JP4149229B2 - 水性の樹脂分散体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料、建材の下地処理材において優れた性能を有する塗膜を形成することができる水性の樹脂分散体に関するものであり、特に耐水性、密着性、耐透水性、耐候性、耐久性、光沢保持性に優れる水性の樹脂分散体である。更には本発明の水性の樹脂分散体は塗装鋼板または窯業系基材への密着性が特に優れるものである。
【0002】
本発明の水性の樹脂分散体の具体的な分野は、例えば溶融亜鉛めっき鋼板にポリエステル/メラミン系塗料、高分子ポリエステル系塗料、ポリ塩化ビニル系塗料等が塗装されている塗装鋼板、アルミニウム亜鉛鋼板などに対する塗料、又はコンクリート、セメントモルタル、スレート板、ケイカル板、石膏ボード、押し出し成形板、発砲性コンクリートなどの窯業系基材などの各種下地に対する塗料などが挙げられる。
【0003】
【従来の技術】
乳化重合により得られるアクリル系エマルジョンは、常温あるいは加熱下で乾燥形成した皮膜が比較的良好な耐久性を示すことから、水性塗料用の樹脂として多く用いられている。しかし、屋外や紫外線に長期間暴露された場合には、つやの低下、変色、膨れなどの変質が問題となっている。そのため長期の耐久性が必要とされる場合には、溶剤系のアクリルシリコーン樹脂等を用いた溶剤系塗料が使用されてきた。しかし、最近の現場での作業環境の改善、現場周辺への環境衛生の配慮、及び溶剤放出による地球環境への負荷低減などから、これらの溶剤系塗料に変わる高耐久性のアクリル系エマルジョン塗料が望まれている。
【0004】
またアクリル系エマルジョン塗料は先に記載したように常温あるいは加熱下で乾燥させ皮膜を形成させる。常温乾燥において塗膜性能が発揮しても、同じ塗料を用いてラインで加熱乾燥した場合、塗膜性能が発揮されないことがある。この場合、加熱時のエマルジョンの成膜が不十分であると考えられていて、通常成膜助剤等の追加を行うなどの改良が行われている。しかし、加熱乾燥後の塗膜中に成膜助剤が残留しやすく、塗膜耐水性などの性能を落とす原因となっている。
【0005】
さらには、アクリル系エマルジョンは塗装鋼板に対して密着しずらい。この場合、塗装鋼板に対するなじみ性を上げるために界面活性剤等を添加することが行われるが、常態では密着しているものの、耐水性試験において膨れ、はがれが起き易くなり密着性が不良となる。したがって、界面活性剤の添加等なしでも密着が向上するエマルジョンも求められている。また、窯業系基材に対する密着性もアクリル系エマルジョンは劣る。窯業系基材に対する密着性向上に対しても界面活性剤の添加効果はあるものの、塗装鋼板と同様に耐水性試験において不良である。
【0006】
高耐久性の要望に対して特開平10−120724号公報ではアクリル系エマルジョンの高耐久化技術が開示されている。その中にはシリコーン変性技術、反応性乳化剤を応用する技術、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルを応用する技術、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を応用する技術が開示されている。これらの開示技術により、アクリル系エマルジョンの耐久化は著しく向上するが、ライン塗装での加熱成膜性、及び塗装鋼板又は窯業系基材への密着性向上についての記載はなく、現在の要望には不十分である。
【0007】
ライン塗装での加熱成膜性向上は、エマルジョン粒子の安定性の向上に関わる。これに関して、特開平8−12930号公報では特定量のケイ素量と特定量の水酸基価を有するラテックスについて開示されている。開示技術では耐候性などの向上の記載があるが、ライン塗装での加熱成膜性ついての記載はない。また、本開示技術においては塗装鋼板、又は窯業系基材に対する密着性向上の記載もない。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−120724号公報
【特許文献2】
特開平8−12930号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐水性、密着性、耐透水性、耐候性、耐久性、光沢保持性に優れる水性の樹脂分散体を提供するものであり、更には塗装鋼板または窯業系基材への密着性が特に優れる水性の樹脂分散体を提供することを目的とする。
【0010】
【問題を解決するための手段】
本発明者は、特定のビニル単量体を含む混合物を乳化重合によって得られた水性の樹脂分散体が前記課題を解決することを見いだし、本発明をなすに至った。
すなわち本発明は、以下の1〜8に記載する通りのものである。
1.ビニル系単量体を含む、それぞれ組成が異なる3種の混合物を逐次乳化重合することで得られる水性の樹脂分散体であって、該3種の混合物が次の混合物[A]、混合物[B]及び混合物[C]であり、混合物[A]、混合物[B]、混合物[C]の順に逐次乳化重合して得られることを特徴とする水性の樹脂分散体。 [混合物A]:(メタ)アクリル酸エステル単量体が20〜99.5質量%、エチレン性不飽和カルボン酸が0.5〜5質量%、その他のビニル系単量体が0〜80質量%からなる単量体組成物(A)100質量部と、加水分解性シラン1〜40質量部とからなる混合物
[混合物B]:(メタ)アクリル酸エステル単量体が20〜95質量%、ヒドロキシル基含有ビニル単量体が0.5〜50質量%、エチレン性不飽和カルボン酸が1.0〜10質量%、その他のビニル系単量体が0〜80質量%からなる単量体組成物(B)100質量部と、連鎖移動剤が0.01〜1質量部とからなる混合物
[混合物C]:(メタ)アクリル酸エステル単量体が20〜99質量%、ヒドロキシル基含有ビニル単量体が0.5〜50質量%、エチレン性不飽和カルボン酸が0.5〜5質量%、その他のビニル系単量体が0から80質量%からなる単量体組成物(C)と加水分解性シラン1質量部〜40質量部と連鎖移動剤0.01〜1質量部とからなる混合物
2.混合物[A]100質量部に対して、混合物[B]が20〜60質量部、混合物[C]が40〜80質量部であることを特徴とする請求項1の水性の樹脂分散体。
3.加水分解性シランがラジカル重合性の二重結合を有しない2官能性加水分解性シラン、ラジカル重合性の二重結合を有しない3官能性加水分解性シラン、及び重合性二重結合を有する加水分解性シランから選ばれる1種以上を含むことを特徴とする水性の樹脂分散体。
【0011】
4.乳化重合時、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤が存在していることを特徴とする上記1〜3の水性の樹脂分散体。
5.塗装鋼板の片面又は両面に塗装されることを特徴とする上記1〜4の水性の樹脂分散体。
6.窯業系基材の片面又は両面に塗装されることを特徴とする上記1〜4の水性の樹脂分散体。
7.上記1〜4の水性の樹脂分散体が片面又は両面に塗装されていることを特徴とする塗装鋼板。
8.上記1〜4の水性の樹脂分散体が片面又は両面に塗装されていることを特徴とする窯業系基材。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下に具体的に説明する。
本発明の水性の樹脂分散体は、通常の乳化重合法によって得られる。乳化重合の方法に関しては特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。すなわち、水性媒体中で単量体組成物、連鎖移動剤、界面活性剤、ラジカル重合開始剤および、必要に応じて用いられる他の添加剤成分などを基本組成成分とする分散系において、単量体組成物を重合する方法である。
【0013】
本発明における水性の樹脂分散体は、乳化重合で得られる重合体を少なくとも3種み、かつ1種以上の重合体がヒドロキシル基含有ビニル単量体を含む混合物を乳化重合して得られるものである。重合体を少なくとも3種み、かつ1種以上の重合体がヒドロキシル基含有ビニル単量体を含む混合物を乳化重合して得られることにより、他の物性を損なうことなく、塗装鋼板又は窯業系基材への密着性を向上させることができ、また加水分解性シランの添加に問題がなく、耐久性、耐候性、密着性等物性バランスが図り易い。なお、本発明における少なくとも3種の重合体とは、異なる少なくとも3種の単量体組成物を乳化重合して得られるものである。
【0014】
本発明において1種以上の重合体が加水分解性シラン、ヒドロキシル基含有ビニル単量体から選ばれる1種以上の化合物を含む混合物を乳化重合することが好ましい。加水分解性シランを含むことにより耐候性に問題がなく、ヒドロキシル基含有ビニル単量体を含むことにより塗装鋼板又は窯業系基材への密着性に問題ない。
本発明で用いられる加水分解性シランは全単量体組成物100質量部に対して0.1〜40質量部である。加水分解性シランが0.1質量部以上で耐候性に問題がなく、40質量部以下で基材密着性に問題がない。好ましくは全単量体組成物100質量部に対して加水分解性シランが1〜30質量部である。また、ヒドロキシル基含有ビニル単量体は全単量体組成物100質量%に対して0.5〜50質量%である。ヒドロキシル基含有ビニル単量体が0.5質量%で基材密着性に問題がなく、50質量%以下で耐水性に問題がない。好ましくは、全単量体組成物100質量%に対してヒドロキシル基含有ビニル単量体は1〜30質量%である。
【0015】
また、本発明においてヒドロキシル基含有ビニル単量体を含む混合物を乳化重合する時、連鎖移動剤を存在させることが必要である。連鎖移動剤を存在させることにより、塗装鋼板又は窯業系基材への密着性に問題ない。連鎖移動剤は全単量体組成物100質量部に対して0.01〜1質量部である。連鎖移動剤が0.01質量部以上で基材密着性に問題がなく、1質量部以下で耐水性に問題がない。好ましくは全単量体組成物100質量部に対して0.05〜0.5質量部である。
【0016】
本発明において用いられるヒドロキシル基含有ビニル単量体としては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート等が挙げられる。好ましくはヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートである。
【0017】
本発明においてヒドロキシル基含有ビニル単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体との混合物を乳化重合することができる。その他のビニル系単量体としては、例えば、(イ)(メタ)アクリル酸エステル単量体、(ロ)エチレン性不飽和カルボン酸、(ハ)芳香族ビニル単量体、(ニ)アミド基含有ビニル単量体、(ホ)エポキシ基含有ビニル単量体、(ヘ)メチロール基含有ビニル単量体、(ト)アルコキシメチル基含有ビニル単量体、(チ)シアノ基含有ビニル単量体、(リ)ラジカル重合性の二重結合を2個以上有しているビニル系単量体などが挙げられる。
【0018】
(イ)(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート等が挙げられる。好ましくは、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートである。
【0019】
(ロ)エチレン性不飽和カルボン酸単量体としてはとしては、例えば、モノカルボン酸のアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸のハーフエステル、マレイン酸のハーフエステル、フマール酸のハーフエステルなどが挙げられ、ジカルボン酸としてはイタコン酸、フマール酸、マレイン酸等が挙げられる。好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸である。
(ハ)芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。好ましくはスチレンである。
【0020】
(ニ)アミド基含有ビニル単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等を挙げることができる。好ましくはアクリルアミド、メタクリルアミドである。
(ホ)エポキシ基含有ビニル単量体としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジルアクリレート、メチルグリシジルメタクリレートなどが挙げられる。好ましくはグリシジルメタクリレートである。
【0021】
(ヘ)メチロール基含有ビニル単量体としては、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジメチロールアクリルアミド、ジメチロールメタクリルアミドなどが挙げられる。
(ト)アルコキシメチル基含有ビニル単量体としては、例えば、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドなどが挙げられる。
【0022】
(チ)シアノ基含有ビニル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
(リ)ラジカル重合性の二重結合を2個以上有しているビニル系単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ポリオキシエチレンジアクリレート、ポリオキシエチレンジメタクリレート、ポリオキシプロピレンジアクリレート、ポリオキシプロピレンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレートなどが挙げられる。
【0023】
また、これらの単量体に加えて、本発明の水性樹脂分散体に要求される様々な品質・物性を改良するために、上記以外の単量体成分をさらに使用することもできる。それらの単量体としては、上記の単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体(ヌ)が使用できる。例えば、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基などの官能基を有する各種のビニル系単量体、さらには酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、ブタジエン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなども所望に応じて使用できる。
【0024】
本発明に用いられる加水分解性シランとは、酸触媒又はアルカリ触媒等によって加水分解及び縮合し、オルガノポリシロキサンを形成するものである。例えば、下記式(a)で示されるシリコーン構造を有するものである。
(R1)n−Si−(R2)4-n (a)
(式中nは0〜3の整数であり、R1は水素原子、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、ビニル基、炭素数1〜10のアクリロキシアルキル基、または炭素数1〜10のメタクリロキシアルキル基から選ばれる。n個のR1は同一であっても、異なっても良い。R2は炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基または水酸基から選ばれる。4−n個のR2は同一であっても、異なっても良い。)
【0025】
ここで、n=2でありラジカル重合性の二重結合を有しない2官能性加水分解性シランを非重合性2官能性加水分解性シラン、n=1でありラジカル重合性の二重結合を有しない3官能性加水分解性シランを非重合性3官能性加水分解性シランと言う。またR1がビニル基、炭素数1〜10のアクリロキシアルキル基、または炭素数1〜10のメタクリロキシアルキル基である加水分解性シランを重合性二重結合を有する加水分解性シランと言う。
【0026】
具体的には、非重合性2官能性加水分解性シランとしては例えばジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等が挙げられ、非重合性3官能性加水分解性シランとしては例えばメチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン等が挙げられ、重合性二重結合を有する加水分解性シランとしては例えばビニルシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの加水分解性シランは1種又は2種以上含んでいてもよい。
【0027】
非重合性2官能性加水分解性シランを1種使用した場合は、例えば水性の樹脂分散体から得られる乾燥塗膜の耐候性、柔軟性等の向上が図られる。非重合性3官能性加水分解性シランを1種使用した場合は、例えば水性の樹脂分散体から得られる乾燥塗膜の耐候性、剛性等の向上が図られる。また、重合性二重結合を有する加水分解性シランを1種使用した場合は、例えば水性の樹脂分散体から得られる乾燥塗膜の耐候性、耐熱性、耐薬品性等の向上が図られる。
【0028】
好ましくは非重合性2官能性加水分解性シランとしてはジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、非重合性3官能性加水分解性シランとしてはメチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、重合性二重結合基を有する加水分解性シランとしてはγ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランであり、これらから選ばれる1種以上の加水分解性シランである。
【0029】
非重合性2官能性加水分解性シラン、非重合性3官能性加水分解性シラン、及び重合性二重結合基を有する加水分解性シランの割合は特に限定されないが、例えば加水分解性シラン全量100質量%とした時、非重合性2官能性加水分解性シラン20〜80質量%、非重合性3官能性加水分解性シラン20〜80質量%、重合性二重結合基を有する加水分解性シラン0.5〜40質量%である。
上記の加水分解性シラン以外にも他の官能基を有するシラン化合物を用いてもよい。例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、クロロシラン類、環状シラン類などが挙げられる。クロロシラン類としては例えばメチルクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルクロロシラン、ビニルクロルシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジクロロメチルシランなどが挙げられ、環状シラン類としては例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、及びポリシロキサンなどが挙げられる。
【0030】
本発明において加水分解性シランの添加方法は特に限定されない。例えば、単量体組成物と別々に添加する方法、単量体組成物にあらかじめ混合して添加する方法、単量体組成物の乳化液にあらかじめ混合して添加する方法、単量体組成物の乳化液を反応機に投入する時に混合して添加する方法などが挙げられる。好ましくは乳化重合の安定性に問題ないことから、単量体組成物の乳化液を反応機に投入する時に混合して添加する方法である。
【0031】
加水分解性シランは、乳化重合中に存在することにより、加水分解、それに続いて縮合反応が進行する。乳化重合中の乳化重合系の水素イオン濃度(pH)は特に限定されないが、pH4.0以下で実施することが好ましい。pH4.0以下で加水分解性シランの縮合反応が進行し、製品としての貯蔵安定性が問題ない。特に好ましくはpH1.5以上3.0以下である。
加水分解性シランの加水分解、縮合反応をさらに促進させるために、例えば塩酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸、2−メシチレンスルホン酸、カンファ−10−スルホン酸、三フッ化ホウ素などが乳化重合中に用いられる。とくにヘキシルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、セチルベンゼンスルホン酸のような酸触媒と乳化重合用界面活性剤との両機能を有するものを乳化重合中に使用してもよい。
【0032】
本発明においてヒドロキシル基含有ビニル単量体を含む混合物を乳化重合する時、連鎖移動剤が存在することが必要である。連鎖移動剤が存在することにより、塗装鋼板、又は窯業系基材への密着性に問題ない。
連鎖移動剤としては、例えばn−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラメチルチウラジウムジスルフィドなどのジスルフィド類、四塩化炭素などのハロゲン化誘導体、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられ、単独または2種以上組み合わせて用いることができる。好ましくはn−ドデシルメルカプタンである。
【0033】
本発明において、乳化重合によって得られる重合体の3種を含ませるために、ビニル系単量体を含む異なる3種の混合物を逐次、または断続的に重合することができる。本発明においてはビニル系単量体を含む異なる3種の混合物を逐次に重合する。逐次に重合することにより、水性樹脂分散体の重合安定性に問題がない。
【0034】
本発明の水性の樹脂分散体の好ましい単量体組成物は、(メタ)アクリル酸エステル単量体が20〜99.5質量%、ヒドロキシル基含有ビニル単量体が0.5〜50質量%、エチレン性不飽和カルボン酸が0.5〜10質量%、その他のビニル系単量体が0〜80質量%である。
本発明において、ビニル系単量体を含む3種の混合物[A]、[B]、[C]の組成は以下の通りである。
【0035】
混合物[A]は単量体組成物(A)として(メタ)アクリル酸エステル単量体が20〜99.5質量%、エチレン性不飽和カルボン酸が0.5〜5質量%、その他のビニル系単量体が0〜80質量%であり、さらに単量体組成物100質量部に対して、加水分解性シランが1〜40質量部である。(メタ)アクリル酸エステル単量体20質量%以上で耐候性に問題がなく、99.5質量%以下で耐水性に問題がない。エチレン性不飽和カルボン酸単量体が0.5質量%以上で乳化重合の安定性に問題がなく、5質量%以下で耐水性に問題がない。さらに、単量体組成物(A)100質量部に対して、加水分解性シランが1質量部以上で耐候性に問題がなく、40質量部以下で基材への密着性が問題ない。
【0036】
混合物[B]は単量体組成物(B)として(メタ)アクリル酸エステル単量体が20〜95質量%、ヒドロキシル基含有ビニル単量体が0.5〜50質量%、エチレン性不飽和カルボン酸が1.0〜10質量%、その他のビニル系単量体が0〜80質量%である。さらに単量体組成物(B)100質量部に対して、連鎖移動剤が0.01〜1質量部である。(メタ)アクリル酸エステル単量体20質量%以上で耐候性に問題がなく、95質量%以下で耐水性に問題がない。ヒドロキシル基含有ビニル単量体が0.5質量%以上で基材への密着性に問題がなく、50質量%以下で耐水性に問題がない。エチレン性不飽和カルボン酸単量体が1質量%以上で乳化重合の安定性に問題がなく、10質量%以下で耐水性に問題がない。さらに、単量体組成物(B)100質量部に対して、連鎖移動剤が0.01質量部以上で基材への密着性に問題がなく、1質量部以下で耐水性に問題ない。
【0037】
混合物[C]は単量体組成物(C)として(メタ)アクリル酸エステル単量体が20〜99質量%、ヒドロキシル基含有ビニル単量体が0.5〜50質量%、エチレン性不飽和カルボン酸が0.5〜5質量%、その他のビニル系単量体が0から80質量%である。さらに単量体組成物(C)100質量部に対して、加水分解性シランが1質量部〜40質量部、連鎖移動剤が0.01〜1質量部である。(メタ)アクリル酸エステル単量体20質量%以上で耐候性に問題がなく、99質量%以下で耐水性に問題がない。ヒドロキシル基含有ビニル単量体が0.5質量%以上で基材への密着性に問題がなく、50質量%以下で耐水性に問題がない。エチレン性不飽和カルボン酸単量体が0.5質量%以上で乳化重合の安定性に問題がなく、5質量%以下で耐水性に問題がない。さらに、単量体組成物(C)100質量部に対して、加水分解性シランが1質量部以上で耐候性に問題がなく、40質量部以下で基材密着性に問題がない。また連鎖移動剤が0.01質量部以上で基材への密着性に問題がなく、1質量部以下で耐水性に問題ない。
【0038】
本発明においてビニル系単量体を含む3種の混合物の全てに(メタ)アクリル酸エステル単量体としてシクロヘキシルメタクリレートを含むことが好ましい。シクロヘキシルメタクリレートを全てに含むことにより、耐候性、塗装鋼板、窯業系基材に対する密着性に問題ない。シクロヘキシルメタクリレートの量はビニル系単量体を含む混合物において20〜80質量%であり、好ましくは20〜70質量%である。20質量%以上で耐候性、塗装鋼板、窯業系基材への密着性に問題がなく、80質量%以下で塗膜耐水性に問題がない。
【0039】
本発明において、好ましい[A]、[B]、[C]の質量比は[A]100質量部に対して、[B]が20〜60質量部、[C]が40〜80質量部である。[B]が20質量部以上で塗装鋼板、窯業系基材に対する密着性に問題がなく、60質量部以下で耐水性に問題がない。[C]が40質量部以上で塗装鋼板、窯業系基材に対する密着性に問題がなく、80質量部以下で耐久性に問題がない。水性樹脂分散体の製造方法として、[A]を乳化重合した後、次いで[B]を添加して乳化重合を行い、次いで[C]を添加して乳化重合することが好ましい。
【0040】
本発明で用いられるラジカル重合開始剤としては、熱または還元性物質によりラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであり、無機系開始剤および有機系開始剤のいずれも使用できる。このようなものとしては、水溶性、油溶性の重合開始剤が使用できる。水溶性の重合開始剤としては例えばペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、水溶性のアゾビス化合物、過酸化物−還元剤のレドックス系などが挙げられ、ペルオキソ二硫酸塩としては例えばペルオキソ二硫酸カリウム(KPS)、ペルオキソ二硫酸ナトリウム(NPS)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS)などが挙げられ、過酸化物としては例えば過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t―ブチルパーオキシマレイン酸、コハク酸パーオキシド、過酸化ベンゾイルなどが挙げられ、水溶性アゾビス化合物としては、例えば2,2−アゾビス(N−ヒドロキシエチルイソブチルアミド)、2、2−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩化水素、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸)などが挙げられ、過酸化物−還元剤のレドックス系としては、例えば先の過酸化物にナトリウムスルホオキシレートホルムアルデヒド、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、およびその塩、第一銅塩、第一鉄塩などの還元剤を重合開始剤に組み合わせて用いることもできる。
【0041】
ラジカル重合開始剤の量としては、単量体組成物100質量部に対して、ラジカル重合開始剤0.05〜1質量部を用いることができる。
本発明で用いられる界面活性剤は、一分子中に少なくとも一つ以上の親水基と一つ以上の親油基を有する化合物を指す。界面活性剤としては、例えば非反応性のアルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩などのアニオン性界面活性剤が挙げられ、また非反応性のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのノニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0042】
これらのほかに親水基と親油基を有する界面活性剤の化学構造式の中にエチレン性2重結合を導入した、いわゆる反応性界面活性剤を用いても良い。
反応性界面活性剤の中でアニオン性界面活性剤としては、例えばスルホン酸基、スルホネート基又は硫酸エステル基及びこれらの塩を有するエチレン性不飽和単量体であり、スルホン酸基、又はそのアンモニウム塩かアルカリ金属塩である基(アンモニウムスルホネート基、又はアルカリ金属スルホネート基)を有する化合物であることが好ましい。例えばアルキルアリルスルホコハク酸塩(例えば三洋化成(株)エレミノール(商標)JS−2、JS−5、例えば花王(株)製ラテムル(商標)S−120、S−180A、S−180等が挙げられる)、例えばポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステル塩(例えば第一工業製薬(株)製アクアロン(商標)HS−10等が挙げられる)、例えばα−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ポリオキシエチレン硫酸エステル塩(例えば旭電化工業(株)製アデカリアソープ(商標)SE−1025N等が挙げられる)、例えばアンモニウム=α−スルホナト−ω−1−(アリルオキシメチル)アルキルオキシポリオキシエチレン(例えば第一工業製薬(株)製アクアロンKH−10などが挙げられる)など、スチレンスルホン酸塩が挙げられる。
【0043】
また、反応性界面活性剤でノニオン性界面活性剤としては、例えばα−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン(例えば旭電化工業(株)製アデカリアソープNE−20、NE−30、NE−40等が挙げられる)、例えばポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(例えば第一工業製薬(株)製アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50等が挙げられる)などが挙げられる。
界面活性剤の量としては、単量体組成物100質量部に対してアニオン界面活性剤0.1〜2質量部、ノニオン界面活性剤0.1〜2質量部を用いることができる。
【0044】
本発明の水性樹脂分散体は、成膜時の硬化触媒として、例えばジブチルすずジラウレート、ジオクチルすずジラウレート、ジブチルすず、ジアセテート、オクチル酸すず、ラウリン酸すず、オクチル酸鉄、オクチル酸鉛、テトラブチルチタネートなどの有機酸の金属塩、n−ヘキシルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセンなどのアミン化合物を、添加することができる。なおこれらの硬化用触媒が水溶性でない場合には、その使用に際して、界面活性剤と水を用いてエマルジョン化しておくことが望ましい。
本発明の水性樹脂分散体は、長期の分散安定性を保つため、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジメチルアミノエタノールなどのアミン類を用いてpH5〜12の範囲に調整することが好ましい。
本発明によって製造される水性樹脂分散体の平均粒子径として、10〜1000nmであることが好ましい。得られた水性樹脂分散体の固形分としては、30質量%〜70質量%であることが好ましい。
【0045】
本発明の水性樹脂分散体には耐久性の向上のために紫外線吸収剤及び/または光安定剤を添加することができる。紫外線吸収剤及び/または光安定剤は乳化重合時に存在させる、または成膜助剤などと混合して後添加させるなど添加法に制限はない。好ましくは、乳化重合時に存在させることである。
紫外線吸収剤として、分子内にラジカル重合性の二重結合を有する反応性のもの、及びラジカル重合性の二重結合を有しない非反応性のもの、光安定剤として、分子内にラジカル重合性の二重結合を有する反応性のもの、及びラジカル重合性の二重結合を有しない非反応性のものを用いることもできる。
【0046】
本発明において紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、蓚酸アニリド系、シアノアクリレート系、ベンゾエート系、サリシレート系から選ばれる少なくとも1種以上を用いることが好ましく、光安定剤として、例えば2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を有するヒンダードアミン系から選ばれる少なくとも1種以上を用いることが好ましい。
【0047】
ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤としては、例えば、非反応性のものとして2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ステアリルオキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0048】
反応性のベンゾフェノン系の紫外線吸収剤として例えば、2−ヒドロキシ−4−アクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−アクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−メタクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシ−エトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロキシ−エトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロキシ−ジエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシ−トリエトキシ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0049】
ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤として、例えば、非反応性としては2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキ シ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール)、メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量300)との縮合物(例えば日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN1130が挙げられる)、イソオクチル−3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート(例えば日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN384が挙げられる)、2−(3−ドデシル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(例えば日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN571が挙げられる)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(例えば日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN900が挙げられる)などが挙げられる。
【0050】
反応性ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤として例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(例えば大塚化学(株)製、製品名:RUVA−93が挙げられる)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチル−3−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシプロピル−3−tert−ブチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロピル−3−〔3’−(2’’−ベンゾトリアゾリル)−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチル〕フェニルプロピオネート(例えば日本チバガイギー(株)製、製品名:CGL−104が挙げられる)などが挙げられる。
【0051】
トリアジン系紫外線吸収剤として、例えば、非反応性としては例えば2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシロキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシロキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン混合物(例えば日本チバガイギー社(株)製、製品名:TINUVIN400が挙げられる)、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシー4−イソ−オクチルフェニル)−s−トリアジン(例えば日本チバガイギー社(株)製、製品名:TINUVIN411Lが挙げられる)などが挙げられる。
【0052】
本発明において使用できるヒンダードアミン系光安定剤としては、塩基性が低いものが好ましく、具体的には塩基定数(pKb)が8以上のものが好ましい。例えば、非反応性としてはビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−セバケートの混合物(例えば日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN292が挙げられる)、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(例えば日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN123が挙げられる)などが挙げられる。
【0053】
反応性のヒンダードアミン系光安定剤として例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート、2,2,6,6,−テトラメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート、4−シアノ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−シアノ−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートなどが挙げられる。
【0054】
紫外線吸収剤及び/または光安定剤の量としては全単量体組成物100質量部に対して、紫外線吸収剤及び/または光安定剤0.1〜10質量部を用いることができる。紫外線吸収剤及び/または光安定剤0.1質量部以上で耐候性に問題がなく、10質量部以下で耐水性に問題がない。
本発明の水性の樹脂分散体の更なる耐久性向上のために、水性の樹脂分散体に加水分解性シランおよび/またはオルガノシロキサンを添加してもよい。オルガノシロキサンは加水分解性基を有していても、なくてもよい。加水分解性シランおよび/またはオルガノシロキサンを添加する際、水性樹脂分散体のpHは特に限定されないが、pH5〜9で添加することができる。添加後縮合反応をさらに進めるために、pH7〜10に上げることができる。また、添加温度も特に限定されないが、20〜60℃で添加することができる。添加後縮合反応をさらに進めるために、40〜90℃に上げることができる。
【0055】
本発明の水性の樹脂分散体の成膜条件は特に限定されない。例えば常温成膜、加熱成膜でもよい。加熱成膜においては、例えば50〜150℃加熱条件下、5〜600秒の放置が挙げられる。加熱温度は一定温度でも、また昇温加熱でもよい。
本発明における塗装鋼板とは、例えば溶融亜鉛めっき鋼板にポリエステル/メラミン系塗料、高分子ポリエステル系塗料、ポリ塩化ビニル系塗料等が塗装されているものなどが挙げられる。
本発明における窯業系基材とは、コンクリート、セメントモルタル、スレート板、ケイカル板、石膏ボード、押し出し成形板、発砲性コンクリートなどが挙げられる。
【0056】
本発明の水性の樹脂分散体の使用できる分野は、先の塗装鋼板、窯業系基材以外に、織布あるいは不織布を基材とした建材、金属建材などの各種下地に対する塗料または建築仕上げ材として、また複層仕上げ塗材用の主材およびトップコート、薄付け仕上塗材、厚付け仕上塗材、石材調仕上げ材、グロスペイントなどの合成樹脂エマルジョンペイントとして、更には金属用塗料、木部塗料、瓦用塗料等が挙げることができる。
【0057】
本発明の水性の樹脂分散体には、通常の水系塗料などに添加配合される成分、例えば成膜助剤、溶剤、可塑剤、架橋剤、水溶性樹脂、増粘剤、消泡剤、顔料、分散剤、染料、防腐剤、また先に記載した紫外線吸収剤、光安定剤などを任意に配合することができる。
本発明を実施例に基づいて説明する。
【0058】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を詳細に説明する。なお、実施例および比較例中の部および%は、それぞれ質量部および質量%を示す。また、得られた水性の樹脂分散体の物性試験については、該樹脂分散体を用いて下記に示す配合組成で塗料を調整し、以下に示す試験方法に従って試験を実施した。
<塗料配合組成>
顔料ディスパージョン
水 82.5部
分散剤:ポイズ530(製品名、花王(株)製) 7.5部
トリポリリン酸ナトリウムの5%水溶液 7.5部
増粘剤:ダイセルHECSP−600(製品名、ダイセル化学工業(株)製)の3%水溶液 25.0部
消泡剤:ノプコ1497VD(製品名、サンノプコ(株)製)2.5部
ルチル型酸化チタン:タイペークR−930(商品名、石原産業(株)製) 375.0部
レットダウン成分
各実施例、比較例の樹脂分散体(固形分換算) 460.0部
エチレングリコールモノブチルエーテル 45.0部
エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル 90.0部
水 30.0部
消泡剤:ノプコ1497VD(製品名、サンノプコ(株)製) 1.0部
【0059】
<試験方法>
a.耐水性
塗料配合物をワイヤーコーターNo.50を用いて、硫酸アルマイト板に塗布し、80℃のオーブンに5分放置させた。さらに室温で1日間放置させた後、40℃の水に30日間浸漬しその状態を目視にて判定した。判定基準は以下の通り。○以上を合格とした。
◎;ふくれ、つやびけがまったく見られない。
○;ふくれがややあるが、つやびけは見られない。
△;ふくれがあり、つやびけも見られる。
×;全面がふくれ、つやびけが著しい。
【0060】
b.耐候性
成膜の初期光沢値に対する耐候性試験後の光沢値の比(耐候性試験後の光沢値/初期光沢値×100=光沢保持率(%))を光沢保持率として耐候性を評価した。
塗料配合物をワイヤーコーターNo.50を用いて、硫酸アルマイト板に塗布し、80℃のオーブンに5分間放置させた。さらに室温で1日間放置させた。1日後の60°−60°鏡面反射率を初期光沢値とした。
引き続きサンシャイン型ウエザオメーター(スガ試験機(株)製、WEL−SUN−DC)を使用して曝露試験(降雨サイクル;12分/時間、ブラックパネル温度60〜66℃)を行った。曝露3000時間後の60°−60°鏡面反射率を最終的な光沢値として測定した。光沢保持率80%以上を合格とした。
【0061】
c.基材密着性
塗装鋼板;ポリエステル/メラミン塗料が塗装された塗装鋼板に、塗料配合物を15g(乾燥)/m2となるように塗装し、80℃のオーブンに7分間放置し、さらに室温に1日放置させた。1日後、JISK5400の8.5付着性碁盤目テープに準拠して密着性試験を実施した。判定は碁盤目の残数を数え、90/100以上を合格とした。
また、上記の塗装板を60℃の温水に8時間浸漬させ、浸漬から取り上げた後、室温に1時間放置後に密着性試験を行った。判定は碁盤目の残数を数え、80/100以上を合格とした。
窯業系基材;スレート板に、塗料配合物を10g(乾燥)/m2となるよう塗装し、80℃のオーブンに7分間放置し、さらに室温に1日放置させた。1日後、JISK5400の8.5付着性碁盤目テープに準拠して密着性試験を実施した。判定は碁盤目の残数を数え、90/100以上を合格とした。
また、上記の塗装板を60℃の温水に8時間浸漬させ、浸漬から取り上げた後、室温に1時間放置後に密着性試験を行った。判定は碁盤目の残数を数え、80/100以上を合格とした。
【0062】
[実施例1]
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器に水650部、アクアロンKH10(アンモニウム−α−スルホナト−ω−1−(アリルオキシメチル)アルキルオキシポリオキシエチレン:第一工業製薬(株)製)12部を投入し、反応容器中の温度を80℃に上げてから、ペルオキソ二硫酸アンモニウムの10%水溶液4.5部を添加した後、5分後に、シクロヘキシルメタクリレート150部、ブチルメタクリレート175部、2−エチルヘキシルアクリレート168部、アクリル酸7部、チヌビン384を2部、チヌビン123を2部の混合液と、アクアロンKH10を5部、スチレンスルホン酸塩2部、エマルゲン150(ポリオキシエチレンアルキルエーテル:花王(株)製)を4部、ペルオキソ二硫酸アンモニウム10%水溶液5部、水300部からなる乳化混合液、及びγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10部、メチルトリメトキシシラン40部、ジメチルジメトキシシラン25部からなる混合物とを120分かけて滴下槽から反応容器に投入した。乳化混合液と加水分解性シランは滴下槽で混合しながら反応容器投入した。反応系のpHは4以下に維持した。乳化混合液、加水分解性シランの投入が終了してからそのまま反応容器の温度は80℃に保った。
【0063】
次に、メチルメタクリレート40部、シクロヘキシルメタクリレート100部、ブチルメタクリレート28部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部、メタクリル酸12部、n−ドデシルメルカプタン0.5部の混合液と、アクアロンKH10を2部、スチレンスルホン酸塩2部、ペルオキソ二硫酸アンモニウム10%水溶液2部、水200部からなる乳化混合液を滴下槽から50分かけて投入させた。反応容器温度は80℃に保った。投入が終了してからそのまま80℃で30分保った。
【0064】
次にメチルメタクリレート64部、シクロヘキシルメタクリレート150部、ブチルメタクリレート45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート6部、2−エチルヘキシルアクリレート30部、アクリル酸5部、n−ドデシルメルカプタン0.75部の混合液と、アクアロンKH10を2部、スチレンスルホン酸塩1.5部、ペルオキソ二硫酸アンモニウム10%水溶液3部、水220部からなる乳化混合液、及びγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン3部、メチルトリメトキシシラン27部、ジメチルジメトキシシラン9部からなる混合物とを70分かけて滴下槽から反応容器に投入した。乳化混合液と加水分解性シランは滴下槽で混合しながら反応容器投入した。反応系のpHは4以下に維持した。乳化混合液、加水分解性シランの投入が終了してから、反応容器の温度は82℃とし、60分攪拌を続けた。その後、室温まで冷却した。
【0065】
冷却後、200メッシュの金網でロ過を行い凝集物等を除去した。ロ過後、25%のアンモニア水でpHを8に調整し、その後、固形分が40%となるよう水を添加し調整した(表1)。
得られた樹脂分散体の塗膜耐水性、初期光沢値、耐候性(光沢保持率)、塗装鋼板への密着性、及び窯業系基材への密着性を測定した。その結果を、表2に合わせて示す。
【0066】
[実施例2〜7]
表1の単量体組成物、連鎖移動剤、加水分解性シラン等を用いて、実施例1と同様に乳化重合を行い、樹脂分散体を得た。
得られた樹脂分散体の塗膜耐水性、初期光沢値、耐候性(光沢保持率)、塗装鋼板への密着性、及び窯業系基材への密着性を測定した。その結果を、表2に合わせて示す。
【0067】
[比較例1]
表1の単量体組成物、連鎖移動剤、加水分解性シラン等を用いて、実施例1と同様に乳化重合を行い、樹脂分散体を得た。
実施例と同様に得られた樹脂分散体の評価を行った。その結果を表2に合わせて示す。
【0068】
[比較例2]
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器に水650部、アクアロンKH10(アンモニウム−α−スルホナト−ω−1−(アリルオキシメチル)アルキルオキシポリオキシエチレン:第一工業製薬(株)製)12部を投入し、反応容器中の温度を80℃に上げてから、ペルオキソ二硫酸アンモニウムの10%水溶液4.5部を添加した後、5分後に、シクロヘキシルメタクリレート150部、ブチルメタクリレート175部、2−エチルヘキシルアクリレート168部、アクリル酸7部、チヌビン384を2部、チヌビン123を2部の混合液と、アクアロンKH10を5部、スチレンスルホン酸塩2部、エマルゲン150(ポリオキシエチレンアルキルエーテル:花王(株)製)を4部、ペルオキソ二硫酸アンモニウム10%水溶液5部、水300部からなる乳化混合液、及びγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10部、メチルトリメトキシシラン40部、ジメチルジメトキシシラン25部からなる混合物とを120分かけて滴下槽から反応容器に投入した。乳化混合液と加水分解性シランは滴下槽で混合しながら反応容器投入した。反応系のpHは4以下に維持した。乳化混合液、加水分解性シランの投入が終了してからそのまま反応容器の温度は80℃に保った。
【0069】
次にメチルメタクリレート104部、シクロヘキシルメタクリレート250部、ブチルメタクリレート73部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート26部、2−エチルヘキシルアクリレート30部、アクリル酸17部、n−ドデシルメルカプタン1.25部の混合液と、アクアロンKH10を4部、スチレンスルホン酸塩3.5部、ペルオキソ二硫酸アンモニウム10%水溶液5部、水420部からなる乳化混合液、及びγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン3部、メチルトリメトキシシラン27部、ジメチルジメトキシシラン9部からなる混合物とを120分かけて滴下槽から反応容器に投入した。乳化混合液と加水分解性シランは滴下槽で混合しながら反応容器投入した。反応系のpHは4以下に維持した。乳化混合液、加水分解性シランの投入が終了してから、反応容器の温度は82℃とし、60分攪拌を続けた。その後、室温まで冷却した。
【0070】
冷却後、200メッシュの金網でロ過を行い凝集物等を除去した。ロ過後、25%のアンモニア水でpHを8に調整し、その後、固形分が40%となるよう水を添加し調整した。
比較例1ではヒドロキシル基含有ビニル単量体を用いていないため塗装鋼板、及び窯業系基材への密着性が不良であり、比較例2では重合体が2種しかないため耐候性が不良であり、塗装鋼板、及び窯業系基材への密着性が不良であった。
【0071】
【表1】
【0072】
表1において
単量体 MMA:メチルメタクリレート、BMA:ブチルメタクリレート、CHMA:シクロヘキシルメタクリレート、HEMA:ヒドロキシルエチルメタクリレート、EHA:2−エチルヘキシルアクリレート、AA:アクリル酸、MAA:メタクリル酸。
連鎖移動剤 n−DDm:n−ドデシルメルカプタン。
加水分解性シラン γ−MPTS:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、MTS:メチルトリメトキシシラン、DDS:ジメチルジメトキシシラン。
紫外線吸収剤/光安定剤 T384:チヌビン384(チバスペシャリティーケミカル社製)、T123:チヌビン123(チバスペシャリティーケミカル社製)。
【0073】
【表2】
【0074】
【発明の効果】
本発明の水性の樹脂分散体は実施例が示すように、塗膜耐水性、耐候性、塗装鋼板密着性、窯業系機材密着性に優れる。
Claims (8)
- ビニル系単量体を含む、それぞれ組成が異なる3種の混合物を逐次乳化重合することで得られる水性の樹脂分散体であって、該3種の混合物が次の混合物[A]、混合物[B]及び混合物[C]であり、混合物[A]、混合物[B]、混合物[C]の順に逐次乳化重合して得られることを特徴とする水性の樹脂分散体。
[混合物A]:(メタ)アクリル酸エステル単量体が20〜99.5質量%、エチレン性不飽和カルボン酸が0.5〜5質量%、その他のビニル系単量体が0〜80質量%からなる単量体組成物(A)100質量部と、加水分解性シラン1〜40質量部とからなる混合物
[混合物B]:(メタ)アクリル酸エステル単量体が20〜95質量%、ヒドロキシル基含有ビニル単量体が0.5〜50質量%、エチレン性不飽和カルボン酸が1.0〜10質量%、その他のビニル系単量体が0〜80質量%からなる単量体組成物(B)100質量部と、連鎖移動剤が0.01〜1質量部とからなる混合物
[混合物C]:(メタ)アクリル酸エステル単量体が20〜99質量%、ヒドロキシル基含有ビニル単量体が0.5〜50質量%、エチレン性不飽和カルボン酸が0.5〜5質量%、その他のビニル系単量体が0から80質量%からなる単量体組成物(C)と加水分解性シラン1質量部〜40質量部と連鎖移動剤0.01〜1質量部とからなる混合物 - 混合物[A]100質量部に対して、混合物[B]が20〜60質量部、混合物[C]が40〜80質量部であることを特徴とする請求項1の水性の樹脂分散体。
- 加水分解性シランがラジカル重合性の二重結合を有しない2官能性加水分解性シラン、ラジカル重合性の二重結合を有しない3官能性加水分解性シラン、及び重合性二重結合を有する加水分解性シランから選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の水性の樹脂分散体。
- 乳化重合時、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤が存在していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水性樹脂分散体。
- 塗装鋼板の片面又は両面に塗装されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水性の樹脂分散体。
- 窯業系基材の片面又は両面に塗装されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水性の樹脂分散体。
- 請求項1〜4の水性のいずれかに記載の樹脂分散体が片面又は両面に塗装されていることを特徴とする塗装鋼板。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の水性の樹脂分散体が片面又は両面に塗装されていることを特徴とする窯業系基材。
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