JP4033023B2 - 車両用カーテンの閉鎖時接合部構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用カーテンの閉鎖時接合部構造に関し、特に、車両のバックドアカーテンに好適に適用される車両用カーテンの閉鎖時接合部構造の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造としては、例えば、図5に示すように、カーテンの閉鎖時に両カーテン101、102が当接する接合部側の側辺一体にそれぞれ袋部103、104が形成され、該一方の袋部104内にはその全長に亘って細板状のマグネット105が収容され、もう一方の袋部103内には金属プレート106が収容され、マグネット105と金属プレート106には袋部103、104の幅と略同幅の2枚のラベル107を一組として表裏から貼り付けた構造としたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、図6に示すように、上側カーテンレール201と下側カーテンレール202のうち、一方の下側カーテンレール202に両カーテン203、204の開閉を駆動する開閉駆動手段(リニアモータ)が組み込まれた車両用カーテンにおいて、開閉駆動手段が組み込まれていない上側のカーテンレール201に、そのカーテンレール201の先頭ライナ205、205をカーテンの開閉端に対応する位置に磁力によって吸着する永久磁石206、206を設けたものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−138755号公報 (第(2)頁、図1、3)
【特許文献2】
特開平10−85119号公報 (第(2)頁、図1、4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例にあっては、以下に述べるような問題点がある。
即ち、従来例(特許文献1)にあっては、上述のように、袋部104の全長に亘る長さのマグネット105が用いられているため、コスト高になると共に、カーテン101、102を開く時に大きな力が必要で開けにくい状態となる。
【0006】
また、重量が重くなるため、カーテン101、102の解放時に、車両の振動や操舵に基づく慣性力によってカーテン101、102が勝手に動き易くなる。この動きを止めるためには、カーテン101、102の開閉時におけるカーテンレールの摺動抵抗が大きくなるように設定することが考えられるが、そうすると、手動による開閉操作が楽に行えなくなってしまう。
【0007】
また、重量の低減やコストを極力低減させる目的でマグネット105および金属プレート106の幅を狭くすると、カーテン101、102を閉じる時にマグネット105と金属プレート106がきれいに合致しにくく、このため、吸着がうまく行えなくなる場合がある。
【0008】
また、従来例(特許文献2)にあっては、上述のように、下側カーテンレール202の一方のみにカーテン203、204の開閉を駆動する開閉駆動手段(リニアモータ)が組み込まれ、もう一方の上側カーテンレール201には先頭ライナ205、205を磁力によって吸着する永久磁石206、206が設けられるため、カーテン203、204の上下両端部は完全に閉じることができるが、その中間部はフリーの状態であるため、両カーテン203、204相互間に隙間207が形成され易くなる。
【0009】
本発明は、上述の従来の問題点に着目してなされたもので、カーテンを隙間なく完全に閉じることができ、かつ、開く時には楽に開くことができると共に、コストの低減化が可能であり、さらに、軽量化が可能で、カーテンの解放時に車両の振動や操舵に基づく慣性力によってカーテンが勝手に動くことを防止することができる車両用カーテンの閉鎖時接合部構造を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明請求項1記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造は、車両における窓の上下にそれぞれ配置されたカーテンレールに沿って2枚のカーテンをスライドさせて開閉させるようにした両引きタイプの車両用カーテンにおいて、前記カーテンの閉鎖時に両カーテンが当接する接合部側の側辺一体にそれぞれ袋部が形成され、該両袋部内にはそのほぼ全長に亘る長さで所定の保形性を有する板部材がそれぞれ収容され、該両板部材のうちの一方の板部材にはその長手方向に間隔を開けて複数の永久磁石が固定され、もう一方の板部材が磁性材料で構成され、前記両板部材のうち少なくとも磁性材料で構成される板部材は前記永久磁石が固定された部分との対向部分を含む複数の幅広部と該幅広部相互間に形成される幅狭部とで構成されていることを特徴とする手段とした。
【0011】
本発明請求項2記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造は、請求項1記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造において、前記両板部材のうち永久磁石が固定された板部材が磁性材料で構成されていることを特徴とする手段とした。
【0012】
本発明請求項3記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造は、請求項1または2に記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造において、前記磁性材料が板ばねで構成されていることを特徴とする手段とした。
【0013】
本発明請求項4記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造において、前記両板部材のうち永久磁石が固定された板部材にも、前記複数の永久磁石の永久磁石と永久磁石との間の部分に幅狭部が形成されていることを特徴とする手段とした。
【0014】
本発明請求項5記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造において、前記永久磁石が3個以上であることを特徴とする手段とした。
【0015】
本発明請求項6記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造において、前記下側のカーテンレールにカーテンの開閉を駆動する開閉駆動手段が備えられていることを特徴とする手段とした。
【0016】
【発明の作用および効果】
この発明請求項1記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造では、上述のように構成されるため、カーテンを閉じると、一方のカーテンの接合部側の側辺に形成された袋部内に収容された板部材(磁性材料)に対し、もう一方のカーテンの接合部側の側辺に形成された袋部内に収容された板部材に固定された複数の永久磁石がそれぞれ吸着してカーテンが閉じた状態に維持される。
【0017】
そして、このカーテンが閉じた状態においては、両板部材の保形性により、永久磁石の固定された個所以外の部分に隙間が生じることはなく、これにより、カーテンを完全に閉じることができるようになるという効果が得られる。
【0018】
また、複数の永久磁石により、部分的に吸着されるのみであるため、カーテンを開く時には楽に開くことができるようになると共に、永久磁石は部分的な小さなもので足りるため、コストを低減させることができるようになるという効果が得られる。
【0019】
また、両板部材のうち少なくとも磁性材料で構成される板部材は少なくとも永久磁石が固定された部分との対向部分を含む部分は幅広部で、両幅広部相互間が幅狭部に形成されることで、永久磁石による吸着面は広く確保しつつ、その他の部分を細くし、これにより、軽量化を図ることができるようになる。なお、永久磁石が固定される側の板部材は磁性材料にする必要はなく保形性があれば足りるため、軽量化が可能である。
従って、カーテンの解放時に車両の振動や操舵に基づく慣性力が小さくなることにによってカーテンが勝手に動くことを規制することができるようになる。
【0020】
本発明請求項2記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造では、上述のように、両板部材のうち永久磁石が固定された板部材を磁性材料で構成することにより、永久磁石の個数が少なく両磁石相互の間隔が長い場合であっても、両磁石の磁力により板部材が磁化された状態となるため、両磁石相互間における板部材部分においても他方のカーテンの板部材(磁性材料)を吸着する磁力が作用することになる。
従って、永久磁石の個数が少なくても、永久磁石の固定された個所以外の部分に隙間が生じることはなく、これにより、カーテンを完全に閉じることができるようになるという効果が得られる。
【0021】
本発明請求項3記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造では、上述のように、磁性材料が板ばねで構成されることにより、カーテンを開く時には板ばねの幅狭部による撓み作用によって複数の永久磁石による吸着状態を1個づつ解除させることができるため、カーテンをさらに楽に開くことができるようになるという効果が得られる。
【0022】
本発明請求項4記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造では、上述のように、両板部材のうち永久磁石が固定された板部材にも、複数の永久磁石の永久磁石と永久磁石との間の部分に幅狭部が形成されることで、さらに軽量化を図ることができるようになる。
【0023】
本発明請求項5記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造では、上述のように、永久磁石を3個以上とすることにより、少なくとも上下両端部と中間部において吸着させることができるため、カーテンの丈が長くても、カーテンを完全に閉じることができるようになる。
【0024】
本発明請求項6記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造では、下側のカーテンレールに備えた開閉駆動手段によりカーテンの開閉駆動を行なうようにしたものであるが、上述のように、両カーテンの両袋部内にはそのほぼ全長に亘る長さで所定の保形性を有する板部材がそれぞれ収容されているため、開閉駆動手段を下側のカーテンレールにのみ設けた構成であっても、カーテンを完全に閉じることができるようになる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、この発明の実施の形態は、請求項1〜5に対応するものである。
図1は発明の実施の形態の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造が適用された車両のバックドアカーテンを示す開いた状態の一部切欠斜視図、図2は図1のII−II線におけるカーテンを閉じた状態の横断面図、図3は図1の III−III 線におけるカーテンを開いた状態の横断面図であり、これらの図において、1は左側のカーテン、2は右側のカーテン、3、4は板部材、5〜7は永久磁石を示す。
【0026】
さらに詳述すると、前記左右両カーテン1、2は、上部フック8、下部フック9が車両のバックドアにおける窓の上下にそれぞれ配置されたカーテンレール(図示せず)内のライナに係止されてカーテンレール沿って窓の左右両側縁部からそれぞれ中央部に向けてスライド可能に設けられることにより、両引き式に開閉が行われるようになっている。
【0027】
前記左右両カーテン1、2の閉鎖時に両カーテン1、2が当接する接合部側の側辺一体には、カーテン生地の側辺を折り返して縫製することにより、それぞれ袋部11、21が形成されている。
【0028】
前記左右両カーテン1、2の袋部11、21内には、該袋部11、21のほぼ上下全長に亘る長さで所定の保形性を有する板部材3、4として、磁性材料でありかつばね性を有するばね鋼板(板ばね)が収容されている。この両板部材3、4は同形で、その長手方向に沿って幅広部31、41と幅狭部32、42とがそれぞれ交互に形成されていて、前記右側のカーテン2の袋部21内に収容された板部材4は、その上下両端部の幅広部41、41と、中間部の幅広部41にそれぞれ永久磁石5〜7が固定されている。
【0029】
次に、この発明の実施の形態の作用・効果を説明する。
この発明の実施の形態の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造では、上述のように構成されるため、両カーテン1、2を閉じると、左側のカーテン1の接合部側の側辺に形成された袋部11内に収容された板部材3に対し、右側のカーテン2の接合部側の側辺に形成された袋部21内に収容された板部材4に固定された複数の永久磁石5〜7がそれぞれ吸着して両カーテン1、2が閉じた状態に維持される(図2参照)。
【0030】
そして、この両カーテン1、2が閉じた状態においては、両板部材3、4の保形性により、永久磁石5〜7の固定された個所以外の部分に隙間が生じることはなく、これにより、両カーテン1、2を完全に閉じることができるようになるという効果が得られる。
【0031】
また、複数の永久磁石5〜7により、部分的に吸着されるのみであるため、両カーテン1、2を開く時には楽に開くことができるようになると共に、永久磁石5〜7は部分的な小さなもので足りるため、コストを低減させることができるようになるという効果が得られる。
【0032】
また、両板部材3、4における永久磁石5、7が固定された部分および該永久磁石5、7との対向部分は幅広部31、41で構成されるため、永久磁石5、7による吸着面は広く確保しつつ、その部分以外の部分に幅狭部32、42が形成されることで、磁性材料よりなる板部材3、4の軽量化を図ることができるようになる。
従って、図1、3に示すように両カーテン1、2を開いた状態の時に、車両の振動や操舵に基づく慣性力が小さくなることによって両カーテン1、2が勝手に動くことを規制することができるようになる。なお、図4は発生振動に対するカーテン1、2の移動量を示す実験データであり、このデータに示すように実線で示す従来例(特許文献1)に対し、鎖線で示す本発明の実施の形態の方が、カーテン1、2の移動量が減少している。
【0033】
また、両板部材3、4のうち永久磁石5〜7が固定された右側のカーテン2側の板部材4を磁性材料であるばね鋼板で構成することにより、永久磁石5〜7の個数が少なく両磁石相互の間隔が長い場合であっても、両磁石の磁力により板部材4が磁化された状態となるため、両磁石相互間における板部材4部分においても他方の左側のカーテン1の板部材3を吸着する磁力が作用することになる。
従って、永久磁石5〜7の個数が少なくても、永久磁石5〜7の固定された個所以外の部分に隙間が生じることはなく、これにより、両カーテン1、2を完全に閉じることができるようになるという効果が得られる。
【0034】
また、両板部材3、4がばね鋼板(板ばね)で構成されることにより、両カーテン1、2を開く時にはばね鋼板の幅狭部による撓み作用によって複数の永久磁石5〜7による吸着状態を1個づつ解除させることができるため、両カーテン1、2をさらに楽に開くことができるようになるという効果が得られる。
【0035】
また、両板部材3、4はその長手方向に沿って幅広部31、41と幅狭部32、42とがそれぞれ交互に形成されることで、幅狭部31、41の部分の袋部11、21に余裕ができで掴み易くなると共に、両板部材3、4が捩じり方向にも変形可能になるため、特に両カーテン1、2の中央部を掴んで開く場合には、まず中央部の永久磁石6の吸着状態が解除された後、上下の永久磁石5、7の吸着状態が解除されるようになり、これにより、両カーテン1、2を楽に開くことができるようになるという効果が得られる。
【0036】
また、3個の永久磁石5〜7を用いることにより、少なくとも上下両端部と中間部において吸着させることができるため、両カーテン1、2の丈が長くても、両カーテン1、2を完全に閉じることができるようになる。
【0037】
以上発明の実施の形態を図面により説明したが、具体的な構成はこれらの発明の実施の形態に限られるものではない。
例えば、発明の実施の形態では、永久磁石5、7が固定される側の板部材4も磁性材料で構成したが、必須用件ではないため所定の保形性を有する軽量が材料で構成することにより、さらに軽量化を図ることができるようになる。
【0038】
また、発明の実施の形態では、両カーテン1、2の開閉を手動で行う場合について説明したが、下側のカーテンレールに備えたリニヤモータ等の開閉駆動手段により両カーテン1、2の開閉駆動が行なわれるように構成することができ、この場合においても、両カーテン1、2の両袋部11、21内にはそのほぼ全長に亘る長さで所定の保形性を有する板部材3、4がそれぞれ収容されているため、開閉駆動手段を下側のカーテンレールにのみ設けた構成であっても、両カーテン1、2の先頭の下部フック9が移動すると、先頭の上部フック8もほぼ同時に移動するので、両カーテン1、2を静滑に完全に閉じることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造が適用された車両のバックドアカーテンを示す開いた状態の一部切欠斜視図発明の実施の形態の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造を示す要部平面図である。
【図2】図1のII−II線におけるカーテンを閉じた状態の横断面図である。
【図3】図1の III−III 線におけるカーテンを開いた状態の横断面図である。
【図4】発生振動に対するカーテンの移動量を示す実験データである。
【図5】従来例(特許文献1)の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造を示す斜視図である。
【図6】従来例(特許文献2)の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 左側カーテン
11 袋部
2 右側カーテン
21 袋部
3 板部材
31 幅広部
32 幅狭部
4 板部材
41 幅広部
42 幅狭部
5 永久磁石
6 永久磁石
7 永久磁石
8 上部フック
9 下部フック
Claims (6)
- 車両における窓の上下にそれぞれ配置されたカーテンレールに沿って2枚のカーテンをスライドさせて開閉させるようにした両引きタイプの車両用カーテンにおいて、前記カーテンの閉鎖時に両カーテンが当接する接合部側の側辺一体にそれぞれ袋部が形成され、該両袋部内にはそのほぼ全長に亘る長さで所定の保形性を有する板部材がそれぞれ収容され、該両板部材のうちの一方の板部材にはその長手方向に間隔を開けて複数の永久磁石が固定され、もう一方の板部材が磁性材料で構成され、前記両板部材のうち少なくとも磁性材料で構成される板部材は前記永久磁石が固定された部分との対向部分を含む複数の幅広部と該幅広部相互間に形成される幅狭部とで構成されていることを特徴とする車両用カーテンの閉鎖時接合部構造。
- 前記両板部材のうち永久磁石が固定された板部材が磁性材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造。
- 前記磁性材料が板ばねで構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造。
- 前記両板部材のうち永久磁石が固定された板部材にも、前記複数の永久磁石の永久磁石と永久磁石との間の部分に幅狭部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造。
- 前記永久磁石が3個以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造。
- 前記下側のカーテンレールにカーテンの開閉を駆動する開閉駆動手段が備えられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用カーテンの閉鎖時接合部構造。
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