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JP4048332B2 - 水素の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はメタノールを水と共に改質することにより水素ガスを製造する方法に関し、詳しくは触媒の存在下にメタノール水溶液を改質することにより水素ガスを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水素ガスは化成品の原料ガス、ガラスや電子材料の処理ガス、ロケットや燃料電池の燃料ガスなど非常に多岐に渡って大量に利用されている工業的に重要なガスである。特に近年では水素消費プラントに近接したオンサイト型水素製造プラントの需要が多く、これに適した水素の製造方法としてメタノールを水と共に改質して水素と二酸化炭素の混合ガスを得た後に分離して高純度な水素ガスを製造する方法が脚光を浴びている。
【0003】
従来、メタノールを水と共に改質して水素と二酸化炭素の混合ガスを得る方法は主に気相接触のメタノールの水蒸気改質による方法が行われている(特公昭62−3761号、特公昭62−43921号、特公昭62−46482号、特開昭59−184706号、特開昭59−203702号、特開昭62−207701号、特開平3−257001号等)。
【0004】
気相接触の水蒸気改質法以外の例として特開昭63−233001号には液相の炭化水素化合物中での接触改質法が開示されている。この方法では供給するメタノールと水を気化してから液相炭化水素に混合して触媒層に供給する為に、メタノールと水は気体として炭化水素溶媒に溶解して触媒と接触するようになっており気相接触の改質法と同様の欠点を有する。更に大量の液相炭化水素を加熱、循環させるための機器が必要になり好ましくない。
また、特開昭59−203701号にはメタノール水溶液から光触媒的に水素と二酸化炭素を製造する方法が開示されている。この方法では常温付近で水素が生成するなどの利点もあるものの、光触媒反応を起こすために高圧水銀灯などを用いて紫外光を作り出す必要があり、且つ水素の生成速度が遅いために工業的には不適である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
気相接触の水蒸気改質法は、液体で貯蔵されているメタノールと水を気化させて触媒層へ供給するための機器と熱量を必要とする。また改質反応が吸熱反応であるために工業的に充分な改質速度を得るためには高い反応温度が必要とされ、一般に240〜290℃以上の反応温度が採用されている。これよりも低い反応温度域ではメタノールの転化率が著しく低下するために未反応メタノールや水を凝縮させて生成ガスと分離した後に回収する必要が生じる。
これらの要素によってプロセス装置は複雑なものになり、エネルギー利用の見地からも好ましいものではない。
【0006】
また、水素ガスを半導体材料の処理ガスや燃料電池の燃料ガス等の用途に用いる場合には副生する一酸化炭素ガスは極力少ないことが望ましいが、気相接触の水蒸気改質法では前述の理由により高い反応温度が採用されるために熱力学的に一酸化炭素の副生に有利な傾向にある。よって一般には供給メタノールに対して過剰量の水を加えることにより一酸化炭素の副生を抑制するか、または改質反応器の後段に水性ガスシフト反応器を連結するなどして副生した一酸化炭素を減量する措置が更に必要になる。
本発明の目的は、以上の如き状況に鑑み、より簡素なプロセス装置でより低い反応温度条件下にメタノールを水と共に改質して水素ガスを得る方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、固体触媒の存在下にメタノール水溶液を液相で改質することにより、簡素なプロセス装置でより低い反応温度条件下でメタノールを改質できること、固体触媒として特に銅と亜鉛及び/またはクロムを含有する触媒が好適であることを見い出し、本発明に至った。
即ち本発明は固体触媒の存在下にメタノール水溶液を液相で改質することを特徴とする水素ガスの製造方法であり、固体触媒として銅と亜鉛及び/またはクロムを含有する触媒が好適に用いられる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のメタノールの改質反応は下式で表される。
CH3 OH + H2 O → 3H2 + CO2
本発明の方法ではメタノール水溶液を分解して加圧された水素と二酸化炭素の混合ガスを得るので、反応生成物が原料のメタノール水溶液から容易に分離されることになり、従来の気相接触のメタノール水蒸気改質法と比較して、より簡素なプロセスと装置で加圧された水素と二酸化炭素の混合ガスが得られるのが特徴である。また、水素の利用目的によっては好ましくないとされる一酸化炭素の副生を、従来の気相接触法よりも低い反応温度域で改質反応を進行させることによって抑制できると言う利点も併せ持つ。
【0009】
本発明で用いられる固体触媒は制限されないが、銅と、亜鉛及び/またはクロムを含有する触媒が好適に用いられる。銅と亜鉛やクロム化合物が最終的に組み合わされて含有されておればよく、各元素の出発物質について特に制限はない。例えば当該元素の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、塩基性炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、ピロ酸塩、錯体化合物等を用いることができる。また当該元素の二つ以上を含有するクロム酸銅、クロム酸亜鉛等の複合酸化物や複合塩等も用いることができる。
【0010】
本発明で用いられる触媒の調製方法には特に制限はなく、例えば混練法、共沈法、含浸法等の既知の固体触媒の調製方法を用いることができる。具体的には前述の銅化合物と亜鉛化合物やクロム化合物を湿式混練して調製する方法、銅化合物と亜鉛化合物やクロム化合物の混合溶液を適当な沈澱剤を用いて共沈させる方法、銅化合物と亜鉛化合物やクロム化合物の混合溶液を適当な触媒担体に含浸させる方法、銅化合物の溶液を適当な亜鉛化合物やクロム化合物に担持する方法等を用いることができる。また既知の銅−亜鉛複合酸化物、銅−クロム複酸化物、銅−亜鉛−クロム複合酸化物等を調製する方法も用いることができる。
【0011】
本発明で用いられる触媒は銅と亜鉛やクロム以外に反応に不活性な成分を含有していても良い。不活性な成分とは銅成分等を分散させるための分散剤、触媒成型助剤、触媒担体や支持構造物等であって、例えばシリカ、アルミナ、活性炭、タルク、グラファイト、金属板、金属フィン等である。これらを前述の触媒調製工程中に添加したり、これらの上で触媒を調製することによって触媒を調製することができる。
【0012】
本発明で用いられる触媒にはマンガン化合物やアルカリ土類金属化合物の添加が有効である。固体触媒成分にマンガン化合物やアルカリ土類金属化合物を含有させて用いる場合には、これらの化合物が最終的に触媒に組み合わされて含有されておればよい。添加されるアルカリ土類金属化合物は周期律表IIa族元素の化合物であって、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムの中から選ばれる一種類または二種類以上の元素の一種類または二種類以上の化合物が用いられる。マンガン化合物、アルカリ土類金属化合物の出発物質について特に制限はない。例えば当該元素の金属、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、塩基性炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、錯体化合物等を用いることができる。マンガン化合物やアルカリ土類金属化合物を含有する触媒の調製方法に特に制限はない。例えばマンガン化合物やアルカリ土類金属化合物の出発物質を触媒担体として用いたり、前述の触媒調製工程中に添加したり、触媒に含浸担持させることによってマンガン化合物やアルカリ土類金属化合物を構成成分に含有する触媒を調製することができる。
【0013】
本発明で用いられる触媒中に含まれる銅濃度に特に制限はない。0.1〜95重量%、好ましくは1〜70重量%の範囲が有効である。触媒中に含まれる銅と亜鉛またはクロムの組成比に特に制限はない。銅/亜鉛またはクロム原子比で1/100〜100/1、好ましくは1/20〜20/1程度の範囲で用いることができる。マンガン化合物やアルカリ土類金属化合物を含有する固体触媒を用いる場合の触媒中の銅金属重量に対するマンガン化合物やアルカリ土類金属化合物重量の比は各々0.001〜50、好ましくは0.01〜2の範囲にあることが望ましい。
【0014】
本発明で用いられる触媒の形状に特に制限はない。即ち粉末状、粒状、打錠成型ペレット、押出成型ペレット等の形状で使用することができる。
本発明の触媒は反応に用いる前に必要に応じて焼成、還元等の処理を行うことが望ましい。焼成処理は、その方法に特に制限はなく一般に焼成炉内に静置または流動させ、空気または不活性ガス雰囲気下に200〜600℃の温度範囲で処理することが好ましい。還元処理は常法を採用することができ、100〜500℃の温度範囲で水素ガス、一酸化炭素ガス、メタノールによる還元等が有効である。本発明の方法では市販の酸化銅を含有する未還元触媒を用いて反応を行っても水素ガスが生成することを確認しているが、還元処理した触媒に比較して水素の生成速度に劣る傾向があり還元処理を施すことが望ましい。
【0015】
本発明に用いられるメタノールは、その製造方法に特に制限はなく如何なる製法によって製造されたものも使用することができる。その純度はできる限り高純度である方が望ましいが、最も入手し易く廉価な工業的蒸留グレード品を用いても何等差し支えなく、従来の気相接触改質法に用いられている程度の純度で充分に使用可能である。
本発明に用いられる水についても、その製造方法に特に制限はなく、またその純度はできる限り高純度である方が望ましいが、最も入手し易いイオン交換水や蒸留水であっても何等差し支えなく、従来の気相接触改質法に用いられている程度の純度で充分に使用可能である。
【0016】
本発明に用いられる反応方式は、メタノールと水の混合物が液相状態で固体触媒と接触して生成ガスが得られるものであれば反応器の形状、原料の供給方法、生成ガスの採取方法等に特に制限はない。例えば次の様な形式で行なうことができる。
1)予め反応器にメタノール水溶液を仕込んで閉鎖系で反応を行い、反応中に原料液成分、生成ガスが系外に出さない方法。この場合には反応器を冷却して生成ガスを得ることができる。
2)予め反応器にメタノール水溶液を仕込んで反応を行い、反応器中の蒸気相の凝縮成分を冷却することにより反応中に生成ガスを系外に抜き出す方法。
3)予め反応器にメタノール水溶液を仕込んで反応を行い、反応器中の蒸気相の一部を冷却するかまたは全く冷却しないで、反応中にメタノール、水、生成ガスを系外に抜き出す方法。
4)予め反応器にメタノール水溶液を仕込んで反応を行い、反応器中の蒸気相の凝縮成分を冷却することにより反応中に生成ガスを系外に抜き出しつつ、反応器中にメタノール水溶液を供給する方法。
5)予め反応器にメタノール水溶液を仕込んで反応を行い、反応器中の蒸気相の一部を冷却するかまたは全く冷却しないで、反応中にメタノール、水、生成ガスを系外に抜き出しつつ、反応器中にメタノール水溶液を供給する方法等である。
【0017】
しかしながら、反応系が閉鎖系である場合には改質反応の進行と共に逆反応が進行しやすくなるために改質反応は徐々に進行しにくくなり、原理的には平衡状態までしか改質反応は進行しない。よって、この不利益を解決するためには生成ガスの少なくとも一部を反応中に反応系外に抜き出すことが好ましい。生成ガスを反応系外へ抜き出す際には、反応器内のガスの一部もしくは全部を冷却して凝縮成分を反応器に還流させることにより生成ガスのみを抜き出す方法やメタノールや水と生成ガスを同時に抜き出す方法を用いることができる。この時の抜き出しガスと凝縮成分の比率及び凝縮成分の還流比は反応器内のガスの温度、圧力、組成及び冷却装置の運転状態等により好適値が選ばれる。
また、生成ガスを連続的に製造する為には、メタノールと水を個々にまたは混合して反応器に供給することが好ましい。この場合のメタノールと水の供給比率、供給方法に制限はなく、供給状態についても気相、液相、気液混相いずれの状態でも供給することができる。
【0018】
本発明における液相状態で固体触媒と接触するメタノールと水の比率に特に制限はないが、水/メタノールモル比で0.01〜100、好ましくは0.05〜10の範囲が選ばれる。水とメタノールの蒸気圧に差があるために初期充填液中の比率、供給物中の比率、反応条件、反応器及び冷却装置の運転状態等で固体触媒と接触するメタノールと水の比率は可変であり、前述の範囲から好適値が選ばれる。
【0019】
本発明における反応温度は100℃〜240℃の範囲、好ましくは150〜230℃の範囲が用いられる。反応圧力は3〜150気圧の範囲であって、反応器内で安定にメタノールを液相状態に保つためには反応温度におけるメタノールの蒸気圧以上の反応圧力を用いられる。本発明では反応雰囲気下に窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス等を共存させて用いることができる。
【0020】
本発明における触媒の利用方法は、反応器内でメタノール水溶液と触媒が接触して生成ガスが得られるものであれば特に制限はない。例えば反応器内の一部に固定して固定床として用いる方法、反応液中に分散させて懸濁床として用いる方法等を前述のいずれの反応形式においても用いることができる。
本発明で得られる水素と二酸化炭素を主成分とする生成ガスから純度の高い水素ガスを得る方法に特に制限はなく、従来の気相接触改質法に用いられているような水素ガス精製プロセスを利用することができる。
【0021】
【実施例】
本発明について以下に実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
なお各実施例において水素生成速度の算出には下式を用いた。
水素生成速度(mol-H2 /kg-cat・ hr) =
生成水素量(mol) /触媒重量(kg)/反応時間(hr)
ここで固体触媒の重量は還元処理後の重量を用いて算出した。なお以下の実施例において実施例1〜9は閉鎖系で改質反応を行った場合であり、実施例10〜13は生成ガスを抜き出しながら改質反応を行った場合である。
【0022】
実施例1
日産ガードラー製G-66B 触媒(酸化銅30wt%、酸化亜鉛60wt%含有)の円柱状打錠成型ペレットを粉砕、篩い分けして 0.5〜1.0mm に整えた。ガラス製還元管に3.30g を充填して、水素/窒素混合ガスを流通させて常圧下で 240℃、2時間の還元処理を行った。還元済み触媒 2.89gと 64.0wt%メタノール水溶液 23.5gを100mL オートクレーブに充填して、系内を常圧の窒素ガスに置換してから 203℃に加熱して 3時間振盪して反応させた。反応終了時の反応圧力は 80Kg/cm2 (ゲージ圧)であった。反応終了後、氷水で冷却してからオートクレーブ内のガス成分、液成分を各々回収してガスクロマトグラフ分析によって定量した。結果を表1に示す。
【0023】
実施例2
実施例1の触媒(0.5〜1.0mm粒径)3.30gを実施例1に記載の方法によって還元処理した。還元済み触媒 2.91gと 64.0wt%メタノール水溶液 23.2gを 100mLオートクレーブに充填して、実施例1に記載の反応操作によって 221℃で 3時間振盪して反応させた。反応終了時の反応圧力は 125 Kg/cm2 (ゲージ圧) であった。反応終了後、実施例1と同様に処理しオートクレーブの内容物の定量を行った。結果を表1に示す。
【0024】
実施例3
実施例1の触媒(0.5〜1.0mm粒径)3.30gを実施例1に記載の方法によって還元処理した。還元済み触媒 2.90gと 77.9wt%メタノール水溶液 19.7gを 100mLオートクレーブに充填して、実施例1に記載の反応操作によって 221℃で 2時間振盪して反応させた。反応終了時の反応圧力は 128 Kg/cm2 (ゲージ圧) であった。反応終了後、実施例1と同様に処理しオートクレーブの内容物の定量を行った。結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
Figure 0004048332
【0026】
実施例4
日産ガードラー製G-13A 触媒(銅42wt%、クロム26wt% 含有)の円柱状打錠成型ペレットを粉砕、篩い分けして 0.5〜1.0mm に整えた。ガラス製還元管に3.40g を充填して水素/窒素混合ガスを流通させて常圧下で 200℃、 5時間の還元処理を行った。還元済み触媒 2.94gと 63.9wt%メタノール水溶液24.01gを 100mLオートクレーブに充填して、実施例1に記載の反応操作によって 221℃で 3時間振盪して反応させた。反応終了時の反応圧力は 108 Kg/cm2 (ゲージ圧) であった。反応終了後、実施例1と同様に処理しオートクレーブの内容物の定量を行った。結果を表2に示す。
【0027】
実施例5
日揮化学製N-201 触媒(酸化銅36.5wt%、酸化クロム45.5wt%、酸化マンガン 3.4wt% 含有)の円柱状打錠成型ペレットを粉砕、篩い分けして 0.5〜1.0mm に整えた。ガラス製還元管に 3.35gを充填して実施例4に記載の方法によって還元処理した。還元済み触媒 3.08gと 64.0wt%メタノール水溶液24.03gを 100mLオートクレーブに充填して、実施例1に記載の反応操作によって 221℃で 3時間振盪して反応させた。反応終了時の反応圧力は 119 Kg/cm2 (ゲージ圧) であった。反応終了後、実施例1と同様に処理してオートクレーブの内容物の定量を行った。結果を表2に示す。
【0028】
実施例6
日産ガードラー製G-99C 触媒(銅36wt%、クロム32wt%、バリウム2.2wt%、 マンガン2.4wt%含有)の円柱状打錠成型ペレットを粉砕、篩い分けして 0.5〜1.0mm に整えた。ガラス製還元管に 3.30gを充填して、実施例4に記載の方法によって還元処理した。還元済み触媒 3.03gと 63.9wt%メタノール水溶液24.04gを 100mLオートクレーブに充填して実施例1に記載の反応操作によって 221℃で 3時間振盪して反応させた。反応終了時の反応圧力は 117 Kg/cm2 (ゲージ圧) であった。反応終了後、実施例1と同様に処理しオートクレーブの内容物の定量を行った。結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
Figure 0004048332
【0030】
実施例7
日産ガードラー製G-89触媒(銅39wt%、クロム37wt%、マンガン3wt%含有)の円柱状打錠成型ペレットを粉砕、篩い分けして 0.5〜1.0mm に整えた。ガラス製還元管に 3.31gを充填して、実施例4に記載の方法によって還元処理した。還元済み触媒 3.12gと 64.0wt%メタノール水溶液24.01gを 100mLオートクレーブに充填して、実施例1に記載の反応操作によって 204℃で 3時間振盪して反応させた。反応終了時の反応圧力は 84Kg/cm2 (ゲージ圧) であった。反応終了後、実施例1と同様に処理してオートクレーブの内容物の定量を行った。結果を表3に示す。
【0031】
実施例8
実施例7の触媒(0.5〜1.0mm粒径)3.31gを実施例4に記載の方法によって還元処理した。還元済み触媒 3.12gと 64.0wt%メタノール水溶液24.01gを 100mLオートクレーブに充填して、実施例1に記載の反応操作によって 221℃で 2時間振盪して反応させた。反応終了時の反応圧力は 122 Kg/cm2 (ゲージ圧) であった。反応終了後、実施例1と同様に処理しオートクレーブの内容物の定量を行った。結果を表3に示す。
【0032】
実施例9
実施例7の触媒(0.5〜1.0mm 粒径)3.30gを実施例4に記載の方法によって還元処理した。還元済み触媒 3.11gと 78.0wt%メタノール水溶液19.75gを 100mLオートクレーブに充填して実施例1に記載の反応操作によって 221℃で 1.3時間振盪して反応させた。反応終了時の反応圧力は 124 Kg/cm2 (ゲージ圧) であった。反応終了後、実施例1と同様に処理しオートクレーブの内容物の定量を行った。結果を表3に示す。
【0033】
【表3】
Figure 0004048332
【0034】
実施例10
外部ヒーター、撹拌機、安全弁、窒素ガス導入ライン及び冷却管を経由して調圧弁に至るガス抜出ラインを備え付けた SUS製 100mL耐圧槽型反応器に、実施例1の触媒(0.5〜1.0mm 粒径) 6.6gを実施例1に記載した方法で還元処理したもの5.9gと 64.0wt%メタノール水溶液 48.0gを充填し、系内を窒素ガスで置換してから所定圧力まで充填した。外部循環する冷媒によって冷却管を約 0℃に冷却しつつ、撹拌機により 1200rpmの速度で反応器内部を撹拌した。調圧弁を閉じて反応系を閉鎖系にして、反応器を内部の液温度が約200℃となるように加熱した。加熱開始から 1.5時間後に外部ヒーター温度 226℃において反応器内の液温度 193℃、反応圧力 51Kg/cm2 (ゲージ圧) に達した。調圧弁を調整して反応圧力を50〜51 Kg/cm2 に保持して生成ガスを抜き出しながら反応器内の液温度を 200〜203 ℃に保って 4.0時間反応を継続した。反応終了後、再び調圧弁を閉じて反応器を氷水で冷却して反応器内の内容物を回収した。反応中の抜出ガス成分、反応終了後の反応器内の回収ガス成分及び回収液成分を各々ガスクロマトグラフ分析して生成物を定量した。結果を表4に示す。
【0035】
実施例11
実施例1の触媒(0.5〜1.0mm 粒径) 6.6gを実施例1に記載した方法で還元処理したもの5.9gと 87.7wt%メタノール水溶液 48.0gを実施例10に記載した SUS製 100mL耐圧槽型反応器に充填し、実施例10と同様の操作によって反応器内部の液温度が約 200℃となるように加熱した。加熱開始から 1.3時間後に外部ヒーター温度 225℃において反応器内の液温度 191℃、反応圧力 50Kg/cm2 に達した。調圧弁を調整して反応圧力を 50Kg/cm2 に保持して生成ガスを抜き出しながら反応器内の液温度を 200〜203 ℃に保って 2.5時間反応を継続した。反応終了後、実施例10と同様に処理して反応器内の内容物を回収し、ガスクロマトグラフ分析して生成物を定量した。結果を表4に示す。
【0036】
実施例12
実施例7の触媒(0.5〜1.0mm 粒径) 6.6gを実施例4に記載した方法で還元処理したもの6.2gと 64.0wt%メタノール水溶液 48.0gを実施例10に記載した SUS製 100mL耐圧槽型反応器に充填し、実施例10と同様の操作によって反応器内部の液温度が約 200℃となるように加熱した。加熱開始から 1.2時間後に外部ヒーター温度 221℃において反応器内の液温度 188℃、反応圧力 50Kg/cm2 に達した。調圧弁を調整して反応圧力を 50Kg/cm2 に保持して生成ガスを抜き出しながら反応器内の液温度を 198〜204 ℃に保って 3.0時間反応を継続した。反応終了後、実施例10と同様に処理して反応器内の内容物を回収し、ガスクロマトグラフ分析して生成物を定量した。結果を表4に示す。
【0037】
実施例13
実施例7の触媒(0.5〜1.0mm 粒径) 6.6gを実施例1に記載した方法で還元処理したもの6.2gと 87.7wt%メタノール水溶液 48.0gを実施例10に記載した SUS製 100mL耐圧槽型反応器に充填し、実施例10と同様の操作によって反応器内部の液温度が約 200℃となるように加熱した。加熱開始から 1.2時間後に外部ヒーター温度 221℃において反応器内の液温度 182℃、反応圧力 50Kg/cm2 に達した。調圧弁を調整して反応圧力を 50Kg/cm2 に保持して生成ガスを抜き出しながら反応器内の液温度を 189〜200 ℃に保って 1.7時間反応を継続した。反応終了後、実施例10と同様に処理して反応器内の内容物を回収し、ガスクロマトグラフ分析して生成物を定量した。結果を表4に示す。
【0038】
【表4】
Figure 0004048332
【0039】
【発明の効果】
以上の実施例からも明らかなように、銅と亜鉛及び/またはクロムを含有する固体触媒の存在下にメタノール水溶液を液相で改質することにより、230℃以下の穏やかな反応条件下で加圧された水素ガスを得ることができ、且つ生成ガス中に含まれる副生一酸化炭素が少ないと云う利点がある。従って生成ガスの精製が容易になり、工業的に極めて有利に水素ガスを製造することができる。
また本発明の方法では、メタノール水溶液を改質して加圧された水素ガスを得るので、反応生成物が原料のメタノール水溶液から容易に分離されることになり、従来の気相メタノールの水蒸気改質反応を行なう場合と比較して、より簡素なプロセスと装置で加圧された水素ガスが得られる。

Claims (3)

  1. 銅と亜鉛及び/またはクロムを含有する固体触媒の存在下に反応温度150〜230℃、反応圧力3〜150気圧にてメタノール水溶液を液相で改質することを特徴とする水素の製造方法。
  2. マンガン化合物及び/またはアルカリ土類金属化合物を含有する固体触媒を用いる請求項に記載の水素の製造方法。
  3. 生成するガスを反応系外に抜き出しながら改質反応を行う請求項1に記載の水素の製造方法。
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