、MNから入手可能)0.06%からなる粘着性バインダーを、前記予備結合した織物上に54g/m乾燥速度でロール被覆した。濡れて粘着被覆した織物を、100grit(平均粒子サイズ140ナノメートル)酸化アルミニウム研磨粒子を用いて950g/mの速度で、同時に織物の主要な表面上に向けられるようエアスチーム中に研磨粒子を分散させて均一に被覆した。次に、研磨被覆した織物のセグメントを「A」または「B」として特定するサイズ樹脂を用いてサイズバインダー樹脂でロール被覆し、サイズ粘着が、樹脂「A」の場合には205g/mの乾燥添加となるように、そして樹脂「B」の場合には100g/mの乾燥添加となるように、粘着性のサイズした織物を製造する。各サイズした織物を70度に維持した対流式オーブンに持続時間2−4分間通して、部分的に乾燥し、揮発性物質20%は残すが他は全て除去した。
【0082】
サイズ樹脂「A」
水中に30%固体となるよう調製した実施例8の組成物10.52lbs.からなるサイズ樹脂「A」に、潤滑剤「AQUAZINC」ステアリン酸亜鉛エマルジョン(Witco Corporation、Organics Division、New York、NY)0.3lb.、シックナー「LAPONITE XLG」粉末(Southern Clay Products Inc.、TX)0.3lb.を加えて修飾した。
【0083】
サイズ樹脂「B」
サイズ樹脂「B」は、サイズ樹脂「A」からなり、3%水性「METHOCEL F4M」ゲル(960g、3%固体、Dow Chemical Company、Midland、MIから入手可能)を加えて、25%固体となるよう調整した。
【0084】
部分的に乾燥したサイズ樹脂「A」で被覆した8枚の305平方mm織物片を集め、135度に熱した圧板に集めておき、25.4mmに圧し、次に40分間おいて研磨織物を製造した。各スラブを圧力機から取りだし、さらに120分間135度の対流エアオーブン中で成形した。成形したスラブを室温に冷却した後、直径254mm、中央穴3.18mmの盤を厚さ25.4mmのスラブにダイカットした。盤の密度は1インチ立方当たり8.5gであった。接触界面が10psi圧力となるように盤に穿孔したステンレススチールのクーポンを押しつけながら、表面速度5650fpmで盤を回転させて盤の研磨能力を評価した。2分ごとに試験を中断し、試験クーポンと盤の重さをはかった。ステンレススチールクーポンは2分間で4.7g減ったが、盤は同じ時間で14.2g減ったことがわかった。
【0085】
部分的に乾燥したサイズ樹脂「B」で被覆した13枚の229mmx279mm方形の織物片セグメントを集め、135度に熱した圧板に集めておき、25.4mmに圧し、次に40分間おいて研磨スラブを製造した。各スラブを圧力機から取りだし、さらに120分間135度の対流エアオーブン中で成形した。成形したスラブを室温に冷却した後、直径203mm、中央穴51mmの盤を厚さ25.4mmのスラブにダイスカットした。盤の密度は1インチ立方当たり12.19gであった。接触界面が7psi圧力となるように盤に穿孔したステンレススチールのクーポンを押しつけながら、表面速度2000rpmで盤を回転させて盤の研磨能力を評価した。1分ごとに試験を中断し、試験クーポンと盤の重さをはかった。ステンレススチールクーポンは1分間で0.8−1g減ったが、盤は同じ時間で0.6−2g減ったことがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1−4に記載されるように調製されたスルホポリウレアフィルムの引っ張りのデータ曲線の図である。
【図2】 温度の関数として引っ張りストレージ係数(E’)をプロットした、実施例1−4に記載されるように調製されたスルホポリウレアのダイナミックメカニカル分析(DMA)データの図である。
【図3】 市販で入手可能な水に支持された5種のポリウレタンから調製されたフィルム(比較例C1−C5)の引っ張りデータ曲線の図である。
【図4】 温度の関数としてE’をプロットした、市販で入手可能な水に支持された2種のポリウレタンから調製されたフィルム(比較例C1およびC2)のDMAデータの図である。
【図5】 温度の関数としてE’をプロットした、市販で入手可能な水に支持された2種のポリウレタンから調製されたフィルム(比較例C3およびC4)のDMAデータの図である。
【図6】 温度の関数としてE’をプロットした、市販で入手可能な水に支持されたポリウレタンから調製されたフィルム(比較例C5)のDMAデータの図である。
【図7】 ポリマーのTを示す、実施例9のスルホポリウレアフィルムのディファレンシャル温度分析(DTA)曲線の一部分の図である。
【図8】 実施例9のスルホポリウレアの広角X線散乱(WAXS)スペクトルの一部分の図である。

Claims (3)

  1. 複数の式(a):
    Figure 0004102020
    で示される単位(a)と
    式(b):
    Figure 0004102020
    で示される単位(b)とが式(c):
    Figure 0004102020
    (式中、Rはそれぞれ
    −CH−CH−(OCH−CH−)−基、
    −C(CH)H−CH−(OC(CH)H−CH−)−基および
    (CH−CO−[−O−(CH−CO−]−基
    からなる群より選ばれるエーテルまたはエステル官能基を含む平均分子量200−600の二価脂肪族基を表し、
    各Rはそれぞれ平均2−15の炭素原子を有する二価の直鎖または分枝鎖アルキレン基もしくはシクロ脂肪族基または
    −CH−CH−(OCH−CH−)−基、
    −C(CH)H−CH−(OC(CH)H−CH−)−基
    −CH−CH−CH−CH−(OCHCH−CH−CH−基および
    (CH−CO−[−O−(CH−CO−]−基
    からなる群より選ばれるエーテルまたはエステル官能基を含む平均分子量200−600の二価脂肪族基を表し、
    はメチレン−4,4’−ジフェニル基、1,4−フェニル基、4,4’−ビフェニル基、1,6−ナフチル基、N,N−ジ((p−メチルフェニル)フェニル)−カルボジイミド基およびその混合物からなる群より選ばれ、
    は2−5の整数であり、
    は2−15の整数であり、
    xは1であり、
    yは0−4の整数であり、
    zは0−6の整数であり、そして
    Mはナトリウム、リチウムまたはカリウムの陽イオンである)
    で示される単位(c)により互いに連結されてなるスルホポリウレア組成物の安定な水性コロイド分散液であって、該スルホポリウレアは1,000−8,500のスルホン酸塩当量を有する安定な水性コロイド分散液。
  2. 該スルホポリウレア組成物が2,500−7,000のスルホン酸塩当量を有する請求項1記載の水性コロイド分散液。
  3. 研磨粒子が安定で水に分散しうるスルホポリウレアポリマーから形成されるバインダーにより研磨物に固定された耐熱性研磨物であって、該スルホポリウレアポリマーは複数の式(a):
    Figure 0004102020
    で示される単位(a)と
    式(b):
    Figure 0004102020
    で示される単位(b)とが式(c):
    Figure 0004102020
    (式中、各Rはそれぞれ
    −CH−CH−(OCH−CH−)−基、
    −C(CH)H−CH−(OC(CH)H−CH−)−基および
    (CH−CO−[−O−(CH−CO−]−基
    からなる群より選ばれるエーテルまたはエステル官能基を含む平均分子量200−600の二価脂肪族基を表し、
    各Rはそれぞれ平均2−15の炭素原子を有する二価の直鎖または分枝鎖アルキレン基もしくはシクロ脂肪族基または
    −CH−CH−(OCH−CH−)−基、
    −C(CH)H−CH−(OC(CH)H−CH−)−基
    −CH−CH−CH−CH−(OCHCH−CH−CH−基および
    (CH−CO−[−O−(CH−CO−]−基
    からなる群より選ばれるエーテルまたはエステル官能基を含む平均分子量200−600の二価脂肪族基を表し、
    はメチレン−4,4’−ジフェニル基、1,4−フェニル基、4,4’−ビフェニル基、1,6−ナフチル基、N,N−ジ((p−メチルフェニル)フェニル)−カルボジイミド基およびその混合物からなる群より選ばれ、
    は2−5の整数であり、
    は2−15の整数であり、
    xは1であり、
    yは0−4の整数であり、
    zは0−6の整数であり、そして
    Mはナトリウム、リチウムまたはカリウムの陽イオンである)
    で示される単位(c)により互いに連結されてなるスルホポリウレアポリマーの安定な水性コロイド分散液であり、1,000−8,500のスルホン酸塩当量を有する耐熱性研磨物。
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