JP4017932B2 - 熱伝導性高分子成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱伝導性高分子成形体の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、優れた熱伝導性を発揮することができる熱伝導性高分子成形体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器においては高性能化、小型化、軽量化等に伴って半導体パッケージの高密度実装化、LSIの高集積化及び高速化等が行われている。これらに伴って、各種の電子部品において発生する熱が増大するため、電子部品から熱を効果的に外部へ放散させる熱対策が非常に重要な課題になっている。このような熱対策として、プリント配線基板、半導体パッケージ、筐体、ヒートパイプ、放熱板、熱拡散板等の放熱部材には、金属、セラミックス、高分子組成物等の放熱材料からなる熱伝導性成形体が適用されている。
【0003】
これらの放熱部材の中でも、高分子組成物からなる熱伝導性成形体(以下、熱伝導性高分子成形体という。)は、任意の形状に成形加工し易く、軽量であることから広く利用されている。
【0004】
熱伝導性高分子成形体を構成する高分子組成物は、樹脂、ゴム等の高分子マトリックス材料中に、熱伝導率の高い熱伝導性充填剤を配合したものが知られている。熱伝導性充填剤としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、石英等の金属酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物、炭化ケイ素等の金属炭化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、金、銀、銅等の金属、炭素繊維、黒鉛等が用いられている。
【0005】
一方、電子部品の実装工程及び使用時の高い温度環境でも変形が生じない耐熱性が要求される用途には、マトリックスの樹脂としては成形加工性が良好で耐熱性に優れる熱液晶性高分子を用いた高分子組成物及び熱伝導性高分子成形体が提唱されている。例えば、特開昭62−100577号公報には、特定の熱伝導性充填剤と熱液晶性高分子を含む熱伝導性に優れる組成物が開示されている。また、特開平5−271465号公報には、熱伝導性充填剤として50〜90重量%のジルコンと50〜10重量%の熱液晶性高分子を含む熱伝導性に優れる電気絶縁性組成物が開示されている。さらに、特表2001−523892号公報には、20〜80重量%の炭素繊維等の熱伝導性充填剤と80〜20重量%の熱液晶性高分子等を含む組成物が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、最近の電子部品はその高性能化に伴って発熱量が増大しているため、上記従来の技術における熱伝導性高分子成形体では熱伝導性が不十分となっている。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、シート状でその厚さ方向に高い熱伝導性を有する熱伝導性高分子成形体を容易に得ることができる熱伝導性高分子成形体の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明の熱伝導性高分子成形体の製造方法では、液晶性高分子100重量部に対して、熱伝導性充填剤5〜800重量部を配合してなる熱伝導性組成物をシート状に成形し、前記液晶性高分子を液晶状態に相転移させた熱伝導性組成物の厚さ方向に磁場を印加することによって前記液晶性高分子を前記厚さ方向に配向させた後、前記液晶性高分子を固体状態に相転移させるものである。
【0009】
請求項2に記載の発明の熱伝導性高分子成形体の製造方法では、請求項1に記載の発明において、前記液晶性高分子が(A)熱液晶性全芳香族ポリエステル及び(B)熱液晶性全芳香族ポリエステルアミドのうち少なくとも一種であるものである。
【0010】
請求項3に記載の発明の熱伝導性高分子成形体の製造方法では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記熱伝導性高分子成形体における厚さ方向の熱伝導率(λT)を1.0〜50W/(m・K)としたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態における熱伝導性高分子成形体は、液晶性高分子100重量部に対して、熱伝導性充填剤5〜800重量部を配合してなる熱伝導性組成物から成形される。この熱伝導性高分子成形体は、熱伝導方向に液晶性高分子が磁場配向されているものである。
【0014】
まず、熱伝導性組成物について説明する。
液晶性高分子は、熱伝導性組成物から得られる熱伝導性高分子成形体の熱伝導性を向上させるために配合される。液晶性高分子の具体例としては、熱液晶性高分子(サーモトロピック液晶性高分子)及びライオトロピック液晶性高分子が挙げられる。熱液晶性高分子は加熱溶融すると、ある温度範囲において光学的異方性溶融相を示す液晶状態となる高分子である。一方、ライオトロピック液晶性高分子は溶媒に溶解すると、ある濃度範囲において光学的異方性を示す液晶状態となる液晶性高分子である。これらの液晶性高分子の中でも、熱可塑性を有し、成形加工し易いことから熱液晶性高分子が好ましい。これらの液晶性高分子は、液晶状態において高分子の分子鎖が規則的に配列することによって光学的異方性を示すものであって、光学的異方性は直交偏光子を利用した通常の偏光検査法によって確認することができる。
【0015】
熱液晶性高分子の具体例としては、熱液晶性ポリエステル、熱液晶性ポリエステルアミド、熱液晶性ポリエステルエーテル、熱液晶性ポリエステルカーボネート、熱液晶性ポリエステルイミド等が挙げられる。また、熱液晶性高分子の分類としては、主鎖型の熱液晶性高分子、側鎖型の熱液晶性高分子及び複合型の熱液晶性高分子等が挙げられる。主鎖型の熱液晶性高分子は、液晶構造発現のもととなるメソゲン基が主鎖に入ったものいい、ポリエステルのコポリマー(ポリエチレンテレフタレートとヒドロキシ安息香酸のコポリマー等)、ヒドロキシナフトエ酸とヒドロキシ安息香酸のコポリマー等が挙げられる。側鎖型の熱液晶性高分子は、メソゲン基が側鎖に入ったものをいい、エチレン系やシロキサン系等の主鎖にメソゲン基が側鎖として連なった構造を繰り返し単位として含むものである。複合型の熱液晶性高分子は、主鎖型と側鎖型が複合されたものをいう。
【0016】
熱液晶性ポリエステルとしては、例えば熱液晶性全芳香族ポリエステル(A)が挙げられる。熱液晶性全芳香族ポリエステルとは、一般に光学的異方性溶融相を形成するセグメント部分が芳香族カルボン酸と芳香族アルコールとのエステルで構成されたものをいう。本実施形態における熱液晶性全芳香族ポリエステルは、光学的異方性溶融相を形成しないセグメント部分を脂肪族又は脂環族の酸とアルコールによるエステルで構成することも可能である。また、本実施形態における熱液晶性全芳香族ポリエステルは、光学的異方性溶融相を形成するセグメント部分を脂肪族又は脂環族の酸とアルコールによるエステルで構成し、光学的異方性溶融相を形成しないセグメント部分を芳香族カルボン酸と芳香族アルコールとのエステルで構成することも可能である。さらに、脂肪族又は脂環族の酸と、芳香族アルコールとによるエステルで構成することも可能である。加えて、脂肪族又は脂環族のアルコールと、芳香族カルボン酸とによるエステルで構成することも可能である。
【0017】
熱液晶性全芳香族ポリエステルの構成成分としては、(a)芳香族ジカルボン酸系化合物及び脂環族ジカルボン酸系化合物の少なくとも一種、(b)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物の少なくとも一種、(c)芳香族ジオール系、脂環族ジオール系及び脂環族ジオール系化合物の少なくとの一種、(d)芳香族ジチオール系、芳香族チオフェノール系及び芳香族チオールカルボン酸系化合物の少なくとも一種、(e)芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミン系化合物の少なくとも一種、等が挙げられる。これらの成分(a)〜(e)は単独で構成してもよいが、多くは(a)及び(c)、(a)及び(d)、(a)、(b)及び(c)、(a)、(b)及び(e)、(a)、(b)、(c)及び(e)等のように組み合わせて構成される。
【0018】
芳香族ジカルボン酸系化合物(a)としては、芳香族ジカルボン酸及びその誘導体が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−トリフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4′−ジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−3,3′−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3′−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−3,3′−ジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸誘導体は、芳香族ジカルボン酸にアルキル、アルコキシ及びハロゲン等の置換基を導入したものであって、クロロテレフタル酸、ジクロロテレフタル酸、ブロモテレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、エチルテレフタル酸、メトキシテレフタル酸、エトキシテレフタル酸等が挙げられる。
【0019】
脂環族ジカルボン酸系化合物(a)としては、脂環族ジカルボン酸及びその誘導体が挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。脂環族ジカルボン酸誘導体は、脂環族ジカルボン酸にアルキル、アルコキシ、ハロゲン等の置換基を導入したものであって、トランス−1,4−(2−メチル)シクロヘキサンジカルボン酸トランス−1,4−(2−クロル)シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
【0020】
芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物(b)としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体が挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸が挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸誘導体は、芳香族ヒドロキシカルボン酸にアルキル、アルコキシ、ハロゲン等の置換基を導入したものであって、3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメエチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−7−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7−ジクロロ−2−ナフトエ酸等が挙げられる。
【0021】
芳香族ジオール系化合物(c)としては、芳香族ジオール及びその誘導体が挙げられる。芳香族ジオールとしては、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、3,3′−ジヒドロキシジフェニル、4,4′−ジヒドロキシトリフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオール、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、3,3′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,6−ナフタレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等が挙げられる。芳香族ジオール誘導体は、芳香族ジオールにアルキル、アルコキシ、ハロゲン等の置換基を導入したものであって、クロロハイドロキノン、メチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、フェノキシハイドロキノン、4−クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン等が挙げられる。
【0022】
脂環族ジオール系化合物(c)としては、脂環族ジオール及びその誘導体が挙げられる。脂環族ジオールとしては、トランス−1,4−シクロヘキサンジオール、シス−1,4−シクロヘキサンジオール、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、トランス−1,3−シクロヘキサンジオール、シス−1,2−シクロヘキサンジオール、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。脂環族ジオール誘導体は、脂環族ジオールにアルキル、アルコキシ、ハロゲン等の置換基を導入したものであって、トランス−1,4−(2−メチル)シクロヘキサンジオール、トランス−1,4−(2−クロロ)シクロヘキサンジオール等が挙げられる。
【0023】
脂肪族ジオール系化合物(c)としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の直鎖状又は分岐状脂肪族ジオールが挙げられる。
【0024】
芳香族ジチオール系化合物(d)としては、ベンゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオール、2,6−ナフタレン−ジチオール、2,7−ナフタレン−ジチオール等が挙げられる。
【0025】
芳香族チオフェノール系化合物(d)としては、4−メルカプトフェノール、3−メルカプトフェノール、6−メルカプトフェノール等が挙げられる。
芳香族チオールカルボン酸系化合物(d)としては、4−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、6−メルカプト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト−2−ナフトエ酸等が挙げられる。
【0026】
芳香族ヒドロキシアミン系化合物(e)としては、4−アミノフェノール、N−メチル−4−アミノフェノール、3−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニル、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルエーテル、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルメタン、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′−エチレンジアニリン等が挙げられる。
【0027】
芳香族ジアミン系化合物(e)としては、1,4−フェニレンジアミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N′−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、4,4′−ジアミノフェニルスルフィド(チオジアニリン)、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、2,5−ジアミノトルエン、4,4′−ジアミノジフェノキシエタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(オキシジアニリン)等が挙げられる。
【0028】
熱液晶性ポリエステルアミドとしては、例えば熱液晶性全芳香族ポリエステルアミド(B)が挙げられる。熱液晶性全芳香族ポリエステルアミドとしては、芳香族ジアミン、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミノカルボン酸、芳香族オキシカルボン酸、芳香族オキシアミノ化合物及びこれらの誘導体から選ばれる二種以上の構成成分から組み合わせられるものが挙げられる。
【0029】
これらの熱液晶性高分子の中でも、熱伝導率の高い熱伝導性高分子成形体が容易に得られることから、好ましくは熱液晶性全芳香族ポリエステル(A)及び熱液晶性全芳香族ポリエステルアミド(B)のうち少なくとも一種、さらに好ましくは熱液晶性全芳香族ポリエステル(A)である。
【0030】
熱伝導性充填剤は、得られる熱伝導性高分子成形体に熱伝導性を付与するために配合される。熱伝導性充填剤の具体例としては、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、金属被覆樹脂、炭素繊維、黒鉛化炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、球状黒鉛粒子、メソカーボンマイクロビーズ、ウィスカー状カーボン、マイクロコイル状カーボン、ナノコイル状カーボン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等が挙げられる。金属としては、銀、銅、金、白金、ジルコン等、金属酸化物としては酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等、金属窒化物としては窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等、金属炭化物としては炭化ケイ素等、金属水酸化物としては水酸化アルミニウム等が挙げられる。得られる熱伝導性高分子成形体を電気絶縁性が要求される用途に用いる場合、これらの熱伝導性充填剤の中でも、電気絶縁性を有する熱伝導性充填剤を配合することが好ましい。電気絶縁性を有する熱伝導性充填剤としては、上記の金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物等が挙げられる。
【0031】
熱伝導性充填剤の配合量は、液晶性高分子100重量部に対して、5〜800重量部、好ましくは30〜600重量部、さらに好ましくは50〜400重量部である。この配合量が5重量部未満であると、熱伝導性高分子成形体の熱伝導性が不十分となる。一方、800重量部を超えて配合すると、熱伝導性組成物の粘度が増大し、熱液晶性高分子に熱伝導性充填剤を均一に分散させることが困難となるとともに気泡が混入する等の不具合が生じ、熱伝導性高分子成形体を得るのが困難となる。
【0032】
液晶性高分子としてライオトロピック液晶性高分子を配合する場合は、ライオトロピック液晶性高分子を溶解させるための溶媒が配合される。溶媒としては、ライオトロピック液晶性高分子が溶解するものであれば特に限定されないが、溶媒は熱伝導性充填剤の分散媒にもなるため、熱伝導性充填剤の分散性を考慮して選択することが好ましい。溶媒の配合量は、ライオトロピック液晶性高分子が液晶状態を発現する量に設定される。
【0033】
熱伝導性組成物には、耐熱性、成形加工性等を改良するためにその他の高分子を少量配合することができる。その他の高分子としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン、アクリル系高分子、ポリサルホン、シリコーン系高分子、ハロゲン系高分子、オレフィン系高分子等が挙げられる。
【0034】
熱伝導性組成物には必要に応じてガラス繊維等の補強材、顔料、染料、蛍光増白剤、分散剤、安定剤、紫外線吸収剤、エネルギー消光剤、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱安定剤、滑剤、可塑剤、溶剤等を少量添加することも可能である。
【0035】
熱伝導性組成物は、各成分を押出機、ニーダー等の混練装置によって混練することによって得られる。また、熱液晶性高分子としてライオトロピック液晶性高分子を配合する場合は、攪拌装置によって溶媒中にライオトロピック液晶性高分子を溶解させるとともに、溶媒中に熱伝導性充填剤を分散させることによって熱伝導性組成物は得られる。
【0036】
次に、熱伝導性高分子成形体について説明する。
熱伝導性高分子成形体は、前記熱伝導性組成物を用いて成形することにより得られ、熱伝導方向に液晶性高分子が磁場配向されているものである。
【0037】
熱伝導性組成物に液晶性高分子として熱液晶性高分子を配合した場合は、成形装置によって熱伝導性組成物に含有される熱液晶性高分子を加熱溶融させ、液晶状態に相転移させる。次に、磁場発生手段によって熱伝導方向に磁場を印加する。そして、熱液晶性高分子の剛直な分子鎖を磁力線と平行方向に配向制御させた後、冷却し、固体に相転移させることによって熱伝導性高分子成形体を得ることができる。
【0038】
熱伝導性組成物に液晶性高分子としてライオトロピック液晶性高分子を配合した場合は、成形装置によって溶液成形するとともに磁場発生手段によって磁場を印加する。そして、液晶性高分子の剛直な分子鎖を磁力線と平行方向に配向制御させた後、揮発等によって溶媒を除去させる。そして、液晶性高分子を液晶状態から固体状態に相転移させることによって熱伝導性高分子成形体を得ることができる。
【0039】
磁場発生手段としては、永久磁石、電磁石、超電導磁石、コイル等が挙げられる。そして、磁場発生手段によって発生する磁場の磁束密度が高いほど、液晶性高分子の剛直な分子鎖を配向させることができ、より高い熱伝導率を有する熱伝導性高分子成形体を得ることができる。磁場の磁束密度は、好ましくは1〜20テスラ(T)、さらに好ましくは2〜20T、最も好ましくは3〜20Tである。この磁束密度が1T未満であると、熱液晶性高分子の剛直な分子鎖を十分に配向させることができないおそれがあり、高い熱伝導率を有する熱伝導性高分子成形体が得られにくい。一方、磁束密度が20Tを超える磁場は、実用上得られにくい。この磁束密度の範囲が3〜20Tであると、高い熱伝導率を有する熱伝導性高分子成形体が得られるとともに、実用的である。
【0040】
成形装置としては、射出成形装置、押出成形装置、プレス成形装置等の合成樹脂を成形する装置を用いることができる。熱伝導性組成物は、シート状、フィルム状、ブロック状、粒状、繊維状等の様々な形状の熱伝導性高分子成形体に成形することができる。この熱伝導性高分子成形体は、プリント配線基板、半導体パッケージ、筐体、ヒートパイプ、放熱板、熱拡散板等の放熱部材に適用することができ、各種電子部品で発生する熱を伝導伝熱させ、電子機器の外部に放熱することができるものである。
【0041】
熱伝導性高分子成形体の熱伝導率(λ)は、液晶性高分子の分子鎖が一定方向に配向していることによって、その分子鎖方向に極めて大きくなるものであって、好ましくは1.0〜50W/(m・K)、さらに好ましくは1.5〜40W/(m・K)、最も好ましくは2.0〜30W/(m・K)である。この熱伝導率(λ)が1.0W/(m・K)未満であると、電子部品から発生する熱を効果的に外部へ伝えることが困難となるおそれがある。一方、50W/(m・K)を超えると、成形が困難となるおそれがある。
【0042】
熱伝導性高分子成形体を電気絶縁性が要求される用途に用いる場合、その体積抵抗率は、好ましくは1×106〜1×1020Ω・cm、さらに好ましくは1×108〜1×1018Ω・cm、最も好ましくは1×1012〜1×1018Ω・cmである。この体積抵抗率が1×106Ω・cm未満であると、十分な電気絶縁性が得られないおそれがある。一方、1×1020Ω・cmを超える熱伝導性高分子成形体を得るのは、液晶性高分子の物性を考慮すると困難である。
【0043】
この熱伝導性高分子成形体をシート状に成形する場合、その厚さは好ましくは0.02〜10mm、さらに好ましくは0.1〜7mm、最も好ましくは0.2〜3mmである。この厚さが0.02mm未満であると、機械的強度が十分に得られないおそれがある。一方、10mmを超えると、電子機器等の適用物に対する軽量化を損ねるおそれがある。また、この厚さは厚さ方向の熱抵抗を小さくできるため薄い方が好ましく、0.02〜3mmであると、厚さ方向の熱抵抗を小さくすることができるとともに、機械的強度が得られやすい。シート状又はフィルム状の熱伝導性高分子成形体は、回路基板材料、半導体パッケージ用等の放熱シート又はフィルム等に適用することができる。
【0044】
続いて、熱伝導性高分子成形体の製造方法について図1〜図3に基づいて詳細に説明する。本実施形態における熱伝導性組成物は、液晶性高分子として熱液晶性高分子を配合したものである。図1に示すように、得られる熱伝導性高分子成形体としてのシート状の熱伝導性シート11は、プリント配線基板、放熱シート等の放熱部材として電子機器等に適用することができるものである。
【0045】
まず、熱伝導性シート11の厚さ方向(図1におけるZ軸方向)に熱液晶性高分子の剛直な分子鎖を配向させる場合について説明する。
図2に示すように、金型12aの内部には、キャビティ13aがシート状に形成されている。また、金型12aの上下には磁場発生手段としての一対の永久磁石14aが配設され、永久磁石14aによって発生する磁場の磁力線M1は、キャビティ13aの厚さ方向に一致するようになっている。
【0046】
まず、このキャビティ13aに熱伝導性組成物15を充填させる。金型12aには図示しない加熱装置が備えられ、この加熱装置によって熱伝導性組成物15に含有される熱液晶性高分子は溶融状態に維持されるとともに、液晶状態に相転移される。次に、永久磁石14aによって、熱液晶性高分子が液晶状態にある熱伝導性組成物15に対して磁場を印加する。このとき、磁力線M1は、シート状の熱伝導性組成物15の厚さ方向に一致するため、熱液晶性高分子の剛直な分子鎖をシート状の熱伝導性組成物15の厚さ方向に配向することができる。この配向状態で熱伝導性組成物15を冷却することによって熱液晶性高分子を固体状態に相転移させ、金型12aから取り出すと熱液晶性高分子の剛直な分子鎖が厚さ方向に配向した熱伝導性シート11を得ることができる。この熱伝導性シート11の厚さ方向の熱伝導率(λT)は、上記熱伝導率(λ)の理由によって、好ましくは1.0〜50W/(m・K)、さらに好ましくは1.5〜40W/(m・K)、最も好ましくは2.0〜30W/(m・K)である。この熱伝導性シート11は厚さ方向の熱伝導性が要求される回路基板材料、半導体パッケージ用の放熱シート等に適用することができる。
【0047】
次に、熱伝導性シート11の面内方向(図1におけるX軸方向、Y軸方向等)に熱液晶性高分子の剛直な分子鎖を配向させる場合について説明する。
図3に示すように、金型12bに形成されるキャビティ13bの面内方向に磁力線M2が一致するように、一対の永久磁石14bを金型12bの両側方に対向させて配設する。そして、永久磁石14bによって、キャビティ13bの内部に充填された熱液晶性高分子が液晶状態にある熱伝導性組成物15に磁場を印加する。このとき、磁力線M2はシート状の熱伝導性組成物15の面内方向に一致するため、熱液晶性高分子の剛直な分子鎖を熱伝導性組成物15の面内方向に配向することができる。この配向状態で熱伝導性組成物15を冷却固化させ、金型12bから取り出すと、熱液晶性高分子の剛直な分子鎖が面内方向に配向した熱伝導性シート11を得ることができる。この熱伝導性シート11の面内方向の熱伝導率(λP)は、上記熱伝導率(λ)の理由によって、好ましくは1.0〜50W/(m・K)、さらに好ましくは1.5〜40W/(m・K)、最も好ましくは2.0〜30W/(m・K)である。この熱伝導性シート11は面内方向に熱伝導性が要求される回路基板材料、半導体パッケージ用の放熱シート等に適用することができる。
【0048】
さて、熱伝導性高分子成形体を製造する場合、熱伝導性組成物に含有する液晶性高分子は液晶状態に相転移され、熱伝導性組成物には熱伝導方向に合わせて磁場が印加される。次に熱伝導性組成物は固体状態に相転移され、熱伝導性高分子成形体は得られる。得られた熱伝導性高分子成形体は、回路基板材料等に適用される。このとき、熱伝導性組成物には熱伝導性充填剤が配合され、液晶性高分子の分子鎖は、熱伝導方向に磁場配向されている。このとき、液晶性高分子の分子鎖は、一般に細長く、偏平で、分子の長鎖に沿って剛直であるため、その分子鎖方向に熱伝導性高分子成形体の熱伝導性を向上することができる。
【0049】
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ この実施形態の熱伝導性高分子成形体においては、液晶性高分子100重量部に対して、熱伝導性充填剤5〜800重量部を配合してなる熱伝導性組成物から成形されている。従って、熱伝導性充填剤によって、熱伝導性高分子成形体は熱伝導性を発揮することができる。また、この熱伝導性高分子成形体は、熱伝導方向に液晶性高分子が磁場配向されている。このとき、液晶性高分子の分子鎖は、一般に細長く、偏平で、分子の長鎖に沿って剛直であるため、その分子鎖方向に熱伝導性高分子成形体の熱伝導性を向上することができる。従って、熱伝導性高分子成形体は、優れた熱伝導性を発揮することができる。
【0050】
・ この実施形態の熱伝導性高分子成形体においては、熱液晶性高分子が(A)熱液晶性全芳香族ポリエステル及び(B)熱液晶性全芳香族ポリエステルアミドのうち少なくとも一種である。このように構成した場合、光学的異方性溶融相を容易に発現させることができる。また、これらの熱液晶性高分子の成形加工性は良好であって、種々の形状に容易に成形することができる。従って、熱伝導率(λ)の高い熱伝導性高分子成形体を容易に得ることができる。
【0051】
・ この実施形態の熱伝導性高分子成形体においては、熱伝導性シートとしてシート状に成形されるとともに、熱伝導性シートの厚さ方向の熱伝導率(λT)が1.0〜50W/(m・K)である。このように構成した場合、回路基板材料、放熱シート等のシート状でその厚さ方向に高い熱伝導性が要求される用途に容易に適用することができる。
【0052】
・ この実施形態の熱伝導性高分子成形体の製造方法においては、液晶性高分子100重量部に対して、熱伝導性充填剤5〜800重量部を配合してなる熱伝導性組成物から成形されている。また、液晶性高分子を液晶状態に相転移させ、磁場を印加することによって前記液晶性高分子を熱伝導方向に配向させている。さらに、液晶性高分子を固体状態に相転移させている。この製造方法によると、優れた熱伝導性を発揮することができる熱伝導性高分子成形体を容易に得ることができる。
【0053】
・ この実施形態の熱伝導性高分子成形体の製造方法においては、液晶性高分子100重量部に対して、熱伝導性充填剤5〜800重量部を配合してなる熱伝導性組成物をシート状に成形している。また、液晶性高分子を液晶状態に相転移させ、磁場を印加することによって前記液晶性高分子を熱伝導方向に配向させている。この製造方法によると、シート状をなし、その厚さ方向、面内方向等に優れた熱伝導性を発揮することができる熱伝導性高分子成形体を容易に得ることができる。
【0054】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
液晶性高分子として熱液晶性全芳香族ポリエステル(ユニチカ株式会社製、ロッドランLC5000、構成単位:テレフタル酸と4−ヒドロキシ安息香酸とエチレングリコール)100重量部に対し、熱伝導性充填剤として粉末状の酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製)60重量部を配合した混合物を調製した。この混合物を押出機にて溶融混練し、ペレット状の熱伝導性組成物を作製した。この熱伝導性組成物を脱湿乾燥し、射出成形によって、縦50mm×横50mm×厚み2mmのシート状成形体を作製した。このシート状成形体を、温度340℃に加熱した金型のキャビティに入れ、超電導磁石による磁束密度10Tの磁場中で溶融させて熱液晶性全芳香族ポリエステルを液晶状態に相転移させた。このとき、磁力線の方向はシート状成形体の厚さ方向とした。同磁場中で20分間保持した後、室温まで冷却することによって熱液晶性全芳香族ポリエステルを固体状態に相転移させて熱伝導性高分子成形体としての厚さ2mmの熱伝導性シートを作製した。
(実施例2〜実施例4)
実施例1と同一の熱液晶性全芳香族ポリエステルと表1に記載した所定の熱伝導性充填剤を配合した混合物を調製した。得られた混合物を実施例1と同様に射出成形し、シート状成形体を作製した。このシート状成形体を実施例1と同様にして熱伝導性高分子成形体としての厚さ2mmの熱伝導性シートを作製した。
(実施例5)
実施例1と同一の熱液晶性全芳香族ポリエステルと表1に記載した所定の熱伝導性充填剤を配合した混合物を調製した。得られた混合物を実施例1と同様に射出成形し、シート状成形体を作製した。このシート状成形体から磁束密度を15Tとした以外は実施例1と同様にして、熱伝導性高分子成形体としての厚さ2mmの熱伝導性シートを作製した。
(比較例1及び比較例2)
実施例1と同一の熱液晶性全芳香族ポリエステルと表2に記載した所定の熱伝導性充填剤を配合した混合物を調製した。この混合物から実施例1と同様にしてシート状の成形体を作製した。このシート状成形体を、温度340℃に加熱したキャビティに入れて磁場を印加せずに溶融させて熱液晶性全芳香族ポリエステルを液晶状態に相転移させた。この液晶状態で20分間保持した後、室温まで冷却固化させて厚さ2mmの高分子シートを作製した。
(比較例3)
ポリカーボネート(住友ダウ株式会社製、カリバー)100重量部に対して、熱伝導性充填剤として実施例1と同一の酸化アルミニウム200重量部を配合した混合物を調製した。この混合物から実施例1と同様にしてシート状の成形体を作製した。このシート状成形体から実施例1と同様に磁場を印加して、室温まで冷却固化させることによって厚さ2mmの高分子シートを作製した。
【0055】
実施例1〜5及び比較例1〜3で得られた熱伝導性シート及び高分子シートの熱伝導率をレーザーフラッシュ法によって測定した熱拡散率に密度と比熱を乗じて求めた。
【0056】
実施例1〜5の結果を表1、比較例1〜3の結果を表2に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
表1に示すように、実施例1〜5の熱伝導性シートは、熱伝導率(λ)がいずれも1.0W/(m・K)以上であり、優れた熱伝導性を有している。また、実施例5と実施例3を比較すると、同一の配合でも磁束密度を高く設定した方がより優れた熱伝導性を有した熱伝導性シートが得られることがわかる。さらに、実施例1〜5では、熱伝導性充填剤のうち、酸化アルミニウム等の電気絶縁性を有する熱伝導性充填剤が配合されているため、電気絶縁性を有する熱伝導シートを得ることができた。
【0059】
表2に示すように、比較例1及び比較例2の高分子シートは、磁場を印加せずに作製したため、熱伝導率(λ)は1.0W/(m・K)未満であり、十分な熱伝導性が得られていない。また、比較例3の高分子シートは磁場を印加して作製したが、液晶性高分子を配合せずに、液晶性を有しないポリカーボネートを配合したため、十分な熱伝導性が得られていない。
【0060】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 前記磁場発生手段は、金型を挟むように一対配設されているが、一方の磁場発生手段を省略してもよい。
【0061】
・ 前記磁場発生手段は、S極とN極とが互いに対向するように一対配設されているが、その他にS極同士又はN極同士が対向するように配設してもよい。つまり、熱伝導方向に液晶性高分子が磁場配向するように磁力線の向きを調整して磁場を印加すればよい。
【0062】
・ 前記磁力線は、直線状であるが、曲線状でもよい。また、前記磁場発生手段は磁力線が一方向に延びるように配設されているが、磁力線が二方向以上に延びるように磁場発生手段を配設してもよい。
【0063】
・ 前記熱伝導性シートの少なくとも一面に、適用物に貼り合わせるための粘着層を設けてもよい。この構成によると、熱伝導性シートの粘着層を適用物に貼り合わせることによって熱伝導性シートを適用物に容易に固定することができる。
【0064】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1) 液晶性高分子100重量部に対して、熱伝導性充填剤5〜800重量部を配合してなる熱伝導性組成物から成形し、前記液晶性高分子の加熱溶融又は溶媒に対する溶解によって液晶状態に相転移させ、磁場を印加することによって前記液晶性高分子を熱伝導方向に配向させた後、冷却又は溶媒の除去によって前記液晶性高分子を固体状態に相転移させたことを特徴とする熱伝導性高分子成形体の製造方法。
【0065】
(2) 前記液晶性高分子は熱液晶性高分子である熱伝導性高分子成形体。このように構成した場合、加熱成形によって容易に成形加工することができるため、熱伝導性高分子成形体を容易に得ることができる。
【0066】
(3) 熱伝導性高分子成形体の製造方法において、前記熱液晶性高分子を加熱溶融させて磁場を印加して、熱液晶性高分子を配向させた後、冷却固化させることを特徴とする熱伝導性高分子成形体の製造方法。この製造方法によると、熱液晶性高分子を容易に磁場配向させることができ、優れた熱伝導性を発揮することができる熱伝導性高分子成形体を容易に得ることができる。
【0067】
(4) 前記熱伝導性充填剤は、電気絶縁性を有するものである熱伝導性高分子成形体。このように構成した場合、電気絶縁性を有する用途に適用することができる。
【0068】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1から請求項3に記載の発明の熱伝導性高分子成形体の製造方法によれば、シート状でその厚さ方向に高い熱伝導性を有する熱伝導性高分子成形体を容易に得ることができる。
【0070】
請求項3に記載の発明の熱伝導性高分子成形体の製造方法によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、シート状でその厚さ方向に高い熱伝導性が要求される用途に容易に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態における熱伝導性高分子成形体を示す斜視図。
【図2】 厚さ方向に高い熱伝導性を有する熱伝導性シートの製造方法を示す概念図。
【図3】 参考例として面内方向に高い熱伝導性を有する熱伝導性シートの製造方法を示す概念図。
【符号の説明】
11…熱伝導性高分子成形体としての熱伝導性シート、12a、12b…金型、13a、13b…キャビティ、14a、14b…磁場発生手段としての永久磁石、M1、M2…磁力線、15…熱伝導性組成物。
Claims (3)
- 液晶性高分子100重量部に対して、熱伝導性充填剤5〜800重量部を配合してなる熱伝導性組成物をシート状に成形し、前記液晶性高分子を液晶状態に相転移させた熱伝導性組成物の厚さ方向に磁場を印加することによって前記液晶性高分子を前記厚さ方向に配向させた後、前記液晶性高分子を固体状態に相転移させることを特徴とする熱伝導性高分子成形体の製造方法。
- 前記液晶性高分子が(A)熱液晶性全芳香族ポリエステル及び(B)熱液晶性全芳香族ポリエステルアミドのうち少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性高分子成形体の製造方法。
- 前記熱伝導性高分子成形体における厚さ方向の熱伝導率(λT)を1.0〜50W/(m・K)としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱伝導性高分子成形体の製造方法。
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