JP3937508B2 - 半導体基板の洗浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置に使用する半導体基板の洗浄装置に関するもので、より詳細には、枚葉式洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来において、半導体基板の洗浄装置は、洗浄槽に処理液を溜め、複数の半導体基板をカセットで保持して前記処理液中に浸漬させて洗浄するバッチ方式が一般的であり、そして、このバッチ式装置には、洗浄性を向上させるために、循環濾過機能を取り付けているものが知られている。
【0003】
また、複数の洗浄工程を経て半導体基板の洗浄が行われるため、各工程ごとに複数個の洗浄槽を備えた洗浄装置や、各洗浄工程ごとに処理液を置換して行うワンバス方式の洗浄装置も知られている。
【0004】
更に、洗浄槽の内部に設置されるカセットの流体抵抗の影響を考慮して、例えば特開平5ー62955号公報に記載されているようにカセットレスの洗浄装置等も提案されている。
【0005】
他方、前記バッチ方式における汚染の影響を避けるため、半導体基板を一枚づつ別個に処理する枚葉式の洗浄装置等も挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記バッチ方式の洗浄装置は、半導体基板表面から除去された金属成分やパーティクル等の不純物が基板に再付着したり、また、半導体基板を複数枚同時に同一の洗浄槽に浸漬して洗浄処理した場合に、基板の裏面から他の隣接基板表面に汚れが転写する等の問題を生じる場合があり、更に、洗浄時に半導体基板表面が処理液の作用により発熱反応する場合があり、この発熱により洗浄液の濃度が局所的に変化して、均一な洗浄効果を得られないという問題を生じていた。
【0007】
これらの問題点は、洗浄装置に循環濾過器を取り付けることにより緩和され得ると考えられるが、これらの洗浄装置の構成は、一般的に循環濾過後の処理液が洗浄槽の底部から供給されるようになっているため、半導体基板を保持するカセットの流体抵抗により洗浄槽内部で澱みを生じ、処理液の洗浄効果が均一に半導体基板表面に作用しにくいという問題があり、また、洗浄後の処理液と循環濾過後の清浄な処理液との置換が行われにくいため、大口径の半導体基板を面均一に洗浄することは困難であった。
【0008】
このカセットによる流体抵抗の悪影響を除くために、前記カセットレスの洗浄方式等が実施されて洗浄性が向上されることが報告されている。例えば前記特開平5−62955号公報に記載されている洗浄装置は、半導体基板を直接保持する保持手段によって半導体基板を保持し、保持状態のまま各処理工程において使用される他の複数の洗浄槽へ、搬送装置によって搬送される構成を備えている。
ところが、このような保持手段によって、洗浄処理後の表面の自然酸化膜を除去した状態での半導体基板の槽間搬送が行われると、基板表面にパーティクルが付着しやすいという問題があった。
【0009】
一方、複数の洗浄工程を同一洗浄槽内で行うワンバス方式による洗浄装置の場合は、半導体基板が洗浄槽内に保持されたまま洗浄処理、リンス処理等の各工程が行われるため、前記問題点を解決することができると考えられるが、ワンバス方式の洗浄装置においても、各工程ごとに処理液を完全に置換する必要があり、洗浄処理後の処理液を排出する間は半導体基板は空気中に晒される。このため、やはり半導体基板にパーティクルが付着しやすいという問題を生じる。この場合、処理液は使い捨てであるため、処理液によるクロスコンタミネーションを防ぐことが可能となるが、隣接する半導体基板間からの汚染は免れない。例えば、半導体基板の裏面にCVD酸化膜や、多結晶シリコン膜を成長させている場合は、汚染が顕著となる。
【0010】
また、前述した枚葉方式の洗浄装置においては、半導体基板を一枚ずつ処理するので、隣接基板からの汚染を防ぐことができるが、スループットの点で問題がある。また、この方式の場合は、裏面を水平保持して上部からスプレーによる洗浄方法が一般的であるが、半導体基板裏面へ処理液が回り込んで洗浄ムラを生じる場合があり、また、この洗浄方法においては、半導体基板面を保持して処理を行う必要があるため、両面研磨処理を施した基板には対応できない不都合がある。
【0011】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたもので、大口径化した半導体基板においても、面均一に清浄化することができ、金属不純物やパーティクルの再付着を防止し、効率的に洗浄及び乾燥処理がなされる洗浄装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、洗浄槽に半導体基板を収納し、前記洗浄槽内に洗浄液を供給するワンバス方式の半導体基板の洗浄装置において、前記洗浄槽の上部に、処理液供給ノズルを備えた処理液貯留部を設け、前記処理液貯留部には、供給バルブを経由して処理液または乾燥ガスを切換えて供給可能とされ、前記洗浄槽は、前記半導体基板を垂直に保持する基板保持部材を備え、下部には排液口を設け、前記保持された半導体基板の下部位置に対応して排液ガイドを設置するものであって、この排液ガイドは、半導体基板の円周に沿う湾曲部を有するとともに、この湾曲部の半導体基板に対向する縁部の厚みが半導体基板の厚みと同程度の厚みに形成され、前記処理液供給ノズルは、前記垂直に保持された半導体基板の直径よりも大きい開口部を有し、該処理液供給ノズルから供給した処理液が、前記半導体基板表面を通流する際に広面積で膜厚が厚い膜状流を形成し、前記半導体基板表面を面均一に洗浄する構成の半導体基板の洗浄装置であることにより、上記課題を解決した。
【0013】
本願発明は、洗浄槽に半導体基板を収納し、前記洗浄槽内に洗浄液を充填する半導体基板の洗浄装置において、前記洗浄槽の上部に、処理液供給ノズルを備えた処理液貯留部を設け、前記洗浄槽は、前記半導体基板を垂直に保持する基板保持部材を備え、下部には排液口を設け、前記処理液供給ノズルは、前記垂直に保持された半導体基板の直径よりも大きい開口部を有している構成の半導体基板の洗浄装置であることができる。
このように構成すると、処理液供給ノズルの開口部から、処理液が重力投下によって洗浄槽に通流される際に、広面積で膜厚の厚い均一膜状流が形成されて洗浄槽に供給される。そして、半導体基板は保持部材により垂直に保持されているため、処理液供給ノズルから供給された広面積な膜状流が基板表面上を安定的に通流し、その結果、大口径の半導体基板においても面均一に洗浄することが可能となる。
【0014】
本願発明は、前述した半導体基板の洗浄装置において、前記保持された半導体基板の下部位置に対応して排液ガイドを設置するものであって、この排液ガイドは、半導体基板の円周に沿う湾曲部を有するとともに、この湾曲部の半導体基板に対向する縁部の厚みが半導体基板の厚みと同程度の厚みに形成されている構成の半導体基板の洗浄装置であることができる。
【0015】
このように、排液ガイドに半導体基板の円周に沿う湾曲部が形成されて、この湾曲部の縁部の厚みが半導体基板の厚みと同程度に形成されていると、半導体基板の外周と前記排液ガイドの湾曲部間の距離を調整することにより、前記処理液供給ノズルから供給され、半導体基板表面上を通流する膜状流を、洗浄槽底部近傍で澱みや飛散を生じさせることなく、前記湾曲部面に沿ってスムーズに排液口に通流することができる。このため、飛散液の再付着による洗浄ムラや雰囲気ダストの巻き込みによる付着を生じることなく、大口径の半導体基板においても面均一に洗浄することが可能となる。
【0016】
本願発明は、前述した半導体基板の洗浄装置において、前記洗浄槽には、赤外光照射ランプが設けられている構成の半導体基板の洗浄装置であることができる。
【0017】
本願発明は、前述した半導体基板の洗浄装置において、前記処理液貯留部には、供給バルブを経由して乾燥ガスが供給され、また、前記洗浄槽には、赤外光照射ランプが設けられている構成の半導体基板の洗浄装置であることができる。
このように、処理液貯留部供給バルブを経由して乾燥ガスが供給されるように構成されていると、半導体基板を洗浄処理した直後に、処理液供給ノズルから乾燥ガスを半導体基板に吹き付けることが可能となる。従って、基板を搬送せずに乾燥することが可能となるため、基板を気中に晒さずに済み、基板表面にパーティクル等を付着させることなく、効率的且つ面均一に半導体基板を乾燥することが可能となる。また、半導体基板を洗浄処理後すぐに乾燥することが可能となるため、ウォーターマーク等の発生を抑制することができる。
【0018】
本願発明は、前記述した半導体基板の洗浄装置において、前記洗浄槽に備えられる前記保持部材は、洗浄槽外に搬出可能に設けられている構成の半導体基板の洗浄装置であることができる。
【0019】
このように、保持部材が洗浄槽外に搬送可能に形成されていると、洗浄処理後、前記保持部材に半導体基板を保持したまま、搬送してIPA等の有機溶媒を含む薬液蒸気による乾燥等を行うことが可能となる。
【0020】
本願発明は、前述した半導体基板の洗浄装置において、前記処理液貯留部には、処理液供給バルブを介して複数の処理液が供給され、更に、前記洗浄槽の下部に処理液貯留槽を設けるとともに、前記処理液貯留槽から前記処理液貯留部に処理液を循環濾過する循環ラインを設けた構成の半導体基板の洗浄装置であることができる。
【0021】
このように、処理液貯留部には、処理液供給バルブを介して複数の処理液が連続して供給されるので、この供給バルブの切換えで半導体基板を気中に晒すことなく各種の処理液で洗浄を行うことが可能となるため、半導体基板表面にパーティクル等を付着させることなく高洗浄性且つ面均一に半導体基板の処理をすることが可能となる。更に、処理液貯留槽から処理液貯留部に循環ラインを設けているので、洗浄液の循環濾過による連続使用が可能となり、効率の良い処理液の供給ができるため、洗浄性を向上することができる。
【0022】
本願発明は、前述した半導体基板の洗浄装置において、前記循環ライン中に、洗浄液が秤量貯留されるケミカルバッファ槽と、処理液とリンス液の置換を行う処理液バッファ槽とを設けた構成の半導体基板の洗浄装置であることができる。
【0023】
このように構成されていると、先ず、各洗浄液が秤量されて、処理液供給バルブを介してケミカルバッファ槽に貯留され、ケミカルバッファ槽から所定の洗浄液が処理液供給バルブを介して処理液貯留部に通流され、更に、処理液貯留部から処理液供給ノズルを経由して洗浄槽の半導体基板に供給される。そして、洗浄液は半導体基板を洗浄処理した後に、前述したように循環ラインにて循環される。
【0024】
また、リンス処理を行う場合は、前記処理液供給バルブが閉じられて洗浄液の供給が停止されるとともにリンス液が処理液バッファ槽に供給され、この処理液バッファ槽で処理液とリンス液の置換が行われ、その後、処理液供給バルブを介して処理液貯留部にリンス液が供給され、更に、前記洗浄槽に通流されて半導体基板のリンス処理が行われる。
【0025】
このように、本発明の洗浄装置並びに好ましい実施の態様によれば、半導体基板を洗浄槽内に保持したまま、洗浄液供給とリンス液供給の切換えをすることができる。このため、例えば洗浄処理後、パーティクルが付着しやすくなっている酸化膜が除去された状態の半導体基板においても、これを他に搬送することなくリンス処理を行うことができるので、パーティクル等の付着を防止して半導体基板を清浄に処理することが可能となる。また、洗浄液とリンス液の置換を迅速に行うことができ、槽間移動も無いため、スループットの向上を図ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体例に基づいて説明する。
【0027】
図1及び図2において、本例の洗浄装置1は、下方に処理液供給ノズル3を備えた処理液貯留部2と、洗浄槽4及び、洗浄槽4から排出された処理液を貯留しておく処理液貯留槽5を備えている。
【0028】
前記処理液貯留部2は、処理液を供給する処理液供給口2aが形成され、配管pが連結されている。この処理液貯留部2は、半導体基板wの直径よりも大きな横幅と比較的長い縦幅及び高さを備えて形成されている。処理液貯留部2の底部2bは中央開口部2cを最下部とする漏斗状に形成されており、この中央開口部2cには、処理液供給ノズル3が連接されている。更に、前記処理液貯留部2には、乾燥ガス22を供給する乾燥ガス供給口2dが形成され、配管pが連結されている。
【0029】
前記処理液供給ノズル3は、前記処理液貯留部2の下方に形成され、垂直に保持された半導体基板wの直径よりも大きい開口部3aを有している。
【0030】
洗浄槽4は、半導体基板wを縦置き収納するもので縦長状を呈し、底部には処理液を排水する排水口4aが形成されている。洗浄槽4内部には、被洗浄物である半導体基板wを保持するための基板保持部材6が設置され、また、洗浄槽4の内底部には、前記処理液供給ノズル3から供給された処理液を飛散させることなく排水口4aに導くための排液ガイド7が設置されている。
【0031】
また、洗浄槽4の両側にIRランプを半導体基板に平行に設置し、赤外光を照射して基板を乾燥させる基板乾燥装置(図示を省略)が設けられている。半導体基板wの両面に赤外光を照射することにより、半導体基板wに付着した水分を乾燥することが可能となる。尚、IRランプは、洗浄槽4の内部もしくは外側に設置して照射するが、後に詳述する基板保持部材6にて半導体基板wを槽外に搬出し、別チャンバー内で乾燥処理することも可能である。
【0032】
そして、洗浄槽4から排出された処理液は、配管pを通流して処理液貯留槽5に貯留される。処理液貯留槽5には、処理液を排出する排出口5aと、処理液を循環ラインに通流する循環口5bが形成され、それぞれ配管が接続されている。
【0033】
前記基板保持部材6は、二枚の保持材6aから構成され、前記保持材6aの間に2箇所の固定ピン6bが設けられ、前記固定ピン6bに形成された溝部によって半導体基板wを側面から垂直に支えられるように形成されている。保持材6aの上部は、洗浄槽4の幅方向に対向して突出する設置部6cが形成されている、また、保持材6aの洗浄槽4内部に設置される部分は、半導体基板wの半径長さ程度が垂直形状に形成され、その下部は、半導体基板wの円周に沿う傾斜形状に形成されている。前記固定ピン6bは、前記保持材6aの垂直部下部と傾斜部下端部に設けられている。このように構成される一対の基板保持部材6によって、半導体基板wは、洗浄槽4内部に垂直に保持される。
【0034】
また、洗浄槽4の内底部に設置される排液ガイド7は、洗浄槽4の底部と壁面に対応する角部が形成され、この角部に対向する辺に半導体基板wの円周に沿った湾曲部7aが形成されている。この湾曲部7aの端縁部は、半導体基板wの厚さと同程度の厚さとなるように形成されている。そして、一対の排液ガイド7,7が半導体基板wの外周に沿って洗浄槽4の底部に対向するように設置される。
【0035】
このように構成される本例の洗浄装置1においては、大きな容積で処理液を貯留することができる処理液貯留部2が形成されているため、側面漏斗形状に形成された処理液供給ノズル3を通流して処理液が洗浄槽4に供給される際に、広面積で膜厚が厚く均一厚の膜状流を形成して洗浄槽4内の半導体基板表面を通流することができ、大口径の半導体基板においても、その基板表面を面均一に洗浄することが可能となる。
【0036】
また、洗浄槽4底部に設けられた排液ガイド7の湾曲部7aと半導体基板wの外周の間を適当な距離に調整することにより、半導体基板w表面を通流した膜状流が、排液ガイド7の湾曲部7aに沿ってスムーズに排水口4aに送流されるため、洗浄槽4底部近傍において処理液が澱みを生じることがなく、従って澱みによって生じる半導体基板の洗浄ムラをなくして、大口径の半導体基板wを面均一に洗浄することが可能となる。
【0037】
次に、本発明の具体例に係る洗浄装置の処理液供給構成を説明する。
【0038】
図3に示すように、本例の洗浄装置1は、基本的には処理液貯留部2、洗浄槽4及び、洗浄槽4から排出された処理液を貯留しておく処理液貯留槽5を備えて構成され、この処理液貯留槽5内の洗浄液は、排水バルブ11を介して排出される。更に、洗浄装置1は、処理液貯留槽5から処理液貯留部2に処理液を循環濾過する循環ライン12を設けている。すなわち、処理液貯留槽5からの洗浄液は順次、循環ライン切換えバルブ13、循環ポンプ14、濾過フィルター15、ケミカルバッファ槽16、開閉バルブ17、処理液バッファ槽18及び処理液供給バルブ19を備えた循環ライン12を循環することが可能に設けられている。
【0039】
また処理液貯留部2には、供給バルブ21を経由して乾燥ガス22が供給される。
【0040】
前記ケミカルバッファ槽16は、洗浄槽27,28,29から所望の洗浄液を循環ラインに導入するため、洗浄液切り換えバルブ24,25,26及び開閉バルブ23を介して、洗浄液の秤量し、各種洗浄液の連続切り換えを可能にする槽である
また、前記処理液バッファ槽18は、異なるリンス液を充填したリンス液槽37,38,39から所望のリンス液をリンス液切換えバルブ34,35,36及び開閉バルブ33を介して秤量及び供給を行う処理槽であるとともに、洗浄液とリンス液を切り換える際の緩衝槽としての役割も担っている。
【0041】
以上のように構成される本例の洗浄装置1において、まず、洗浄工程では、洗浄液槽27,28,29から適量の各洗浄液が、洗浄液切換えバルブ24,25,26の操作によって選択的に供給され、開閉バルブ23を介してケミカルバッファ槽16に秤量される。そして、ケミカルバッファ槽16に秤量された洗浄液は、開閉バルブ17から、処理液バッファ槽18を介して処理液供給バルブ19を経て処理液貯留部2に供給される。そして、前述したように、洗浄液は、漏斗形状に形成された処理液供給ノズル3を通流して、重力投下により洗浄槽4に供給され、広面積で均一厚の膜状流を形成した洗浄液が洗浄槽4内の半導体基板表面を通流し、当該基板表面を面均一に洗浄する。また、洗浄槽4底部に設けられた排液ガイド7,7により、半導体基板w表面を通流した膜状流が、スムーズに排水口4aに送流され、その後、処理液貯留槽5に貯留される。
【0042】
この処理液貯留槽5内に溜められた洗浄液は、その後、循環ライン切換えバルブ13を通じて循環ポンプ14及び濾過フィルター15に通流されて濾過処理がなされて再使用されるか、排水バルブ11を通じて排水されるかの選択がなされる。
【0043】
循環ライン切換えバルブ13を通じて循環濾過された洗浄液は、ケミカルバッファ槽16に貯留され、開閉バルブ17を介して処理液バッファ槽18を通流し、更に処理液供給バルブ19を経て処理液貯留部2に供給される。ケミカルバッファ槽16では、循環濾過された洗浄液のみならず、新たな洗浄液が、各洗浄液切換えバルブ24,25,26を操作して、供給されることもある。
【0044】
次に、洗浄処理後のリンス工程について説明する。リンス工程においては、洗浄液切換えバルブ23及び開閉バルブ17を閉じて、処理液バッファ槽18に洗浄液が通流するのを停止し、開閉バルブ33及び所定のリンス液切換えバルブ34もしくはリンス液切換えバルブ35又はリンス液切換えバルブ36を開いて、リンス液を前記処理液バッファ槽18に秤量及び供給されとともに、それまで通流していた洗浄液等と緩衝作用がなされる。更に、処理液バッファ槽18内のリンス液は、処理液供給バルブ19を経て処理液貯留部2に供給される。そして、リンス液は、漏斗形状に形成された処理液供給ノズル3を通流して、重力投下により洗浄槽4に供給され、広面積で均一厚の膜状流を形成したリンス液が洗浄槽4内の半導体基板表面を通流し、当該基板表面を面均一にリンス処理する。また、洗浄槽4底部に設けられた排液ガイド7,7により、半導体基板w表面を通流した膜状流が、スムーズに排水口4aに送流され、爾後、処理液貯留槽5に貯留される。
【0045】
次に、リンス処理後の乾燥工程について説明する。乾燥工程においては、リンス液が排水バルブ11を通じて排水された後、供給バルブ21を開いて、不活性ガス等の乾燥ガス22を処理液貯留部2に供給し、処理液貯留部2の処理液供給ノズル3から洗浄槽4内の半導体基板wに乾燥ガスを吹き付けて、半導体基板wの表面に残留する水分を乾燥除去する。
【0046】
また、前述したように、洗浄槽4の両側に設置したIRランプにて半導体基板wに赤外光を照射することにより、半導体基板w表面に付着した水分が乾燥される。
【0047】
このように、本例の洗浄装置によれば、半導体基板を洗浄槽内に保持したまま、洗浄処理、リンス処理、及び乾燥処理の一連の洗浄工程を行うことが可能となり、しかも、各バルブの開閉によって、洗浄液供給とリンス液供給の切換え、リンス液供給と乾燥ガス供給の切換えを迅速に行うことができる。そして、洗浄液供給とリンス液供給の切換えを迅速に行うことが可能となるため、例えば、洗浄処理後、パーティクルが付着しやすくなっている、酸化膜が除去された状態の半導体基板は、これを他に搬送することなくリンス処理を行うことが可能となり、パーティクル等の付着を防止して半導体基板を清浄に処理することが可能となる。また、リンス処理直後、洗浄槽に半導体基板を保持したまま乾燥処理することができるため、乾燥効率が向上し、ウォータマークの発生を抑制することができる。
【0048】
また、同一槽内で基板保持部材に半導体基板を保持したまま洗浄工程を行うことができ、半導体基板の移し替えミスやチャッキングに伴う傷の発生を防止することができ、また、搬送時間を短縮することができる。更に、洗浄液とリンス液の置換、リンス液と乾燥ガスの置換を迅速に行うことが可能となるため、洗浄工程の処理時間の短縮化でき、枚葉方式においてもスループットの向上が図れる。
【0049】
また、基板保持部材に半導体基板を保持したまま一連の処理工程を行うことができるので、フットプリントを小さく抑えることができる。
【0050】
本例においては、洗浄槽内に半導体基板を保持したまま、不活性ガス等の乾燥ガスとIR照射による乾燥方法を示したが、半導体基板を基板保持部材に保持したまま洗浄槽から搬出し、他の部位に設置されたチャンバに搬送することにより、IPA等の有機溶媒を含む薬液蒸気による乾燥を行うことも可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明は、洗浄槽に半導体基板を収納し、前記洗浄槽内に洗浄液を供給するワンバス方式の半導体基板の洗浄装置において、前記洗浄槽の上部に、処理液供給ノズルを備えた処理液貯留部を設け、前記処理液貯留部には、供給バルブを経由して処理液または乾燥ガスを切換えて供給可能とされ、前記洗浄槽は、前記半導体基板を垂直に保持する基板保持部材を備え、下部には排液口を設け、前記処理液供給ノズルは、前記垂直に保持された半導体基板の直径よりも大きい開口部を有し、該処理液供給ノズルから供給した処理液が、前記半導体基板表面を通流する際に広面積で膜厚が厚い膜状流を形成し、前記半導体基板表面を面均一に洗浄する構成の半導体基板の洗浄装置である。
【0052】
洗浄槽に半導体基板を収納し、前記洗浄槽内に洗浄液を充填する半導体基板の洗浄装置において、前記洗浄槽の上部に、処理液供給ノズルを備えた処理液貯留部を設け、前記洗浄槽は、前記半導体基板を垂直に保持する基板保持部材を備え、下部には排液口を設け、前記処理液供給ノズルは、前記垂直に保持された半導体基板の直径よりも大きい開口部を有しているように構成すると、処理液供給ノズルの開口部から、処理液が重力投下によって洗浄槽に通流される際に、広面積で膜厚の厚い均一膜状流が形成されて洗浄槽に供給される。そして、半導体基板は保持部材により垂直に保持されているため、処理液供給ノズルから供給された広面積な膜状流が基板表面上を安定的に通流し、その結果、大口径の半導体基板においても面均一に洗浄することが可能となる。
【0053】
本願発明は、前述した半導体基板の洗浄装置において、前記保持された半導体基板の下部位置に対応して排液ガイドを設置するものであって、この排液ガイドは、半導体基板の円周に沿う湾曲部を有するとともに、この湾曲部の半導体基板に対向する縁部の厚みが半導体基板の厚みと同程度の厚みに形成されている構成の半導体基板の洗浄装置であることができる。
【0054】
このように、排液ガイドに半導体基板の円周に沿う湾曲部が形成されて、この湾曲部の縁部の厚みが半導体基板の厚みと同程度に形成されていると、半導体基板の外周と前記排液ガイドの湾曲部間の距離を調整することにより、前記処理液供給ノズルから供給され、半導体基板表面上を通流する膜状流を、洗浄槽底部近傍で澱みや飛散を生じさせることなく、前記湾曲部面に沿ってスムーズに排液口に通流することができる。このため、飛散液の再付着による洗浄ムラや雰囲気ダストの巻き込みによる付着を生じることなく、大口径の半導体基板においても面均一に洗浄することが可能となる。
【0055】
本願発明は、前述した半導体基板の洗浄装置において、前記処理液貯留部には、供給バルブを経由して乾燥ガスが供給され、また、前記洗浄槽には、赤外光照射ランプが設けられている構成の半導体基板の洗浄装置であることができる。
【0056】
このように、処理液貯留部供給バルブを経由して乾燥ガスが供給されるように構成されていると、半導体基板を洗浄処理した直後に、処理液供給ノズルから乾燥ガスを半導体基板に吹き付けることが可能となる。従って、基板を搬送せずに乾燥することが可能となるため、基板を気中に晒さずに済み、基板表面にパーティクル等を付着させることなく、効率的且つ面均一に半導体基板を乾燥することが可能となる。また、半導体基板を洗浄処理後すぐに乾燥することが可能となるため、ウォーターマーク等の発生を抑制することができる。
【0057】
本願発明は、前述した半導体基板の洗浄装置において、前記洗浄槽に備えられる前記保持部材は、洗浄槽外に搬出可能に設けられている構成の半導体基板の洗浄装置であることができる。
【0058】
このように、保持部材が洗浄槽外に搬送可能に形成されていると、洗浄処理後、前記保持部材に半導体基板を保持したまま、搬送してIPA等の有機溶媒を含む薬液蒸気による乾燥等を行うことが可能となる。
【0059】
本願発明は、前述した半導体基板の洗浄装置において、前記処理液貯留部には、処理液供給バルブを介して複数の処理液が供給され、更に、前記洗浄槽の下部に処理液貯留槽を設けるとともに、前記処理液貯留槽から前記処理液貯留部に処理液を循環濾過する循環ラインを設けた構成の半導体基板の洗浄装置であることができる。
【0060】
このように、処理液貯留部には、処理液供給バルブを介して複数の処理液が連続して供給されるので、この供給バルブの切換えで半導体基板を気中に晒すことなく各種の処理液で洗浄を行うことが可能となるため、半導体基板表面にパーティクル等を付着させることなく高洗浄性且つ面均一に半導体基板の処理をすることが可能となる。更に、処理液貯留槽から処理液貯留部に循環ラインを設けているので、洗浄液の循環濾過による連続使用が可能となり、効率の良い処理液の供給ができるため、洗浄性を向上することができる。
【0061】
本願発明は、前述した半導体基板の洗浄装置において、前記循環ライン中に、洗浄液が秤量貯留されるケミカルバッファ槽と、処理液とリンス液の置換を行う処理液バッファ槽とを設けた構成の半導体基板の洗浄装置であることができる。
【0062】
このように構成されていると、先ず、各洗浄液が秤量されて、処理液供給バルブを介してケミカルバッファ槽に貯留され、ケミカルバッファ槽から所定の洗浄液が処理液供給バルブを介して処理液貯留部に通流され、更に、処理液貯留部から処理液供給ノズルを経由して洗浄槽の半導体基板に供給される。そして、洗浄液は半導体基板を洗浄処理した後に、前述したように循環ラインにて循環される。
【0063】
また、リンス処理を行う場合は、前記処理液供給バルブが閉じられて洗浄液の供給が停止されるとともにリンス液が処理液バッファ槽に供給され、この処理液バッファ槽で処理液とリンス液の置換が行われ、その後、処理液供給バルブを介して処理液貯留部にリンス液が供給され、更に、前記洗浄槽に通流されて半導体基板のリンス処理が行われる。
【0064】
このように、本発明の洗浄装置並びに好ましい実施の態様によれば、半導体基板を洗浄槽内に保持したまま、洗浄液供給とリンス液供給の切換えをすることができる。このため、例えば洗浄処理後、パーティクルが付着しやすくなっている酸化膜が除去された状態の半導体基板においても、これを他に搬送することなくリンス処理を行うことができるので、パーティクル等の付着を防止して半導体基板を清浄に処理することが可能となる。また、洗浄液とリンス液の置換を迅速に行うことができ、槽間移動も無いため、スループットの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体例に係り、洗浄装置を示す斜視図である。
【図2】本発明に具体例に係り、洗浄装置を示す側面図である。
【図3】本発明の具体例に係る洗浄装置の処理液供給構成を示す全体構成図である。
【符号の説明】
1 洗浄装置
2 処理液貯留部
2a 処理液供給口
2b 底部
2c 中央開口部
2d 乾燥ガス供給口
3 処理液供給ノズル
4 洗浄槽
4a 排水口
5 処理液貯留槽
5a 排出口
5b 循環口
6 基板保持部材
6a 保持材
6b 固定ピン
6c 設置部
7 排液ガイド
11 排水バルブ
12 循環ライン
13 循環ライン切換えバルブ
14 循環ポンプ
15 濾過フィルター
16 ケミカルバッファ槽
17 開閉バルブ
18 処理液バッファ槽
19 処理液供給バルブ
21 供給バルブ
22 乾燥ガス
23 開閉バルブ
24 洗浄液切換えバルブ
25 洗浄液切換えバルブ
26 洗浄液切換えバルブ
27 洗浄液槽
28 洗浄液槽
29 洗浄液槽
33 開閉バルブ
34 リンス液切換えバルブ
35 リンス液切換えバルブ
36 リンス液切換えバルブ
37 リンス液槽
38 リンス液槽
39 リンス液槽
w 半導体基板
p 配管
Claims (5)
- 洗浄槽に半導体基板を収納し、前記洗浄槽内に洗浄液を供給するワンバス方式の半導体基板の洗浄装置において、
前記洗浄槽の上部に処理液供給ノズルを備えた処理液貯留部を設け、
前記処理液貯留部には、供給バルブを経由して処理液または乾燥ガスを切換えて供給可能とされ、
前記洗浄槽は、前記半導体基板を垂直に保持する基板保持部材を備え、下部には排液口を設け、
前記保持された半導体基板の下部位置に対応して排液ガイドを設置するものであって、この排液ガイドは、半導体基板の円周に沿う湾曲部を有するとともに、この湾曲部の半導体基板に対向する縁部の厚みが半導体基板の厚みと同程度の厚みに形成され、
前記処理液供給ノズルは、前記垂直に保持された半導体基板の直径よりも大きい開口部を有し、該処理液供給ノズルから供給した処理液が、前記半導体基板表面を通流する際に広面積で膜厚が厚い膜状流を形成し、前記半導体基板表面を面均一に洗浄することを特徴とする半導体基板の洗浄装置。 - 前記洗浄槽には、赤外光照射ランプが設けられていることを特徴とする請求項1記載の半導体基板の洗浄装置。
- 前記洗浄槽に備えられる前記基板保持部材は、洗浄槽外に搬出可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の半導体基板の洗浄装置。
- 前記処理液貯留部には、処理液供給バルブを介して複数の処理液が供給され、更に、前記洗浄槽の下部に処理液貯留槽を設けるとともに、前記処理液貯留槽から前記処理液貯留部に処理液を循環濾過する循環ラインを設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載した半導体基板の洗浄装置。
- 前記循環ライン中に、洗浄液が秤量貯留されるケミカルバッファ槽と、洗浄液とリンス液の置換を行う処理液バッファ槽とを設けたことを特徴とする請求項4記載の半導体基板の洗浄装置。
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