JP4079385B2 - ブラシレスdcモータの駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流電源と、直流電源の正極側に接続された半導体スイッチング素子および負極側に接続された半導体スイッチング素子を有し、両半導体スイッチング素子は3相分として3対備え、互いに直列に接続されて接続点がモータへの出力端子となっており、さらに3相のうち少なくとも2相分のモータ電流検出器と演算装置を備えた、複数極の磁石を有する回転子と3相Y結線に接続された電機子コイルを有する固定子とから構成され、モータに直結した回転子位置検出手段を持たないブラシレスDCモータの駆動装置であり、かつブラシレスDCモータの非同期回転中における回転子速度および回転子位相(相誘起電圧位相)検出手段を備えたブラシレスDCモータの駆動装置によりブラシレスDCモータを駆動する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図13は特開平3−207290に記載された従来のブラシレスDCモータの駆動装置の構成図である。
このブラシレスDCモータ駆動装置は、複数極の磁極を有する回転子10と3相Y結線に接続された電機子コイル7,8,9を有する固定子から構成され、モータに直結した回転位置検出手段を持たないブラシレスDCモータ14を駆動するものであって、半導体スイッチング素子群2と位置検出回転制御装置15とマイクロコンピュータ16と時間検出器17で構成されている。
【0003】
時間検出器17は位置検出回転制御装置15から半導体スイッチング素子群2の回転信号の一部を入力し、ある回転信号の出力時からその次の回転信号の出力までの時間を計測してマイクロコンピュータ16にそのデータを送る。マイクロコンピュータ16は時間検出器17より送られたデータを判断し、所定の時間より短いときに脱調と判断し、その後脱調の再起動の制御を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の構成では、モータに直結した回転子位置検出手段を持たないブラシレスDCモータが脱調した際には、ブラシレスDCモータが停止するのを待ってから再度立ち上げる必要があり、したがって回転中のモータに対し停止させることなくそのまま同期運転に引き込むことはできないという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、非同期回転中の、モータに直結した回転子位置検出手段を持たないブラシレスDCモータに対し、回転を停止させることなくそのまま同期運転に引き込むことのできる、ブラシレスDCモータの駆動方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のブラシレスDCモータの駆動方法は、非同期回転中にあるブラシレスDCモータを無通電状態とした上で、検出したブラシレスDCモータの回転子速度に対応したモータ同期周波数よりも高い電圧周波数の電圧を短時間のみ出力した上で同期周波数に戻して非同期回転中のブラシレスDCモータを同期運転に引き込む。
【0007】
本発明の実施態様によれば、無通電状態からモータ電流を起動する際にモータ電流を相誘起電圧と同一方向成分であるq軸電流と電気角で−π/2ずれた方向成分であるd軸電流とに分けた場合、q軸電流は正方向に一定の増加率で、d軸電流は負方向に一定の増加率で駆動する。モータ電流とモータ電圧とは、q軸とd軸とに分けて設定(図5参照)される以下の電圧方程式(1),(2)を満たす関係にある。
【0008】
Eq=Eo・ω+R・Iq+P・ω・Ld・Id+Lq・{d(Iq)/dt} ・・・・・(1)
Ed=R・Id−P・ω・Lq・Iq+Ld・{d(Id)/dt}・・・・・(2)
Eq:モータへの出力電圧のq軸成分
Ed:モータへの出力電圧のd軸成分
Eo:モータの誘起電圧定数
ω:モータの回転子速度
P:回転子磁極対数
R:モータの電機子巻き線抵抗値
Lq:モータのq軸インダクタンス
Ld:モータのd軸インダクタンス
Iq:モータのq軸電流
Id:モータのd軸電流
永久磁石同期モータが同期状態で大きな正出力トルクを発生するためには、モータ電流が図2の丸印で示す位置にあることが必要である。
【0009】
したがって、モータを瞬時に同期状態に引き込むためには、モータ電流を瞬時に上記位置まで起動させ、そこで安定させることが必要になる。起動開始時はモータ電流はゼロなので、図2に示す位置P0 となる。
この起動開始位置から目標とする位置までの電流の経路については安定性を考え、図2に示すように、直線的に一定に増加させる。この経路からわかるように
q軸電流増加率:d(Iq)/dt=一定>0
d軸電流増加率:d(Id)/dt=一定<0
となる。
【0010】
したがって、モータ電流をこのように起動しようとすれば、点P0 においては、(1),(2)式でId=Iq=0を代入して得られる電圧
Eq1=Eo・ω+Lq・{d(Iq)/dt}・・出力電圧q軸成分初期値
Ed1=Ld・{d(Id)/dt}・・・・・・・出力電圧d軸成分初期値
をモータに印加すればよいことになる。
【0011】
また、点P1 においては、時間の経過をt1 とすると、ここではIq,Idは
Iq={d(Iq)/dt}・t1
Id={d(Id)/dt}・t1
となっている。
これを(1),(2)式に代入すると、印加電圧Eq,Edは
となる。
【0012】
ここで、t1 は非常に短い時間で、Eq1 の式中のωとEqの式中のωとは等しくみなせるので、
となる。
【0013】
点P1 ,P2 間、点P2 ,P3 間、点P3 ,P4 間も十分に短い時間なので、ωはこの間一定であるとみなすことができ、したがって各点P2 ,P3 ,P4 で印加すべき電圧Eq,Edは同様に表わすことができる。
つまり、
Eq=Eq1 +〔R・{d(Iq)/dt}+P・ω・Ld・{d(Id)/dt}・t
Ed=Ed1 +〔R・{d(Id)/dt}−P・ω・Lq・{d(Iq)/dt}・t
となる。
【0014】
この式からわかるように、EqについてはEq1 を初期値として一定の増加率P・ω・Ld・{d(Id)/dt}+R・{d(Iq)/dt}で負方向に増加させ、EdについてはEd1を初期値として一定の増加率−P・ω・Lq・{d(Iq)/dt}+R・{d(Id)/dt}(ここで、R・{d(Id)/dt}は値が小さいので負となる)で負方向に増加させればよいことになる。
【0015】
これを図示すると、図3のようになる。
さらに、点P4 以降はモータ電流が目標位置に到達しているので、電流をそこに固定するため、Eq,Edを以下のように変えることになる。
点P4 における印加電圧Eq,EdをそれぞれEq4 ,Ed4 とすると、Eq,Edは、点P4 までの電流の増加率をd(Iq)/dt,d(Id)/dtとして、
となる。ここで、Iq’,Id ’は目標地点P4 に達したときの電流値である。
【0016】
しかしながら、各点ごとにEq,Edを変えていくこと、具体的に言うと、各点ごとにモータへの印加電圧実効値と印加電圧周波数を変えていくことは高速な演算装置ならば実現できるが、安価な低速の演算装置では不可能である。
そこで、本発明は以下の方法により、安価な低速の演算装置でも前記のEq,Edに近い印加電圧を作り出す。
【0017】
まず、起動開始時点における回転子速度ωと、回転子位相(誘起電圧位相)θは既知であるとする。
ここで、起動目標とするIq’、Id’および起動時間t0 を設定すれば、
d(Iq)/dt=Iq’/t0 ,d(Id)/dt=Id’/t0
が決定される。
【0018】
ここから、起動開始時におけるモータへの印加電圧Eq1 ,Ed1が(1),(2)式より次のように算出される。
Eq1 =Eo・ω+Lq・(Iq’/t0 )
Ed1 =Ld・(Id’/t0 )
さらに、目標(点P4 )到達時でのモータへの印加電圧Eq’,Ed’も(1),(2)式により次のように算出される。
【0019】
Eq’=Eq1 +R・Iq’+P・ω・Ld・Id’
Ed’=Ed1 +R・Id’−P・ω・Lq・Iq’
ここまでは、低速演算装置も高速演算装置も同じである。高速演算装置の場合、
例えば、点P0 では
モータへの印加電圧実効値ErmsはErms=(Eq1 2+Ed1 2)1/2
モータのU相の誘起電圧位置がθならば、U相への印加電圧Euは、
Eu=21/2 ・Erms・sin{P・ω・t+(δ1 /Δt)・t+ δ0+θ}
V相への印加電圧Evは
Ev=21/2 ・Erms・sin{P・ω・t+(δ1 /Δt)・t+δ0+θ+2π/3}
同様に、点P1 では、点P1 に到達するまでの時間をt1 として
モータへの印加電圧実効値Erms=(Eq2 2+Ed2 2)1/2
U相への印加電圧Euは
Eu=21/2 ・Erms・sin〔P・ω・t+(δ2 /Δt)・(t −t1 )+δ1 +δ0 +θ〕
V相への印加電圧Evは
Ev=21/2 ・Erms・sin〔P・ω・t+(δ2 /Δt)・(t−t1 )+δ1 +δ0 +θ+2π/3〕
以上、各点ごとに同様の処理を行うことになる。
【0020】
低速演算装置の場合、算出したEq1 ,Ed1 ,Eq ’,Ed ’により
δ1 +δ2 +δ3 +δ4 =tan-1(−Ed’ /Eq’)
−tan-1(−Ed1 /Eq1 )
ここで、δ1 +δ2 +δ3 +δ4 =δ −δ0 とおく。
この(δ −δ0 )についてΔf=(δ −δ0 )/(2π・t0 )を算出し、モータの同期周波数F(=P・ω/2π)にΔfを加えた周波数で初期位相δ0 、実効値電圧Erms=(Eq1 2+Ed1 2)1/2 で時間t0 だけモータへの各相へ次のような電圧Eu,Evを印加する。
【0021】
Eu=21/2 ・Erms・sin〔2π・(F0 +Δf)・t+δ0 +θ〕}
Ev=21/2 ・Erms・sin〔2π・(F+Δf)・t+δ0 +θ+ 2π/3〕
したがって、目標とすべき、図4中点線で示す印加電圧に近い印加電圧を作り出すことができるので、モータ電流Iq,Idも目標とする電流Iq’,Id’に近い位置にもっていくことができる。
【0022】
その後(時間toの経過後)は、出力周波数をモータ同期周波数Fに合わせ、かつ実効値電圧を次式
Eq=Eo・ω+〔R・{d(Iq)/dt}+P・ω・Ld・{d(Id)/dt}〕・t0
Ed=〔R・{d(Id)/dt}−P・ω・Lq・{d(Iq)/dt}〕・t0
のEq,EdによるErms=(Eq2 +Ed2 )1/2 に設定すれば、以後そのまま同期運転に入ることができる。
【0023】
ブラシレスDCモータの駆動方法は、無通電回転中のブラシレスDCモータの回転子速度および回転子位相(相誘起電圧位相)を検出する際に、演算装置により直列に接続された両半導体スイッチイング素子のオン・オフ比率を制御することで確定されるモータへの出力端子電圧値を3相とも同一となるように制御してモータへ電圧出力し、かつこのときの3相のうち少なくとも2相分の前記電流検出器から得られたモータ電流値を利用する。
【0024】
また、3相とも全て同一となる電圧出力を開始した初期における3相のうち少なくとも2相分の電流検出器により得られるモータ電流値から演算装置により算出される実効電流値に対し、モータ電流を相誘起電圧と同一方向成分であるq軸電流と電気角で−π/2ずれた方向成分であるd軸電流とに分けた場合、前記算出される実効電流値を全てq軸電流とし、かつ符号をマイナス値とみなすことでq軸電流を検出し、さらに演算装置により算出される実効電流値の変化率からq軸電流増加率(dq/dt)を検出する。
【0025】
あるいは、3相とも全て同一となる電圧出力を開始した初期における3相のうち少なくとも2相分の前記電流検出器により得られるモータ電流値から前記演算装置により算出される各相電流位相値に対し、回転子位相値(相誘起電圧位相値)を電気角でπ進み、またはπ遅れとして検出する。あるいはまた、3相とも全て同一となる電圧出力を、q軸電流とd軸電流とに分けられたモータ電流の振動が収束するまで継続し、この収束した際の3相のうち少なくとも2相分の電流検出器から得られたモータ電流値から演算装置により算出される各相電流位相値に対し、この各相電流位相値の変化率から回転子速度を検出する。
【0026】
あるいは、3相とも全て同一となる電圧出力を前記q軸電流とd軸電流とに分けられたモータ電流の振動が収束するまで継続し、この収束した際の3相のうち少なくとも2相分の前記電流検出器から得られたモータ電流値から前記演算装置により算出されるモータ電流実効値に対し、これを全てd軸電流とし、かつ符号をマイナス値とみなすことでd軸電流を検出し、さらに演算装置によりブラシレスDCモータの各特性値を使用して回転子速度を検出する。
【0027】
あるいはまた、3相とも全て同一となる電圧出力を、q軸電流とd軸電流とに分けられたモータ電流の振動が収束するまで継続し、この収束した際の3相のうち少なくとも2相分の電流検出器から得られたモータ電流値から演算装置により算出される各相電流位相値に対し、回転子位相値(相誘起電圧位相値)を電気角でπ/2遅れまたは3π/2進みとして検出する。
【0028】
直列に接続された両半導体スイッチング素子のオン・オフ比率を制御することで確定されるモータへの出力端子電圧値を3相とも同一となるように制御してモータへ電圧出力することで、ブラシレスDCモータへの線間出力電圧値はゼロとなり、同様に相出力電圧値もゼロ(以下、これをゼロ電圧出力とする)にできる。これによりモータ電流とモータへの出力電圧とを前記のq軸とd軸とに分けて設定(図5参照)される(1),(2)式において、左辺側のEq、Edが共にゼロとなる。これにより(1),(2)式は次の(3),(4)式に変更される。
【0029】
0=Eo・ω+R・Iq+P・ω・Ld・Id+Lq・{d(Iq)/dt}・・・・(3)
0=R・Id−P・ω・Lq・Iq+Ld・{d(Id)/dt}・・・・(4)
ここで、無通電回転中のブラシレスDCモータに対しゼロ電圧出力した場合のモータ電流の動きは上記(3),(4)式においてIqとIdの初期値を共にゼロとした場合の電流の動きとなる。
【0030】
このIqとIdの時間経過による変化の様子を示したものが図11および図12である。
図11はゼロ電圧出力開始当初の両軸電流波形の動きを示したものであり、必ずIqが先にマイナス値から立ち上りIdはやや遅れてから立ち上がる。その後両軸電流は共に振動しながら徐々に収束してゆき、Iqはゼロに、Idは回転子速度に対応したマイナス値に収束していく様子を図12に示している。
【0031】
ここで、前記記載の方法により、電流検出器を例えばV相電流(Iv)とW相電流(Iw)を検出するように配置したとすれば、図11に示したゼロ電圧出力開始当初の両軸電流の動きから演算装置により算出したモータ電流実効値Irmsにおいて、
Irms={Iw・Iw/2+(Iw+2・Iv)・(Iw+2・Iv)/
6}1/2
=(Iq・Iq+Id・Id)1/2 ≒−Iq (∵Id≒0)
とみなすことができ、さらには
d(Iq)/dt≒d(−Irms)/dt
とみなすこともできる。
【0032】
上記の算出値(Iq,d(Iq)/dt,Id)をブラシレスDCモータの各特性値(Eo,P,R,Ld,Lq)を使用して式(3)に代入すればブラシレスDCモータの回転子速度(ω)が検出できる。さらに、前記記載の方法により、3相とも全て同一となる電圧出力を開始した初期における3相のうち少なくとも2相分の電流検出器により得られるモータ電流値から演算装置により算出される各相電流位相値に対し、このモータ電流は図11に示すようにq軸のマイナス電流とみなせることから、回転子位相値(相誘起電圧位相値)は各相のモータ電流位相値に対し電気角でπ進んだまたはπ遅れた位置にくるので回転子位相値(相誘起電圧位相値)も検出できる。
【0033】
以上に記載の方法により脱調回転中のモータに直結した回転子位置検出手段をもたないブラシレスDCモータにおいて回転を停止することなくそのまま同期運転に引き込むために必要な情報であるブラシレスDCモータの回転子速度および回転子位相値(相誘起電圧位相値)を検出することができる。あるいは、前記記載の手段により3相とも全て同一となる電圧出力を、q軸電流とd軸電流とに分けられたモータ電流の振動がq軸電流はゼロに、d軸電流は回転子速度に対応したマイナス値に収束するまで継続し、この収束した際の3相のうち少なくとも2相分の電流検出器から得られたモータ電流値から演算装置により算出される各相電流位相値に対し、この各相電流位相値の変化率から回転子速度は検出できる。あるいはまた、前記記載の手段により3相のうち少なくとも2相分の電流検出器から得られたモータ電流値から演算装置により算出されるモータ電流実効値に対し、図12に示すようにこれを全てd軸電流のマイナス電流とみなせるので、
d(Iq)/dt≒0
Iq≒0
とみなせること、およびブラシレスDCモータの各特性値(Eo,P,R,Ld,Lq)を使用して式(3)に代入すればブラシレスDCモータの回転子速度(ω)が検出できる。
【0034】
さらに、前記記載の方法により3相のうち少なくとも2相分の電流検出器から得られたモータ電流値から演算装置により算出される各相電流位相値に対し、このモータ電流は図12に示すようにd軸のマイナス電流とみなせることから、回転子位相値(相誘起電圧位相値)は各相のモータ電流位相値に対し電気角でπ/2遅れたまたは3π/2進んだ位置にくるので回転子位相値(相誘起電圧位相値)も検出できる。
【0035】
以上に記載の方法により、または以上に記載の手段によっても脱調回転中のモータに直結した回転子位置検出手段を持たないブラシレスDCモータにおいて回転を停止することなくそのまま同期運転に引き込むために必要な情報であるブラシレスDCモータの回転子速度および回転子位相値(相誘起電圧位相値)を検出することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施形態のブラシレスDCモータの駆動装置の構成図である。本実施形態のブラシレスDCモータの駆動装置は、3相Y結線に接続されたそれぞれU相、V相、W相電機子コイル7,8,9からなる固定子と複数極の磁石を有する回転子10からなり、モータ軸に直結された回転子位置検出手段を持たないブラシレスDCモータ14を駆動するもので、直流電源1と、トランジスタS1 〜S6 からなる半導体スイッチング素子群2と、演算装置3Aと、演算装置3Aから半導体スイッチング素子群2へのオン・オフ命令をドライブ信号として半導体スイッチング素子群2へ伝送するドライブ回路部4と、モータ電流を検出する電流検出器5,6と、U,V,W各相の出力端子11,12,13で構成されている。ここで、回転子速度と回転子位相は演算装置3Aと電流検出器5、6によって前もって検出されている。
【0037】
非同期回転中にあるブラシレスDCモータ14を演算装置3Aとドライブ回路部4とにより半導体スイッチング素子群2を全てオフにして無通電状態とした上で、設定したモータ電流のd(Iq)/dt,d(Id)/dtとモータの各特性値Eo,P,R,Lq,Ldと検出されたブラシレスDCモータ14の回転子速度および回転子位相とから演算装置3AによりブラシレスDCモータ14への初期両軸出力電圧Eq1 ,Ed1 と初期出力周波数(同期周波数(F)+△f)を〔課題を解決するための手段〕の項に記載の方法により算出して起動時間t0 区間中のみブラシレスDCモータ14へ出力する。起動時間t0 経過後は、演算装置3Aにより出力電圧実効値を〔課題を解決するための手段〕の項記載の方法により変更し、かつ出力周波数も同期周波数に変更することでブラシレスDCモータ14をそのまま同期運転に引き込む。
【0038】
図6は本発明の第2の実施形態のブラシレスDCモータの駆動装置の構成図、図7〜図10は図6中の各相の出力端子11,12,13の電圧値を同一とするための半導体スイッチング素子群2へのオン/オフドライブ信号の状態を示す図である。演算装置3Bのみが高速演算装置、低速演算装置いずれの場合もあり得るという点で、図1中のドライブ装置3Aと異なっている。
【0039】
演算装置3Bは、無通電回転中のブラシレスDCモータ14の回転子速度および回転子位相(相誘起電圧位相)を検出する際に、電流検出器5,6から得られたモータ電流値を利用して、ブラシレスDCモータ14への出力端子電圧値が3相とも同一となるように、図7〜図10に示すように、直列に接続されたトランジスタS1 とS4 、S2 とS5 、S3 とS6 のオン/オフのデューティ比を算出し、そのデューティ比に基づいた、半導体スイッチ素子群2のオン/オフ命令をドライブ信号としてドライブ回路部4に出力する。
【0040】
また、図9、図10においては各相の上下両トランジスタS1 と S4 、S2 とS5 、S3 とS6 の同時オンを防止するために各キャリア周期において設定されている上下両トランジスタS1 とS4 、S2 とS5 、S3 とS6 の同時オフ時間(以下、これをデッドタイムとする)の影響(ドライブ信号のデューティ比から決定される出力電圧よりも常に(デッドタイム)×VDC/T(VDCは直流電源1の電圧、Tはキャリア周期)だけ実際の電圧がずれること)を修正するために、電流検出器5,6により検出した各相電流の正負極性値をもとに演算装置3Bにより上下両トランジスタS1 とS4 、S2 とS5 、S3 とS6 のオン/オフ比率を修正し、各相の出力端子電圧値をより正確に同一にすることもできる。すなわち、モータ電流の極性により出力電圧がプラス側、マイナス側のどちらにずれるのかを判断できるので、電流検出器5,6によりその相のモータ電流が正極性と判別されれば、マイナス側にデッドタイム分だけ出力電圧がずれるので、逆に上段側トランジスタのオン幅をデッドタイム分増加させてそのずれ分をキャンセルし、モータ電流が負極性と判別されれば、逆に上段側トランジスタのオン幅をデッドタイム分減少させる。
【0041】
以上によりブラシレスDCモータ14へのゼロ電圧出力を行い、このゼロ電圧出力開始当初の電流検出器5,6により検出した、例えばV相とW相の同一時間におけるそれぞれの瞬時検出電流値をもとに、〔課題を解決するための手段〕の項において説明した方法によりブラシレスDCモータ14の回転子速度および回転子位相値(相誘起電圧位相値)を検出する。検出後は、検出した回転子速度と回転子位相値(相誘起電圧位相値)に基づき演算装置3Bにより適切な出力電圧を算出し、ブラシレスDCモータ14に電圧出力して同期運転に引き込めばよい。
【0042】
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。構成は、第2の実施形態として示した図6および図7〜図10と同じである。ブラシレスDCモータ14へのゼロ電圧出力をq軸電流とd軸電流とに分けられたモータ電流の振動がq軸電流はゼロに、d軸電流は回転子速度に対応したマイナス値に収束するまで継続し、この収束した際のモータ電流を電流検出器5,6により検出した、例えばV相とW相の同一時間におけるそれぞれの瞬時検出電流値をもとに、〔課題を解決するための手段〕の項において説明した方法により、ブラシレスDCモータ14の回転子速度および回転子位相値(相誘起電圧位相値)を検出する。また、モータ電流の収束状態の確認は、ゼロ電圧出力開始後前もって設定した時間を経過したかどうかで判断するか、またあるいは検出した実効値電流の変動量(図12参照)で、またあるいは検出した各相電流位相値の変動量で判断できる。
【0043】
図7〜図10の各相の出力端子電圧値を同一とするための半導体スイッチング素子群2へのオン/オフドライブ信号の状態において、図7と図8はそれぞれ下側のあるいは上側のトランジスタに負担が集中するのでこれを避けるために半導体スイッチング素子群2へのオン/オフドライブ信号を適当な時間間隔で図7と図8とで交互に入れ替えることも考えられる。
【0044】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。これは、第3の実施形態に対しブラシレスDCモータ14の回転子速度を、〔課題を解決するための手段〕の項において説明した方法により検出する点が異なる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は下記のような効果がある。
非同期回転中のモータに直結した回転子位置検出手段を持たないブラシレスDCモータに対し、安価な演算装置により短時間で安定したモータ電流を起動でき、ブラシレスDCモータの回転を停止することなくそのまま起動して同期運転に引き込むことができる。
【0046】
脱調回転中のモータに直結した回転子位置検出手段を持たないブラシレスDCモータに対し、無通電状態からモータへの出力端子電圧値を3相とも同一となるように制御してモータへ電圧出力し、かつこのときの3相のうち少なくとも2相分の電流検出器から得られたモータ電流値を利用することで、ブラシレスDCモータの回転を停止させることなくそのまま同期運転に引き込むために必要な情報であるブラシレスDCモータの回転子速度および回転子位相値(相誘起電圧位相値)を検出することができるので、脱調回転中のブラシレスDCモータに対し回転を停止させることなくそのまま同期運転に引き込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の、ブラシレスDCモータの駆動装置の構成図である。
【図2】モータ電流を安定に起動させる際のq軸電流とd軸電流の動きを示す図である。
【図3】モータ電流を安定に起動させる際の出力電圧q軸成分とd軸成分の動きを示す図である。
【図4】図1の実施形態における出力電圧q軸成分とd軸成分の動きを示す図である。
【図5】モータ電流と各電圧とをq軸とd軸に分けたベクトル図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の、ブラシレスDCモータの駆動装置の構成図である。
【図7】図6中における出力端子11,12,13の電圧値を同一とするための半導体スイッチング素子群2へのオン/オフドライブ信号の状態を示す図である。
【図8】図6中における出力端子11,12,13の電圧値を同一とするための半導体スイッチイング素子群2ヘのオン/オフドライブ信号の状態を示す図である。
【図9】図6中における出力端子11,12,13の電圧値を同一とするための半導体スイッチング素子群2へのオン/オフドライブ信号の状態を示す図である。
【図10】図6中における出力端子11,12,13の電圧値を同一とするための半導体スイッチング素子群へのオン/オフドライブ信号の状態を示す図である。
【図11】ゼロ電圧出力開始当初のq軸電流波形とd軸電流波形を示す図である。
【図12】ゼロ電圧出力時のq軸電流波形とd軸電流波形の収束していく様子を示す図である。
【図13】従来のブラシレスDCモータの駆動装置の構成例を示す図である。
【符号の説明】
1 直流電源
2 半導体スイッチング素子群
3A,3B 演算装置
4 ドライブ回路部
5,6 電流検出器
7,8,9 電機子コイル
10 回転子
11,12,13 出力端子
14 ブラシレスDCモータ
S1 〜S6 トランジスタ
Claims (2)
- 無通電回転状態にあるブラシレスDCモータの駆動装置において、
ブラシレスDCモータの回転子速度検出手段及び回転子位相検出手段と、
前記回転子速度検出値及び回転子位相検出値並びに設定された目標電流及びその間回転子速度一定とみなせる起動時間に基づいて、起動時間でかつ一定増加率で目標電流に到達するとした場合の動作開始時及び目標電流到達時の各d軸及びq軸の出力電圧及び各出力電圧間のdq軸上での位相差を演算する手段と、
前記位相差を前記起動時間で除した周波数を演算する手段と、
前記動作開始時の出力電圧によって電圧出力を開始し、かつ前記起動時間だけ前記回転子速度検出値に応じたモータ同期周波数に前記演算した周波数を加算した周波数にして電圧出力し、起動時間以後は前記回転子速度検出値に応じたモータ同期周波数に戻して同期運転に入る手段を備えたことを特徴とするブラシレスDCモータの駆動装置。 - 非同期回転状態にあるブラシレスDCモータの駆動装置において、
ブラシレスDCモータを無通電状態にする手段と、
ブラシレスDCモータの回転子速度検出手段及び回転子位相検出手段と、
前記回転子速度検出値及び回転子位相検出値並びに設定された目標電流及びその間回転子速度一定とみなせる起動時間に基づいて、起動時間でかつ一定増加率で目標電流に到達するとした場合の動作開始時及び目標電流到達時の各d軸及びq軸の出力電圧及び各出力電圧間のdq軸上での位相差を演算する手段と、
前記位相差を前記起動時間で除した周波数を演算する手段と、
前記動作開始時の出力電圧によって電圧出力を開始し、かつ前記起動時間だけ前記回転子速度検出値に応じたモータ同期周波数に前記演算した周波数を加算した周波数にして電圧出力し、起動時間以後は前記回転子速度検出値に応じたモータ同期周波数に戻して同期運転に入る手段を備えたことを特徴とするブラシレスDCモータの駆動装置。
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