JP4095176B2 - 血液検査用容器及び血液検査方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒト及び動物の臨床検査等に用いられる血液検査用容器に関し、より詳細には、血液の採取から血液成分等の測定までを単一の容器で行うことを可能とする血液検査用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、臨床検査等における血液中の成分の検査は、以下のようにして行われている。先ず、注射器もしくは真空採血管を用いて採血し、次に、血液が導かれた試験管もしくは採血管を遠心し、血清もしくは血漿と固形分とに分離する。しかる後、分離された血清もしくは血漿を別の測定用容器に分注し、該測定用容器内で測定が行われる。
【0003】
上記測定を行うための器具として、例えば、オーソクリニカルダイアグノステックス社製、商品名:「オーソHCV・Abクイックパック」などが市販されている。この検査器具では、血清または血漿をスポイトにより検査器具の試薬上に滴下し、例えばHCV抗体スクリーニング検査を行うことができる。
【0004】
しかしながら、上述した従来の検査方法では、採血時及び測定時に、検査従事者が、採血管の蓋を開封したり、計量用カップに分注したりするため、複数回にわたり血液と接触するおそれがあった。そのため、検査従事者が、HIVや肝炎などに感染するおそれがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、検査従事者の血液との接触を防止しつつ、血液の採取から血液中の各種成分の測定までを、容易に行うことを可能とする血液検査用容器及び血液検査方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、有底の管状容器と、管状容器内において固定された血液検査用測定試薬と、前記管状容器に導入された血液と前記測定試薬との接触を防止し、かつ遠心されることにより血液成分と測定試薬との接触を達成し得る接触制御構造とを備え、前記接触制御構造が、管状容器内に配置されており、両端が開口されている管状体と、管状体の外周面と管状容器の内周面とに当接されたリング状部材とを有し、該リング状部材が、初期状態では前記測定用試薬よりも下方に配置されており、前記血液検査用測定試薬が、管状容器内面または管状体外面の少なくとも一方に固定されている血液検査用容器である。
【0007】
すなわち、請求項1に記載の発明にかかる血液検査用容器では、有底の管状容器内において測定試薬が固定されており、▲1▼管状容器内に血液又は血液成分(この血液成分は、血液から予め分離された血清又は血漿などをいう)を導入し、そのまま血液検査用測定試薬と接触させることができ、或いは、▲2▼管状容器内に血液を導入した後、遠心分離することにより、血清または血漿などの血液成分を血液検査用測定試薬と接触させることができる。よって、検査従事者が血液と接触することなく、血液の採取から検査までの作業を行うことができる。
【0008】
なお、血液検査用測定試薬は、直接管状容器の内面に固定されていてもよく、管状容器の内面に他の部材を介して間接的に固定されていてもよい。あるいは、血液検査用測定試薬は、管状容器内に配置される、内側容器部、第2の管状容器または管状体等の外面に固定されていてもよい。
【0009】
本発明において、上記の「測定試薬が内面に固定」又は「外面に固定」とは、測定試薬が単に内面に固着又は外面に固着している場合だけでなく、測定試薬が液状であり液状物質として内面又は外面に接触して存在している場合、並びに測定試薬が粉末状であり、粉末として内面又は外面に接触して存在している場合も含まれるものとする。このような、液状物質又は粉末としての測定試薬が管状容器内に存在する代表的な例としては、管状容器内に、内側容器部、第2の管状容器または管状体等が配置されてなる血液検査用容器において、該測定試薬が管状容器と、内側容器部、第2の管状容器または管状体等との間に、両者に接触して存在する場合が挙げられる。
【0010】
請求項1に記載の発明では、上記接触制御構造により、管状容器に導入された血液と測定試薬とが初期状態では接触されず、遠心されて初めて、血液成分と測定試薬とが接触されることになる。
【0012】
請求項1に記載の発明では、上記接触制御構造が、管状容器内に配置されており、かつ両端が開口されている管状体と、管状体の外周面と管状容器の内周面とに当接されたリング状部材とを有し、リング状部材が初期状態では測定用試薬よりも下方に配置されており、前記血液検査用測定試薬が、管状容器内面または管状体外面の少なくとも一方に固定されている。この構造では、管状体内に血液を導入した場合、管状体の下方開口から管状容器の底部に血液が導入される。しかしながら、リング状部材で押さえられることになるため、血液が測定用試薬には接触しない。遠心すると、管状体内の血液が下方に移動し、さらに、管状体の周囲に移動し、それによって、リング状部材が押し上げられる。また、遠心により血清もしくは血漿と固形分に分離され、分離された血清または血漿が測定用試薬に接触されることになる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、上記接触制御構造が、管状容器内に配置されており、両端が開口されており、さらに下端が管状容器の内底面に接触された管状体と、管状体を管状容器の内底面に接触させて管状体に導入された血液の管状体外への漏洩を抑制し、かつ遠心により血液成分の管状体外への漏洩を可能とする圧接手段とが備えられており、前記血液検査用測定試薬が、管状容器内面または管状体外面の少なくとも一方に固定されている。従って、初期状態では、上記圧接手段により、管状体の下端が管状容器の内底面に接触し、血液の管状体外への漏洩が抑制される。よって、初期状態では、血液と測定用試薬との接触が防止される。また、遠心すると、血液が管状体外へ漏洩し、血清もしくは血漿と固形分とに分離される。従って、血清もしくは血漿を測定試薬と接触させることができる。
【0015】
請求項1に記載の発明では、好ましくは、上記リング状部材の内周面及び外周面が、それぞれ、Cn H2n+2(但し、nは18〜22、好ましくは22〜24)で表されるパラフィンを介して管状体の外周面と管状容器の内周面とに当接されている。ここでは、初期状態では、請求項1に記載の発明の場合と同様に、リング状部材により血液と測定試薬との接触が遮断される。血液を採取し、遠心分離を行うと、血液が血清もしくは血漿と固形分とに分離される。しかる後、パラフィンの融点以上の温度に加温することによりパラフィンが溶融し、リング状部材が上下に容易に移動可能となる。そのため、血清もしくは血漿がリング状部材を押し上げ、測定試薬と接触されることになる。すなわち、遠心分離後に加温することにより、測定試薬と血清もしくは血漿とを確実に接触させ得る。
【0017】
請求項4に記載の発明に係る血液検査用容器では、前記接触制御構造が、管状容器内に配置されており、かつ柔軟性を有する樹脂からなる内管を有し、内管の外周面が管状容器の内面に密着されており、かつ内管の一端側において内管の外径が管状容器の内径よりも小さくされて内管の外周面が管状容器の内面から隔てられている。また、管状容器の内面から内管の外周面が隔てられている部分において、移動可能に連通部材が配置されている。さらに、内管の外周面と管状容器の内面とが隔てられている部分において、管状容器の内面または内管の外面に血液検査用測定試薬が固定されている。
【0018】
請求項4に記載の発明では、内管に血液が導かれる。もっとも、内管の下端が開口している場合には、導かれた血液は管状容器の底部に収納されることになる。また、内管の下端が閉成されて有底とされている場合には、内管内に血液が収納されることになる。
【0019】
いずれの場合においても、血液検査用測定試薬は、内管の外周面と管状容器の内面とが隔てられている部分に配置されており、その隔てられている部分を除いて、内管の外周面が管状容器の内面に密着されているため、初期状態では、内管の外周面と管状容器の内面とが密着されている部分の存在により、血液と血液検査用測定試薬との接触が防止される。測定に際しては、血液が導かれた血液検査用容器を遠心分離することにより、連通部材が移動されて、内管の外周面と管状容器の内面とが密着されている部分側に移動し、内管の外周面と管状容器の内面との密着が解かれる。従って、分離された血清もしくは血漿が、内管の外周面と管状容器の内面との間の空間に入り込み、血液検査用測定試薬と接触し、反応する。
【0020】
請求項4に記載の発明において、より具体的には、請求項5に記載のように、内管の上端及び下端が開口され、内管の上端開口部の外径が管状容器の内径よりも小さくされる。この場合には、内管の下端が開口しているため、内管内に導かれた血液は、内管の下端開口から下方に流入し、管状容器の底部に収納される。内管の上端開口部側において、内管の外周面と管状容器の内面とが隔てられており、この空間において血液検査用測定試薬が固定されている。従って、内管の下端開口近傍部分においては、内管の外周面と管状容器の外面とが密着されているので、血液と血液検査用測定試薬の初期状態における接触を防止することが可能とされている。また、遠心分離した場合、上記連通部材が下方側に移動し、内管の下端開口近傍部分、すなわち内管の外周面と管状容器の内面とが密着されている部分の密着が連通部材の移動により解かれ、遠心分離により分離された血清もしくは血漿が血液検査用測定試薬と接触される。
【0021】
また、請求項6に記載のように、請求項4に記載の発明において、内管が有底であり、内管の底部近傍において内管の外径が管状容器の内径よりも小さくされ、それによって内管の外周面と管状容器の内面との間が隔てられていてもよい。この場合には、残りの部分、すなわち内管の上端側部分においては、内管の外周面が管状容器の内面に密着されている。従って、血液検査用測定試薬と血液との接触が防止される。測定に際しては、血液を導いた後、血液検査用容器を上下逆転し、遠心分離する。遠心分離により血清もしくは血漿が分離されるが、同時に連通部材が管状容器の底部とは反対側、すなわち上下逆転された血液検査用容器の下方側に移動する。そのため、連通部材の移動により、内管の外周面と管状容器の内面とが密着している部分の密着が解かれ、分離された血清もしくは血漿が内管の外周面と管状容器の内面との間の空間に入り込み、血液検査用測定試薬と接触する。
【0025】
請求項7に記載の発明に係る血液検査用容器では、有底の管状容器と、管状容器内において固定された血液検査用測定試薬とを備え、前記管状容器内に配置されており、有底であり、前記管状容器よりも小径の第2の管状容器をさらに備え、前記血液検査用測定試薬が、管状容器内面または第2の管状容器外面の少なくとも一方に固定されており、前記血液検査用測定試薬が固定されている部分を含む、前記管状容器と第2の管状容器との間の空隙が水溶性物質よりなるシール材により封止されている。すなわち、採血に際し、あるいは血液を分注するに際し、管状容器の内面と第2の管状容器の外側との間の空隙に血液試料が一気に流れ込むことが抑制される。使用に際しては、第2の管状容器内に血液を入れた後、必要により遠心分離した後、血液検査用容器全体を上下転倒もしくは傾斜させることにより、血清または血漿などの血液試料が上記水溶性物質に接触する。接触後、しばらくすると、水溶性物質が溶解するので、血液試料が管状容器と第2の管状容器との間の空隙に進入し、血液測定用試薬と接触し、反応することになる。
【0026】
請求項8に記載の発明に係る血液検査用容器では、有底の管状容器と、管状容器内において固定された血液検査用測定試薬とを備え、前記管状容器内に配置されており、有底であり、前記管状容器よりも小径の第2の管状容器をさらに備え、前記血液検査用測定試薬が、管状容器内面または第2の管状容器外面の少なくとも一方に固定されており、前記血液検査用測定試薬が固定されている部分を含む、前記管状容器と第2の管状容器との間の空隙が融点40℃以上の物質よりなるシール材により封止されている。従って、血液を血液検査用容器内に導くに際し、誤って血液試料が管状容器と第2の管状容器との間の空隙に一気に流入することを防止することができる。また、第2の管状容器内に血液を導入した後、必要により遠心分離した後、血液検査用容器全体を上下転倒もしくは傾斜させ、40℃以上の熱を加えることにより、上記シール材が溶融し、血液試料が上記空隙内に導かれ、血液検査用測定試薬と接触し、反応が開始される。
【0027】
請求項9に記載の発明に係る血液検査用容器では、有底の管状容器と、管状容器内において固定された血液検査用測定試薬とを備え、前記管状容器内に配置されており、有底であり、前記管状容器よりも小径の第2の管状容器をさらに備え、前記血液検査用測定試薬が、管状容器内面または第2の管状容器外面の少なくとも一方に固定されており、先端に第2の管状容器の上端開口に圧入される相対的に径の小さな第1の栓体部と、前記第1の栓体部に連ねられており、管状容器の開口に圧入される第2の栓体部とを有する栓体とをさらに備え、前記第1の栓体部の外表面において、下端から第2の管状容器に圧入される部分よりも上方に延びるように溝が形成されており、前記第2の管状容器の内面に、開口縁から第1の栓体部が圧入される部分よりも下方に延びるように溝が形成されている。
【0028】
使用に際しては、栓体を取り付けたまま、あるいは栓体を取り外し、第2の管状容器内にまず血液試料を導入する。しかる後、栓体が取り外されている場合には、栓体を血液検査用容器に取り付ける。この場合、栓体の第1の栓体部に設けられた溝と、第2の管状容器に設けられた溝とが一致しないように栓体を取り付けることにより、血液の上記空隙への進入を防止することができる。測定に際しては、必要により遠心分離した後、第1の栓体部に設けられた溝と、第2の管状容器の内面に設けられた溝とが一致するように栓体を回転させることにより、第2の管状容器内と、第2の管状容器と管状容器との間の上記空隙との間の流路を確保する。しかる後、血液検査用容器全体を上下転倒もしくは傾斜すれば、血液試料が上記流路を介して空隙に導かれ、空隙内の血液検査用測定試薬に接触される。
【0031】
請求項10に記載の発明に係る血液検査用容器では、上記請求項7〜9のいずれかに記載の血液検査用容器において、第2の管状容器内に、血清もしくは血漿分離剤が配置されている。従って、遠心分離により、血液から血清もしくは血漿を確実に分離することができ、血清もしくは血漿を血液測定用試薬と接触させ反応させることができる。
【0032】
請求項12に記載の発明に係る血液検査用容器では、有底の管状容器と、管状容器内において固定された血液検査用測定試薬とを備え、前記管状容器内に配置されており、有底であり、前記管状容器よりも小径の第2の管状容器をさらに備え、前記血液検査用測定試薬が、管状容器内面または第2の管状容器外面の少なくとも一方に固定されており、該第2の筒状容器の底部に、赤血球をトラップするために下方に突出されたトラップ部が形成されており、該トラップ部の周囲に、直径0.1〜20μmの貫通孔が複数形成された血球分離部が設けられている。
【0033】
従って、使用に際し、血液試料を第2の管状容器内に導いた後、遠心分離することにより、血清もしくは血漿は上記貫通孔からトラップ部外に流出するが、赤血球は流出せず、かつ比重が重いため、該トラップ部内に貯留される。その結果、血清または血漿が、トラップ部から第2の管状容器と管状容器との間の空隙に流出し、血液検査用測定試薬と接触する。なお、遠心分離は必ずしも必要ではなく、例えば、血液検査用容器内を減圧とし、真空採血した場合には、該真空採血時の減圧下の吸引力により、血液試料が上記トラップ部が設けられている部分を通過し、血清もしくは血漿が濾過される。
【0034】
請求項13に記載の発明に係る血液検査用容器では、有底の管状容器と、管状容器内において固定された血液検査用測定試薬とを備え、前記管状容器内に配置されており、有底であり、前記管状容器よりも小径の第2の管状容器をさらに備え、前記血液検査用測定試薬が、管状容器内面または第2の管状容器外面の少なくとも一方に固定されており、第2の管状容器の底部に、複数の貫通孔が形成されており、該貫通孔の上部に直径0.1〜200μmの親水性微粒子からなる層が配置されている。従って、使用に際し、第2の管状容器内に血液を導いた場合、例えば、遠心分離することにより、血清もしくは血漿が直径0.1〜200μmの親水性微粒子よりなる層が配置されている部分を通過し、上記貫通孔から第2の管状容器と外側の管状容器との間に流出する。他方、血球は、上記親水性微粒子層が設けられている部分の上方に留められる。従って、血清もしくは血漿を管状容器の内面及び/または第2の管状容器の外面に固定された血液検査用測定試薬と接触させることができる。なお、遠心分離は必ずしも必要ではなく、例えば、血液検査用容器内を減圧とし、真空採血した場合には、該真空採血時の減圧下の吸引力により、血液試料が上記親水性微粒子層が設けられている部分を通過し、血清もしくは血漿が濾過される。
【0035】
請求項14に記載の発明に係る血液検査用容器では、請求項13に記載の発明に係る検査用容器において、第2の管状容器が、両端が開口された筒状体と、筒状体の下端に固定されており、かつ複数の貫通孔を有する底部材とを備える。すなわち、請求項22に記載の発明に係る血液検査用容器では、第2の管状容器の底部に複数の貫通孔を形成する構造としては、第2の管状容器を有底の管状容器で構成し、該第2の管状容器の底部に複数の貫通孔を形成したものであってもよく、あるいは、下端が開口されている管状体を用い、複数の貫通孔を有する上記底部材を筒状体の下端開口縁に固定することにより構成してもよい。
【0036】
請求項15に記載の発明に係る血液検査用容器では、有底の管状容器と、管状容器内において固定された血液検査用測定試薬とを備え、前記管状容器内に配置されており、有底であり、底部に孔を有し、前記管状容器よりも小径の第2の管状容器をさらに備え、前記血液検査用測定試薬が、管状容器内面または第2の管状容器外面の少なくとも一方に固定されており、第2の管状容器の底部に孔が形成されており、該孔を閉成するように第2の管状容器の底部に水溶性の蓋材が固定されている。
【0037】
従って、請求項15に記載の発明に係る血液検査用容器において第2の管状容器内に血液を導いた場合、当初は水溶性蓋材により第2の管状容器の底部の孔が閉成されているので、血液と血液検査用測定試薬との接触が防止される。もっとも、血液中の水分により、あるいは遠心分離した後に分離された血清もしくは血漿の水分により、上記水溶性蓋材が溶解される。そのため、経時により、あるいは遠心分離後に、水溶性蓋材が溶解し、血液、血清もしくは血漿が、第2の管状容器と外側の管状容器との間の空間に流入し、血液検査用測定試薬と接触し、反応する。
【0038】
請求項16に記載の発明に係る血液検査用容器では、有底の管状容器と、管状容器内において固定された血液検査用測定試薬とを備え、前記管状容器内に配置されており、有底であり、底部に孔を有し、前記管状容器よりも小径の第2の管状容器をさらに備え、前記血液検査用測定試薬が、管状容器内面または第2の管状容器外面の少なくとも一方に固定されており、第2の管状容器の底部に孔が形成されており、該孔が閉成されるように、第2の管状容器の底部に金属もしくは磁石からなる蓋材が固定されている。従って、第2の管状容器内に血液を導いた場合、蓋材により第2の管状容器の底部の孔が閉成されているので、血液と血液検査用測定試薬との接触が防止される。
【0039】
測定に際しては、蓋材が金属からなる場合には磁石を用い、蓋材が磁石からなる場合には金属もしくは磁石を用い、外部から上記蓋材を移動させることにより、第2の管状容器の底部の孔を露出させる。その結果、第2の管状容器内に導かれた血液、あるいは血液を導いた後遠心分離により分離された血清もしくは血漿が、第2の管状容器の底部の孔から第2の管状容器と外側の管状容器との間の空間に流入する。従って、流入した血液、血清もしくは血漿が血液検査用測定試薬と接触し、反応する。
【0040】
請求項17に記載の発明では、請求項1〜16に記載の発明に係る血液検査用容器において、上記血液検査用測定試薬の一部が露出されており、残りの部分が血液検査用測定試薬と血液との接触を防止するようにコーティング層で被覆されている。よって、血液検査用測定試薬の所望でない膨潤を防止することができ、より確実に検査結果を確認することができる。
【0041】
請求項18に記載の発明に係る血液検査用容器では、有底の管状容器と、管状容器内において固定された血液検査用測定試薬とを備え、管状容器の側壁上において上下に移動可能に、かつ該側壁を挟み込むようにスライドスイッチが設けられている。このスライドスイッチの管状容器内部に存在する部分に上記血液検査用測定試薬が固定されている。
【0042】
従って、管状容器内に血液を導入した後、スライドスイッチを操作することにより、血液検査用測定試薬を下方に移動させることができ、それによって血液検査用測定試薬を血液等と接触させて反応させることができる。
【0043】
すなわち、導く血液の量を、初期状態において、血液検査用測定試薬の下端よりも下方に位置するように選択すれば、初期状態における血液検査用測定試薬と血液との接触を確実に防止することができる。また、測定に際してスライドスイッチを操作するだけで、血液、血清もしくは血漿に、血液検査用測定試薬を浸漬し、接触させることができる。
【0044】
請求項19に記載の発明では、請求項18に記載の血液検査用容器において、管状容器内に、管状容器よりも小さな径のチューブが配置されており、このチューブの下端が上記スライドスイッチの取り得る最下端位置よりも底部側に位置されている。従って、測定に際しては、チューブ内に血液を導くことにより、チューブの下端がスライドスイッチの取り得る最下端位置も下方に位置するので、血液が管状容器の側壁に設けられたスライドスイッチ部分に付着し難い。よって、例えばスライドスイッチを移動させるための切り込み等を管状容器に設けている場合、該切り込みから外部への血液の漏洩を防止することができる。
【0045】
なお、上記チューブは管状容器の軸方向のほぼ中央部に設けられるのが好ましいが、上記チューブをこのような位置に固定する方法は、特には限定されるわけではないが、例えば、以下の▲1▼〜▲3▼の方法が挙げられる。▲1▼管状容器の上端開口を封止する蓋体を用いると共に該蓋体の底面部にチューブの上端部を固定する。この固定方法としては、接着剤を用いる方法が挙げられる。▲2▼管状容器の上端開口に嵌合する栓体を用いると共に該栓体の底面部にチューブの上端部を固定する。この固定方法としては、接着剤を用いる方法、該栓体にチューブの上端部をねじ込む方法などが挙げられる。▲3▼チューブの上端部に、管状容器の開口端に係合してチューブを吊り下げできるような係合部を設ける。
【0046】
請求項20に記載の発明に係る血液検査用容器では、スライドスイッチが設けられた管状容器全体を収納するように有底の第2の管状容器が設けられており、かつ2つの管状容器の上端開口を閉成するように栓体が取り付けられ、2つの管状容器内が減圧されている。従って、真空採血法により採血し、必要に応じて遠心分離することにより血清もしくは血漿を分離した後、第2の管状容器を取り外せばよい。以下、請求項18または19に記載の血液検査用容器と同様にして測定を行うことができる。この場合、検査従事者が血液と接触することなく、血液の採取から血液中の各種成分の測定までの作業を、容易に行うことができる。
【0047】
請求項21に記載の発明に係る血液検査用容器では、有底の管状容器内を封止するように該有底の管状容器に取り付けられた栓体がさらに備えられており、内部が減圧されているので、真空採血法により血液を血液検査用容器に容易に導くことができる。
【0048】
請求項22に記載の発明に係る血液検査方法では、請求項1〜21のいずれかに記載の血液検査用容器に血液を導入し、血液又は血液成分と上記血液検査用測定試薬とを接触させることにより、容易に血液検査を行なうことができる。
【0049】
請求項23に記載の発明に係る血液検査方法では、請求項1〜21のいずれかに記載の血液検査用容器に血液を導入し、遠心分離を行なった後、血液成分と上記血液検査用測定試薬とを接触させることにより、容易に血液検査を行なうことができる。上記血液成分とは、例えば、血清、血漿などが挙げられる。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の血液検査用容器の構造例を説明する。
図1は、請求項1に記載の発明にかかる血液検査用容器を示す断面図である。血液検査用容器1は、有底の管状容器2と、管状容器2の内面に固定された血液検査用測定試薬3とを備える。管状容器2は、合成樹脂、ガラスなどの適宜の材料により構成することができ、好ましくは、管状容器2の内部を目視し得るため、透明な材料により構成される。管状容器は、図1では円筒であるが、横断面が三角や四角等の角筒、あるいはその他の任意の断面形状の筒状体であってもよい。
【0051】
測定試薬3は、血清または血漿中の各種成分を測定するのに用いられる適宜の測定試薬により構成され得る。もっとも、測定試薬3は、管状容器2の内側壁に固定し得るように、固形のものであることが望ましい。しかしながら、管状容器2の内側壁に固定し得る限り、粘弾性を有する測定試薬であってもよい。また、測定試薬3は、前述のように、液体状又は粉末状であってもよく、さらに不溶性担体に試薬を塗布または吸着させたものなどであってもよい。また、測定試薬3は、血液成分と接触された際に、目視、比色、蛍光、反射光強度などにより分析しようとする成分を検出または定量できるものならば何でもよく、特にその種類は限定されない。
【0052】
測定試薬3としては、例えば1)B型肝炎抗原検出用イムノクロマトグラフィーのように、試験紙、布、あるいはニトロセルロースメンブレン、グラスファイバーなどのフィルム状、ディスク状もしくはスティック状などの媒体に試薬を含ませたものにより判定するもの(なお試験紙等はフィルムなどでその表面が覆われていてもよい);2)PH指示液または生化学もしくは免疫関連項目測定に使う液状試薬のごとく液状のもの;3)凍結乾燥した抗体、酵素もしくは蛋白を利用したTIA等の免疫試薬、または化学物質等を利用した粉末の試薬;4)抗体や蛋白、化学物質等試薬を壁面塗布したもの;5)ラテックス、金属コロイドなどの粒子に液状または粉末状の試薬を吸着したものなどを例示することができる。より具体的には、1)の例として、HBs抗原検出用試薬(ミズホメディー社製、商品名:クィックチェイサーHBsAg、ダイナボット社製、商品名:ダイナスクリーンHBsAg)などを例示することができる。また、2)の例として、フェノールフタレイン液やBTB溶液などがある。
【0053】
3)の例として、CRP、RFなどの抗体を凍結乾燥したTIA用試薬などが挙げられる。
4)の例として、棒針状のグラスファイバーなどに呈色試薬及び酵素などを固定化したものなど、あるいは、抗原または抗体などが容器内壁に直接塗布されたものを挙げることができる。
【0054】
5)の例として、合成高分子であるラテックス粒子や金属コロイドに、抗原または抗体を固定化させた液状の試薬あるいはそれらを凍結乾燥させたものなどが挙げられる。
【0055】
上記測定用試薬3を管状容器2の内面に固定する方法については、粘着テープを用いる方法、接着剤を用いる方法など任意である。
管状容器2の寸法についても特に限定されるものではなく、血液を採取し、遠心分離した後、血清もしくは血漿と測定用試薬3とを反応させ得る限り、適宜の寸法の管状容器2を用いることができる。
【0056】
図2は、請求項1に記載の発明にかかる血液検査用容器の他の構造例を示す断面図であり、図1に示した血液検査用容器1と異なる点は、血液検査用容器4では管状容器2の上方開口2aが栓体5により閉成されていることにある。栓体5を構成する材料についても特に限定されず、シリコーンゴムなどのゴム弾性を有する天然もくしは合成ゴムからなるものを用いることができる。
【0057】
血液検査用容器4では、管状容器2が栓体5で閉栓されており、かつ管状容器2の内部が減圧とされている。この減圧の程度は、採血針を患者の血管に刺通し、該採血針の他端を栓体5に刺通した場合に、血液が管状容器2内に速やかに導かれるように選択されている。通常、管状容器2内の減圧の程度は、0.1〜0.8気圧程度とされる。
【0058】
図1,図2に示した血液検査用容器1,4では、測定試薬3が、管状容器2の底部2bから所定距離離れた上方位置において管状容器2の内側壁に固定されている。従って、図3(a)及び図4(a)に示すように、血液面Aが測定試薬3の下端3aより下方に位置するように血液6を採取することが好ましく、それによって血液6と測定試薬3との接触を防止することができる。また、図3(b)及び図4(b)に示すように、遠心後に、血清もしくは血漿6aと固形分6bとに分離した後には、管状容器2を傾けることにより、血清もしくは血漿6aと測定試薬3とを容易に接触させることができる。
【0059】
すなわち、血液検査用容器1,4では、測定試薬3が管状容器2の中間高さ位置に固定されていることにより、本発明における接触制御構造が構成されている。
【0060】
なお、遠心は、500〜5000r.p.m.で5分〜30分程度とすればよい。
また、以下の図示の構造例においても、管状容器2及び測定試薬3については同様の材料で構成され、栓体5についても、血液検査用容器4で用いた栓体5と同様に構成され得る。
【0061】
図5は、参考例に係る血液検査用容器の縦断面図である。血液検査用容器7は、管状容器2内に内側容器部8を有する。内側容器部8は、管状容器2と同じ材料もしくは異なる材料で構成されており、その上端において管状容器2の内面に固定されている。内側容器部8は、管状容器2の底部2bに向かって徐々にその径が小さくなるように下方に延ばされた形状を有する。
【0062】
内側容器部8の下端には、孔8aが形成されている。この孔8aを閉成するように、固形部材9が配置されている。固形部材9は、初期状態では、図示のように孔8aを閉塞し、下方に落下しないように、必要に応じて接着剤を用いて内側容器部8に固定されている。
【0063】
もっとも、固形部材9は、内側容器部8内に血液を導入し、遠心した場合、遠心力により孔8aから下方に落下し得るように構成されている。従って、接着剤を用いずに固形部材9を配置してもよく、接着剤を用いる場合には、遠心により落下する程度の接着力となるように接着力が調整される。固形部材9が遠心により落下するように、固形部材9の外径及び材質並びに孔8aの径も選択されている。
【0064】
固形部材9は上記のように作用し得る限り適宜の材料により構成することができるが、例えば、ポリスチレンビーズのような合成樹脂ビーズやチクソトロピー性を有する、例えば、酸化エラグ酸のような高分子化合物やゴムなどからなるものを用いることができる。中でも、遠心により孔8aから下方に容易に落下させるには、チクソトロピー性を有する高分子化合物やゴムにより固形部材9を構成することが望ましい。
【0065】
また、血液検査用容器7では、上記固形部材9が配置されている部分よりも上方において、測定試薬3が管状容器2の内側壁に固定されている。
血液検査用容器7において血液を検査するにあたっては、内側容器部8に血液を導入し、しかる後、血液検査用容器7を遠心する。遠心条件は、特に限定されるわけではないが、血液検査用容器1の場合と同様に、500r.p.m.〜5000r.p.m.で5〜30分程度遠心すればよい。
【0066】
上記のようにして遠心することにより、固形部材9が下方に落下し、血液が管状容器2の底部2bに貯留し、かつ血清もしくは血漿と固形分に分離される。従って、内側容器部8の外側に配置されている測定試薬3に血清もしくは血漿を容易に接触させることができる。血液検査用容器7においても、好ましくは、図6に示すように、管状容器2の開口2aに栓体5が取り付けられ、かつ管状容器2内が減圧状態とされる。管状容器2内を減圧することにより、管状容器2内に設けられた内側容器部8内に血液を速やかに導入することができる。
【0067】
図25は、参考例に係る血液検査用容器の変形例を示す縦断面図である。この変形例では、管状容器2内に円筒状の管状容器2よりも小さな径の内側容器部8が配置されている。すなわち、内側容器部8については、図5に示したように、底部2bに向かって徐々にその径が小さくなるようにテーパーが付けられたものに限定されず、図25に示すように、円筒状の内側容器部8を構成してもよい。なお、図25では図示は省略されているが、内側容器部8は、図示しないリブにより管状容器2に連結されて固定されている。
【0068】
図25に示す変形例では、内側容器部8の下端が開口されて孔8aが形成されており、この孔8aを閉成するようにゴムよりなる固形部材9が配置されている。固形部材9については、ゴム以外に、前述した各種材料により構成することができ、それによって、図5に示した構造例と同様に、初期状態では、血液の内側容器部8外への漏洩を抑制し、血液と測定試薬との接触を遮断することができる。遠心分離により、上記固形部材9が落下し、管状容器2内において血液が血清もしくは血漿と固形分とに分離され、血清もしくは血漿を測定試薬3に確実に接触させることができる。
【0069】
なお、図5,6,25において、測定試薬3は、内側容器部8の外面に固定されてもよく、あるいは、内側容器部8の外面及び管状容器2の内面の双方に固定されていてもよい。また、液体状又は粉末状の測定試薬を、管状容器2と内側容器部8の間に、存在させてもよい。また、内側容器部8は、管状容器2と別に用意されて相互固定されてもよいし、両方が一体に成形されていてもよい。
【0070】
図7は、参考例に係る血液検査用容器の縦断面図である。血液検査用容器10では、管状容器2の内側壁に測定試薬3,3が固定されている。なお、測定試薬3,3は、管状容器2の内側壁において向かい合うように一対形成されているが、血液検査用測定試薬3は1か所にのみ固定されていてもよい。
【0071】
管状容器2内には、管状容器2よりも小さな径の第2の管状容器11が挿入されている。第2の管状容器11は血液を導入する部分に相当する。第2の管状容器11を構成する材料についても、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂やガラスなどの適宜の材料からなるものを用いることができ、特に限定されるものではない。また、第2の管状容器11は、透明であることが望ましいが、測定結果は第2の管状容器11外で確認されるため、第2の管状容器11は必ずしも透明である必要はない。
【0072】
第2の管状容器11は、図示しないリブ等により管状容器2に連結されて固定されている。もっとも、後述の栓体5を用いる場合には、第2の管状容器11は、図8に示す栓体5に固定されてもよい。
【0073】
第2の管状容器11の下端には、第2の管状容器11の下端開口を閉成するように多孔プレート12が固定されている。多孔プレート12には、直径0.1〜10μmの複数の貫通孔12aが形成されている。多孔プレート12についても、ポリエチレンテレフタレートなどの適宜の合成樹脂もしくはガラスなどにより構成することができる。
【0074】
多孔プレート12の第2の管状容器11への固定は、接着剤を用いて行ってもよい。あるいは多孔プレート12は第2の管状容器11と一体に形成されていてもよい。さらに、多孔プレート12は、第2の管状容器11の下端に配置されている必要は必ずしもなく、下端よりもやや上方に配置されていてもよい。
【0075】
多孔プレート12には、0.1〜10μmの複数の貫通孔が形成されているため、第2の管状容器11内に血液を導入した場合、血液は直ちには第2の管状容器11内から第2の管状容器11の下方に流下しない。従って、図9(a)に示すように血液6を第2の管状容器11内に導入した後、遠心すると、図9(b)に示すように、血清もしくは血漿6aが多孔プレート12から下方に流下し、管状容器2の内底部に溜まり、血液中の血球や血餅などの固形分が管状容器11内に留まることになる。従って、図9(b)に示す状態で、測定試薬3と血清もしくは血漿6aとを接触させることができ、測定を行うことができる。
【0076】
また、血液検査用容器10においても、図8に示すように、好ましくは、管状容器2の上端開口2aを閉成するように栓体5が固定され、管状容器2内が減圧状態とされる。この場合には、圧力差を利用して血液を第2の管状容器11内に吸引し、図10(a)に示すように血液6を血液検査用容器10内に採取することができる。次に、遠心することにより、図10(b)に示すように、血清もしくは血漿6aが第2の管状容器11から下方に流下し、血餅などの固形分が第2の管状容器11内に残存することになる。従って、血清もしくは血漿6aと測定試薬3とを接触させて測定を行うことができる。
【0077】
なお、測定試薬3は、第2の管状容器11の外面に固定されていてもよく、あるいは、第2の管状容器11及び管状容器2の双方に固定されていてもよい。また、液体状又は粉末状の測定試薬を、管状容器2と第2の管状容器11の間に、存在させてもよい。また、内側容器部は、筒状容器と別に用意されて固定されてもよいし、両方が一体に成形されていてもよい。
【0078】
図11は、請求項1に記載の発明にかかる血液検査用容器の縦断面図である。血液検査用容器13では、管状容器2内に管状容器2よりも細い管状体14が配置されている。管状体14は、両端が開口されている。また、管状体14は、図示しないリブ等により管状容器2に対して固定されている。この管状体14は、管状容器2と同様の材料で構成することができ、その材質については特に限定されるものではない。
【0079】
管状体14の下端近傍において、管状体14の外周面と管状容器2の内周面とに接触するようにリング状部材15が配置されている。リング状部材15は、例えば、合成ゴムもしくは天然ゴムなどのゴム弾性を有する材料で構成することができる。
【0080】
リング状部材15は、初期状態では、測定試薬3よりも下方に配置されている。従って、管状体14に血液が導入されると、図13(a)に示すように、血液は管状体14の下方から管状容器2内に広がるが、リング状部材15により規制されるため、リング状部材15の上方には移動しない。遠心すると、図13(b)に示すように、血液が管状体14内において下方に移動され、その結果リング状部材15を上方に押し上げることになる。また、遠心により血液が血清もしくは血漿と固形分とに分離される。この場合、リング状部材15の高さが、図13(b)に示すように、測定試薬3の下端よりも上方に位置することになる。従って、血清もしくは血漿6aが測定試薬3と接触される。
【0081】
血液検査用容器13においても、図12に示すように、管状容器2の開口2aを閉成するように栓体5を取り付けてもよく、この場合、管状容器2内が減圧状態とされる。従って、採血針を用いて栓体5を刺通し、血液を管状体14内に速やかに吸引することができる。
【0082】
また、血液検査用容器13においても、測定試薬3は、管状体14の外面に固定されてもよく、あるいは管状体14及び管状容器2の双方に固定されてもよい。また、管状体14は、管状容器2と別に用意されて固定されてもよいし、両方が一体に成形されていてもよい。
【0083】
図15は、参考例に係る血液検査用容器の一例を示す縦断面図である。血液検査用容器16では、管状容器2内に有底の第2の管状容器17が配置されている。第2の管状容器17は図示しないリブにより管状容器2に対して固定されている。この管状容器17の底部には、直径10〜400μmの複数の貫通孔17aが形成されており、該貫通孔が形成されている多孔部分が、測定試薬3よりも下方に位置されている。
【0084】
上記第2の管状容器17を構成する材料については、特に限定されず、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂やガラス等により構成することができる。
【0085】
また、上記貫通孔17aが形成されている多孔部については、別部材で構成してもよく、すなわち、中空の管状体の下端近傍に、上記径の複数の貫通孔を有する多孔性プレートなどの多孔性部材を固定してもよい。
【0086】
いずれにしても、第2の管状容器17において、上記貫通孔が10〜400μmの大きさを有するため、図17(a)に示すように、血液6を管状容器17に導入した場合、血清もくしは血漿は徐々に下方に流下するが、固形分は直ちには流下しない。
【0087】
従って、血液を第2の管状容器17内に導いた後、遠心することにより、血液が管状容器2内に流下され、管状容器2内で血清もしくは血漿6aと固形分6bとに分離される(図17(b)参照)。
【0088】
よって、血清もしくは血漿6aを測定試薬3と接触させ、測定を行うことができる。血液検査用容器16においても、好ましくは、図16に示すように、管状容器2の開口2aを栓体5を用いて閉栓し、内部を減圧としてもよい。この場合、第2の管状容器17内を減圧とすることにより、あるいは管状容器2内も含めて減圧とすることにより、血液を容易に第2の管状容器17内に導くことができる。
【0089】
なお、測定試薬3は、第2の管状容器17の外面に固定されていてもよく、あるいは、第2の管状容器17及び管状容器2の双方に固定されていてもよい。また、液体状又は粉末状の測定試薬を、管状容器2と第2の管状容器17の間に、存在させてもよい。また、内側容器部は、筒状容器と別に用意されて固定されてもよいし、両方が一体に成形されていてもよい。
【0090】
図19は、請求項3に記載の発明にかかる血液検査用容器の一例を説明するための縦断面図である。血液検査用容器18では、管状容器2内に、管状容器2よりも小さな径の管状体19が挿入されている。管状体19は、両端が開口されており、その下端は、管状容器2の底部内面に接触されている。管状体19は、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートなどの適宜の合成樹脂もしくはガラスにより構成することができるが、血液の管状体19から管状容器2への初期状態における漏洩を確実に抑制するには、合成樹脂により構成することが望ましい。
【0091】
管状体19の下端を管状容器2の底部に押しつけるために、圧接手段としてのキャップ20が取付けられている。キャップ20については、ゴムもしくは合成樹脂等の適宜の材料により構成することができ、ただし、キャップ20は、管状容器2に取り付けた際にキャップ20の下面20aが管状体19を下方に押しつけ、管状体19内に導入された血液の管状容器2側への漏洩を抑制し得るように構成されていることが必要である。すなわち、このような作用を果たし得るように、キャップ20の材質及び管状体19の長さが、管状容器2の寸法に応じて定められる。
【0092】
図21(a)に示すように、血液検査用容器18では、血液が管状体19内に導入される。しかる後、キャップ20を取り付ける。あるいは、キャップ20に採血針の他端を突き刺し、直接採血針から管状体19内に血液が導入される。初期状態では、管状体19の下端が管状容器2の底壁に押しつけられているため、血液6は管状体19内に留まり、管状容器2側に漏洩しない。
【0093】
血液検査用容器18を遠心すると、図21(b)に示すように、血液が管状体19の下端と管状容器2の底面との間を押し広げて管状体19の外側に漏洩する。また、遠心により血液が血清もしくは血漿6aと固形分6bとに分離される。従って、測定試薬3に血清もしくは血漿6aが接触され、測定が行われる。
【0094】
血液検査用容器18においては、圧接手段としてのキャップ20に代えて、図20に示すように、管状容器2の開口2aを閉栓するように栓体5を取り付けてもよい。この場合、栓体5が管状体19を下方に押しつけ、血液検査用容器8のキャップ20と同様に作用するように栓体5を選択することが必要である。
【0095】
また、栓体5を管状容器2に嵌め込んだ場合には、管状容器2内及び管状体19内を減圧にすることにより、血液を管状体19内に速やかに吸引し、導入することができる。
【0096】
また、血液検査用容器18においても、測定試薬3は、管状体19の外面に固定されてもよく、あるいは管状体19及び管状容器2の双方に固定されてもよい。また、液体状又は粉末状の測定試薬を、管状容器2と管状体19の間に、存在させてもよい。また、内側容器部は、筒状容器と別に用意されて固定されてもよいし、両方が一体に成形されていてもよい。
【0097】
図23は、参考例に係る血液検査用容器を示す縦断面図である。血液検査用容器22では、管状容器2の内側壁に、管状容器2に比べて小さな径の管状体23が固定されている。管状体23は、両端が開口されており、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの適宜の合成樹脂もしくはガラス等により構成し得る。また、管状体23の管状容器2の内面への固定は接着剤や接着テープ等を用いて行い得る。
【0098】
管状体23内に測定試薬3が固定されている。従って、測定試薬3は、管状容器2の内壁に直接ではなく間接に固定されている。管状体23の下端開口には、固形部材24が挿入されている。固形部材24は、そのままでは下方に落下しないが、遠心された際に落下し得るように必要に応じて接着剤を用いて固定されている。
【0099】
固形部材24は、図5に示した固形部材9と同様の材料により構成することができる。
血液検査用容器22においては、管状容器2内にまず血液が導入されるが、この場合、血液が、管状体23内には進入しないようにする。また、導入される血液量は、管状体23の上端よりも下方までとする。従って、固形部材24により管状体23の下端開口が閉成されているので、血液が管状体23内に進入することがない。次に、血液検査用容器22を遠心すると、固形部材24が落下し、血液が血清もしくは血漿と固形分とに分離されることになる。
【0100】
固形部材24が管状体25から下方に落下しているため、血液検査用容器22を傾けることにより血清もしくは血漿を測定試薬3に接触させることができる。あるいは、血液の量が、初期状態において、管状体23の中間高さ位置であって、測定試薬3が位置している高さまで挿入されている場合には、血清もしくは血漿が管状体23内に入り込み、測定試薬3と接触するため、血液検査用容器22を傾けずとも測定を行うことができる。
【0101】
血液検査用容器22においても、図24に示すように、管状容器2の開口2aを栓体5で閉栓し、内部を減圧としてもよい。このように管状容器2の内部を減圧とすることにより、血液を吸引により容易に管状容器2内に採取することができる。なお、図24では、一対の管状体23が対向配置されている。また、内側容器部は、筒状容器と別に用意されて固定されてもよいし、両方が一体に成形されていてもよい。
【0102】
図26は、請求項2に記載の発明に係る血液検査用容器を示す縦断面図である。血液検査用容器31は、図11に示した請求項1に記載の発明に係る血液検査用容器13と、リング状部材15の取付け方が異なることを除いては、同様に構成されている。従って、同様の部分については、図11に示した説明を援用することにより省略する。
【0103】
血液検査用容器31では、リング状部材15は、パラフィン32を介して管状体14の外周面及び管状容器2の内周面に固定されている。この場合、パラフィン32としては、Cn H2n+2(但し、nは18〜22、好ましくは22〜24)のものが用いられる。この種のパラフィンとしては、例えば、オクタデカン(C18H38、融点28℃)、ノナデカン(C19H40、融点32℃)、イコサン(C20H42、融点37℃)、モノイコサン(C21H44、融点42℃)、ジイコサン(C22H46、融点47℃)、トリイコサン(C23H48、融点52℃)、テトライコサン(C24H50、融点57℃)、ペンタイコサン(C25H52、融点62℃)などを例示することができる。
【0104】
これらのパラフィンは、上記融点以上の温度に加温されると溶解する。従って、血液検査用容器31では、初期状態では、図26に示すように、リング状部材15がパラフィン32を介して管状体14及び管状容器2に固定されているので、図11に示した血液検査用容器13の場合と同様に、血液が管状体14内に導入されると、リング状部材15により規制されるため、リング状部材15は上方には移動しない。
【0105】
遠心すると、図27に示すように、血液が血清もしくは血漿6aと、固形分6bとに分離される。しかる後、上記パラフィン32の融点以上の温度に加温することにより、図28に示すように、パラフィンが溶解し、リング状部材15が上下に自由に移動可能となる。そのため、血清もしくは血漿6aがリング状部材15を押し上げ、測定試薬3と接触可能となる。また、内側容器部は、筒状容器と別に用意されて固定されてもよいし、両方が一体に成形されていてもよい。
【0106】
図29は、参考例に係る血液検査用容器の一例を示す縦断面図である。血液検査用容器41では、管状容器2内に有底の第2の管状容器42が配置されている。管状容器42は、ポリエチレンテレフタレートなどの適宜の合成樹脂あるいはガラスにより構成することができる。
【0107】
なお、管状容器2の内面には、血液検査用測定試薬3が固定されている。また、栓体5が管状容器2の開口2aに圧入されて、血液検査用容器41内が密封されている。
【0108】
管状容器2、血液検査用測定試薬3及び栓体5については、前述の請求項1に記載の発明に係る血液検査用容器1と同様に構成されている。
第2の管状容器42は、管状容器2よりも小さな径を有し、管状容器2内に配置されている。
【0109】
使用に際しては、好ましくは、管状容器2内を減圧状態とし、栓体5に真空採血針を挿通させ、真空採血法により第2の管状容器42内に血液を導く。あるいは、栓体5を取り外し、血液を第2の管状容器42内に導いた後、栓体5を再度取り付ける。
【0110】
しかる後、遠心分離する。なお、遠心分離は、500〜5000r.p.m.で5分〜30分程度の条件で行えばよい。その結果、第2の管状容器42内において、血液が、血清もしくは血漿と、固形分とに分離される。従って、血液検査用容器41を上下転倒させることにより、第2の管状容器42内に収納されていた血清もしくは血漿が、第2の管状容器42の外表面と管状容器2の内表面との間の空隙X内に導かれ、血液検査用測定試薬3と接触し、反応する。
【0111】
従って、管状容器2の外部から反応結果を目視により確認することができ、あるいは分光光度計などの測定装置を用いて反応結果を測定することができる。
好ましくは、栓体5により血液検査用容器41内を封止し、管状容器2内を減圧することにより、血液を第2の管状容器42内に速やかに導くことができる。この減圧の程度は、通常、0.1〜0.8気圧程度とされる。また、内側容器部は、筒状容器と別に用意されて固定されてもよいし、両方が一体に成形されていてもよい。
【0112】
なお、測定試薬3は、第2の管状容器42の外面に固定されていてもよく、あるいは、第2の管状容器42及び管状容器2の双方に固定されていてもよい。また、液体状又は粉末状の測定試薬を、管状容器2と第2の管状容器42の間に、存在させてもよい。
【0113】
図30は、請求項7に記載の発明に係る血液検査用容器を示す縦断面図である。血液検査用容器43では、第2の管状容器42と、管状容器2との間の空隙Xが、シール材44により封止されている。すなわち、血液検査用測定試薬3を含む空隙Xが、シール材44により封止されている。
【0114】
シール材44は、血液検査用測定試薬3よりも上方の位置で、図30では、第2の管状容器42の外周面上端近傍と、管状容器2の内周面との間に固着されている。
【0115】
シール材44は、水溶性物質により構成されている。この水溶性物質としては、血液を第2の管状容器42に導いた際に、測定試薬3と血液とを遮断し得る限り、適宜の水溶性材料を用いることができる。特に限定されるわけではないが、このような水溶性物質としては、各種の天然高分子、半合成物質あるいは合成高分子などを挙げることができる。天然高分子としては、キチン、キトサン、カゼイン、ゼラチン、コラーゲン、卵白、デンプン(オブラート)、海藻、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、寒天、キサンタンガム、プルラン、半合成物質としては、デキストリン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、合成高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコールなどを挙げることができる。
【0116】
上記水溶性物質として、より具体的には、例えば、ソルブロン(アイセロ化学社製)、クラリア(クラレ社製)、トスロン(東京セロハン社製)、ハイセロン(日本合成フィルム社製)、ビニロンフィルム(クラレ社製)、ボブロン(日本合成フィルム社製)、エンブラー(ユニチカ社製)、エクシード(大倉工業社製)、エバール(クラレ社製)などの商品を例示することができる。
【0117】
使用に際しては、第2の管状容器42内に血液を導き、遠心分離する。遠心の条件については、血液検査用容器41の場合と同様とされる。
遠心により、血液試料が、血清もしくは血漿と、固形分とに分離される。従って、血液検査用容器43を上下転倒させることにより、血清もしくは血漿が水溶性物質44と接触され、水溶性物質44は、血清もしくは血漿により溶解される。よって、血清もしくは血漿が空隙X内に導かれ、測定試薬3と接触され、反応が進行する。
【0118】
反応結果については、外部から目視により、あるいは分光光度計などの測定装置により測定することができる。なお、請求項7に記載の発明に係る血液検査用容器では、上記シール材44として、水溶性物質よりなるものを用いたが、参考例では、上記シール材44として、融点が40℃以上の物質が用いられる。このような融点が40℃以上の物質としては、特に限定されるわけではないが、例えば、パラフィンCn H2n+2(但し、nは18〜22)を挙げることができる。
【0119】
シール材44として、上記融点が40℃以上の物質を用いる場合には、遠心分離後に、血液検査用容器43を上下転倒させ、加熱することにより、シール材44の温度を40℃以上とすればよい。その結果、シール材44が溶解し、血清もしくは血漿が、空隙X内に進入し、測定試薬3と接触し、反応される。また、内側容器部は、筒状容器と別に用意されて固定されてもよいし、両方が一体に成形されていてもよい。
【0120】
血液検査用容器43においては、シール材として、上記水溶性物質を用いたが、血液検査用容器43と同じ構造のものを用い、但しシール材44として、チクソトロピー性を有し、かつ粘度が25℃で5000〜500000センチポイズの物質により構成される。
【0121】
このようなシール材としては、例えば、酸化エラグ酸、塩素化ポリブテンを例示することができる。
この場合、シール材が上記のように、チクソトロピー性を有し、かつ上記特定の範囲の粘度を有するため、血液を第2の管状容器42に導く際には、血液が空隙Xに一気に入ることを確実に防止することができる。また、遠心分離後に、血液を血清もしくは血漿と固形分とに分離する際に、該遠心分離に加わる力により、シール材44が管状容器2の底部側に移動される。従って、空隙Xの封止が解かれる。従って、遠心分離後に血液検査用容器43を上下転倒させることにより、血清もしくは血漿が空隙X内に導かれ、測定試薬3と接触し、反応される。また、内側容器部は、筒状容器と別に用意されて固定されてもよいし、両方が一体に成形されていてもよい。
【0122】
図31〜図34は、請求項9に記載の発明に係る血液検査用容器の構造例を説明するための図である。血液検査用容器45は、管状容器2及び第2の管状容器42を有する。第2の管状容器42の外面には、測定試薬3が固定されている。
【0123】
他方、血液検査用容器45では、管状容器2及び第2の管状容器42に圧入される栓体46が用いられている。栓体46は、第2の管状容器42に圧入される相対的に径の小さな第1の栓体部46aを先端側に有する。第1の栓体部46aの上部には、管状容器2に圧入され、かつ相対的に径の大きな第2の栓体部46bが連ねられている。
【0124】
第1の栓体部46aの外周面には、図32及び図34に示すように、長さ方向に延びる溝46cが形成されている。
他方、図33(a),(b)に示すように、第2の管状容器42の内周面には、開口縁42bから下方に向かって延びるように溝42aが形成されている。
【0125】
上記溝46c,42aは、いずれも、第1の栓体部46aが第2の管状容器42に圧入されている部分において、該圧入されている部分よりも上下に延びるように溝が形成されている。
【0126】
血液検査用容器45を使用するに際しては、第2の管状容器42内に血液を導く。この場合、栓体46を管状容器2から取り外した後、血液を第2の管状容器42内に入れてもよく、あるいは栓体46を取り付けたまま、真空採血針などを用いて第2の管状容器42内に血液試料を導いてもよい。
【0127】
しかる後、栓体46を回転させ、溝46cを、第2の管状容器42の溝42aに対向させる。その結果、溝42a,46cにより、第2の管状容器42内から第2の管状容器42の外周面と管状容器2の内周面との間の空隙Xに通ずる流路が確保される。
【0128】
しかる後、遠心分離し、血液を血清もしくは血漿と、固形分とに分離する。次に、血液検査用容器45を上下転倒させ、血清もしくは血漿を上記流路を経由して空隙X内に導く。その結果、血清もしくは血漿が測定試薬3と接触し、反応する。
【0129】
本構造例においても、好ましくは、血液検査用容器45内を減圧し、栓体46に真空採血針などを挿通させ、上記減圧に基づく吸引力により血液試料を第2の管状容器42内に導いてもよい。また、内側容器部は、筒状容器と別に用意されて固定されてもよいし、両方が一体に成形されていてもよい。
【0130】
図35は、参考例に係る血液検査用容器を説明するための縦断面図である。血液検査用容器51では、管状容器2内に、管状容器2よりも小径の第2の管状容器42が配置されている。また、管状容器2の内面には測定試薬3が固定されている。さらに、栓体5が管状容器2の開口2aに圧入されている。ここまでは、図29に示した血液検査用容器41と同様である。
【0131】
血液検査用容器51の特徴は、第2の管状容器42の上端開口が、厚さ100μm以下の高分子フィルム52でシールされていることにある。
上記高分子フィルム52としては、特に限定されるわけではないが、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アラビアゴムからなるものを用いることができる。また、高分子フィルム52に代えて、アルミニウム、銀、銅などの厚さ100μm以下の金属膜を用いてもよい。
【0132】
上記高分子フィルム52を用いる場合、第2の管状容器42の開口周縁に溶着してもよく、あるいは適宜の接着剤を用いて固定してもよい。また、金属膜を用いて第2の管状容器42の開口周縁に金属膜を固定する場合には、適宜の接着剤が用いられる。
【0133】
本構造例に係る血液検査用容器51では、血液試料を第2の管状容器42に導くに際し、上記高分子フィルム52を針などを用いて突き破る。すなわち、高分子フィルム52の厚みが100μm以下と非常に薄いため、あるいは金属膜を用いた場合であっても同様に厚みが100μm以下と非常に薄いため、針などを用いて容易に部分的に突き破ることができる。従って、例えば栓体5を装着し、真空採血針を栓体5に挿通させた場合、真空採血針の血液吐出側の刃先やカテーテルを高分子フィルム52の突き破られた部分に容易に挿入することができる。あるいは、真空採血針の血液吐出側の刃先を用いて直接高分子フィルム52を突き破ってもよい。従って、上記高分子フィルム52により第2の管状容器42の開口がシールされているため、血液を第2の管状容器42に導くに際し、該血液が第2の管状容器42の外周面と管状容器2の内周面との間の空隙Xに流入し難くされている。
【0134】
判定に際しては、血液試料を第2の管状容器42内に導いた後、遠心分離する。その結果、血液が、血清もしくは血漿と、固形分とに分離される。しかる後、血液検査用容器51全体を上下転倒させる。その結果、高分子フィルム52の突き破られた部分から血清もしくは血漿が流出し、空隙X内に導かれ、測定試薬3と接触する。
【0135】
上記高分子フィルム52に代えて、金属膜を用いた場合においても同様の操作により、血清もしくは血漿が測定試薬3に接触される。
なお、好ましくは、血液検査用容器51内を減圧し、栓体5で血液検査用容器51内を封止しておくことにより、血液を減圧に基づく吸引力により第2の管状容器42内に速やかに導き得る。
【0136】
図36は、血液検査用容器41の変形例を説明するための断面図である。この変形例に係る血液検査用容器41Aでは、第2の管状容器42内に血清分離剤53が収納されている。血清分離剤53としては、特に限定されるわけではないが、例えば、比重1.00〜1.2の範囲にあるポリブテン、ポリスチレンまたは酸化エラグ酸などを例示することができる。また、これらの試剤を血漿分離剤として用いてもよく、血漿分離剤を血清分離剤53に代えて用いてもよい。
【0137】
血液検査用容器41Aでは、上記血清分離剤53が第2の管状容器42内に収納されているので、遠心分離により、血液が、確実に血清と血餅とに分離される。同様に、血漿分離剤を用いた場合には、血液が、血漿と固形分とに確実に分離される。
【0138】
なお、前述した他の構造例に係る血液検査用容器43,45,51においても、同様に血清分離剤や血漿分離剤を第2の管状容器42内に配置してもよく、それによって、遠心分離により、血清もしくは血漿と固形分とに確実に分離することができる。
【0139】
また、血液検査用容器41,41A,43,45及び51における第2の管状容器42と管状容器2との固定については、前述したシール材44を用いた場合には、シール材44により該固定が果たされるが、シール材44を有しない場合には、第2の管状容器42の外周壁と、管状容器2の内壁との間に、例えば合成樹脂や金属などからなるブリッジのような連結材をかけ渡し、両者を連結してもよい。あるいは、第2の管状容器42の上端開口を、栓体5と連結してもよい。また、内側容器部は、筒状容器と別に用意されて固定されてもよいし、両方が一体に成形されていてもよい。
【0140】
さらに、管状容器2に、下方にいくほど径が小さくなるようにテーパーを設け、管状容器2のテーパーが付けられている部分の内面に第2の管状容器42の下方部分が当接するようにして、第2の管状容器42を管状容器2内に固定してもよい。さらに、管状容器2の内面に1以上の突起を設け、それによって第2の管状容器42と管状容器2の内面との空隙Xを形成しつつ、第2の管状容器42を管状容器2内において所定の位置に固定してもよい。
【0141】
さらに、測定試薬3については、管状容器2の内面及び/または第2の管状容器42の外面に固定すればよい。また、液体状又は粉末状の測定試薬を、管状容器2と第2の管状容器42の間に、存在させてもよい。
【0142】
図37(a)及び(b)は、請求項12に係る血液検査用容器を説明するための縦断面図である。血液検査用容器61では、管状容器2内に第2の管状容器62が配置されている。第2の管状容器62は、管状容器2よりも径が小さく、かつ栓体5に上端が固定されている。
【0143】
第2の管状容器62の下端には、赤血球をトラップするために、下方に突出されたトラップ部62aが形成されている。また、トラップ部62aの周囲には、直径0.1〜20μmの貫通孔62bが複数形成された血球分離部62cが形成されている。
【0144】
上記第2の管状容器62を構成する材料としては、下方にトラップ部62aを形成した場合に赤血球をトラップし得る限り適宜の材料からなるものを用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなどの高分子材料、ガラス、鉄、アルミニウムなどの無機材料または金属などを例示することができる。
【0145】
トラップ部62aの大きさについては、採血量に応じて決定すればよい。標準的なヒトの血液のヘマトクリット値は、50%前後であるため、採血量に対して50%程度の容積を有するようにトラップ部62aを形成すればよい。
【0146】
トラップ部62aの周囲には、血清もしくは血漿を流出させるために、貫通孔62bが複数形成されており、それによって血球分離部62cが構成されている。この貫通孔62bを有する血球分離部62cについては、適宜のフィルタ材料により構成することができ、あるいは上記貫通孔を形成し得るような粒子集合体により構成してもよい。上記貫通孔の大きさが0.1〜20μmの範囲とされているため、血液を第2の管状容器62内に入れ、遠心分離した際、血清もしくは血漿が貫通孔62bから管状容器62外に流出し、赤血球は流出せず、かつ比重が重いため、トラップ部62a内に貯留される。その結果、血清もしくは血漿が貫通孔62bから下方に流下し、管状容器2の底部に貯留される。
【0147】
管状容器2の底部に貯留された血清もしくは血漿は、ある程度の量に達すると、測定試薬3に接触し、反応が開始される。
従って、判定に際しては、第2の管状容器62内に血液試料を導き、遠心分離を行うことにより、血清もしくは血漿を、管状容器2の底部に貯留させることができ、貯留された血清もしくは血漿の量が増加し、測定試薬3に接触した場合には、直ちに反応が開始する。
【0148】
あるいは、図37(b)に示すように、遠心分離後に、血清もしくは血漿63が測定試薬3の下端3aに達しない場合には、血液検査用容器61全体を傾けたり、上下転倒することにより、血清もしくは血漿63と測定試薬3との反応を開始させることができる。
【0149】
本構造例においても、好ましくは、血液検査用容器61内が、上述した程度の減圧下に維持され、それによって血液試料を第2の管状容器62内に、減圧に起因する吸引力によって速やかに導くことができる。
【0150】
また、測定試薬3は、第2の管状容器62の外面に固定されてもよく、あるいは、第2の管状容器62の外面及び管状容器2の内面の双方に固定してもよい。また、内側容器部は、管状容器と別に用意されて固定されてもよいし、両方が一体に成形されていてもよい。
【0151】
図38,39は、請求項13に係る血液検査用容器を説明するための各断面図である。血液検査用容器71では、管状容器2内に、管状容器2よりも小さな径の第2の管状容器72が配置されている。図38では、第2の管状容器72は、管状容器2内に浮かされた状態で図示されているが、前述した第2の管状容器42と管状容器2とを連結する適宜の構造を用いることにより、第2の管状容器72についても、管状容器2内において、第2の管状容器72の外周面と管状容器2の内周面との間に空隙Xを確保し得るように配置され得る。
【0152】
血液検査用容器71では、第2の管状容器72の底部に、複数の貫通孔72aが形成されている。貫通孔72aの径については、上記血清もしくは血漿を流下させ、血球を通過させない大きさ、すなわち10μm以下とすることが望ましい。この貫通孔72aが形成されている部分の上部に、直径0.1〜200μmの親水性微粒子よりなる層73が配置されている。
【0153】
図38に示す構造例では、上記複数の貫通孔72aを有する底部材72bが筒状体72cの下端開口を閉成するように接着剤(図示せず)を用いて固定されているが、有底の管状容器の底部に複数の貫通孔72aが形成されていてもよい。
【0154】
上記直径0.1〜200μmの親水性微粒子層を形成するための親水性微粒子としては、特に限定されるわけではないが、例えば、カルボキシル基等の親水基が付与されたポリスチレン、塩化ビニル、シリカ、酸化鉄、糖などを挙げることができる。
【0155】
使用に際しては、第2の管状容器72内に血液を導く。その状態で、遠心分離することにより、血液を血清もしくは血漿と固形分とに分離することができる。この場合、赤血球や白血球などが親水性微粒子層73の上部に貯留されるが、血清もしくは血漿は下方に流下し、貫通孔72aを介して第2の管状容器72から下方に流下する。従って、血清もしくは血漿が測定試薬3に接触し、反応が開始される。
【0156】
下方に流下した血清もしくは血漿の量が少ない場合には、血液検査用容器71を傾けたり、上下転倒することにより、血清もしくは血漿と測定試薬3とを確実に接触させることができる。
【0157】
また、好ましくは、図39に示すように、管状容器2に、栓体5を圧入し、かつ血液検査用容器71の内部を減圧状態とする。このように、血液検査用容器71自体を減圧することにより、真空採血法などを利用して第2の管状容器72内に血液試料を速やかに導くことができると共に、該減圧に基づく吸引力により、導かれた血液を親水性微粒子層73により濾過することができ、血清もしくは血漿を管状容器2の底部に流下させることができる。
【0158】
すなわち、血液検査用容器71において、内部を減圧とした場合には、減圧による吸引力で親水性微粒子層73により導かれた血液が濾過され、血清もしくは血漿を遠心分離を行うことなく、管状容器2の底部に流下させることができる。また、内側容器部は、管状容器と別に用意されて固定されてもよいし、両方が一体に成形されていてもよい。
【0159】
図42は、請求項18に係る血液検査用容器の構造例を示す断面図である。血液検査用容器81では、有底の管状容器2の側壁2dに、側壁2d上を上下に移動可能なスライドスイッチ83が側壁2dを挟みこむようにして設けられている。血液検査用測定試薬3が、上記管状容器2の内部に配置されており、かつスライドスイッチ83に取り付けられている。
【0160】
上記スライドスイッチ83および測定試薬3は、スライドスイッチ83については管状容器2の側壁2dに、側壁2d上を上下に移動可能とされ側壁2dを挟みこむようにして設けられること、測定試薬3が上記管状容器2の内部に存在するようにして該スライドスイッチ83に取り付けられていること、の条件を満足するものであれば、その具体的な構造は何ら限定されるものではない。
【0161】
スライドスイッチ83および測定試薬4の構造の一例を図43、図44および図45を用いて説明する。図43は、管状容器2に、スライドスイッチ83が取り付けられた状態を、管状容器2の外面側から見た図であり、図44は、管状容器2の内面側から見た図である。図45は、図44のIV−IV線断面図を拡大して示した図である。
【0162】
図43に示すように、管状容器2の上端開口の周縁2eの一部から側壁2dにかけて細長い短冊状の切り込み2fが設けられ、該切り込み2fのうちの2辺を形成する側壁2g、2hが、スライドスイッチ83の外翼83aと内翼83bとで挟みこまれている。スライドスイッチ83の外翼83aと内翼83bは、薄肉の矩形体からなり、側壁2dに沿うように側壁2dの曲率と同様の曲率で湾曲している。上記の外翼83aと内翼83bは、上記切り込み2fの幅よりも小さな径をもつ接合体83cで接合されて、側壁2g、2hに緊密に密着され、外翼83aに手指で力を加えて押し下げたり、押し上げたりすることによって、側壁2g、2h上を上下に摺動して移動可能とされている。なお、図43に示したように、外翼83aは、手指で上下に移動させる際に、より軽く移動可能なように、その表面に凹凸が設けられている。更に、スライドスイッチ83の接合体83cの管状容器2の内部側に測定試薬3が吊りさげられている。測定試薬3を接合体83cに固定する方法については、機械的機構により固定する方法、粘着テープを用いる方法、接着剤を用いる方法など任意であるが、この例では、粘着テープを用いて固定されている。
【0163】
スライドスイッチ83は、合成樹脂などの適宜の材料により構成することができる。
管状容器2の寸法についても特に限定されるものではなく、血液を採取し、必要に応じて遠心分離した後、スライドスイッチ83を下側に移動させることにより、測定試薬3の一部を血液、血清もしくは血漿と接触せしめることにより、血液、血清もしくは血漿中の成分と測定試薬4とを反応させ得る限り、適宜の寸法の管状容器2を用いることができる。
【0164】
図46は、請求項19に係る血液検査用容器90の構造例を示す断面図であり、図42に示した血液検査用容器1に、更に、該管状容器2の上端開口近傍から底部に向かって、その下端部91aが上記スライドスイッチ83の取り得る最下端位置よりも底部側に位置するチューブ91が、管状容器2の軸方向のほぼ中央部に設けられている。
【0165】
なお、図46において、上記チューブ91は、その上端部91bが管状容器2の上端開口を封止する蓋体92の底面部に接着剤で固定されている。上記チューブをこのような位置に固定する方法は、これに限らず、前記に例示したような他の方法でもよい。
【0166】
図47は、請求項20に係る血液検査用容器100の構造例を示す断面図であり、図42に示した血液検査用容器81または図43に示した血液検査用容器90に(なお、図47は、図46に示した血液検査用容器90を用いた場合を示しているが、血液検査用容器90に用いられた蓋体92の代わりに、下記の栓体102が用いられている)、更に、上記管状容器2の全体およびスライドスイッチ83の両方を包み込み得る有底の管状容器101が設けられると共に、上記二つの管状容器2、101の上端開口を閉成するように栓体102が取り付けられており、更に上記二つの管状容器2、101内が減圧にされている。
【0167】
上記栓体102は、外径がより大きい上部102aと外径がより小さい下部102bとからなり、下部102bの外周面と内側の管状容器2の上端開口の内周面が嵌合するように構成され、外径がより大きい上部102aの下面部には外側の管状容器101の上端開口の周縁部101aが気密的にはめ込まれ得る溝102cが設けられている。
【0168】
上記栓体102の下部102bの底面部には、前記チューブ91の上端部91bが接合されている。接合方法は、例えば、粘着テープによる方法、接着剤による方法、機械的な嵌合による方法などが挙げられる。
【0169】
上記血液検査用容器100の製造に際して、上記二つの管状容器2、101内を減圧にするには、スライドスイッチ83が取り付けられた管状容器2の上端開口に、栓体102(栓体102には、予めチューブ91が接合されているものとする)を嵌合した状態の血液検査用容器および外側の管状容器101を、例えば、真空ポンプなどの減圧装置が取り付けられた容器内においた後、上記容器を所望の減圧度に減圧した状態で、外側の管状容器101の上端開口の周縁部101aを、栓体102の上部102aに設けられた溝102cに嵌合させる。この場合、管状容器2に栓体102を嵌合した状態で、減圧装置内に置かれていたが、管状容器2には、スライドスイッチ83の取り付けのための切り込み2fがあり、その切り込み2fには隙間があるため管状容器2内は気密となっていないので、上記の減圧操作により、管状容器2内も減圧となる。
【0170】
なお、栓体102において、上部102aに溝102cが設けられていることは、必須ではなく、図48に示すような、外径がより大きい上部102aと外径がより小さい下部102bとの間に、上部102aの外径と下部102bの外径との中間の外径を有する中間部102dが設けられ、中間部102dの外周面に外側の管状容器101の上端開口の内周面が、下部102bの外周面に内側の管状容器2の上端開口の内周面が嵌合されるように構成されてもよい。
【0171】
上記の減圧の程度は、採血針を患者の血管に刺通し、該採血針の他端を栓体102に刺通した場合に、血液が管状容器2内に速やかに導かれるように選択されている。通常、管状容器2および管状容器101内の減圧の程度は、0.1〜0.9気圧程度とされる。
【0172】
また、外側の管状容器101を構成する材料は、上記の内側の管状容器2を構成する材料と同様に、合成樹脂、ガラスなどの適宜の材料により構成することができ、好ましくは、透明な材料により構成される。
【0173】
また、栓体102を構成する材料については、特に限定されないが、シリコンゴム、ブチルゴムなどのゴム弾性を有する合成もしくは天然ゴムからなるものを用いることができる。
【0174】
図42、図46、図47に示した血液検査用容器81、90、100では、それぞれ図49(a)、図50(a)、図51(a)に示すように、血液6導入時および遠心分離時においては、スライドスイッチ83は、その最上端の位置にセットされており、血液面Aが測定試薬3の下端3aより下方に位置するように血液6を採取することが好ましく、血液6と測定試薬3との接触を防止することができる。遠心分離により、それぞれ図49(b)、図50(b)、図51(b)に示すように、血液6が血清または血漿6aと血餅または血球6bに分離される。遠心分離後、スライドスイッチ83が下側に移動され、測定試薬3の一部が血清または血漿6aに接触されその成分の測定がなされる。なお、スライドスイッチ3の下側移動の前に、図47に示した血液検査用容器100では、外側の管状容器101が取り外される。
【0175】
なお、上記の遠心分離は、500〜5000r.p.m.で3分〜30分程度、好ましくは500〜3000r.p.m.で5分〜25分程度とすればよい。また、図42、図46、図47においては、血液検査用容器に測定試薬3、3が向かい合うように一対設けられているが、血液検査用測定試薬3は1か所にのみ設けられていてもよい。
【0176】
図53〜図55を参照して、請求項15〜17に係る血液検査用容器の構造例を説明する。図53は、請求項15に記載の血液検査用容器の縦断面図である。この血液検査用容器111では、有底の管状容器2内に有底の第2の管状容器112が配置されている。第2の管状容器112の径は、管状容器2の径よりも小さくされている。また、第2の管状容器112の底部には、孔112aが形成されている。また、該孔112aを閉成するように、第2の管状容器112の底部に水溶性膜からなる蓋材113が固定されている。
【0177】
他方、第2の管状容器112の外面または管状容器2の内面に、血液検査用測定試薬3,3が固定されている。図53では、血液検査用測定試薬3,3は、管状容器2の内面に固定されているが、第2の管状容器112の外周面に固定されていてもよい。
【0178】
上記管状容器2及び第2の管状容器112並びに血液検査用測定試薬3を構成する材料については、前述した参考例における管状容器、第2の管状容器及び血液検査用測定試薬と同じものを用いることができる。
【0179】
また、管状容器2を閉成するように、栓体5が取り付けられている。
上記栓体5については、ゴム、合成樹脂栓などの適宜の材料からなるものを用いることができる。
【0180】
また、上記蓋材113を構成する水溶性膜については、血液、血清もしくは血漿中の水分により溶解されるものである限り、その材料は特に限定されない。上記水溶性膜を構成する材料の例としては、各種天然高分子、半合成物質または合成高分子などを挙げることができる。天然高分子としては、キチン、キトサン、カゼイン、コラーゲン、卵白、澱粉、海草、カラギリナン、アルギン酸ナトリウム、寒天、キサンタンガム、またはプルランなどを挙げることができる。
【0181】
半合成物質としては、デキストリン、メチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースなどを挙げることができる。
合成高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコールなどを挙げることができる。
【0182】
より具体的には、上記水溶性膜を構成する物質としては、例えば、ダイセル化学社製、商品名:ソブロン、クラレ社製、商品名:クラリア、東京セロハン社製、商品名:トスロン、日本合成フィルム社製、商品名:ハイセロン、クラレ社製、商品名:ミーロンフィルム、日本合成フィルム社製、商品名:ボブロン、オオクラ工業社製、商品名:エクシード、クラレ社製、商品名:エバールなどを挙げることができる。
【0183】
使用に際しては、上記第2の管状容器112内に血液を導く。初期状態では、血液は、第2の管状容器112内にとどまるため、血液検査用測定試薬3,3と接触されない。すなわち、上記孔112aを閉成している蓋材113が、初期状態における血液と血液検査用測定試薬との接触を防止する機能を果たす。
【0184】
経時により、血液中の水分により蓋材113が溶解し、血液が第2の管状容器112の外周面と管状容器2の内周面との間の空間に流入し、血液検査用測定試薬3,3と接触し、反応が進行する。
【0185】
反応結果については、外部から目視により、あるいは分光光度計、反射光読み取り装置またはカメラなどの適宜の測定装置を用いて測定することができる。
などの血液を第2の管状容器112に導いた後、遠心分離し、血清もしくは血漿を血液検査用測定試薬3,3と接触させてもよい。この場合には、血清もしくは血漿中の水分により蓋材113が溶解され、血清もしくは血漿が第2の管状容器112の外周面と管状容器2の内周面との間の空間に流入し、血液検査用測定試薬3,3と接触されることになる。
【0186】
上記のように遠心分離を行う場合、図53に示す向きのまま遠心分離をおこなってもよいが、血液検査用容器111を上下逆転した状態で遠心分離し、遠心分離後に再度血液検査用容器111を上下逆転してもよい。
【0187】
さらに、上記栓体5を管状容器2に取り付け、管状容器2及び第2の管状容器112内を減圧し、真空採血法により血液を第2の管状容器112内に導いてもよい。
【0188】
従って、図53に示した血液検査用容器111においても、血液を採取してから、測定結果を得るまで、検査従事者が血液と接触する機会を低減することができ、かつ血液成分の測定を効率良く行うことができる。
【0189】
特に、真空採血法を採用した場合、採血から測定結果を得るまでの全工程において、血液と検査従事者とが接触する可能性をより小さくすることができ、望ましい。
【0190】
図54は、請求項16に係る血液検査用容器121を示す断面図である。この血液検査用容器1は、第2の管状容器112の底部に設けられた孔112aが、金属からなる蓋材122で閉成されていることを除いては、図53に示した血液検査用容器111と同様に構成されている。蓋材122は、孔112aの内面側において、孔112aを閉成するように配置されている。従って、第2の管状容器112内に導かれた血液は、蓋材122の存在により、孔112aから管状容器2内に流入しない。
【0191】
他方、測定に際しては、外部から磁石を用いることにより、蓋材122を移動させ、孔112aを開放すればよい。すなわち、重力により蓋材122を移動させて孔112aが開口されると、導かれた血液あるいは遠心分離により分離された血清もしくは血漿が、管状容器2の内面と第2の管状容器112の外周面との間の空間に流入する。従って、図53に示した血液検査用容器111と同様にして測定を行うことができる。
【0192】
なお、蓋材122を構成する材料としては、鉄、ニッケルなどの磁石により動かし得る常磁性材料からなるものを用いることが望ましい。
さらに、蓋材122自体を磁石で構成してもよく、その場合には、外部から常磁性材料からなる金属片、例えば鉄片などを用いて蓋材122を移動させればよい。
【0193】
図55は、請求項17に記載の発明に係る血液検査用容器131を説明するための断面図である。ここでは、管状容器2の内周面に血液検査用測定試薬3が固定されている。もっとも、血液検査用測定試薬3の表面のうち、下端近傍部分3aのみが露出されており、残りの部分は保護層132により被覆されている。
【0194】
血液検査用測定試薬3の管状容器2の内周面への固定方法については、接着剤を用いる方法あるいは粘着剤を用いる方法など任意である。また、血液検査用測定試薬3と血液との接触を防止するための保護層132を構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレートなどの適宜の合成樹脂、ガラスなどからなるものを用いることができ、血液と血液検査用測定試薬3との接触を防止し得る限り適宜の材料により構成することができる。好ましくは、血液検査用測定試薬の変化を外部から観察し得るため、透明な保護層を構成することが望ましい。
【0195】
また、保護層132が血液検査用測定試薬3を被覆している部分については、下端の反応開始部分3aを除く残りの血液検査用測定試薬3の外表面の全てである。
【0196】
測定に際しては、血液または血液成分を管状容器2内に導いた後、静止する。この場合、血液検査用測定試薬3の下端3a近傍部分のみが血液または血液成分に浸漬されるため、それによって血液検査用測定試薬における反応が開始する。
【0197】
図55に示した血液検査用容器131では、血液検査用測定試薬の一部のみが血液または血液成分に浸漬されるため、血液検査用測定試薬3全体が湿潤し難い。
【0198】
図56(a),(b)〜図58(a),(b)を参照して、請求項4,5に記載の血液検査用容器141の具体的な構造例を説明する。図56(a)に示す血液検査用容器141では、前述した接触制御構造が、管状容器2内に配置されており、かつ柔軟性を有する樹脂からなる内管142を有する。内管142の外周面は、管状容器2の内面に密着されている。もっとも、内管142の上端側において、内管142の外径が管状容器2の内径よりも小さくされており、それによって内管142の外周面が管状容器2の内面から隔てられている。
【0199】
管状容器2の内面から内管142の外周面が隔てられている部分においては、管状容器2の長さ方向に移動可能に連通部材143が配置されている。連通部材143の形状については、ビーズ状、もしくはリング状など、管状容器2の長さ方向に移動し得る限り、特に限定されるものではない。
【0200】
上記内管142を構成する材料については、柔軟性を有し、下方部分において管状容器2の内周面に密着し得る限り、適宜の材料からなるものを挙げることができ、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、軟質塩化ビニル、ナイロン、発泡ポリウレタンなどからなるものを例示することができる。また、肉厚を薄くすれば、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート、硬質塩化ビニルなどからなるものを例示することができる。この場合、内管142の肉厚は、下方部分において管状容器2の内周面に密着し得るような柔軟性及び弾性を有するように選択することが望ましい。
【0201】
連通部材143を構成する材料についても、管状容器2の長さ方向に移動し得る限り、特に限定されず、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなど適宜の合成樹脂、金属もしくはガラスなどから構成することができる。
【0202】
また、血液検査用容器141において、管状容器2の内周面に血液検査用測定試薬3が固定されている。この血液検査用測定試薬3としては、請求項1に記載の発明で用いた血液検査用測定試薬3を用いることができ、その固定方法についても特に限定されない。
【0203】
もっとも、血液検査用測定試薬3は、内管142が管状容器2の内周面に密着している部分の下端よりも上方に固定されていることが必要である。これは、導入された血液を内管142と管状容器2とが密着している部分の内側に位置させ、該密着部分の外側に配置された血液検査用測定試薬5との接触を防止するためである。
【0204】
図56に示す血液検査用容器1では、管状容器2の底部に、分離剤144が収納されている。この分離剤144としては、ポリブテンの塩素化物を主成分とするもの(特開昭55−43462)、シクロペンタジエンのオリゴマーの変性物を主成分とするもの(特開平2−95257)、α−オレフィン・マレイン酸ジエステル共重合体を主成分とするもの(特開昭57−149964)などを用いることができるが、遠心分離後に血清もしくは血漿と、固形分とを分離するのに適した適宜の材料を用いることができる。また、分離剤144は必ずしも収納されておらずともよい。
【0205】
また、栓体5が管状容器2に取り付けられている。好ましくは、栓体5を管状容器2に取り付けた後、管状容器2内を減圧しておくことにより、真空採血法により管状容器2内に血液を採取することができ、望ましい。
【0206】
測定に際しては、図56(b)に示すように、管状容器2内に血液6を導く。この場合、栓体5を注射器の針で貫通し、内部に血液6を供給してもよく、あるいは真空採血法により血液6を内管142内に導いてもよい。
【0207】
内管142の内側に血液6が導かれているが、内管142と管状容器2とが密着されているため、血液6は、密着部分の上方において内管142の外周面と管状容器2の内面との間の空間には流入しない。従って、血液検査用測定試薬3と血液6との接触を防止することができる。
【0208】
次に、一定時間放置することにより、血液6が凝固し、図57(a)に示すように、血清6Aと血餅6Bとに分離する。しかる後、血液検査用容器141を上下逆転し、遠心分離する。その結果、図57(b)に示すように、分離剤層144が中間高さ位置に移動し、血餅6Bと血清6Aとが確実に分離される。また、連通部材143が下方に移動し、内管142と管状容器2との密着部分の面積が小さくなる。
【0209】
しかる後、再度遠心分離することにより、連通部材143が下方に移動する。この場合、図58(a)及び(b)に示すように、連通部材143が移動していくことにより、内管142の外周面と管状容器2の内面との間に隙間が生じ、それによって分離された血清6Aが内管142の外面と管状容器2の内面との間の空間に流入し、血液検査用測定試薬3に接触し、反応が進行する。
【0210】
従って、図58(b)に示す状態では、連通部材144は既に分離剤層144上に落下しており、内管142の外面と管状容器2の内面とが再度密着しているが、血液検査用測定試薬3における反応は持続する。
【0211】
よって、血液検査用測定試薬3を外部から目視により確認することにより、あるいは前述した分光光度計やカメラなどの適宜の測定装置を用いることにより、測定結果を得ることができる。
【0212】
図56〜図58に示した血液検査用容器においても、血液の採取を、測定結果を得るまでの工程が管状容器2内で行われ、検査従事者が血液と接触する可能性がほとんどない。従って、血液もしくは血液成分の測定を安全にかつ効率良く行い得る。
【0213】
図59〜図61を参照して、請求項6に記載の発明に係る血液検査用容器を説明する。図59(a)に示す血液検査用容器151では、内管152として、有底であり、その上端開口近傍部分が管状容器2の内面に密着されているものが用いられる。この内管152を構成する材料については、図58に示した血液検査用容器141の内管142と同様の材料で構成することができる。
【0214】
ここでは、内管152の下方部分の径が小さくされており、すなわち、底部近傍部分においてその外径が小さくされている。従って、底部近傍において、内管152の外周面が管状容器2の内面と隔てられている。この内管152の外周面が管状容器2の内面と隔てられている領域において、連通部材143が配置されている。
【0215】
また、血液検査用測定試薬3が、上記内管152と管状容器2との密着部分の上端よりも下方において管状容器2の内面に固定されている。
図59に示した血液検査用容器1では、上記内管152の取り付け位置、構造及び連通部材並びに血液検査用測定試薬5の取り付け位置が異なることを除いては、図56に示した血液検査用容器と同様に構成されている。
【0216】
測定に際しては、図59(b)に示すように、管状容器2内に血液6を導く。この場合、内管152の上端近傍部分が管状容器2の内面と密着されているので、導かれた血液6は、連通部材143や血液検査用測定試薬3が配置されている空間すなわち内管152と管状容器2の内面が密着している部分の外側の空間には流入しない。従って、初期状態では、血液6と血液検査用測定試薬3との接触を防止することができる。
【0217】
次に、一定時間放置することにより、血液6が凝固し、血清6Aと血餅6Bとに分離する(図60(a))。
しかる後、血液検査用容器151を上下逆転し、遠心分離する。その結果、図60(b)に示すように、分離剤層144により血清6Aと血餅6Bとが確実に分離される。この場合、遠心条件が緩やかであるため、連通部材143は、管状容器2の内面と内管152の外面との密着部分より上方に位置している。
【0218】
しかる後、再度遠心分離し、連通部材143を下方に移動させる。その結果、図61(a)及び(b)に示すように、連通部材143が下方に移動するにつれて、内管152の外周面と管状容器2の内周面とが密着している部分の密着が解かれ、血清6Aが内管3の外側の空間に流入し、血液検査用測定試薬3と接触し、反応が進行する。
【0219】
図61(b)に示す状態では、連通部材143が下方に落下し、その状態では内管152の外周面が再度管状容器2の内面に当接されているが、血液検査用測定試薬3は既に血清6Aと接触しているため、上記反応は持続する。
【0220】
よって、図56に示した血液検査用容器141の場合と同様にして外部から反応結果を確認することができる。
【0221】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例につき説明する。
(実施例1)
図1に示した血液検査用容器1を作製した。血清分離剤入り真空採血管(積水化学社製、真空採血管、商品名:インセパック、直径15mm、長さ100mm、ポリエチレンテレフタレート製、管内壁面に血液凝固促進剤塗布済)を用意した。この真空採血管のゴム栓を取り外し、管内を常圧とし、管状容器2とした。
【0222】
次に、測定試薬3として、クイックチェイサーHBsAg(ミズホメディー社製、HBs抗原検出用試薬、長さ約6cm)1回分の反応容器から試験紙片のみを取出し、粘着テープを用い、上端が管底部2bから8cmの高さに位置するように接着し、固定した。
【0223】
HBs抗原検出用試薬(クイックチェイサーHBsAg)は、サンドイッチ法を原理としたイムノクロマトグラフィー・アッセイ試薬である。血液試料がこの試薬下部に接触すると、毛細管現象により血液試料が試薬上を移動し、移動した血液試料中のHBs抗原は、事前に試薬に塗布されている抗HBsマウスモノクローナル抗体結合金コロイド粒子と反応し、HBs抗原−抗体−金コロイド複合体を形成する。この複合体は、試薬のメンブランフィルター上をさらに移動し、抗HBsマウスモノクローナル抗体固相部において結合捕捉される。その結果、HBs抗原陽性の場合には、固相部分には金コロイド由来の赤紫色ラインが出現し、陰性の場合は出現しない。すなわち、目視により、HBs抗原陽性であるか陰性であるかを判定することができる。
【0224】
被験者A氏、B氏、及びC氏の血液を注射器で採血し、採血した血液を、それぞれ、本実施例の血液検査用容器に7ml分注し、10分間放置後、遠心分離器(国産遠心器社製、商品名:H−20)を用い、3000r.p.m.で10分間遠心分離した。その結果、血清6aと固形分6bとに分離した(図3(b)参照)。
遠心後10分間放置し、しかる後、血清6aを試薬3と接触させたところ、A氏、B氏及びC氏のいずれにおいても、HBs抗原陰性である結果が得られた。
【0225】
(実施例2)
図4に示す血液検査用容器4を作製した。すなわち、実施例1で用いた血清分離剤入り真空採血管のゴム栓を取り外し、管状容器2とし、管状容器2内に実施例1と同様にして試薬3を固定した後、真空打栓機VS−150A(共和真空社製)を用い0.26気圧でゴム栓5を打栓し、血液を7ml真空採血し得るように構成し、図4に示した栓体5付きの血液検査用容器4を得た。
【0226】
上記血液検査用容器4を用い、実施例1と同様にしてA氏〜C氏の血液をそれぞれ採取し評価した。その結果、A氏〜C氏のいずれの血液試料についても、HBs抗原陰性である結果が得られた。
【0227】
(実施例3)
図5に示した血液検査用容器7を作製した。まず、実施例1で用いた真空採血管のゴム栓を取り外し、管状容器2とした。この管状容器2内に、直径15mm、短径6mm及び厚さ0.1mmのポリエチレン製円錐体容器(容器内壁面に血液凝固促進剤塗布済)を内側容器部8として挿入した。内側容器部8の下端に、直径6mmのポリスチレン製ビーズ(積水化学社製、商品名:ポリスチレンビーズ#45)を接着剤を用いて接着し、固形部材9とした。
【0228】
測定試薬3については、ダイナボット社製、HBs抗原検出用試薬、商品名:ダイナスクリーンHBsAg1回分に添付のコンジュゲート液を添加し、試薬プレート先端部に50μl滴下したものを、粘着テープを用いて管状容器2の内側壁に固定した。
【0229】
上記のようにして得た血液検査用容器7を用い、実施例1と同様にA氏〜C氏の血液をそれぞれ導入し、10分間放置後、遠心分離器(国産遠心器社製、商品名:H−20)を用い、3000r.p.m.で10分間遠心した。その結果、固形部材9が下方に落下し、血液が血清と血餅とに分離され、遠心後10分間放置した後、実施例1と同様に試薬3と血清とを接触させたところ、A氏〜C氏のいずれの場合もHBs抗原陰性であることが確かめられた。
【0230】
(実施例4)
図6に示した血液検査用容器7を作製した。すなわち、実施例3で作製した血液検査用容器7に、さらに、HBs抗原検出用試薬だけでなく、HBs抗体検出用試薬(ダイナボット社製、商品名:ダイナスクリーン・オーサブ1回分)を固定し、真空打栓機(共和真空社製、商品名:VS−150A)を用い、0.26気圧でゴム栓を打栓し、血液を7ml真空採血し得るように構成した。このようにして得られた血液検査用容器を用い、実施例3と同様にして評価したところ、A氏〜C氏のいずれについても、HBs抗原陰性であり、HBs抗体陰性であることが確かめられた。
【0231】
(実施例5)
図7に示した血液検査用容器10を作製した。まず、実施例1と同様に、血清分離剤入り真空採血管(積水化学社製、商品名:インセパック)を用意し、ゴム栓を取り外し、管内を常圧とし、管状容器2とした。直径6mm、長さ60mmのポリプロピレン製チューブからなる第2の管状容器11(管内壁面に血液凝固促進剤塗布済)を用意した。ミリポア社製、MILLEX−SVから孔径5μmのフィルターを取出し、直径10mmに切断し多孔プレートとし、第2の管状容器11の底部に粘着テープを用いて固定した。
【0232】
次に、実施例1と同様にして、管状容器2の内側壁に実施例4と同じHBs抗原検出用試薬及びHBs抗体検出用試薬を実施例1と同様にして固定した。しかる後、第2の管状容器11を、接着剤を用い、ゴム栓の内側に接着し、管状容器2内に挿入し固定した。
【0233】
第2の管状容器は管壁に直接、接着したり、ブリッジ等を介して管状容器に固定してもよい。
上記のようにして得られた血液検査用容器10に、実施例1と同様にA氏〜C氏の血液を導入し、10分間放置後、遠心分離器(国産遠心器社製、商品名:H−20)を用い、3000r.p.m.で10分間遠心分離し、しかる後、10分間放置し、外壁の試薬を観察した結果、A氏〜C氏のいずれにおいてもHBs抗原陰性、HBs抗体陰性であることが認められた。
【0234】
(実施例6)
実施例5で用意した血液検査用容器において、管状容器2内を減圧し、図8に示す血液検査用容器10を得た。この場合、減圧にあたっては、真空打栓機(共和真空社製、商品名:VS−150A)を用い、0.85気圧でゴム栓を打栓し、血液を1ml真空採血し得るように構成した。
【0235】
このようにして得た血液検査用容器に、A氏〜C氏の血液をそれぞれ採取し、10分間放置後、実施例5と同様に遠心分離した。その結果、図10(b)に示すように、血清6aと血餅6bとに分離された。遠心後10分間放置し、試薬3を観察したところ、A氏〜C氏のいずれについても、HBs抗原陰性、HBs抗体陰性であることが確かめられた。
【0236】
(実施例7)
図11に示す血液検査用容器13を作製した。実施例1で用いた血清分離剤入り真空採血管を管状容器2として用意した。
【0237】
この管状容器2について、ゴム栓を取り外し管内を常圧とした。
また、管状体14として、直径6mm、長さ60mmのポリプロピレン製チューブ(チューブ内壁面に血液凝固促進剤塗布済)を用意した。また、リング状部材15として、ニプロ社製、シリンジ5mlのピストン先端のゴムを取出し、中央に直径6mmの貫通孔を有するようにカッターでゴムの中央部をくり抜いたものを用意した。
【0238】
次に、実施例4と同様にして、HBs抗原検出用試薬及びHBs抗体検出用試薬3,3を管状容器2の内側壁に固定した。
しかる後、管状体14の上端をゴム栓内側に接着した後、管状体14に上記リング状部材15を取付け、管状容器2内に挿入し、血液検査用容器13を得た。
【0239】
上記のようにして得た血液検査用容器13を用い、実施例1と同様にA氏〜C氏の血液をそれぞれ採取し、10分間放置後、遠心分離器(国産遠心器社製、商品名:H−20)を用い、3000r.p.m.で10分間遠心分離した。遠心後10間放置し、試薬3を観察した結果、A氏〜C氏のいずれもHBs抗原陰性、HBs抗体陰性であることが確かめられた。
なお、リング状部材15は、ブリッジ等を介して管状容器に固定してもよい。
【0240】
(実施例8)
図12に示した血液検査用容器13を作製した。すなわち、実施例7で作製した血液検査用容器13において、栓体5を取り付けるに際し、真空打栓機(共和真空社製、商品名:VS−150A)を用い、0.26気圧で打栓し、血液を7ml真空採血し得るように構成した。
【0241】
上記のようにして構成された血液検査用容器13について、A氏〜C氏の血液を真空採血した。その結果、図14(a)に示すように、血液6が管状体14内に導入され、かつリング状部材15の下面にまで達した。10分後、遠心分離器(国産遠心器社製、H−20)を用い、3000r.p.m.で10分間遠心分離した。その結果、図14(b)に示すように、血清6aと血餅6bとに分離されるとともに、リング状部材15が上方に押し上げられ、試薬3の中間高さ位置に達した。10分間放置後、測定試薬3を観察した結果、A氏〜C氏のいずれの血液試料においても、HBs抗原陰性であり、HBs抗体陰性であることが確かめられた。
【0242】
(実施例9)
図15に示した血液検査用容器16を作製した。実施例1で用いた血清分離剤入り真空採血管のゴム栓を取り外し、管内を常圧とし、管状容器2とした。
【0243】
第2の管状容器17を構成するために、直径6mm、長さ60mmのポリプロピレン製チューブ(チューブ内壁面に血液凝固促進剤塗布済)を用意し、このポリプロピレン製チューブの下端に以下の要領で作製した多孔プレートを接着剤により固定し、第2の管状容器17とした。
【0244】
すなわち、ミリポア社製、商品名:MILLEX−SVから孔径10μmのフィルターを取り出して直径10mmに切断し、多孔性プレートとした。この多孔性プレートを、上記ポリプロピレン製チューブの下端開口に粘着テープを用いて固定した。
【0245】
測定試薬3については、実施例4と同じものを用い、管状容器2の内側壁に実施例4と同様にして固定した。
しかる後、第2の管状容器17を接着剤を用い、ゴム栓の内側に接着した後、管状容器2内に挿入した。
【0246】
上記のようにして用意した血液検査用容器16を用い、実施例1と同様にしてA氏〜C氏の血液をそれぞれ導入し、10分間放置後、遠心分離し、評価した。遠心後10分間放置した後、試薬3を観察したところ、A氏〜C氏のいずれもHBs抗原陰性及びHBs抗体陰性であった。
なお、多孔プレートは、接着剤などを用いて管状容器に固定してもよく、あるいはブリッジなどを介して固定してもよい。
【0247】
(実施例10)
図16に示した血液検査用容器16を作製した。すなわち、実施例9で作製した血液検査用容器16において、ゴム栓を打栓するに際し、真空打栓機(共和真空社製、商品名:VS−150A)を用い、0.26気圧で打栓し、血液を7ml真空採血し得るように構成した。その他の点については、実施例9と同様である。
【0248】
上記血液検査用容器を用い、A氏〜C氏の血液を採取した。図18(a)に示すように、血液6が第2の管状容器17内に導入された。10分後、3000r.p.m.で10分間遠心分離したところ、図18(b)に示すように、血液試料が第2の管状容器17から管状容器2の方に流下するとともに、血清6aと血餅6bとに分離された。遠心後10分間放置し、しかる後、試薬3を観察したところ、A氏〜C氏のいずれについても、HBs抗原陰性であり、かつHBs抗体陰性であることが確かめられた。
【0249】
(実施例11)
図19に示した血液検査用容器18を作製した。管状容器2については、実施例1と同様とした。管状体19として、直径6mm、長さ98mmのポリプロピレン製チューブ(チューブ内壁面に血液凝固促進剤塗布済)を用意した。測定試薬3については、実施例4と同じものを用い、実施例4と同様にして管状容器2の内側壁に固定した。
【0250】
キャップ20としては、管状容器2にセットされていたゴム栓を用いた。このキャップ20の内面に管状体19を接着剤を用いて接着し、管状容器2内に挿入した。
【0251】
しかる後、実施例1と同様にA氏〜C氏の血液をそれぞれ血液検査用容器18内に採取し、10分間放置後、実施例1と同様にして遠心分離した。遠心後10分間放置し、試薬3を観察したところ、A氏〜C氏のいずれについても、HBs抗原陰性及びHBs抗体陰性であることが確かめられた。
なお、管状体19は、ブリッジ等を介して管状容器に固定されてもよい。
【0252】
(実施例12)
実施例11で用いた血液検査用容器において、管状容器2内を減圧し、真空採血し得るように構成した。すなわち、図20に示すように、管状容器19が接着固定されたゴム栓5を打栓するに際し、真空打栓機(共和真空社製、商品名:VS−150A)を用い、0.26気圧でゴム栓5を打栓し、血液を7ml真空採血し得るように構成した。
【0253】
次に、実施例2と同様にA氏〜C氏の血液を真空採血した。その結果、図22(a)に示すように管状体19内に血液6が導入された。もっとも、血液6は、管状体19の下端から管状容器2内には漏洩していなかった。10分後、実施例11と同様に遠心分離した。その結果、図22(b)に示すように、血液試料が管状体19から管状容器2側へ漏洩するとともに、血清6aと血餅6bとに分離された。遠心後10分間放置した後、測定試薬3を観察したところ、A氏〜C氏のいずれの血液試料についてもHBs抗原陰性であり、かつHBs抗体陰性であることが確かめられた。
【0254】
(実施例13)
図23に示した血液検査用容器22を作製した。管状容器2については、実施例1と同様とした。管状容器2の内側壁に、管状体23として、直径6mm、長さ60mmのポリエチレン製チューブを管状容器2の上端から下方に向かって10mmの位置にポリエチレン製チューブの上端が位置するように接着剤により固定した。この管状体23の底部には、直径6mmのポリスチレン製ビーズ(積水化学社製、商品名:ポリスチレンビーズ#45)を接着剤により固定した。
【0255】
また、上記ポリエチレンチューブ内には、実施例1で用いた測定試薬3を実施例1と同様にして固定しておいた。なお、測定試薬3の下端が、管状容器2の下端から8cmの高さ位置に位置するように、測定試薬3の高さを調整した。
【0256】
しかる後、実施例1と同様にA氏〜C氏の血液を注射器で採血し、管状容器2内に、ただし、管状体23内には入らないように導入した。10分間放置後、実施例1と同様に遠心分離器を用い、遠心した。遠心により、固形部材24としてのポリスチレンビーズが落下し、かつ血液が血清と血餅とに分離されていることが確かめられた。また、血清が管状体23内に進入していることが確かめられた。
遠心後10分間放置した後、試薬3を観察したところ、A氏〜C氏のいずれの血液試料についてもHBs抗原陰性であることが確かめられた。
【0257】
(実施例14)
図24に示す血液検査用容器22を作製した。すなわち、管状容器2内に、固形部材24が接着固定され、かつ実施例4と同様の2種の測定試薬3,3がそれぞれ固定されている2本の管状体23を固定し、かつ管状容器2内を減圧したことを除いては、図23に示した血液検査用容器22と同様とした。減圧にあたっては、ゴム栓5を打栓するに際し、真空打栓機(共和真空社製、商品名:VS−150A)を用い、0.26気圧でゴム栓5を打栓し、血液を7ml真空採血し得るように構成した。
【0258】
上記血液検査用容器を用い、A氏〜C氏の血液をそれぞれ採血し、実施例13と同様にして評価した。その結果、A氏〜C氏の血液試料のいずれにおいても、HBs抗原陰性であり、HBs抗体陰性であることが確かめられた。
【0259】
(実施例15)
図25に示す血液検査用容器31を作製した。実施例1で用いた血清分離剤入り真空採血管を管状容器2として用意した。
【0260】
この管状容器2について、ゴム栓を取り外し管内を常圧とした。
また、管状体14として直径6mm、長さ60mmのポリプロピレン製チューブ(チューブ内壁面に血液凝固促進剤塗布済)を用意した。また、リング状部材として、ニプロ社製、シリンジ5mlのピストン先端のゴムを取り出し、中央に直径6mmの貫通孔を有するようにカッターでゴムの中央部をくり抜いたものを用意した。
【0261】
上記リング状部材を、50℃に温度調節されたジイコサンに浸漬し、しかる後、ジイコサンからリング状部材15を取り出し、管状体14の外周に装着すると共に、管状容器2内に挿入し、ジイコサンを介してリング状部材15を管状体14の外周面及び管状容器2の内周面に取り付けた。
【0262】
次に、実施例4と同様にして、HBs抗原検出用試薬3を管状容器2の内側壁に固定した。
しかる後、管状体14の上端にゴム栓を接着し、さらにゴム栓を管状容器2に圧入した。このようにして、血液検査用容器31を得た。
【0263】
上記のようにして得た血液検査用容器31を用い、実施例1と同様にA氏〜C氏の血液をそれぞれ採取し、10分間放置後、遠心分離器を用い、3000r.p.m.で10分間遠心分離した。その結果、図27に示すように、血液が血清6aと固形分6bとに分離した。しかる後、50℃の浴槽に10分間放置したところ、図28に示すように、ジイコサンが溶解したため、リング状部材15が血清6aにより上方に押し上げられ、血清6aと検出用試薬3等が接触されており、試薬3を観察した結果、A氏〜C氏のいずれもHBs抗原陰性、HBs抗体陰性であることが確かめられた。
【0264】
(実施例16)
図26に示した血液検査用容器31を、真空採血し得る構造として作製した。すなわち、実施例15で作製した血液検査用容器31において、栓体5の取付けに際し、真空打栓機(共和真空社製、商品名:VS−150A)を用い、0.26気圧で打栓し、血液を7ml真空採血し得るように構成した。
【0265】
上記のようにして構成された血液検査用容器31について、A氏〜C氏の血液を真空採血した。10分間放置後、実施例15と同様にして遠心分離し、かつ遠心分離後10分間50℃で加温した。
【0266】
その結果、実施例15と同様に、ジイコサンが溶解したためか、リング状部材15は上方に押し上げられ、血清6aが試薬3に接触されていた。試薬3を観察した結果、A氏〜C氏のいずれの血液試料においても、HBs抗原陰性であり、HBs抗体陰性であることが確かめられた。
【0267】
(実施例17)
図29に示した血液検査用容器41を以下の要領で作製した。管状容器2については、実施例1と同じものを用い、実施例1と同様にして、測定試薬3として、クイックチェイサーHBsAg(ミズホメディー社製、HBs抗原検出用試薬、長さ約6cm)を用い、粘着テープにより上端が管底部から8cmの高さに位置するように管状容器2の内面に接着し、固定した。
【0268】
第2の管状容器42については、ポリエチレンテレフタレート製試験管(積水化学社製、直径12mm、長さ95mm、管内壁面に血液凝固促進剤塗布済)を用いた。
【0269】
上記測定試薬3が固定された管状容器2に、第2の管状容器42を挿入し、臭化ブチルゴムよりなる栓体5を用いて閉栓した。
被験者A氏、B氏及びC氏の血液を注射器で採血し、採血した血液1mlを、栓体5を取り外した本実施例の血液検査用容器41の第2の管状容器42内に分注した。
【0270】
分注後、血液検査用容器に、栓体5を再度取り付け、全体を上下転倒させ、30分間放置し、血液と測定試薬3とを接触させ、測定試薬3を観察した。その結果、A氏、B氏及びC氏のいずれにおいても、HBs抗原陰性である結果が得られた。
【0271】
(実施例18)
測定試薬3の上端が、第2の管状容器42の管底部から7cmの位置となるように第2の管状容器42の外面に固定し、管状容器2の内面には測定試薬3を固定しなかったことを除いては、実施例17と同様にして血液検査用容器を作製した。
【0272】
上記血液検査用容器において、測定試薬が外面に固定された第2の管状容器42を外側の管状容器2内に挿入し、実施例17で用いた栓体を外側の管状容器上に載置し、真空打栓機(共和真空社製、商品名:VS−150A)を用い、0.9気圧で打栓し、血液を1ml真空採血し得るように構成した。
【0273】
被験者A氏、B氏及びC氏の血液を、常法に従って真空採血し、第2の管状容器42内に採取した。10分間放置後、遠心分離器(国産遠心器社製、商品名:H−20)を用い、3000r.p.m.で10分間遠心した。しかる後、血液検査用容器全体を上下転倒させ、分離された血清を内側の第2の管状容器と外側の管状容器との間に導き、30分間放置し、測定試薬と接触させた。しかる後、測定試薬を観察したところ、A氏、B氏及びC氏のいずれにおいても、HBs抗原陰性である結果が得られた。
【0274】
(実施例19)
測定試薬3の固定位置が第2の管状容器42の外面とされていることを除いては、図30に示した血液検査用容器43と同じ構造の血液検査用容器を以下の要領で作製した。管状容器2については、実施例1と同じものを用いた。
【0275】
第2の管状容器42については、血清分離剤入り真空採血管(積水化学社製、商品名:インセパック、ポリエチレンテレフタレート製、直径12mm、長さ75mm、管内壁面に血液凝固促進剤塗布済)を用いた。
【0276】
上記第2の管状容器42の外周面に、実施例1で用いたHBs抗原検出用試薬を測定試薬3として固定した。固定に際しては、第2の管状容器42の管底部から上方7cmの位置に測定試薬の上端が位置するように測定試薬3を第2の管状容器42の外面に接着した。
【0277】
上記のようにして測定試薬3が外周面に接着された第2の管状容器42を、管状容器2内に挿入し、しかる後、第2の管状容器42の上端開口部外周面に、水溶性物質としての水溶性フィルム(プルラン)を幅5mm×長さ20mmに切断したものを外周面に沿って、瞬間接着剤(東亜合成社製、商品名:アロンアルファ)を用い接着し、第2の管状容器42と管状容器2との間の空隙Xをシールした。
【0278】
さらに、管状容器2の上部に栓体5として臭化ブチル製ゴム栓を配置し、真空打栓機(共和真空社製、商品名:VS−150A)を用い、0.9気圧でゴム栓を打栓し、血液を1ml真空採血し得るように構成した。
【0279】
被験者A氏、B氏及びC氏の血液を、常法に従って真空採血し、第2の管状容器42内に採取した。10分間放置後、遠心分離器(国産遠心器社製、商品名:H−20)を用い、3000r.p.m.で10分間遠心した。しかる後、血液検査用容器全体を上下転倒させ、分離された血清を内側の第2の管状容器と外側の管状容器との間に導き、30分間放置し、測定試薬3と接触させた。しかる後、測定試薬3を観察したところ、A氏、B氏及びC氏のいずれにおいても、HBs抗原陰性である結果が得られた。
【0280】
(実施例20)
水溶性フィルム「プルラン」に代えて、ジイコサンを用い、該ジイコサンを第2の管状容器の両端開口部外周面において周方向に沿って塗布し、第2の管状容器42と管状容器2との間の空隙Xをシールしたことを除いては、実施例19と同様にして血液検査用容器43を作製した。
【0281】
また、上記血液検査用容器に、実施例19と同様にして、栓体を打栓し、血液を1ml真空採血し得るように構成した。
被験者A氏、B氏及びC氏の血液を上記のようにして用意した血液検査用容器の第2の管状容器42内に真空採血により採取し、10分間放置後、実施例19と同様にして遠心分離した。次に、血液検査用容器43を上下転倒し、予め50℃に設定された恒温槽(小松電子社製、商品名:CTE24−A)の浴槽内に入れ、30分間放置した。次に、測定試薬3を観察したところ、A氏、B氏及びC氏のいずれにおいてもHBs抗原陰性である結果が得られた。
【0282】
(実施例21)
図31に示した血液検査用容器45を以下の要領で作製した。管状容器2については、実施例1と同じものを用いた。
【0283】
また、管状容器42については、血清分離剤入り真空採血管(積水化学社製、商品名:インセパック、ポリエチレンテレフタレート製、直径12mm、長さ75mm、管内壁面に血液凝固促進剤塗布済)を用いた。また、上記第2の管状容器42の内面においては、開口部から下方に向かって、幅2.5mm×長さ5mm×深さ0.5mmの溝42aを形成した。
【0284】
さらに、臭化ブチルゴムよりなる栓体46を用意し、該栓体46の第1の栓体部46aに、幅2.5mm×長さ5mm×深さ0.5mmの溝46cを上下方向に延びるように形成した。
【0285】
実施例1で用いたHBs抗原検出用試薬を測定試薬3として用い、実施例18と同様に、第2の管状容器42の外面に接着した。
上記測定試薬3が接着された第2の管状容器42を管状容器2内に挿入した後、臭化ブチルゴムよりなる栓体を、溝46cと溝42aとが上下方向に一致しない位置となるように配置し、真空打栓機(共和真空社製、商品名:VS−150A)を用い、0.9気圧で打栓し、血液を1ml真空採血し得るように構成した。
【0286】
被験者A氏、B氏及びC氏の血液を、真空採血し、第2の管状容器42内に導いた。10分間放置後、遠心分離器(国産遠心器社製、商品名:H−20)を用い、3000r.p.m.で10分間遠心した。しかる後、血液検査用容器45を上下転倒し、さらに栓体46を回転させ、溝46cを溝42aと対向させ、流路を確保した。その結果、分離された血清が、第2の管状容器42と管状容器2との間の空隙Xに導かれた。30分間放置後、測定試薬3を観察したところ、A氏、B氏及びC氏のいずれにおいても、HBs抗原陰性である結果が得られた。
【0287】
(実施例22)
実施例20で用意した管状容器2及び第2の管状容器42を用意した。また、第2の管状容器42の外周面に、実施例20と同様にしてHBs抗原検出用試薬を測定試薬3として接着した。
【0288】
しかる後、測定試薬3が接着された第2の管状容器42を管状容器2内に挿入し、別途用意した血清分離剤入り真空採血管(積水化学社製、商品名:インセパック)から血清分離剤のみを0.2g取り出し、該血清分離剤0.2gを第2の管状容器42の外周面において周方向に沿って塗布し、第2の管状容器42と管状容器2との間の空隙Xをシールした。
【0289】
さらに、実施例20と同様にして、臭化ブチル製ゴム栓よりなる栓体5を用い、血液を1ml真空採血し得るように構成し、血液検査用容器43を作製した。被験者A氏、B氏及びC氏の血液を、常法に従って真空採血し、第2の管状容器42内に採取した。10分間放置後、遠心分離器(国産遠心器社製、商品名:H−20)を用い、3000r.p.m.で10分間遠心した。しかる後、血液検査用容器全体を上下転倒させ、分離された血清を内側の第2の管状容器と外側の管状容器との間に導き、30分間放置し、測定試薬3と接触させた。しかる後、測定試薬3を観察したところ、A氏、B氏及びC氏のいずれにおいても、HBs抗原陰性である結果が得られた。
【0290】
(実施例23)
管状容器2及び第2の管状容器42として、実施例19と同じものを用い、かつ実施例19と同様にして、HBs抗原検出用試薬を測定試薬3として第2の管状容器42の外周面に接着した。
【0291】
しかる後、第2の管状容器42の上端開口を、パラフィルムからなる高分子フィルム52でシールし、管状容器42を管状容器2内に挿入した。
また、実施例19と同様にして、臭化ブチル製ゴム栓を配置し、真空打栓機を用いて打栓し、血液を1ml真空採血し得るように構成し、血液検査用容器51を得た。
【0292】
被験者A氏、B氏及びC氏の血液を、常法に従って真空採血し、第2の管状容器42内に採取した。10分間放置後、遠心分離器(国産遠心器社製、商品名:H−20)を用い、3000r.p.m.で10分間遠心した。しかる後、血液検査用容器全体を上下転倒させ、分離された血清を内側の第2の管状容器と外側の管状容器との間に導き、30分間放置し、測定試薬3と接触させた。しかる後、測定試薬3を観察したところ、A氏、B氏及びC氏のいずれにおいても、HBs抗原陰性である結果が得られた。
【0293】
(実施例24)
パラフィルムに代えて、フィルム状ジイコサンからなる高分子フィルム52を用いたことを除いては、実施例23と同様にして血液を1ml真空採血し得るように構成された血液検査用容器51を得た。
【0294】
被験者A氏、B氏及びC氏の血液を上記のようにして用意した血液検査用容器の第2の管状容器42内に真空採血により採取し、10分間放置後、実施例19と同様にして遠心分離した。次に、血液検査用容器43を上下転倒し、予め50℃に設定された恒温槽(小松電子社製、商品名:CTE24−A)の浴槽内に入れ、30分間放置した。次に、測定試薬3を観察したところ、A氏、B氏及びC氏のいずれにおいてもHBs抗原陰性である結果が得られた。
【0295】
(実施例25)
以下の要領で、図37に示した血液検査用容器61を作製した。管状容器2については、実施例1と同じものを用いた。
【0296】
また、第2の管状容器62としては、採血量2.5mLのシリンジ(テルモ社製)の先端に、ミリポア社製、サンプレップフィルタ(品番:MILLEX−LH、ポアサイズ0.5μm)を取り付け、上記シリンジの上部(すなわちピストン挿入口)から、粒径8μmのポリスチレンゲル(積水化学社製、商品名:MICRONEX)を0.4g入れ、さらに、該シリンジ内に、ポリプロピレン製1.5mL小型サンプルカップ(エッペンドルフ社製)を上記ゲルの中央に埋め込み、トラップ部62a及び上記ゲルからなる血球分離層62bを構成した。
【0297】
次に、測定試薬3として、実施例1で用いたHBs抗原検出用試薬を用い、実施例1と同様にして管状容器2の内面に接着した。
しかる後、上記のようにして用意された第2の管状容器62を瞬間接着剤(東亜合成社製、商品名:アロンアルファ)を用い、栓体5の内側に接着し、さらに第2の管状容器62を管状容器2内に挿入し、管状容器2に栓をした。
【0298】
被験者A氏、B氏、C氏の血液を注射器で採血し、その血液をそれぞれ1ml本品に分注し、遠心分離器(国産遠心器社製、商品名:H−20)を用いて3000r.p.m.で10分間遠心分離を行った。
遠心後10分間放置し、その後、管壁の試薬を観察した結果、それぞれ陰性の結果が得られた。
【0299】
(実施例26)
実施例25と同様にして血液検査用容器61を作製した。但し、栓体5を第2の管状容器62の上部に配置した後、真空打栓機(共和真空社製、商品名:VS−150A)を用い0.85気圧で栓体5を打栓し、血液が1ml真空採血し得るように構成した。
【0300】
被験者A氏、B氏、C氏の血液を本製品で採血し、遠心分離器(国産遠心器社製、商品名:H−20)を用い3000r.p.m.で10分間遠心分離を行った。その後、遠心後10分間放置し、管壁の試薬を観察した結果、3人とも陰性の結果が得られた。
【0301】
(実施例27)
図39に示した血液検査用容器71を以下の要領で作製した。管状容器2については、実施例1と同じものを用いた。
【0302】
上記管状容器2については、ゴム栓を取り外し、管内を常圧としておいた。
第2の管状容器72については、直径6mm、長さ60mmのポリプロピレン製チューブ(チューブ内壁面に血液凝固促進剤塗布済)を用いた。
【0303】
ミリポア社製、フィルタ(品番:MILLEX−SV、孔径5μm)を直径10mmに切断し、第2の管状容器72の下端開口に粘着テープを用いて固定した。このようにして、第2の管状容器72の下端に上記フィルタよりなる底部材72bを固定した。
【0304】
次に、第2の管状容器72内に、粒径8μmのポリスチレン製ゲル(積水化学社製、商品名:MICRONEX)0.2gを入れ、親水性微粒子層73を形成した。
【0305】
しかる後、実施例1と同様にして、HBs抗原検出用試薬を測定試薬3として用い、管状容器2の内面に接着した。
次に、第2の管状容器72を瞬間接着剤(東亜合成社製、商品名:アロンアルファ)を用い、栓体5の内面に接着した後、管状容器2内に挿入し、栓をした。
【0306】
被験者A氏、B氏及びC氏の血液を、常法に従って真空採血し、第2の管状容器72内に採取した。10分間放置後、遠心分離器(国産遠心器社製、商品名:H−20)を用い、3000r.p.m.で10分間遠心した。しかる後、血液検査用容器全体を上下転倒させ、分離された血清を内側の第2の管状容器と外側の管状容器との間に導き、30分間放置し、測定試薬3と接触させた。しかる後、測定試薬3を観察したところ、A氏、B氏及びC氏のいずれにおいても、HBs抗原陰性である結果が得られた。
【0307】
(実施例28)
実施例27と同様にして、但し、真空打栓機(共和真空社製、商品名:VS−150A)を用い、0.85気圧で栓体5を打栓し、血液が1ml真空採血し得るように、血液検査用容器71(図39)を作製した。
【0308】
上記血液検査用容器を用い、A氏〜C氏の血液をそれぞれ採血し、実施例27と同様にして評価した。その結果、A氏〜C氏の血液試料のいずれにおいても、HBs抗原陰性であり、HBs抗体陰性であることが確かめられた。
【0309】
(実施例29)
この実施例は、検体として全血を用いた例である。
図4に示した血液検査用容器4を作製した。血液凝固阻止剤入り真空採血管(積水化学社製、真空採血管、商品名:インセパック、直径15mm、長さ100mm、ポリエチレンテレフタレート製、管内壁面に血液凝固促進剤塗布せず)を用意した。この真空採血管のゴム栓を取り外し、管内を常圧とし、管状容器2とした。
【0310】
次に、測定試薬3として、クイックチェイサーHBsAg(ミズホメディー社製、HBs抗原検出用試薬、長さ約6cm)1回分を取出し、粘着テープを用い、上端が管底部2bから8cmの高さに位置するように接着し、固定した。
【0311】
次いで、真空打栓機VS−150A(共和真空社製)を用い0.26気圧でゴム栓5を打栓し、血液を7ml真空採血し得るように構成し、図4に示した栓体5付きの血液検査用容器4を得た。
【0312】
上記血液検査用容器4を用い、A氏〜C氏の血液をそれぞれ採取し、10分間放置し、測定試薬3を観察したところ、A氏〜C氏のいずれの血液試料についても、HBs抗原陰性である結果が得られた。
【0313】
(実施例30)
図40に示した血液検査用容器41Bを以下の要領で作製した。管状容器2については、実施例1と同じもの(但し、管内壁面に血液凝固促進剤を塗布せず)を用い、測定試薬3bとして、0.04重量%ブロムチモールブルー指示薬溶液(和光純薬社製)を1ml入れた。
【0314】
第2の管状容器42については、血漿分離剤入り真空採血管(積水化学社製、直径12mm、長さ95mm、管内壁面に血液凝固促進剤を塗布せず)を用い、この真空採血管のゴム栓を取り外し、管内を常圧とし、管状容器42とした。次いで、上記測定試薬3bが収容された管状容器2内に、第2の管状容器42を挿入し、臭化ブチルゴムよりなる栓体5を外側の管状容器2上に載置し、真空打栓機(共和真空社製、商品名:VS−150A)を用い、0.26気圧で打栓し、血液を7ml真空採血し得るように構成し、図40に示した栓体5付きの血液検査用容器41Bを得た。
【0315】
被験者A氏、B氏及びC氏の血液を、常法に従って真空採血し、第2の管状容器42内に採取した。しかる後、遠心分離器(国産遠心器社製、商品名:H−20)を用い、3000r.p.m.で10分間遠心した。しかる後、血液検査用容器全体を上下転倒させ、分離された血漿を内側の第2の管状容器と外側の管状容器との間に導き、30分間放置し、測定試薬と接触させた。しかる後、測定試薬を観察したところ、A氏、B氏及びC氏のいずれにおいても、ブロムチモールブルー指示薬溶液は緑色になり中性であることが確認された。
【0316】
(実施例31)
図41に示した血液検査用容器41Cを以下の要領で作製した。管状容器2については、実施例1と同じもの(但し、管内壁面に血液凝固促進剤を塗布せず)を用い、測定試薬3cとして、ブロムチモールブルー指示薬粉末(和光純薬社製)を1mg入れた。
【0317】
第2の管状容器42については、血漿分離剤入り真空採血管(積水化学社製、直径12mm、長さ95mm、管内壁面に血液凝固促進剤を塗布せず)を用い、この真空採血管のゴム栓を取り外し、管内を常圧とし、管状容器42とした。次いで、上記測定試薬3cが収容された管状容器2内に、第2の管状容器42を挿入し、臭化ブチルゴムよりなる栓体5を外側の管状容器2上に載置し、真空打栓機(共和真空社製、商品名:VS−150A)を用い、0.26気圧で打栓し、血液を7ml真空採血し得るように構成し、図41に示した栓体5付きの血液検査用容器41Cを得た。
【0318】
被験者A氏、B氏及びC氏の血液を、常法に従って真空採血し、第2の管状容器42内に採取した。しかる後、遠心分離器(国産遠心器社製、商品名:H−20)を用い、3000r.p.m.で10分間遠心した。しかる後、血液検査用容器全体を上下転倒させ、分離された血漿を内側の第2の管状容器と外側の管状容器との間に導き、30分間放置し、測定試薬と接触させた。しかる後、測定試薬を観察したところ、A氏、B氏及びC氏のいずれにおいても、ブロムチモールブルー指示薬は緑色になり中性であることが確認された。
【0319】
(実施例32)
図52(a)に示した血液検査用容器90Aを作製した。血液検査用容器90Aは、以下に示した相違点以外は、図46に示した血液検査用容器90と同様である。
【0320】
相違点:血液検査用容器90では、チューブ91が蓋体92の底面部に接着剤で固定されているが、血液検査用容器90Aでは、チューブ91がゴムからなる栓体5に接着され、該栓体5が管状容器2に取り付けられている。
【0321】
まず、血漿分離剤入り真空採血管(積水化学社製、真空採血管、商品名:インセパック、直径10mm、長さ75mm、ポリエチレンテレフタレート製)を用意した。この真空採血管のゴム栓を取り外し、管内を常圧とし、管状容器2とした。
【0322】
管状容器2の上端開口の周縁の一部から側壁にかけて、幅3mm、長さ30mmの短冊状の切り込み2f、2fを向かい合うように一対設けた。該切り込み2fの2辺を形成する側壁2g、2h(側壁2g、2hについては図43参照)を外翼83aと内翼83bとで挟みこむようにして、スライドスイッチ83(ポリエチレン製。外翼83aおよび内翼83bは、共に幅5mm、高さ10mm)を取り付けた。スライドスイッチ83は、上記一対の切り込み2f、2fの両方に取り付けられた。
【0323】
スライドスイッチ83の接合体83cの先端には、予め、測定試薬3として、クイックチェイサーHBsAg(ミズホメディー社製、HBs抗原検出用試薬、幅5mm、長さ40mm)の1回分を、粘着テープを用いて、スライドスイッチ83が管状容器2に取り付けられ且つその最上部に位置される時に測定試薬3の上端が管状容器2の管底から60mmの位置になるように、スライドスイッチ83の接合体83cの先端部に吊りさげておいた。
【0324】
なお、上記のHBs抗原検出用試薬(クイックチェイサーHBsAg)は、サンドイッチ法を原理としたイムノクロマトグラフィー・アッセイ試薬である。血液試料がこの試薬下部に接触すると、毛細管現象により血液試料が試薬上を移動し、移動した血液試料中のHBs抗原は、事前に試薬に塗布されている抗HBsマウスモノクローナル抗体結合金コロイド粒子と反応し、HBs抗原−抗体−金コロイド複合体を形成する。この複合体は、試薬のメンブランフィルター上をさらに移動し、抗HBsマウスモノクローナル抗体固相部において結合捕捉される。その結果、HBs抗原陽性の場合には、固相部分には金コロイド由来の赤紫色ラインが出現し、陰性の場合は出現しない。すなわち、目視により、HBs抗原陽性であるか陰性であるかを判定することができる。
【0325】
上記管状容器2の上端開口に嵌合する栓体5(すなわち、真空採血管、商品名:インセパックに使用されていたゴム栓)の底面部に、直径6mm、長さ60mmのポリプロピレン製のチューブ91の上端を接着剤(東亜合成社製、商品名:アロンアルファ)で接着した。このチューブ91が接着された栓体5を、上記のスライドスイッチ83が取り付けられた管状容器2の上端開口に嵌合して血液検査用容器90Aを製造した。
【0326】
被験者A氏、B氏、及びC氏の血液を注射器で採血し、その採血針を、上記で得られた血液検査用容器の栓体5を突き通して、血液検査用容器に血液6を1ml採取し(図52(a)参照)、遠心分離器(国産遠心器社製、商品名:H−20)を用い、3000r.p.m.で10分間遠心分離した。その結果、血漿6Aと血球6Bとに分離した。
【0327】
遠心後、スライドスイッチ83を下方に押し下げ、測定試薬3の一部を血漿6Aに接触させた(図52(b)参照)。10分間放置し、しかる後、測定試薬3を観察したところ、A氏、B氏及びC氏の何れにおいても、HBs抗原陰性である結果が得られた。
【0328】
(実施例33)
図51に示した血液検査用容器100を作製した。すなわち、実施例32で用いたと同様の真空採血管のゴム栓を取り外し、管状容器2とした。実施例32と同様にして管状容器2に、測定試薬3が取り付けられたスライドスイッチ83を取り付けた。ただし、一対の切り込み2f、2fの一方の側に取り付けられたスライドスイッチ83には、実施例32と同様の測定試薬(クイックチェイサーHBsAg)3が取り付けられたが、他方の側に取り付けられたスライドスイッチ83には、クイックチェイサーHBsAgの代わりに、HBs抗体検出用試薬(ダイナボット社製、商品名:ダイナスクリーン・オーサブ)が、クイックチェイサーHBsAgの場合と同様にして測定試薬3として取り付けられた。
【0329】
次に、上記管状容器2の上端開口に嵌合可能であると共に、溝102cが設けられている栓体102の底面部に、実施例32と同様のチューブ91の上端を接着した。このチューブ91が接着された栓体102を、上記のスライドスイッチ83が取り付けられた管状容器2の上端開口に嵌合した。
【0330】
次いで、直径13mm、長さ100mmのポリエチレンテレフタレート製の有底の管状容器101を、上記管状容器2の外側から軽く被せた後、真空打栓機VS−150A(共和真空社製)を用い0.85気圧の状態で管状容器の上端開口周縁部を栓体102の溝102cに打栓し、血液を1ml真空採血し得るように構成し、図に示した血液検査用容器を作製した。
【0331】
上記の血液検査用容器をマルチプル採血針が取り付けられた真空採血用ホルダーにセットし、マルチプル採血針を被験者の血管に刺通し、該採血針の他端を栓体102に刺通して行う常法の真空採血法により、被験者A氏、B氏、及びC氏より、血液検査用容器に血液を1ml採血し、遠心分離器(国産遠心器社製、商品名:H−20)を用い、3000r.p.m.で10分間遠心分離した。その結果、血漿6Aと血球6Bとに分離した。
【0332】
遠心後、外側の管状容器を取り外した後、スライドスイッチ83を下方に押し下げ、測定試薬3の一部を血漿6Aに接触させた(図51(b)参照)。10分間放置し、しかる後、測定試薬3を観察したところ、A氏、B氏及びC氏の何れにおいても、HBs抗原陰性およびHBs抗体陰性である結果が得られた。
【0333】
(実施例34)
図53に示した血液検査用容器111を作製した。直径15.5mm、長さ100mmのポリエチレンテレフタレート製管状容器2(積水化学社製、商品名:セパラピットチューブ)と、直径6mm×長さ85mmのポリエチレンテレフタレート製の第2の管状容器112(積水化学社製、商品名:セパラピットチューブ)を用意した。上記管状容器2及び第2の管状容器112の内部を精製水を用いて洗浄した。
【0334】
次に、第2の管状容器112の底部に直径3mmの孔112aを形成した。
他方、血液検査用測定試薬3として、品名:クイックチェイサーHBsAg(ミズホメディー社製、HBs抗原検出試薬、長さ6cm)を粘着テープを用い、第2の管状容器の外壁に接着した。この場合、血液検査用測定試薬3の上端が第2の管状容器の下端開口から1cmの高さに位置するように、血液検査用測定試薬を固定した。
【0335】
上記第2の管状容器112の内部に抗凝固剤としてEDTA5mgを投入した。
次に、第2の管状容器を管状容器2の内部に入れ、栓体5により閉成した。
【0336】
被験者A氏、B氏及びC氏の血液を注射器で採血し、採血した血液を、それぞれ、本実施例の血液検査用容器に2ml分注した。40分間放置した後、血液検査用測定試薬3を観察したところ、A氏、B氏及びC氏のいずれの血液の場合においても、HBs抗原陰性である結果が得られた。
【0337】
(実施例35)
図53に示した血液検査用容器111を作製した。直径15.5mm、長さ100mmのポリエチレンテレフタレート製管状容器2(積水化学社製、商品名:セパラピットチューブ)と、直径6mm×長さ85mmのポリエチレンテレフタレート製の第2の管状容器112(積水化学社製、商品名:セパラピットチューブ)を用意した。上記管状容器2及び第2の管状容器112の内部を精製水を用いて洗浄した。
【0338】
次に、第2の管状容器112の底部に直径3mmの孔112aを形成した。
他方、血液検査用測定試薬として、品名:クイックチェイサーHBsAg(ミズホメディー社製、HBs抗原検出試薬、長さ6cm)を粘着テープを用い、第2の管状容器112の外壁に接着した。この場合、血液検査用測定試薬3の上端が第2の管状容器112の下端開口から1cmの高さに位置するように、血液検査用測定試薬を固定した。
【0339】
上記第2の管状容器112の内部に抗凝固剤としてEDTA2mgを投入した。
上記のようにして加工された第2の管状容器112を管状容器2の内部に入れ、真空打栓機VS−150A(共和真空社製)を用い、0.56気圧で栓体5を打栓し、血液2mlを真空採血し得るように構成し、本実施例の血液検査用容器を得た。
【0340】
被験者A氏、B氏及びC氏の血液をそれぞれ、上記血液検査用容器を用いて真空採血し、40分間放置した。しかる後、血液検査用測定試薬3を観察したところ、A氏、B氏及びC氏のいずれの血液においても、HBs抗原陰性であった。
【0341】
(実施例36)
図54に示した血液検査用容器121を作製した。直径15.5mm、長さ100mmのポリエチレンテレフタレート製管状容器2(積水化学社製、商品名:セパラピットチューブ)と、直径6mm×長さ85mmのポリエチレンテレフタレート製の第2の管状容器112(積水化学社製、商品名:セパラピットチューブ)を用意した。上記管状容器2及び第2の管状容器112の内部を精製水を用いて洗浄した。
【0342】
次に、第2の管状容器112の底部に直径3mmの孔112aを形成した。この孔112aを覆うように、直径6mmの円板状の水溶性フィルム(プルラン)からなる水溶性蓋材を瞬間接着剤(東亜合成社製、商品名:アロンアルファ)を用いて接着し、孔5aをシールした。
【0343】
他方、血液検査用測定試薬3として、品名:クイックチェイサーHBsAg(ミズホメディー社製、HBs抗原検出試薬、長さ6cm)を粘着テープを用い、第2の管状容器112の外壁に接着した。この場合、血液検査用測定試薬3の上端が第2の管状容器112の下端開口から1cmの高さに位置するように、血液検査用測定試薬を固定した。
【0344】
上記第2の管状容器112の内部に抗凝固剤としてEDTA5mgを投入した。
次に、第2の管状容器112を管状容器2の内部に入れ、栓体5により閉成した。
【0345】
被験者A氏、B氏及びC氏の血液を注射器で採血し、採血した血液を、それぞれ、本実施例の血液検査用容器に2ml分注した。40分間放置した後、血液検査用測定試薬3を観察したところ、A氏、B氏及びC氏のいずれの血液の場合においても、HBs抗原陰性である結果が得られた。
【0346】
(実施例37)
図54に示した血液検査用容器121を作製した。直径15.5mm、長さ100mmのポリエチレンテレフタレート製管状容器2(積水化学社製、商品名:セパラピットチューブ)と、直径6mm×長さ85mmのポリエチレンテレフタレート製の第2の管状容器112(積水化学社製、商品名:セパラピットチューブ)を用意した。上記管状容器2及び第2の管状容器112の内部を精製水を用いて洗浄した。
【0347】
次に、第2の管状容器112の底部に直径3mmの孔112aを形成した。この孔112aを覆うように、直径6mmの円板状の水溶性フィルム(プルラン)からなる水溶性蓋材を瞬間接着剤(東亜合成社製、商品名:アロンアルファ)を用いて接着し、孔5aをシールした。
【0348】
他方、血液検査用測定試薬として、品名:クイックチェイサーHBsAg(ミズホメディー社製、HBs抗原検出試薬、長さ6cm)を粘着テープを用い、第2の管状容器112の外壁に接着した。この場合、血液検査用測定試薬3の上端が第2の管状容器112の下端開口から1cmの高さに位置するように、血液検査用測定試薬を固定した。
【0349】
上記第2の管状容器112の内部に抗凝固剤としてEDTA2mgを投入した。
上記のようにして加工された第2の管状容器112を管状容器2の内部に入れ、真空打栓機VS−150A(共和真空社製)を用い、0.56気圧で栓体5を打栓し、血液2mlを真空採血し得るように構成し、本実施例の血液検査用容器を得た。
【0350】
被験者A氏、B氏及びC氏の血液をそれぞれ、上記血液検査用容器を用いて真空採血し、40分間放置した。しかる後、血液検査用測定試薬3を観察したところ、A氏、B氏及びC氏のいずれの血液においても、HBs抗原が陰性であった。
【0351】
(実施例38)
第2の管状容器112の孔112aを閉成するのに、水溶性蓋材に代えて、直径4mmのステンレスプレートからなる蓋材122を孔112aの内面側に当接させ、孔112aを閉成した。その他の点については、実施例36と同様とした。
【0352】
第2の管状容器112の内部に抗凝固剤として、EDTAを2mg投入し、以下、実施例36と同様にして、A氏、B氏及びC氏の血液を分注した。
しかる後、血液検査用容器の外部から磁石を用いて、ステンレスプレートからなる蓋材122をずらし、貫通孔112aを開口し、管状容器2と第2の管状容器112との隙間に血液を導き、血液検査用測定試薬3と接触させた。
40分間放置した後、血液検査用測定試薬3を観察したところ、A氏、B氏及びC氏の血液のいずれにおいても、HBs抗原陰性であった。
【0353】
(実施例39)
実施例38と同様にして図54に示した血液検査用容器121を作製した。もっとも、上記第2の管状容器112を管状容器2の内部に入れた後、真空打栓機VS−150A(共和真空社製)を用い、0.56気圧でゴム栓を打栓し、血液2mlを採血し得るように構成した。
【0354】
しかる後、外部から磁石を用いて蓋材122をずらし、第2の管状容器112内の血液を、管状容器2と第2の管状容器112との隙間に導き、血液検査用測定試薬3と接触させた。
【0355】
(実施例40)
図55に示した血液検査用容器131を作製した。直径15.5mm、長さ100mmのポリエチレンテレフタレート製管状容器2(積水化学社製、商品名:セパラピットチューブ)を用意した。上記管状容器2の内部を精製水を用いて洗浄した。
【0356】
他方、血液検査用測定試薬3として、品名:クイックチェイサーHBsAg(ミズホメディー社製、HBs抗原検出試薬、長さ6cm)1回分を取り出し、粘着テープを用い、管状容器2の内壁に接着した。この場合、血液検査用測定試薬3の上端が第2の管状容器3の下端開口から1cmの高さに位置するように、血液検査用測定試薬3を固定した。さらに、上記血液検査用測定試薬3の下端の1cmの長さ部分のみが露出するように、上記血液検査用測定試薬3の残りの部分をポリエチレンテレフタレート製膜(幅3cm×横6cm)からなる保護層により被覆した。この保護層による被覆に際しては、粘着テープを用いて保護層132を血液検査用測定試薬3の表面に貼付した。
【0357】
上記管状容器131の内部に抗凝固剤としてEDTA5mgを投入した。次に、管状容器2を栓体5により閉成した。
被験者A氏、B氏及びC氏の血液を注射器で採血し、採血した血液を、それぞれ、本実施例の血液検査用容器に2ml分注した。40分間放置した後、血液検査用測定試薬3を観察したところ、A氏、B氏及びC氏のいずれの血液の場合においても、HBs抗原陰性である結果が得られた。
【0358】
(実施例41)
実施例40と同様にして図55に示した血液検査用容器131を作製した。もっとも、真空打栓機VS−150A(共和真空社製)を用い、0.56気圧で栓体5を打栓し、血液2mlを真空採血し得るように構成した。
【0359】
被験者A氏、B氏及びC氏の血液をそれぞれ、上記血液検査用容器を用いて真空採血し、40分間放置した。しかる後、血液検査用測定試薬5を観察したところ、A氏、B氏及びC氏のいずれの血液においても、HBs抗原が陰性であった。
【0360】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明に係る血液検査用容器では、有底の管状容器内において血液検査用測定試薬が固定されているので、▲1▼該血液検査用容器に血液又は血液成分を導入し、そのまま血液検査用測定試薬と接触させることができ、或いは、▲2▼該血液検査用容器に血液を導入し、遠心分離することにより、血清または血漿などの血液成分を血液検査用測定試薬と接触させることができ、直ちに血液検査結果を得ることができる。すなわち、従来の血液検査方法では、採血後、血液を遠心分離し、血清または血漿を得た後、これをスポイドで採取し、試薬上に滴下するという煩雑な作業が強いられ、かつ検査従事者が血液に接触するおそれがあったのに対し、請求項1に記載の発明に係る血液検査用容器を用いることにより、血液検査工程を簡略化し得るだけでなく、検査従事者が血液と接触するおそれがほとんどない。従って、効率よくかつ安全に血液検査を行うことが可能となる。
【0361】
請求項1に記載の発明では、管状容器に導入された血液と測定試薬との接触を防止し、かつ遠心することにより血液成分と測定試薬との接触を達成し得る接触制御構造がさらに備えられているので、効率よくかつ安全に検査を行い得るだけでなく、血清もしくは血漿のみをより確実に測定試薬に接触させ得るので、より正確に血液検査を行うことが可能となる。
【0363】
請求項1に記載の発明では、接触制御構造が、管状容器内に配置された管状体と、上記リング状部材とを有するように構成されているので、血液を導入した段階では、リング状部材により血液の測定試薬側への移動が抑制され、遠心により血液が管状体から管状容器側へ移動し、それに伴ってリング状部材が押し上げられ、血清もしくは血漿が測定試薬に確実に接触されることになる。
【0364】
請求項3に記載の発明では、上記接触制御構造は、管状容器内に配置されており、かつ下端が管状容器の内底面に接触された管状体と、管状体を管状容器の内底面に接触させて管状体内に導入された血液の管状体外への漏洩を抑制する圧接手段とが備えられているので、管状体内に血液を導入した場合、血液の管状容器側への漏洩が抑制される。遠心により、管状体内の血液が管状容器側に漏洩するが、遠心分離により血清もしくは血漿と固形分とに分離されることになり、血清もしくは血漿が測定試薬に確実に接触され得る。
【0366】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明に係る血液検査用容器において、リング状部材がパラフィンを介して管状体の外周面と管状容器の内周面に取り付けられているため、遠心分離後に加温することによりパラフィンが溶解する。従って、リング状部材が血清もしくは血漿の移動を抑制し得なくなるため、血清もしくは血漿がリング状部材を押し上げ、測定試薬に確実に接触される。
【0368】
従って、請求項1〜6に記載の各発明によれば、上記接触制御構造により、導入された血液と測定試薬との初期状態における接触を確実に抑制することができるとともに、遠心により血清もしくは血漿を得た後には、血清もしくは血漿のみを測定試薬に確実に接触させることができ、高精度に血液検査を行うことが可能となる。
【0369】
請求項4に記載の発明では、上記接触制御構造が、管状容器内に配置されており、かつ柔軟性を有する樹脂からなる内管を有し、内管の外周面が管状容器の内面に密着されておりかつ内管の一端側において内管の外径が管状容器の内径よりも小さくされて内管の外周面が管状容器の内面から隔てられているため、遠心前には、上記内管の外周面と管状容器の内面とが密着されている部分により血液と血液検査用測定試薬との接触が確実に防止される。また、遠心することにより、連通部材が移動されて、内管の外周面と管状容器の内面との密着部分の密着が解かれ、血清もしくは血漿が血液検査用測定試薬と確実に接触され得る。
【0370】
請求項5に記載の発明では、上記内管の上端及び下端が開口されており、内管の上端開口部の外径が管状容器の内径よりも小さくされているので、内管内に導かれた血液が内管の下端開口から下方に流入し、管状容器の底部側に収納される。従って、遠心分離した場合、連通部材が下方側に移動し、内管の外周面と管状容器の内面とが密着されている部分の密着が解かれ、分離された血清もしくは血漿が血液検査用測定試薬と確実に接触され得る。
【0371】
請求項6に記載の発明では、内管が有底であり、内管の底部近傍において内管の外周面が管状容器の内径よりも小さくされ、それによって内管の外周面と管状容器の内面とが隔てられている。また、内管の上方部分では、内管の外周面が管状容器の内面に密着されているので、血液検査用測定試薬と内管に導入された血液との接触が防止される。また、上記血液検査用容器を上下逆転し、遠心分離することにより、連通部材が管状容器の底部とは反対側に移動し、それによって内管の外周面と管状容器の内面とが密着している部分の密着状態が解かれ、分離された血清もしくは血漿が血液検査用測定試薬と確実に接触される。
【0375】
また、請求項7,8に記載の発明に係る各血液検査用容器では、血液検査用測定試薬が固定されている部分を含む、管状容器と第2の管状容器との間の空隙が、水溶性物質または融点が40℃以上の物質からなるシール材により封止されている。従って、血液を血液検査用容器内に導くに際し、誤って、血液試料が管状容器と第2の管状容器との間の上記空隙に一気に流入することを防止することができ、かつ血液試料を第2の管状容器内に導入した後には、血液検査用容器全体を上下転倒させ、放置するだけで、あるいは、40℃以上に加温することにより、血液試料が空隙内に導かれ、血液検査用測定試薬と接触される。
【0376】
請求項9に記載の発明に係る血液検査用容器では、第2の管状容器内に血液を導入した後、血液検査用容器全体を上下転倒させ、しかる後、第1の栓体部に設けられた溝と、第2の管状容器の内面に設けられた溝とが一致するように栓体を回転させることにより、血液試料が上記空隙に導かれ、空隙内の血液検査用測定試薬に接触される。
【0377】
請求項18に記載の発明では、第2の管状容器の開口部が、厚さ100μm以下の高分子フィルムまたは金属膜でシールされているので、第2の管状容器内に血液試料を導くに際し、針や先端が鋭利な切削部を用いて高分子フィルムや金属膜を部分的に突き破ることにより、血液を第2の管状容器内に確実に導くことができ、前述した空隙への血液試料の進入を防止することができる。
【0378】
しかる後、血液検査用容器を上下転倒し、血液試料を管状容器と第2の管状容器との間の上記空隙に進入させることにより、血液検査用測定試薬と確実に接触させることができる。
【0380】
また、請求項10に記載の発明に係る血液検査用容器では、第2の管状容器内に、血清もしくは血漿分離剤が配置されているので、遠心により血液から血清もしくは血漿を確実に分離することができ、血清もしくは血漿を血液測定用試薬と確実に接触させて反応させることができる。
【0381】
請求項12に記載の発明に係る血液検査用容器においては、第2の管状容器に赤血球をトラップするためのトラップ部が形成されており、トラップ部の周囲に直径0.1〜20μmの貫通孔が複数形成された血球分離部が設けられているので、第2の管状容器内に血液を導いた後、遠心分離することにより、血清もしくは血漿が上記貫通孔からトラップ部外に流出するが、赤血球は流出せず、かつ比重が重いため、該トラップ部内に貯留される。その結果、血清または血漿が、トラップ部から第2の管状容器と管状容器との間の上記空隙に流出し、血液検査用測定試薬に確実に接触される。
【0382】
請求項13に記載の発明に係る血液検査用容器では、第2の管状容器の底部に複数の貫通孔が形成されており、該貫通孔が形成されている部分の上部に直径0.1〜200μmの親水性微粒子からなる層が配置されているので、血液試料を第2の管状容器内に導き、遠心分離した場合、血清もしくは血漿が、第2の管状容器と外側の管状容器との間に流出する。他方、血球は上記親水性微粒子層が設けられている部分の上方に留められる。従って、血清もしくは血漿を血液検査用測定試薬と確実に接触させることができる。
【0383】
また、遠心分離を行わない場合には、血液検査用容器内を減圧とし、真空採血することにより、減圧下の吸引力により上記親水性微粒子層が設けられている部分により血清もしくは血漿を濾過することができ、上記と同様にして血清もしくは血漿を血液検査用測定試薬と確実に接触させ得る。
【0384】
請求項13に記載の発明における上記第2の管状容器は、請求項14に記載のように、筒状体と複数の貫通孔を有する底部材を固定することにより、容易に構成し得る。
【0385】
請求項15に記載の発明に係る血液検査用容器では、第2の管状容器の底部に孔が形成されており、該孔を閉成するように水溶性の蓋材が第2の管状容器の底部に固定されている。よって、第2の管状容器に血液を導いた当初は、水溶性蓋材により第2の管状容器の底部の孔が閉成されているので、血液と血液検査用測定試薬との接触を確実に防止することができる。
【0386】
また、経時により、あるいは遠心分離した後に、血液中の水分、または血清もしくは血漿中の水分により、水溶性蓋材が溶解され、血液、血清もしくは血漿が、血液検査用測定試薬と確実に接触される。
【0387】
請求項16に記載の発明では、第2の管状容器の底部の孔が金属もしくは磁石からなる蓋材により閉成されている。従って、第2の管状容器内に血液を導いたとしても、血液と血液検査用測定試薬との接触が確実に防止される。また、磁石または金属を用いて外部から蓋材を移動させることにより、第2の管状容器の底部の孔を露出させることができる。従って、第2の管状容器内に導かれた血液、あるいは遠心分離により分離された血清もしくは血漿を、第2の管状容器の底部の孔から第2の管状容器と管状容器との間の空間に流入させることができ、血液、血清もしくは血漿を血液検査用測定試薬と確実に接触させることができる。
【0388】
請求項17に記載の発明では、血液検査用測定試薬の一部が露出されており、残りの部分が保護層により被覆されているので、血液検査用測定試薬の所望でない膨潤を防止することができる。
【0389】
請求項18に記載の発明に係る血液検査用容器では、管状容器内に血液を導入し、必要に応じて遠心分離することにより、血清もしくは血漿を分離した後、スライドスイッチを下方に移動させることにより、血液検査用測定試薬の一部が血液、血清もしくは血漿に確実に接触される。従って、遠心分離後、血清または血漿を検査用カップに分注する作業などを省略することができ、検査従事者が血液と接触するおそれを非常に少なくすることができると共に、血液検査の効率を高め得る。
【0390】
請求項19に記載の発明では、上記スライドスイッチの取り得る最下端位置よりもチューブの下端が底部側に位置されているので、チューブ内に血液を導いたとしても、血液が管状容器の側壁に設けられたスライドスイッチ部分に付着し難い。すなわち、例えばスライドスイッチを移動させるための切り込み等を管状容器に形成している場合であっても、該切り込みから外部への血液の漏洩を確実に防止することができ、安全性を高め得る。
【0391】
請求項20に記載の発明に係る血液検査用容器では、スライドスイッチが設けられた管状容器全体を収納する有底の第2の管状容器が設けられており、2つの管状容器内が減圧されているので、真空採血法により血液を速やかに管状容器内に採取することができる。また、血液を導入した後、必要に応じて遠心分離することにより血清もしくは血漿を分離した後、第2の管状容器を取り外せば、請求項18または19に記載の血液検査用容器と同様にして測定を行うことができる。
【0392】
従って、血液の採取から血液中の各種成分の測定までの全工程を、検査従事者が血液と接触することなく安全に行われ得る。請求項21に記載の発明に係る血液検査用容器では、有底の管状容器内を封止するように該有底の管状容器に取り付けられた栓体がさらに備えられており、内部が減圧されているので、真空採血法により血液を血液検査用容器に容易に導くことができる。
【0393】
従って、請求項1〜21に記載の各発明に係る血液検査用容器を用いた場合、血液の採取から血液中の各種成分の測定に至るまで、検査従事者が血液と直接接触することなく、容易にかつ確実に血液中の各種成分の測定を行うことが可能となる。
【0394】
請求項22に記載の発明に係る血液検査方法によれば、血液の採取から血液中の各種成分の測定に至るまで、検査従事者が血液と直接接触することなく、容易にかつ確実に血液中の各種成分の測定を行うことが可能となる。
【0395】
請求項23に記載の発明に係る血液検査方法によれば、血液の採取から血液中の各種成分の測定に至るまで、検査従事者が血液と直接接触することなく、容易にかつ確実に血液中の各種成分の測定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に記載の発明に係る血液検査用容器の一例を示す縦断面図。
【図2】請求項1に記載の発明に係る血液検査用容器において、管状容器内が減圧されている構造例を示す縦断面図。
【図3】(a)及び(b)は、それぞれ、図1に示した血液検査用容器を用いた場合の血液検査工程を説明するための各縦断面図。
【図4】(a)及び(b)は、それぞれ、図2に示した血液検査用容器を用いた場合の血液検査工程を説明するための各縦断面図。
【図5】参考例に係る血液検査用容器の一例を示す縦断面図。
【図6】参考例に係る血液検査用容器において、管状容器内が減圧されている構造例を示す縦断面図。
【図7】請求項5に記載の発明に係る血液検査用容器を説明するための縦断面図。
【図8】請求項5に記載の発明に係る血液検査用容器において、管状容器内が減圧されている構造例を示す縦断面図。
【図9】(a)及び(b)は、それぞれ、図7に示した血液検査用容器を用いた場合の血液検査工程を説明するための各縦断面図。
【図10】(a)及び(b)は、それぞれ、図8に示した血液検査用容器を用いた場合の血液検査工程を説明するための各縦断面図。
【図11】請求項1に記載の発明に係る血液検査用容器の一例を示す縦断面図。
【図12】請求項1に記載の発明に係る血液検査用容器において、管状容器内が減圧されている構造例を示す縦断面図。
【図13】(a)及び(b)は、それぞれ、図11に示した血液検査用容器を用いた場合の血液検査工程を説明するための各縦断面図。
【図14】(a)及び(b)は、それぞれ、図12に示した血液検査用容器を用いた場合の血液検査工程を説明するための各縦断面図。
【図15】参考例に係る血液検査用容器の一例を示す縦断面図。
【図16】参考例に係る血液検査用容器において、管状容器内が減圧されている構造例を示す縦断面図。
【図17】(a)及び(b)は、それぞれ、図15に示した血液検査用容器を用いた場合の血液検査工程を説明するための各縦断面図。
【図18】(a)及び(b)は、それぞれ、図16に示した血液検査用容器を用いた場合の血液検査工程を説明するための各縦断面図。
【図19】請求項3に記載の発明に係る血液検査用容器の一例を示す縦断面図。
【図20】請求項3に記載の発明に係る血液検査用容器において、管状容器内が減圧されている構造例を示す縦断面図。
【図21】(a)及び(b)は、それぞれ、図19に示した血液検査用容器を用いた場合の血液検査工程を説明するための各縦断面図。
【図22】(a)及び(b)は、それぞれ、図20に示した血液検査用容器を用いた場合の血液検査工程を説明するための各縦断面図。
【図23】参考例に係る血液検査用容器を示す縦断面図。
【図24】参考例に係る血液検査用容器において、管状容器内が減圧されている構造例を示す縦断面図。
【図25】参考例に係る血液検査用容器の変形例を説明するための縦断面図。
【図26】請求項2に記載の発明に係る血液検査用容器の縦断面図。
【図27】図26に示した血液検査用容器を用いて血液を採取し、遠心分離した後の状態を示す縦断面図。
【図28】図26に示した血液検査用容器を用い、遠心分離後に加温した後の状態を示す縦断面図。
【図29】参考例に係る血液検査用容器を示す縦断面図。
【図30】請求項7に記載の発明に係る血液検査用容器を説明するための縦断面図。
【図31】請求項9に記載の発明に係る血液検査用容器を説明するための縦断面図。
【図32】図31に示した血液検査用容器の分解斜視図。
【図33】(a)及び(b)は、図31に示した血液検査用容器において用いられている第2の管状容器の斜視図及びA−A線に沿う部分に相当する断面図。
【図34】図31に示した血液検査用容器で用いられている栓体を示す斜視図。
【図35】参考例に係る血液検査用容器を説明するための縦断面図。
【図36】参考例に係る血液検査用容器において血漿もしくは血清分離剤が第2の管状容器内に挿入されている状態を示す縦断面図。
【図37】(a)及び(b)は、請求項12に係る血液検査用容器を説明するための各縦断面図。
【図38】請求項13に係る血液検査用容器を説明するための縦断面図。
【図39】図38に示した血液検査用容器の変形例を説明するための縦断面図。
【図40】実施例30の血液検査用容器を示す縦断面図。
【図41】実施例31の血液検査用容器を示す縦断面図。
【図42】請求項18に係る血液検査用容器を説明するための縦断面図。
【図43】図42に示した血液検査用容器において、スライドスイッチが取り付けられた状態を、管状容器の外側から見た側面図。
【図44】図42に示した血液検査用容器において、スライドスイッチが取り付けられている状態を説明するために、管状容器の内側から見た状態を示す側面図。
【図45】図44のIV−IV線に沿う断面図を拡大して示す図。
【図46】請求項19に係る血液検査用容器の構造例を示す縦断面図。
【図47】請求項20に係る血液検査用容器の構造例を示す縦断面図。
【図48】図47に示した血液検査用容器において用いられる栓体の他の例を説明するための側面図。
【図49】図42に示した血液検査用容器の使用状態を示す図であり、図49(a)は、血液導入時の状態を示す断面図であり、図49(b)は、遠心分離後の測定時の状態を示す断面図。
【図50】図46に示した血液検査用容器の使用状態を示す図であり、図50(a)は、血液導入時の状態を示す断面図であり、図50(b)は、測定時の状態を示す断面図である。
【図51】実施例33の血液検査用容器を示す縦断面図であり、(a)は血液を導入した状態を示す断面図、(b)は遠心分離後の測定時の縦断面図。
【図52】実施例32の血液検査用容器を説明するための図であり、(a)は血液導入時の状態を示す縦断面図、(b)は遠心分離後の測定時の状態を示す縦断面図。
【図53】参考例に係る血液検査用容器の構造例を説明するための縦断面図。
【図54】請求項16または請求項17に記載の血液検査用容器の構造例を示す縦断面図。
【図55】請求項17に記載の発明に係る血液検査用容器の構造例を示す縦断面図。
【図56】(a)及び(b)は、それぞれ、請求項5に記載の発明に係る血液検査用容器の構造例を示す縦断面図であり、(a)は初期状態を、(b)は血液を導入した状態を示す各縦断面図。
【図57】(a)及び(b)は、請求項5に記載の発明に係る血液検査用容器の構造例を説明するための図であり、(b)は血清と固形分とが分離した状態を示す断面図であり、(b)は強く遠心分離した後の状態を示す縦断面図。
【図58】(a)及び(b)は、請求項5に記載の発明に係る血液検査用容器による測定工程を説明するための図であり、(a)は、強く遠心した場合の連通部材通の移動を説明するための縦断面図であり、(b)は遠心分離後の状態を示す縦断面図である。
【図59】(a)及び(b)は、それぞれ、請求項6に記載の発明に係る血液検査用容器を説明するための図であり、(a)は初期状態を、(b)は血液を導入した状態を示す各縦断面図。
【図60】(a)及び(b)は、図59に示した血液検査用容器において、それぞれ、血清と固形分とが分離した状態を示す縦断面図及び上下転倒した状態を示す縦断面図。
【図61】(a)及び(b)は、請求項6に記載の発明に係る血液検査用容器の測定工程を説明するための図であり、(a)は、遠心分離により連通部材が移動している状態を説明するための縦断面図、(b)は遠心分離後の状態を示す縦断面図。
Claims (23)
- 有底の管状容器と、
管状容器内において固定された血液検査用測定試薬と、
前記管状容器に導入された血液と前記測定試薬との接触を防止し、かつ遠心されることにより血液成分と測定試薬との接触を達成し得る接触制御構造とを備え、
前記接触制御構造が、管状容器内に配置されており、両端が開口されている管状体と、
管状体の外周面と管状容器の内周面とに当接されたリング状部材とを有し、該リング状部材が、初期状態では前記測定用試薬よりも下方に配置されており、
前記血液検査用測定試薬が、管状容器内面または管状体外面の少なくとも一方に固定されていることを特徴とする血液検査用容器。 - 前記リング状部材の内周面及び外周面が、それぞれ、Cn H2n+2(但し、nは18〜22)で表されるパラフィンを介して前記管状体の外周面及び管状容器の内周面に取り付けられている請求項1に記載の血液検査用容器。
- 有底の管状容器と、
管状容器内において固定された血液検査用測定試薬と、
前記管状容器に導入された血液と前記測定試薬との接触を防止し、かつ遠心されることにより血液成分と測定試薬との接触を達成し得る接触制御構造とを備え、
前記接触制御構造が、管状容器内に配置されており、両端が開口されており、さらに下端が管状容器の内底面に接触された管状体と、管状体を管状容器の内底面に接触させて管状体に導入された血液の管状体外への漏洩を制御しかつ遠心により血液成分の管状体外への漏洩を可能とするように管状体を管状容器内底面に圧接させる圧接手段とを備えており、
前記血液検査用測定試薬が、管状容器内面または管状体外面の少なくとも一方に固定されていることを特徴とする血液検査用容器。 - 有底の管状容器と、
管状容器内において固定された血液検査用測定試薬と、
前記管状容器に導入された血液と前記測定試薬との接触を防止し、かつ遠心されることにより血液成分と測定試薬との接触を達成し得る接触制御構造とを備え、
前記接触制御構造が、前記管状容器内に配置されており、柔軟性を有する樹脂からなる内管を有し、前記内管の外周面が管状容器の内面に密着されており、かつ内管の一端側において内管の外径が管状容器の内径よりも小さくされて内管の外周面が管状容器の内面から隔てられており、
前記管状容器の内面から内管の外周面が隔てられている部分において、移動可能に配置された連通部材をさらに備え、
前記内管の外周面と管状容器の内面とが隔てられている部分において、管状容器の内面または内管の外面に前記血液検査用測定試薬が固定されていることを特徴とする血液検査用容器。 - 前記内管の上端及び下端が開口しており、該内管の上端開口部の外径が管状容器の内径よりも小さくされている、請求項4に記載の血液検査用容器。
- 前記内管が有底であり、内管の底部近傍における外径が管状容器の内径よりも小さくされている、請求項4に記載の血液検査用容器。
- 有底の管状容器と、
管状容器内において固定された血液検査用測定試薬とを備え、
前記管状容器内に配置されており、有底であり、前記管状容器よりも小径の第2の管状容器をさらに備え、
前記血液検査用測定試薬が、管状容器内面または第2の管状容器外面の少なくとも一方に固定されており、
前記血液検査用測定試薬が固定されている部分を含む、前記管状容器と第2の管状容器との間の空隙が水溶性物質よりなるシール材により封止されていることを特徴とする血液検査用容器。 - 有底の管状容器と、
管状容器内において固定された血液検査用測定試薬とを備え、
前記管状容器内に配置されており、有底であり、前記管状容器よりも小径の第2の管状容器をさらに備え、
前記血液検査用測定試薬が、管状容器内面または第2の管状容器外面の少なくとも一方に固定されており、
前記血液検査用測定試薬が固定されている部分を含む、前記管状容器と第2の管状容器との間の空隙が融点40℃以上の物質よりなるシール材により封止されていることを特徴とする血液検査用容器。 - 有底の管状容器と、
管状容器内において固定された血液検査用測定試薬とを備え、
前記管状容器内に配置されており、有底であり、前記管状容器よりも小径の第2の管状容器をさらに備え、
前記血液検査用測定試薬が、管状容器内面または第2の管状容器外面の少なくとも一方に固定されており、
先端に第2の管状容器の上端開口に圧入される相対的に径の小さな第1の栓体部と、
前記第1の栓体部に連ねられており、管状容器の開口に圧入される第2の栓体部とを有する栓体とをさらに備え、
前記第1の栓体部の外表面において、下端から第2の管状容器に圧入される部分よりも上方に延びるように溝が形成されており、
前記第2の管状容器の内面に、開口縁から第1の栓体部が圧入される部分よりも下方に延びるように溝が形成されていることを特徴とする血液検査用容器。 - 前記第2の管状容器内に配置された血清もしくは血漿分離剤をさらに備えることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の血液検査用容器。
- 内部が減圧されている請求項9に記載の血液検査用容器。
- 有底の管状容器と、
管状容器内において固定された血液検査用測定試薬とを備え、
前記管状容器内に配置されており、有底であり、前記管状容器よりも小径の第2の管状容器をさらに備え、
前記血液検査用測定試薬が、管状容器内面または第2の管状容器外面の少なくとも一方に固定されており、
前記第2の管状容器の底部に、赤血球をトラップするために、下方に突出されたトラップ部が形成されており、該トラップ部の周囲に直径0.1〜20μmの貫通孔が複数形成された血球分離部が設けられていることを特徴とする血液検査用容器。 - 有底の管状容器と、
管状容器内において固定された血液検査用測定試薬とを備え、
前記管状容器内に配置されており、有底であり、前記管状容器よりも小径の第2の管状容器をさらに備え、
前記血液検査用測定試薬が、管状容器内面または第2の管状容器外面の少なくとも一方に固定されており、
前記第2の管状容器の底部に、複数の貫通孔が形成されており、該貫通孔の上部に直径0.1〜200μmの親水性微粒子よりなる層が配置されていることを特徴とする、血液検査用容器。 - 前記第2の管状容器が、両端が開口された筒状体と、筒状体の下端に固定されており、かつ複数の貫通孔を有する底部材とを備えることを特徴とする請求項13に記載の血液検査用容器。
- 有底の管状容器と、
管状容器内において固定された血液検査用測定試薬とを備え、
前記管状容器内に配置されており、有底であり、底部に孔を有し、前記管状容器よりも小径の第2の管状容器をさらに備え、
前記血液検査用測定試薬が、管状容器内面または第2の管状容器外面の少なくとも一方に固定されており、
前記第2の管状容器の底部の前記孔が閉成されるように、第2の管状容器の底部に固定された水溶性の蓋材をさらに備えることを特徴とする、血液検査用容器。 - 有底の管状容器と、
管状容器内において固定された血液検査用測定試薬とを備え、
前記管状容器内に配置されており、有底であり、底部に孔を有し、前記管状容器よりも小径の第2の管状容器をさらに備え、
前記血液検査用測定試薬が、管状容器内面または第2の管状容器外面の少なくとも一方に固定されており、
前記第2の管状容器の底部の孔が閉成されるように、第2の管状容器の底部に固定された金属もしくは磁石からなる蓋材をさらに備えることを特徴とする、血液検査用容器。 - 前記血液検査用測定試薬の一部が露出されており、残りの部分が血液検査用測定試薬と血液等との接触を防止するように、保護層で被覆されている、請求項1〜16に記載の血液検査用容器。
- 有底の管状容器と、
管状容器内において固定された血液検査用測定試薬とを備え、
前記管状容器の側壁上において上下に移動可能に、かつ該側壁を挟み込むように設けられたスライドスイッチをさらに備え、
スライドスイッチの管状容器内部に存在する部分に前記血液検査用測定試薬が固定されていることを特徴とする、血液検査用容器。 - 前記管状容器内に配置されており、かつ管状容器よりも小さな径のチューブをさらに備え、
前記チューブの下端が、スライドスイッチの取り得る最下端位置よりも底部側に位置されている、請求項18に記載の血液検査用容器。 - 前記スライドスイッチが設けられた管状容器全体を収納するように設けられた有底の第2の管状容器と、
前記2つの管状容器の上端開口を閉成するように取り付けられた栓体とをさらに備え、
前記2つの管状容器内が減圧されていることを特徴とする、請求項18または19に記載の血液検査用容器。 - 有底の管状容器内を封止するように該有底の管状容器に取り付けられた栓体をさらに備え、内部が減圧されている請求項1〜8、及び12〜16のいずれかに記載の血液検査用容器。
- 請求項1〜21のいずれかに記載の血液検査用容器に血液を導入し、血液又は血液成分と上記血液検査用測定試薬とを接触させることを特徴とする血液検査方法。
- 請求項1〜21のいずれかに記載の血液検査用容器に血液を導入し、遠心分離を行なった後、血液成分と上記血液検査用測定試薬とを接触させることを特徴とする血液検査方法。
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