JP4070561B2 - 無段変速機のロックアップ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロックアップクラッチの締結・開放によって入出力要素間をロックアップ可能なトルクコンバータと、このトルクコンバータからの回転を入力として無段階の変速が可能な無段変速機構とを備える無段変速機のロックアップ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無段変速機は、ベルト型やトロイダル型などの無段変速機構と共に、その伝動系にトルクコンバータを備え、このトルクコンバータによりトルク増大を行ったり、トルク変動を吸収するようになすのが一般的であるが、トルクコンバータは、入出力要素間の動力伝達を作動流体を介して行うため伝達効率が悪いという問題がある。
【0003】
このため、近年のトルクコンバータは、トルク増大機能およびトルク変動吸収機能が不要な走行状態のもとで、入出力要素間をロックアップクラッチの締結により直結するようにしたロックアップ式に構成し、これにより伝動効率および燃費の向上を図るのが常套である。かかる構成にあっては、低車速までトルクコンバータをロックアップさせておくようにロックアップ領域を拡大させることにより、燃費のさらなる向上を図ることができる。
【0004】
一方、無段変速機構は、車両の走行状態に応じて変速比を無段階に変更させることにより変速ショックの無い快適な走行を提供するものであって、車両が停止するに際しては、発進時に必要な動力を確保するため、車両が停止したときの変速比がこの無段変速機構で得られる最も大きな変速比(最Low変速比)になるように制御される。
【0005】
しかしながら、こうした無段変速機構にあっては、車両が急停止するなどの予期せぬ要因によって、変速比が必ずしも最Low変速比まで戻らないことがあり、この状態のまま車両を再発進させると、変速比が比較的小さい状態のままから発進する、所謂、Hi側発進が行われることになる。
【0006】
このため、かかる構成の無段変速機にあっては、従来の自動変速機などのようにスロットル開度と車速とでロックアップ領域を設定した場合、発進直後などの比較的無段変速機の入力回転数Niが低いとエンジンがガクガク振動を発生するなど運転性が悪化するため、無段変速機構の入力回転数Niが極めて小さい極低車速域ではロックアップを禁止してエンジンと無段変速機構を直結させないでおくことにより運転性の悪化を防ぐことが提案されている(例えば、引用文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−242865号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、本願発明者の研究開発の結果、単に入力回転数Niだけでロックアップを禁止する領域を設定した場合、無段変速機構が正常に機能して変速比が比較的大きな状態のままから発進する、所謂、Low側発進が行われてガクガク振動の心配のない場合であっても、禁止領域を抜けるまではロックアップクラッチが開放状態となるため、伝動効率および燃費の面で改善の余地があることが明らかになった。
【0009】
本発明の解決すべき課題は、かかる事実認識に基づいてなされたものであって、ロックアップ禁止領域を設けて発進時などの極低車速域でのエンジン停止やガクガク振動を防止しつつ、このロックアップ禁止領域を最小限に抑えてロックアップ領域の拡大を図ることにより伝動効率および燃費の向上を図ることができる無段変速機のロックアップ装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、ロックアップクラッチの締結・開放によって入出力要素間をロックアップ可能なトルクコンバータと、このトルクコンバータからの回転を入力として無段階の変速が可能な無段変速機構と、車速VSPを検出する車速検出手段と、車速によりロックアップ領域であると判断したときには、ロックアップクラッチを締結するロックアップクラッチ制御手段とを備える無段変速機のロックアップ制御装置において、無段変速機構の入力回転数Niおよび出力回転数Noを検出する手段を設け、前記ロックアップクラッチ制御手段は、入力回転数Niが所定値Ni(1)以下、かつ、車速VSPが所定の車速VSP(1)以上、かつ、入力回転数Niに対する出力回転数Noの回転数比が所定値Ip(0)以下で規定される領域内の走行条件では、ロックアップ領域と判定されていても、ロックアップクラッチの締結を禁止するようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1記載のロックアップ制御装置において、前記ロックアップクラッチ制御手段は、入力回転数Niが所定値Ni(2)(>Ni(1))以下、かつ、車速VSPが所定値VSP(2)(<VSP(1))以上で規定される領域内の走行状態では、前回のロックアップクラッチの締結または開放状態を今回のロックアップクラッチの状態として維持するようにしたものである。また、請求項3に記載の発明は、上記請求項1又は2において、所定値I p(0) は、入力回転数N i が所定値N i(1) 以下、かつ、車速VSPが所定値VSP (1) 以上で規定される領域内と、当該領域外を通る値に設定されていることを特徴するものである。
【0012】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、無段変速機構の入力回転数Niが所定値Ni(1)以下で規定される領域内の走行状態でロックアップクラッチの締結を禁止したことから、変速比が比較的小さい状態のままから発進する、所謂、Hi側発進が行われるときに発生するエンジンの停止を防止することができる。ところが、この条件だけでは、車速VSPが0km/hからロックアップを禁止してしまうことになるため、車両が発進した直後の極低車速域でのロックアップが不可能となる。このため、新たな条件として、車速VSPが所定の車速VSP(1)以上で規定される領域内の走行状態でロックアップクラッチの締結を禁止すれば、車両が発進した直後のロックアップが可能となる。しかしながら、これらの条件だけの場合、無段変速機構が正常に機能して変速比が比較的大きな状態のままから発進する、所謂、ガクガク振動の心配のないLow側発進が行われている際にも関わらずロックアップができない領域が発生してしまう。そこでさらなる条件として、入力回転数Niに対する出力回転数Noの回転数比Ipが所定値Ip(0)以上で規定される領域内の走行状態でロックアップクラッチの締結を禁止するようにしたことから、Low側発進が行われている際のロックアップを確保することができる。
【0013】
かかる構成によれば、ロックアップクラッチの締結を禁止する第一の条件として、入力回転数Niが所定値Ni(1)以下、かつ、車速VSPが所定の車速VSP(1)以上で規定される領域内の走行条件が存在することにより、車両が急停止するなどの予期せぬ要因によって、変速比が比較的小さい状態のままから発進せざるを得ない状況にあっても、Hi側発進が行われる走行状態でのロックアップクラッチの締結が禁止されるため、エンジンが停止してしまったり、ガクガク振動による動力性能の低下という不都合が起きない。
しかも、かかる構成によれば、ロックアップクラッチの締結を禁止する第二の条件として、入力回転数Niに対する出力回転数Noの回転数比Ipが所定値Ip(0)以下で規定される領域内の走行状態も条件に付加したことにより、Low側発進が行われている際のロックアップを確保できるため、ロックアップ禁止領域を設けたことによる伝動効率および燃費の悪化を最小限に抑えることができる。
【0014】
従って請求項1に係る発明によれば、発進時などの極低車速域でのエンジン停止を防止しつつロックアップ領域の拡大を図ることにより伝動効率および燃費の向上を図ることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載のロックアップ制御装置において、前記ロックアップクラッチ制御手段が入力回転数Niが所定値Ni(2)(>Ni(1))以下、かつ、車速VSPが所定値VSP(2)(<VSP(1))以上で規定される領域内の走行状態では、前回のロックアップクラッチの締結または開放状態を今回のロックアップクラッチの状態として維持するようにしたことにより、トルクコンバータをロックアップすることを禁止する領域と、トルクコンバータをロックアップすることができる領域との間において、ロックアップクラッチが締結・開放のハンチングを繰り返すことを防止できるため、より安定したロックアップ制御を提供することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明による無段変速機のロックアップ制御装置を備えた車両のパワートレーンを、ロックアップ制御システムと共に示す概念図である。
【0018】
図1において、符号1はエンジン、符号2は無段変速機をそれぞれ示す。
無段変速機2は、トルクコンバータ3、前後進切り替え機構4および無段変速機構5のタンデム結合になり、トルクコンバータ3を経て入力されたエンジン1からの回転を、前後進切り替え機構4を介して無段変速機構5により変速して出力する。
【0019】
トルクコンバータ3は周知の通り、基本的には内部作動流体を介して入出力要素間での動力伝達を行うが、ロックアップクラッチ6の適宜締結により入出力要素間を直結されたロックアップ状態にし得る。
【0020】
ロックアップクラッチ6は、周知のロックアップソレノイドおよびロックアップ制御弁よりなるアクチュエータ7を介してデューティ制御し、このアクチュエータ7の駆動デューティDをコントローラ7が制御する。このため、コントローラ8には、エンジン1のスロットル開度TVOを検出するスロットル開度センサ9からの信号と、車速VSPを検出する車速センサ10からの信号と、無段変速機構5の入力回転数Niを検出する入力回転センサ11からの信号と、無段変速機構5の出力回転数Noを検出する出力回転センサ12からの信号と、運転者が操作するシフトレバー等により選択したレンジを検出するインヒビタスイッチ13からの信号とから後述する予定のマップをもとにトルクコンバータ3をロックアップ状態にすべきロックアップ領域での運転中か、ロックアップすべきでないコンバータ領域での運転中かを判定するロックアップ領域検出部14からの結果を入力する。なお、車速VSPは、車速センサ10からではなく、出力回転センサ12の出力回転数Noから算出してもよい。
【0021】
ロックアップ領域検出部14は、通常、周知の如く、スロットル開度TVOおよび車速VSPから図2に示す如くのロックアップ領域線図をもとにトルクコンバータ3をロックアップ領域での運転中か、コンバータ領域での運転中かを判定する。
【0022】
具体的には、図3のフローチャートに示す如く、ステップ110にて、図2に示す如くのロックアップ領域線図をインヒビタスイッチ13で検出した選択レンジに応じて決定し、ステップ112にて、このロックアップ領域線図をもとに車速センサ10から検出した車速VSPが図2の実線に示すロックアップ線L/Uonよりも大きいかどうかを判断する。このステップ112にて車速VSPがロックアップ線L/Uonより大きな走行状態であれば、ステップ113にてロックアップクラッチ5を締結してトルクコンバータ3をロックアップするように指令する。またステップ112にて、車速VSPがロックアップ線L/Uonよりも小さい走行状態であれば、ステップ114にて、車速VSPが図2の破線に示すロックアップ解除線L/Uoffよりも小さいかどうかを判断する。このステップ114にて車速VSPがロックアップ解除線L/Uoffより小さい走行状態であれば、ステップ115にてロックアップクラッチ6の締結を解除してトルクコンバータ3をコンバータ状態とするように指令し、そうでなければ、そのままフローチャートに沿った制御を終了し、前回のロックアップクラッチ6の締結または開放状態を今回のロックアップクラッチ6の状態として維持する。
【0023】
これに対し、本発明のロックアップ制御装置では、さらにロックアップ領域検出部14に入力した無段変速機構5の入力回転数Niおよび出力回転数Noから入力回転数Niに対する出力回転数Noの回転数比Ip(=Ni/No)を算出して、図4に示す如くのロックアップ可能領域線図をもとにトルクコンバータ3をロックアップできる領域での運転中か、ロックアップを解除してコンバータ状態にできる領域での運転中かを判定する。
【0024】
図4のロックアップ可能領域線図に示す如く、無段変速機構5の入力回転数Niが例えば所定値Ni(1)(=800rpm)以下で規定される領域内の走行状態でロックアップクラッチの締結を禁止すれば、変速比が比較的小さい状態のままから発進する、所謂、Hi側発進が行われるときに発生するエンジン1の停止やガクガク振動の発生による動力性能の低下を防止することができる。
【0025】
しかしながら、この条件だけでは、車速VSPが0km/hからロックアップを禁止してしまうことになるため、車両が発進した直後の極低車速域でのロックアップが不可能となる。このため、新たな条件として、車速VSPが例えば所定の車速VSP(1)(=4km/h)以上で規定される領域内の走行状態だけでロックアップクラッチ6の締結を禁止すれば、車両が発進した直後もロックアップが可能となる。
【0026】
ところで、無段変速機構5の変速比は、図4のロックアップ可能領域線図において回転数比Ipのような傾きの直線で表され、変速比が比較的大きな状態のままから発進する、所謂、Low側発進では、一点鎖線Ip(1)で例示する如く、変速比が大きくなるほど勾配の大きな直線となり、逆に、変速比が比較的小さな状態のままから発進する、所謂、Hi側発進では二点鎖線Ip(2)で例示する如く、変速比が大きくなるほど勾配の小さな直線となる。
【0027】
このため、入力回転数Niおよび車速VSPの条件だけの場合、例えば図4の領域C1にあっては、無段変速機構5が正常に機能してLow側発進が行われているにも関わらずロックアップができなくなってしまうことがある。そこでさらなる条件として予め、例えば最大変速比よりも所定量だけ小さい回転数比Ip(0)を設定し、入力回転センサ11および出力回転センサ12から算出された回転数比Ipが所定値Ip(0)以下で規定される領域内の走行状態でロックアップクラッチ6の締結を禁止すれば、Low側発進が行われている際の図4に例示する領域C1でのロックアップを確保することができる。
【0028】
具体的には、図5のフローチャートに示す如く、ステップ121にて、車速センサ10から検出した車速VSPが所定の車速VSP(1)よりも大きいかどうかを判断する。このステップ121にて車速VSPが車速VSP(1)よりも大きな走行状態であれば、ステップ122にて、入力回転センサ11および出力回転センサ12からの信号をもとに回転数比Ip(=Ni/No)が予め設定された所定の回転数比Ip(0)よりも小さいかどうかを判断する。このステップ122にて、回転数比Ipが回転数比Ip(0)よりも小さい走行状態であれば、ステップ123にて、入力回転数Niが所定値Ni(1)よりも小さいかどうかを判断する。このステップ123にて、入力回転数Niが所定値Ni(1)よりも小さい走行状態であれば、ステップ124にてロックアップクラッチ6の締結を禁止してトルクコンバータ3をコンバータ状態とするように指令する。このロックアップ禁止域は、図4のロックアップ可能領域線図において領域Aにあたる。
【0029】
かかる構成によれば、ロックアップクラッチ6の締結を禁止する第一の条件として、入力回転数Niが所定値Ni(1)以下、かつ、車速VSPが所定の車速VSP(1)以上で規定される領域内の走行条件が存在することにより、車両が急停止するなどの予期せぬ要因によって、回転数比Ip(変速比)が比較的小さい状態のままから発進せざるを得ない状況にあっても、Hi側発進が行われる走行状態でのロックアップクラッチ6の締結が禁止されるため、エンジン1が停止してしまったり、ガクガク振動が発生するという不都合が起きない。
【0030】
しかも、かかる構成によれば、ロックアップクラッチ6の締結を禁止する第二の条件として、回転数比(変速比)Ipが所定値Ip(0)以下で規定される領域内の走行状態も条件に付加したことにより、無段変速機構5が正常に機能してLow側発進が行われているにもかかわらずロックアップが解除されてしまう領域C1でのロックアップを確保できるため、ロックアップ禁止領域を設けたことによる伝動効率および燃費の悪化を最小限に抑えることができる。
【0031】
従って本実施形態によれば、発進時などの極低車速域でのエンジン1の停止を防止しつつロックアップ領域の拡大を図ることにより伝動効率および燃費の向上を図ることができる。なお、上記フローチャートにおけるステップ121〜123にあっては、その判断の優先順位はこれに限ることなく、入力回転数Niまたは回転数比Ipを優先して判断してもよい。
【0032】
これに対し、ステップ121にて車速VSPが車速VSP(1)よりも小さい走行状態、回転数比Ipが回転数比Ip(0)よりも大きい走行状態、または、入力回転数Niが所定値Ni(1)よりも大きい走行状態のいずれかであれば、さらにステップ125にて、車速VSPが例えば所定の車速VSP(2)(<VSP(1))(=2km/h)よりも小さいかどうかを判断する。このステップ125にて車速VSPが車速VSP(2)よりも小さい走行状態であれば、さらにステップ126にて、入力回転数Niが例えば所定値Ni(2)(>Ni(1))(=1000rpm)よりも大きいかどうかを判断する。このステップ126にて、入力回転数Niが所定値Ni(2)よりも大きい走行状態であれば、ステップ127にて、例えば図3,4で説明した既知のロックアップ制御をもとに、ロックアップクラッチ6の締結・解除を適宜指令し、ロックアップ状態またはコンバータ状態が可能となるようにする。このロックアップ可能域は、図4のロックアップ可能領域線図において領域Bにあたる。
【0033】
さらに本実施形態では、ステップ125にて車速VSPが車速VSP(2)よりも大きな走行状態、または、ステップ126にて入力回転数Niが所定値Ni(2)よりも小さい走行状態のいずれかであれば、そのまま図5のフローチャートに沿った制御を終了し、前回のロックアップクラッチ6の締結または開放状態を今回のロックアップクラッチ6の状態として維持する。即ち、ステップ125,126では、前回ロックアップクラッチ6を締結してトルクコンバータ3をロックアップさせていれば、そのままトルクコンバータ3のロックアップ状態を維持し、前回ロックアップクラッチ6を開放してトルクコンバータ3をロックアップさせていなければ、そのままトルクコンバータ3のコンバータ状態を維持する。この状態Keep域は、図4のロックアップ可能領域線図において領域Cにあたる。
【0034】
こうしたステップ125,126による条件判断を実行すれば、トルクコンバータ3をロックアップすることを禁止する領域Aと、トルクコンバータ3をロックアップすることができる領域Bとの間に存在するKeep域Cにおいて、ロックアップクラッチ6が締結・開放のハンチングを繰り返すことを防止できるため、より安定したロックアップ制御を提供することができる。但し、上記フローチャートにおけるステップ125,126にあっては、その判断の優先順位はこれに限ることなく、入力回転数Niを優先して判断してもよい。
【0035】
なお、図6には、無段変速機構5の一例となるVベルト式無段変速機構の概略を示す。
Vベルト式無段変速機構5はプライマリプーリ51およびセカンダリプーリ52を両者のV溝が整列するよう配して具え、これらプーリ51,52のV溝にVベルト53を掛け渡す。
【0036】
プライマリプーリ51に同軸にエンジン1を配置し、このエンジン1およびプライマリプーリ51間にエンジン1の側から順次ロックアップトルクコンバータ3および前後進切り替え機構4を設ける。
【0037】
前後進切り替え機構4は、ダブルピニオン遊星歯車組4aを主たる構成要素とし、そのサンギヤをトルクコンバータ3を介してエンジン1に結合し、キャリアをプライマリプーリ51に結合する。
前後進切り替え機構4は更に、ダブルピニオン遊星歯車組4aのサンギヤおよびキャリア間を直結する前進クラッチ4b、およびリングギヤを固定する後進ブレーキ4cを具え、前進クラッチ4bの締結時にエンジン1からトルクコンバータ3を経由した入力回転をそのままプライマリプーリ51に伝達し、後進ブレーキ4cの締結時にエンジン1からトルクコンバータ3を経由した入力回転を逆転減速下にプライマリプーリ51へ伝達するものとする。
【0038】
プライマリプーリ51への回転はVベルト53を介してセカンダリプーリ52に伝達され、セカンダリプーリ52の回転はその後、出力軸54、歯車組55およびディファレンシャルギヤ装置56を経て図示せざる車輪に至る。
上記の動力伝達中にプライマリプーリ51およびセカンダリプーリ52間における回転伝動比(変速比)を変更可能にするために、プライマリプーリ51およびセカンダリプーリ52のV溝を形成するフランジのうち一方を固定フランジ51a,52aとし、他方のフランジ51b,52bを軸線方向へ変位可能な可動フランジとする。
これら可動フランジ51b,52bはそれぞれ、詳しくは後述するごとくに制御するライン圧を元圧として作り出したプライマリプーリ圧Ppriおよびセカンダリプーリ圧Psecをプライマリプーリ室51cおよびセカンダリプーリ室52cに供給することにより固定フランジ51a,52aに向け附勢し、これによりVベルト53をプーリフランジに摩擦係合させてプライマリプーリ51およびセカンダリプーリ52間での前記動力伝達を可能にする。
なお本実施の形態においては特に、プライマリプーリ室51cおよびセカンダリプーリ室52cの受圧面積を同じにし、プーリ51,52の一方が大径になることのないようにし、これによりVベルト式無段変速機構の小型化を図る。
【0039】
なお変速に際しては、後述のごとく目標変速比に対応させて発生させたプライマリプーリ圧Ppriおよびセカンダリプーリ圧Psec間の差圧により両プーリ51,52のV溝幅を変更して、これらプーリ51,52に対するVベルト53の巻き掛け円弧径を連続的に変化させることで目標変速比を実現することができる。
【0040】
プライマリプーリ圧Ppriおよびセカンダリプーリ圧Psecの出力は、前進走行レンジの選択時に締結すべき前進クラッチ4bおよび後進走行レンジの選択時に締結すべき後進ブレーキ4cの締結油圧の出力と共に変速制御油圧回路100により制御し、この変速制御油圧回路100は変速機コントローラ8からの信号に応答して当該制御を行うものとする。
このため変速機コントローラ8には、プライマリプーリ回転数Npriを検出するプライマリプーリ回転センサ11からの信号と、セカンダリプーリ回転数Nsecを検出するセカンダリプーリ回転センサ12からの信号と、セカンダリプーリ圧Psecを検出するセカンダリプーリ圧センサ15からの信号と、アクセルペダル踏み込み量APOを検出するアクセル開度センサ16からの信号と、インヒビタスイッチ13からの選択レンジ信号と、変速作動油温TMPを検出する油温センサ17からの信号と、エンジン1の制御を司るエンジンコントローラ18からの変速機入力トルクに関した信号(エンジン回転数や燃料噴時間)とを入力する。
【0041】
変速制御油圧回路100および変速機コントローラ8は図7に示すごときもので、先ず変速制御油圧回路100について以下に説明する。
この回路は、エンジン駆動されるオイルポンプ110を具え、これから油路120への作動油を媒体として、これをプレッシャレギュレータ弁130により所定のライン圧PLに調圧する。
油路120のライン圧PLは、一方で減圧弁140により調圧されセカンダリプーリ圧Psecとしてセカンダリプーリ室52cに供給され、他方で変速制御弁150により調圧されプライマリプーリ圧Ppriとしてプライマリプーリ室51cに供給される。
なお、プレッシャレギュレータ弁130は、ソレノイド130aへの駆動デューティーによりライン圧PLを制御し、減圧弁140は、ソレノイド140aへの駆動デューティーによりセカンダリプーリ圧Psecを制御するものとする。
【0042】
変速制御弁150は、中立位置150aと、増圧位置150bと、減圧位置150cとを有し、これら弁位置を切り換えるために変速制御弁150を変速リンク160の中程に連結し、該変速リンク160の一端に、変速アクチュエータとしてのステップモータ170を、また他端にプライマリプーリ51の可動フランジ51bを連結する。
ステップモータ170は、基準位置から目標変速比に対応したステップ数Stepだけ進んだ操作位置にされ、かかるステップモータ170の操作により変速リンク160が可動フランジ51bとの連結部を支点にして揺動することにより、変速制御弁150を中立位置150aから増圧位置150bまたは減圧位置150cとなす。
これにより、プライマリプーリ圧Ppriがライン圧PLを元圧として増圧されたり、またはドレンにより減圧され、セカンダリプーリ圧Psecとの差圧が変化することでHi側変速比へのアップシフトまたはロー側変速比へのダウンシフトを生じ、目標変速比に向けての変速が生起される。
【0043】
こうした変速の進行は、プライマリプーリ51の可動フランジ51cを介して変速リンク160の対応端にフィードバックされ、変速リンク160がステップモータ170との連結部を支点にして、変速制御弁150を増圧位置150bまたは減圧位置150cから中立位置150aに戻す方向へ揺動する。
これにより、目標変速比が達成される時に変速制御弁150が中立位置150aに戻され、目標変速比を保つことができる。
【0044】
プレッシャレギュレータ弁130のソレノイド駆動デューティー、減圧弁140のソレノイド駆動デューティー、およびステップモータ170への変速指令(ステップ数Step)は、図6に示す前進クラッチ4bおよび後進ブレーキ4cへ締結油圧を供給するか否かの制御と共に変速機コントローラ8により決定し、このコントローラ8を図7に示すように圧力制御部8aおよび変速制御部8bで構成する。
圧力制御部8aは、プレッシャレギュレータ弁130のソレノイド駆動デューティー、および減圧弁140のソレノイド駆動デューティーを後述のように決定し、変速制御部8bは以下のようにしてステップモータ170の駆動ステップ数Stepを決定する。
【0045】
つまり変速制御部8bは先ず、車速センサ10またはセカンダリプーリ回転数Nsecから求め得る車速VSPおよびスロットル開度センサ9から検出したスロットル開度TVOまたはアクセルペダル踏み込み量APOを用いて予定の変速マップを基に目標入力回転数を求め、これをセカンダリプーリ回転数Nsecで除算することにより、運転状態(車速TVOと、スロットル開度TVOまたはアクセルペダル踏み込み量APO)に応じた目標変速比を求める。
次いで、プライマリプーリ回転数Npriをセカンダリプーリ回転数Nsecで除算することにより実変速比を演算し、上記目標変速比に対する実変速比の偏差に応じて外乱補償しながら実変速比を目標変速速度で目標変速比に漸近させるための変速比指令を求める。
そして、この変速比指令を実現するためのステップモータ170のステップ数Stepを求め、これをステップモータ170に指令することで前記の変速動作により目標変速比を達成することができる。
【0046】
上記のVベルト式無段変速機構を採用した無段変速機のロックアップ制御装置では、無段変速機構5の入力回転センサ11がプライマリプーリ回転センサとなり、出力回転センサ12がセカンダリプーリ回転センサとなる。また回転数比Ipは、プライマリプーリ回転センサ11から得られた入力回転数Niに対するセカンダリプーリ回転センサ12から得られた出力回転数No(=Ni/No)、即ち、プーリ比となる。但し、無段変速機構5は、Vベルト式のものに限ることなく、例えば、特殊な事例として、トロイダル型無段変速機構であってもよく、この場合、入力回転センサ11が入力ディスク回転センサとなり、出力回転センサ12が出力ディスク回転センサとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明による無段変速機のロックアップ制御装置を備えた車両のパワートレーンを、ロックアップ制御システムと共に示す概念図である。
【図2】 既知のロックアップクラッチのロックアップ領域を例示する領域線図である。
【図3】 図2のロックアップ領域線図を参照してロックアップ制御するためのフローチャートである。
【図4】 本発明に係るロックアップクラッチのロックアップ領域を例示する領域線図である。
【図5】 図4のロックアップ領域線図を参照してロックアップ制御するためのフローチャートである。
【図6】 本発明に係るVベルト式無段変速機を、その変速制御システムと共に示す概略図である。
【図7】 上記変速制御システムを示す概略図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 無段変速機
3 トルクコンバータ
4 前後進切り替え機構
5 無段変速機構
6 ロックアップクラッチ
7 アクチュエータ
8 変速機コントローラ
9 スロットル開度
10 車速センサ
11 プライマリプーリ回転センサ(入力回転センサ)
12 セカンダリプーリ回転センサ(出力回転センサ)
13 インヒビタスイッチ
14 ロックアップ領域検出部
15 セカンダリプーリ圧センサ
16 アクセル開度センサ
17 油温センサ
18 エンジンコントローラ
51 プライマリプーリ
52 セカンダリプーリ
53 Vベルト
Claims (3)
- ロックアップクラッチの締結・開放によって入出力要素間をロックアップ可能なトルクコンバータと、このトルクコンバータからの回転を入力として無段階の変速が可能な無段変速機構と、車速VSPを検出する車速検出手段と、車速によりロックアップ領域であると判断したときには、前記ロックアップクラッチを締結するロックアップクラッチ制御手段とを備える無段変速機のロックアップ制御装置において、
前記無段変速機構の入力回転数Niおよび出力回転数Noを検出する手段を設け、前記ロックアップクラッチ制御手段は、入力回転数Niが所定値Ni(1)以下、かつ、車速VSPが所定の車速VSP(1)以上、かつ、入力回転数Niに対する出力回転数Noの回転数比Ipが所定値Ip(0)以下で規定される領域内の走行条件では、ロックアップ領域と判定されていても、ロックアップクラッチの締結を禁止するようにしたことを特徴とする無段変速機のロックアップ制御装置。 - 請求項1において、前記ロックアップクラッチ制御手段は、入力回転数Niが所定値Ni(2)(>Ni(1))以下、かつ、車速VSPが所定値VSP(2)(<VSP(1))以上で規定される領域内の走行状態では、前回のロックアップクラッチの締結または開放状態を今回のロックアップクラッチの状態として維持するようにしたことを特徴する無段変速機のロックアップ制御装置。
- 請求項1又は2において、所定値I p(0) は、入力回転数N i が所定値N i(1) 以下、かつ、車速VSPが所定値VSP (1) 以上で規定される領域内と、当該領域外を通る値に設定されていることを特徴する無段変速機のロックアップ制御装置。
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