JP4197258B2 - ステッパモータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、OA機器,コンピュータ周辺機器,産業機器,アミューズメント機器等に使用されるクローポール型のステッパモータに関し、具体的には、くし歯状磁極を構成する極歯に簡易な改変を加えることで、磁極センサにノイズが乗りにくい構成を実現したステッパモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
ステッパモータは、入力するパルスの数に比例して回転駆動する電動機であり、オープンループ制御による低コストのシステムを構築できる。クローポール型の従来のステッパモータは、図1に示すように、2段構成されたA相ステータ11,B相ステータ12と、永久磁石ロータRとから構成される。
【0003】
A相ステータ11は、A相ヨーク11aに取り付けられたくし歯状磁極MTとコイル(A相コイル)Cを備えており、くし歯状磁極MTは、極歯の列が対向して噛み合う向きに配置されて構成されている。B相ステータ12も同様に、B相ヨーク12aに取り付けられたくし歯状磁極MTとコイル(B相コイル)Cを備えており、このくし歯状磁極MTも、極歯の列が対向して噛み合う向きに配置されて構成されている。図1のステッパモータ1では、極歯は全て同一形状としてある。
【0004】
また、永久磁石ロータRには、図示はされていないが円周方向にN極とS極(ロータ磁極RM)とが交互に多極着磁されている。このステッパモータ1は、A相,B相の各コイルCにより励磁された極歯と、永久磁石ロータRに形成されたロータ磁極との間に力を発生させる。A相およびB相の通電を順次切り替えることにより永久磁石ロータRを回転させ、トルクを発生している。
【0005】
ところで、ステッパモータが搭載される機器自身の高性能化に伴い、高い角度精度が要求されるようになっており、図2(a),(b)に示すように、エンコーダが搭載されたステッパモータも使用されるようになっている。
【0006】
図2(a)のエンコーダ21は、軸方向にN−S極を持つ永久磁石が形成された回転磁極板21aと、回転磁極板21aの外周に近い板面側に磁気センサMSが取り付けられたセンサ基板21bとからなる。また。図2(b)のエンコーダ22は、周方向にN−S極を持つ永久磁石が形成された回転磁極板22aと、回転磁極板22aの外周の端面側に磁気センサMSが取り付けられたセンサ基板22bとからなる。
【0007】
図2(a),(b)のエンコーダでは、回転磁極板21a,22aを用いているため、モータの大きさが大きくなるとともに、製造コストも高くなる。このことから、特許文献1に示されているような磁極位置検出技術も知られている。
【0008】
【特許文献1】
特開平2001−078392
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この磁極位置検出技術では、図3に示すように、磁気センサMSは、B相ステータ12側に設けられており、永久磁石ロータに着磁した磁極の漏洩磁束を検出するようになっている。ところが、図3の磁気センサMSでは、極歯MTを通る磁束の影響を受け、これが結果として検出ノイズとなり、誤動作の原因となる。また、このノイズの影響を低減するには、センサの取り付けに際して精度の高い位置決めが必要となる。
【0010】
本発明は、上記した背景に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ロータ磁石の漏洩磁束を検出する磁気センサを備えたステッパモータにおいて、磁気センサが極歯からのノイズの影響を受けることがなく、これにより磁気センサの位置決めの精度を必要としないステッパモータを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のステッパモータは、対向配置されたくし歯状磁極がそれぞれ形成されたヨークとコイルとの組が2段以上重ねて構成されたステータと、前記くし歯状磁極の極歯面に対向するように、N極とS極のロータ磁極が交互に多極着磁された永久磁石ロータと、前記ロータ磁極の位置を検知する磁気センサとを備えたクローポール型を前提とする。
この前提のもとで、前記くし歯状磁極を構成する極歯のうち前記磁気センサに近接する所定極歯の通過磁束が、他の極歯の通過磁束よりも小さくなるようにするために、以下に示す各種の構造をとるようにした。
まず、前記くし歯状磁極を構成する極歯のうち、前記磁気センサの近傍に位置する所定極歯と前記永久磁石ロータとのギャップが、他の極歯と前記永久磁石ロータとのギャップよりも大きくなるように形成することができる。
また、前記くし歯状磁極を構成する極歯のうち、前記磁気センサの近傍に位置する所定極歯の大きさが、他の極歯の大きさよりも小さいように構成してもよい。
さらに、前記くし歯状磁極を構成する極歯のうち、前記磁気センサの近傍に位置する所定極歯が前記ヨークから除去されているように構成することもできる。
【0012】
本発明によれば、前記所定極歯の通過磁束が、他の極歯の通過磁束よりも小さくなる。以下、通過磁束が、他の極歯の通過磁束よりも小さくなるように構成した極歯を「小磁束極歯」と言う。
【0013】
本発明では、ステータの段数を3段以上とすることもできるが、通常は2段とされる。本発明では、前述したように磁気センサの個数は、通常2つであり、磁気センサの間隔は電気角でたとえば90°とすることができる。
【0015】
本発明では、くし歯状磁極に形成された所定極歯を小磁束極歯とすることで、ディテントトルクを小さくできる。磁気センサが設けられない側のステータの小磁束極歯の個数は、磁気センサが設けられない側のステータの小磁束極歯の個数と同数とすることが好ましい。
【0016】
また、本発明のステッパモータでは、磁束を小さくする極歯の個数が、1つのステータについて、少数(通常、磁気センサ数と同数)であることから、低速領域でトルクは僅かしか低減せず、高速領域でのトルクは通常のステッパモータと同等かそれ以上となる。
【0017】
本発明では、センサ基板が、ヨークの一方の端面に、ネジまたはボルトにより取り付けられてなる上記したステッパモータにおいて、センサ基板に設けられたネジ孔またはボルト孔を所定長さの円弧状(ただし、円弧状の孔の中心は当該センサ基板の中心軸に等しい)に形成することができる。これにより、磁気センサの取付け角の調整による進角制御が可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図4から図5は、本発明に係るステッパモータの第1の実施の形態を示す説明図である。具体的には、図4(a)は、ステッパモータ31のB相側から見た説明図、図4(b)はステッパモータ31の側面図を示している。また、図5(a)は、ステッパモータ31の内部を示す切欠き説明図、図5(b)はステッパモータ31の内部を示す部分説明図を示している。
【0019】
ステッパモータ31のステータは、A相ステータ31aとB相ステータ31bとからなり、A相ステータ31aはA相ヨークとコイルCとの組からなり、B相ステータ31bはB相ヨークとコイルCとの組からなる。A相ヨークとB相ヨークには対向配置されたくし歯状磁極がそれぞれ形成され、くし歯状磁極の極歯面に対向するように、N極とS極のロータ磁極RMが交互に多極着磁された永久磁石ロータRが設けられている。
【0020】
また、B相ステータ31bの、A相ステータ31a側とは反対側の端面にはロータ磁極RMの位置を検知するエンコーダ40が設けられている。エンコーダ40は、磁気センサMSが取り付けられたセンサ基板41からなる。このセンサ基板41には2つのボルト孔BLTHが設けられ、B相ステータ31bに形成された2つのネジ溝BLTSにボルトBLTにより取り付けられる。
【0021】
A相ヨーク,B相ヨークのくし歯状磁極は、それぞれ対向する極歯を備えている。B相ヨークの極歯のうち磁気センサMSの近傍に位置する極歯(MT1′)は、永久磁石ロータRとのギャップが、他の極歯(MT1,MT2)と永久磁石ロータRとのギャップよりも大きくなるように形成されている。図4(a),(b)並びに図5(a),(b)には示されていないが、B相ヨークの磁極においても、A相ヨークの磁極の構成と同様に、所定の磁極と永久磁石ロータRとのギャップが、他の極歯と永久磁石ロータRとのギャップよりも大きくなるように形成されている。これにより、ロータの回転バランスをとるようにしている。
【0022】
第1の実施の形態では、磁気センサMSには、近傍の極歯からの漏れ磁束による影響が解消ないし低減されるので、磁気センサMSにはノイズが乗らず、したがってモータの誤動作は生じない。
【0023】
図6から図8は、本発明のステッパモータの第2の実施の形態を示す説明図である。図6(a)は、ステッパモータ32のB相側から見た説明図、図6(b)はステッパモータ32の側面図を示している。また、図7は、ステッパモータ32の内部を示す切欠き説明図を示している。図8(a),(b)は、ステッパモータ32の内部を示す部分説明図を示している。
【0024】
ステッパモータ32のステータは、A相ステータ32aとB相ステータ32bとからなり、A相ステータ32aはA相ヨークとコイルCとの組からなり、B相ステータ32bはB相ヨークとコイルCとの組からなる。A相ヨークとB相ヨークには、対向配置されたくし歯状磁極がそれぞれ形成され、くし歯状磁極の極歯面に対向するように、N極とS極のロータ磁極RMが交互に多極着磁された永久磁石ロータRが設けられている。
【0025】
また、B相ステータ32bの、A相ステータ32a側とは反対側の端面にはロータ磁極RMの位置を検知するエンコーダ40が設けられている。エンコーダ40は、磁気センサMSが取り付けられたセンサ基板41からなる。このセンサ基板41には2つのボルト孔BLTHが設けられ、B相ステータ31bに形成された2つのネジ溝BLTSにボルトBLTにより取り付けられる。
【0026】
本実施の形態のステッパモータ32では、図6(a),図8(a)に示されるように2つの磁気センサMSのうち一方は極歯位置の真上に位置しており、当該磁歯位置の磁歯は除去されている。また、図6(a),図8(b)に示されるように、2つの磁気センサMSの他方は、2つの磁歯の間に位置しており、この2つの磁歯のうち片方は除去されるとともに、もう片方は極歯の大きさが小さく構成されている。なお、図7は、極歯が除去された部分を示している。
【0027】
図6(a),図7並びに図8(a),(b)では、除去された磁歯部分をEで示し、図6(a),図8(b)では、大きさが小さく構成された磁歯をMT2′で示す。なお、各図において、通常の磁歯をMT1,MT2で示す。
【0028】
本実施の形態では、2つのセンサ位置MSの何れか一方、または双方が2つの極歯位置にまたがっている場合であっても、磁気センサMSには、近傍の極歯からの漏れ磁束による影響が解消ないし低減されるので、磁気センサMSにはノイズが乗らず、したがってモータの誤動作は生じない。なお、その他の構成並びに作用効果は、上記した第1の実施の形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0029】
図9は、第1の実施の形態および第2の実施の形態で使用することができるセンサ基板41の説明図を示している。センサ基板41は、B相ヨークの一方の端面にボルトBLTにより取り付けられており、ボルト孔BLTHが、センサ基板41の中心軸を中心とした1/2ステップ長さの範囲内で円弧状に形成されている。磁気センサMSのB相ステータ31bまたは32bへの取付け角を調整することで、進角制御が可能となる。進角制御をした場合、回転方向によって、トルクや回転速度が大きく異なってくるが、たとえば正回転時の進角制御であれば正回転時は高速化ができ、戻りの逆回転時には回転が遅くなっても制御に問題がないような用途への応用ができる。
【0030】
また、センサ基板41の取付けに際して、個々にバラツキが出ることもあるが、速度制御をしたときには駆動電流に多少の違いが生じる程度で良好な制御ができる。さらにまた、使い方によっては制限が生じるが、たとえば時間がラフであっても、モータの仕事が単純な往復運動等すれば目的を達成できるパワーモータとしての使用に好適となる。
【0031】
【発明の効果】
本発明では、磁気センサが極歯からのノイズの影響を受けることがなく、これにより磁気センサの位置決めの精度を必要としないステッパモータを提供することができる。また、極歯を所定極歯を小磁束極歯とすることで、結果的にディテントトルクを小さくすることができ、これによりディテントトルクに起因する振動や騒音を小さくできる。さらに、基本的には極歯を、1相について数個しか加工しないので、ヨーク形成金型の大規模な変更を伴わず、製造が容易となる。
【0032】
本発明では、ヨークの一方の端面に、ネジまたはボルトによりセンサ基板を取り付ける場合に、センサ基板に設けられたネジ孔またはボルト孔を所定長さの円弧状(ただし、円弧上の孔の中心は当該センサ基板の中心軸に等しい)に形成することで、磁気センサの取付け角の調整による進角制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のステッパモータを示す外観図である。
【図2】(a)は、軸方向にN−S極を持つ永久磁石が形成された回転磁極板と、回転磁極板の外周に近い板面側に磁気センサMSが取り付けられたセンサ基板とからなるエンコーダが搭載された従来のステッパモータを示す図である。
(b)は、周方向にN−S極を持つ永久磁石が形成された回転磁極板と、回転磁極板の外周の端面側に磁気センサMSが取り付けられたセンサ基板とからなる従来のステッパモータを示す図である。
【図3】永久磁石ロータに着磁した磁極の漏洩磁束を検出する磁気センサを搭載した従来のステッパモータの説明図である。
【図4】(a)は、本発明の第1の実施の形態のステッパモータをB相側から見た図である。
(b)は、その側面図である。
【図5】(a)は、本発明の第1の実施の形態のステッパモータの内部を示す切欠き図である。
(b)は、その内部を示す部分説明図である。
【図6】(a)は、本発明の第2の実施の形態のステッパモータのB相側から見た説明図である。
(b)は、その側面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態のステッパモータの内部を示す切欠き説明図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態のステッパモータの説明図の内部を示す部分説明図である。
【図9】第1の実施の形態および第2の実施の形態で使用することができるセンサ基板の説明図である。
【符号の説明】
31,32 ステッパモータ
40 エンコーダ
41 センサ基板
31a,32a A相ステータ
31b,32b B相ステータ
BLT ボルト
BLTH ボルト孔
BLTS ネジ溝
C コイル
MS 磁気センサ
MT1,MT2,MT1′,MT2′ 極歯
R 永久磁石ロータ
RM ロータ磁極
Claims (4)
- 対向配置されたくし歯状磁極がそれぞれ形成されたヨークとコイルとの組が2段以上重ねて構成されたステータと、
前記くし歯状磁極の極歯面に対向するように、N極とS極のロータ磁極が交互に多極着磁された永久磁石ロータと、
前記ロータ磁極の位置を検知する磁気センサとを備えたクローポール型のステッパモータにおいて、
前記くし歯状磁極を構成する極歯のうち、前記磁気センサの近傍に位置する所定極歯と前記永久磁石ロータとのギャップが、他の極歯と前記永久磁石ロータとのギャップよりも大きくなるように形成されること特徴とするステッパモータ。 - 対向配置されたくし歯状磁極がそれぞれ形成されたヨークとコイルとの組が2段以上重ねて構成されたステータと、
前記くし歯状磁極の極歯面に対向するように、N極とS極のロータ磁極が交互に多極着磁された永久磁石ロータと、
前記ロータ磁極の位置を検知する磁気センサとを備えたクローポール型のステッパモータにおいて、
前記くし歯状磁極を構成する極歯のうち、前記磁気センサの近傍に位置する所定極歯の大きさが、他の極歯の大きさよりも小さいことを特徴とするステッパモータ。 - 対向配置されたくし歯状磁極がそれぞれ形成されたヨークとコイルとの組が2段以上重ねて構成されたステータと、
前記くし歯状磁極の極歯面に対向するように、N極とS極のロータ磁極が交互に多極着磁された永久磁石ロータと、
前記ロータ磁極の位置を検知する磁気センサとを備えたクローポール型のステッパモータにおいて、
前記くし歯状磁極を構成する極歯のうち、前記磁気センサの近傍に位置する所定極歯が前記ヨークから除去されていることを特徴とするステッパモータ。 - 磁気センサを備えたセンサ基板が、前記ヨークの一方の端面にネジまたはボルトにより取り付けられてなるステッパモータにおいて、
前記センサ基板に設けられたネジ孔またはボルト孔が、当該センサ基板の中心軸を中心とした1/2ステップ長さの範囲内で円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のステッパモータ。
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