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JP4052526B2 - 抗菌性樹脂 - Google Patents

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JP4052526B2 JP21262797A JP21262797A JP4052526B2 JP 4052526 B2 JP4052526 B2 JP 4052526B2 JP 21262797 A JP21262797 A JP 21262797A JP 21262797 A JP21262797 A JP 21262797A JP 4052526 B2 JP4052526 B2 JP 4052526B2
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Sumika Enviro Science Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗菌作用がある無機系抗菌剤を含有する抗菌性樹脂に関するものであり、更に詳しくは、耐変色性、耐熱性・耐候性、安全性に優れた抗菌性樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、銀、銅、亜鉛等の無機金属塩類及び有機金属塩類が抗菌・殺菌性に優れている事は古くから知られており、銀、銅、亜鉛等の抗菌性金属のうち特に銀イオンを含む無機金属塩類は、安全性が比較的高く顕著な抗菌力を示すことから無機系抗菌剤として注目を集めている。このような無機系抗菌剤のうち、難溶性の塩例えば、ケイ酸塩を有効成分とする銀化合物(特開平2−215704)、ホウ酸塩を有効成分とする銀化合物(特開平4−134006)、リン酸カルシウムに銀イオンを添加した抗菌剤(特開平5−148116)、その他リン酸アルミニウム系、リン酸ジルコニウム系抗菌剤等が知られている。しかし、銀イオンは、光、熱、共存物質等の影響を受けやすく、そのまま無機系抗菌剤として使用するには難点の多い素材である反面、無機系抗菌剤は、広範囲の微生物に対して顕著な抗菌性を有し、且つ耐性菌の問題もなく、安全性についても問題のない優れた特長を持った抗菌剤であることから、上述のような問題を解決し、幅広い用途に応用できるようにすることが望まれていた。そこで近年、このような銀イオンの欠点を克服するために銀イオンを様々な無機化合物に担持、反応させることが検討され、欠点の克服とともに耐熱性、適度な銀の溶出等新たな特性が付与されることから、様々な分野で利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
銀系の無機系抗菌剤、例えば先に述べた難溶性塩は、抗菌・殺菌性に優れている反面、紫外線照射や加熱時に変色を有してしまう欠点を持っているため、白色である銀系抗菌剤が、塗料やプラスチック等に配合した際、耐熱・耐候性試験に於いて、練り込み時の発泡、樹脂の劣化、着色、変色を生じ長期間における使用が困難な場合があり、抗菌性を備えながら工業的に大きな制約を受けていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は上記欠点を有しない、抗菌・殺菌性に優れた抗菌性樹脂の開発を鋭意検討した結果、有効成分として抗菌作用がある金属塩の銀塩および/または亜鉛塩と、モリブデンオキソ化合物のアルカリ塩とを反応させて得られる、複塩の1種又は2種を無機系抗菌剤として含有する抗菌性樹脂が、従来の無機系抗菌剤を練り込んだ樹脂に比べ抗菌・殺菌性に優れかつ耐変色性、耐熱性・耐候性、安全性に優れていることを見いだし、本発明を完成した。すなわち本発明は、有効成分として抗菌作用がある金属塩の銀塩および/または亜鉛塩と、モリブデンオキソ化合物のアルカリ塩とを反応させて得られる複塩の1種または2種以上を無機系抗菌剤として含有する抗菌性樹脂である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂に添加される無機系抗菌剤は、抗菌作用がある金属塩の銀塩および/または亜鉛塩と、モリブデンオキソ化合物のアルカリ塩とを反応させて調製させる。金属塩としては、銀と亜鉛の化合物が用いられ、銀化合物では硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀など、亜鉛化合物では硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛などを用いることができる。またモリブデンオキソ化合物アリカリ塩としてはモリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸リチウム、モリブデン酸アンモニウム、ポリモリブデン酸ナトリウム、イソポリモリブデン酸ナトリウムなどを用いることができる。反応方法は、銀塩又は亜鉛塩水溶液にモリブデンオキソ化合物のアルカリ塩水溶液を添加する、あるいはこの逆でもよい。本発明においては、得ようとする銀塩および/または亜鉛塩と、モリブデンオキソ化合物の複塩の粒子径は反応条件により変えることができる。粒子径の小さいものを得るにはモリブデンオキソ化合物のアルカリ塩の水溶液、および銀塩および/または亜鉛塩の金属塩水溶液の濃度を低く、また攪拌速度を速くすれば良く、自由に粒子径をコントロールすることができる。好ましい粒子径は抗菌対象物の物性面への影響、あるいは抗菌性などから10μm以下がよい。このようにして得られた好ましい粒子径を有する銀塩および/または亜鉛塩と、モリブデンオキソ化合物の複塩は反応液スラリーから水をろ別し、乾燥することにより粉末状で得られる。本発明に使用される樹脂としては、・・・・その製法や形状は特に限定されるものではない。
【0006】
【実施例】
本発明について更に詳細に実施例で説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
【0007】
(調製例1)(酸化モリブデン銀複塩の調製方法)
モリブデン酸ナトリウム二水和物(関東化学(株))6.5gを100mlのイオン交換水に溶解し、これに硝酸銀(関東化学(株))9.1gを100mlのイオン交換水に溶解した溶液を30分で滴下し沈殿を生成させた。更に、1時間攪拌を続け沈殿を熟成させた後、得られた沈殿物をろ過、イオン交換水で洗浄し、100℃で十分に乾燥して黄白色の本発明の無機系抗菌剤粉末を約10g得た。このときの平均粒子径は、5.0μmであった。また、銀含有量は、粉体中に約59%であった。
【0008】
(調製例2)(酸化モリブデン亜鉛複塩の調製方法)
モリブデン酸ナトリウム二水和物(関東化学(株))10.85gを100mlのイオン交換水に溶解し、これに硝酸亜鉛六水和物(関東化学(株))13.38gを100mlのイオン交換水に溶解した溶液を30分で滴下し沈殿を生成させた。更に、1時間攪拌を続け沈殿を熟成させた後、得られた沈殿物をろ過、イオン交換水で洗浄し、100℃で十分に乾燥して白色の本発明の無機系抗菌剤粉末を約10g得た。このときの平均粒子径は、8.0μmであった。また、亜鉛含有量は、粉体中に約29%であった。
【0009】
(調製例3)
調製例1で得られた酸化モリブデン銀複塩50部と調製例2で得られた酸化モリブデン亜鉛複塩50部を混合し本発明の無機系抗菌剤粉末100部を得た。
【0010】
(比較例1)(ケイ酸銀の調製方法)
メタケイ酸ナトリウム9水和物(和光純薬工業(株))9.94gを100mlのイオン交換水に溶解し、これに硝酸銀(関東化学(株))11.9gを100mlのイオン交換水に溶解した溶液を30分で滴下し沈殿を生成させた。以下、調製例1同様で、100℃で十分に乾燥後黄褐色の沈殿を約10g得た。このときの平均粒子径は、8.8μmであった。銀含有量は、粉体中に約70%であった。
【0011】
(比較例2)(リン酸カルシウム系銀抗菌剤の調製方法)
イオン交換水100mlに水酸化カルシウム3g懸濁させ、これに8g/100mlのリン酸水溶液を徐々に滴下し、懸濁液中のpHが6になった時点でリン酸水溶液の滴下を終了した。30分熟成後、イオン交換水10mlに硝酸銀、硝酸アルミニウムを各0.3gを溶解し、懸濁液中に滴下した。3時間熟成後沈殿物を洗浄ろ過乾燥し、白色の粉末を得た。このときの平均粒子径は、3.5μmであった。銀含有量約1.1%であった。
次に、評価方法について説明する。
【0012】
[抗菌性樹脂の作製(ポリプロピレン:PP)]
PP(AW−630V:住友化学社製)を1500部、紫外線吸収剤としてスミソーブ300(住友化学社製)を1.5部、酸化防止剤としてスミライザーP−16(住友化学社製)を0.75部、スミライザーBP−101(住友化学社製)を0.75部、安定剤としてステアリン酸カルシウム(関東化学(株))を0.75部混合し、ミキシングロール(安田精機製作所(株))でロール表面温度約190℃で先に混合したPPを50gに対し調製例1、調製例2、調製例3及び比較例1の各抗菌剤をPPに対して0.02%、比較例2の抗菌剤を1%添加し15分間混練りした。次に、電熱プレス(関西ロール(株))シート成型器では、温度230℃で、混練りした各樹脂を約13g取り、溶融3分、加圧2分、冷却3分で成型サイズ:120×120×1mmの抗菌性樹脂シートを1枚得た。
このシートを耐熱性試験、耐候性試験、抗菌力試験に供試した。
【0013】
[抗菌性樹脂の成型時、耐熱性、耐候性試験]
実験で得られた、抗菌性樹脂の成型時の色の変化、耐熱性、耐候性を調べるために、耐熱操作では150℃で10日目での色の変化を、耐候操作を調べるために、SWOM(83℃ 雨あり)で180時間目での色の変化をブランクシート(無機抗菌剤無添加)との比較で表1に示す。
【0014】
【表1】
Figure 0004052526
【0015】
[樹脂中での抗菌力試験]試験方法(フィルム密着法)
培養した供試菌を1/200NB培地を加えた滅菌精製水で2.0×105 〜1.0×106 (個/ml)に調整する。上記で得られた耐候操作無し、有りのP.P.のシートを5cm平方に切り取った試料を滅菌シャーレに入れ、試料上に0.5mlの菌液を接種し、被覆フィルムを被せてシャーレをシールし、35℃で保存する。24時間後にSCDLP培地9.5mlで洗い出して1ml中の生菌数を寒天平板培養法で測定する。結果を表2に大腸菌(E.coli)、黄色ブドウ状球菌(S.aureus)での試験結果を示した。
試験方法は1995年度版 銀系無機抗菌剤研究会 抗菌加工製品の効力試験法1に準ずる。
【0016】
【表2】
Figure 0004052526
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、有効成分として本発明の抗菌作用がある金属塩の銀塩および/または亜鉛塩と、モリブデンオキソ化合物のアルカリ塩とを反応させて得られる複塩の1種又は2種を含有する抗菌性樹脂は、極めて優れた抗菌・殺菌性を有するのみでなく、耐熱性・耐変色性の両者を兼ね備えている。

Claims (1)

  1. 有効成分として抗菌作用がある金属塩の銀塩および/または亜鉛塩と、モリブデンオキソ化合物のアルカリ塩とを反応させて得られる複塩の1種又は2種を無機系抗菌剤として含有する抗菌性樹脂。
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