JP3935563B2 - 塗料用艶消し剤、および塗料用艶消し剤の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料用艶消し剤と、塗料用艶消し剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、艶消し塗料や半光沢塗料等には、塗料用艶消し剤として、湿式法や乾式法によって得られるシリカ微粒子が添加されている。
また、この種の塗料用艶消し剤には、一般に、高い艶消し効果はもちろんのこと、塗装前の塗料中あるいは塗装後の塗膜中における分散性が高いこと、塗料の過剰な粘度上昇を招かないこと、塗膜の平滑性を損なわないことなどが要求される。そのため、ワックス系有機物、その他の有機物、または無機物によってシリカ粒子の表面性状を改質することにより、分散性等を改善した塗料用艶消し剤も提供されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の塗料用艶消し剤は、いずれも水性塗料に対する親和性が低かったため、水性塗料に添加した場合には、塗料中へ分散させにくい、塗膜中での分散性を十分に確保できない、表面にブツのある粗い塗膜になる、といった問題を招きやすい傾向があった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、水性塗料中へ添加した場合でも、良好に分散し、平滑性に優れた塗膜となる艶消し塗料を調製可能な塗料用艶消し剤と、この塗料用艶消し剤の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段、および発明の効果】
上述の目的を達成するために、本発明の塗料用艶消し剤は、請求項1記載の通り、圧力1〜15kg/cm2 、温度100〜197℃の水蒸気雰囲気下で、5〜20時間にわたってスチーミング処理された状態の表面を備えたシリカからなることを特徴とする。
【0006】
本発明において、上記のような処理条件でのスチーミング処理により、塗料用艶消し剤としての良好な物性が得られるという事実は、発明者らが多くの実験を繰り返す中で見いだしたものであり、どのような物性の改善が有意に寄与しているかについて、現時点では明確に特定するには至っていない。
【0007】
但し、考え得る理由としては、スチーミング処理を施すと、シリカの一次粒子の均一溶解析出により、比表面積の低下を伴って平均細孔径が揃って増大し、細孔容積の増大が促されるため、水性塗料中の塗料組成物、特に水性エマルション塗料の分散質のように比較的大きな粒径の成分が、細孔内へ侵入しやすい状態となり、シリカ粒子表面の塗料組成物に対する濡れ性が改善され、その結果、分散性が改善される、あるいは、シリカ外部表面のシラノール基が増大して水との親和性が増し、濡れ性が改善され、また同時に、水との親和性が増すと表面活性が低下し、塗料への添加後における凝集体の成長が抑制され、その結果、塗膜表面におけるブツの発生を抑制できる、といった事項を挙げることができ、これらが単独、あるいは複合的に作用している可能性がある。
【0008】
逆に、上記の処理条件が、上記数値範囲からはずれると、分散性の低下、あるいは塗膜表面の平滑性の低下が見受けられるようになり、十分に満足な効果を得ることができない。これは、所期の効果を得るのに必要な物性が、十分に改質されないこと、もしくは過剰な改質によって他の物性に悪影響を及ぼすこと等に原因があると考えられ、いずれにしても、所期の効果を得ることができない。
【0009】
また、上記スチーミング処理の処理条件の範囲内でも、特に圧力については、5kg/cm2 を下回ると、細孔を広げるために時間がかかって製造効率が悪くなり、また、均一な物性を得がたくなる傾向が徐々に強くなり、一方、10kg/cm2 を上回ると、過剰にエネルギーを使うことになるため、シリカ粒子が壊れたり、細孔径が潰れやすくなるので、これらを考慮すると、圧力条件については5〜10kg/cm2 にすると好ましい。また、必要な水蒸気雰囲気下において、温度条件は圧力条件に応じて決まるパラメータであり、上記好ましい圧力条件(5〜10kg/cm2 )で処理する場合には、温度条件を151〜179℃にするとよい。
【0010】
さらに、本発明において、シリカの粒径は、最終的には塗料用艶消し剤として好適に用いることのできるサイズに調製されるが、スチーミング処理を施す時点でのシリカの粒径は、あらかじめ塗料用艶消し剤として好適なサイズに調製されているものであっても、それよりも大きなサイズに調製されていて、スチーミング処理中またはスチーミング処理後に粒度調製することにより、塗料用艶消し剤として好適なサイズに調製されるものであってもよい。
【0011】
塗料用艶消し剤として好適な粒径は、塗料の組成や粘度によっても変わるので、一概に特定することはできないが、一般的な多くの水性塗料で好適に艶消し剤として使用可能な粒径としては、例えば請求項2記載のように、シリカの平均粒子径が、1.0〜20μmに調製されていると望ましい。なお、本発明におけるシリカの平均粒子径は、コールターカウンター法によって計測した値である。
【0012】
ちなみに、粒子径が1.0μmを下回る粒子が多くなると(特に、全体の20%を上回ると)、塗膜の艶消しに寄与しない粒子が増大し、単位添加量当たりの艶消し効果が低下するため、同程度の艶消し効果を得るためには、多量に添加しなければならなくなる。また、塗料中で凝集しやすくなるため、分散が困難になり、塗膜表面のブツおよび塗料粘度の上昇を招く。一方、粒子径が20μmを上回る粒子が多くなると、塗膜外観が粗くなり、また、塗料中で沈降しやすく、均一な艶消し塗膜が得られない。
【0013】
さらに、シリカの粒径を調製する手段については、特に限定されず、公知の各種粉砕機、例えば、ボール・ミル、ロール・ミル、サンド・ミル、スチーム・ミル、エヤー・ミルなどを適宜利用することができる。加えて、上記スチーミング処理が施されるシリカは、湿式法または乾式法のいずれで製造されたものであってもよい。
【0014】
なお、シリカの細孔径、細孔容積、吸油量、pHなどの物性は特に限定されないが、細孔径については、大きいほど細孔内に水が入りやすく、水性塗料中へ分散させやすくなるので、目安としては、180オングストローム以上の細孔径を確保することが望まれる。また、細孔容積も大きい方がよく、目安としては、1.2ml/g以上とするとよい。また、吸油量については、大きいものほど艶消し効果が高いが、塗料の粘度も上昇しやすいので、塗料組成物全体の粘度と期待する艶消し効果との兼ね合いで調節するとよい。また、pHについては、中性付近、具体的には6.0〜8.5程度がよいが、これも塗料添加時にpHを調節できれば、上記数値範囲からはずれていても構わない。
【0015】
このように構成された塗料用艶消し剤によれば、水性塗料中へきわめて速やかに分散し、且つその分散状態を長期にわたって安定して維持することができる。特に、塗料中へ均一に分散させるに際しては、高粘度の塗料中へ直接粉体を投入するよりも、溶媒である水やアルコールに対して粉体をあらかじめ添加混合して、その液状組成物を他の液状組成物と混合することが望ましいが、上記塗料用艶消し剤は、水やアルコールへの初期分散性がきわめて良好なため、塗料中への均一な混合が容易である。また、水中に分散させた状態で長時間が経過しても、きわめて安定した状態で分散しており、水中における沈降堆積量もきわめて少ない。さらに、この塗料用艶消し剤を添加した水性塗料を塗布して形成された塗膜は、平滑でブツのない表面性状の塗膜となり、十分な艶消し効果も確保されている。
【0016】
なお、艶消し効果は、艶消し剤の添加量によって任意に調製可能であり、完全な艶消し塗料はもちろんのこと、光沢を抑えた半光沢塗料を調製することもできる。また、本発明の塗料用艶消し剤は、水を主要な溶剤として含有している水性塗料はもちろんのこと、使用時に水で希釈して使用できる塗料用組成物への添加にも好適である。また、水系の塗料であれば、他の成分については特に限定されず、例えば、水溶性もしくは水分散性のアクリル酸樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、乾性油などを主体として、必要に応じて各種顔料を添加した塗料であれば、いずれも本発明の塗料用艶消し剤を添加して、所期の艶消し効果を得ることができる。さらに、塗料中での透明性が良好なため、クリヤー塗料にも使用できる。さらに、有色塗料に入れた場合、色を調製しやすいといった長所もある。ちなみに、本発明の塗料用艶消し剤は、特に水性塗料へ添加するのにきわめて好適なものであるが、油性塗料へ添加しても何ら問題はない。
【0017】
ところで、上述の通り、本発明の塗料用艶消し剤は、水性塗料に対する分散性が良好で、平滑性の高い塗膜を形成し得る水性塗料を調製可能なものであるが、さらに、請求項3記載の塗料用艶消し剤のように、前記シリカに対する重量比で、0.01〜5.0重量%の界面活性剤が添加されていると、長期間にわたって塗料の粘性が低い状態を維持できるようになる。
【0018】
すなわち、この種の塗料用艶消し剤が添加された塗料は、どうしても時間経過に伴って粘性が高くなるが、上記のような重量比で界面活性剤が添加されていると、初期粘度が低くなるとともに、経時変化による粘度上昇を抑制することができる。したがって、塗料調製時の粘度を長期間にわたって維持でき、塗料調製時と実際の塗装時とで塗膜の風合いに変化をきたすこともない。さらに、艶消し塗料の場合、シリカ等が時間経過とともに塗料中に沈殿し、再撹拌が困難ないわゆるハードケーキを形成してしまうこともあるが、界面活性剤を添加した場合には、このハードケーキを防止する点でも優れた効果を発揮する。
【0019】
以上説明したような塗料用艶消し剤は、例えば請求項4記載の製造方法によって製造することができる。すなわち、請求項4記載の塗料用艶消し剤の製造方法は、シリカを、圧力1〜15kg/cm2 (好ましくは、5〜10kg/cm2 )、温度100〜197℃(好ましくは、151〜179℃)の水蒸気雰囲気下で、5〜20時間にわたってスチーミング処理し、該スチーミング処理がなされた状態の表面を備えたシリカを粒度調製処理して、平均粒子径を1〜20μmに調製することを特徴とする。
【0020】
このような塗料用艶消し剤の製造方法によれば、水性塗料に対する分散性が良好で、平滑性の高い塗膜を形成し得る水性塗料を調製可能な塗料用艶消し剤を製造、提供することができる。特に、スチーミング処理の後に粒度調製処理を行っているので、先に粒度調製処理を行う場合に比べ、粒子が細かくなった後の製造工程が少なくなり、製造上のハンドリング性がよくなる。
【0021】
なお、粒度調製処理の後にスチーミング処理を行っても、艶消し剤としての性能に悪影響がないことはもちろんであり、場合によっては、スチーミング処理の後に、粒度調製処理を行い、さらに物性調製のために再度スチーミング処理を行うこともできる。
【0022】
また、上記のように、界面活性剤が添加された塗料用艶消し剤を製造するには、請求項5記載のように、前記シリカに対する重量比で、0.01〜5.0重量%の界面活性剤を添加しながら、前記粒度調製処理を行うとよい。
このような塗料用艶消し剤の製造方法によれば、経時変化による粘度上昇が抑制された水性塗料を調製可能な塗料用艶消し剤を製造、提供することができる。特に、粒度調製処理と同時に界面活性剤の添加を行っているので、別工程で界面活性剤を添加する場合に比べ、工程数を削減して生産ラインをコンパクトにすることができ、また、シリカ表面への界面活性剤の付着が均一になり、製品の収率低下を抑制できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について具体的な例を挙げて説明する。
(1)塗料用艶消し剤の調製
[実施例1]
25%に希釈したケイ酸ナトリウムと10N硫酸を反応させ、ゲル化後緩やかに解砕して得られた破砕状シリカヒドロゲルをオートクレーブ中に設置し、圧力5.0kg/cm2 、温度151℃の水蒸気雰囲気下で、12時間にわたってスチーミング処理を行った。スチーミング処理後、スチーム・ミルによって同時に乾燥・粒度調製処理を行い、コールターカウンター法で平均粒子径1.80μmの粉体を得た。粒度分布を測定すると、7μm以上の粒子が存在せず、1μm以下の粒子が全体の10〜20%であった。
【0024】
[実施例2]
25%に希釈したケイ酸ナトリウムと10N硫酸を反応させ、ゲル化後緩やかに解砕して得られた破砕状シリカヒドロゲルをオートクレーブ中に設置し、圧力5.0kg/cm2 、温度151℃の水蒸気雰囲気下で、12時間にわたってスチーミング処理を行った。スチーミング処理後、オートクレーブから取り出したシリカキセロゲル100重量部に対して、水で5%に希釈した有機共重合物の高分子界面活性剤(商品名:フローレンG−700,共栄社化学(株)製)30重量部の割合で添加しながら、スチーム・ミルによって同時に混合・粒度調製処理を行い、コールターカウンター法で平均粒子径1.92μmの粉体を得た。
【0025】
[比較例1]
乾式法により得られた市販のシリカ(商品名:TS−100,DEGUSSA製)を、そのまま使用した。
[比較例2]
ワックス系の有機物で表面処理された市販の表面処理シリカ(商品名:OK−412,DEGUSSA製)を、そのまま使用した。
【0026】
[比較例3]
有機物で表面処理された市販の表面処理シリカ(商品名:ED−30,GRACE Davison製)を、そのまま使用した。
[比較例4]
湿式法により得られた市販のシリカ(商品名:サイリシア350,富士シリシア化学製)を、そのまま使用した。
【0027】
なお、上記各試料の物性を、表1にまとめて示す。
【0028】
【表1】
【0029】
(2)試験方法
上記実施例1,2、および比較例1〜4の試料を使って以下の試験を行った。
[試験1:塗膜外観]
水系アクリルエマルション樹脂塗料(商品名:075ライン ユニロック艶有り,ロックペイント(株)製)100重量部に対して、上記実施例1,2、および比較例1〜4の試料を、3重量部、および6重量部添加し、T.K.オートホモミクサー(特殊機化工業(株)製,直径40mmクローバー型可変羽根使用)により、4000rpmで5分間にわたって撹拌・分散する。
【0030】
分散後、フィルムアプリケータ4MILにより隠ぺい紙に塗布し、クリーンベンチ内で室温乾燥した後、塗膜の表面状態を目視にて観察した。表面にブツ等がごく僅かで良好な状態であれば◎、ブツ等が数個程度であれば○、表面が粗くブツ等が多く見られる場合を△、それ以上ブツ等が見られた場合を×として、結果を表2に示した。
【0031】
【表2】
【0032】
上記試験1の結果、実施例1,2の試料を添加した場合、比較例3の試料を添加した塗料よりも優れた外観の塗膜が得られることがわかった。但し、比較例1,2および比較例4については、顕著な差異は認められなかった。
[試験2:塗膜内分散度]
上記試験1と同様の手順で各試料を塗料中に分散後、その塗料をJIS−K−5400のつぶ試験方法に準じて、グラインドゲージを使用して測定し、結果を表3に示した。
【0033】
【表3】
【0034】
上記試験2の結果、実施例1,2の試料は、比較例1,2の試料よりも分散性に優れていることがわかった。また、比較例3,4の試料については、ほぼ同等の分散性が確認されたが、添加量の増大に伴って分散性が低下することも判明した。実施例1,2の試料は、添加量の増大による分散性への影響が認められなかった。
【0035】
[試験3:塗膜光沢度]
上記試験1と同様の手順で各試料を塗料中に分散後、フィルムアプリケータ4MILによりガラス板に塗布し、クリーンボックス内で5分間静置後、室温乾燥して得た塗膜に対して、塗膜表面との間でなす角度が20度、60度、85度となる方向から光を照射し、その反射光を塗膜表面の放線方向から目視にて観察した。反射光が弱い十分な艶消し塗膜となっていれば○、反射光がやや強い半光沢の塗膜となっている場合を△、反射光がきわめて強い光沢のある塗膜となっている場合を×として、結果を表4に示した。
【0036】
【表4】
【0037】
上記試験3の結果、実施例1,2および比較例1〜4の試料は、いずれも十分な艶消し効果を有することが確認された。
[試験4:塗料粘度]
水系アクリルエマルション樹脂塗料(商品名:075ライン ユニロック艶有り,ロックペイント(株)製)100重量部に対して、上記実施例1,2、および比較例1〜4の試料を、6重量部添加し、T.K.オートホモミクサー(特殊機化工業(株)製,直径40mmクローバー型可変羽根使用)により、4000rpmで5分間にわたって撹拌・分散する。
【0038】
分散後、B型粘度計(東京計器(株)製)により、温度約20℃、ローターNo.4で60rpmの条件で、経時的に測定した。測定時刻は、分散直後を0時間として、168時間後、336時間後、504時間後、672時間後、および1344時間後とし、結果を表5に示した。
【0039】
【表5】
【0040】
上記試験4の結果、実施例1,2の試料は、比較例1,4の試料よりも経時変化による粘性の増大を招かないことがわかった。特に、実施例2の試料は、比較例2,3の試料よりも長期にわたって安定した粘性を示しており、艶消し塗料の調製後の状態を、長期間にわたって維持できるものと期待される。なお、比較例1の試料の欄にある表記「>10000」は、測定上限値以上であったことを示している。
【0041】
[試験5:初期分散性]
300mlのビーカーにイオン交換水およびエタノールをそれぞれ200ml取り、この中に上記実施例1,2、および比較例1,4の試料5gを素早く投入し、試料が分散媒に完全に浸るまでの時間を測定して、結果を表6に示した。
【0042】
【表6】
【0043】
上記試験5の結果、実施例1,2の試料は、比較例1,4の試料よりもきわめて速やかに水またはエタノール中に分散可能であることがわかった。したがって、水性塗料への混合に当たって、事前に水またはアルコール中に懸濁させ、それを塗料に対して混合するといった作業を、きわめて容易に実施することができる。
【0044】
[試験6:水中における経時安定性]
500mlのビーカーにイオン交換水を200ml取り、この中に上記実施例1,2、および比較例1〜4の試料12gを投入し、T.K.オートホモミクサー(特殊機化工業(株)製,直径40mmクローバー型可変羽根使用)により、4000rpmで5分間にわたって撹拌・分散する。これを100mlの比色管に100ml採取し、室温下(約20℃)で静置させ、上澄みと濁った部分との境界の目盛りを経時的に読み取った。測定時刻は、静置後72時間および168時間とした。結果を表7に示す。
【0045】
【表7】
【0046】
上記試験6の結果、実施例1,2の試料は、比較例1〜4のいずれの試料と比較しても、水中での分散安定性に優れていることが確認された。したがって、水性塗料中での沈降を招きにくいと考えられる。さらに、エタノール中でも試験6と同様の試験を試みたが、実施例1,2については良好な結果が得られ、エタノール中での沈降も招きにくいと考えられる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態については上記のもの以外にも種々の具体的形態が考えられ、例えば、シリカの具体的な製造方法、スチーミング処理の具体的な処理条件、粉砕などの粒度調製方法等は、先に説明した範囲内において適宜調製することができる。
Claims (5)
- 圧力1〜15kg/cm2 、温度100〜197℃の水蒸気雰囲気下で、5〜20時間にわたってスチーミング処理された状態の表面を備えたシリカからなる
ことを特徴とする塗料用艶消し剤。 - 請求項1記載の塗料用艶消し剤において、
前記シリカの平均粒子径が、1〜20μmに調製されている
ことを特徴とする塗料用艶消し剤。 - 請求項1または請求項2記載の塗料用艶消し剤において、
前記シリカに対する重量比で、0.01〜5.0重量%の界面活性剤が添加されている
ことを特徴とする塗料用艶消し剤。 - シリカを、圧力1〜15kg/cm2 、温度100〜197℃の水蒸気雰囲気下で、5〜20時間にわたってスチーミング処理し、
該スチーミング処理がなされた状態の表面を備えたシリカを粒度調製処理して、平均粒子径を0.1〜20μmに調製する
ことを特徴とする塗料用艶消し剤の製造方法。 - 請求項4記載の塗料用艶消し剤の製造方法において、
前記シリカに対する重量比で、0.01〜5.0重量%の界面活性剤を添加しながら、前記粒度調製処理を行う
ことを特徴とする塗料用艶消し剤の製造方法。
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