JP4046021B2 - 2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートの製造方法及び精製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートを精製する方法に関するものである。詳しくは、2−メチルアダマンタンに(メタ)アクリル酸を酸触媒により反応させて得た混合物を精製し、高純度な2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートを得る方法に関する。 本発明により得られる2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートは、医薬、農薬、情報電子原料等、精密化学品として有用である。
【0002】
【従来の技術】
2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートの製造方法には幾つかの報告がある。2−メチレンアダマンタンに(メタ)アクリル酸とを酸触媒により反応させて得た混合物から、2−メチレンアダマンタンを分離し、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートを得る製造方法が提案されている(特許文献1参照)。該方法では、酸ハライド、有機アミン類を使用しない事から、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレート中のハロゲンや、有機アミンの混入量を低減できるメリットがある。
更に、原料となる2−メチレンアダマンタンの製造方法としては、2−メチルアダマンタノールにカルボン酸を作用させる方法が開示されている(特許文献2参照)。2−メチレン−アダマンタンに(メタ)アクリル酸とを酸触媒により反応させる際には、平衡の制約から、2−メチレンアダマンタンが残留する為、分離除去する必要があるが、2−メチレンアダマンタンを分離する手法としては、水の存在下で蒸留する方法が開示されている(特許文献3参照)。
一方、別の反応ルートとして、2−メチルアダマンタノールに、(メタ)アクリル酸の無水物や、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物を反応せしめ、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートを得る方法が公知である。かかる反応で得られた混合物中には、アダマンタン、2−メチレンアダマンタン、2−アダマンタノン、2−メチル−2アダマンタノール等の不純物が混入しており、これら昇華性の不純物を蒸留除去する際に、環状アミド類、環状ウレア類等で目的物よりも低沸点の化合物を共存させる方法が開示されている(特許文献4参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−284739号公報
【特許文献2】
特開2002−47216号公報
【特許文献3】
特開2002−97171号公報
【特許文献4】
特開2001−97893号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、公知の方法では、工業的に実施する際には、幾つかの課題が見受けられた。2−メチレンアダマンタンに(メタ)アクリル酸とを酸触媒により反応させて得た混合物から、効率良く2−メチレンアダマンタンを除去する方法が見あたらなかった。例えば、特許文献3に開示された水存在下での蒸留では、分離対象の2−メチレンアダマンタンとの沸点差が大きい為に分離効率の面で改善の余地があった。一方、特許文献4に記載の方法では、反応ルートが異なる為か、分離対象の混合物組成が大きく異なっていた。2−アダマンタノン、2−メチル−2アダマンタノール等の昇華性化合物の付着を防止するためには、環状アミド類、環状ウレア類等の使用が好ましいと考えられるが、2−メチレンアダマンタンの分離に対しては最適な条件ではなかった。又、該特許記載の蒸留助剤として、目的有機化合物よりも低い沸点の化合物の使用を開示しているが、その範囲に入る溶媒は膨大であり、2−メチレンアダマンタンと2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートの混合物から、2−メチレンアダマンタンを効果的に除去する蒸留助剤を容易に選定する事は出来なかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を鑑み、本発明者らは、2−メチレンアダマンタンに(メタ)アクリル酸とを酸触媒により反応させて得た混合物から、2−メチレンアダマンタンを分離除去する方法に関して鋭意検討し、本発明に到達した。
本発明の要旨は、2−メチレンアダマンタンに(メタ)アクリル酸とを酸触媒により反応させて得た混合物から、2−メチレンアダマンタンを分離し、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートを得る製造方法において、大気圧下での沸点が150℃〜250℃である炭化水素化合物の存在下に蒸留する事を特徴とする2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートの精製方法に存する。
【0006】
本発明の別の要旨は、以下の工程を有することを特徴とする2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートの製造方法に存する。
(a)2−メチレンアダマンタンと(メタ)アクリル酸とを酸触媒により反応させて、2−メチレンアダマンタン及び2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートを含む混合物を得る工程、(b)前記混合物を、大気圧下での沸点が150℃〜260℃である炭化水素化合物の存在下に蒸留し、2−メチレンアダマンタンを主成分とする留分を塔頂部より留出させると共に、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートを主成分とする留分を塔底部より得る工程、(c)塔底部から得られる2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートを主成分とする留分を再蒸留し、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレート中の2−メチレンアダマンタンの存在量が1%未満となる様に、塔頂部から炭化水素化合物、2−メチレンアダマンタン、及び、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートの一部を留去する工程。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、2−メチレンアダマンタンに、(メタ)アクリル酸とを酸触媒により反応させて得た混合物から、2−メチレンアダマンタンを分離する方法に関する。
本発明に用いられる2−メチレンアダマンタンは、公知の方法で製造できるが、好ましい一例としては、2−メチルアダマンタン−2−オールの脱水反応により得られる。 また、この脱水反応はカルボン酸を共存させることが好ましい。
【0008】
本発明に用いられるカルボン酸としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、アクリル酸、メタクリル酸等の飽和又は不飽和の脂肪族カルボン酸類;安息香酸、フェニル酢酸、ナフタレンカルボン酸、ケイ皮酸等の飽和又は不飽和の芳香族カルボン酸類の何れも用いることが可能である。またアジピン酸やベンゼンジカルボン酸等の二塩基酸を使用することもできる。これらの中、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸等が好ましい。カルボン酸の使用量はその種類にもよるが、一般的には原料である2−アルキリルアダマンタン−2−オールに対して0.1モル%〜5倍モル当量である。また、この脱水反応は、鉱酸及び有機スルホン酸等の酸触媒を用いることが好ましい。
【0009】
また、脱水反応系において安定な溶媒を使用することもできる。その際、この脱水反応は平衡反応であるので、生成する水と共沸可能な溶媒を使用し、反応進行に伴って生成する水を溶媒との共沸によって、反応系外へ除去することが有利である。このような溶媒の具体例としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類:クロロホルム等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。生成水を共沸によって反応系外に除去するに際して、ディーンシュタルク管等の水滴分離器を使用し、水分が除去された溶媒を反応系中に戻す等の方法も採られることがある。溶媒の使用量は一概に決められず、任意であるが、一般には原料である2−アルキルアダマンタン−2−オールに対する重量倍で0.01〜1000倍、好ましくは0.1〜500倍の範囲である。
【0010】
脱水反応は、例えば反応器に原料の2−アルキルアダマンタン−2−オール、触媒のカルボン酸、必要に応じて酸触媒及び溶媒を仕込み、好ましくは攪拌下に、好ましくは反応により生成する水を系外に留去しながら、所定の温度、時間で行われる。
なお、脱水反応に付される2−メチルアダマンタン−2−オールは、例えば2−アダマンタノンと塩化メチルマグネシウム又は臭化メチルマグネシウム等のグリニヤール試薬との反応により容易に製造することができる。
【0011】
2−メチレンアダマンタンに、(メタ)アクリル酸とを酸触媒により反応させる方法としては、公知の方法で実施する事ができる。例えば、反応器に原料の2−メチレンアダマンタン、(メタ)アクリル酸、及び酸触媒、所望により溶媒を仕込み、好ましくは撹拌しながら、所定の温度、時間で行われる。本発明の方法においては、無溶媒でも、反応系において安定な溶媒を使用することもできる。ブレンステッド酸を触媒として使用する場合は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族飽和炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等の非プロトン性溶媒が使用できる。更にプロトン性溶媒としては、反応基質でもある(メタ)アクリル酸を溶媒として使用することも可能である。
【0012】
ルイス酸を触媒として使用する際には上記ブレンステッド酸類を使用する際に用いることができる溶媒の中、エーテル類、ラクトン類等触媒に強い配位性を示す溶媒以外は、ブレンステッド酸使用の際と同様の溶媒を使用することが可能である。これら溶媒の使用量は一概に決められず任意であるが、一般には原料である2−メチレンアダマンタンに対する重量倍で0.01〜1000倍、好ましくは0.1〜500倍の範囲である。本発明の付加反応は発熱反応であり、その平衡定数から明らかなように低温ほど生成物収率の向上に有利である。事実、ルイス酸触媒を使用すると、室温以下の反応温度にあっても目的反応は非常に円滑に進行するため、結果として短時間により収率良く目的物である(メタ)アクリル酸の三級アルキルエステルが製造できる。
【0013】
反応温度は−80〜200℃、好ましくは−50〜100℃の範囲である。反応時間は反応温度によって最適反応時間が変化するが、一般的には0.01〜50時間、好ましくは0.1から20時間の範囲である。また必要に応じてその他の添加剤、例えば(メタ)アクリル酸の重合を抑制するための添加剤等も共存させることもできる。本反応においては、例えば、ブレンステッド酸触媒によって2−アルキルアダマンタン−2−オールの脱水反応により2−アルキリデンアダマンタンを得た後、その反応液にそのまま所定量の(メタ)アクリル酸を加え、低温、例えば室温で放置することにより、2−アルキルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートを製造することもできるし、又、上記2−アルキリデンアダマンタンが生成した反応液に所定量の(メタ)アクリル酸と三フッ化ホウ素等のルイス酸とを加え、放置又は撹拌すると更に高い効率で2−アルキルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートが製造できる。本反応は回分操作の下に行うこともできるが、適当な反応装置を使用すれば連続操作でも実施可能である。
【0014】
本発明では、この様にして得た、主として、2−メチレンアダマンタンと2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートの混合物に、大気圧下での沸点が150℃〜260℃である炭化水素化合物の存在下に蒸留する事により、2−メチレンアダマンタンを効率的に分離する事を特徴とする。
精製に際し反応混合物に加える化合物としては、大気圧下での沸点が150℃〜260℃である炭化水素類を用いられる。好ましくは、大気圧下での沸点が170℃〜240℃である。更に、留出液の取りだしの観点から、融点が10℃以下の炭化水素類が好ましい。この様な性質を持つ化合物の例としては、デカン、ウンデカン、トリデカン、インドデカン、テトラデカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、エチルトルエン、ブチルベンゼン、5−t−ブチル−m−キシレン等の芳香族炭化水素類が例示される。この様な性質を持つ炭化水素を用いる事で、2−メチレンアダマンタンが効率的に除去される。中でも脂肪族炭化水素類が好ましく、更に好ましくは、脂肪族飽和炭化水素類である。
【0015】
炭化水素化合物の添加量は、2−メチレンアダマンタン重量に対して、0.5〜20重量倍、好ましくは2〜10重量倍である。予め全量を反応混合物に加えておいてもよく、また一部を予め加えておき、残部は途中で逐次加えるようにしてもよい。
2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートは、重合性官能基を有し、熱的に不安定な化合物である。蒸留操作は、通常減圧下に低温で行うのが好ましい。低い圧力である程よく、通常は20mmHg以下、好ましくは10mmHg以下、更に好ましくは5mmHg以下で蒸留する。蒸留温度は真空条件によるが、通常は、170℃以下、好ましくは150℃以下、特に130℃以下が好ましい。この蒸留操作により、2−メチレンアダマンタンを共存させた炭化水素と共に留出させる。本発明の蒸留操作は、バッチ蒸留でも、連続蒸留でも実施できる。本発明の目的化合物は熱的に不安定な化合物であり、連続蒸留は加熱部での滞留時間が短くなる点や、生産性の面で好ましい。連続蒸留の中では、フラッシュ蒸留、分子蒸留等が例示される。工業的な装置では、熱的に不安定な化合物の蒸留に一般的に使用できる薄膜蒸留装置を使用する事ができる。
【0016】
本発明の一つの実施形態として、以下の2段階の連続蒸留で分離精製する手法を例示する事ができる。
上記反応混合物に、上記炭化水素を添加した後、一旦、2メチレン−アダマンタンと炭化水素の混合物を主成分として塔頂より留出させて除去させる。本操作により、塔底より得られた溶液は、概略、2−メチレンアダマンタンと炭化水素が除去されている。
この様にして得た2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートを主成分とする混合物から、2−メチレンアダマンタンと炭化水素を更に低濃度にする為に、2回目の蒸留操作を行う。この際には、塔底から得られる2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレート中の2−メチレンアダマンタンの存在量が1%未満となる様に、塔頂から該炭化水素、及び、2−メチレンアダマンタン、及び、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートの一部を留去させる。2段階目の塔頂で得られた留出液には2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートが存在する為、1段階目の操作にリサイクルさせ、本操作を繰り返す事により、歩留まりを向上させる事ができる。
【0017】
この様にして、2−メチレンアダマンタンが除去された2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートは、必要に応じて、蒸留操作で留去せしめる事で、更に精製する事も可能である。
【0018】
【実施例】
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
攪拌機付きガラス製反応器にトルエン:9L、2−メチルアダマタノール:950g、メタクリル酸:50g、クレゾールスルホン酸:5.3gを仕込み、トルエンが還流するまで加熱をし、引き続き水分を留去しながら2時間還流し、2−メチレンアダマンタンを製造した。次に50℃まで冷却して、減圧下でトルエン:8Lを留去した後、0℃まで冷却し、メタクリル酸:1280gと三フッ化ホウ素エチルエーテル:83gを添加して1時間、攪拌しながらメタクリレート化反応を行った。次に反応液を10%炭酸ソーダ水:6Lとイオン交換水:5Lで洗浄後、トルエンを減圧下、70℃で留去し、粗2−メチルアダマンタン−2―イル−メタクリレート1126gを得た。この中に、2−メチルアダマンタン−2−イル−メタクリレートが91.3重量%、2−メチレンアダマンタンが7.9重量%が含まれていた。得られた粗2−メチルアダマンタン−2―イルメタクリレート100gと、n−ウンデカン(大気圧下での沸点194.5℃):50gを、減圧蒸留器を使用し60℃、1mmHgで蒸留を行い、60分間で61gを留去した。この留分には、2−メチレンアダマンタンの86%がn−ウンデカンと共に留去されていた。更に蒸留温度を85℃に高めて、3.5gを10分間で留出させて釜残中の2−メチレンアダマンタンの存在量を1%未満とした。次に釜残液を125℃、1mmHgで蒸留を行い、純度99.5%の2−メチルアダマンタン−2―イル−メタクリレート81.2gを得た。
【0019】
実施例2
実施例1の蒸留操作に於いて、n−ウンデカンの替わりにn−トリデカン(大気圧下での沸点234℃):50gを仕込み、60℃、1mmHgで蒸留を行い、60分間で63.8gを留去した。この留分には、2−メチレンアダマンタンの96%がn−トリデカンと共に留去されていた。更に蒸留温度を90℃に高めて、3.2gを10分間で留去させた。次に目的物を得る為、釜残液を125℃、1mmHgで留去をさせ、純度99.6%の2−メチルアダマンタン−2−イル−メタクリレート:80.5gを得た。
【0020】
実施例3
実施例1の蒸留操作に於いて、n−ウンデカンの替わりにn−デカン(大気圧下での沸点174℃):75gを仕込み、60℃、1mmHgで蒸留を行い80分間で、80.8gを留去した。この留分には、2−メチレンアダマンタンの93%がn−デカンと共に留去されていた。更に蒸留温度を90℃に高めて、2−メチレンアダマンタンの存在量が1%未満となるまで、7.3gを15分間で留去させた。次に目的物を得る為、蒸留釜残を125℃、1mmHgで留去をさせ、純度99.6%の、2−メチルアダマンタン−2−イル−メタクリレート:79.6gを得た。
【0021】
実施例4
実施例1と同様の反応操作で、2−メチレンアダマンタンを製造した。次に50℃まで冷却して減圧下でトルエン:8Lを留去した後、0℃まで冷却し、アクリル酸:1070gと三フッ化ホウ素エチルエーテル:83gを添加して1時間、攪拌しながらアクリレート化反応を実施した。次にこの反応液を10%炭酸ソーダ水:6Lとイオン交換水:5Lで洗浄後、トルエンを減圧下70℃で留去し、粗2−2−メチルアダマンタン−2−イル−アクリレート1050gを得た。この中に、2−メチルアダマンタン−2−イル−アクリレート:86.8%、2−メチレンアダマンタン:12.5%が含まれていた。得られた粗2−メチルアダマンタン−2−イル−アクリレート:100gとn−ウンデカン:50gを蒸留器に仕込み、60℃、1mmHgで蒸留を行い、60分間で63.3gを留去した。この留分には2−メチレンアダマンタンの87%がn−ウンデカンと共に留去されていた。更に蒸留温度を85℃に高めて、2−メチレンアダマンタンの存在量が1%未満となるまで10分間で3.5g留去させた。次に、目的物を得る為、蒸留釜残を125℃、1mmHgで留去させ、純度99.5%の2−メチルアダマンタン−2−イル−アクリレート:78.5gを得た。
【0022】
比較例1
実施例−1の蒸留操作に於いて、n−ウンデカンの替わりにイオン交換水:200gを使用し、蒸留温度60℃〜80℃、150mmHg〜350mmHgの減圧下で蒸留を行ったところ、釜残中の2−メチレンアダマンタンの存在量が1%未満になるまでには20時間を要した。
【0023】
【発明の効果】
本発明により、2−メチレンアダマンタンに(メタ)アクリル酸とを酸触媒により反応させて得た混合物から、分離効率よく目的の2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートを得ることができる。
Claims (5)
- 2−メチレンアダマンタンに(メタ)アクリル酸とを酸触媒により反応させて得た混合物から、2−メチレンアダマンタンを分離し、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートを得る製造方法において、前記混合物を、大気圧下での沸点が150℃〜260℃である炭化水素化合物の存在下に蒸留する事を特徴とする2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートの精製方法。
- 前記炭化水素化合物の融点が10℃以下である請求項1に記載の2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートの精製方法。
- 前記炭化水素化合物が、脂肪族炭化水素である請求項1又は2に記載の2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートの精製方法。
- 以下の工程を有することを特徴とする2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートの製造方法。
(a)2−メチレンアダマンタンと(メタ)アクリル酸とを酸触媒により反応させて、2−メチレンアダマンタン及び2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートを含む混合物を得る工程、
(b)前記混合物を、大気圧下での沸点が150℃〜260℃である炭化水素化合物の存在下に蒸留し、2−メチレンアダマンタンを主成分とする留分を塔頂部より留出させると共に、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートを主成分とする留分を塔底部より得る工程、
(c)塔底部から得られる2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートを主成分とする留分を再蒸留し、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレート中の2−メチレンアダマンタンの存在量が1%未満となる様に、塔頂部から炭化水素化合物、2−メチレンアダマンタン、及び、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートの一部を留去する工程。 - 工程(c)で塔頂部より留去した留分の少なくとも一部を工程(b)にリサイクルすることを特徴とする請求項5に記載の2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートの製造方法。
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