JP4007606B2 - センサおよび検出方法 - Google Patents
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Description
"Analytical Chemistry"2003,75,p.1116−1122
本発明は、検体中の物質を検出するためのセンサにおいて、第1に、作用電極上に「捕捉体―標的物質−触媒修飾2次捕捉体」の複合体を形成し、その状態で、酵素基質を導入する。この際に触媒反応の生成物が隣接作用電極まで拡散するのに要する時間をあらかじめ実験等の手法により求めること、および触媒基質導入から上記時間が経過するまでの間の電流値をもとに標的物質捕捉量を求めることを特徴としている。
第2は、上記時間をあらかじめ使用者が任意に設定可能であることを特徴としている。
第4は、捕捉体、標的物質の組み合わせが作用電極毎に異なる組み合わせとなっていることを特徴としている。
本発明は、検体中の標的物質を検出するためのセンサであって、
(1)異なる位置に配置される少なくとも2つの作用電極上に固定された、前記標的物質に対する捕捉体と、
(2)前記捕捉体、前記標的物質、及び触媒により修飾された2次捕捉体の3者に「捕捉体−標的物質−触媒修飾2次捕捉体」の形の複合体を形成せしめる手段と、
(3)前記触媒に対応した基質を前記複合体が存在する領域へ導入し、前記触媒の作用による生成物を発生させる手段と、
(4)前記触媒生成物を前記作用電極と接触せしめ、前記触媒生成物を前記作用電極の電流により検出する手段と、
(5)前記基質導入時点からあらかじめ求めておいた時間の一定時間内の電流値をもとに前記標的物質捕捉量を求める手段と、
を含んでなることを特徴とする。
前記標的物質と前記捕捉体の組み合わせが複数種類であることを特徴とする。
前記標的物質と前記捕捉体の組み合わせが作用電極毎に異なっていることを特徴とする。
(1)異なる位置に配置される少なくとも2つの作用電極上に固定された、前記標的物質に対する捕捉体と、
(2)前記捕捉体、前記標的物質、及び触媒により修飾された2次捕捉体の3者に「捕捉体−標的物質−触媒修飾2次捕捉体」の形の複合体を形成せしめる手段と、
(3)前記触媒に対応した基質を前記複合体が存在する領域へ導入し、前記触媒の作用による生成物を発生させる手段と、
(4)前記触媒生成物を前記作用電極と接触せしめ、前記触媒生成物を前記作用電極の電流により検出する手段とを含み、且つ
(5)前記作用電極が一定間隔で線上もしくは平面状の異なる位置に配置されており、
(6)隣接する作用電極間の間に少なくとも1つのクロストーク検出用作用電極と、
(7)前記触媒基質導入時点から前記クロストーク検出用作用電極の電流値を監視する手段と、
(8)前記触媒基質導入時点から前記クロストーク検出用電極の電流値が既定の変化をするまでの間の電流値を、もとに前記標的物質捕捉量を求める手段と、
を含んでなることを特徴とする。
さらに、本発明は、異なる位置に配置される少なくとも2つの作用電極上に固定された、前記標的物質に対する捕捉体を用いたセンサを用いた検出方法で、
(1)前記捕捉体、前記標的物質、及び触媒により修飾された2次捕捉体の3者に「捕捉体−標的物質−触媒修飾2次捕捉体」の形の複合体を形成せしめる工程と、
(2)前記触媒に対応した基質を前記複合体が存在する領域へ導入し、前記触媒の作用による生成物を発生させる工程と、
(3)前記触媒生成物を前記作用電極と接触せしめ、前記触媒生成物を前記作用電極の電流により検出する工程と、
(4)前記基質導入時点からあらかじめ求めておいた時間の一定時間内の電流値をもとに前記標的物質捕捉量を求める工程と、
を含んでなることを特徴とする。
前記標的物質と前記捕捉体の組み合わせが複数種類であるセンサを用いることを特徴とする。
作用電極毎に異なっている前記標的物質と前記捕捉体の組み合わせを用いることを特徴とする。
(1)前記触媒基質導入時点から前記クロストーク検出用電極の電流値を監視する工程と、
(2)前記触媒基質導入時点から前記クロストーク検出用電極の電流値が既定の変化をするまでの間の電流値を、もとに前記標的物質捕捉量を求める工程と、
を含んでなることを特徴とする。
本発明のセンサ素子は、図1に示すような断面図で表すことができる。ここで、101に示されるセンサ基板は、リソグラフィープロセス等でパターニングが容易に出来るものであり、少なくとも表面の導電性がないものであれば特に制約はない。たとえば、ガラス、シリコンウェハ(表面に絶縁膜のあるもの)等が一般的に用いられる。102の作用電極は、表面に捕捉体が容易に固定できるものであり、表面が酸化等による劣化を受けにくいものが望ましい。以下に示す実施例では金を用いている。103の参照電極は、銀ハロゲン化銀電極が望ましい。本実施例では、銀塩化銀電極を用いている。104の補助電極は、103の参照電極を生成するために用いるのみであるため、表面が酸化還元等で劣化されにくい材質であれば、とくに制約はない。本実施例では、白金電極を用いている。
詳細の実施形態については以下の実施例にて説明する。
実施例1
実施例1として、以下に本実施例のセンサ素子の構成について図1に断面図を示す。図1において、本発明のセンサ素子は、基板101上に、作用電極102および参照電極103を有している。作用電極および参照電極以外の表面部位は、絶縁保護層(絶縁膜)105によって被覆する。さらに作用電極102上には、固定化抗体106が固定されている。本実施例では、作用電極毎に固定化抗体が捕捉する抗原の種類が異なるような抗体をそれぞれの作用電極に固定している。
図2および図3を用いて本発明のセンサ素子の製造過程を説明する。
図2(a)に示すのは、本センサの基板となるガラス基板101である。図2(b)に示すように、本基板上にリフトオフプロセスを用いて金(Au)の作用電極102およびリード線およびセンサ接点をパターニングする。続いて、参照電極103を金(Au)薄膜上に銀(Ag)薄膜を図2(c)のように形成する。さらに参照電極作成用に補助電極104を図3(d)のように形成する。この補助電極は白金(Pt)をパターニングする。
続いて、上記で記載したセンサ素子を用いて実際の検体内の抗原量を計測する計測器の構成について図4および図5を用いて説明する。まず図4であるが、センサ素子を固定し、検体量を測定する機器の概要を表している。センサホルダ201にてセンサ素子202を固定している。センサ素子は、センサ電極コネクタ204によって計測器本体205と電気的に接続される。本コネクタでは、各作用電極および補助電極および参照電極それぞれに対応した電極との接点を持っており、計測器本体から電気的な特性の検出、電圧の印加等が行えるようになっている。チップ固定部上方には、ノズル203が設けられており、各作用電極数のノズルが、各作用電極の中心の鉛直線上に来るように配置されている。
続いて、センサ素子および計測器を用いた実際の抗原の測定過程を説明する。あらかじめ抗原を含んだ検体溶液と、本センサデバイスに試薬として提供される酵素修飾2次抗体溶液をあらかじめ混合し反応させておく。ここで提供される2次抗体溶液は、各作用電極に対応する抗原に対応した抗体が混合した形で提供される。また、修飾している酵素はたとえば、グルコースオキシダーゼ等の酵素を用いる。反応後の検体および酵素修飾2次抗体混合溶液をセンサ素子の反応槽に注ぎ、作用電極上の固定抗体と、混合溶液中の酵素修飾2次抗体と抗原の複合体を反応させる。上記反応後、センサ素子の反応槽を洗浄する。洗浄後、センサ素子反応槽内にリン酸バッファ溶液を注入し、センサ素子を測定器に固定する。本実施例では、先に2次抗体と抗原の反応を実施したが、抗原と固定抗体の反応後に2次抗体を反応させても構わない。
上記固定作業後、測定器を用いて固定化抗体に捕捉された抗原量を計測する。以下にその処理手順を、図6に示したフローチャートに従って説明する。まず、図5のキーボードの入力デバイス308等から処理を開始するコマンドの入力を行う。これによって図6の処理が開始される。401で処理が開始され、その後402の処理にて、CPUより各作用電極に既定の電圧が印加される。続いて、403にて、CPUより各作用電極上にあるノズルより既定量の酵素基質溶液を滴下する。ここで用いる酵素基質は、2次抗体の修飾酵素に対応した酵素基質を用いる必要がある。上記の例で述べたグルコースオキシダーゼを用いる場合は、酵素基質として、グルコース溶液を用いる必要がある。その際、下記で検出する電流は、酵素反応で発生する、過酸化水素を電極で検出していることになる。
実施例2として、以下に本実施例のセンサ素子の構成について図7に断面図を示す。図7において、本発明のセンサ素子は、101〜109の構成物については、実施例1のセンサ素子と同一である。ただし、図7の110に示される、クロストーク検出用作用電極が付加されている点が異なっている。
実施例3のセンサ素子の構成について図10の平面図によって説明する。実施例2のセンサとの相違は、酵素固定作用電極112が付加されている点と、その酵素固定作用電極112の周辺にのみクロストーク検出用作用電極110が配置されている点である。酵素固定作用電極112の作成方法は、作用電極と同一方法で電極自体は作成し、抗体を固定する方法と同一方法で、酵素を固定する。ここで固定する酵素は、2次抗体を修飾している酵素と同一の酵素を用いる。本実施例のセンサ素子の使用方法は、実施例2とまったく同一となる。
102 作用電極
103 参照電極
104 補助電極
105 絶縁保護層
106 固定抗体
107 抗原
108 酵素修飾2次抗体
109 槽壁
110 クロストーク検出用作用電極
111 電極
112 酵素固定作用電極
201 センサホルダ
202 センサ素子
203 検体試薬供給ノズル
204 センサ電極コネクタ
205 計測器本体
301 直流電源
302 電流検出部
303 D/Aコンバータ
304 A/Dコンバータ
305 ノズルコントローラ
306 演算装置
307 表示ディスプレイ
308 入力デバイス
309 固定ディスク
401〜413 図7に示したフローチャートの各ステップの処理
501〜517 図10に示したフローチャートの各ステップの処理
Claims (4)
- 検体中の物質を検出するためのセンサであって、少なくとも2つ以上の電極上に、前記物質を特異的に捕捉するための第1の捕捉体、前記第1の捕捉体により捕捉された物質、及び前記物質に修飾された触媒を有する第2の捕捉体からなる複合体を形成するための複合体形成手段と、前記触媒と作用し得る作用物質を前記触媒に接触させたときに生成する生成物を検知するために前記触媒を有する電極に流れる電流値を検出するための電流検出手段と、前記作用物質の接触時から特定時間までの間に、前記電流検出手段により検出された電流値から生成物の量を求め、前記生成物の量から前記検体中の物質量を求めるための物質検出手段と、前記電極間に、クロストークを検出するための電極を更に備え、前記特定時間は、前記クロストークを検出するための電極に流れる電流値が特定の変化を生じるまでの時間であり、その変化を生じる時間検出された前記触媒を有する電極の電流値に基づいて前記物質の捕捉量を求める手段を有することを特徴とするセンサ。
- 前記特定時間は、前記生成物を生成した触媒を有する電極から隣接する電極に、前記生成物が到達する時間よりも短い時間であることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
- 前記第1の捕捉体が前記少なくとも2つ以上の電極毎に異なることを特徴とする請求項1または2記載のセンサ。
- 検体中の物質を検出する検出方法であって、少なくとも2つ以上の電極上に、前記物質を特異的に捕捉するための第1の捕捉体、前記第1の捕捉体により捕捉された物質、及び前記物質に修飾された触媒を有する第2の捕捉体からなる複合体を形成する工程と、前記触媒と作用し得る作用物質を前記触媒に接触させたときに生成する生成物を検知するために前記触媒を有する電極に流れる電流値を検出する工程と、前記作用物質の接触時から特定時間までの間に検出された電流値から生成物の量を求め、前記生成物の量から前記検体中の物質量を求める工程と、前記電極間にクロストーク検出用電極を設け、前記触媒と作用し得る作用物質を前記触媒に接触させる触媒基質導入時点から前記クロストーク検出用電極の電流値を監視する工程と、前記触媒基質導入時点から前記クロストーク検出用電極の電流値が既定の変化をするまでの間の電流値に基づいて前記物質の捕捉量を求める工程と、を有することを特徴とする検出方法。
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