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JP4017150B2 - コンテンツ配信装置 - Google Patents

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JP4017150B2
JP4017150B2 JP2002315202A JP2002315202A JP4017150B2 JP 4017150 B2 JP4017150 B2 JP 4017150B2 JP 2002315202 A JP2002315202 A JP 2002315202A JP 2002315202 A JP2002315202 A JP 2002315202A JP 4017150 B2 JP4017150 B2 JP 4017150B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試視聴時に電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトでのみ再生できる電子透かし埋込コンテンツをコンテンツ購入予定者に配信し、購入後に電子透かし除去ソフトによって電子透かしを除去するコンテンツ配信装置、コンンテンツ配信方法およびコンテンツ配信プログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンテンツ提供者とコンテンツ購入予定者が正式な売買契約を締結する前にコンテンツ購入予定者がコンテンツを試視聴する方法として、コンテンツ提供者の配信した正規なコンテンツのサンプル版を試視聴する方法と、ネットワーク経由でコンテンツ購入予定者の端末上のハードディスクへコンテンツの全体をダウンロードしないで、コンテンツの一部をバッファ・メモリ等の記憶メモリに読込んだ段階で順次再生を開始し、その再生後にコンテンツを自動削除するストリーミング配信の方法を利用して視聴する方法等が行われていた。
【0003】
また、電子透かし技術と暗号技術を用いたコンテンツ配信装置がある(例えば、特許文献1参照。)。この発明はコンテンツに不可視の電子透かし(コンテンツ購入者を特定する購入者ID等)と可視の電子透かし(例えば、「見本」と埋め込む)を電子透かし情報として後記する電子透かしをコンテンツに埋め込む手法等の従来技術を利用して埋め込み、売買契約成立後に前記した可視の電子透かしを除去するための秘密鍵をコンテンツ提供者からコンテンツ購入者に送信してコンテンツから可視の電子透かしを除去するものである。
【0004】
なお、電子透かしをコンテンツに埋め込む手法について、登録意匠である原画像に権利情報を明示するための可視電子透かしを埋め込み、必要時には可視電子透かしを除去して原画像の意匠性を保つことができる除去可能電子透かしを提供するものがある。その手法は、原画像に対して色空間変換を行い、輝度プレーンと色情報プレーンとに分割し、この輝度プレーンの特定領域に対し上位ビットから下位ビットへビットシフト処理を行い、最上位ビットを除去可能電子透かしとしての2値画像ビット値に書き換える。そして、色空間逆変換を行うことによって、可視電子透かしを埋め込む手法である(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−236669号公報(段落番号0017〜0018、第2図)
【特許文献2】
特開2000−216982号公報(段落番号0011〜0013、第3図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の正規なコンテンツのサンプル版を視聴する方法では、当該サンプル版はコンテンツの全体が記録されているものではないため、コンテンツ購入予定者がコンテンツを購入するか否かを検討するにあたって、コンテンツの全体を視聴してから検討することができなかった。
また、ストリーミング配信の方法を利用して試視聴する方法では、コンテンツの再生中(試視聴中)の間は、コンテンツ提供者の有するコンテンツ配信サーバへ接続している必要があるので、例えば、多数のコンテンツ購入予定者が、データ容量の大きいコンテンツを試視聴するためにコンテンツ配信サーバに同時にアクセスした場合に、ネットワークのトラフィックが膨大となり、正常なデータ伝送がなされないという問題が生じていた。
また、デジタル化されたコンテンツを劣化させずにコピーすることは容易であり、コンテンツ購入者が不正にコンテンツのコピーを作成して第三者に配布し、第三者が視聴するという著作権侵害の問題も生じていた。
また、前記した特許文献2による従来技術においては、可視の電子透かしの除去には秘密鍵を使用しており、この秘密鍵をコンテンツ提供者からコンテンツ購入者に届ける途中で盗聴される危険性を避けることができなかった。
【0007】
そこで、本発明はこのような問題を解決するために、コンテンツの不正コピーを防止しつつ、ネットワークの渋滞を生じさせることなくコンテンツの全体を購入予定者に試視聴させることができるコンテンツ配信装置、コンンテンツ配信方法およびコンテンツ配信プログラムを提供することを目的としたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記した目的を達成するため、以下に示す構成とした。
画質と音質の少なくとも一方を劣化させるための電子透かしをコンテンツに埋め込んだ電子透かし埋込コンテンツを、ネットワークを介して、前記コンテンツを購入する見込みのあるコンテンツ購入予定者に配信するコンテンツ配信装置であって、前記電子透かし埋込コンテンツおよび前記コンテンツ購入予定者の所持する端末を識別するコンテンツ購入者IDが組み込まれて起動し、前記電子透かし埋込コンテンツを再生する電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトならびに前記電子透かし埋込コンテンツに埋め込まれている電子透かしを取り除く電子透かし除去ソフトを蓄積する蓄積手段と、前記コンテンツ購入予定者から、前記コンテンツを試視聴する意思表示と、前記コンテンツを購入する意思表示とを、前記ネットワークを介して受信する受信手段と、前記受信手段で受信したコンテンツを試視聴する意思表示に応じて、前記電子透かし埋込コンテンツおよび前記電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトを配信する配信手段と、前記コンテンツ購入者IDに基づいて、前記電子透かし埋込コンテンツを暗号化する暗号化鍵を生成する暗号化鍵生成手段と、前記暗号化鍵を用いて前記電子透かし除去ソフトを暗号化した暗号化電子透かし除去ソフトを前記電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトにプラグインするためにモジュール化するモジュール化手段と、を備え、前記電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトは、前記電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトに組み込まれている前記コンテンツ購入者IDを解析して、IPアドレス、MACアドレス、CPU製品番号および機器固有値のうち少なくとも一つを含む前記端末に関する情報について、前記コンテンツ購入予定者の所持する端末に関する情報との照合を行う照合機能と、前記暗号化鍵で暗号化された暗号化電子透かし埋込コンテンツを前記照合機能の照合の結果適合した前記端末へ受信可能とする受信可能機能と、前記受信可能機能によって受信した前記暗号化電子透かし埋込コンテンツを前記コンテンツ購入予定者が試視聴する際には、前記暗号化鍵に対応し、前記コンテンツ購入者IDに基づいた復号鍵を生成する復号鍵生成機能と、前記復号鍵生成機能によって生成した前記復号鍵を用いて前記端末のメモリ上で前記暗号化電子透かし埋込コンテンツを復号する復号機能と、を備え、前記配信手段は、前記受信手段が前記コンテンツを購入する意思表示を受信した際には、前記モジュール化手段によって前記暗号化電子透かし除去ソフトをモジュール化した暗号化電子透かし除去モジュールを前記端末に配信し、前記端末に配信された前記電子透かし除去モジュールは、前記復号鍵を用いて前記電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトの復号機能によって復号され、前記電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトにプラグインすることを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、電子透かし埋込コンテンツおよびコンテンツ購入者IDが組み込まれている電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトをコンテンツ購入予定者の試視聴する意思表示に応じて配信し、コンテンツ購入予定者からコンテンツの購入の意思表示を受信した後に、電子透かし除去ソフトを配信できる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンテンツ配信装置において、前記暗号化鍵生成手段は、前記暗号化において、公開暗号鍵又は共通復号鍵を用いることを特徴とする。
【0020】
なお、特許請求の範囲に記載の「電子透かし」とは、電子透かし技術を利用して、電子的に画像や音声のビット情報の一部を画質と音質の少なくとも一方を劣化させるための情報(以下、電子透かし情報という)に書き換えて、コンテンツへ埋め込むことをいう。電子透かし技術は、人間の視覚や聴覚の冗長性を利用し、コンテンツの一部を書き換えても骨格部分を変更しない限り、書き換える前後の相違点を判別し難いという人間の感覚の生理学的特性を利用したものである。本発明に係る「電子透かし」はコンテンツ購入予定者がコンテンツの購入の意思表示をする前の段階において、コンテンツの質の劣化を目的とするものなので、電子透かし技術として必要となる機能は、以下の3つとなる。
1:コンテンツの正式な視聴には妨げになるが、試視聴するのを著しく妨げるものではない電子透かしであること。例えば、冗長性の低い(コンテンツの本質に関わる)領域へ電子透かしを埋め込んだり、日本語字幕付の動画において日本語字幕の領域に関し、電子透かし情報を大量に埋め込む等によって実現できるものである。
2:電子透かし情報が、JPEGやMPEG等のデータ圧縮、幾何変換そして階調変換等の画像処理や切抜等で電子透かし情報が、消去・散逸されないこと。
3:電子透かし情報の改ざんや消去等の不正な行為に対して耐性を有すること。
【0021】
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るコンテンツ配信装置のブロック構成図とコンテンツ配信システムの構成を示した図、図2は、本発明に係るコンテンツ配信装置とコンテンツの購入予定者の所持するPCとの間の通信手順および動作を示すシーケンスチャート、図3は、本発明に係る電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトのアルゴリズムを示したフローチャートである。
【0022】
本発明に係るコンテンツ配信装置を含むコンテンツ配信システムは、図1に示すように、コンテンツ購入予定者の所持するPC9(以下、コンテンツ購入予定者PCという)へインターネット8を介して、電子透かし埋込コンテンツまたは電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6を配信し、コンテンツ購入者(コンテンツ購入の意思表示をした者)の所持するPC9(以下、コンテンツ購入者PCという)へインターネット8を介して、電子透かし除去モジュール7を配信するコンテンツ配信装置1と、インターネット8を介して接続されているコンテンツ購入(予定)者PC9とから構成されている。
なお、「PC」とは、特許請求の範囲に記載の「端末」に相当し、「インターネット」とは、特許請求の範囲に記載の「ネットワーク」に相当するものである。
【0023】
(コンテンツ配信装置の構成)
次に、図1を参照しながらコンテンツ配信装置について説明する。
コンテンツ配信装置1は、コンテンツ購入予定者からインターネット8を介して送信されるコンテンツを試視聴する旨の意思表示とコンテンツを購入する旨の意思表示とを受信する受信手段2と、電子透かし埋込コンテンツおよびコンテンツ購入者IDが組み込まれている電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6ならびに電子透かし除去モジュール7を蓄積する蓄積手段4と、コンテンツ購入者IDを発行するコンテンツ購入者ID発行手段5と、電子透かし埋込コンテンツを暗号化する暗号化鍵を生成する暗号化鍵生成手段10と、コンテンツ購入予定者からコンテンツを試視聴する意思表示を受信手段2によって受信した際には電子透かし埋込コンテンツおよび電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6を配信し、コンテンツを購入する意思表示を受信手段2によって受信した際には電子透かし除去モジュール7を配信する配信手段3と、電子透かし除去ソフトSを電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6にプラグインするためにモジュール化するモジュール化手段11を備えている。
【0024】
なお、「電子透かし埋込コンテンツ」とは、画質または音質の少なくとも一方を劣化させるための除去可能な電子透かしを埋め込まれたコンテンツをいう。
また、「電子透かし除去モジュール」とは、特許請求の範囲に記載の「電子透かし除去ソフト」に相当し、モジュール化手段11によって「電子透かし除去ソフト」をモジュール化したものであり、電子透かし埋込コンテンツから電子透かしを除去するためのソフトウェアをいう。
また、「電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト」とは、電子透かし埋込コンテンツのダウンロードおよび再生を実行するソフトウェアをいう。この「電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト」にはコンテンツ購入者IDが組み込まれており、このコンテンツ購入者IDを解析して、コンテンツ購入予定者PC9またはコンテンツ購入者PC9のIPアドレス、CPU製品番号、機器固有値、マシン名等の情報との照合を実行し、当該PC9の認証を行うものである。さらに、コンテンツ購入予定者PC9がコンテンツの購入の意思表示をコンテンツ配信装置1に送信した際には、電子透かし除去モジュール7がこの「電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6」にプラグインされる。なお、「電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6」は、電子透かし埋込コンテンツ再生装置としてもよい。
【0025】
受信手段2は、コンテンツ購入予定者が要求する配信用コンテンツの試視聴する旨の意思表示や試視聴した配信用コンテンツを購入する旨の意思表示および電子透かし除去モジュール7をコンテンツ購入予定者PC9またはコンテンツ購入者PC9の図示していない送信手段から受信するものである。
【0026】
蓄積手段4は、電子透かし埋込コンテンツ、電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6および電子透かし除去モジュール7を蓄積するものである。
なお、電子透かし除去モジュール7は電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6上でのみ実行されるので、コンテンツ提供者からコンテンツ購入者に送信する途中で暗号化電子透かし除去モジュール7が権限なき第三者に盗聴されたとしても、電子透かし除去モジュール7を実行して、電子透かしをコンテンツから除去することはできない。
【0027】
コンテンツ購入者ID発行手段5は、IPアドレス、MACアドレス、CPU製品番号、機器固有値、マシンID、マシン名、ドメイン名等のコンテンツ購入予定者PC9に関する情報に基づいてコンテンツ購入者IDを発行するものである。コンテンツ購入者IDは、電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6に組み込まれ、コンテンツ購入予定者PC9について、コンテンツ購入者IDを発行する際に用いた前記PC9に関する情報に適合したPCであるか否かのチェックの要素となるものである。
【0028】
暗号化鍵生成手段10は、前記したコンテンツ購入者IDに基づいて、前記電子透かし埋込コンテンツを暗号化するための暗号化鍵を生成するものである。
なお、当該暗号化においては、公開鍵暗号を用いることも共通鍵暗号を用いることも可能である。
【0029】
配信手段3は、コンテンツ購入予定者に対しては電子透かし埋込コンテンツおよび電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6を配信し、コンテンツ購入者に対しては電子透かし除去モジュール7を配信するものである。
【0030】
モジュール化手段11は、電子透かし除去ソフトSをモジュール化するものである。モジュール化手段11によってモジュール化した電子透かし除去モジュール7は電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6にプラグインされる。
【0031】
(コンテンツ配信装置とコンテンツ購入予定者PCとの間の通信手順および動作)
次に図1および図2を参照しながら、コンテンツ配信装置1とコンテンツ購入(予定)者PC9との間の通信手順および動作を示すシーケンスチャートについて、コンテンツ購入予定者がコンテンツ購入の意思表示をする前の段階と購入の意思表示をした(売買契約の成立)後の段階とに分けて、具体的に説明する。
【0032】
(コンテンツ購入予定者がコンテンツの購入の意思表示をする前の段階)
まず、コンテンツ購入予定者は、コンテンツ購入者PC9によってコンテンツ配信装置1へアクセスして試視聴を希望するコンテンツを選択する。次に、その選択したコンテンツを試視聴する旨の意思表示およびIPアドレス等のPC9に関する情報をコンテンツ購入予定者PC9の図示していない送信手段によって、受信手段2へ送信する。これを受けたコンテンツ配信装置1は、受信したPC9に関する情報に基づきコンテンツ購入者ID発行手段5によって、コンテンツ購入者IDを作成して発行する。そしてその発行と同時に、コンテンツに電子透かしを埋め込む。次に、この発行したコンテンツ購入者IDを電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6に組み込む。そして、電子透かし埋込コンテンツのセキュリティを確保するために該電子透かし埋込コンテンツを暗号化鍵生成手段10によってコンテンツ購入者IDに基づいて作成した暗号化鍵を用いて暗号化する。そして、暗号化した暗号化電子透かし埋込コンテンツおよび電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6をコンテンツ購入予定者PC9に配信手段3によって配信する。
【0033】
次に、コンテンツ購入予定者PC9にダウンロードされた該電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6が、電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6に組み込まれているコンテンツ購入者IDに基づいて、前記暗号化鍵に対応した復号鍵を作成して、暗号化されている暗号化電子透かし埋込コンテンツを復号する。電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6は、復号鍵を作成する際には、コンテンツ購入者IDを解析してコンテンツ購入予定者PC9に関する情報を抽出し、コンテンツ購入者PC9との照合を実行して、前記PC9に関する情報とコンテンツ購入者PC9との一致を確認する。一致が確認できなければ、復号鍵は作成しない。この場合は、コンテンツ購入予定者PC9は、電子透かし埋込コンテンツを視聴することはできない。また、一致が確認でき復号鍵を作成した場合には、暗号化されている電子透かし埋込コンテンツの復号の際は、コンテンツ購入予定者PC9のメモリ上で実行される。したがって、コンテンツ購入予定者PC9のハードディスクにダウンロードされている電子透かし埋込コンテンツは暗号化されたまま(暗号化電子透かし埋込コンテンツの状態)である。そのため、不正にコピーをしようとしてもこの暗号化電子透かし埋込コンテンツは、第三者が視聴するためには復号する必要があるので、不正コピーの防止につながる。
【0034】
なお、この電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6は、コンテンツ購入者IDを解析し、該コンテンツ購入者IDを作成する際の要素となったIPアドレス、MACアドレス、CPU製品番号、機器固有値、マシンID、マシン名、ドメイン名等のコンテンツ購入予定者PC9に関する情報を抽出してコンテンツ購入予定者PC9との照合を実行し、コンテンツ購入予定者PC9(試視聴に使用するPC)が、これらのコンテンツ購入予定者PC9に関する情報を持つPCであるか否かのチェックを行う。チェックの結果、コンテンツ購入予定者PC9に関する情報が相互に一致した場合にのみコンテンツを再生することができるので、コンテンツの不正利用を防止することができるものである。
【0035】
また、前記電子透かしは、試視聴するためのコンテンツの価値を低下(質を劣化)させ、正式な視聴には耐え難いものとすることを目的とするが、著しく質を劣化させて試視聴までも妨げるものではないので、コンテンツの内容を確認して購入の判断をするにあたっては十分なコンテンツの質を維持するものである。そして、コンテンツ購入予定者がコンテンツを購入する旨の意思表示をした後には、該電子透かしをコンテンツから除去することができる除去可能な電子透かしである。
【0036】
(コンテンツ購入予定者がコンテンツの購入の意思表示をした後の段階)
コンテンツ購入予定者が電子透かし埋込コンテンツを試視聴して購入を希望する場合には、コンテンツ購入の意思表示をコンテンツ配信装置1の受信手段2に送信することをもって売買契約が成立する。売買契約が成立すると、この電子透かしは、画質と音質の少なくとも一方を劣化させるものであるため、コンテンツから除去する必要性が生じる。そのためコンテンツ配信装置1は、電子透かし埋込コンテンツから電子透かしを除去させるために、コンテンツ購入者PC9の図示していない受信手段へ電子透かし除去モジュール7を配信手段3によって配信する。この電子透かし除去モジュール7もセキュリティを確保するために、前記暗号化鍵を用いて暗号化されて配信される。これを受けたコンテンツ購入者PC9の内部にダウンロードされている電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6が、前記暗号化鍵に対応する前記復号鍵を作成して、この暗号化電子透かし除去モジュール7aをコンテンツ購入者PC9のメモリ上で復号してから、電子透かし除去モジュール7が電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6にプラグインする。
【0037】
なお、電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6が復号鍵を作成する際に、コンテンツ購入者IDの解析をして、コンテンツ購入者PC9の認証(PC9に関する情報についての相互一致による確認)を行うのは、電子透かし埋込コンテンツを復号するための復号鍵を作成する場合と同様である。したがって、認証が取れなかった場合には復号鍵は作成せず、電子透かしを除去することはできない。また、ハードディスクにダウンロードされた電子透かし除去モジュールが暗号化されたまま(暗号化電子透かし除去モジュール7aの状態)であることも前記と同様である。この暗号化電子透かし除去モジュール7aを不正にコピーして第三者に譲渡しようとしても、暗号化電子透かし除去モジュール7aを機能させるには復号の必要があり、また、電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6は、前記したように第三者のPC上では起動しないためコンテンツを再生することもできないようになっている。
【0038】
電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6が、復号された電子透かし除去モジュール7を用いて、電子透かし埋込コンテンツから電子透かしを除去することにより、コンテンツ購入者は、画質と音質の少なくとも一方を劣化させるための電子透かしが埋め込まれていないコンテンツを視聴することができる正規版のコンテンツを入手する。
【0039】
(電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトのアルゴリズム)
次に、電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6を用いてダウンロードされた試視聴版の暗号化電子透かし埋込コンテンツを正規版のコンテンツに変換する場合における電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6のアルゴリズムについて、図3のフローチャートを参照しながら説明する。
【0040】
コンテンツの売買契約を締結したコンテンツ購入者が、コンテンツ購入者PC9の図示していない受信手段によって受信した暗号化電子透かし埋込コンテンツを視聴する際には、電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6がコンテンツ購入者IDから暗号化電子透かし埋込コンテンツを復号するための復号鍵を作成する。そして、この復号鍵を用いて暗号化電子透かし埋込コンテンツを復号する。次に、ダウンロードされた暗号化電子透かし除去モジュール7aが、前記復号鍵によって復号された後、電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6にプラグインされる。その後、電子透かし除去モジュール7は、電子透かし埋込コンテンツから電子透かしの検出を実行し、検出された電子透かしの情報と予め電子透かし除去モジュール7に組み込まれている情報が一致した場合に電子透かしを検出する。検出できた場合は、この電子透かしの除去が実行される。そしてコンテンツ購入者PC9の図示していない表示手段に正規版のコンテンツとして表示する。相互の情報が一致しない場合、電子透かしは検出されず電子透かしは除去されない。
【0041】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、前記した実施の形態に限定されることなく、様々な形態で実施可能である。
また、コンテンツ配信装置1で用いられるコンテンツ配信方法と、このようなコンテンツ配信方法をコンテンツ配信装置1に実現させるコンテンツ配信プログラムも本発明の対象とするものである。
【0042】
なお、特許請求の範囲に記載の「電子透かし除去ソフト」は、前記した発明の実施の形態の説明の中では、モジュール化しており、「電子透かし除去モジュール」と記載している。
近年、コンピュータ情報通信技術が著しく発展するに従って、コンピュータを利用した情報操作または利用等の不正利用の技術もまた高度化指向となってきている。そしてこのようなコンピュータの不正利用を防止するための技術的ソリューションとしての暗号技術や電子透かし技術などのセキュリティ技術の高度化も目覚しくなる一方、技術の陳腐化も早くなるので、新しいセキュリティ技術、すなわち、新しい暗号技術や電子透かし技術に即座に対応が容易に(例えば、1の暗号が解読されても即座に2の暗号、3の暗号への切替対応が容易に)できるように、「電子透かし除去ソフト」をモジュール化し、コンテンツ購入者PC9上の電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト6にプラグインできる形式としている。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば以下の効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、電子透かし埋込コンテンツには該コンテンツ全体の画質と音質の少なくとも一方を劣化させるための電子透かしが埋め込まれているので、コンテンツ提供者は、コンテンツ購入予定者がコンテンツを試視聴する段階であっても、コンテンツの全体を配信することができ、コンテンツ購入予定者は、コンテンツの全体を試視聴して購入の検討をすることができる。
【0044】
また、電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトは、その組み込まれているコンテンツ購入者IDを解析して、コンテンツ購入者の所持する端末の認証をし、認証できたときのみ起動できるようになっているので、不正コピーの防止を図ることができる。従ってコンテンツの著作権侵害を未然に防止することができる。
さらに、不正コピーされた電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトに対しては、組み込まれているコンテンツ購入者IDから不正コピー元を探知することができるようになっているので、不正コピーの抑制を図ることができる。
また、コンテンツ購入予定者が試視聴する際には、暗号化電子透かし埋込コンテンツの全体を購入予定者の所持する端末のハードディスク上に全てダウンロードし、該コンテンツの購入後には、電子透かし除去ソフトをダウンロードさせることによって、コンテンツ購入者の所持する端末のメモリ上で電子透かしを除去することができるので、ネットワークのトラフィックの渋滞を抑制することができる。
【0046】
請求項に記載の発明によれば、コンンテンツ配信装置が電子透かし埋込コンテンツをコンテンツ購入予定者の所持する端末へ配信するに際し、配信先を誤ったり、不正利用者に配信してしまった場合においても、第三者は暗号化電子透かし埋込コンテンツを復号しなければ再生(視聴)することができないので、セキュリティの確保を図ることができる。従ってコンテンツの著作権侵害を未然に防止することができる。
【0047】
また、コンテンツ購入予定者が不正コピーをしようとしても、コンテンツ購入予定者の所持する端末のメモリ上で電子透かし埋込コンテンツの復号が行われるので、ハードディスク内の電子透かし埋込コンテンツは暗号化されたままであり、不正コピーを抑制することができる。従ってコンテンツの著作権侵害を未然に防止することができる。
【0048】
請求項に記載の発明によれば、電子透かし除去ソフトは、暗号化鍵で暗号化され、電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトが、電子透かし除去ソフト(モジュール)を復号し、電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトにプラグインされる。そのため、コンテンツ配信装置は、セキュリティを確保しつつ電子透かし除去ソフトを配信することによって、コンテンツ購入者の所持する端末上において、試視聴版である電子透かし埋込コンテンツを正規版としてのコンテンツに変換することができ、類似の大容量データを再送することによるネットワークトラフィックの渋滞の問題も解決することができる。
【0049】
また、電子透かし除去ソフトはモジュール化されているため取替が可能であり、発展の著しいセキュリティ技術分野における新しい暗号技術や電子透かし技術に即座に対応することができる。したがって、電子透かしを不正に除去する行為を未然に防止してコンテンツの著作権侵害の抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンテンツ配信装置のブロック構成図とコンテンツ配信システムの構成を示した図である。
【図2】本発明に係るコンテンツ配信装置とコンテンツ購入予定者PCとの間の通信手順および動作を示すシーケンスチャートである。
【図3】本発明に係る電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトのアルゴリズムを示したフローチャートである。
【符号の説明】
1 コンテンツ配信装置
2 受信手段
3 配信手段
4 蓄積手段
5 コンテンツ購入者ID発行手段
6 電子透かし埋込コンテンツ再生ソフト
7 電子透かし除去モジュール
7a 暗号化電子透かし除去モジュール
S 電子透かし除去ソフト
8 インターネット(ネットワーク)
9 コンテンツ購入(予定)者PC(端末)
10 暗号化鍵生成手段
11 モジュール化手段

Claims (2)

  1. 画質と音質の少なくとも一方を劣化させるための電子透かしをコンテンツに埋め込んだ電子透かし埋込コンテンツを、ネットワークを介して、前記コンテンツを購入する見込みのあるコンテンツ購入予定者に配信するコンテンツ配信装置であって、
    前記電子透かし埋込コンテンツおよび前記コンテンツ購入予定者の所持する端末を識別するコンテンツ購入者IDが組み込まれて起動し、前記電子透かし埋込コンテンツを再生する電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトならびに前記電子透かし埋込コンテンツに埋め込まれている電子透かしを取り除く電子透かし除去ソフトを蓄積する蓄積手段と、
    前記コンテンツ購入予定者から、前記コンテンツを試視聴する意思表示と、前記コンテンツを購入する意思表示とを、前記ネットワークを介して受信する受信手段と、
    前記受信手段で受信したコンテンツを試視聴する意思表示に応じて、前記電子透かし埋込コンテンツおよび前記電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトを配信する配信手段と、
    前記コンテンツ購入者IDに基づいて、前記電子透かし埋込コンテンツを暗号化する暗号化鍵を生成する暗号化鍵生成手段と、
    前記暗号化鍵を用いて前記電子透かし除去ソフトを暗号化した暗号化電子透かし除去ソフトを前記電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトにプラグインするためにモジュール化するモジュール化手段と、を備え、
    前記電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトは、前記電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトに組み込まれている前記コンテンツ購入者IDを解析して、IPアドレス、MACアドレス、CPU製品番号および機器固有値のうち少なくとも一つを含む前記端末に関する情報について、前記コンテンツ購入予定者の所持する端末に関する情報との照合を行う照合機能と、前記暗号化鍵で暗号化された暗号化電子透かし埋込コンテンツを前記照合機能の照合の結果適合した前記端末へ受信可能とする受信可能機能と、前記受信可能機能によって受信した前記暗号化電子透かし埋込コンテンツを前記コンテンツ購入予定者が試視聴する際には、前記暗号化鍵に対応し、前記コンテンツ購入者IDに基づいた復号鍵を生成する復号鍵生成機能と、前記復号鍵生成機能によって生成した前記復号鍵を用いて前記端末のメモリ上で前記暗号化電子透かし埋込コンテンツを復号する復号機能と、を備え、
    前記配信手段は、前記受信手段が前記コンテンツを購入する意思表示を受信した際には、前記モジュール化手段によって前記暗号化電子透かし除去ソフトをモジュール化した暗号化電子透かし除去モジュールを前記端末に配信し、
    前記端末に配信された前記電子透かし除去モジュールは、前記復号鍵を用いて前記電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトの復号機能によって復号され、前記電子透かし埋込コンテンツ再生ソフトにプラグインすることを特徴とするコンテンツ配信装置。
  2. 前記暗号化鍵生成手段は、前記暗号化において、公開暗号鍵又は共通復号鍵を用いることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信装置。
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