JP4073150B2 - 筒状フィルタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は流体中の固形物を濾過することのできる筒状フィルタ、特には、液体中の固形物を濾過することのできる筒状フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から液体中の固形物を濾過できるフィルタとして、襞折り加工された濾過材を多孔筒の周囲に配置した、いわゆるプリーツ型フィルタが知られている。このプリーツ型フィルタは濾過面積が広く、濾過寿命が長いため好適なフィルタである。
このプリーツ型フィルタを構成する濾過材として、メルトブロー不織布を熱カレンダーロールにより加圧処理した不織布が知られている。この濾過材は微細な孔径を有するため、所望の濾過効率を得ることができるが、流体の通過性が悪いため目詰まりが生じやすく、濾過寿命が短いという問題があった。また、この濾過材は強度がないため、襞折り加工性が悪いという問題もあった。
この襞折り加工性を改善するために、メルトブロー不織布にネットを積層した濾過材が知られている。このネットを積層した濾過材は襞折り加工性が向上するものの、メルトブロー不織布を損傷する場合があった。また、ネットはほとんど濾過に寄与しないため、濾過寿命の点において十分に満足できるものではなかった。
このような問題は、多孔筒の周囲に濾過材が平巻き状に巻回された、いわゆるデプス型フィルタの場合にも見受けられる場合があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、濾過寿命が長く、しかも襞折り加工などの加工性良く製造することのできる筒状フィルタを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の筒状フィルタは、繊維径20μm未満の繊維から製造された主濾過不織布であり、前記繊維として、複合紡糸法で得た海島型繊維の海成分を除去することにより得た繊維径が4μm以下の極細繊維と、繊維径が8μm以上、20μm未満の接着した複合紡糸法又は混合紡糸法により紡糸した接着性繊維とからなり、しかも最大孔径が平均流量孔径の2倍以下である、接着性繊維の溶融のみによって各繊維が接着されているとともに、カレンダー処理されて製造された主濾過不織布と、この主濾過不織布よりも平均流量孔径の大きい補助濾過繊維シートとを含み、前記主濾過不織布と前記補助濾過繊維シートとが隣接して積層された状態で、多孔筒の周囲に配置されたものである。本発明の発明者らは鋭意研究の結果、前記のような特定の主濾過不織布は濾過寿命が長く、濾過性能に優れるため、このような特定の主濾過不織布に、この主濾過不織布よりも平均流量孔径の大きい補助濾過繊維シートを組み合わせると、更に濾過寿命が長くなることを見い出したのである。また、前記のような特定の主濾過不織布は接着性繊維の溶融のみによって各繊維が接着された強度的にも優れるものであるため、加工性(例えば、襞折り加工性、巻回性)良く製造できることも併せて見い出したのである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の主濾過不織布は主濾過不織布形成時に繊維同士が絡みつくなどして、繊維の均一分散性を損なうことがないように、実質的にフィブリル化していない繊維から製造される。この「フィブリル化していない繊維」とは、複数の繊維が結合していない繊維を意味し、例えば、一本の繊維から無数の繊維が枝分かれした状態の繊維(例えば、ビーターなどによって叩解した繊維、パルプなど)や、複数の繊維が既に結合してネットワーク状態にある繊維(例えば、フラッシュ紡糸法により得られる繊維)ではないことを意味する。
【0006】
本発明の主濾過不織布は太い繊維が混在していることによって繊維の配列が乱され、大きな開孔径を形成することがないように、主濾過不織布は繊維径が20μm未満の繊維(好ましくは、繊維径18μm以下の繊維)から製造されたものである。
本発明における「繊維径」とは、繊維の断面形状が円形である場合には、その繊維の直径をいい、繊維の断面形状が非円形である場合には、円形断面に換算した時の直径をいう。
より具体的には、本発明の主濾過不織布は繊維径が4μm以下の極細繊維と、繊維径が8μm以上、20μm未満の接着した接着性繊維とを含んでいる。前者の極細繊維は均一に分散して均一な孔径を形成できるように、繊維径は4μm以下である必要があり、3μm以下であるのがより好ましい。この極細繊維の繊維径の下限は特に限定するものではないが、0.1μm以上であるのが好ましく、0.3μm以上であるのがより好ましく、0.5μm以上であるのが更に好ましく、0.75μm以上であるのが最も好ましい。
前述のような極細繊維によって均一な孔径を形成できるように、極細繊維の繊維径はほぼ同じであるのが好ましい。つまり、極細繊維の繊維径分布の標準偏差値を、極細繊維の繊維径の平均値で除した値が0.2以下(好ましくは0.18以下)であるのが好ましい。なお、極細繊維の繊維径が全て同じである場合には標準偏差値が0になるため、極細繊維の繊維径分布の標準偏差値を極細繊維の繊維径の平均値で除した値の下限値は0である。
この極細繊維の「繊維径の平均値」は、主濾過不織布の電子顕微鏡写真を撮影し、この電子顕微鏡写真における100本以上(n本)の極細繊維の繊維径を計測し、その計測した繊維径を平均した値をいう。
また、極細繊維の「標準偏差値」は、計測した繊維径(χ)を次の式から算出した値をいう。
標準偏差={(nΣχ2−(Σχ)2)/n(n−1)}1/2
ここでnは測定した極細繊維の本数を意味し、χはそれぞれの極細繊維の繊維径を意味する。
なお、繊維径が4μm以下の極細繊維が2種類以上存在する場合には、各々の極細繊維について、上記の関係が成立するのが好ましい。
また、極細繊維は均一な孔径を有する主濾過不織布を形成できるように、極細繊維の繊維軸方向において実質的に同じ直径を有しているのが好ましい。
このようなほぼ同じ繊維径を有する極細繊維、或いは繊維軸方向において実質的に同じ直径を有している極細繊維は、例えば、紡糸口金部で海成分中に口金規制して島成分を押し出して複合する方法などの複合紡糸法で得た海島型繊維の海成分を除去することにより得ることができる。なお、一般的に混合紡糸法といわれる、島成分を構成する樹脂と海成分を構成する樹脂とを混合した後に紡糸する方法によって得た海島型繊維の海成分を除去することによっては、ほぼ同じ繊維径を有する極細繊維や繊維軸方向において実質的に同じ直径を有している極細繊維を得ることは困難である。
【0007】
この極細繊維を構成する樹脂は特に限定されるものではないが、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン系共重合体などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート系共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート系共重合体などのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、オレフィン系共重合体などのポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル重合体などの合成樹脂1種類以上から構成することができる。
なお、極細繊維が接着に関与できる樹脂成分(以下、「接着成分」ということがある)を含み、この接着成分により接着していると、確実に極細繊維を固定することができ、極細繊維が脱落したり、毛羽立つことがないため好適な実施態様である。
この極細繊維を接着させる場合、極細繊維は前述のような樹脂からなる接着成分のみから構成することもできるし、接着成分とこの接着成分の融点よりも高い融点を有する成分(以下、「非接着成分」ということがある)の2種類以上の成分から構成することもできる。これらの中でも、後者のように極細繊維が接着成分と非接着成分を含む2種類以上の成分から構成されていると、接着成分を接着させても繊維形態を維持して、極細繊維本来の働きである、均一な孔径の形成を妨げにくいためより好適である。
極細繊維が2種類以上の成分から構成されている場合、接着成分は接着に関与できるように、極細繊維表面の少なくとも1部を占めている(極細繊維の断面形状としては、例えば、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型など)のが好ましく、極細繊維表面全体(極細繊維の断面形状が芯鞘型、偏芯型、海島型など)を接着成分が占めているのがより好ましい。他方、非接着成分は繊維形状を維持できるように、接着成分の融点よりも10℃以上高いのが好ましく、20℃以上高いのがより好ましい。なお、後述の接着性繊維を接着する際の熱によっても繊維形状を維持できるように、非接着成分は後述の接着性繊維を接着する際の温度よりも10℃以上高い融点を有するのが好ましく、20℃以上高い融点を有するのがより好ましい。
この好適である接着成分と非接着成分とを含む2種類以上の樹脂成分からなる極細繊維は、常法の複合紡糸法により海島型繊維を紡糸する際に、島成分を押し出す口金として、前述のような断面形状(例えば、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型など)を形成できるものを使用して海島型繊維を紡糸し、海成分を除去することにより得ることができる。
本発明における「融点」は示差走査熱量計を用い、昇温温度10℃/分で、室温から昇温して得られる融解吸熱曲線の極大値を与える温度をいう。なお、極大値が2つ以上ある場合には、最も高温の極大値を融点とする。
なお、極細繊維は前述のような接着性を有する以外に、巻縮発現性、分割性などの性能を有するものであっても良い。前者の極細繊維として、極細繊維の断面形状が偏芯型又はサイドバイサイド型であるように、2種類以上の樹脂成分が配置した繊維を使用でき、後者の極細繊維として、極細繊維の断面形状が海島型、オレンジ型或いは多重バイメタル型であるように、2種類以上の樹脂成分が配置した繊維を使用できる。
【0008】
なお、後述のように、極細繊維は均一分散しやすいように、自由度の高い短繊維(繊維長が30mm以下)であるのが好ましいが、極細繊維又は海島型繊維を裁断する際に極細繊維同士又は島成分同士が圧着してしまうと、フィブリル化した繊維と同様の状態となるため、裁断する際に極細繊維同士又は島成分同士が圧着しにくい極細繊維又は海島型繊維を使用するのが好ましい。
このような圧着しにくい極細繊維又は海島型繊維としては、例えば、結晶性の高い極細繊維(海島型繊維の場合には島成分)がある。より具体的には、極細繊維(海島型繊維の場合には島成分)がポリメチルペンテンやシンジオタクチックポリスチレンを含んでいたり、ポリプロピレンを含んでいる場合には、そのポリプロピレンの融点が166℃以上(好ましくは168℃以上)であるのが好ましい。
【0009】
他方の接着性繊維は極細繊維を接着して極細繊維を固定するとともに、主濾過不織布に強度を付与できるように、極細繊維よりも太く、繊維径が8μm以上である必要がある。また、接着性繊維によって極細繊維の配列が乱されて大きな開孔径を形成することがないように、繊維径が20μm未満である必要がある。接着性繊維のより好ましい繊維径は8μm以上、18μm以下である。
この接着性繊維は単一成分からなるものであっても良いが、接着後においても繊維形態を維持して強度的に優れるように、2種類以上の樹脂成分からなるのが好ましい。
この2種類以上の樹脂成分の配置状態としては、例えば、繊維断面形状が芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型などがある。これらの中でも、接着に関与できる樹脂、つまり接着成分の多い芯鞘型、偏芯型、又は海島型であるのが好ましい。
この接着性繊維は極細繊維と同様の樹脂から構成することができるが、極細繊維を接着させない場合には、接着性繊維を接着させる際の熱によって極細繊維までも溶融させることがないように、接着性繊維の接着成分の融点は極細繊維のいずれの樹脂成分の融点よりも10℃以上低いのが好ましく、20℃以上低いのがより好ましい。他方、極細繊維の接着成分も接着させる場合には、接着性繊維の接着成分の接着と極細繊維の接着成分の接着とを両方とも実施できるように、接着性繊維の接着成分と極細繊維の接着成分との融点差が35℃以内であるのが好ましく、30℃以内であるのがより好ましい。なお、接着性繊維の接着成分の融点と極細繊維の接着成分の融点(複数の極細繊維が存在する場合には、接着性繊維の接着成分の融点に最も近い融点を有する樹脂成分の融点)との差が10℃以上、35℃以内である場合には、極細繊維の接着成分を接着させることもできるし、極細繊維を接着させないこともできる。また、極細繊維が接着成分と非接着成分とを含む場合には、極細繊維が繊維形状を維持できるように、接着性繊維の接着成分の融点は極細繊維の非接着成分の融点よりも10℃以上低いのが好ましく、20℃以上低いのがより好ましい。更に、接着性繊維が2種類以上の樹脂成分からなる場合には、接着性繊維を接着させる際の熱によっても接着性繊維が繊維形状を維持できるように、接着成分以外の樹脂成分(非接着成分)の融点は接着成分の融点よりも10℃以上高いのが好ましく、20℃以上高いのがより好ましい。
このような接着性繊維は常法の複合紡糸法又は混合紡糸法により容易に紡糸できるし、市販もされているため容易に入手できる。
【0010】
本発明の主濾過不織布は前述のような極細繊維及び接着性繊維を含んでおり、これらの繊維の質量比率は筒状フィルタの具体的用途や要求物性などによって適宜変化するが、(極細繊維):(接着性繊維)=30〜70:70〜30であるのが好ましい。極細繊維量が30mass%以上であれば、孔径分布の狭い主濾過不織布を得るのが容易であり、他方、接着性繊維量が30mass%以上であれば、十分に極細繊維を固定することができるため極細繊維の脱落が生じにくく、しかも主濾過不織布に強度を付与することができる。より好ましい質量比率は(極細繊維):(接着性繊維)=35〜65:65〜35である。なお、これらの質量比率は主濾過不織布の質量全体に対する比率をいう。
【0011】
本発明の主濾過不織布は前述のような極細繊維及び接着性繊維以外に、繊維径が4μmを越え、8μm未満の繊維(以下、「中間繊維径繊維」ということがある)を含んでいることもできる。この中間繊維径繊維の含有量は極細繊維及び接着性繊維との関係から、40mass%以下であるのが好ましく、30mass%以下であるのがより好ましい。つまり、(極細繊維):(接着性繊維):(中間繊維径繊維)=30〜70:70〜30:0〜40であるのが好ましく、(極細繊維):(接着性繊維):(中間繊維径繊維)=35〜65:65〜35:0〜30であるのがより好ましい。
【0012】
本発明の主濾過不織布を構成する繊維(例えば、極細繊維、接着性繊維、中間繊維径繊維など)は未延伸状態にあることもできるが、主濾過不織布が強度的に優れているように、延伸状態にあるのが好ましい。
また、本発明の主濾過不織布を構成する繊維(例えば、極細繊維、接着性繊維、中間繊維径繊維など)の繊維長は特に限定されるものではないが、繊維長が短いほど繊維の自由度が高く、均一に分散させることが可能であり、また繊維を均一に分散させやすい湿式法により主濾過不織布を製造する場合には、繊維長が短い方が好適であることから、主濾過不織布を構成する繊維の繊維長は0.5〜30mmであるのが好ましい。好ましくは、主濾過不織布を構成する繊維(例えば、極細繊維、接着性繊維、中間繊維径繊維など)は繊維長が0.5〜30mmに切断されている。
なお、繊維長はJIS L 1015(化学繊維ステープル試験法)B法(補正ステープルダイヤグラム法)により得られる長さをいう。
【0013】
本発明の主濾過不織布は前述のような繊維から構成された、最大孔径が平均流量孔径の2倍以下(より好ましくは1.9倍以下)の、孔径分布の狭いものである。なお、理想的には最大孔径が平均流量孔径の1倍、つまり全孔径が同じ大きさである。
本発明における「平均流量孔径」はASTM−F316に規定されている方法により得られる値をいい、例えば、ポロメータ(Polometer、コールター(Coulter)社製)を用いてミーンフローポイント法により測定される値であり、「最大孔径」はポロメータ(Polometer、コールター(Coulter)社製)を用いてバブルポイント法により測定される値をいう。
【0014】
この主濾過不織布を構成する繊維(例えば、極細繊維、接着性繊維、中間繊維径繊維など)が実質的に二次元的に配置していると、繊維の配置が規則的であることによって、より一層孔径分布を狭くすることができるため好適な態様である。
なお、「繊維が実質的に二次元的に配置している」とは、主濾過不織布の厚さ方向に向いた繊維が実質的に配置していない状態をいい、例えば、湿式法により形成した繊維ウエブに対して、水流などの流体流を作用させることなく、接着性繊維によって接着した場合に得ることのできる状態である。
【0015】
本発明の主濾過不織布は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、少なくとも極細繊維と接着性繊維とを用意する。この極細繊維として、繊維径がほぼ同じもの、つまり、極細繊維の繊維径分布の標準偏差値を、極細繊維の繊維径の平均値で除した値が0.2以下(好ましくは0.18以下、0以上)の極細繊維を使用することにより、孔径分布が狭い主濾過不織布を製造しやすくなる。なお、湿式法により繊維ウエブを形成する場合には、繊維長が0.5〜30mmの繊維(例えば、極細繊維、接着性繊維、中間繊維径繊維など)を用意する。また、切断する際に圧着しにくい繊維(例えば、極細繊維など)を使用すると、繊維の分散性が向上して、孔径分布の狭い主濾過不織布を製造しやすくなる。
次いで、これらの繊維を使用して、常法の湿式法により繊維ウエブを形成する。本発明において使用する繊維は実質的にフィブリル化していないため、分散浴である水中に繊維を均一に分散させることができ、また繊維を抄き上げるワイヤーに繊維が絡みつくということもないため、地合いの優れる所望の主濾過不織布を製造することができる。
この繊維ウエブを形成する際、繊維の均一な分散状態を維持するために増粘剤を加えたり、水と繊維との親和性を高めるために界面活性剤を加えたり(特に、水との親和性の低い樹脂成分からなる繊維を用いる場合)、攪拌等によって生じる気泡を取り除くために消泡剤を加えると、繊維の分散性が向上して、孔径分布の狭い主濾過不織布を製造しやすくなる。
【0016】
次いで、この繊維ウエブを乾燥すると同時、又は乾燥した後に、接着性繊維の接着成分が接着可能(場合により極細繊維の接着成分も接着可能)な熱(必要により圧力も)を作用させることにより、接着性繊維の接着成分(場合により極細繊維の接着成分も)を接着して、本発明の主濾過不織布を得ることができる。
このように繊維ウエブに水流などの流体流を作用させることなく、接着性繊維の接着成分(場合により極細繊維の接着成分)を接着させて主濾過不織布を製造すると、繊維が三次元的に配置しておらず二次元的に配置した状態にあるため、孔径分布の狭い主濾過不織布を製造しやすくなる。
【0017】
なお、主濾過不織布の密度を高めたり、表面を平滑にするために、カレンダー処理を行ったり、親水性を付与又は高めるために、物理的処理及び/又は化学的処理を行っても良い。
また、主濾過不織布の面密度は5〜200g/m2程度であるのが好ましく、厚さは0.005〜2mm程度であるのが好ましく、見掛密度は0.2〜0.7g/cm3程度であるのが好ましい。
更に、主濾過不織布の平均流量孔径は0.5〜40μm程度であるのが好ましく、0.5〜20μm程度であるのがより好ましい。
【0018】
本発明の筒状フィルタは前述のような主濾過不織布に加えて、前述のような主濾過不織布よりも平均流量孔径の大きい補助濾過繊維シートを含み、主濾過不織布と補助濾過繊維シートとが隣接して積層されており、この補助濾過繊維シートによって大きな固形物を濾過できるため主濾過不織布の負荷を低減することができる結果として濾過寿命を長くすることができ、また補助濾過繊維シートによって主濾過不織布同士の密着を抑制して、主濾過不織布の濾過性能を十分に発揮させることができる。
【0019】
このような補助濾過繊維シートは主濾過不織布よりも平均流量孔径の大きい繊維シートであるが、その程度は濾過する流体などによって適宜変化するため、特に限定するものではないが、主濾過不織布の平均流量孔径よりも2〜40μm程度大きいのが好ましく、2〜20μm程度大きいのがより好ましい。つまり、前述のように主濾過不織布の平均流量孔径は0.5〜40μm程度が好ましく、0.5〜20μm程度であるのがより好ましいため、補助濾過繊維シートの平均流量孔径は2.5〜80μm程度であるのが好ましく、2.5〜60μm程度であるのがより好ましく、2.5〜40μm程度であるのが更に好ましい。
【0020】
このような補助濾過繊維シートとしては、例えば、織物、編物、不織布、或いはこれらの複合体などを使用することができるが、濾過性能の優れる不織布であるのが好ましく、特に、湿式不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー繊維と熱可塑性延伸繊維とが混在する不織布、2種類以上の樹脂成分からなり、外力により分割可能な分割性繊維から発生した2種類以上の極細繊維を含む不織布を使用するのが好ましい。
この湿式不織布は孔径分布が狭いため、筒状フィルタの濾過精度を更に向上させることができる。この「湿式不織布」とは、湿式法により繊維ウエブを形成した後に、繊維ウエブを水流などの流体流によって絡合させたり、繊維ウエブ中に熱可塑性繊維を含ませておいて熱可塑性繊維によって接着させたり、エマルジョンバインダーやラテックスバインダーによって接着させたり、これらを併用することにより繊維同士を結合して得られる不織布をいう。これらの中でも、熱可塑性繊維を含ませておいて熱可塑性繊維によって接着させた湿式不織布は適度な剛性を有し、加工性を更に向上させることができるため好適である。
この熱可塑性繊維としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂など)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などの樹脂を1種類以上含んでいる繊維を使用することができる。これら熱可塑性繊維の中でも、ポリオレフィン系繊維(特に、ポリプロピレン繊維)は耐薬品性に優れ、汎用性にも優れているため好適に使用できる。なお、熱可塑性繊維は1種類である必要はなく、2種類以上含んでいることもできる。この熱可塑性繊維の含有量は多ければ多いほど好ましく、具体的には50mass%以上であるのが好ましく、80mass%以上であるのがより好ましく、100mass%熱可塑性繊維から構成されているのが最も好ましい。
これら熱可塑性繊維以外の繊維として、非熱可塑性繊維(例えば、レーヨン繊維などの再生繊維、アセテート繊維などの半合成繊維、綿や麻などの植物繊維、羊毛などの動物繊維など)を含んでいても良い。
この好適である熱可塑性繊維によって接着した湿式不織布は、例えば、湿式法により繊維ウエブを形成した後、この繊維ウエブを乾燥すると同時、又は乾燥した後に、加熱処理のみ、又は加熱処理と加圧処理とを実施して得ることができる。後者のように加熱処理と加圧処理とを実施する場合には、加熱処理と加圧処理とを同時に実施しても良いし、加熱処理を実施した後に加圧処理を実施しても良い。加熱処理と加圧処理とを同時に実施する場合の加熱温度は、熱可塑性繊維の接着成分の融点より5〜120℃程度低い温度であるのが好ましく、この場合の線圧力は0.05〜4kN/cmであるのが好ましく、0.3〜3kN/cmであるのがより好ましい。また、加熱処理を実施した後に加圧処理を実施する場合の加熱温度は、熱可塑性繊維の接着成分の融点より5〜40℃高い温度であるのが好ましく、この場合の線圧力は0.05〜4kN/cmであるのが好ましく、0.3〜3kN/cmであるのがより好ましい。他方、加熱処理のみを実施する場合の加熱温度は、熱可塑性繊維の接着成分の融点より5〜40℃高い温度であるのが好ましい。
なお、補助濾過繊維シートを構成する湿式不織布として、繊維配合を変えた(例えば、極細繊維の繊維径を変える、接着性繊維の繊維径を変える、極細繊維の配合量を変える、接着性繊維の配合量を変える、これらを組み合わせるなど)こと以外は、前述のような主濾過不織布と同様にして湿式法により製造した湿式不織布を使用することもできる。
また、前述の主濾過不織布と同様にして湿式法により2つ以上の湿式不織布を製造した後、1つの湿式不織布に対して加熱処理及び/又は加圧処理を実施することにより平均流量孔径を小さくして主濾過不織布とし、別の1つの湿式不織布に対していかなる処理も実施していないか、加熱処理及び/又は加圧処理を実施しても程度が低いか、或いは水流などの流体流による絡合処理を実施した湿式不織布を補助濾過繊維シートとして使用することもできる。
更には、前述の主濾過不織布と同様にして湿式法により2つ以上の湿式不織布を製造した後、1つの湿式不織布に対してのみ流体流(例えば、水流)などの絡合処理を実施することにより平均流量孔径を大きくして補助濾過繊維シートとし、別の1つの湿式不織布に対していかなる処理も実施しないで、この湿式不織布を主濾過不織布として使用することができる。
【0021】
本発明の別の補助濾過繊維シートとして、メルトブロー不織布が好適である。このメルトブロー不織布は強い延伸作用を受けていないメルトブロー繊維から構成されているため、加熱処理及び加圧処理を実施することによって、平均流量孔径の調整を容易に実施することができる。
この「メルトブロー不織布」は、メルトブロー法により得られる不織布をいい、例えば、オリフィス径0.1〜0.5mmで、ピッチ0.3〜1.2mmで配置されたノズルピースを温度220〜370℃に加熱し、1つのオリフィスあたり0.02〜1.5g/minの割合でメルトブロー繊維を吐出し、この吐出したメルトブロー繊維に対して、温度220〜400℃、かつ質量比で繊維吐出量の5〜2,000倍量の気体を作用させて製造することができる。
なお、このメルトブロー不織布が厚さ方向と直交する方向において、メルトブロー繊維の多い部分と少ない部分とが混在していると、濾過精度を損なうことなく濾過流量を増加させることができるため好適である。
この好適であるメルトブロー繊維の多い部分と少ない部分とが混在しているメルトブロー不織布は、例えば、メルトブロー繊維を吐出するノズルピースとメルトブロー繊維を受け取る支持体(例えば、コンベア、ロールなど)との距離を長くしたり、メルトブロー繊維を一対のロール(支持体)間(特に、ロール間の距離が変化する一対のロール、ロール間の相対速度が変化する一対のロール、少なくとも一方が偏心ロールである一対のロール)で受け取ったり、メルトブロー繊維に作用させる気体の流量をオリフィスごとに変えたり、或いはメルトブロー繊維に作用させる気体の流量を経時的に変化させることにより、製造することができる。
なお、メルトブロー繊維は前述のような湿式不織布(補助濾過繊維シート)を構成する熱可塑性繊維と同様の樹脂成分1種類以上から構成することができる。メルトブロー繊維が2種類以上の樹脂からなる場合には、断面形状が芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、或いは多重バイメタル型であることができる。
このメルトブロー不織布はオリフィスから吐出されたメルトブロー繊維を支持体で受け止めて集積させたものをそのまま使用しても良いし、平均流量孔径を調節するために、加熱処理及び/又は加圧処理を実施したものを使用しても良い。加熱処理及び加圧処理を実施する場合、加熱処理と加圧処理とを同時に実施しても良いし、加熱処理を実施した後に加圧処理を実施しても良い。加熱処理と加圧処理とを同時に実施する場合の加熱温度はメルトブロー繊維(メルトブロー繊維が融点の異なる2種類以上の熱可塑性樹脂からなる場合には、最も低い融点を有する樹脂)の融点より5〜120℃低い温度であるのが好ましく、この場合の線圧力は0.05〜4kN/cmであるのが好ましく、0.3〜3kN/cmであるのがより好ましい。また、加熱処理を実施した後に加圧処理を実施する場合の加熱温度は、メルトブロー繊維が1種類の熱可塑性樹脂からなる場合は、メルトブロー繊維の融点より5〜120℃低い温度であるのが好ましく、メルトブロー繊維が融点の異なる2種類以上の熱可塑性樹脂からなる場合には、最も低い融点を有する樹脂の融点より5〜40℃高い温度であるのが好ましく、この場合の線圧力はいずれの場合も0.05〜4kN/cmであるのが好ましく、0.3〜3kN/cmであるのがより好ましい。
他方、加熱処理のみを実施する場合の加熱温度は、メルトブロー繊維が1種類の熱可塑性樹脂からなる場合は、メルトブロー繊維の融点より5〜120℃低い温度であるのが好ましく、メルトブロー繊維が融点の異なる2種類以上の熱可塑性樹脂からなる場合には、最も低い融点を有する樹脂の融点より5〜40℃高い温度であるのが好ましい。
【0022】
本発明の別の補助濾過繊維シートとして、スパンボンド不織布が好適である。このスパンボンド不織布は適度な強度を有しているため、更に加工性を向上させることができる。
この「スパンボンド不織布」は、常法のスパンボンド法により得られる不織布をいい、市販されているため容易に入手することができる。
このスパンボンド不織布を構成するスパンボンド繊維は、前述のような湿式不織布(補助濾過繊維シート)を構成する熱可塑性繊維と同様の樹脂成分1種類以上から構成することができる。なお、スパンボンド繊維が2種類の樹脂からなる場合には、断面形状が芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、或いは多重バイメタル型であることができる。
このスパンボンド不織布は常法のスパンボンド法により得られるスパンボンド不織布をそのまま使用しても良いし、平均流量孔径を調節するために、加熱処理及び/又は加圧処理を実施したものを使用しても良い。加熱処理及び加圧処理を実施する場合、加熱処理と加圧処理とを同時に実施しても良いし、加熱処理を実施した後に加圧処理を実施しても良い。加熱処理と加圧処理とを同時に実施する場合の加熱温度は、スパンボンド繊維(スパンボンド繊維が融点の異なる2種類以上の熱可塑性樹脂からなる場合には、最も低い融点を有する樹脂)の融点より5〜120℃低い温度であるのが好ましく、この場合の線圧力は0.3〜3kN/cmであるのが好ましい。また、加熱処理を実施した後に加圧処理を実施する場合の加熱温度は、スパンボンド繊維が1種類の熱可塑性樹脂からなる場合は、スパンボンド繊維の融点より5〜120℃低い温度であるのが好ましく、スパンボンド繊維が融点の異なる2種類以上の熱可塑性樹脂からなる場合には、最も低い融点を有する樹脂の融点より5〜40℃高い温度であるのが好ましく、この場合の線圧力はいずれの場合も0.05〜4kN/cmであるのが好ましく、0.3〜3kN/cmであるのがより好ましい。
他方、加熱処理のみを実施する場合の加熱温度は、スパンボンド繊維が1種類の熱可塑性樹脂からなる場合は、スパンボンド繊維の融点より5〜120℃低い温度であるのが好ましく、スパンボンド繊維が融点の異なる2種類以上の熱可塑性樹脂からなる場合には、最も低い融点を有する樹脂の融点より5〜40℃高い温度であるのが好ましい。
【0023】
本発明の別の補助濾過繊維シートとして、メルトブロー繊維と熱可塑性延伸繊維とが混在する不織布(以下、「混在不織布」ということがある)が好適である。この混在不織布は緻密な構造を有するにもかかわらず、濾過流量が大きく、濾過精度に優れ、しかも濾過寿命も長いという特長を有している。また、強度的に優れ、加工性に優れるという特長もある。
この混在不織布は、メルトブロー法によって製造された平均繊維径(100点以上の箇所における繊維径の平均値)が0.1〜20μmのメルトブロー繊維5〜95mass%と、平均繊維径が10〜100μmの熱可塑性延伸繊維95〜5mass%とが混在しているのが好ましい。
このメルトブロー法によりメルトブロー繊維を製造する条件は特に限定するものではないが、前述のメルトブロー不織布を製造する際の条件と同様の条件下で製造することができる。
このメルトブロー繊維は前述のような湿式不織布(補助濾過繊維シート)を構成する熱可塑性繊維と同様の樹脂1種類以上から構成することができる。なお、メルトブロー繊維が2種類以上の樹脂からなる場合、断面形状は、例えば、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型であることができる。
他方、「熱可塑性延伸繊維」はメルトブロー繊維やスパンボンド繊維のように、ノズルから押し出した繊維に対して空気を作用させるなどして延伸した繊維ではなく、ノズルから押し出した繊維を延伸機などの機械的作用によって延伸した繊維をいう。
この熱可塑性延伸繊維は前述のような湿式不織布(補助濾過繊維シート)を構成する熱可塑性繊維と同様の樹脂1種類以上から構成することができる。なお、熱可塑性延伸繊維が2種類以上の樹脂からなる場合、断面形状は、例えば、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型であることができる。このように熱可塑性延伸繊維が2種類以上の樹脂からなる場合、接着できる樹脂成分(接着成分)を接着させたとしても、接着しない樹脂成分(非接着成分)によって繊維形状を維持することができ、熱可塑性延伸繊維による適度な空間を保持できるため、流体の通過性に優れている。この場合、接着成分と非接着成分との融点差は10℃以上あるのが好ましく、20℃以上あるのがより好ましい。また、熱可塑性延伸繊維の接着成分はメルトブロー繊維の融点(メルトブロー繊維が2種類以上の樹脂からなる場合には、最も低い融点を有する樹脂の融点)よりも10℃以上低いのが好ましく、20℃以上低いのがより好ましい。
この熱可塑性延伸繊維は長繊維であっても短繊維であっても良いが、メルトブロー繊維と均一に混合した状態で存在できるように、短繊維であるのが好ましい。短繊維である場合、繊維長は5〜160mmであるのが好ましく、メルトブロー繊維と絡みやすいように25〜110mmであるのがより好ましい。
この熱可塑性延伸繊維は1種類からなる必要はなく、繊維径、組成、或いは繊維長などの点で相違する2種類以上の熱可塑性延伸繊維を使用しても良い。
このような混在不織布は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、図1に示すように、前述のような条件でメルトブロー装置1から吐出されるメルトブロー繊維2の流れに対して、開繊機3により開繊された熱可塑性延伸繊維4を供給して両者を混合した後、この混合した繊維群をコンベアなどの捕集体5で捕集して混在不織布6を形成できる。
この熱可塑性延伸繊維4を供給する開繊機3としては、カード機やガーネット機などを例示でき、また図2に示すような複数の開繊シリンダ31をハウジング32内に収納した開繊機3は、メルトブロー繊維2の流れに対して勢い良く熱可塑性延伸繊維4を衝突させて、混在不織布6の厚さ方向においてもメルトブロー繊維2と熱可塑性延伸繊維4とが均一に混在しているようにすることができるため好適である。
また、開繊機3によって熱可塑性延伸繊維4を供給する際には、熱可塑性延伸繊維4をメルトブロー繊維2と均一に混合できるように、メルトブロー繊維2の流れに対して、直角方向から熱可塑性延伸繊維4を供給するのが好ましい。例えば、メルトブロー装置1から吐出されるメルトブロー繊維2の流れが水平方向に形成される場合には、このメルトブロー繊維2の流れに対して直角方向上方から熱可塑性延伸繊維4を自然落下させて供給しても良いが、一般的にメルトブロー装置1から吐出されるメルトブロー繊維2の流れは重力の作用する方向と同じ方向であるのが好ましいため、開繊機3から供給される熱可塑性延伸繊維4は、重力の作用する方向に対して直角な方向から供給するのが好ましい。図2の開繊機3においては、このような角度(直角)で熱可塑性延伸繊維4を勢い良く供給できるように、エアを供給することのできるエアノズル33を設けている。
なお、メルトブロー繊維2に対して熱可塑性延伸繊維4を供給する角度を調節することによって、混在不織布6の厚さ方向における熱可塑性延伸繊維4の存在比率を変えることもできる。
このメルトブロー繊維2と熱可塑性延伸繊維4とが混合された繊維群を捕集する捕集体5はロール状のものであっても、ネット状のものであっても良いが、これら繊維群を搬送する気流との衝突によって混在不織布6が乱れたり飛散したりすることがないように、捕集体5は通気性であるのが好ましく、捕集面とは反対側に気流吸引装置を設けるのが好ましい。
このようにして製造された混在不織布はそのまま使用しても良いし、加熱処理及び/又は加圧処理を実施して平均流量孔径を調整するのが好ましい。この加熱処理及び加圧処理は同時に実施しても良いし、加熱処理を実施した後に加圧処理を実施しても良い。加熱処理と加圧処理とを同時に実施する場合の加熱温度は、熱可塑性延伸繊維の接着成分の融点より5〜120℃低い温度であるのが好ましく、この場合の線圧力は0.05〜4kN/cmであるのが好ましく、0.3〜3kN/cmであるのがより好ましい。また、加熱処理を実施した後に加圧処理を実施する場合の加熱温度は、熱可塑性延伸繊維の接着成分の融点より5〜40℃高い温度であるのが好ましく、この場合の線圧力は0.05〜4kN/cmであるのが好ましく、0.3〜3kN/cmであるのがより好ましい。他方、加熱処理のみを実施する場合の加熱温度は、熱可塑性延伸繊維の接着成分の融点より5〜40℃高い温度であるのが好ましい。
【0024】
更に本発明の別の補助濾過繊維シートとして、2種類以上の樹脂成分からなり、外力により分割可能な分割性繊維から発生した2種類以上の極細繊維(以下、「分割極細繊維」という)を含む不織布(以下、「分割不織布」という)が好適である。この分割不織布は緻密な構造を有するにも関わらず、濾過流量が多く、濾過精度に優れている。
この分割不織布を構成する2種類以上の分割極細繊維は、2種類以上の樹脂成分からなり、外力により分割可能な分割性繊維から発生したものである。この分割性繊維は2種類以上の分割極細繊維を発生させることができるように、2種類以上の樹脂成分からなる。
この分割性繊維を構成する樹脂成分としては、例えば、ポリアミド系樹脂(例えば、ナイロン6、ナイロン66など)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、或いはポリオレフィン系樹脂(例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、メチルペンテン共重合体など)などを挙げることができる。これらの中でも、耐薬品性に優れるポリオレフィン系樹脂を含んでいるのが好ましく、ポリオレフィン系樹脂のみ(例えば、プロピレン系樹脂とエチレン系樹脂)から構成されているのがより好ましい。
この分割性繊維は外力により分割可能であるように、前述のような樹脂成分が配置しているのが好ましい。より具体的には、分割性繊維の断面形状は、例えば、図3〜図6に示すようなオレンジ型、図7に示すような多重バイメタル型などであるのが好ましい。
また、分割性繊維を分割することのできる外力としては、例えば、水流などの流体流、ニードル、カレンダー、フラットプレスなどを挙げることができる。これらの中でも分割するだけでなく、繊維同士を絡合することもできる流体流であるのが好ましい。
このような分割性繊維は常法の溶融紡糸法により製造することができる。
この分割不織布は前述のような分割性繊維から発生した2種類以上の分割極細繊維を含むものである。そのため、分割極細繊維の種類数は前述の分割性繊維を構成する樹脂成分数と一致する。
この分割極細繊維の横断面形状は、分割性繊維を構成する樹脂成分の繊維横断面における配置状態によって異なり、分割性繊維の横断面形状が図3のようなオレンジ型である場合には、略三角形状の分割極細繊維のみからなり、図4のようなオレンジ型である場合には、略三角形状の分割極細繊維と略楕円形状の分割極細繊維からなり、図5のようなオレンジ型である場合には、略三角形状の分割極細繊維と略円形状の分割極細繊維からなり、図6のようなオレンジ型である場合には、略三角形状の分割極細繊維と略円形状の分割極細繊維と略楕円形状の分割極細繊維からなり、図7のような多重バイメタル型である場合には、アルファベットの略アイ(I)形状の分割極細繊維のみからなる。
この分割不織布における「分割極細繊維」とは、繊維径が5μm以下の繊維をいい、4μm以下であるのがより好ましい。下限は特に限定するものではないが、0.01μm程度が適当である。
この分割不織布は前述のような分割極細繊維を含むものであるが、分割極細繊維以外に、分割極細繊維の源となった分割していない分割性繊維を含んでいることができる。このような分割性繊維を含んでいることによって、分割不織布に適度な強度を付与することができ、更に加工性を向上させることができる。
このような分割していない分割性繊維は分割不織布の厚さ方向において偏在しているのが好ましい。この場合、分割不織布の厚さ方向において、緻密な領域(分割極細繊維を含む領域)と比較的粗い領域(分割性繊維を含む領域)とが形成されることになるため、濾過効率が良く、濾過寿命が長く、しかも濾過性能が更に向上する。
この分割不織布は更に融着性繊維を含んでいると、融着性繊維が融着していることによって、分割不織布に適度な強度を付与することができるため、更に加工性を向上させることができる。
この融着性繊維の繊維径は分割極細繊維による濾過性能を損なうことがないように、0.5〜25μmであるのが好ましく、1〜20μmであるのがより好ましい。
なお、この融着性繊維は単一成分からなるものであっても良いが、融着後においても繊維形態を維持できるように、2種類以上の樹脂成分からなるのが好ましい。2種類以上の樹脂成分からなる場合、その繊維横断面形状は、例えば、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型などであることができる。これらの中でも、融着に関与できる樹脂(融着成分)の多い芯鞘型、偏芯型又は海島型であるのが好ましい。
この融着性繊維は分割極細繊維を構成する樹脂成分と同様の樹脂成分から構成することができるが、分割極細繊維までも溶融させて、分割極細繊維による濾過性能を損なわないように、融着性繊維の融着成分の融点は最も低い融点を有する分割極細繊維の融点よりも10℃以上低いのが好ましく、20℃以上低いのがより好ましい。また、融着性繊維が2種類以上の樹脂成分からなる場合には、融着性繊維を融着させる際の熱によっても融着性繊維の繊維形状を維持できるように、融着成分以外の樹脂成分(非融着成分)の融点は融着成分の融点よりも10℃以上高いのが好ましく、20℃以上高いのがより好ましい。
この分割不織布は更に親水性繊維を含んでいると、分割不織布に親水性を付与することができ、結果として、親水性に優れる分割不織布とすることができる。このように分割不織布が親水性に優れていると、処理流体が水である場合に、筒状フィルタにおける通水性、すなわち濾過流量を向上させることができ、濾過寿命を向上させることができる。また、加圧ポンプによる濾過方式の場合には、加圧エネルギーの低減及び分割不織布への加圧による負荷を低減することができる。
この「親水性繊維」とは公定水分率が4%以上の繊維をいい、例えば、レーヨン繊維、ポリノジック繊維、キュプラ繊維、アセテート繊維、テンセル繊維(溶剤抽出法により得られるセルロース繊維)などを挙げることができる。
このような分割不織布は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、2種類以上の樹脂成分からなり、外力により分割可能な分割性繊維を用意する。必要であれば融着性繊維や親水性繊維も用意する。
次いで、分割性繊維を含む繊維ウエブを乾式法(例えば、カード法、エアレイ法、スパンボンド法、メルトブロー法など)や湿式法により形成する。
なお、繊維ウエブを形成した後に異種又は同種の繊維ウエブを積層しても良い。例えば、分割性繊維の配合比率の異なる繊維ウエブを積層することにより、厚さ方向において緻密な領域と比較的粗い領域とを有する分割不織布を製造することができる。
次いで、この繊維ウエブに対して水流などの流体流を作用させることにより、分割性繊維を分割して分割極細繊維を発生させると同時に分割極細繊維を絡合して、分割不織布を製造することができる。
本発明で適用できる流体流による処理条件としては、例えば、ノズル径0.05〜0.3mm、ピッチ0.2〜3mmで一列又は二列以上にノズルを配置したノズルプレートから、圧力1MPa〜30MPaの流体流を噴出すれば良い。このような流体流は1回以上、繊維ウエブの片面又は両面に対して噴出する。なお、流体流で処理する際に繊維ウエブを載置するネットや多孔板などの支持体の非開孔部が太いと、得られる分割不織布も大きな孔を有するものとなり、濾過精度が悪くなるため、非開孔部の太さが0.25mm以下の支持体を使用するのが好ましい。
なお、分割性繊維が同種の樹脂成分のみ(例えば、ポリオレフィン系樹脂のみからなる)からなり、分割しにくい場合(例えば、湿式法により繊維ウエブを形成した場合)には、分割性繊維を構成する樹脂成分を融着させた後に流体流を作用させたり、繊維ウエブ中に融着性繊維を混合しておき、融着性繊維を融着させた後に流体流を作用させたり、これらの方法を併用すると、容易に分割することができる。この場合、分割性繊維の分割作用が優先的に発生し、分割極細繊維の絡合はあまり発生しない。そのため、分割不織布に強度を付与するため、再度、分割性繊維を構成する樹脂成分及び/又は融着性繊維を融着させるのが好ましい。
また、前述のように分割していない分割性繊維も含む分割不織布は、例えば、流体流の圧力を低くしたり、流体流を作用させる回数を少なくしたり、流体流を作用させる方向を一方向としたり、流体流を作用させる前に分割性繊維を構成する樹脂成分及び/又は融着性繊維を融着して固定したり、これらの方法を併用することにより製造することができる。
以上の説明は繊維ウエブに対して流体流を作用させて分割不織布を製造すると同時に分割性繊維を分割する方法についてであるが、(1)ニードルにより分割不織布を形成すると同時に分割性繊維を分割しても良いし、(2)繊維ウエブを形成する前に、流体流、ニードル、カレンダー、フラットプレスなどの少なくとも1つの外力を作用させて分割性繊維を分割した後に繊維ウエブを形成し、次いで、流体流やニードルにより絡合したり、融着性繊維を含ませておいて融着性繊維を融着させたり、バインダーにより接着しても良いし、(3)繊維ウエブを結合した後に、流体流、ニードル、カレンダー、フラットプレスの少なくとも1つの外力を作用させて分割性繊維を分割しても、分割不織布を製造することができる。
【0025】
前述のような各種の補助濾過繊維シートは前述のような主濾過不織布と隣接して積層された状態にある。この補助濾過繊維シートは主濾過不織布の片面のみに隣接していても良いし、両面に隣接していても良い。例えば、いわゆるデプス型筒状フィルタの場合には、主濾過不織布の片面のみに対して補助濾過繊維シートが隣接していれば十分であり、いわゆるプリーツ型筒状フィルタの場合には、主濾過不織布の両面に補助濾過繊維シートが隣接しているのが好ましい。なお、補助濾過繊維シートが主濾過不織布の両面に隣接している場合には、平均流量孔径の点において同じ補助濾過繊維シートを隣接させても、平均流量孔径の点において異なる補助濾過繊維シートを隣接させても良い。
なお、主濾過不織布と補助濾過繊維シートとは結合した状態にあっても、結合していない状態にあっても良い。前者のように結合した状態としては、例えば、主濾過不織布と補助濾過繊維シートとを積層した後に加熱処理、又は加熱処理及び加圧処理を実施することにより接着一体化した状態、超音波処理により一体化した状態、ニードルや流体流(好ましくは水流)により絡合一体化した状態、接着剤により接着一体化した状態などがある。
また、主濾過不織布に隣接して積層される補助濾過繊維シートは1種類である必要はなく、2種類以上の補助濾過繊維シートを積層しても良い。このように2種類以上の補助濾過繊維シートを積層する場合、流体の流入側から順に平均流量孔径の小さい補助濾過繊維シートとなるように積層するのが好ましい。なお、2種類以上の補助濾過繊維シートを積層する場合、これら補助濾過繊維シートは結合した状態にあっても、結合していない状態にあっても良い。前者のように結合した状態としては、例えば、加熱処理、又は加熱処理及び加圧処理を実施することにより接着一体化した状態、超音波処理により一体化した状態、ニードルや流体流(好ましくは水流)により絡合一体化した状態、接着剤により接着一体化した状態などがある。
【0026】
本発明の筒状フィルタは前述のような主濾過不織布と補助濾過繊維シートとが隣接して積層された状態で、多孔筒の周囲に配置されたものである。この配置状態としては、例えば、主濾過不織布と補助濾過繊維シートとが多孔筒の周囲に巻回された状態(いわゆるデプス型)や、主濾過不織布と補助濾過繊維シートとが襞折り加工された状態で多孔筒の周囲に配置された状態(いわゆるプリーツ型)、或いはこれら両方の領域を有する状態、などがある。
【0027】
前者のデプス型筒状フィルタにおいては、主濾過不織布と補助濾過繊維シートとが多孔筒の周囲に巻回されているが、その巻回数は特に限定されるものではない。なお、主濾過不織布と補助濾過繊維シートの巻回数は同じであっても異なっていても良い。つまり、主濾過不織布と補助濾過繊維シートとが全周にわたって隣接している必要はなく、一部の領域においてのみ隣接している状態にあっても良い。主濾過不織布と補助濾過繊維シートとが一部の領域においてのみ隣接している場合には、処理流体の流出側において主濾過不織布と補助濾過繊維シートとが隣接しているのが好ましい。つまり、処理流体が筒状フィルタの外側から流入して内側へと流出する場合には、筒状フィルタの内側の層において主濾過不織布と補助濾過繊維シートとが隣接しているのが好ましい。また、処理流体が筒状フィルタの内側から流入して外側へと流出する場合には、筒状フィルタの外側の層において主濾過不織布と補助濾過繊維シートとが隣接しているのが好ましい。
この主濾過不織布及び/又は補助濾過繊維シートはどのように巻回しても良く、平巻き状に巻回しても良いし、螺旋状に巻回しても良い。
また、デプス型の場合、主濾過不織布に隣接して積層される補助濾過繊維シートは1種類である必要はなく、平均流量孔径の点で相違する2種類以上の補助濾過繊維シートを、主濾過不織布から順に平均流量孔径が大きくなるように積層しても良い。このように積層することにより、更に濾過寿命を長くすることができる。より具体的には、主濾過不織布よりも平均流量孔径が2〜40μm程度大きい補助濾過繊維シートを順に積層するのが好ましい。
なお、主濾過不織布と補助濾過繊維シートとが隣接して巻回されている領域とは異なる領域に、前記補助濾過繊維シートよりも平均流量孔径が2〜40μm程度大きい粗濾過繊維シートを巻回又は襞折り加工したものを配置しても良い。このような粗濾過繊維シートを配置することにより、更に濾過寿命を長くすることができる。
この粗濾過繊維シートは補助濾過繊維シートと結合した状態にあっても、結合していない状態にあっても良い。前者のように結合した状態としては、例えば、少なくとも加熱処理する(好ましくは加熱処理及び加圧処理する)ことにより接着一体化した状態、超音波シールにより一体化した状態、ニードルや流体流(好ましくは水流)により絡合一体化した状態、接着剤により接着一体化した状態、などがある。
この粗濾過繊維シートは補助濾過繊維シート(2種類以上ある場合には、最も平均流量孔径の大きい補助濾過繊維シート)よりも平均流量孔径の大きい(2〜40μm程度)ものであれば良く、例えば、補助濾過繊維シートと同様にして製造した湿式不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布、混在不織布(但し、平均流量孔径は大きい)、或いは水流絡合不織布などを使用することができる。
また、主濾過不織布と補助濾過繊維シートとが巻回された領域以外に、主濾過不織布及び/又は補助濾過繊維シートが襞折り加工された状態で配置された領域を有していても良い。
【0028】
本発明の別の筒状フィルタは主濾過不織布と補助濾過繊維シートとが襞折り加工された状態で多孔筒の周囲に配置されたプリーツ型筒状フィルタである。このプリーツ型筒状フィルタの襞折り数は用途や必要物性によって適宜設定すれば良く、特に限定されるものではない。
プリーツ型筒状フィルタにおいては、主濾過不織布と補助濾過繊維シートとが襞折り加工された場合、主濾過不織布の表面同士が密着して濾過面積を減ずる可能性があるばかりでなく、裏面同士が密着して濾過面積を減ずる可能性があるため、主濾過不織布の両面に補助濾過繊維シートを積層するのが好ましい。このように主濾過不織布の両面に補助濾過繊維シートを積層した場合、同じ平均流量孔径を有する補助濾過繊維シートを表裏面に積層しても良いし、異なる平均流量孔径を有する補助濾過繊維シートを表裏面に積層しても良い。
また、プリーツ型筒状フィルタの場合も、主濾過不織布に隣接して積層される補助濾過繊維シートは1種類である必要はなく、平均流量孔径の点で相違する2種類以上の補助濾過繊維シートを、主濾過不織布から順に平均流量孔径が大きくなるように積層しても良い。このように補助濾過繊維シートを積層することにより、更に濾過寿命を長くすることができる。より具体的には、主濾過不織布から順に平均流量孔径が2〜40μm程度づつ大きくなるように補助濾過繊維シートを積層するのが好ましい。このように補助濾過繊維シートを2種類以上積層する場合、主濾過不織布の両面に積層しても良いし、片面のみに積層しても良いが、主濾過不織布の片面にのみ補助濾過繊維シートを2種類以上積層した場合であっても、主濾過不織布の他面には主濾過不織布同士の密着を抑制するために、補助濾過繊維シートを1枚積層するのが好ましい。なお、主濾過不織布の片面のみに2種類以上の補助濾過繊維シートを積層する場合、2種類以上の補助濾過繊維シート側が処理流体の流入側となるように配置するのが好ましい。
なお、主濾過不織布と補助濾過繊維シートとが襞折り加工された状態で配置されている領域とは異なる領域に、前記補助濾過繊維シートよりも平均流量孔径が2〜40μm程度大きい粗濾過繊維シートを巻回した領域を有していても良い。このような粗濾過繊維シートを巻回することにより、濾過寿命を更に長くすることができる。
この粗濾過繊維シートは補助濾過繊維シートと結合した状態にあっても、結合していない状態にあっても良い。前者のように結合した状態としては、例えば、少なくとも加熱処理する(好ましくは加熱処理及び加圧処理する)ことにより接着一体化した状態、超音波シールにより一体化した状態、ニードルや流体流(好ましくは水流)により絡合一体化した状態、接着剤により接着一体化した状態、などがある。
この粗濾過繊維シートは補助濾過繊維シート(2種類以上ある場合には、最も平均流量孔径の大きい補助濾過繊維シート)よりも平均流量孔径の大きい(2〜40μm程度)ものであれば良く、例えば、補助濾過繊維シートと同様にして製造した湿式不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布、混在不織布(但し、平均流量孔径は大きい)、或いは水流絡合不織布などを使用することができる。
また、主濾過不織布と補助濾過繊維シートとが襞折り加工された状態で配置された領域以外に、主濾過不織布及び/又は補助濾過繊維シートが巻回された領域を有するものであっても良い。
なお、襞折り加工は襞折り加工機により実施することができ、その山高さ、山間隔などは使用用途や所望物性などによって適宜設定することができる。
【0029】
本発明の円筒状フィルタを構成する多孔筒は、従来から公知の材料、例えば金属やプラスチックからなるものを使用することができる。
また、本発明の筒状フィルタは上述のような基本構成からなるが、筒状フィルタの両端をキャップで封鎖することにより処理流体が散逸するのを防いだり、筒状フィルタの最外表面に、金属やプラスチックからなる多孔網筒を設置することにより筒状フィルタの形状を保持できるようにするなど、従来から採られている構成を付加することができる。
【0030】
本発明の筒状フィルタは、例えば、食品・飲料、電子、医薬、化学、水処理、写真、塗料、メッキ、染色、機械・鉄鋼など各製造プロセスにおいて使用する液体、又は使用した液体などの流体の濾過に使用することができる。
【0031】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0032】
【実施例】
(実施例1)
海島型繊維として、ポリ−L−乳酸(以下、「PLLA」と表記する)からなる海成分中に、ポリプロピレンからなる島成分が25個存在する、複合紡糸法により得た繊維(繊度1.5デニール、繊維長3mm)を用意した。
次いで、この海島型繊維を、温度80℃、10mass%の水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬し、海島型繊維の海成分であるPLLAを抽出除去して、ポリプロピレン極細繊維(平均繊維径1.8μm、繊維径分布の標準偏差値0.15、融点:172℃、繊維長3mmに切断されたもの、フィブリル化していない、延伸されている、繊維軸方向において実質的に同じ直径を有する)を得た。
他方、接着性繊維として、芯成分がポリプロピレン(融点:158℃)からなり、鞘成分(接着成分)が高密度ポリエチレン(融点:131℃)からなる芯鞘型複合接着性繊維(繊維径11.8μm、繊維長10mmに切断されたもの、フィブリル化していない、延伸されている)を用意した。
次いで、前記ポリプロピレン極細繊維と芯鞘型複合接着性繊維とを質量比50:50の割合で、水からなる分散浴に分散させ、抄紙機により抄造した後、温度140℃で乾燥すると同時に芯鞘型複合接着性繊維の接着成分のみを接着させ、面密度38g/m2、厚さ0.34mm、平均流量孔径12.1μmの湿式不織布(補助濾過不織布)を製造した。
次いで、この補助濾過不織布を金属ロールと樹脂ロールとからなる、温度80℃に設定されたカレンダー間(線圧力:1.8kN/cm)を通して、面密度38g/m2、厚さ0.07mm、平均流量孔径4.1μmの主濾過不織布を製造した。この主濾過不織布を構成する繊維は二次元的に配置しており、また最大孔径は平均流量孔径の1.6倍であった。
次いで、前記主濾過不織布を2枚の前記補助濾過不織布で挟んだ状態で、襞折り加工機により折り幅14mmで襞折り加工を実施して積層濾過材を製造した。
次いで、ポリプロピレン製多孔筒の周囲に、山数が115山となるように前記積層濾過材を配置し、次いでこの積層濾過材の両端を超音波ウエルダー加工機により融着した。そして、多孔筒の長さ方向における両端面にガスケットを接着して、内径30mm、外径69mm、長さ250mmのプリーツ型カートリッジフィルタを製造した。
【0033】
(実施例2)
オリフィス径0.2mmで、ピッチ0.8mmで配置されたノズルピースを温度320℃に加熱し、1つのオリフィスあたり0.06g/minの割合でメルトブロー繊維を吐出し、この吐出したメルトブロー繊維に対して、温度330℃、かつ質量比で繊維吐出量の70倍量の空気を作用させて、重力の作用する方向と同じ方向に平均繊維径1.8μmのポリプロピレン極細繊維2(融点:160℃)の流れを形成した。
このポリプロピレン極細繊維2の流れに対して直角方向から、図2に示すような2本の開繊シリンダ31をハウジング32内に収納し、しかもエアノズル33を備えた開繊機3から、芯成分がポリプロピレン樹脂(融点160℃)からなり、鞘成分がポリエチレン樹脂(135℃)からなる、繊維径21.6μm、繊維長38mmの芯鞘型熱可塑性延伸短繊維4を供給し、前記ポリプロピレン極細繊維2と混合した。なお、ポリプロピレン極細繊維2と芯鞘型熱可塑性延伸短繊維4との混合質量比率は、(ポリプロピレン極細繊維2):(芯鞘型熱可塑性延伸短繊維4)=65:35であった。
この混合された繊維群をコンベヤーベルトで捕集して混在繊維ウエブを形成した。なお、コンベヤーベルトはメッシュ体からなり、ベルトの捕集面とは反対側から気体吸引装置により吸引して、混在繊維ウエブを構成する繊維の乱れを防いだ。
次いで、この混在繊維ウエブを温度145℃雰囲気のドライヤーにより3分間加熱処理を実施し、面密度50g/m2、厚さ0.33mm、平均流量孔径13.7μmの混在不織布(補助濾過不織布)を製造した。
他方、実施例1と全く同様にして製造した主濾過不織布を用意した。
次いで、実施例1と全く同様にして、襞折り加工した積層濾過材の製造、多孔筒の周囲への積層濾過材の配置、ガスケットの接着を実施して、内径30mm、外径69mm、長さ250mmのプリーツ型カートリッジフィルタを製造した。
【0034】
(実施例3)
常法のスパンボンド法により製造した、面密度15g/m2、厚さ0.2mm、平均繊維径37μmのポリプロピレン製スパンボンド不織布を用意した。
他方、オリフィス径0.3mmで、ピッチ0.8mmで配置されたノズルピースを温度330℃に加熱し、1つのオリフィスあたり0.33g/minの割合でメルトブロー繊維を吐出し、この吐出したメルトブロー繊維に対して、温度330℃、かつ質量比で繊維吐出量の220倍量の空気を作用させて、コンベア上に集積させ(ノズルピースとコンベアとの距離:49cm)、メルトブロー繊維量の多い部分と少ない部分とが混在するメルトブロー繊維ウエブを製造した。次いで、このメルトブロー繊維ウエブを130℃雰囲気のドライヤーにより加熱処理を実施した後、線圧力0.2kN/cmの条件下で加圧処理を実施して、面密度30g/m2、厚さ0.17mm、平均繊維径2.1μmのポリプロピレン製メルトブロー不織布を製造した。
次いで、前記ポリプロピレン製スパンボンド不織布と前記ポリプロピレン製メルトブロー不織布とを超音波シールにより一体化し、面密度45g/m2、厚さ0.36mm、平均流量孔径14.0μmの複合不織布(補助濾過不織布)を製造した。
他方、実施例1と全く同様にして製造した主濾過不織布を用意した。
次いで、実施例1と全く同様にして、襞折り加工した積層濾過材の製造(複合不織布のポリプロピレン製メルトブロー不織布が主濾過不織布と当接するように配置)、多孔筒の周囲への積層濾過材の配置、ガスケットの接着を実施して、内径30mm、外径69mm、長さ250mmのプリーツ型カートリッジフィルタを製造した。
【0035】
(実施例4)
常法のスパンボンド法により製造した、面密度25g/m2、厚さ0.24mm、平均繊維径37μm、平均流量孔径40μmのポリプロピレン製スパンボンド不織布(補助濾過不織布)を用意した。
他方、実施例1と全く同様にして製造した主濾過不織布を用意した。
次いで、実施例1と全く同様にして、襞折り加工した積層濾過材の製造、多孔筒の周囲への積層濾過材の配置、ガスケットの接着を実施して、内径30mm、外径69mm、長さ250mmのプリーツ型カートリッジフィルタを製造した。
【0036】
(実施例5)
海島型繊維として、PLLAからなる海成分中に、ポリプロピレンからなる島成分が25個存在する、複合紡糸法により得た繊維(繊度1.3デニール、繊維長3mm)を用意した。
次いで、この海島型繊維を、温度80℃、10mass%の水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬し、海島型繊維の海成分であるPLLAを抽出除去して、ポリプロピレン極細繊維(平均繊維径1.4μm、繊維径分布の標準偏差値0.12、融点:172℃、繊維長3mmに切断されたもの、フィブリル化していない、延伸されている、繊維軸方向において実質的に同じ直径を有する)を得た。
他方、接着性繊維として、芯成分がポリプロピレン(融点:164℃)からなり、鞘成分(接着成分)が低密度ポリエチレン(融点:105℃)からなる芯鞘型複合接着性繊維(繊維径17.5μm、繊維長10mmに切断されたもの、フィブリル化していない、延伸されている)を用意した。
次いで、前記ポリプロピレン極細繊維と芯鞘型複合接着性繊維とを、質量比50:50の割合で、水からなる分散浴に分散させ、抄紙機により抄造した後、温度140℃で乾燥すると同時に芯鞘型複合接着性繊維の接着成分のみを接着させた後、金属ロールと樹脂ロールとからなる、温度80℃に設定されたカレンダー間(線圧力:1.8kN/cm)を通して、面密度36g/m2、厚さ0.07mm、平均流量孔径2.6μmの主濾過不織布を製造した。この主濾過不織布を構成する繊維は二次元的に配置しており、また最大孔径は平均流量孔径の1.5倍であった。
他方、実施例1と全く同様の湿式不織布(補助濾過不織布)及び実施例4と全く同様のポリプロピレン製スパンボンド不織布(補助濾過不織布)を用意した。次いで、実施例1と全く同様にして、襞折り加工した積層濾過材の製造(湿式不織布とポリプロピレン製スパンボンド不織布により主濾過不織布を挟持)、多孔筒の周囲への積層濾過材の配置(ポリプロピレン製スパンボンド不織布が内側となるように配置)、ガスケットの接着を実施して、内径30mm、外径69mm、長さ250mmのプリーツ型カートリッジフィルタを製造した。
【0037】
(比較例1)
実施例5と同様にして製造したポリプロピレン極細繊維と実施例5と同様の芯鞘型複合接着性繊維とを7:3の質量比で使用したこと以外は、実施例5と全く同様にして芯鞘型複合接着性繊維の接着成分のみを接着させた、面密度38g/m2、厚さ0.28mm、平均流量孔径6.9μmの湿式不織布を製造した(カレンダー加工は未実施)。また、この湿式不織布の最大孔径は、平均流量孔径の1.7倍であった。
次いで、この湿式不織布に対して、径0.3mm、ピッチ0.6mmで一列に配列したノズルプレートから、0.3MPaの圧力で水流を噴出し、湿式不織布の両面を交互に2回づつ処理して、繊維が実質的に三次元的に絡合した、面密度38g/m2、厚さ0.28mm、平均流量孔径5.3μmの絡合不織布を製造した。この絡合不織布の最大孔径は平均流量孔径の2.3倍であった。
次いで、この絡合不織布を金属ロールと樹脂ロールとからなる、温度80℃に設定されたカレンダー間(線圧力:1.8kN/cm)を通して、面密度38g/m2、厚さ0.07mm、平均流量孔径2.1μmの圧着不織布を製造した。この圧着不織布を構成する繊維は三次元的に配置しており、また最大孔径は平均流量孔径の2.1倍であった。
他方、実施例1と同様の湿式不織布(補助濾過不織布)及び実施例4と同様のポリプロピレン製スパンボンド不織布(補助濾過不織布)を用意した。
次いで、前記圧着不織布を湿式不織布とポリプロピレン製スパンボンド不織布により挟んだ状態で、襞折り加工機により折り幅14mmで襞折り加工を実施して積層濾過材を製造した。
次いで、実施例1と全く同様にして、多孔筒の周囲への積層濾過材の配置(ポリプロピレン製スパンボンド不織布が内側となるように配置)、ガスケットの接着を実施して、内径30mm、外径69mm、長さ250mmのプリーツ型カートリッジフィルタを製造した。
【0038】
(実施例6)
実施例3と同様にして製造した複合不織布(補助濾過不織布、320cm長)及び実施例1と同様にして製造した主濾過不織布(60cm長)を用意した。
また、メルトブロー法により製造した、面密度が80g/m2で平均流量孔径6μmのメルトブロー不織布A(40cm長)、面密度が80g/m2で平均流量孔径8μmのメルトブロー不織布B(40cm長)、及び面密度が80g/m2で平均流量孔径10μmのメルトブロー不織布C(40cm長)をそれぞれ用意した。
次いで、前記複合不織布(補助濾過不織布)の左端から120cmの所と前記主濾過不織布の左端とが一致するように、前記複合不織布の上に主濾過不織布を積層し、次いで、前記主濾過不織布の右端とメルトブロー不織布Aの左端とが一致するように、前記複合不織布の上に前記メルトブロー不織布Aを積層し、次いで、前記メルトブロー不織布Aの右端とメルトブロー不織布Bの左端とが一致するように、前記複合不織布の上に前記メルトブロー不織布Bを積層し、そして、前記メルトブロー不織布Bの右端とメルトブロー不織布Cの左端とが一致するように、前記複合不織布の上に前記メルトブロー不織布Cを積層して、濾過材積層体を製造した。
次いで、ポリプロピレン製多孔筒の周囲に、前記濾過材積層体の主濾過不織布等を積層した側が内側となるように、前記濾過材積層体の左端から平巻き状に巻回し、内径3cm、外径6.5cm、長さ25cmのデプス型筒状フィルタを製造した。
【0039】
(比較例2)
実施例6で用いた主濾過不織布に代えて、比較例1と同様にして製造した圧着不織布を使用したこと以外は、実施例6と全く同様にして、内径3cm、外径6.5cm、長さ25cmのデプス型カートリッジフィルタを製造した。
【0040】
実施例1〜6及び比較例1〜2のカートリッジフィルタの性能を、次のようにして調べた。
1.通水抵抗
各々のカートリッジフィルタに流量25L/分で通水した時の圧力損失を測定し、通水抵抗とした。この結果は表1に示す通りであった。
2.濾過効率
JIS11種の塵埃を水に分散させた濃度10ppmの試験液を、均一に攪拌しながら各々のカートリッジフィルタに流量25L/分で通水して、通水1分後の濾液を採取した。この濾液及び濾過前の試験液に含まれる各粒径別の粒子数を粒度分布測定機(コールター(COULTER)社製、コールターマルチサイザーツー(COULTER MultisizerII))により測定した。次いで、それぞれの粒径における濾過効率を下記の式から算出し、100%の濾過効率が得られる粒径をそのカートリッジフィルタの濾過精度とした。この結果は表1に示す通りであった。
濾過効率[%]={(A−B)/A}×100
A:濾過前の粒子数、B:濾過後の粒子数
3.濾過寿命
JIS11種の塵埃を水に分散させた所定濃度(実施例1〜5及び比較例1のプリーツ型カートリッジフィルタに関しては20ppm、実施例6及び比較例2のデプス型カートリッジフィルタに関しては100ppm)の試験液を、均一に攪拌しながら各々のカートリッジフィルタに流量25L/分で通水させた。圧力損失を各通水量に対して順次測定し、初期圧力との差圧が200kPaになるまでに処理された総通水量を濾過寿命とした。この結果は表1に示す通りであった。
【表1】
この表1から本発明のプリーツ型カートリッジフィルタ、デプス型カートリッジフィルタのいずれも通水抵抗が低く、濾過精度及び濾過寿命の長い優れたものであることがわかった。
また、本発明の筒状フィルタに使用した主濾過不織布及び補助濾過不織布からなる積層濾過材は主濾過不織布を損傷することなく、加工(襞折り加工、巻回加工)することができるものであった。このことは、表1の濾過精度を損なうことなく、濾過寿命が長く、優れた濾過性能を有するという点からも、加工時に主濾過不織布が損傷していないことがわかった。また、本発明の積層濾過材は襞折り加工時や巻回加工時の取り扱い作業性に優れるものであった。
【0041】
【発明の効果】
本発明の筒状フィルタは濾過寿命が長く、濾過性能に優れ、更には加工性(例えば、襞折り加工性、巻回性)良く製造できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 繊維ウエブの製造工程の一例を表す工程図
【図2】 開繊機の一例の断面模式図
【図3】 本発明で使用できる分割性繊維の模式的断面図
【図4】 本発明で使用できる別の分割性繊維の模式的断面図
【図5】 本発明で使用できる更に別の分割性繊維の模式的断面図
【図6】 本発明で使用できる更に別の分割性繊維の模式的断面図
【図7】 本発明で使用できる更に別の分割性繊維の模式的断面図
【符号の説明】
1 メルトブロー装置
2 メルトブロー繊維
3 開繊機
31 開繊シリンダ
32 ハウジング
33 エアノズル
4 熱可塑性延伸繊維
5 捕集体
6 混在不織布
A 分割性繊維
Claims (6)
- 繊維径20μm未満の繊維から製造された主濾過不織布であり、前記繊維として、複合紡糸法で得た海島型繊維の海成分を除去することにより得た繊維径が4μm以下の極細繊維と、繊維径が8μm以上、20μm未満の接着した複合紡糸法又は混合紡糸法により紡糸した接着性繊維とからなり、しかも最大孔径が平均流量孔径の2倍以下である、接着性繊維の溶融のみによって各繊維が接着されているとともに、カレンダー処理されて製造された主濾過不織布と、この主濾過不織布よりも平均流量孔径の大きい補助濾過繊維シートとを含み、前記主濾過不織布と前記補助濾過繊維シートとが隣接して積層された状態で、多孔筒の周囲に配置されていることを特徴とする筒状フィルタ。
- 前記極細繊維の繊維径分布の標準偏差値を、前記極細繊維の繊維径の平均値で除した値が0.2以下であることを特徴とする、請求項1記載の筒状フィルタ。
- 前記補助濾過繊維シートが、湿式不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー繊維と熱可塑性延伸繊維とが混在する不織布、2種類以上の樹脂成分からなり、外力により分割可能な分割性繊維から発生した2種類以上の極細繊維を含む不織布の中から選ばれる不織布からなることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の筒状フィルタ。
- 多孔筒の周囲に、前記主濾過不織布と前記補助濾過繊維シートとが巻回された状態で配置された領域を有することを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の筒状フィルタ。
- 多孔筒の周囲に、前記主濾過不織布と前記補助濾過繊維シートとが襞折り加工された状態で配置された領域を有することを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の筒状フィルタ。
- 前記補助濾過繊維シートよりも平均流量孔径の大きい粗濾過繊維シートが配置された領域を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の筒状フィルタ。
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