JP4056010B2 - プレス成形用ガラスプリフォームの製造方法、およびガラス光学素子の製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明は、かかるガラスプリフォームを用いたガラス光学素子の製造方法に関する。
しかしながら、用いるガラスプリフォームによって、または10000ショットを越える連続精密プレスにおいては、微少融着や、融着に起因するガラス光学素子のカン、ワレ、およびガラス光学素子表面のクモリ発生を防止することは容易ではなく、得られるガラス光学素子の品質は必ずしも満足すべきものではない場合があった。この現象は、特に、フツリン酸塩系、リン酸塩系、ホウリン酸塩系、又はホウ酸塩系ガラスからなるガラスプリフォームや、ガラス成分として酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化ビスマス、塩素、フッ素のいずれかを含有するガラスからなるガラスプリフォームを用いた場合に顕著に現れる。
また、本発明は、かかるガラスプリフォームを用いたガラス光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
図1は、ガラスA(TiO2、Nb2O5、WO3を含むリン酸塩系ガラス、ガラス転移温度465℃、屈伏点515℃)の表面に炭素数18の自己組織化膜を形成したガラスプリフォームAとガラスB(ホウケイ酸塩系ガラス、TiO2、Nb2O5、WO3を含有せず、ガラス転移点500℃、屈伏点540℃)の表面に炭素数18の自己組織化膜を形成したガラスプリフォームBの表面温度を変化させた場合の脱ガス量の変化を示す。なお、炭素数18の自己組織化膜の形成には、CH3(CH2)17SiCl3(n−オクタデシルトリクロロシラン)を用いた。
尚、脱ガス量の測定は、真空下に設置された試料を一定速度で加熱し、試料から発生するガス(脱離した化学種)の質量及び量の変化を、質量分析計により計測する脱離ガス分析により行った。
図1で示す通り、ガラスAからなるガラスプリフォームAは、ガラスBからなるガラスプリフォームBより脱ガス量が多いことが分かる。
そこで、本発明者等はプレス成形時の脱ガス量を制御すれば、ガラス光学素子のカン、ワレやガラス光学素子表面のクモリの発生を防止することができると考えた。
本発明では、例としてOwens-Wendt-Kaelble法を用いて表面自由エネルギーを評価した。純水およびジヨードメタンの濡れ角測定よりOwens-Wendt-Kaelble法を用いた表面自由エネルギーの評価方法を、以下に説明する。
表面自由エネルギーの値は、一般的には、純水、ジヨードメタン、グリセリン、イソペンタン、パーフルオロヘキサン等を用いた濡れ角測定より定量的に評価でき、市販の接触角測定器を用いることにより評価することができる。表面自由エネルギーの値を得るには、上記液体の中から2種類の異なるものを用いて、測定対象の表面の濡れ角(接触角)を測定し、算定することができる。
例えば、純水およびジヨードメタンの濡れ角測定よりOwens-Wendt-Kaelble法を用いた表面自由エネルギーの評価を以下のように行うことができる。
表面自由エネルギー(γ)は、固体又は液体の分散力(Dispersion Force)γdと固体又は液体の極性相互作用力(Polar Interaction Force)γpとの和で与えられる。
Owens-Wendt-Kaelble法により、以下の計算式を用いた。
上記の検討では自己組織化膜を設けたガラスプリフォームを用いたが、炭素を原料としてスパッターによってプリフォーム上に成膜した炭素含有膜の場合、炭化水素ガスのプラズマ分解によってプリフォーム上に成膜した炭素含有膜の場合、炭化水素の熱分解による炭素含有膜の場合、及び炭素を原料として真空蒸着によってプリフォーム上に成膜した炭素含有膜の場合においても、上記自己組織化膜を設けた場合と同様の傾向が得られた。
(1)予備成形されたガラス素材を加熱処理した後、ガラス素材表面に炭素含有膜を形成する、プレス成形用ガラスプリフォームの製造方法であって、
上記加熱処理が、水素濃度が0〜0.1容量%、H 2 O濃度が0〜0.1容量%、圧力が0.01気圧〜2気圧の雰囲気中で、上記加熱処理温度を200℃〜上記ガラス素材の軟化点にして行われることを特徴とするプレス成形用ガラスプリフォームの製造方法、
(2)上記ガラス素材が、フツリン酸塩系、リン酸塩系、ホウリン酸塩系およびホウ酸塩系から選ばれるいずれか1種のガラスからなる、上記(1)に記載のプレス成形用ガラスプリフォームの製造方法、
(3)上記ガラス素材が、ガラス成分として酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化ビスマス、塩素およびフッ素から選ばれるいずれか1種を含有するガラスからなる、上記(1)に記載のプレス成形用ガラスプリフォームの製造方法、
(4)上記ガラス素材が、モル%表示で、ガラス成分としてWO3 2〜45%、Nb2O5 0〜25%、TiO2 0〜10%(但し、WO3とNb2O5とTiO2の合計含有量が20〜45%)を含有するP2O5−WO3 系ガラスからなる、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のプレス成形用ガラスプリフォームの製造方法、
(5)上記加熱処理後、炭素含有膜の形成前に、ガラス素材の表面に水素捕獲膜を形成する、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のプレス成形用ガラスプリフォームの製造方法、
(6)上記ガラス素材表面への炭素含有膜の形成が、蒸着法、スパッタ法、プラズマ分解法、イオンプレーティング法および自己組織化膜成膜法から選ばれるいずれか一種の方法によって行われる、上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のプレス成形用ガラスプリフォームの製造方法、
(7)上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のプレス成形用ガラスプリフォームを加熱軟化した状態で、成形型によりプレス成形することを特徴とする、ガラス光学素子の製造方法、および
(8)上記成形型が成形面に炭素を含有する離型膜を有し、上記成形型を所定温度に、プレス成形用ガラスプリフォームを成形型より高い所定温度に加熱する工程を有する、上記(7)に記載のガラス光学素子の製造方法、
を提供するものである。
また、かかるプレス成形用ガラスプリフォームをプレス成形することにより、ガラス光学素子のカン、ワレやガラス光学素子表面へのクモリの発生を抑えることが可能となる。
次いで、かかるプレス成形用ガラスプリフォームを加熱軟化した状態で、成形型によりプレス成形することにより光学素子を得るものである。以下、本発明について詳述する。
[ガラスプリフォーム成形用ガラス素材を構成するガラスの硝種、成分、組成、特性]
まず、ガラスプリフォーム成形用ガラス素材を構成するガラスの硝種、ガラス成分、ガラス組成、およびガラスの特性について説明する。
低屈折率、低分散性を有するガラスである。ガラス成分として、Ba(PO3)2、AlF3、MgF2、CaF2、SrF2を含有するガラスが好ましく、上記ガラス成分を含有し、屈折率ndが1.42〜1.50、アッベ数νdが80〜97であるガラスがより好ましい。
B2O3は、ガラスの溶融性の向上やガラスの均質化に非常に有効な成分であると同時に、少量のB2O3の導入でガラス内部にあるOHの結合性を変え、プレス時にガラスを発泡させない非常に有効な成分である。BaOやZnOは、ガラスの屈折率(nd)を高め、失透安定性を向上させ、液相温度を低下させるために有効な成分である。Li2O、Na2O、およびK2Oなどのアルカリ金属酸化物は、いずれもガラスの耐失透性を良くし、屈伏点温度や液相温度を低下させ、ガラスの高温溶融性をよくするために導入される成分である。CaO、SrO、Y2O3及びAl2O3を少量ガラスに導入すると、ガラスの液相温度の低下、安定性の向上に効果がある。また、PbOも適宜含有して良いが、環境上使用しないことが好ましい。更に、ガラス成分以外の成分を含有しても良く、ガラスの清澄剤としてSb2O3とAs2O3を含有することができる。
目的を損なわない程度であれば6%までの導入は可能である。
本発明においては、上記のガラス素材は、後記の加熱処理に先立って予備成形される。
予備成形とは、ガラス素材を得ようとするガラスプリフォームの形状に対応する形状に予め成形することを言う。予備成形の具体的方法としては、溶融ガラスを、適切な粘度で型に流下又は滴下することによって所定体積の球、又は扁平球などの形状とする(熱間成形)方法、又は、カットしたガラスを研磨して所定体積の球などに加工する(冷間加工)方法が挙げられる。いずれの方法も適用できるが、簡便に欠陥のないガラス表面が得られる点、研磨に起因する水和層が表面に形成されない点などのため、熱間成形が好ましい。
上記予備成形されたガラス素材は、実質的に水素を含有しない乾燥雰囲気中で加熱処理される。
ここで、実質的に水素を含有しないとは、水素を全く含有しない場合だけでなく、操作過程で不可避的に混入する極微量の水素を含有する場合も含むものであるが、好ましい水素濃度は0〜0.1容量%である。加熱雰囲気中に0.1容量%を越えて水素が存在すると、ガラス素材が反応性の高い水素により汚染され、この反応性の高い水素による浸食反応により、成形型表面の劣化が促進され、クモリの成因になりやすいと考えられる。従って、加熱雰囲気中に水素不純物濃度は0〜0.1容量%が好ましく、0〜0.01容量%がより好ましい。
加熱時間は、好ましくは10分〜20時間、より好ましくは30分〜8時間である。
本発明においては、精密プレスの際にガラス素材と成形型との摩擦係数を小さくしてガラス素材の伸びを良くする為に、また離型性を向上させる為に、上記加熱処理の後にガラス素材表面に炭素含有膜を形成する。
この場合、ガラス素材表面に直接炭素含有膜を形成してもよいし、間接的に形成してもよいが、直接形成することが好ましい。なお、ここで間接的に形成するとは、ガラス素材表面と炭素含有膜との間に後述する水素捕獲膜や接着層等の他の層が介在することを言う。
例えば、非晶質および/または結晶質のグラファイト、非晶質および/または結晶質のダイヤモンドから選ばれる少なくとも1種類を単一成分層又は混合層とする炭素膜を挙げることができる。炭素含有膜は、炭素以外にも出発原料に由来する水素、ケイ素、フッ素、イオウなどの炭素以外の原子を含む場合もあるが、こうした膜も本発明の炭素含有膜に含まれるものとする。
50℃とすることが好ましい。この場合、炭素含有膜の膜厚は、通常の光学薄膜と同様に、モニターガラス上の蒸着膜の反射率変化、透過率変化もしくはQCM(水晶振動子マイクロバランス)による実測から、シャッターの開閉により炭素含有膜の膜厚を制御することができる。
プラズマ分解法を用いる場合は、市販のプラズマ分解装置を用いて、10−2〜10−3Torr程度の減圧雰囲気中で、炭化水素など炭素を含有するガス材料をRF電気パワーでプラズマ状態に分解し、炭素系のプラズマから基材表面上に炭素系粒子を析出して炭素含有薄膜を形成する。基材加熱温度は室温〜200℃程度が好ましい。この場合、モニターガラス上のプラズマ分解膜の反射率もしくは透過率の変化から、RFパワーの印加時間により炭素含有膜の膜厚を制御することができる。
この場合、通常の光学薄膜と同様に、モニターガラス上のイオンプレーティング膜の反射率変化、透過率変化もしくはQCM(水晶振動子マイクロバランス)による実測から、シャッターの開閉により炭素膜厚を制御することができる。
自己組織化膜とは、被成膜基材の表面と反応して、被成膜基材上に、例えば炭素鎖が自己的に配列・組織化して形成された膜であり、杉村博之、高井治;日本学術振興会薄膜第131委員会第199回研究資料平成12.2.1 p.34−39、Seunghwan Lee, Young-Seok Shon, Ramon Colorado, Jr.,Rebecca L. Guenard, T. Randall Lee and Scott S. Perry;Langmuir 16巻(2000)、p.2220−2224等の文献により知られるものである。
コーティング溶液に予備成形されたガラス素材を浸漬する場合は、例えば、自己組織化膜の出発原料として特定の原料を選択し、この自己組織化膜の出発原料を含有するコーティング溶液にガラス素材を浸漬することにより自己組織化膜を形成することができる。好ましくは、自己組織化膜の出発原料を有機溶媒中に所定濃度含有するコーティング溶液にガラス素材を浸漬した後、ガラス素材を洗浄、乾燥することにより自己組織化膜を形成することができる。この場合、膜形成を効率的に行なうために、ガラス素材表面の前処理を行なってもよい。
この方法では、自己組織化膜の出発原料である有機化合物分子が、ガラス素材の表面の基と反応して配列することで膜が形成されるため、極めて被覆率が高く、有機化合物分子の配向性がそろった有機単分子膜の成膜が可能になる。
後述するように、自己組織化膜の出発原料としては、反応性の有機ケイ素含有化合物、有機硫黄含有化合物、有機フッ素含有化合物及び有機窒素含有化合物などを挙げることができる。
具体的には、例えばヘキサン等の無水非極性有機溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルムなどの無水有機溶媒、およびこれらの混合溶媒であることが好ましい。
コーティング溶液における自己組織化膜の出発原料の濃度は、0.1〜10wt%であることが好ましい。
上記コーティング溶液へのガラス素材の浸漬時間は1分程度が好ましい。また、コーティング溶液への浸漬後、ガラス素材の乾燥温度は室温〜100℃であることが好ましく、乾燥時間は30分程度であることが好ましい。
コーティング溶液における、自己組織化膜の出発原料の種類、溶媒の種類、自己組織化膜の出発原料の濃度は上記と同様である。容器内での自己組織化膜の出発原料の蒸気量は、プリフォーム表面を自己組織化膜で覆うために必要な量の1倍〜10000倍であることが好ましく、10〜1000倍であることがより好ましい。ガラス素材の表面を自己組織化膜で覆うための自己組織化膜原料物質の必要量は、自己組織化膜原料物質の有機分子1分子の占有面積と、ガラス素材の表面積から求めることができる。
容器内の圧力は0.1気圧程度が好ましく、ガラス素材を自己組織化膜の出発原料の蒸気に曝露する時間は数分間程度であることが好ましい。
真空蒸着法やスパッタ法、イオンプレーティング法によって炭素含有膜を形成する場合には、膜の原料となる成膜材料の水素不純物濃度を5at%以下に、成膜雰囲気中の水素濃度を5容量%以下にすることにより、成膜による水素含有量の増加を5at%以下に抑止することができる。自己組織化膜成膜法により炭素含有膜を形成する場合には、成膜によってガラス素材中の水素含有量は増加しないため、好ましい。尚、成膜前に洗浄工程を設ける場合、その乾燥段階に乾燥雰囲気中の水素濃度を5容量%以下にすることにより、成膜による水素含有量の増加を5at%以下に抑止することができる。
酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化ビスマスから選ばれる何れか1種のガラス成分を含有するガラス素材からなるガラスプリフォームを、炭素を含有する離型膜を有する成形型によってプレス成形すると、ガラス転移温度よりもはるかに低い350℃付近の温度から、ガラスと成形型の界面において非常に微量のガスが生成され、このガスがガラスと成形面の界面で精密プレス中に引き伸ばされることにより、成形されるガラス光学素子の表面に直線状の痕(以下、これを線状痕という)を形成し、また成形面が損傷を受けてクモリの原因となることがある。特に、WO3 を含有するガラスを用いたときにこの傾向が顕著
である。
ものとみられる。
本発明においては、ガラス中から水素が移動して成形面における反応を防止するために、予備成形されたガラス素材の加熱処理後、炭素含有膜の形成前にガラス素材から出てくる水素を捕獲する膜(水素捕獲膜)をガラス素材表面に形成することにより、上記の様な界面での反応を抑えることができる。
なお、ガラス素材表面でH2Oガスの発生があると、水素捕獲膜が剥離もしくは劣化することが推測され、ガラス素材表面に水素捕獲膜を形成しても、線状痕の発生を完全には防止できない。そこで、水素捕獲膜は、ガラス素材の加熱処理後、炭素含有膜の形成前に、ガラス素材の表面に形成することが好ましい。
本発明においては、ガラス素材の予備成形体の形状が基礎的な形状となって、その後ガラス素材表面に炭素含有膜が形成されてプレス成形用ガラスプリフォームが製造される。
プレス成形用ガラスプリフォームとしては、例えば、直径2−20mm程度の球状物や楕円型球状物、扁平形状物が挙げられるが、球状物や楕円型球状物、扁平形状物の大きさ、重量は、最終製品の大きさを考慮して適宜に決定される。仕上がり形状が凸または凹のレンズである場合、プレス成形用ガラスプリフォームは、容積がレンズとほぼ等しい円盤状、円柱状、球面状の形状を有するものを用いることが好ましい。
本発明による、ガラス光学素子の製造方法について、以下説明する。
本発明では、上述した通り、予備成形されたガラス素材を一定の雰囲気下で加熱処理した後、ガラス素材表面に炭素含有膜を形成して得られたプレス成形用ガラスプリフォームを、プレス成形用ガラスプリフォームを加熱軟化した状態で、成形型によりプレス成形処理することにより、ガラス光学素子を製造する。
プレス成形時の圧力及び時間は、ガラスの粘度などを考慮して適宜決定することができ、例えば、圧力は約5〜15MPa、時間は10〜300秒とすることができる。
レンズの光学性能としては、透過率λ80が500nm以下、かつ透過率λ5が385nm以下であることが好ましい。
実施例1
(1)第1工程:予備成形されたガラス素材の加熱処理
第1工程として、直径4.5mmの球状に予備成形されたガラス素材(組成:TiO2、Nb2O5、WO3を含むリン酸塩ガラス、Tg=465℃、Ts=515℃;ガラスA)を、市販の管状電気炉をもちいて、1気圧のN2ガス(H2O不純物濃度:0.001容量%、水素不純物濃度:0.001容量%)を100mL/min流動させながら、400℃で8時間加熱処理した。
(2)第2工程:炭素含有膜の形成
第1工程において加熱処理を行ったガラス素材を、光学洗浄を行った後、20℃のオクタデシルトリクロロシラン1wt%のヘキサン溶液中に10分間浸漬し、ヘキサンでリンス洗浄後、クラス1000のクリーンルーム内で放置して乾燥した。
IR−RAS分析によって、ガラス素材表面に自己組織化膜が形成されていることを確認した。また、接触角解析装置を用いて純水およびCH2I2の接触角測定より算出した表面自由エネルギーの値は25mJ/m2であった。
本工程で得られた炭素含有膜を有するガラス素材を、プレス成形用ガラスプリフォームとした。
(3)第3工程:ガラス光学素子(レンズ)の製造
第2工程で得られたプレス成形用ガラスプリフォームを、直径7.5mm、第1面の曲率が7mm、第2面の曲率が5mm、コバ厚が0.7mmである両凸レンズ形状を基に精密加工した成形面を有する成形装置内に設置した。窒素ガス雰囲気中で、580℃まで加熱して150kg/cm2の圧力で1分間加圧した。
圧力を解除した後、冷却速度を−50℃/minで460℃になるまで冷却し、その後は−200℃/min以上の速度で冷却を行い、プレス成形物の温度が200℃以下に下がった時点で、成形物である両凸レンズを取り出した。
実施例1と同様のガラス素材を用い、第1工程において、1気圧の加湿したN2ガス(H2O不純物濃度:5容量%、水素不純物濃度:0.0001容量%)を100mL/min流動させながら、400℃で2時間熱処理した以外は、実施例1と同様にして、プレス成形用ガラスプリフォームを得た。
本ガラスプリフォームをN2雰囲気中で加熱処理した結果、加熱処理後のガラスプリフォームの表面自由エネルギーは400℃以上で急激に増大した。
得られたガラスプリフォームを実施例1と同様にして連続プレス成形したところ、1200ショットでレンズにカン、ワレが発生し始め、かつ、レンズ面のクモリが増加し始めた。さらに、2200ショットで、レンズ面のクモリは基準レベルを越え、これ以降のプレスでは、良品は得られなかった。
実施例1と同様のガラス素材を用い、第1工程において、1気圧の乾燥空気(H2O不純物濃度:0.001容量%、水素不純物濃度:0.5容量%)を100mL/min流動させながら、400℃で2時間熱処理した以外は、実施例1と同様にして、プレス成形用ガラスプリフォームを得た。
本ガラスプリフォームをN2雰囲気中で加熱処理した結果、加熱処理後のガラスプリフォームの表面自由エネルギーは400℃以上で急激に増大した。
得られたガラスプリフォームを実施例1と同様にして連続プレス成形したところ、800ショットでレンズにカン、ワレが発生し始め、かつ、レンズ面のクモリが増加し始めた。さらに、1600ショットで、レンズ面のクモリは基準レベルを越え、これ以降のプレスでは、良品は得られなかった。
実施例1において、第1工程の加熱処理を行わない以外は実施例1と同様にしてプレス成形用ガラスプリフォームを得た。
プレス成形を続けたところ、1000ショットでレンズにカン、ワレが発生し始め、かつ、レンズ面のクモリが増加し始めた。さらに、2000ショットで、レンズ面のクモリは基準レベルを越え、これ以降のプレスでは、良品は得られなかった。
成形用ガラス素材、加熱処理条件、炭素含有膜の成膜法などを表4および表5のとおり変更した以外は、実施例1と同様にしてプレス成形用ガラスプリフォームを製造し、得られたガラスプリフォームを実施例1と同様にして10000ショットまで連続プレスした。
レンズの外観を観察した結果、表4および表5のとおり、全数、カン、ワレはなく、クモリを含めた外観品質は良好もしくは極めて良好であった。
Claims (8)
- 予備成形されたガラス素材を加熱処理した後、ガラス素材表面に炭素含有膜を形成する、プレス成形用ガラスプリフォームの製造方法であって、
前記加熱処理が、水素濃度が0〜0.1容量%、H 2 O濃度が0〜0.1容量%、圧力が0.01気圧〜2気圧の雰囲気中で、前記加熱処理温度を200℃〜前記ガラス素材の軟化点にして行われることを特徴とするプレス成形用ガラスプリフォームの製造方法。 - 前記ガラス素材が、フツリン酸塩系、リン酸塩系、ホウリン酸塩系およびホウ酸塩系から選ばれるいずれか1種のガラスからなる、請求項1に記載のプレス成形用ガラスプリフォームの製造方法。
- 前記ガラス素材が、ガラス成分として酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化ビスマス、塩素およびフッ素から選ばれるいずれか1種を含有するガラスからなる、請求項1に記載のプレス成形用ガラスプリフォームの製造方法。
- 前記ガラス素材が、モル%表示で、ガラス成分としてWO3 2〜45%、Nb2O5 0〜25%、TiO2 0〜10%(但し、WO3とNb2O5とTiO2の合計含有量が20〜45%)を含有するP2O5−WO3 系ガラスからなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプレス成形用ガラスプリフォームの製造方法。
- 前記加熱処理後、炭素含有膜の形成前に、ガラス素材の表面に水素捕獲膜を形成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプレス成形用ガラスプリフォームの製造方法。
- 前記ガラス素材表面への炭素含有膜の形成が、蒸着法、スパッタ法、プラズマ分解法、イオンプレーティング法および自己組織化膜成膜法から選ばれるいずれか一種の方法によって行われる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプレス成形用ガラスプリフォームの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のプレス成形用ガラスプリフォームを加熱軟化した状態で、成形型によりプレス成形することを特徴とする、ガラス光学素子の製造方法。
- 前記成形型が成形面に炭素を含有する離型膜を有し、前記成形型を所定温度に、プレス成形用ガラスプリフォームを成形型より高い所定温度に加熱する工程を有する、請求項7に記載のガラス光学素子の製造方法。
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