JP4069248B2 - 無電解めっき用触媒組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無電解めっき用触媒組成物、該触媒組成物の製造方法及び無電解めっき方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック、セラミックス、ガラスなどの非導電性物質に対して無電解めっきを行う場合には、通常、めっき反応を開始させるために触媒物質を被めっき物に付与する必要がある。
【0003】
現在、無電解めっき用触媒金属としてはパラジウムが広く用いられており、触媒付与方法としては、被めっき物をセンシタイザー溶液(塩化スズ(II)の塩酸溶液)に浸漬した後、アクチベーター溶液(塩化パラジウムの塩酸溶液)に浸漬する方法(センシタイザー−アクチベーター法)、スズ−パラジウム混合コロイド溶液に浸漬して触媒を付与した後、硫酸などの酸性溶液からなるアクセレーター溶液に浸漬して、過剰のスズイオンを溶解させて触媒活性を向上させる方法(キャタリスト-アクセレーター法)等が主として実施されている。
【0004】
しかしながら、これらの方法では、触媒金属として高価な貴金属であるパラジウムを使用しており、無電解めっき処理工程において触媒化処理工程費用の占める割合が非常に大きいものとなっている。
【0005】
このため、パラジウム以外の金属を触媒として使用する方法について古くから種々の検討がなされている。
【0006】
例えば、特許文献1には、銀塩を触媒として用いる方法が記載されている。この方法は、銀塩と界面活性剤を含有する水溶液に、銀塩に対して2〜4倍モルの還元剤を添加して銀ヒドロゾルを形成し、これを被めっき物と接触させて、銀コロイドを付与して、無電解めっきを行う方法である。しかしながら、この方法では、多量の還元剤が必要であり、生産コストが高く、しかも形成される銀ヒドロゾルの安定性が低く、凝集沈殿が発生しやすいという欠点がある。
【0007】
また、特許文献2には、銀塩0.01〜100mmol/l、陰イオン界面活性剤0.01〜0.5wt%、及び銀塩に対して0.1〜0.8倍モルの還元剤を含む無電解めっき用触媒液が記載されており、この触媒液は、銀塩に対して0.01〜0.8倍モルの還元剤を含むことにより、安定性が良好であるとされている。
【0008】
しかしながら、上記した特許文献1及び2に記載された触媒液では、触媒成分である銀コロイドの吸着性が低く、ABS樹脂、エポキシ樹脂、ガラス、セラミックスなどの被めっき物に触媒成分を均一に吸着させることが困難である。このため、触媒付与後の水洗工程や無電解めっき中に、被めっき物から触媒物質が脱落しやすく、めっき析出が不均一になることや、めっき液を汚染することによりめっき浴の分解を促進する等の問題点がある。
【0009】
【特許文献1】
特開平1−68478号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平10−30188号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した如き従来技術に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、パラジウムを含有しない安価な無電解めっき用触媒組成物であって、安定性が良好で優れた触媒活性を有する新規な触媒液を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、銀よりも酸化還元電位が卑であって、且つ複数の原子価をとることができ、低原子価の状態にある金属成分を含む化合物と、特定の錯化剤を含む弱酸性〜中性付近の溶液中に、1価の銀化合物を添加することにより、銀化合物が還元されて銀コロイド溶液が形成されることを見出した。そして、この銀コロイドは弱酸性〜中性付近の溶液中では安定であり、しかも、被めっき物に対する吸着性が良好であることから、各種の被めっき物に対して優れた触媒活性を付与できることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明は、下記の無電解めっき用触媒組成物、該触媒組成物の製造方法及び無電解めっき方法を提供するものである。
1. 下記(i)〜(iii)の成分を水に溶解したpH2〜9の溶液からなる無電解めっき用触媒組成物:
(i)1価の銀化合物を0.001〜0.1モル/l、
(ii)銀より卑な酸化還元電位を有し、且つ複数の原子価をとることができ、低原子価の状態にある金属成分を含む化合物を0.01〜3モル/lであって、銀金属量の10〜30倍モル、並びに
(iii)脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及びこれらの塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物を、上記( ii )項の化合物に含まれる金属成分の1〜10倍モル。
2.(ii)項に記載された化合物が、2価のスズを含む化合物、2価の鉄を含む化合物、2価のコバルトを含む化合物、3価のセリウムを含む化合物及び3価のチタンを含む化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物である上記項1に記載の無電解めっき用触媒組成物。
3. 上記項1又は2に記載された無電解めっき用触媒組成物の製造方法であって、(ii)項に記載された化合物及び(iii)項に記載された化合物を含むpH2〜9の溶液中に、撹拌下に、1価の銀化合物を添加することを特徴とする触媒組成物の製造方法。
4. 上記項1に記載された(i)〜(iii)の成分を水に溶解したpH2〜9の溶液を得た後、透析法によって(ii)項に記載された化合物に基づく金属イオン量を減少させることを特徴とする触媒組成物の製造方法。
5. 上記項4の方法によって得られた触媒組成物であって、(ii)項に記載された化合物の量が、銀金属量の25倍モル以下である触媒組成物。
6. 上記項1、2及び5のいずれかに記載の触媒組成物に浸漬した後、無電解めっき液に浸漬することを特徴とする無電解めっき方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の無電解めっき用触媒組成物は、下記(i)〜(iii)の成分を水に溶解してなるpH2〜9の溶液である:
(i)1価の銀化合物、
(ii)銀より卑な酸化還元電位を有し、且つ複数の原子価を取ることができ、低原子価の状態にある金属成分を含む化合物(以下、「還元剤」という場合がある)、並びに
(iii)脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、オキシカルボン酸、縮合リン酸、アミノカルボン酸及びこれらの塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物(以下、「錯化剤」という場合がある)。
【0015】
上記した溶液では、錯化剤を配合することによって、pH2〜9という弱酸性〜中性付近の溶液中で還元剤を安定に存在させることができる。そして、該還元剤の存在によって、1価の銀化合物が還元されて銀コロイドが形成され、形成された銀コロイドは、弱酸性〜中性付近の溶液中では安定に存在するために、安定性に優れたコロイド溶液となる。また、形成される銀コロイドは、被めっき物に対する吸着性が良好であり、各種の被めっき物に対して優れた触媒活性を付与できる。
【0016】
本発明の触媒組成物で用いる1価の銀化合物としては、特に限定はなく、1価の銀を含む水溶性の銀化合物であればよい。この様な銀化合物としては、例えば、硝酸銀、シアン酸銀、過塩素酸銀、亜硫酸銀などの無機銀塩;酢酸銀、クエン酸銀、酒石酸銀、サリチル酸銀などの有機銀塩などを挙げることができる。
【0017】
銀化合物の濃度は、0.001〜0.1モル/l程度であることが好ましく、0.01〜0.05モル/l程度であることがより好ましい。銀化合物の濃度が低すぎると、触媒組成物中の銀コロイド粒子の濃度が不足して被めっき物への吸着量が不十分となり、均一な無電解めっき皮膜を形成することが困難である。一方、銀化合物の濃度が高すぎる場合には、生成した銀コロイド粒子が凝集を起こしやすくなり、触媒組成物が不安定になるので好ましくない。
【0018】
本発明の触媒組成物では、銀化合物を還元する成分として、銀より卑な酸化還元電位を有し、且つ複数の原子価を取ることができ、低原子価の状態にある金属成分を含む化合物を用いる。この様な金属成分を含む化合物を用いることによって、溶液中で金属成分が高原子価の状態となり、銀イオンが還元されて銀コロイドを形成することができる。
【0019】
上記した還元剤としては、2価のスズを含む化合物、2価の鉄を含む化合物、2価のコバルトを含む化合物、3価のセリウムを含む化合物、3価のチタンを含む化合物などを用いることが好ましい。これらの化合物は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0020】
2価のスズを含む化合物の具体例としては、硫酸スズ、塩化スズ、蓚酸スズ、ピロリン酸スズ、酢酸スズ、ホウフッ化スズなどを挙げることができる。2価の鉄を含む化合物としては、塩化鉄、乳酸鉄、硫酸鉄、硫化鉄、蓚酸鉄、フマル酸鉄などを例示できる。2価のコバルトを含む化合物としては、塩化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、硫化コバルト、臭化コバルト、リン酸コバルト、グルコン酸コバルト、ヨウ化コバルトなどを例示できる。3価のセリウムを含む化合物としては、硝酸セリウム、炭酸セリウム、塩化セリウム、フッ化セリウム、酢酸セリウムなどを例示できる。3価のチタンを含む化合物としては、三塩化チタン等を例示できる。
【0021】
上記した還元剤の添加量は、金属分の濃度として、0.01〜3モル/l程度であって、銀化合物に対して10〜30倍モル程度の範囲内とすることが好ましい。特に、金属分の濃度として、0.1〜0.3モル/l程度であることがより好ましい。上記した範囲の還元剤が含まれることによって、生成する銀コロイドが微細化し、安定性に優れたコロイド溶液となる。還元剤の濃度が低すぎる場合及び高すぎる場合には、いずれも、銀コロイド粒子が凝集し易くなって触媒液の安定性が低下するので好ましくない。
【0022】
本発明の触媒組成物では、更に、脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、オキシカルボン酸、縮合リン酸、アミノカルボン酸及びこれらの塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分(錯化剤)を配合することが必要である。これらの成分を配合することによって、銀がコロイド状態で安定に存在できる弱酸性〜中性付近の領域において、還元剤を可溶化することができ、該還元剤の還元作用による銀コロイドの形成が可能となる。
【0023】
上記した錯化剤の内で、脂肪族モノカルボン酸としてギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸を例示できる。脂肪族ジカルボン酸としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸を例示できる。オキシカルボン酸としてはグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、グルコン酸を例示できる。縮合リン酸としてはピロリン酸、トリポリリン酸などを例示できる。アミノカルボン酸としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、イミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸などを例示できる。また、これらの成分の塩としては、可溶性の塩であれば特に限定なく使用でき、具体例としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩などを挙げることができる。
【0024】
上記した錯化剤の内で、特に、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸、ピロリン酸などの縮合リン酸等が好ましい。
【0025】
錯化剤の濃度は、還元剤成分に含まれる金属分に対して1〜10倍モル程度とすることが好ましく、2〜5倍モル程度とすることがより好ましい。錯化剤の濃度が低すぎる場合には、還元剤成分を安定に溶解することが困難となり、良好な銀コロイドが形成されないので好ましくない。
【0026】
本発明の触媒組成物は、上記した各成分を水に溶解してなるpH2〜9程度の溶液である。pHがこの範囲内にあることによって、溶液中において銀が安定なコロイド状態で存在することができる。これに対して、pHが低すぎる場合には、銀が溶解し易く、コロイド状態で安定に存在することは困難である。一方、pHが高すぎると、水酸化物が形成され易くなるので好ましくない。特に、銀コロイドの安定性が良好である点で、pHは、2〜7程度であることが好ましく、4〜6程度であることがより好ましい。
【0027】
本発明の触媒組成物を調製する方法については特に限定はなく、上記した銀化合物、還元剤及び錯化剤を含むpH2〜9の範囲の溶液を形成できる方法であれば良い。
【0028】
例えば、まず、錯化剤を溶解した水溶液中に、還元剤を添加し、所定のpH範囲に調整する。pH調整には、例えば、NaOH、KOH等のアルカリ等を使用できる。次いで、この溶液を撹拌しながら、1価の銀化合物を徐々に添加する。この際、還元剤に含まれる金属イオンが還元剤として作用することにより銀イオンが還元されて、銀コロイド溶液が形成される。触媒液調製時の温度範囲は特に限定されないが、20〜80℃程度とすることが好ましい。この温度範囲において、攪拌、混合しながら銀コロイド溶液を調製することにより、銀コロイド粒子は微細化して吸着性が向上し、触媒液の安定性も向上する。
【0029】
本発明の触媒組成物には、さらに必要に応じて触媒液の性質に悪影響を与えない範囲で界面活性剤などを添加してもよい。
【0030】
また、上記した方法で銀コロイド溶液を調製した後、透析法によって、該銀コロイド溶液中に含まれる金属イオン量を減少させることによって、触媒液の安定性を向上させることができる。例えば透析膜としてセルロース膜を用い、銀コロイド溶液と純水とを該透析膜を介して接触させることによって、銀コロイド溶液中に含まれる金属イオンが純水中に移動して、銀コロイド溶液中の金属イオン量を減少させることができる。透析処理に使用する透析膜(半透膜)は特に限定されず、例えば、セルロース膜、コロジオン膜、硫酸紙、セロハン紙、ゼラチンを布に浸して凝固させた膜などを使用することができる。透析方法としては、通常の透析法以外に限外ろ過法、電気透析法、これらを組み合わせた電気限外ろ過法等を適宜適用できる。
【0031】
前述した方法によって銀コロイド溶液を調製した後、透析法によって金属イオン量を減少させる方法によれば、銀コロイド溶液の形成時には、銀イオンを還元するために必要十分な量の金属イオンが溶液中に存在して十分な還元作用を発揮でき、微細で安定性に優れた銀コロイドすることが可能となり、銀コロイドが生成した後は、不要な金属イオン量を減少させることによって、コロイド溶液の安定性を向上させることができる。
【0032】
透析後のコロイド溶液では、コロイド溶液の安定性を向上させるためには、還元剤に基づく金属イオン量は、銀化合物に対して25倍モル程度以下とすることが好ましく、20倍モル程度以下とすることがより好ましい。透析後のコロイド溶液における金属イオンの下限値は特に限定的ではなく、金属イオンが完全に除去されるまで透析を行っても良いが、銀コロイドの吸着性を良好にするためには、銀化合物に対して5倍モル程度以上の金属イオンがコロイド溶液中に存在することが好ましい。従って、銀コロイド溶液の安定性と吸着性を両立するためには、透析後の金属イオン量は、銀化合物に対して5〜25倍モル程度とすることが好ましく、5〜20倍モル程度とすることがより好ましい。
【0033】
透析後のコロイド溶液では、pHが上昇する傾向があり、pH2〜9程度の範囲において良好な安定性を有するものとなる。特に、透析後のコロイド溶液では、pH4〜9程度において、良好な安定性を発揮できる。
【0034】
本発明の触媒組成物を用いて無電解めっきを行うには、被めっき物の種類に応じて、常法に従って脱脂処理、表面調整などの前処理を行った後、本発明の触媒液により被めっき物に触媒を付与し、その後、常法に従って無電解めっきを行えばよい。
【0035】
被めっき物に触媒を付与する方法としては、通常、被めっき物に無電解めっき用触媒を付与する際に行われている方法、例えば、触媒組成物に浸漬する方法、触媒組成物を被めっき物に塗布した後乾燥する方法等を適用できる。特に、触媒組成物に浸漬する方法が好ましく、この方法によれば、被めっき物に対して簡単な操作で触媒を均一に付与することができる。
【0036】
触媒組成物に浸漬する場合の条件については特に限定的ではないが、通常、触媒液の温度を10〜80℃程度、好ましくは20〜50℃程度として、これに被めっき物を浸漬すればよい。
【0037】
浸漬時間については、30分間程度までの浸漬時間では、浸漬時間の増加に伴って触媒吸着量が増加して無電解めっきの析出性が向上する傾向がある。このため、使用する無電解めっき液の種類などに応じて、適宜必要な浸漬時間を設定すればよい。通常は2〜10分間程度の範囲の浸漬時間とすればよい。
【0038】
上記した方法によって被めっき物に触媒付与した後、水洗し、その後、無電解めっきを行うことにより均一で良好な外観の無電解めっき皮膜を形成することができる。
【0039】
無電解めっき液としては、公知の自己触媒型の無電解めっき液をいずれも使用できる。この様な無電解めっき液としては、例えば、無電解ニッケルめっき液、無電解銅めっき液等の他、Au、Ag、Pd、Rh等の貴金属の無電解めっき液を挙げることができる。
【0040】
被めっき物の種類についても特に限定されず、例えば、プリント基板などの金属−非導電性物質複合材料、プラスチック、セラミックス、ガラスなどの非導電性物質、紙、布などの繊維状物質、金属、金属酸化物等を用いることができる。
【0041】
【発明の効果】
本発明の触媒組成物は、触媒金属として銀を含む比較的安価な触媒液であり、しかも、優れた触媒性能を有すると共に、安定性が良好な溶液である。
【0042】
従って、本発明触媒液を用いることによって、各種の被めっき物に対して、低コストで良好な無電解めっき皮膜を形成することが可能となる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0044】
実施例1
ピロリン酸カリウム0.3モルを純水800mlに溶解し、これに硫酸スズ0.2モルを加えて攪拌して溶解し、浴温50℃に保持した。この溶液中に、硝酸銀0.01モルを純水200mlに溶解した溶液を攪拌しながら加え、30分間加熱、攪拌を行った。
【0045】
硝酸銀水溶液を添加すると直ちにスズ溶液は黒色を示した。その後、室温下に放置して冷却することにより、pH4.2の黒色コロイド溶液が得られた。これを触媒液−1とする。
【0046】
被めっき物としてエポキシ板(5×5cm)を使用し、上記触媒液−1を用いて、下記の工程で無電解めっきを行った。各処理液の液量は500mlとした。各処理の間には水洗を行った。
(無電解めっき工程)
1.脱脂:脱脂剤(エースクリンA-220、奥野製薬工業(株)製)を用いて、60℃の処理液中に5分間浸漬した。
2.表面調整:表面調整剤(AE-B401、奥野製薬工業(株)製)を用いて、60℃の処理液中に5分間浸漬した。
3.触媒液-1を用いて、30℃の触媒液中に5分間浸漬して触媒付与を行った。
4.下記(a)〜(c)の3種類の無電解めっきを行った。
(a) 無電解銅めっき液(TSP-810、奥野製薬工業(株)製)を用いて、pH12.5のめっき浴中に45℃で10分間浸漬した。
【0047】
(b) 無電解銅めっき液(ビルドカッパー、奥野製薬工業(株)製)を用いて、pH12.5のめっき浴中に45℃で10分間浸漬した。
(c)無電解銅めっき液(OPC-700MK、奥野製薬工業(株)製)を用いて、pH13.0のめっき浴中に30℃で10分間浸漬した。
得られた3種類の無電解めっき皮膜について、下記の方法で皮膜被覆率及び被めっき物外観を評価し、更に、触媒液の安定性を評価した。結果を表1に示す。
(試験方法)
1.皮膜被覆率(%):被めっき物上にめっき皮膜が形成された面積の割合を示す。
2.被めっき物外観:目視によりめっき皮膜の外観を示した。
3.触媒液安定性:触媒液を室温で3ヶ月間放置し目視により沈殿の発生を確認した。
【0048】
実施例2
クエン酸カリウム0.3モルを純水800mlに溶解し、これに硫酸鉄0.2モルを加えて攪拌して溶解し、浴温50℃に保持した。この溶液中に、硝酸銀0.02モルを純水200mlに溶解した溶液を攪拌しながら加え、30分間加熱、攪拌を行った。
【0049】
硝酸銀水溶液を添加すると直ちに鉄溶液は黒色を示した。その後、室温下に放置して冷却することによって、pH4.0の黒色コロイド溶液が得られた。これを触媒液−2とする。
【0050】
触媒液−1に代えて、触媒液−2を用いる以外は、実施例1と同様にして、無電解めっきを行い、皮膜被覆率、被めっき物外観及び触媒液の安定性を評価した。
【0051】
実施例3
リンゴ酸ナトリウム0.2モルを純水800mlに溶解し、これに塩化スズ0.1モルを加えて攪拌して溶解した。ここに、ポリエチレングリコール(PEG-6000)を0.1g添加して攪拌して溶解させた。この溶液中に、硝酸銀0.01モルを純水200mlに溶解した溶液を攪拌しながら加え、その後、30分間攪拌を続けた。
【0052】
次いで、透析膜として、スペクトラム社製の分画分子量10000のチューブ状のセルロース膜を用い、この一端を閉じて上記した触媒液を入れ、純水中に48時間保持した。これにより、触媒液中のスズ錯イオンは、ほぼ完全に触媒液から除去された。これを触媒液-3とする。
【0053】
触媒液−1に代えて、触媒液−3を用いる以外は、実施例1と同様にして、無電解めっきを行い、皮膜被覆率、被めっき物外観及び触媒液の安定性を評価した。
【0054】
実施例4
クエン酸カリウム0.3モルを純水800mlに溶解し、これに硫酸スズ0.2モルを加えて攪拌して溶解し、浴温50℃に保持した。この溶液中に、硝酸銀0.02モルを純水200mlに溶解した溶液を攪拌しながら加え、30分間加熱、攪拌を行った。
【0055】
硝酸銀水溶液を添加すると直ちにスズ溶液は黒色を示した。その後、室温下に放置して冷却することによって、pH4.0の黒色コロイド溶液が得られた。
【0056】
この触媒液をセルロース膜中に入れ、純水中に48時間保持することにより過剰のスズ成分溶出させた。これを触媒液−4とする。
【0057】
触媒液−1に代えて、触媒液−4を用いる以外は、実施例1と同様にして、無電解めっきを行い、皮膜被覆率、被めっき物外観及び触媒液の安定性を評価した。
【0058】
比較例1
EDTA-2Na 0.2モルを純水800mlに溶解し、これに硫酸スズ0.05モルを添加し、NaOHにてpHを4.0に調整して硫酸スズを溶解させた。この溶液中に硝酸銀0.01モルを純水200mlに溶解させた溶液を攪拌しながら加え、30分間攪拌を行った。これを比較触媒液−1とする。
【0059】
触媒液−1に代えて、比較触媒液−1を用いる以外は、実施例1と同様にして、無電解めっきを行い、皮膜被覆率、被めっき物外観及び触媒液の安定性を評価した。
【0060】
比較例2
クエン酸カリウム1.0モルを純水800mlに溶解し、これに硫酸スズ0.5モルを加えて攪拌をして溶解し、浴温50℃に保持した。この溶液中に、硝酸銀0.01モルを純水200mlに溶解した溶液を攪拌しながら加え、30分間加熱、攪拌を行った。
【0061】
硝酸銀水溶液を添加すると直ちにスズ溶液は黒色を示した。その後、室温下に放置して冷却することにより、pH4.0の黒色コロイド溶液が得られた。これを比較触媒液−2とする。
【0062】
触媒液−1に代えて、比較触媒液−2を用いる以外は、実施例1と同様にして、無電解めっきを行い、皮膜被覆率、被めっき物外観及び触媒液の安定性を評価した。
【0063】
【表1】
Claims (6)
- 下記(i)〜(iii)の成分を水に溶解したpH2〜9の溶液からなる無電解めっき用触媒組成物:
(i)1価の銀化合物を0.001〜0.1モル/l、
(ii)銀より卑な酸化還元電位を有し、且つ複数の原子価をとることができ、低原子価の状態にある金属成分を含む化合物を0.01〜3モル/lであって、銀金属量の10〜30倍モル、並びに
(iii)脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及びこれらの塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物を、上記( ii )項の化合物に含まれる金属成分の1〜10倍モル。 - (ii)項に記載された化合物が、2価のスズを含む化合物、2価の鉄を含む化合物、2価のコバルトを含む化合物、3価のセリウムを含む化合物及び3価のチタンを含む化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物である請求項1に記載の無電解めっき用触媒組成物。
- 請求項1又は2に記載された無電解めっき用触媒組成物の製造方法であって、(ii)項に記載された化合物及び(iii)項に記載された化合物を含むpH2〜9の溶液中に、撹拌下に、1価の銀化合物を添加することを特徴とする触媒組成物の製造方法。
- 請求項1に記載された(i)〜(iii)の成分を水に溶解したpH2〜9の溶液を得た後、透析法によって(ii)項に記載された化合物に基づく金属イオン量を減少させることを特徴とする触媒組成物の製造方法。
- 請求項4の方法によって得られた触媒組成物であって、(ii)項に記載された化合物の量が、銀金属量の25倍モル以下である触媒組成物。
- 請求項1、2及び5のいずれかに記載の触媒組成物に浸漬した後、無電解めっき液に浸漬することを特徴とする無電解めっき方法。
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Publications (2)
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