JP4155441B2 - 結線基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は結線基板に関し、特に、リード線等の電線接続部間の電気的絶縁が充分になされることによって、各回路間の絶縁特性を高めることのできる、回転電機用の結線基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
小型サーボモータ、DCブラシレスモータ、小型インダクションモータ等の回転電機において、コイル間の結線と、それらコイルと電源等を結ぶためのリード線とを接続するための電線接続部が、結線基板上に設けられている。
【0003】
図3は、従来の回転電機用結線基板の構造について、その一例を示す平面図、正面図、および側面図である。図において従来の結線基板は、たとえば基板10上に、接地端子部と三相分のリード線接続に係るプリント基板配線回路(以下、「回路部」ともいう。)21、22、23、および24が配置されていることを主たる構成とする。該基板10は、回転電機軸心の同心円上に一部欠切された略円環状の形状をとり、その一部からは回転電機軸心から遠心方向に帯状片部である接続端子部101が延設されているため、該基板10は円環部102と該接続端子部101とを備えた構造をとる。前記回路部21、22、23、および24は該円環部102から該接続端子部101へと延設され、その端部には、ハンダ付け作業時等にリード線を仮固定するための穴であるリード線固定穴をそれぞれ有する、裸導電部である電線接続部(以下、「ランド」ともいう。)11、12、13、および14が、それぞれ設けられており、これら電線接続部11、12、13、および14ではリード線がハンダ付けにより固定されて、各回路部21、22、23、および24と電源との接続がなされる。
【0004】
該電線接続部11、12、13、および14は前記接続端子部10上において、該接続端子部端部と平行な一直線上に配置されており、これらは相互に間隔Aの幅で離間されて設けられることによって、相互の電気的絶縁が図られている。係る電気的絶縁を充分なものとして、各回路部21、22、23、および24間の絶縁特性を高める方法としては、該間隔Aを大きくすることが考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ハンダ付け工程における一定の作業性確保のためにはリード線固定穴の直径はある程度の寸法が確保されなくてはならず、それも理由となって各電線接続部間の間隔Aの寸法を大きくし、電線接続部間の空間距離や沿面距離を充分にとることには限界がある。そのため、裸導電部である各電線接続部間の電気的絶縁性、各回路部間の絶縁特性を高めることには限界があり、充分な絶縁特性を得ることはできなかった。一方、各電線接続部間の距離を電気的絶縁上充分にとるためには、これらが設けられる接続端子部の幅寸法を広げるという手段も考えられるが、これは結線基板全体の寸法を大きくすることになり、全般的な回転電機の小型化の要請には逆行するため、選択は困難である。
【0006】
すなわち、モータの小型化傾向の中で、リード線接続部を設ける接続端子部のコンパクト化は重要な課題であり、コンパクト化を推進するためには、裸導電部であるランド間の沿面距離や空間距離の不足による電気的絶縁特性低下を防止しなくてはならない。そのためには、コンパクトな空間の中で充分な絶縁沿面距離、空間距離を確保できる技術が求められる。
【0007】
また、ハンダ付け作業時においてはハンダの流れのばらつきを生じることがあるが、この場合各電線接続部間の沿面距離確保に限界があり、ハンダ流れが過多であると短絡の発生を引き起こすことがあり、安定した絶縁特性を得ることはできない。
【0008】
本発明の課題は、上記従来技術の欠点を解決して、結線基板全体の寸法をコンパクトな状態にとどめたままで、必要な沿面距離あるいは空間距離を確保し、それにより電線接続部間における電気的絶縁を充分に達成することのできる、回転電機用結線基板を提供することである。また、ハンダ付け作業におけるハンダの流れのばらつきにより生じる絶縁不良も解消することができる回転電機用結線基板を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願発明者は上記課題につき鋭意検討した結果、基板に曲げ成形を施したり、異なる回路部構成を有する複数の基板を貼り合わせ成形し積層することにより、各ランドの配設関係を立体的に構成することによって該課題を解決できることを見出し、本発明に至った。すなわち、本願において特許請求もしくは少なくとも開示される発明は以下のとおりである。
【0010】
(1)回路部ごとに設けられた、リード線をコイル間結線に接続する等電線を接続するための電線接続部を基板上に有する回転電機用の結線基板において、 該結線基板は該電線接続部をその上に設けるための舌状片部を複数有し、 相互に隣接する該舌状片部は平面的に離間され、一の舌状片部には一の電線接続部のみが設けられおり、 隣接する該電線接続部がそれぞれ設けられた隣接する該舌状片部のうち一方のみが、該結線基板のうち該舌状片部以外の部分である円環部が属する基準平面から離隔するよう曲げ成形されていることによって、 該隣接する電線接続部が立体的に互い違いに位置するよう構成されていることを特徴とする、回転電機用の結線基板。
【0011】
(2)回路部ごとに設けられた、リード線をコイル間結線に接続する等電線を接続するための電線接続部を基板上に有する回転電機用の結線基板において、 該結線基板として多層基板が用いられ、該多層基板は該電線接続部が設けられた単層基板が少なくとも2層積層されることにより形成され、平面的に相互に隣接する回路部に係る該電線接続部が、相互に異なる該単層基板上に設けられることにより、該隣接する電線接続部が立体的に互い違いに位置するよう構成されていることを特徴とする、回転電機用の結線基板。
【0012】
(3)前記電線接続部が接地端子部と三相分のリード線接続部からなることを特徴とする、(1)または(2)に記載の回転電機用の結線基板。
【0016】
つまり本発明は、回転電機用結線基板において、各回路部間の間隔には変更を加えないことによって結線基板全体の寸法はコンパクトな状態にとどめ、基板に曲げ成形を施したり、異なる回路部構成を有する複数の基板を貼り合わせ成形し積層することにより、各ランドの配設関係を立体的に構成することによって、必要な沿面距離あるいは空間距離を確保し、それにより電線接続部間における充分な電気的絶縁を得ることができるものである。
【0017】
すなわち本発明の課題解決手段は、円環部と接続端子部からなる基板のうち、該接続端子部を各電線接続部ごとに分割して舌状片部とし、沿面距離を増大させ、さらにこれら舌状片部を曲げ成形等によって立体的に段差を生じるように形成して空間距離を増大させ、もって電線接続部間の電気的絶縁特性の向上を実現するものである。
【0018】
本発明において、相互に異なる立体的位置とは、結線基板のうち舌状片部以外の部分である円環部が属する平面を基準平面として、該基準平面の垂線方向に異なる座標を有する位置をいう。舌状片部の曲げ成形や、異なる回路部構成を有する複数の基板の貼り合わせ成形による基板層の形成により、各電線接続部を相互に異なる立体的位置に位置させることができる。
【0019】
本発明において舌状片部は、すべての電線接続部が配置される同一の基板上にすべての舌状片部が設けられる場合の他、電線接続部が分散して配置される複数の基板上に分散して設けられる場合もある。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの図に表された構成のみに限定されるものではない。また、各図においては、先に挙げた従来技術の図3を含め、同一要素に対しては同一の符号を付して説明する。
【0021】
図1は、本発明の回転電機用の結線基板の構造について、その一例を示す平面図、正面図、および側面図である。図において本発明の結線基板は、各プリント基板配線回路(以下、「回路部」ともいう。)21、22、23、および24ごとに設けられた、リード線をコイル間結線に接続する等電線を接続するための電線接続部(ランド)11、12、13、および14をそれぞれ該基板10上に有する回転電機用の結線基板において、隣接するランド11ならびに12、ランド12ならびに13、および、ランド13ならびに14、はみな、相互に異なる立体的位置に位置するように設けられていることを、主たる構成とする。
【0022】
図において本発明の結線基板は、前記ランド11、12、13、および14をその上に設けるための、接続端子部101が各ランドごとに分割されてなる、舌状片部103を複数有し、相互に隣接する該舌状片部103は平面的に離間され、一の舌状片部103には一のランド(11等)のみが設けられている構成とすることができる。
【0023】
また、図において本発明の結線基板は、隣接するランド11ならびに12、ランド12ならびに13、および、ランド13ならびに14、がそれぞれ設けられた隣接する前記舌状片部103のうち少なくとも一方が、前記結線基板のうち該舌状片部103以外の部分である円環部102が属する基準平面から離隔するよう曲げ成形されていることによって、該隣接するランド11ならびに12、ランド12ならびに13、および、ランド13ならびに14、が立体的に互い違いに位置するよう構成することができる。
【0024】
なお、基板10上に、回路部21、22、23、および24が配置されており、該基板10は、回転電機軸心の同心円上に一部欠切された略円環状の形状をとる点、および、該回路部21、22、23、および24の端部には、リード線固定穴をそれぞれ有する、裸導電部であるランド11、12、13、および14がそれぞれ設けられており、これらランド11、12、13、および14はリード線がハンダ付けにより固定されて、各回路部21、22、23、および24と電源との接続がなされるものである点は、従来の結線基板と同様である。
【0025】
【作用】
図1において本発明の結線基板は上述のように構成されているため、隣接するランド11ならびに12、ランド12ならびに13、および、ランド13ならびに14、はみな、相互に異なる立体的位置に配置される。それにより、隣接するランドが同一の立体的位置に配置される場合と比較して、大きな空間距離および沿面距離をもって隣接するランド同士が離間される。あるいはさらに、接続端子部が各ランドごとに分割されてなり、それぞれ一のランド(11等)のみが設けられる舌状片部103は、相互に隣接する他の舌状片部103から平面的に離間される。それにより、隣接するランドが同一の立体的位置を有し、かつ、分割されない接続端子部に配置される場合と比較して、大きな空間距離および沿面距離をもって隣接するランド同士が離間される。すなわち裸導電部である各相のランド11および12、12および13、13および14間の空間距離、沿面距離は長くなり、一般に導電部間距離にほぼ比例する絶縁抵抗、耐電圧などの電気的絶縁特性が改善される。なお、ランド11−13、11−14、12−14間においても、これらが平面的に、あるいは立体的に異なる位置に配置され、空間距離、沿面距離が大きい状態で離間されて、一般に導電部間距離にほぼ比例する絶縁抵抗、耐電圧などの電気的絶縁特性が確保されていることは言うまでもない。
【0026】
あるいは図1において、隣接するランド11ならびに12、ランド12ならびに13、および、ランド13ならびに14、がそれぞれ設けられた隣接する前記舌状片部103のうち少なくとも一方が、前記結線基板のうち該舌状片部103以外の部分である円環部102が属する基準平面から離隔するよう曲げ成形されていることによって、該隣接するランド11ならびに12、ランド12ならびに13、および、ランド13ならびに14、は立体的に互い違いに配置される。それにより、曲げ成形されない場合と比較して、さらに大きな空間距離および沿面距離をもって隣接するランド同士が離間される。すなわち裸導電部である各相のランド11および12、12および13、13および14間の空間距離、沿面距離は長くなり、一般に導電部間距離にほぼ比例する絶縁抵抗、耐電圧などの電気的絶縁特性が改善される。なお、ランド11−13、11−14、12−14間においても、これらが平面的に、あるいは立体的に異なる位置に配置され、空間距離、沿面距離が大きい状態で離間されて、一般に導電部間距離にほぼ比例する絶縁抵抗、耐電圧などの電気的絶縁特性が確保されていることは、言うまでもない。
【0027】
図1において、プリント配線回路である回路部21、22、23、および24間の間隔は必要最小限の長さに保たれ、すべての舌状片部103からなる回転電機の接続端子部101の幅方向寸法を大きくすることなく、絶縁特性は改善される。
【0028】
図2は、本発明の回転電機用結線基板の構造について、別の例を示す平面図、正面図、および側面図である。図において本発明の結線基板は、前記基板として多層基板100が用いられ、隣接する前記ランド11ならびに12、ランド12ならびに13、および、ランド13ならびに14、はそれぞれ、該多層基板100を形成する異なる単層基板上に設けられ、これら単層基板が貼り合わせ成形されることによって、該隣接するランド11ならびに12、ランド12ならびに13、および、ランド13ならびに14、が相互に異なる立体的位置に配置される構成をとる。
【0029】
図において前記多層基板100は、前記ランド11〜14が設けられた単層基板が少なくとも2層積層されることにより形成され、平面的に相互に隣接する回路部21ならびに22、22ならびに23、および、23ならびに24、に係る該ランド11ならびに12、12ならびに13、および、13ならびに14、が相互に異なる該単層基板上に設けられることにより、該隣接するランド11ならびに12、12ならびに13、および、13ならびに14、が立体的に互い違いに配置される構成とすることができる。
【0030】
前記多層基板100を形成する単層基板が2層である場合、前記回路部21および23を一方の単層基板上に配置し、前記回路部22および24を、他方の単層基板上に配置し、これらの単層基板を貼り合わせ成形して多層基板100とすることができる。これにより、該隣接するランド11ならびに12、12ならびに13、および、13ならびに14、が立体的に互い違いに配置される構成とすることができる。
【0031】
図2において、このように隣接するランドを異なる立体的位置に配置させることのできる多層基板100を構成することにより、多層基板を構成しない場合と比較して大きな空間距離および沿面距離をもって隣接するランド同士が離間される。すなわち裸導電部である各相のランド11および12、12および13、13および14間の空間距離、沿面距離は長くなり、一般に導電部間距離にほぼ比例する絶縁抵抗、耐電圧などの電気的絶縁特性が改善される。なお、ランド11−13、11−14、12−14間においても、これらが立体的に異なる位置に配置され、空間距離、沿面距離が大きい状態で離間されて、一般に導電部間距離にほぼ比例する絶縁抵抗、耐電圧などの電気的絶縁特性が改善されることは、言うまでもない。
【0032】
図2において、プリント配線回路である回路部21、22、23、および24間の間隔は必要最小限の長さに保たれ、すべての舌状片部103からなる回転電機の接続端子部101の幅方向寸法を大きくすることなく、絶縁特性は改善される。
【0033】
なお、前記ランド11〜14は、具体的には接地端子部と三相分のリード線接続部がこれに該当するものとして、本発明の結線基板を構成することができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の結線基板によれば、結線基板全体の寸法をコンパクトな状態にとどめたままで、必要な沿面距離あるいは空間距離を確保し、それにより電線接続部間における電気的絶縁を充分に達成することができる。また、ハンダ付け作業におけるハンダの流れのばらつきにより生じる絶縁不良も解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回転電機用結線基板の構造について、その一例を示す平面図、正面図、および側面図である。
【図2】本発明の回転電機用結線基板の構造について、別の例を示す平面図、正面図、および側面図である。
【図3】従来の回転電機用結線基板の構造について、その一例を示す平面図、正面図、および側面図である。
【符号の説明】
10、100…基板、 102…円環部、 103…舌状片部、 11、12、13、14…電線接続部(ランド)、 21、22、23、24…回路部
Claims (3)
- 回路部ごとに設けられた、リード線をコイル間結線に接続する等電線を接続するための電線接続部を基板上に有する回転電機用の結線基板において、 該結線基板は該電線接続部をその上に設けるための舌状片部を複数有し、 相互に隣接する該舌状片部は平面的に離間され、一の舌状片部には一の電線接続部のみが設けられおり、 隣接する該電線接続部がそれぞれ設けられた隣接する該舌状片部のうち一方のみが、該結線基板のうち該舌状片部以外の部分である円環部が属する基準平面から離隔するよう曲げ成形されていることによって、 該隣接する電線接続部が立体的に互い違いに位置するよう構成されていることを特徴とする、回転電機用の結線基板。
- 回路部ごとに設けられた、リード線をコイル間結線に接続する等電線を接続するための電線接続部を基板上に有する回転電機用の結線基板において、 該結線基板として多層基板が用いられ、該多層基板は該電線接続部が設けられた単層基板が少なくとも2層積層されることにより形成され、平面的に相互に隣接する回路部に係る該電線接続部が、相互に異なる該単層基板上に設けられることにより、該隣接する電線接続部が立体的に互い違いに位置するよう構成されていることを特徴とする、回転電機用の結線基板。
- 前記電線接続部が接地端子部と三相分のリード線接続部からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の回転電機用の結線基板。
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