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JP4035329B2 - 組立治具の調整方法 - Google Patents

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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Automatic Assembly (AREA)
  • Numerical Control (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、治具フレームと、ワークを支持すべく治具フレームに設けられたワーク支持具と、ワーク支持具を治具フレームに対して移動させるアクチュエータとを備えた組立治具の調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
航空機の外板パネルのようなワークにリベット孔の位置、ベンドラインの位置、トリムラインの位置等を指準するには、そのワークを組立治具に正しく位置決めして固定する必要がある。組立治具は治具フレームに設けた複数のワーク支持具にワークを支持するようになっているが、剛性の高い治具フレームに比べてワーク支持具は剛性が小さいため、経年変化や温度変化の影響で治具フレームに対するワーク支持具の位置関係が微妙にずれてしまい、その結果として治具フレームに対するワークの位置関係も微妙にずれる事態が発生する。
【0003】
そこで従来は、治具フレームに対するワーク支持具の位置関係を定期的に測定し、治具フレームにワーク支持具を固定する部分にシムやスペーサを介在させて位置ずれの補正を行っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、治具フレームに対するワーク支持具の位置調整をシムやスペーサを用いて行うものでは、その作業が面倒で多くの時間および労力を要するだけでなく、調整の精度にも限界があるという問題があった。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、経年変化や熱膨張の影響による組立治具の精度低下を容易かつ正確に補正することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、治具フレームと、ワークを支持すべく治具フレームに設けられたワーク支持具と、ワーク支持具を治具フレームに対して移動させるアクチュエータとを備えた組立治具の調整方法であって、治具フレームに固定した三次元直交座標系に関するワーク支持具の測定基準点の位置座標を予め設定する工程と、レーザー装置で構成されて治具フレームから分離した位置に設置される位置測定装置で治具フレームの座標基準点の位置およびワーク支持具の測定基準点の位置を測定する工程と、位置測定装置の測定結果に基づいて治具フレームに固定した三次元直交座標系に関するワーク支持具の測定基準点の位置座標を算出する工程と、ワーク支持具の前記予め設定した位置座標と前記算出した位置座標との偏差を算出する工程と、前記偏差が何れも所定値以下になるようにアクチュエータを作動させる工程とを備えたことを特徴とする組立治具の調整方法が提案される。
【0007】
上記構成によれば、治具フレームに固定した三次元直交座標系に関するワーク支持具の測定基準点の位置座標を予め設定し、続いてレーザー装置で構成されて治具フレームから分離した位置に設置される位置測定装置で治具フレームの座標基準点の位置およびワーク支持具の測定基準点の位置を測定し、続いて位置測定装置の測定結果に基づいて治具フレームに固定した三次元直交座標系に関するワーク支持具の測定基準点の位置座標を算出し、続いてワーク支持具の前記予め設定した位置座標と前記算出した位置座標との偏差を算出し、続いて前記偏差が何れも所定値以下になるようにアクチュエータを作動させるので、治具フレームに対するワーク支持具の位置が経年変化や温度変化により位置ずれしても、その位置ずれを自動的に修正してワーク支持具の測定基準点の位置座標を予め設定した位置座標に近づけることができる。その結果、ワーク支持具に位置ずれが発生する度にシムやスペーサを用いた面倒な調整作業を行う必要がなくなり、しかも調整の精度を手作業による場合に比べて大幅に高めることができる。
【0008】
尚、実施例のツーリングボール16,17,18は本発明の測定基準点に対応し、実施例のツーリングボール19は本発明の座標基準点に対応する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1〜図4は本発明の一実施例を示すもので、図1は組立治具およびその調整装置の全体図、図2は図1の2部拡大図、図3は初期調整の作用を説明するフローチャート、図4は通常調整の作用を説明するフローチャートである。
【0011】
図1および図2に示すように、本実施例の組立治具Jは、左右の支脚10,10と、両支脚10,10間に固定された枠状の治具フレーム11と、治具フレーム11の下部ビーム11aから上向きに延びる3個のワーク支持具12a〜12cと、治具フレーム11の上部ビーム11bから下向きに延びる3個のワーク支持具12d〜12fとを備える。各々のワーク支持具12a〜12fの先端には、例えば航空機の外板パネルのようなワークWを支持するクランプ部14が設けられるとともに、その基端はアクチュエータ15を介して下部ビーム11aあるいは上部ビーム11bに支持される。電気的に作動するアクチュエータ15…は、下部ビーム11aあるいは上部ビーム11bに対するワーク支持具12a〜12fの位置を、相互に直交する3方向に微調整することができる。
【0012】
組立治具Jの治具フレーム11の左下、左上および右下の隅部には、それぞれ座標基準点となるツーリングボール16,17,18が設けられる。また組立治具Jの調整時には、各々のワーク支持具12a〜12fのクランプ部14に測定基準点となるツーリングボール19が取り付けられる。
【0013】
組立治具Jの調整装置は、レーザー装置よりなる位置測定装置21と、アクチュエータ15…の作動を制御するパーソナルコンピュータ22とを備えており、パーソナルコンピュータ22は三次元CAD装置23に接続される。三次元CAD装置23は、組立治具Jに固定した三次元直交座標系、つまり左下のツーリングボール16を原点とし、左上のツーリングボール17の方向に延びるX軸と、右下のツーリングボール18の方向に延びるY軸と、X軸およびY軸に直交するZ軸とよりなる三次元直交座標系に関する、6個のワーク支持具12a〜12fの先端のツーリングボール19…の位置座標(X,Y,Z)を記憶している。この位置座標(X,Y,Z)は、ワークWの既知の形状と、そのワークWを組立治具Jの治具フレーム11に固定する既知の位置関係とから算出される。
【0014】
次に、組立治具Jを新たに設置した場合等に行われる初期調整の手順を、図3のフローチャートに基づいて説明する。
【0015】
先ず、三次元CAD装置23により組立治具Jに固定した三次元直交座標系に関する6個のツーリングボール19…の位置座標(X,Y,Z)を設定した後(ステップS1参照)、この位置座標(X,Y,Z)のデータをIGES(Initial Graphics Exchange Specification )変換する(ステップS2参照)。IGES変換は、三次元CAD装置23の位置座標データをパーソナルコンピュータ22との間で交換するためのデータ変換である。続いて組立治具Jを仮組みする(ステップS3参照)。この仮組みの状態では組立治具Jの調整が済んでいないため、治具フレーム11に固定した三次元直交座標系に関する6個のツーリングボール19…の位置は誤差を含んでいる。
【0016】
続いて前記IGES変換したデータ(6個のツーリングボール19…の位置座標(X,Y,Z)のデータ)を三次元CAD装置23からパーソナルコンピュータ22に取り込んだ後(ステップS4参照)、レーザー装置よりなる位置測定装置21で、治具フレーム11の3個のツーリングボール16,17,18の位置と、6個のワーク支持具12a〜12fに設けた6個のツーリングボール19…の位置とを測定する(ステップS5参照)。
【0017】
続いてパーソナルコンピュータ22が3個のツーリングボール16,17,18の位置と6個のツーリングボール19…の位置とから三次元直交座標系に関する6個のツーリングボール19…の位置座標(X′,Y′,Z′)を算出した後(ステップS6参照)、予め設定した6個のツーリングボール19…の位置座標(X,Y,Z)と測定した6個のツーリングボール19…の位置座標(X′,Y′,Z′)との偏差(X′−X,Y′−Y,Z′−Z)を算出する(ステップS7参照)。そしてX軸方向の偏差|X′−X|と、Y軸方向の偏差|Y′−Y|と、Z軸方向の偏差|Z′−Z|とが何れも所定値以下になるように、ワーク支持部12a〜12fの位置(つまりツーリングボール19…の位置)を調整する。一般的に、初期調整時には前記調整量が大きくなるためにシムやスペーサを用いて調整を行うが、前記調整量が小さい場合にはアクチュエータ15…を駆動して調整を行うこともできる。
【0018】
以上のようにして組立治具Jの初期調整が完了すると、図4に示す手順で組立治具Jの通常調整を実行する。
【0019】
組立治具Jの調整を定期的に行うための予め設定した時間が経過すると(ステップS11参照)、前記図3のフローチャートのステップS5〜S7と同じ内容を実行する。即ち、位置測定装置21で治具フレーム11の3個のツーリングボール16,17,18の位置と、6個のワーク支持具12a〜12fに設けた6個のツーリングボール19…の位置とを測定した後(ステップS12参照)、3個のツーリングボール16,17,18の位置および6個のツーリングボール19…の位置から三次元直交座標系に関する6個のツーリングボール19…の位置座標(X′,Y′,Z′)を算出し(ステップS13参照)、更に予め設定した6個のツーリングボール19…の位置座標(X,Y,Z)と測定した6個のツーリングボール19…の位置座標(X′,Y′,Z′)との偏差(X′−X,Y′−Y,Z′−Z)を算出する(ステップS14参照)。そしてX軸方向の偏差|X′−X|と、Y軸方向の偏差|Y′−Y|と、Z軸方向の偏差|Z′−Z|とが何れも所定値以下になるように、アクチュエータ15…を駆動してワーク支持部12a〜12fの位置(つまりツーリングボール19…の位置)を調整する(ステップS15参照)。
【0020】
以上のように、位置測定装置21で治具フレーム11の3個のツーリングボール16,17,18の位置と、ワーク支持具12a〜12fの6個のツーリングボール19…の位置とを測定した結果に基づき、治具フレーム11に固定した三次元直交座標系に関するワーク支持具の12a〜12fのツーリングボール19…の位置座標を算出し、予め設定したワーク支持具12a〜12fのツーリングボール19…の位置座標(X,Y,Z)と算出したツーリングボール19…の位置座標(X′,Y′,Z′)との偏差が所定値以下になるようにアクチュエータ15…を作動させることで、治具フレーム11に対するワーク支持具12a〜12fの位置ずれを自動的に修正することができる。
【0021】
また手作業による調整は組立治具Jの初期調整時の1回だけであり、その後の通常調整は自動的に行われるので、ワーク支持具12a〜12fに位置ずれが発生する度にシムやスペーサを用いた面倒な調整作業を行う必要がなくなるだけでなく、調整の精度も大幅に高めることができる。
【0022】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0023】
たとえば、本発明は航空機の外板パネル以外の任意のワークWに対して適用することができ、組立治具Jに固定したワークWに施す作業も任意である
【0024】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、治具フレームに固定した三次元直交座標系に関するワーク支持具の測定基準点の位置座標を予め設定し、続いてレーザー装置で構成されて治具フレームから分離した位置に設置される位置測定装置で治具フレームの座標基準点の位置およびワーク支持具の測定基準点の位置を測定し、続いて位置測定装置の測定結果に基づいて治具フレームに固定した三次元直交座標系に関するワーク支持具の測定基準点の位置座標を算出し、続いてワーク支持具の前記予め設定した位置座標と前記算出した位置座標との偏差を算出し、続いて前記偏差が何れも所定値以下になるようにアクチュエータを作動させるので、治具フレームに対するワーク支持具の位置が経年変化や温度変化により位置ずれしても、その位置ずれを自動的に修正してワーク支持具の測定基準点の位置座標を予め設定した位置座標に近づけることができる。その結果、ワーク支持具に位置ずれが発生する度にシムやスペーサを用いた面倒な調整作業を行う必要がなくなり、しかも調整の精度を手作業による場合に比べて大幅に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 組立治具およびその調整装置の全体図
【図2】 図1の2部拡大図
【図3】 初期調整の作用を説明するフローチャート
【図4】 通常調整の作用を説明するフローチャート
【符号の説明】
11 治具フレーム
12a〜12f ワーク支持具
15 アクチュエータ
16 ツーリングボール(座標基準点)
17 ツーリングボール(座標基準点)
18 ツーリングボール(座標基準点)
19 ツーリングボール(測定基準点)
21 位置測定装置
W ワーク

Claims (1)

  1. 治具フレーム(11)と、ワーク(W)を支持すべく治具フレーム(11)に設けられたワーク支持具(12a〜12f)と、ワーク支持具(12a〜12f)を治具フレーム(11)に対して移動させるアクチュエータ(15)とを備えた組立治具の調整方法であって、
    治具フレーム(11)に固定した三次元直交座標系に関するワーク支持具(12a〜12f)の測定基準点(19)の位置座標(X,Y,Z)を予め設定する工程と、
    レーザー装置で構成されて治具フレーム(11)から分離した位置に設置される位置測定装置(21)で治具フレーム(11)の座標基準点(16,17,18)の位置およびワーク支持具(12a〜12f)の測定基準点(19)の位置を測定する工程と、
    位置測定装置(21)の測定結果に基づいて治具フレーム(11)に固定した三次元直交座標系に関するワーク支持具(12a〜12f)の測定基準点(19)の位置座標(X′,Y′,Z′)を算出する工程と、
    ワーク支持具(12a〜12f)の前記予め設定した位置座標(X,Y,Z)と前記算出した位置座標(X′,Y′,Z′)との偏差(|X′−X|,|Y′−Y|,|Z′−Z|)を算出する工程と、
    前記偏差(|X′−X|,|Y′−Y|,|Z′−Z|)何れも所定値以下になるようにアクチュエータ(15)を作動させる工程と、
    を備えたことを特徴とする組立治具の調整方法。
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