JP4068362B2 - 部材の結合構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に家具製品に適用されるのに好適な、部材の結合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
家具製品その他の製造物の構成要素たる一の部材と他の部材とを結合する手段は種々存在するが、しばしば用いられる手段として、一の部材を他の部材と裏当部材とで挟んでこれら他の部材と裏当部材とを締結するものがある。特に、裏当部材がナットとしての機能を有するとき、前記他の部材にボルトを挿通して該ボルトを裏当部材にねじ込むことで一の部材と他の部材とを結合することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の手段をとる場合に、一の部材に対する他の部材の取り付け位置を変更しようとするときには、他の部材の位置の変更に対応して裏当部材を移動する必要性が生じる。しかし、裏当部材を適切な位置に移動させることが困難であることも少なくない。特に、裏当部材が人の手の届きにくい部材の裏側あるいは内部に配置されるものであると、裏当部材を操作することが難しく、よって一の部材と他の部材とを結合するために障害となる。
【0004】
一例として、机の天板の使用端側の辺を除く各辺に沿ってデスクトップパネルや幕板、あるいはこれらを兼ねるようなパネルを取り付けることを考える。通常、このようなパネルは、天板や脚体にブラケットを介在させるなどして取り付けられるようにしてある。そして、パネルの所要部位に裏当部材を配置しこの裏当部材とブラケットとを締結してパネルとブラケットとを結合するとき、該パネルの取り付け高さを調整しようとするならば、裏当部材を高さ方向に移動する必要がある。ところが、裏当部材を高さ方向に移動させようとすれば、当然裏当部材は落下し得る状態となる。従って、裏当部材が外部より操作しずらい位置に配置されるようなものならば、その適切な位置への移動が困難なものとなり、ひいてはパネルとブラケットとを結合する作業に支障を来す。
【0005】
以上の問題に鑑みて、本発明は、一の部材と他の部材とをナット等の裏当部材を用いて結合せしめる場合において、裏当部材の位置決めを容易に実行することができるような部材の結合の構造を実現することを、解決すべき所期の課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決すべく、本発明では、第1の部材に設けられた挿入空間に所定方向に沿って移動可能に挿入される裏当部材と、前記挿入空間を形成する周壁に設けられた開口を介して前記裏当部材と第2の部材とを該周壁を挟んで締結する締結手段とを具備し、前記周壁の外面と前記第2の部材に設けられた結合面とを互いに密接させてこれら第1の部材及び第2の部材を結合するものであって、前記第2の部材に、前記挿入空間に挿入した裏当部材の該第2の部材に対する相対的な位置を位置決めする裏当部材位置決め部を設けた部材の結合構造を構成するものとした。
【0007】
このようなものであれば、第1の部材に対する第2の部材の相対位置を所定方向に沿って変化させたとしても、裏当部材を第2の部材の移動に対応した適切な位置に導くことができる。よって、部材を結合する作業が容易となる。
【0008】
簡単な構造で裏当部材の位置決めを可能とするには、前記裏当部材位置決め部が、前記裏当部材に当接して該裏当部材の少なくとも一方方向への移動を禁止する当接面を有するものを挙げることができる。このとき、第2の部材に突出部分を形成してこの突出部分の適宜の表面を当接面として用いてもよく、裏当部材に突出部分を形成し、かつ第2の部材の適宜の部位に裏当部材の突出部分と当接する当接面を設定してもよい。当接面は、裏当部材の移動方向に対して略垂直なものとして構成されることが望ましい。
【0009】
前記裏当部材に突出子を設け、かつ前記裏当部材位置決め部に前記突出子と係わり合う凹陥部を設けて、該凹陥部に当接面を設定したものであれば、裏当部材の一方方向への移動を禁止するとともに、前記一方方向と垂直な方向について裏当部材の位置決めを行うことも可能となる。
【0010】
加えて、前記第1の部材の前記第2の部材に対する相対的な位置を位置決めする位置仮決め手段を設け、該位置仮決め手段を利用して前記裏当部材位置決め部を構成することで、裏当部材の位置決めと、第1の部材と第2の部材との位置決めとを一の構造により行うことができ、簡単な構成でありながら部材の結合作業をより容易なものとする。
【0011】
具体的な構成例としては、前記位置仮決め手段が、前記第2の部材より突出する突起と、前記挿入空間における前記裏当部材の裏側の周壁に設けた凹部とを係わり合わせてなるものを挙げることができる。そして、前記突起が前記裏当部材に当接して該裏当部材の少なくとも一方方向への移動を禁止する当接面を有するものとする。かつ、前記凹部を前記裏当部材の移動方向に沿って間欠的に複数設けることで、複数の凹部の少なくとも一つを選択し前記突起を挿入し得る。よって、前記第1の部材の前記第2の部材に対する相対的な位置を段階的な移動することができるようになる。
【0012】
あるいは、第1の部材に設けられた挿入空間に所定方向に沿って移動可能に挿入される裏当部材と、前記挿入空間を形成する周壁に設けられた開口を介して前記裏当部材と第2の部材とを該周壁を挟んで締結する締結手段とを具備し、前記周壁の外面と前記第2の部材に設けられた結合面とを互いに密接させてこれら第1の部材及び第2の部材を結合するものであって、前記挿入空間における前記裏当部材の裏側の周壁に、前記挿入空間に挿入した裏当部材の位置を位置決めする裏当部材位置決め部を設けた部材の結合構造としてもよい。このとき、裏当部材位置決め部は、裏当部材と係わり合って裏当部材の第1の部材に対する相対的な位置決めを行うものとしてもよく、上記の第2の部材に設けた突起等とともに裏当部材の第1の部材に対する相対的な位置決めを行うものとしてもよい。かつ、前記周壁に前記裏当部材の移動方向に沿って間欠的に設けた複数の凹部であれば、複数の凹部のうちの少なくとも一つを選択的に利用することで、段階的に第1の部材の第2の部材に対する取り付け位置を裏当部材の移動方向に沿って変更可能となる。
【0013】
前記挿入空間が開口幅よりも広幅の内奥部を有する溝であれば、比較的簡単な形状であり、押出成形や板金材の折り曲げ加工等の方法で容易に形成可能である。そして、前記裏当部材が前記溝の開口幅よりも大きい幅寸法を有するものであれば、溝の延長方向にスライド移動可能でありながら溝内より脱出してしまうことがない。このことは、裏当部材を挿入空間内で適宜の位置に移動させ部材を結合させるときに有効に働く。また、裏当部材や、上記の凹部を周壁により隠蔽して製品の格調を高める効果をも奏し得る。前記突出子若しくは前記突起は、溝の開口を貫通させることが好ましい。
【0014】
第2の部材と裏当部材とを締結する締結手段としてはボルトを用いることが好適であり、前記第2の部材に前記ボルトを挿通する孔を設けるとともに前記裏当部材には前記ボルトと係わり合うねじ孔を設けることで、第1の部材と第2の部材とを着脱可能とした結合構造を構成できる。
【0015】
以上のような部材の結合構造により、部材の結合作業における裏当部材の位置決めを簡単に実行できる。従って、前記挿入空間が上下方向成分を含む方向に延長して、前記裏当部材が該挿入空間内を上下方向成分を含む方向へ移動し得るような場合、即ち裏当部材が落下して適宜の位置に配置することが困難な場合に、本発明を適用することが特に効果的である。
【0016】
本発明の適用対象の一例として、デスクトップパネル若しくは幕板、またはその双方の機能を兼ねるもの、あるいは仕切壁そのパネルを、適宜の部材に取り付ける場合が考えられる。このとき、パネルを前記第1の部材とし、該第1の部材たるパネルの枠に前記挿入空間を設ける。かつ、所要の机に前記第2の部材を設ければ、前記パネルを前記机の天板の辺に沿って略垂直に設けることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態に係る机Tは、図1ないし図3に示すように、天板1と、この天板1の両側縁部をそれぞれ支持する左右一対の脚体2とを備え、第1の部材たるパネル31、32を前記天板1の使用辺1cを除く各辺、すなわち反使用辺1a、側辺1bに沿って平行にそれぞれ取り付け得るように構成してある。
【0018】
天板1は、例えば隣り合う辺1a及び辺1b、又は辺1a及び辺1cが互いに直交する矩形状をなすものである。
【0019】
脚体2は、前後に対称形状をなすもので、床面に接地する前後に延びるベース21と、このベース21の中央から起立する支柱22と、この支柱22の上端から前後に延び、天板1の側辺部下面に固定されて該天板1を支持する天板受け23とを備えた金属製のものである。本実施形態において支柱22はシリンダ構造をなすもので、その上下寸法を変更することにより天板1の床面からの高さを調節できるように構成してある。
【0020】
パネル31、32は、パネル本体3aと枠体3bとからなる矩形状をなすもので、その各側縁部を脚体2から延ばした一対の第2の部材たるブラケット42により着脱可能に支持させてある。またこれらパネル31、32は、天板の各辺1a、1bに対応する幅寸法を有し、取付状態で天板1の上下に亘り、幕板兼デスクトップパネルとしての役割を担う。
【0021】
しかして、本実施形態では、図4ないし図7等に示すように、前記天板受け23に、天板1の奥側隅部1dに向かって延びる支持部材4を取り付け、その支持部材4から2つのブラケット42A、42Bをそれぞれさらに外方に延ばし、それらブラケット42A、42Bの先端部に前記隅部1dを境にして隣り合う各パネル31、32の側縁部をそれぞれ取り付けるようにしている。
【0022】
詳述すれば、支持部材4は、それぞれが起立板状をなす対称な一対の部材要素43、44からなるものであり、途中に段差があってその基端部4Aの上面が先端部4Bの上面より上方となるような形状をなす。そして、前記基端部4Aに天板受け23への取付に利用する取付部を設けるとともに、先端部4Bに各ブラケット42A、42Bを支持することによって間接的にパネル31、32を支持するための支持部を設けている。なお、本実施形態において各パネル31、32の隣接しない側の側縁部は、天板受け23に単独で取り付けた部材要素43、44に、ブラケット42A、42Bを介して支持させている。
【0023】
本実施形態における前記取付部は、上下に貫通する取付ねじ挿通孔4aであり、この取付ねじ挿通孔4aに、下方から挿入した支持部材取付ねじB1を、天板受け23の先端部下面に開口させた取付ねじ孔N1にねじ止めすることにより、この支持部材4を天板受け23の下面に固定している。さらに本実施形態における前記取付ねじ挿通孔4aは、当該支持部材4の延長方向に沿って各部材要素43、44毎に複数が設けてあって、どの取付ねじ挿通孔4aを天板受け23への取付に用いるかによって、支持部材4全体でも、部材要素43、44単独でも、その取付位置を、天板1の反使用辺1aに直交する方向に沿って段階的に変更可能に構成している。このことにより、例えば奥行き寸法の異なる各種天板1に対しても、共通する脚体2及び支持部材4を用いながら、支持部材4の先端部の位置を天板1の隅部1dに設定することができる。
【0024】
なお、支持部材4の基端部上面から突出するピンPは、天板受け23の先端部下面に設けられたピン穴Hに嵌合することにより支持部材4の取付位置を規定する位置決め用のものである。また、各部材要素43、44は、天板受け23への取付により内側起立面同士が近接又は密接して支持部材4として一体的なものとなるところ、これら各部材要素43、44の内側起立面には、横断面半円形状をなす溝mが上下に亘って複数設けてあり、支持部材4として一体化させたときに、対応する一対の溝m、mによって下方に開口する横断面円形状の穴Mが複数形成されるようにしてある。この穴Mは、例えば天板下方に配置する配線ダクト等の支持や位置決めに用いることができる。
【0025】
一方、本実施形態における前記支持部は、上下に貫通するブラケット取付ねじ貫通孔4bがその役割を担う。本実施形態では各部材要素43、44に直列して2つずつ前記ブラケット取付ねじ貫通孔4bが設けてあって、前記部材要素43、44を支持部材4として一体化させた場合に、4つのブラケット取付ねじ貫通孔4bそれぞれが平面視正方形の頂点に位置するようにしてある。そしてそれらのうちの対角に位置する2つを支持部として利用するようにしている。しかしてこれら対角に位置する2つのブラケット取付ねじ貫通孔4bは、天板1の隅部1dを境にして取り付けるべき隣り合うパネル31、32の中心線同士がなす角α(90度)の平面視2等分線Lに対し、互いに対称な位置となるように設定してある。本実施形態では、天板1の反使用辺1aとそれに沿って取り付けるパネル31との離間距離を、天板1の側辺1bとそれに沿って取り付けるパネル32との離間距離よりも大きくなるように設定しているため、隣り合うパネル31、32のなす角の平面視2等分線Lは、天板1の隣り合う辺1a、1bのなす角の平面視2等分線とは一致しない。但し、前記離間距離をそれぞれ等しくなるようにした場合には、隣り合うパネル31、32のなす角の平面視2等分線Lは、天板1の隣り合う辺1a、1bのなす角の平面視2等分線と合致するため、それを基準に各ブラケット取付ねじ貫通孔4bを互いに対称な位置となるように設定してもよい。
【0026】
なお、これらブラケット取付ねじ貫通孔4bの開口部には、ブラケット取付ねじ貫通孔4bと同軸をなす座繰り穴4cが形成してある。
【0027】
ブラケット42A、42Bは、例えば前記支持部4bに基端部を支持させたアーム部421、422と、このアーム部421、422の先端部から一体に延びてパネル31、32を支持するブラケット本体423とを備えたものである。本実施形態では上下に離間して水平に延びる一対のアーム部421、422を設け、ブラケット本体423を鉛直方向に延びるものとすることにより、このブラケット42の全体形状をコの字状にしている。なお、下側のアーム部422がなくともよいのはもちろんである。
【0028】
しかして下側アーム部422の基端部には、ブラケット取付ねじB2を下方から挿通させるためのブラケット取付ねじ挿通孔4dを設ける一方、上側アーム部421の基端部には当該ブラケット取付ねじB2をねじ止めするための有底ブラケット取付ねじ穴4eを、前記ブラケット取付ねじ挿通孔4dと同軸線上に形成している。さらに、これらアーム部421、422の対向する面の一方又は両方(本実施形態では上側アーム部421)には、前記支持部材4の座繰り穴4cに嵌合する横断面円形状の凸部4fを、前記ブラケット取付ねじ挿通孔4fと同軸線上に形成している。
【0029】
そして、前記支持部材4の先端部をこれらアーム部421、422の基端部に上下から挟み込ませて前記座繰り穴4cと凸部4fとを嵌合させることにより、ブラケット42A、42Bを支持部材4に水平旋回可能に組み付け得るようにしている。
【0030】
またブラケット42A、42Bの固定に際しては、その旋回角度を調整した後又は調整しつつ、ブラケット取付ねじB2を下方から下側アーム部422のブラケット取付ねじ挿通孔4d及び支持部材4のブラケット取付ねじ貫通孔4bに貫通させた後、上側アーム部421のブラケット取付ねじ穴4eにねじ止めするようにしてある。なお本実施形態では、このアーム部421、422を、平面視前記2等分線Lと略平行をなし外方に延びるように取り付ける。
【0031】
ブラケット本体423は、鉛直方向に延びるブロック状をなすもので、その一方の側面を内方に湾曲させ、パネル側縁部を両側から抱くようにしてパネル31、32を支持するものである。しかして本実施形態では、このブラケット本体423とパネル31、32の側縁部との間に形成した部材の取付構造たるパネル支持構造を利用して、当該パネル31、32を上下に位置変更可能に支持するようにしている。
【0032】
このパネル支持構造は、パネル31、32の側縁に沿って開口し、その開口61から奥に向かうほど幅が広がるように形成した裏当部材挿入溝6と、前記開口61より幅広をなし前記挿入溝6にその延長方向(上下方向)に沿って移動可能に挿入した裏当部材7と、その裏当部材7とブラケット本体423とを互いに引き寄せることによってブラケット本体423の側面に設けた支持面42aをパネル31、32の側縁部外面3aaに押圧し、当該パネル31、32を辺1a、1bに平行な姿勢でブラケット本体423(ブラケット42A、42B)に固定する固定手段8とを備えたものである。
【0033】
前記挿入溝6は、パネル31、32の側部枠体3bに、押し出し成形等により上下に亘って形成されたものである。本実施形態において、挿入空間とは該挿入溝6内の空間を指し、挿入空間の周壁とは、挿入溝6を形成する対向壁62並びに底壁63を指す。また、周壁の外面とは対向壁62の外面、即ちパネル31、32の側縁部外面3aaを指す。
【0034】
裏当部材7は、挿入溝6の断面形状と概略等しい断面形状の棒状をなす裏当部材本体71と、この裏当部材本体71の上端部から一体に突出し、前記挿入溝6の開口幅よりも幅狭の突出子72とを備えるものであり、その中央にはパネル固定ねじ孔8aを水平に貫通させてある。
【0035】
また固定手段8は、前記支持面42aに開口するようにブラケット本体423に水平に貫通させたパネル固定ねじ挿通孔8bに、外側から締結手段たるパネル固定ねじB3を挿通し、そのパネル固定ねじB3を前記裏当部材7のパネル固定ねじ孔8aに締着することにより、裏当部材7とブラケット本体423とを互いに引き寄せ、結合面たるブラケット本体423の支持面42aをパネル31、32の側縁部外面3aaに押圧するようにしたものである。
【0036】
さらに本実施形態では、第1の部材たるパネル31、32を第2の部材たるブラケット本体423に固定する前にその取付位置(取付高さ)を仮決め可能に構成した位置仮決め手段たるパネル位置仮決め手段と、裏当部材7をブラケット42A、42Bに引き寄せる前に裏当部材7のブラケット42A、42Bに対する位置を仮決め可能に構成した裏当部材位置決め手段とを設けている。これらは、パネル31、32をブラケット42A、42Bに固定する際の作業容易化を図るべく設けられたものである。
【0037】
詳述すると、前記パネル位置仮決め手段は、前記挿入溝6の底面に開口する複数の凹部91(本実施形態では挿入溝6の底壁63を貫通する貫通孔)を、当該挿入溝6の延長方向に沿って間欠的に設ける一方、ブラケット本体423に前記挿入溝6の開口幅より幅狭の突起92を設け、その突起92が挿入溝6の開口61を挿通して前記凹部91に係り合うように構成してなるものである。そして、前記突起92を所望の凹部91に係り合わせることにより、パネル31、32をブラケット42A、42Bに対し複数段階に仮位置決めできるようにしてある。
【0038】
裏当部材位置決め手段は、ブラケット42A、42Bに形成した当接面と裏当部材7に形成した被当接面とを当接させることにより、裏当部材7の一方方向へのスライドを禁止し、裏当部材7のブラケット42A、42Bに対する位置を仮決めできるようにしたものである。具体的には、ブラケット42A、42Bには上向き面を設ける一方、裏当部材7には下向き面を設け、これらを当接させることにより裏当部材7の下動を禁止し、その位置において裏当部材7のパネル固定ねじ孔8aとブラケット本体423のパネル固定ねじ挿通孔8bとが同一軸線上に略並ぶように構成してある。
【0039】
本実施形態において裏当部材7の下向き面は、裏当部材本体71からブラケット42A、42B側に突出させた突出子72の下面及び裏当部材本体71の下面であり、ブラケット42A、42Bの上向き面は、ブラケット本体423に上方から切り欠くように形成した凹陥部425の上向き面42b及び突起92の上面がそれにそれぞれ相当する。本実施形態にあって、第2の部材に設けるべき裏当部材位置決め部とは、ブラケット42A、42Bにおける当接面を有する部位、即ち、凹陥部425、突起92を指す。
【0040】
以上に述べた本実施形態によれば、第1の部材たるパネル31、32に設けられた挿入溝6内の挿入空間に、所定方向即ち挿入溝6の延長方向に沿って移動可能に挿入される裏当部材7と、前記挿入空間を形成する挿入溝6の周壁に設けられた開口61を介して裏当部材7と第2の部材たるブラケット42とを該周壁を挟んで締結する締結手段たるパネル固定ねじB3とを具備し、前記周壁の外面3aaと前記ブラケット42に設けられた結合面たる支持面42aとを互いに密接させてこれらパネル31、32及びブラケット42を結合するものであって、前記ブラケット42に、前記挿入空間に挿入した裏当部材7の該ブラケット42に対する相対的な位置を位置決めする裏当部材位置決め部を設けた部材の結合構造を構成したことにより、パネル31、32に対するブラケット42の相対位置、即ちブラケット42に対するパネル31、32の相対位置を挿入溝6の延長方向に沿って変化させたとしても、裏当部材7をブラケット42の位置に対応した適切な位置に導き、裏当部材7のパネル固定ねじ孔8aとブラケット本体423のパネル固定ねじ挿通孔8bとが同一軸線上に略並ぶようにすることができる。従って、ブラケット42とパネル31、32とを結合する作業を、確実にかつ容易に実行することができる。しかも本実施形態では、脚体2の天板受け23の高さ位置を調整可能としている。つまり、ブラケット42の絶対位置が挿入溝6の延長方向に平行に変化し得る。このことと相まって、パネル31、32の絶対位置を挿入溝6の延長方向に平行に自由に設定することが可能となっている。
【0041】
ブラケット42に設ける裏当部材位置決め部を、前記裏当部材7に当接して該裏当部材7の少なくとも一方方向への移動を禁止する当接面を有するものとして構成したことにより、簡単な構造で裏当部材7の位置決めが可能となる。パネル31、32には、裏当部材7の位置決めのために特に複雑な加工を施す必要がない。
【0042】
前記裏当部材7に突出子72を設け、かつ前記裏当部材位置決め部に前記突出子72と係わり合う凹陥部425を設けて、該凹陥部425に当接面42bを設定したものであれば、裏当部材7の一方方向への移動を禁止するとともに、凹陥部425の当接面42bに略垂直な面を利用して、裏当部材7の前記一方方向と垂直な方向への移動を抑止することも可能である。よって、裏当部材7のブラケット42に対する位置決めをより確実にし、部材の結合作業の容易化に資するものとなる。
【0043】
加えて、前記パネル31、32の前記ブラケット42に対する相対的な位置を位置決めするパネル位置仮決め手段を設け、該パネル位置仮決め手段を利用して前記裏当部材位置決め部を構成することで、裏当部材7の位置決めと、パネル31、32とブラケット42との位置決めとを一の構造により行うことができ、簡単な構成でありながら部材の結合作業をより容易なものとする。
【0044】
本実施形態では、周壁の開口61に対向する壁面、即ち底壁63の壁面に凹部91を設け、該凹部91にブラケット42より突出し前記裏当部材7に当接して該裏当部材7の少なくとも一方方向への移動を禁止する当接面を有する突起92を挿入することで裏当部材位置決め部を構成している。同時に、前記突起92と、前記挿入空間における前記裏当部材7の裏側の周壁に設けた凹部とを係わり合わせてパネル位置仮決め手段を構成している。このような構造により、パネル31、32とブラケット42との相対位置を位置決めする突起92を、裏当部材7の位置決めにも利用することができる。よって、ブラケット42、裏当部材7の形状を徒に複雑化させる必要がなく、製造コストの削減にもつながる。さらに、前記凹部91を前記裏当部材7の移動方向に沿って間欠的に複数設けることで、複数の凹部91の少なくとも一つを選択し前記突起92を挿入し得る。よって、前記パネル31、32の前記ブラケット42に対する相対的な位置を段階的な移動することができるようになる。
【0045】
かつこのものは、前記挿入空間における前記裏当部材7の裏側の周壁である底壁63に、前記挿入空間に挿入した裏当部材7の位置を位置決めする裏当部材位置決め部を設けた部材の結合構造であるともいえる。より具体的に言えば、周壁の内壁面に設けた凹部91が、前記突起92を挿入することで裏当部材位置決め部としての機能を発揮するものとなっている。裏当部材の裏面に存在することとなり、ねじの邪魔にならない、かつ、前記凹部91を前記裏当部材7の移動方向に沿って間欠的に複数設けており、複数の凹部91のうちの少なくとも一つを選択的に利用し、段階的に裏当部材7のパネル31、32に対する相対的な位置を変更することができる。従って、裏当部材7が位置決めされる位置にブラケット42を配置するようにして、パネル31、32に対するブラケット42の相対的な取り付け位置を適宜に設定して双方を結合させることが可能となる。
【0046】
前記挿入空間が開口幅よりも広幅の内奥部を有する挿入溝6であれば、比較的簡単な形状であり、押出成形や板金材の折り曲げ加工等の方法で容易に形成可能である。そして、前記裏当部材7が前記挿入溝6の開口幅よりも大きい幅寸法を有するものであれば、挿入溝6の延長方向にスライド移動可能でありながら開口61から挿入溝6の外へ脱出してしまうことがない。このことにより、パネル31、32とブラケット42とを結合すべく裏当部材7を挿入空間内で適宜の位置に移動させるときに、該裏当部材7が不適切な位置に移動してしまったり適切な移動範囲から脱出してしまったりすることを防止できるため、作業が一層簡単なものとなる。また、裏当部材7や、上記の凹部91を周壁により隠蔽して製品の格調を高める効果をも奏し得る。加えて、裏当部材7は、挿入溝6の断面形状と概略等しい断面形状を有しており、裏当部材7の挿入溝6内における移動方向に対して垂直な方向成分を含む移動が抑止される。このことにより、ブラケット42と裏当部材7との締結作業が容易となり、パネル31、32とブラケット42との結合作業を簡単にできるようになる。
【0047】
前記突出子72並びに前記突起92を、挿入溝6の開口61に貫通させている。即ち、パネル固定ねじB3と突出子72、突起92とが開口61を共用するようにしていることにより、パネル31、32に複数の開口を設ける等の複雑な加工を施す必要がない。さらには、ブラケット42と裏当部材7との締結をゆるめることのみによって、パネル31、32を挿入溝6の延長方向に沿って移動させることが可能となる。そして、裏当部材位置決め部の存在により、パネル31、32とブラケット42とを再び結合する際の作業も容易である。
【0048】
ブラケット42と裏当部材7とを締結する締結手段としてボルト、即ちパネル固定ねじB3を用いており、前記ブラケット42に前記パネル固定ねじB3を挿通するパネル固定ねじ挿通孔8bを設けるとともに前記裏当部材7にはパネル固定ねじB3と係わり合うねじ孔を設けることで、パネル31、32とブラケット42とを着脱可能とした結合構造を既存技術を利用して簡単に構成できる。また、開口61を大きく広げる必要もない。しかも、パネル31、32の位置を変更したい場合にはパネル固定ねじ挿通孔8bをゆるめブラケット42との締結の強度を弱めればよい。
【0049】
この結合構造により、パネル31、32とブラケット42との結合作業における裏当部材7の位置決めを簡単に実行できる。従って、前記挿入空間が上下方向成分を含む方向に延長して、前記裏当部材7が該挿入空間内を所定方向即ち上下方向成分を含む方向へ移動し得るような場合、言い換えるならばブラケット42に対するパネル31、32の相対的な位置が上下方向に変化し得るようにしたい場合にあっても、裏当部材7を適宜の位置に容易に配置することができる。
【0050】
パネル31、32の枠即ち枠体3bに前記挿入空間を設けるようにしていることから、パネル本体3aに枠体3bを取り付けて本発明に係る第1の部材を簡単に構成できる。しかもこのものは、机Tの天板1の辺1a、1bに沿って略垂直に設けることができ、デスクトップパネル若しくは幕板、またはその双方の機能を兼ねるものとしての機能を発揮するようになる。
【0051】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではない。例えば、挿入空間は、溝6として形成されるとは限られない。開口61もまた、上記実施形態のような連続した単一のものには限られず、複数の孔として構成されてもよい。締結手段はボルトB3には限られず、クランプのごとき装置を締結手段として用いることを妨げない。
【0052】
加えて、本発明の変形例の一として、図8に示すような構成とすることも考えられる。本例では、上記実施形態における裏当部材7の代わりに、弾性を有する樹脂等を器材として構成した裏当部材7Xを用いている。該裏当部材7Xの特徴として、挿入空間を形成する周壁の内壁面に設けた凹部91と係合する凸部7X1を設けている。本例によれば、凹部91が裏当部材位置決め部としての機能を発揮する。その他各部の構成は上記実施形態と同様のものとすることが可能であるため、説明を略す。
【0053】
その他本発明は上記各図示例に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能であるのは言うまでもない。
【0054】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明によれば、一の部材と他の部材とをナット等の裏当部材を用いて結合せしめる場合において、裏当部材の位置決めを容易に実行することができ、部材の結合作業が容易なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における机の全体斜視図。
【図2】同実施形態における机の全体正面図。
【図3】同実施形態における机の全体側面図。
【図4】同実施形態における支持部材、ブラケット、パネル等を示す分解斜視図。
【図5】同実施形態における机の隅部を示す部分底面図。
【図6】同実施形態における机の隅部を示す部分側面図。
【図7】同実施形態におけるパネルの取付部分を示す部分縦断面図。
【図8】裏当部材の変形例を示す部分縦断面図。
【符号の説明】
T…机
1…天板
1a…辺(反使用辺)
1b…辺(側辺)
31、32…第1の部材(パネル)
42A、42B…第2の部材(ブラケット)
6…挿入空間(挿入溝)
61…開口
7…裏当部材
72…突出子
91…凹部
92…突起
B3…締結手段(パネル固定ねじB3)
Claims (10)
- 第1の部材に設けられた挿入空間に所定方向に沿って移動可能に挿入される裏当部材と、前記挿入空間を形成する周壁に設けられた開口を介して前記裏当部材と第2の部材とを該周壁を挟んで締結する締結手段とを具備し、前記周壁の外面と前記第2の部材に設けられた結合面とを互いに密接させてこれら第1の部材及び第2の部材を結合するものであって、
前記第2の部材に、前記挿入空間に挿入した裏当部材の該第2の部材に対する相対的な位置を位置決めする裏当部材位置決め部を設けており、
前記挿入空間が開口幅よりも広幅の内奥部を有する溝であり、その底壁面に凹部を設ける一方、前記第2の部材には前記溝の開口を貫通する突起を突出させて設け、
前記突起と前記凹部との係わり合いによって前記第2の部材の前記第1の部材に対する相対的な位置を位置決めする位置仮決め手段を構成し、かつ前記突起を前記裏当部材位置決め部として利用してその上向き面を前記裏当部材の下向き面に当接させる部材の結合構造。 - 前記裏当部材位置決め部が、前記裏当部材に当接して該裏当部材の少なくとも一方方向への移動を禁止する当接面を有するものである請求項1記載の部材の結合構造。
- 前記裏当部材に突出子を設け、かつ前記裏当部材位置決め部として前記第2の部材に前記突出子と係わり合う凹陥部を設けて、該凹陥部に当接面を設定した請求項2記載の部材の結合構造。
- 前記凹部を前記裏当部材の移動方向に沿って間欠的に複数設けた請求項1、2又は3記載の部材の結合構造。
- 前記挿入空間が開口幅よりも広幅の内奥部を有する溝であり、前記裏当部材が前記溝の開口幅よりも大きい幅寸法を有するものである請求項1、2、3又は4記載の部材の結合構造。
- 前記突出子が前記溝の開口を貫通している請求項3記載の部材の結合構造。
- 前記締結手段がボルトであり、前記第2の部材に前記ボルトを挿通する孔を設けるとともに前記裏当部材には前記ボルトと係わり合うねじ孔を設けた請求項1、2、3、4、5又は6記載の部材の結合構造。
- 前記挿入空間が上下方向成分を含む方向に延長して、前記裏当部材が該挿入空間内を上下方向成分を含む方向へ移動し得る請求項請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の部材の結合構造。
- 前記第1の部材がパネルであり、該パネルの枠に前記挿入空間を設けている請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の部材の結合構造。
- 前記第2の部材が机に設けられ、前記第1の部材が前記机の天板の辺に沿って略垂直に設けられている請求項9記載の部材の結合構造。
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