JP4170554B2 - 非接触型情報読取装置用アンテナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触型情報記憶装置との間で無線信号を送受信することにより、非接触型情報記憶装置から情報を読み取るのに好適な非接触型情報読取装置用アンテナ、及び、このアンテナを用いて情報を読み取れるようにした非接触型情報記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、非接触型情報記憶装置から情報を読み取る際には、これと無線通信可能な非接触型情報読取装置が使用される。そして、非接触型情報記憶装置は、通常、非接触型情報読取装置から送信されてくる直線偏波の電波を受けて起動し、情報を送信するように構成されている。従って、これら各装置間でのデータ通信には、同一周波数又は周波数が近接した2種類の電波が使用されることになる。
【0003】
しかし、このようなデータ通信では、非接触型情報読取装置側で、送信電波と受信電波とが互いに干渉し合い、非接触型情報読取装置において、非接触型情報記憶装置からの送信データを良好に受信できないことがあった。
また、直線偏波では、読取装置及び記憶装置相互のアンテナ偏波面を合わせないと良好なデータ送・受信ができない。
【0004】
そこで、従来では、非接触型情報読取装置側での送受信電波の干渉を軽減するために、非接触型情報読取装置側では、送信アンテナと受信アンテナとの間の距離を大きくすることにより、各アンテナを物理的に離すとか、或いは、これら各アンテナ間にアイソレータを設けて、各アンテナの送受信特性を電気的に補正するといったことが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の対策では、非接触型情報読取装置に設ける送・受信用アンテナの全体の容積(換言すれば体積)が大きくなるため、非触型情報読取装置を持ち歩くような場合には、極めて使い勝手が悪いといった問題があった。
【0006】
つまり、例えば、従来より、電柱に架設された各種ケーブルやそのケーブルに接続された変圧器等の各種機器のメンテナンスを容易にするために、工事や点検の履歴を記憶した非接触型情報記憶装置(所謂タグ)を、ケーブルを収容するクロージャ等に収容しておき、必要に応じて、その非接触型情報記憶装置に記憶された情報を読み取ったり、更には、新たな情報を書き込んだりできるようにしたシステムが考えられている。
【0007】
そして、このようなシステムでは、電柱の点検等を行う作業者は、非接触型情報読取装置(或いは非接触型情報読取/書込装置)を持って、非接触型情報記憶装置が設置された場所に赴く必要があるが、従来の非接触型情報読取装置(或いは非接触型情報読取/書込装置)では、通信精度を確保するために、送信用アンテナと受信用アンテナとを離したり、或いは、各アンテナ間にアイソレータを設けていたため、アンテナ全体の容積が大きくなってしまい、作業者にとっては使い勝手が極めて悪く、点検作業を行う際の作業性が低下する、といった問題があった。
【0008】
尚、各アンテナ間にアイソレータを設けた場合、アイソレータを設けない場合に比べて、アンテナ全体の容積を小さくすることはできるものの、送信信号や受信信号がアイソレータを通過するため、アイソレータでは各信号の通過損失(約3dB)が生じ、電波の到達距離が短くなる(約1/1.4)といった問題がある。
【0009】
また、作業者は読取装置のアンテナと記憶装置のアンテナの偏波面を常に意識してデータの送・受信を行わなくてはならないなど、作業性が低下していた。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、非接触型情報記憶装置から情報の読み取り(或いは読み取り及び書き込み)を行うための送・受信用アンテナを小型化し、延いては、非接触型情報読取装置の使い勝手を向上することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、非接触型情報記憶装置から情報を読み取るための非接触型情報読取装置用アンテナであって、左旋円偏波用のアンテナ放射器と右旋円偏波用のアンテナ放射器とを、各アンテナ放射器が干渉しないように、送受信する信号の波長をλとした場合に略λ/4又はその奇数倍となる所定間隔を空けて同軸上に配置すると共に、各アンテナ放射器を配置した軸方向の一端側にアンテナ固定部を設け、該アンテナ固定部側から前記各アンテナ放射器に接続された給電線を引き出すことにより、一方のアンテナ放射器を送信用アンテナ、他方のアンテナ放射器を受信用アンテナとして使用できるようにしたことを特徴とする。
【0011】
このように、本発明の非接触型情報読取装置用アンテナ(以下単に読取用アンテナという)は、旋回方向が互いに異なる円偏波の電波を送受信可能な一対のアンテナ放射器を、各アンテナ放射器が干渉しない所定間隔を空けて同軸上に配置したものであり、一方のアンテナ放射器を送信用アンテナ、他方のアンテナ放射器を受信用アンテナとして使用できることから、送信用アンテナと受信用アンテナとの交差偏波特性が向上し、各アンテナ間での電波の干渉による影響を受けることなく、良好なデータ通信を行うことが可能となる。
【0012】
よって、従来のように、良好なデータ通信を実現するために、送信用アンテナと受信用アンテナとの間の距離を大きくしたり、各アンテナ間にアイソレータを設ける必要はなく、送受信一体型の小型アンテナを提供することが可能となる。また、このように本発明の読取用アンテナは、従来のアンテナに比べて小型にすることができるので、非接触型情報読取装置(或いは非接触型情報読取/書込装置)を持ち運ぶ際にアンテナが邪魔になるようなことはなく、非接触型情報読取装置の使い勝手を向上できる。
【0013】
また、上記一対のアンテナ放射器の間隔Lは、送受信する信号(電波)の波長をλとすれば、概ね、L=(λ/4)×(2n+1)に設定すればよい(但し、n=0,1,2,3…)。従って、送受信信号の周波数が、例えば2.45GHzであるとすれば、L=3cm程度にすることができ、アンテナ全体を極めて小型にすることができる。
【0014】
そして、アンテナを小型・軽量化するのに好適なアンテナ放射器としては、請求項2に記載のような、ヘリカルアンテナ或いは誘電体アンテナを挙げることができ、本発明の読取用アンテナを実際に作製する際には、アンテナ放射器にこれらのアンテナ素子を使用するとよい。つまり、このようにすれば、読取用アンテナの小型・軽量化を容易に図ることができる。
【0015】
ここで、本発明(請求項1又は請求項2)の読取用アンテナを用いて非接触型情報記憶装置から情報を読み取る(或いは書き込む)には、非接触型情報記憶装置側の送・受信用アンテナも、円偏波の電波を送受信可能にする必要があり、そのためには、例えば、直線状のプローブを直交するように配置し(導電体パターンで基板上に形成してもよい)、各プローブに、位相を90°ずらして合成する位相合成装置(所謂ハイブリッド)を接続するようにすればよい。
【0016】
しかし、このような対策では、本発明(請求項1又は請求項2)の読取用アンテナを用いて、直線偏波の電波を送受信するように構成された従来の非接触型情報記憶装置から情報を読み取る(或いは書き込む)ことができない。
そこで、従来の非接触型情報記憶装置からでも本発明(請求項1又は請求項2)の読取用アンテナを用いて情報を読み取る(或いは書き込む)ことができるようにするには、直線偏波の電波を送・受信可能な記憶装置本体に対して、一対の直線−円偏波変換器を設けるようにすればよい。
【0017】
即ち、非接触型情報記憶装置は、従来と同じ直線偏波の電波を送受信可能な記憶装置本体に対して、外部の非接触型情報読取装置から請求項1又は請求項2記載のアンテナを介して送信されてきた特定旋回方向の円偏波の電波を直線偏波に変換して記憶装置本体に導く第1の直線−円偏波変換器と、記憶装置本体から放射された直線偏波の電波を、第1の直線−円偏波変換器が直線偏波に変換する円偏波と同じ旋回方向の円偏波に変換して、非接触型情報読取装置とは反対方向に放射する第2の直線−円偏波変換器とを設け、更に、第2の直線−円偏波変換器の記憶装置本体とは反対側には、第2の直線−円偏波変換器から放射された円偏波の電波を非接触型情報読取装置側に反射するパラボラ反射器を設けるようにすればよい。
【0018】
そして、非接触型情報記憶装置をこのように構成すれば、非接触型情報読取装置から請求項1又は請求項2記載のアンテナから放射された特定旋回方向の円偏波(例えば、右旋円偏波)の電波が、第1の直線−円偏波変換器で直線偏波に変換されて、記憶装置本体に導かれることから、記憶装置本体側では、その信号を受信することができる。また、記憶装置本体から放射された直線偏波の電波は、第2の直線−円偏波変換器で、第1の直線−円偏波変換器が直線偏波に変換する円偏波と同じ旋回方向の円偏波(例えば、右旋円偏波)に変換され、更にパラボラ反射器にて非接触型情報読取装置側に反射されることから、非接触型情報読取装置側には、非接触型情報読取装置が送信してきた信号とは異なる旋回方向の円偏波(例えば、左旋円偏波)の電波が送信されることになり、非接触型情報読取装置側のアンテナ(請求項1又は請求項2記載のアンテナ)にて、その信号を受信できることになる。
【0019】
また、非接触型情報記憶装置は、従来と同じ直線偏波の電波を送受信可能な記憶装置本体に対して、外部の非接触型情報読取装置から請求項1又は請求項2記載のアンテナを介して送信されてきた特定旋回方向の円偏波の電波を直線偏波に変換して記憶装置本体に導く第3の直線−円偏波変換器と、記憶装置本体から放射された直線偏波の電波を、第3の直線−円偏波変換器が直線偏波に変換する円偏波とは旋回方向が異なる円偏波に変換して、非接触型情報読取装置側に放射する第4の直線−円偏波変換器とを設けるようにしてもよい。
【0020】
そして、非接触型情報記憶装置をこのように構成すれば、非接触型情報読取装置から請求項1又は請求項2記載のアンテナから放射された特定旋回方向の円偏波(例えば、右旋円偏波)の電波を、第3の直線−円偏波変換器にて、記憶装置本体側で受信可能な直線偏波に変換することができ、記憶装置本体から放射された直線偏波の電波を、第3の直線−円偏波変換器にて、非接触型情報読取装置側のアンテナで受信可能な円偏波に変換することができ、記憶装置本体は、外部の非接触型情報読取装置との間で、良好なデータ通信を行うことが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施例を図面と共に説明する。
図1は本発明が適用された非接触型情報読取装置のブロック図である。
図1に示すように、本実施例の非接触型情報読取装置2は、前述のクロージャ等、所定の物品に収納又は固定された非接触型情報記憶装置(以下単にタグという)4に対して、情報読取用のデータを、例えば2.45GHzの搬送波を使って送信し、この送信によりタグ4から送信されてくる応答信号(送信信号と同じ周波数)を受信することにより、タグ4との間でデータ通信を行い、タグ4に記憶された情報を読み取るためのものである。
【0022】
そして、この非接触型情報読取装置2は、本発明の非接触型情報読取装置用アンテナとしての送受信一体型アンテナ10と、この送受信一体型アンテナ10から出力される受信信号を増幅するプリアンプ12と、送受信一体型アンテナ10から情報読取用のデータを送信させると共に、プリアンプ12を介して受信信号を取り込み、タグ4からの送信データ(タグに記憶された情報等)を復元する送・受信機14とから構成されている。
【0023】
次に、本発明の主要部である送受信一体型アンテナ10は、図2に示すように、右旋円偏波用のアンテナ放射器22と、左旋円偏波用のアンテナ放射器24とを備える。これら各アンテナ放射器22,24は、同一周波数(本実施例では、2.45GHz)で共振するように(換言すれば同一周波数の電波を送受信可能なように)構成されたヘリカルアンテナからなり、その中心軸が一致するように、同軸上に間隔を空けて配置されている。
【0024】
また、これら各アンテナ放射器22,24の間隔Lは、アンテナ放射器22,24が互いに干渉することのないように、送受信する信号(電波)の波長をλとした場合に、略L=λ/4(又はその奇数倍)となるように設定されている。そして、本実施例では、右旋円偏波用のアンテナ放射器22が送信用アンテナ、左旋円偏波用のアンテナ放射器24が受信用アンテナとして使用される。
【0025】
また、図示しないが、これら各アンテナ放射器22,24は、例えば、円筒状の合成樹脂或いは円柱状の発泡材からなる共通の芯材の周囲に、導電線をコイル状に巻回するか、或いは、メッキ等によりコイル状の導電パターンを形成することにより作製されている。
【0026】
そして、その芯材の一端(図ではアンテナ放射器24側の一端)を、合成樹脂等の絶縁材からなるアンテナ固定部26に固定し、アンテナ固定部26に穿設された給電線引出用の孔から、各アンテナ放射器22,24に接続された給電線を引き出すことにより、各アンテナ放射器22,24と送・受信機14又はプリアンプ12とを接続できるようにされている。
【0027】
尚、アンテナ固定部26には、各アンテナ放射器22,24に対して共通の接地導体となるグランドプレーン28が組み込まれており、このグランドプレーン28も、図示しない給電線を介してプリアンプ12及び送・受信機14のグランドに接続される。
【0028】
そして、上記各アンテナ放射器22,24は、一端が閉塞した筒状の樹脂ケース29で覆い、その樹脂ケース29の開口端側をアンテナ固定部26に固定することにより、樹脂ケース29とアンテナ固定部26とにより形成される空間内に密封されている。
【0029】
このように、本実施例の非接触型情報読取装置2においては、送受信用のアンテナとして、右旋円偏波の電波を送受信可能なアンテナ放射器22と左旋円偏波の電波を送受信可能なアンテナ放射器24とからなる送受信一体型アンテナ10を備え、右旋円偏波用のアンテナ放射器22を送信用アンテナ、左旋円偏波用のアンテナ放射器24を受信用アンテナとして使用することで、タグ4から情報を読み取るようにされている。
【0030】
このため、従来のように、良好なデータ通信を実現するために、送信用アンテナと受信用アンテナとの間の距離を大きくしたり、各アンテナ間にアイソレータを設ける必要はなく、タグ4との間で良好にデータ通信を行うことができる。
つまり、送受信一体型アンテナ10において、送信用アンテナ(アンテナ放射器22)及び受信用アンテナ(アンテナ放射器24)は、互いに異なる旋回方向の円偏波の電波を送受信可能であり、これら各アンテナの交差偏波特性が高いことから、各アンテナ間での電波の干渉による影響を受けることなく、良好なデータ通信を行うことができるようになるのである。
【0031】
また、送受信一体型アンテナ10は、2つのアンテナ間の距離を大きくしたり、アイソレータを設けることなく、良好な送受信特性が得られることから、従来の送・受信用アンテナに比べて小型化することができ、非接触型情報読取装置2を持ち運ぶ際にアンテナが邪魔になるようなことはない。よって、本実施例によれば、非接触型情報読取装置2の使い勝手を向上することもできる。
【0032】
一方、非接触型情報読取装置2は、送受信一体型アンテナ10を使用することにより、右旋円偏波の電波を送信し、左旋円偏波の電波を受信するよう構成されていることから、この非接触型情報読取装置2を用いてタグ4から情報を読み取るには、タグ4を、右旋円偏波の電波を受信し、左旋円偏波の電波を送信できるように構成する必要がある。
【0033】
そして、このためには、タグ4に組み込むアンテナを、円偏波の電波を送受信可能なアンテナにすればよいのであるが、従来より通常用いられているタグには、直線偏波の電波を送受信可能なアンテナが組み込まれており、こうしたタグからは情報を読み取ることができない。
【0034】
そこで、本実施例では、タグ4を、図3に示す如く構成することにより、直線偏波の電波を送受信可能なアンテナが組み込まれたタグをそのまま利用できるようにしている。
即ち、図3に示す如く、タグ4は、直線偏波の電波を送受信可能なアンテナが組み込まれたタグ本体(記憶装置本体)30を挟んで、右旋円偏波の電波を直線偏波、或いはその逆に変換可能な一対の直線−円偏波変換器32及び34を配置し、一方の直線−円偏波変換器34の後方(タグ本体30とは反対側)に、タグ本体30から直線−円偏波変換器34を介して放射されてくる右旋円偏波の電波を反射するパラボラ反射器36を設けることにより構成されている。
【0035】
このため、タグ4においては、非接触型情報読取装置2の送受信一体型アンテナ10から送信されてきた右旋円偏波の電波は、直線−円偏波変換器32にて直線偏波に変換されて、タグ本体30の送受信アンテナ(図示せず)に入力され、逆に、タグ本体30の送受信アンテナから放射された直線偏波の電波は、後方の直線−円偏波変換器34にて右旋円偏波に変換された後、パラボラ反射器36で反射されて、非接触型情報読取装置2側に放射される。そして、円偏波の電波は、反射によって旋回方向が反転するため、パラボラ反射器36から非接触型情報読取装置2側に放射される電波は、左旋円偏波となり、非接触型情報読取装置2の送受信一体型アンテナ10にて受信できるようになる。
【0036】
従って、本実施例のタグ4によれば、従来より一般に使用されているカード化或いはチップ化されたタグをそのまま利用して、本実施例の非接触型情報読取装置2にて情報を読み取ることができるタグを構成できる。
尚、タグ4に設ける直線−円偏波変換器32,34としては、誘電体板やヘリカル素子を用いて構成してもよいが、特に、フィルム又は基板上に設けたパッチやスロット等からなる周知の円偏波変換素子を用いるようにすれば、直線−円偏波変換器32,34を薄型化して、タグ4の小型化を図ることができる。
【0037】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、上記実施例では、送受信一体型アンテナ10のアンテナ放射器22,24は、軽量化を図るために、合成樹脂からなる中空筒状の芯材、或いは、筒状に形成した発泡材からなる芯材に、導電線又は導電パターンにてコイル状のアンテナ素子(ヘリカルアンテナ)を形成することにより作製されるものとして説明したが、上記実施例のようにアンテナ放射器22,24としてヘリカルアンテナを用いる場合には、例えば、一部が切断された中空円形の導電パターンを形成した複数の基板を積層し、各基板に形成された導電パターンの先端を順に接続することによってヘリカルアンテナを構成するようにしてもよく、或いは、フレキシブル基板に、コイルを軸方向に切断した展開図に沿った導電パターンを形成し、そのフレキシブル基板を中空円筒状に丸めて、各導電パターンの先端同士を接続することにより、ヘリカルアンテナを構成するようにしてもよい。そして、このようにフレキシブル基板を用いてヘリカルアンテナを構成する場合、複数のフレキシブル基板を順に巻き付けることにより、例えば2線,4線といった多線のヘリカルアンテナを容易に形成することができる。
【0038】
また、アンテナ放射器22,24は、円偏波の電波を送受信可能であればよいことから、例えば、図4に示す如く、誘電体42の裏面にグランドプレーン44を形成し、誘電体42の表面に円形又は矩形の導電層からなるアンテナ部46を形成し、アンテナ部46の所定の給電点46aに給電線48を接続することにより円偏波の電波を送受信できるように構成された円形又は矩形の誘電体アンテナを用いることもできる。尚、図4において、(a)は円形の誘電体アンテナの斜視図、(b)はその断面図、(c)は矩形の誘電体アンテナの斜視図、(d)はアンテナ放射器22,24を誘電体アンテナにて構成した場合の送受信一体型アンテナ10での各アンテナ放射器22,24の配置図である。
【0039】
また、上記実施例では、本実施例の送受信一体型アンテナ10を用いて、直線偏波の電波を送受信可能なタグ本体30との間でデータ通信を行うことができるようにするには、タグ本体30の両側に右旋円偏波用の直線−円偏波変換器32,34を配置し、その後方にパラボラ反射器36を配置するものとして説明したが、例えば、図5に示す如くタグ本体30の表面側に、右旋円偏波の電波を直線偏波或いはその逆に変換可能な直線−円偏波変換器32と、左旋円偏波の電波を直線偏波或いはその逆に変換可能な直線−円偏波変換器38とを設けることにより、非接触型情報読取装置2の送受信一体型アンテナ10から送信されてきた右旋円偏波の電波は、直線−円偏波変換器32にて直線偏波に変換して、タグ本体30の送受信アンテナに入力し、逆に、タグ本体30の送受信アンテナから放射された直線偏波の電波は、直線−円偏波変換器38にて左旋円偏波に変換して、そのまま非接触型情報読取装置2側に放射するようにしてもよい。尚、図5において、39は、タグ本体30の裏面側に配置されて、タグ本体30から後方に漏れ出した電波をタグ本体30側に反射するための反射板である。
【0040】
そして、この場合にも、直線−円偏波変換器32,38として、フィルム又は基板上に設けたパッチやスロット等からなる円偏波変換素子を用いるようにすれば、直線−円偏波変換器32,38を薄型化して、タグの小型化を図ることができる。また、特に、タグを図5に示すように構成した際には、直線−円偏波変換器32,38が、タグ本体30の同一面(表面)側に配置され、図3に示したタグのように、タグ本体30の裏面側に直線−円偏波変換器34を設ける必要がないので、図3に示したものに比べて、タグをより小型化(薄型化)することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の非接触型情報読取装置のブロック図である。
【図2】 実施例の送受信一体型アンテナの構成を表す断面図である。
【図3】 実施例のタグの構成を表す説明図である。
【図4】 送受信一体型アンテナの他の構成例を表す説明図である。
【図5】 タグの他の構成例を表す説明図である。
【符号の説明】
2…非接触型情報読取装置、4…タグ(非接触型情報記憶装置)、10…送受信一体型アンテナ、12…プリアンプ、14…送・受信機、22,24…アンテナ放射器、26…アンテナ固定部、28…グランドプレーン、29…樹脂ケース、30…タグ本体、32,34,38…直線−円偏波変換器、36…パラボラ反射器。
Claims (2)
- 無線信号の送受信により非接触型情報記憶装置から情報を読み取るための非接触型情報読取装置用アンテナであって、
左旋円偏波用のアンテナ放射器と右旋円偏波用のアンテナ放射器とを、各アンテナ放射器が干渉しないように、送受信する信号の波長をλとした場合に略λ/4又はその奇数倍となる所定間隔を空けて同軸上に配置すると共に、各アンテナ放射器を配置した軸方向の一端側にアンテナ固定部を設け、該アンテナ固定部側から前記各アンテナ放射器に接続された給電線を引き出すことにより、一方のアンテナ放射器を送信用アンテナ、他方のアンテナ放射器を受信用アンテナとして使用できるようにしたことを特徴とする非接触型情報読取装置用アンテナ。 - 前記各アンテナ放射器は、ヘリカルアンテナ又は誘電体アンテナからなることを特徴とする請求項1記載の非接触型情報読取装置用アンテナ。
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