JP4175676B2 - 車両用ブレーキシステムの液圧系検査装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、車両用ブレーキシステムの液圧系検査装置に関し、特にブレーキペダル操作に応じてホイールシリンダにブレーキ液圧を付与するブレーキ液圧制御装置を備えた車両用ブレーキシステムにおいて、各車輪の液圧系に対するブレーキ液圧の付与状態を検査する液圧系検査装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、車両用ブレーキシステムにおいては、各車輪のホイールシリンダに対しブレーキペダルの操作量、即ちブレーキペダルストロークに応じたブレーキ液圧が付与されるように構成されている。しかし、べーパロック等、何等かの原因で所定のブレーキ液圧が付与されないことがある。
【0003】
このため、例えば特開平4−56668号公報においては、ブレーキペダル・ストローク相当の液圧を補償することを目的とし、ブレーキペダル・ストローク量を計測するストローク計測手段を設けると共に、主液路の液圧を検知する液圧検知手段を設け、ストローク計測手段からの計測信号と、液圧検知手段からの検知信号とを比較して、主液路における不足液量を算出し、この不足液量を主液路に供給する液供給装置を有するブレーキペダル・ストローク補償装置が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
然し乍ら、各車輪に付与されるブレーキ液圧の過不足を確認することは容易ではない。このため、前述のように通常はマスタシリンダの出力液圧を直接検知することとされるが、液圧を検出するための圧力センサは高価であるので、圧力センサを用いることなく、少くとも各車輪に対しブレーキ液圧が適切に付与されていることを確認し得るようにすることが望まれている。
【0005】
また、上記公報に記載の装置においては、マスタシリンダの出力液圧を検知することによりブレーキシステム全体としてのブレーキ液圧の状態を検知し得るものの、各車輪毎の液圧系におけるブレーキ液圧の状態は確認できない。
【0006】
そこで、本発明はブレーキペダルの操作に応じてブレーキ液圧を出力するブレーキ液圧制御装置を備えた車両用ブレーキシステムにおいて、簡単な構成で、各車輪のホイールシリンダに対するブレーキ液圧の付与状態を適切に検査し得る液圧系検査装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は、図1に構成の概要を示したように、車両前方及び後方の各車輪FR,FL,RR,RLに装着し制動力を付与するホイールシリンダWfr,Wfl,Wrr,Wrlと、少くともブレーキペダルBPの操作に応じてブレーキ液を昇圧してホイールシリンダの各々にブレーキ液圧を付与するブレーキ液圧制御装置PCを備えている。そして、各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段(代表してWSで表す)と、ブレーキペダルBPの操作に応じたブレーキ作動を検出するブレーキ作動検出手段BSを備え、このブレーキ作動検出手段BSがブレーキ作動を検出した場合において、各車輪のうち判定対象の車輪に対して一定の関係にある車輪を基準車輪とし、この基準車輪の車輪速度と判定対象の車輪の車輪速度との偏差を演算する偏差演算手段DFと、この偏差演算手段DFが演算した偏差を所定値と比較し、偏差が所定値を下回っているときに判定対象の車輪の液圧系に関し正常と判定する判定手段DT1を備えることとしたものである。尚、上述の一定の関係としては、例えば車輪FRと車輪FLが前輪側左右輪という関係、車輪RRと車輪RLが後輪側左右輪という関係、車輪FR(FL)と車輪RR(RL)が前後輪という関係があり、これらの一方が判定対象の車輪とされれば、他方が基準車輪とされる。更に、一つの車輪を判定対象としたとき、他の全ての車輪を基準車輪とするという関係も含まれる。
【0008】
また、例えば請求項3に記載し図1に二点鎖線で示したように、各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段WSと、車輪速度検出手段WSの検出車輪速度に基づき各車輪毎に車両の推定車体速度を演算する推定車体速度演算手段ESと、各車輪における推定車体速度に対し少くとも車輪の各々の状態に応じて補正して推定車体速度の正規化を行なう推定車体速度正規化手段NMと、ブレーキペダルBPの操作に応じたブレーキ作動を検出するブレーキ作動検出手段BSを備え、このブレーキ作動検出手段BSがブレーキ作動を検出した場合において、各車輪のうち判定対象の車輪について演算した正規化推定車体速度と判定対象の車輪の車輪速度に基づき各車輪の車輪スリップ率を演算するスリップ率演算手段SDと、このスリップ率演算手段SDが演算した車輪スリップ率に基づき、判定対象の車輪の車輪スリップ率が所定のスリップ率を上回っているときに判定対象の車輪の液圧系に関し正常と判定する判定手段DT2とを備えたものとしてもよい。
【0009】
更に、請求項2に記載し図1に破線で示したように、判定手段DT1の判定結果に基づき、判定対象の車輪に関し偏差が所定値以上という状態が所定時間以上継続したときに報知信号を出力する出力手段OT1を設けたものとしてもよい。もしくは、請求項4に記載し図1に破線で示したように、判定手段DT2の判定結果に基づき、判定対象の車輪の車輪スリップ率が所定のスリップ率以下という状態が所定時間以上継続したときに報知信号を出力する出力手段OT2を設けたものとしてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の望ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図2は本発明の一実施形態に係る車両用ブレーキシステムの全体構成を示すもので、車輪FR,FL,RR,RLに夫々ホイールシリンダWfr,Wfl,Wrr,Wrlが装着されており、これらのホイールシリンダWfr等にマスタシリンダMCが接続されている。本実施形態においては、ブレーキ液圧制御装置として、マスタシリンダMC及び液圧ブースタHBがブレーキペダルBPの操作に応じて駆動されるように構成されているが、液圧ブースタHBに代えて負圧ブースタ(図示せず)を用いることとしてもよい。更に、補助液圧源(図示せず)を設けることとしてもよい。尚、車輪FRは運転席からみて前方右側の車輪を示し、以下車輪FLは前方左側、車輪RRは後方右側、車輪RLは後方左側の車輪を示しており、本実施形態では前輪の液圧制御系と後輪の液圧制御系に区分された前後配管が構成されているが、所謂X配管としてもよい。
【0011】
車輪FR,FL,RR,RLには車輪速度検出手段たる車輪速度センサWS1乃至WS4が配設されており、これらが電子制御ユニット(ECU)1に接続され、各車輪の回転速度、即ち車輪速度に比例するパルス数のパルス信号が電子制御ユニット1に入力されるように構成されている。更に、ブレーキ作動検出手段として、ブレーキペダルBPが踏み込まれたときオンとなるブレーキスイッチBSが電子制御ユニット1に接続されている。一方、電子制御ユニット1の出力側には、例えばランプの報知器3が接続されている。尚、報知器3としては、ランプのほか、液晶表示、ブザー等を利用してもよい。
【0012】
電子制御ユニット1は、図示は省略するが、バスを介して相互に接続されたプロセシングユニット(CPU)、メモリ(ROM,RAM)、入力ポート及び出力ポート等から成るマイクロコンピュータを備えている。上記車輪速度センサWS1乃至WS4、ブレーキスイッチBS等の出力信号は入力ポートを介してプロセシングユニット(CPU)に入力されるように構成されている。また、出力ポートからは報知信号が出力されるように構成されている。マイクロコンピュータにおいては、メモリ(ROM)は図4に示したフローチャートを含む種々の処理に供するプログラムを記憶し、プロセシングユニット(CPU)は図示しないイグニッションスイッチが閉成されている間当該プログラムを実行し、メモリ(RAM)は当該プログラムの実行に必要な変数データを一時的に記憶する。
【0013】
図4のフローチャートは図2のブレーキシステムにおける液圧系検査処理の一例を示すもので、先ず、ステップ101にて初期化された後、ステップ102に進み各車輪の車輪速度Vw** (**は車輪FL,FR,RL,RR を代表して表す)が読み込まれる。続いて、ステップ103において、ブレーキスイッチBSの出力に基づきブレーキ作動が行われたか否かが判定され、ブレーキ作動が行われたと判定されるとステップ110以降の処理が行われる。ステップ110乃至116は前輪側の車輪FRの液圧系の検査に係る処理であり、これと実質的に同じ処理により、ステップ120乃至140において夫々前輪側の車輪FL、後輪側の車輪RR及び車輪RLの液圧系の検査が行われる。
【0014】
ステップ110においては、判定対象である前方右側の車輪FRの車輪速度Vwfr とその他の三つの車輪FL,RR,RLの車輪速度Vwfl ,Vwrr ,Vwrl との偏差が夫々演算され、これらの偏差(正又は負)が夫々所定値Kv1と比較される。三つの偏差が全て所定値Kv1未満と判定されれば、ステップ111にてタイマT1がクリア(0)された後ステップ112に進み、ここでタイマT2が所定時間Kt1(例えば0.1sec )以上経過したか否かが判定され、経過しておれば車輪FRの液圧系が正常と判定され、ステップ115にて車輪FRの正常フラグがセット(1)される。一方、ステップ110にて三つの偏差のうち何れか一つでも所定値Kv1以上と判定されると、ステップ113にてタイマT2がクリアされた後ステップ114に進み、ここでタイマT1が所定時間Kt1以上経過したか否かが判定され、経過しておれば車輪FRの液圧系が正常でないと判定され、ステップ116にて車輪FRの正常フラグがリセット(0)される。従って、ステップ112,114にて何れのタイマT1,T2も所定時間Kt1未満であれば、元の車輪FRの正常フラグの状態が維持され、結局この判定に所定時間Kt1のヒステリシスが設定されていることになる。
【0015】
而して、判定対象の車輪をFRとし基準車輪をFL,RR,RLとすると、車輪速度Vwfr とVwfl ,Vwrr ,Vwrl との比較結果に応じて、即ち(Vwfr −Vwfl ),(Vwfr −Vwrr ),(Vwfr −Vwrl )が夫々所定値Kv1と大小比較されることによって、車輪FRの液圧系が正常な液圧状態にあるか否かの判定が可能となる。結局、車輪FRに関連するパッド、キャリパ、ロータ等(更に各車輪にモジュレータ(図示せず)が設けられている場合にはこれを含む)が正常に機能しているか否かが判定されることになる。同様に、判定対象の車輪をFLとし、基準車輪をFR,RR,RLとすると、車輪FLの液圧系に関する上記と同様の判定が可能となる。更に、車輪RR,RLの各液圧系についても同様に判定される。
【0016】
而して、ステップ120において、車輪FLの液圧系について、(Vwfl −Vwfr ),(Vwfl −Vwrr ),(Vwfl −Vwrl )が夫々所定値Kv2の大小比較され、上記と同様の判定が行なわれる。更に、ステップ130,140において、車両後方の車輪RR,RLの各液圧系に関し、各々の三つの偏差が所定値Kv3,Kv4と夫々大小比較され、後輪側の各液圧系の状態が判定される。
【0017】
これらの検査が行なわれた後、ステップ150にて各車輪の正常フラグの状態が判定され、四つの車輪の液圧系全ての正常フラグがセットされている場合にはステップ102に戻るが、何れかの車輪の液圧系の正常フラグがセットされていない場合には、ステップ160にて報知器3に対し報知信号が出力され、ランプが点滅する。この報知器3として、各車輪の液圧系に対応したランプが設けられておれば、正常フラグがセットされていない車輪の液圧系に関するランプのみが点滅するように構成することができ、これにより正常でない車輪の液圧系を特定することができる。
【0018】
本実施形態の液圧系検査装置は、以上のように構成されているので、ブレーキペダルの操作を行なうだけで、各車輪の液圧系毎にブレーキ液圧が正常に付与されているか否かを自動的に判定することができる。従って、ブレーキペダルの操作とは無関係に各車輪に制動力を付与し車両の安定性を維持する制動操舵制御装置、あるいは、ブレーキ作動時に車輪のロックを防止するように各車輪に付与する制動力を制御するアンチスキッド制御装置等を備えた車両において、新たにセンサ等を設けることなく容易に液圧系検査機能を付加することができる。また、車輪速度の偏差が所定値Kv1より大の状態が所定時間Kt1継続したときに、正常フラグがクリアされるように構成されているので、悪路等の外乱による誤判定を惹起することなく、適切に検査を行なうことができる。
【0019】
図3は本発明の他の実施形態に係る車両用ブレーキシステムを示すもので、このブレーキシステムにおいては、アンチスキッド制御用の電子制御ユニット2及び車両状態検出センサ4を備えた車両に対し、図2と同様の電子制御ユニット1を配置して両者間を電気的に接続し、シリアル通信等によって相互に信号の授受を行なうように構成したものである。この装置においては、各車輪の液圧系にモジュレータM1乃至M4が配設されているので、これらモジュレータM1乃至M4も含めた液圧系の検査が行われる。尚、各モジュレータは複数の電磁弁で構成されており、周知のものと同様であるので説明は省略する。
【0020】
図3に示す車両状態検出センサ4としては、操舵角センサ、前後・横加速度センサ、ヨーレイトセンサ等を含み、これらの出力信号及び車輪速度センサWS1乃至WS4の出力信号に基づき電子制御ユニット2を制御することによって制動操舵制御、前後輪制動力配分制御、トラクション制御等を行なうことができる。従って、これらの既存の制御機能に加え、電子制御ユニット1による液圧系検査機能を容易に付加することができる。このとき、電子制御ユニット1は制御条件を設定するための各種信号を電子制御ユニット2から受信することができるので、独自に車輪速度センサWS1等に接続する必要はない。電子制御ユニット1の制御に供される入力信号としては、各車輪の車輪速度、車両状態信号のほか、後述する正規化推定車体速度、許可条件信号がある。尚、電子制御ユニット1から電子制御ユニット2には各車輪の液圧系の検査結果を示す正常グラフの状態(1又は0)が出力される。勿論、電子制御ユニット1及び2を一体的に構成し、マイクロコンピュータを共用することとしてもよい。
【0021】
図5は、図3の装置によって行なわれるアンチスキッド制御前の液圧系検査の処理を示すもので、先ずステップ201にてマイクロコンピュータCMPが初期化され、各種の演算値がクリアされ、後述するフラグがリセットされる。次にステップ202において、車輪速度センサWS1乃至WS4の検出信号に基づき、各車輪の車輪速度Vw** が演算され(更に、必要に応じて車輪加速度DVw** が演算され)、マイクロコンピュータCMPに読み込まれる。これらの演算結果に基づきステップ203にて車両の重心位置での推定車体速度Vsoが例えばVso=MAX[Vw** ]に基づいて求められ、更にこの推定車体速度Vsoに基づき各車輪の配置に応じて各車輪毎に推定車体速度Vso**が求められる。更に、本実施形態においては車両旋回時の内外輪差等に基づく誤差を低減するため正規化が行われる。
【0022】
即ち、正規化推定車体速度NVso**がNVso**=Vso**(n) −ΔVr** (n) として演算される。ここで、ΔVr**(n)は旋回補正用の補正係数で、例えば以下のように設定される。即ち、補正係数ΔVr** (**は各車輪FR等を表し、特にFWは前二輪、RWは後二輪を表す)は、車両の旋回半径R及びγ・VsoFW(≒横加速度Gya)に基づき、基準とする車輪を除き各車輪毎のマップ(図示省略)に従って設定される。例えば、ΔVrFLを基準とすると、これは0とされるが、ΔVrFRは内外輪差マップに従って設定され、ΔVrRLは内々輪差マップに従い、ΔVrRRは外々輪差マップ及び内外輪差マップに従って設定される。
【0023】
そして、上記ステップ202で求められた各車輪の車輪速度Vw** とステップ203で求められた正規化推定車体速度NVso**に基づき、ステップ204にて各車輪の車輪スリップ率Sp** がSp** =(NVso**−Vw** )/NVso**として求められる。
【0024】
次に、ステップ205において、液圧系検査の処理を行なうための許可条件を充足しているか否かが判定され、充足していなければそのままステップ400に進む。例えば、ブレーキ作動が行なわれていないとき、アンチスキッド制御中であるとき、あるいは制動時の減速度が小さいときには液圧系検査は不許可とされる。換言すれば、液圧系検査が未完了で、アンチスキッド制御等が行なわれておらず(即ち、非制御中)、且つブレーキ作動が行なわれて所定値(例えば0.3G)を超える減速度が生じているときに許可条件を充足し、ステップ300にて液圧系検査が行なわれる。
【0025】
液圧系検査の結果、正常と判定され正常フラグがセットされると、ステップ206からステップ400に進み、アンチスキッド制御が行われる。ステップ206にて四つの車輪のうち一つでも正常フラグがセットされていないと判定された場合には、ステップ207に進み報知器3に対し報知信号が出力されてステップ400に進む。報知器3においては、例えば各車輪に対応したランプが点滅され、正常フラグがセットされなかった液圧系が特定される。
【0026】
図6は図5のステップ300で行われる液圧系検査の一例を示すもので、ステップ301で初期化された後ステップ302に進み車輪スリップ率Sp** が入力される。先ず、車輪FRの車輪スリップ率Spfr が所定のスリップ率Ks1を上回っていると判定されれば、ステップ311にてタイマT1がクリア(0)された後ステップ312に進み、ここでタイマT2が所定時間Kt1(例えば0.1sec )以上経過したか否かが判定され、経過しておれば車輪FRの液圧系が正常とされ、ステップ315にて車輪FRの正常フラグがセット(1)される。一方、ステップ310にて車輪スリップ率Spfr が所定のスリップ率Ks1以下と判定されると、ステップ313にてタイマT2がクリアされた後ステップ314に進み、ここでタイマT1が所定時間Kt1以上経過したか否かが判定され、経過しておれば車輪FRの液圧系が正常でないと判定され、ステップ316にて車輪FRの正常フラグがリセット(0)される。従って、ステップ312,314にて何れのタイマT1,T2も所定時間Kt1未満であれば、元の正常フラグの状態が維持され、この判定においても所定時間Kt1のヒステリシスが設定されていることになる。
【0027】
そして、ステップ317にて車輪FRに関する液圧系検査が終了したことを表す車輪FR制御フラグがセットされた後、ステップ320に進み車輪FLの液圧系検査が上記ステップ310乃至317と同様に行なわれる。更に、ステップ330,340にて夫々車輪RR,RLに関する液圧系検査が上記と同様に行なわれた後、図5のステップ206に戻る。上記ステップ317の車輪FR制御フラグ及び正常フラグは、アンチスキッド制御(図5のステップ400)に供され、両者がセットされている車輪に関してのみアンチスキッド制御が行なわれる。換言すれば、制御フラグ及び正常フラグがセットされていない車輪のアンチスキッド制御は禁止される。
【0028】
尚、図5のステップ300で行なわれる液圧系検査に関しては、上記図6の液圧系検査に代えて、図4の液圧系検査処理において行なわれる液圧系検査を行なうこととしてもよい。
【0029】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、本発明の車両用ブレーキシステムの液圧系検査装置においては、ブレーキ作動を検出した場合において、判定対象の車輪に対して一定の関係にある車輪を基準車輪とし、この基準車輪の車輪速度と判定対象の車輪の車輪速度との偏差を演算し、この偏差を所定値と比較し、偏差が所定値を下回っているときに判定対象の車輪の液圧系に関し正常と判定するように構成されているので、ブレーキペダルの操作を行なうだけで、各車輪の液圧系毎にブレーキ液圧が正常に付与されているか否かを自動的に判定することができる。従って、制動操舵制御装置、アンチスキッド制御装置等を備えた車両において、新たにセンサ等を設けることなく容易に液圧系検査機能を付加することができる。
【0030】
請求項3に記載の液圧系検査装置においては、ブレーキペダルを操作した場合において、判定対象の車輪について演算した正規化推定車体速度と判定対象の車輪の車輪速度に基づき各車輪の車輪スリップ率を演算し、判定対象の車輪の車輪スリップ率が所定のスリップ率を上回っているときに判定対象の車輪の液圧系に関し正常と判定するように構成されているので、ブレーキペダルの操作を行なうだけで、各車輪の液圧系毎にブレーキ液圧が正常に付与されているか否かを、車輪の状態等に影響されることなく適切に判定することができる。しかも、例えばアンチスキッド制御装置を具備した車両用ブレーキシステムに対し、新たにセンサ等を設けることなく容易に液圧系検査機能を付加することができる。
【0031】
更に、請求項2に記載の液圧系検査装置においては、偏差が所定値以上という状態が所定時間以上継続したときに報知信号を出力するように構成されているので、外乱に影響されることなく、各車輪の液圧系毎に、ブレーキ液圧が正常でないことを適切に報知することができる。また、請求項4に記載の液圧系検査装置においては、車輪スリップ率が所定のスリップ率以下という状態が所定時間以上継続したときに報知信号を出力するように構成されているので、外乱に影響されることなく、各車輪の液圧系毎に、ブレーキ液圧が正常でないことを適切に報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用ブレーキシステムの液圧系検査装置の概要を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態における車両用ブレーキシステムの一例を示す構成図である。
【図3】本発明の他の実施形態における車両用ブレーキシステムの一例を示す構成図である。
【図4】本発明の一実施形態における液圧系検査処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施形態におけるアンチスキッド制御前の液圧系検査処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施形態における液圧系検査処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
BP ブレーキペダル, BS ブレーキスイッチ
MC マスタシリンダ, PC ブレーキ液圧制御装置
HB 液圧ブースタ, Wfr,Wfl,Wrr,Wrl ホイールシリンダ
WS1〜WS4 車輪速度センサ, FR,FL,RR,RL 車輪
Claims (4)
- 車両の前方及び後方の各車輪に装着し制動力を付与するホイールシリンダと、少くともブレーキペダルの操作に応じてブレーキ液を昇圧して前記ホイールシリンダの各々にブレーキ液圧を付与するブレーキ液圧制御装置を備えた車両用ブレーキシステムにおいて、前記各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、前記ブレーキペダルの操作に応じたブレーキ作動を検出するブレーキ作動検出手段と、該ブレーキ作動検出手段がブレーキ作動を検出した場合において、前記各車輪のうち判定対象の車輪に対して一定の関係にある車輪を基準車輪とし、該基準車輪の車輪速度と前記判定対象の車輪の車輪速度との偏差を演算する偏差演算手段と、該偏差演算手段が演算した前記偏差を所定値と比較し、前記偏差が前記所定値を下回っているときに前記判定対象の車輪の液圧系に関し正常と判定する判定手段を備えたことを特徴とする車両用ブレーキシステムの液圧系検査装置。
- 前記判定手段の判定結果に基づき、前記判定対象の車輪に関し前記偏差が所定値以上という状態が所定時間以上継続したときに報知信号を出力する出力手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の車両用ブレーキシステムの液圧系検査装置。
- 車両の前方及び後方の各車輪に装着し制動力を付与するホイールシリンダと、少くともブレーキペダルの操作に応じてブレーキ液を昇圧して前記ホイールシリンダの各々にブレーキ液圧を付与するブレーキ液圧制御装置を備えた車両用ブレーキシステムにおいて、前記各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、該車輪速度検出手段の検出車輪速度に基づき前記各車輪毎に前記車両の推定車体速度を演算する推定車体速度演算手段と、前記各車輪における推定車体速度に対し少くとも前記各車輪の状態に応じて補正して前記推定車体速度の正規化を行なう推定車体速度正規化手段と、前記ブレーキペダルの操作に応じたブレーキ作動を検出するブレーキ作動検出手段と、該ブレーキ作動検出手段がブレーキ作動を検出した場合において、前記各車輪のうち判定対象の車輪について演算した正規化推定車体速度と前記判定対象の車輪の車輪速度に基づき前記各車輪の車輪スリップ率を演算するスリップ率演算手段と、該スリップ率演算手段が演算した車輪スリップ率に基づき、前記判定対象の車輪の車輪スリップ率が所定のスリップ率を上回っているときに前記判定対象の車輪の液圧系に関し正常と判定する判定手段とを備えたことを特徴とする車両用ブレーキシステムの液圧系検査装置。
- 前記判定手段の判定結果に基づき、前記車輪スリップ率が所定のスリップ率以下という状態が所定時間以上継続したときに報知信号を出力する出力手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の車両用ブレーキシステムの液圧系検査装置。
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